NHK『ブギウギ』第19回

昔々、とある姐さんから「木公くんはさぁ、小さくてか弱そうで幼い感じの妹みたいな女の子が好きよねぇ。だけどね、君には年上の女が合うと思う。しかも、弟のいるしっかり者の女」と言われたことのある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第19回めの放送を見ましたよ。

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第4週『ワテ、香川に行くで』

鈴子(趣里)の弟・六郎(黒崎煌代)は幼い頃から間抜けな言動や行動が目立つ。飼っているカメを溺愛し、そのカメを模った帽子をいつも被ってる。さらに、木彫りのカッパの人形を常に携えている。

そんな六郎には、最近気になっていることがあった。自分の顔が父・梅吉(柳葉敏郎)と似ていないと思われるのだ。小さい頃、アホのおっちゃん(岡部たかし)から、六郎はカッパの子で、鈴子はクジラの子だとからかわれたことも半ば本気で信じていた。言われてみれば、自分と鈴子は似ていないようにも思える。

六郎からそのことを打ち明けられた鈴子は一笑に付し、自分たちは姉弟に違いないと説明してやった。六郎はまったくもってアホな子である。普通なら、これだけアホな子は嫌われるはずである。しかし、自分は六郎のことが大好きだ。これだけ好きなのだから姉弟に違いないと言って聞かせた。

しかし、後にひとりになって考えてみると、鈴子にも思い当たるところがあった。
過去に鈴子が高熱で倒れた時(第9回)、六郎が枕元で同じ「カッパの子、クジラの子」話をしていた。それに加えて、父と母(水川あさみ)が部屋の外でコソコソ話をしているのが聞こえたのだ。ふたりは、何があっても鈴子だけは死なせるわけにはいかないと言っていた。
鈴子は、その時のことは熱にうなされた悪夢だと思っていた。しかし、六郎の話した内容が過去と現在で合致していることから、あれは現実だったのだ。
そして鈴子は、あり得るとするなら、六郎の方こそ貰われてきた子だと思った。なぜなら、両親は鈴子だけは死なせるわけにはいかないと言っていたからだ。しかし、鈴子はそのことは自分の胸にしまっておくことにした。

この頃(1934年; 昭和9年)には、USKのストライキ騒動から1年が経っていた。勝ち取った待遇改善は実現し、劇団員たちは1週間の休暇が与えられた。他の団員たちはそれぞれに旅行の計画などを立てていたが、鈴子だけはどこにも出かける予定はなかった。むしろ、家の銭湯の手伝いをすることを楽しみにしていた。

そんなある日、母・ツヤの元へ郷里の香川の妹から手紙が届いた。それは、「白壁の家」と呼ばれる地元の名士の家の法事へ鈴子を連れて来て欲しいというものであった。ツヤの実家は手袋工場を営んでおり、「白壁の家」の主人には客を大勢紹介してもらうなど並々ならぬ世話になっていた。ツヤの実家にとっては断ることはかなり難しいことであった。
一方でツヤにとっても、郷里には帰りにくい事情があった。キヌ(中越典子)という女性に顔を合わせられない事情があったのだ。そのことを理解している父・梅吉と相談し、鈴子と六郎だけで行かせることにした。

ツヤは、「白壁の家」の法事に行って欲しいと鈴子と六郎に話した。そこの息子は早くに亡くなったが、主人はまだ生きている。その主人が梅丸少女歌劇団のファンであり、鈴子の活躍を聞きつけて会いたいと言っていると説明した。鈴子は悪い気がしなかった。
そして、父と母は銭湯の切り盛りで手が離せないので、鈴子と六郎のふたりだけで行って欲しいと話した。六郎は自分たちだけで出かける旅行に興奮した。
こうして、姉弟だけの香川行きが決まった。

六郎が香川行きを喜んで受け入れたのにはもう一つ理由があった。母の実家に行けば、自分たちの出生の秘密が明らかになると期待しているのだ。
その話を聞いた鈴子は呆れつつも、やはり六郎の方こそが貰われた子のはずであり、本人がそれを知るとどう思うかと心配になるのだった。

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NHK『ブギウギ』第18回

ラインダンスを見るとどうしてもえっちな気持ちになってしまい、それはきっと自分が足フェチだからだと思っていたのだけれど、もしかしたら懐かしの深夜番組『11PM』のアニメーションが思い出され、そこから同番組のお色気コーナーが連想されるせいかもしれないと思い至った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第18回めの放送を見ましたよ。

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第4週『ワテ、香川に行くで』

USKのストライキが始まってから1週間、大熊社長(升毅)はついに劇団員たちの要求を受け入れ、賃金を元の水準に戻し、人員解雇も取り消されることになった。
知らせを受けた劇団員たちは有頂天になって喜んだ。

翌日、劇団員たちは稽古場に集まり、久しぶりに古巣で稽古できることにワクワクしていた。
しかし、大和礼子(蒼井優)と橘アオイ(翼和希)がなかなか姿を見せない。やっと現れたかと思えば、神妙な面持ちの林部長(橋本じゅん)も同行していた。

林部長は、本日付で大和礼子と橘アオイが騒動の責任をとって退団すると発表した。突然のことに劇団員たちは動揺し、口々に抗議の声をあげた。
大和礼子はそれをなだめるように話し始めた。ストライキによる公演中止で客や会社に迷惑や損害を与えた。誰かがその責任を取らなければならず、それはまさしくストライキを主導した自分こそが責めを負わなければならないと説明した。そして、今回みんなが団結したことを忘れず、みんなで新しい梅丸少女歌劇団を作って欲しいと期待を述べた。自分がいなくなってもみんなならやれるはずだと励ました。
橘アオイは、大和礼子ひとりに責任を負わせるわけにはいかず、自分も一緒に辞めるのだと話した。

鈴子(趣里)は到底承服できなかった。ふたりがいなくなる結果になるのだったらストライキなどしなければよかったし、賃金や人員の削減も受け入れるからふたりには残って欲しいと泣きながら喚いた。ふたりがあってこその梅丸少女歌劇団なのだから、いっそのことこの劇団はなくなってしまえばいいとまで喚き散らした。
橘アオイは鈴子にビンタを張って黙らせた。大和礼子はみんなのことを守るために辞めるのだから、それを無碍にするなと説得した。

どんなに抗議しても、会社にふたりの退団を取りやめさせることはできなかった。なにより、当の本人たちの決意が一番固かった。
団員たちは泣きながら別れを惜しむしかなかった。

たったふたりがいなくなっただけなのに、鈴子には大勢の団員がいなくなったような寂しさを感じた。
それでも、解雇されていた同期の桜庭和希(木村湖音)や新人研究生たちが戻ってくると、少しだけ気分も前向きになれた。いつまでも寂しがっておらず、稽古に打ち込もうと思えた。

大熊社長はにとって、自ら決めたこととはいえ、トップスター2名を一度に失うということは大きな痛手だった。彼女らの不在を言い訳に粗末なショーを見せるわけにはいかない。残された団員たちが輝くような新しい出し物はないものかと頭を抱えていた。
その相談を受けた林部長は、大和礼子が中心となって稽古を続けていたラインダンスを社長に提案した。

こうして、USKは客前で初めてラインダンスを披露した。
大和礼子の置き土産である練習の成果が大いに発揮され、一糸乱れぬ見事なダンスだった。観客たちにも大好評だった。

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NHK『ブギウギ』第17回

数年ぶりの大不調に陥っているのだけれど、今回のまとめ記事だけはなんとか死守しようと力を振り絞る当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第17回めの放送を見ましたよ。

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第4週『ワテ、香川に行くで』

山寺に籠ってストライキを続ける梅丸少女歌劇団であったが、会社側との交渉は全く進んでいなかった。それでも、劇団員たちは事態が好転することを信じ、明るく前向きに稽古を続けていた。

休憩中、鈴子(趣里)は、大和礼子(蒼井優)が梅丸に入った理由を尋ねた。鈴子は、彼女が親の反対を押し切って家出同然で大阪に来たことは知っていた。しかし、もっと詳しい事情を知りたくなったのだ。大和礼子ほどの実力者であれば、より格上の花咲音楽学校に入学することもできたはずだからだ。

大和礼子は、親に反対され、自分ひとりでは花咲音楽学校の受験費用すら捻出できなかったからと説明した。そして、彼女の少女時代(山下桐里)のバレエの先生が梅丸の大熊社長(升毅)と知り合いだったという。
大熊社長は、授業料は一切取らないない上、親代わりとしてずっと面倒を見る約束をしてくれた。それが梅丸に入団した理由だという。大熊社長は、親に反対されて夢を諦めた若者をたくさん見てきた。そんな中、大和礼子は親と縁を切ってでも夢を追いかけようとしており、それを応援したかったのだという。

その頃、ひとりだけストライキに参加しなかった橘アオイ(翼和希)は、大和礼子と一緒に写っている古い写真を眺めていた。それで決意を固め、社長へ直談判に向かった。橘アオイは、自分が劇団を辞めるのと引き換えに、劇団員たちの条件(賃金維持、解雇団員の復帰)を叶えてくれるよう懇願した。
大熊社長は、劇団員たちの条件をのむことに決めたという。ただし、首謀者である大和礼子だけは辞めさせるつもりだと話した。大和礼子本人も初めからそのつもりだったに違いないというのが社長の見立てであった。

翌朝、楽団員の股野義夫(森永悠希)がストライキ中の大和礼子を尋ねて来た。
股野も会社の取り崩しに応じてしまい、一時金を受け取ってストライキに参加しなかったのだ。股野はそのことを恥じており、楽団を辞めようと決意したのだ。また、股野は大和礼子に片思いをしていた。辞める前に、一言思いを伝えたいと思った。

股野は大和礼子とふたりきりの場を作ってもらい、梅丸を去ることを話した。そもそも彼は、歌劇団の楽団員ではなく、オーケストラに入団する夢を持っていた。それはもう諦めかけていたが、もう一度挑戦することに決めたと説明した。股野は、梅丸を見捨てることで大和礼子から軽蔑されるだろうことを覚悟した。

ところが、礼子は優しい笑顔で股野の夢を応援してくれた。
それで気が楽になった股野は、ついに自分の礼子に対する恋心を告白した。

しかし、鈴子は今度は険しい表情になった。今は、恋愛に現を抜かす状況ではないと言うのだ。
それでも、股野は後悔しなかった。今ここで告白しなければ、もう二度と会えないかもしれないので気持ちを伝えることができてよかったと話した。
鈴子は、二度と会えないと言う股野を否定した。今は別々になってしまったとしても、音楽や歌劇を続けていれば、いつか再会できるはずだと言うのだ。股野には簡単に挫けずに頑張って欲しいと話した。
股野は続けることを約束した。

そこへ、橘アオイを伴って、歌劇団責任者の林部長(橋本じゅん)も山寺にやって来た。
林部長は、自身の力不足を謝りつつ、礼子にある通告を行った。

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NHK『ブギウギ』第16回

昨夜はTBS日曜劇場『下剋上球児』の2回めの放送で、弱小高校野球部のやる気のない部員たちが強豪高校チームと練習試合をしてボロ負けするも野球の面白さを知って結束が高まっていよいよ良い方向に動き出すのかと思いきや、監督・南雲(鈴木亮平)は教員免許を偽造して高校教師になったと同僚の山住(黒木華)にだけ打ち明けるという話を見た当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第16回めの放送を見ましたよ。

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第4週『ワテ、香川に行くで』

ストライキに参加したUSKの団員が山寺に立てこもって1週間が経った。
この騒動は新聞でも報道され、世間の注目を集めた。団員たちは寺にこもっても稽古を怠らず、取材に来た記者たちにはストライキが明けたらより立派な公演を見せると話した。

一方、梅丸の大熊社長(升毅)は団員の親たちに会って、取り崩し工作を始めた。そのせいで団員の親たちが退去して山寺に押しかけて来た。彼らは自分の子にストライキをやめるよう迫った。
大和礼子(蒼井優)は親たちと宴会を開き、自分たちの稽古の様子を披露した。そして、団員たちが傷つくようなことはしないので、もう少し待っていて欲しいと頭を下げた。
それを見聞きして、親たちの態度は軟化した。最後にはストライキを応援する態度になり、帰っていった。

帰っていく親たちを見ながら、大和礼子は鈴子(趣里)に対して独り言のように話しかけた。大和礼子は家出同然で入団した。そのため、親に一度も見てもらったことがない。今回のストライキは報道を通して親の目に留まればいいと思ってやっているのかもしれない。鈴子らの家庭には関係ないことに巻き込んでしまったと謝った。

梅丸劇場の前には、公演を求めて人々が集まっていた。ストライキに参加しなかった男役スター・橘アオイ(翼和希)や楽団員・股野義夫(森永悠希)は劇場前で客への謝罪対応に追われた。

劇団統括の林部長(橋本じゅん)も心肺になり始めた。このままでは客が梅丸少女歌劇団のことを見限ってしまって、復活できないかもしれない。大熊社長にそう訴えた。

しかし、大熊社長は何も答えなかった。代わりに彼は、大和礼子と初めて会った15年前のことを思い出していた。

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NHK『ブギウギ』第15回

毎日のマクラでNHK夜ドラ『ミワさんなりすます』のあらすじを簡潔に書こうと試みていたのだけれど、どうにも僕の能力では追いつかず、しんどくなったのでもうやめることを宣言しつつ、同作にReiちゃんさん(バーの店長役)が出てくる日を待ち望む当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第15回めの放送を見ましたよ。

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第3週『桃色争議や!』

ストライキ実施を決めた大和礼子(蒼井優)に対して、橘アオイ(翼和希)は猛反対し、声を荒げた。大和礼子がいつも言っているのは、客に現実を見せてはいけないということだ。ストライキを実施することは、客に最悪の現実を見せつけることになると言って、橘アオイは思いとどまらせようとした。
しかし、大和礼子の決意は揺るがなかった。客に現実を見せてしまうことよりも、さらにやってはいけないことに気づいたのだと言う。それは、自分たちを大切にしないことであると話した。自分たちは一方的な都合で翻弄されるだけの会社の道具ではない、梅丸を楽しい場所にするために自分たちを守る必要があると説明した。

大和礼子は、劇団を代表して次の日に社長に直談判することを決めた。そこで交渉が決裂すればストライキに突入する。ストライキに参加すると二度と舞台に立たせてもらえなくなるかもしれない。参加するかどうかは各自の判断に任せ、それを尊重すると述べた。
橘アオイは参加しないことを宣言した。

翌日、鈴子(趣里)は梅丸本社に向かった。
鈴子自身はまだ態度を決めかねていた。しかし、自分の思いを社長にぶつけなければ気が済まないと思ったからだ。母・ツヤ(水川あさみ)も、どのような結果であれ鈴子の決断を支持すると応援してくれていた。

鈴子と大和礼子が社長室の前まで来ると、中から言い争う声が聞こえた。
一足先に橘アオイが来て、大和礼子の主張に耳を傾けるよう社長(升毅)に懇願していた。しかし、社長は聞く耳を持たない様子だった。大和礼子がいなくなっても会社は困らない、さっさと劇団を辞めるよう言っておけなどと聞こえてきた。

それを聞いた鈴子は頭に血が上り、大和礼子を押し除けて社長室に怒鳴り込んだ。自分も本当はストライキなどしたくはないが、いやなことを嫌だと言える人間にならなければならない気がすると語った。会社や客、世の中のために働くのは結構なことだと主張した。しかし、のぼせ上がってそれ以上話せなくなった。
鈴子を補ったのは大和礼子だった。まずは自分自身を大切にする必要があると述べた。自分を大切にできない人間には、会社や客を大切にすることができない。だから、ストライキを決行して自分たちを守ると宣言した。

社長室を出て行こうとする鈴子と大和礼子の前に、橘アオイが立ちはだかった。大和礼子のストライキを止めようと最後の抵抗をしたのだ。
大和礼子はそんな彼女を抱きしめ、橘アオイのおかげで頑張ってこられたと述べた。感謝の言葉だけ伝えると、部屋を出ていった。橘アオイはその場で泣き崩れてしまった。

こうしてストライキが始まった。

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NHK『ブギウギ』第14回

昨夜はNHK夜ドラ『ミワさんなりすます』の3回目の放送で、主人公(松本穂香)は別人の家政婦になりすましていることに罪悪感を感じ、主人の俳優(堤真一)に打ち明ける手紙を書いて渡そうとするのだが、不注意でふたりそろって地下室に閉じ込められるという内容を見たのだけれど、楽しみにしていたReiちゃんさん(バーの店長役)はやっぱり出てこなくてがっかりしたんだけれど、昨夜は夜ドラの前にReiちゃんさんのインスタライブを見ていたのでチョー機嫌のよかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第14回めの放送を見ましたよ。

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第3週『桃色争議や!』

1933年(昭和8年)4月、アメリカの株価大暴落から始まった大恐慌の影響が日本にも表れはじめた。梅丸少女歌劇団でも賃金削減と人員削減が会社側から通達された。即座に新人研究生の3人と楽団員数名が解雇されてしまった。
解雇を免れた者も給料が一律3分の2にされてしまった。
家業が火の車の桜庭和希(片山友希)は、ただでさえ苦しかったのに給料も下がったら家族の生活が立ち行かないと言って自ら去ってしまった。

大和礼子(蒼井優)が中心となって、労働争議が開始された。大和は劇団員たちに自分たちにはプライドがあると話した。賃金や休暇など、きちんとした待遇のもと歌って踊る権利がある。会社側にそう主張し、賃金削減と解雇人員の取り消しを求める嘆願書を会社側に提出した。

労働争議が始まるや否や、鈴子(趣里)の家に初対面の梅丸社員(浅雛拓)が訪ねて来た。彼は、労働争議をやめた者には一時金を支払うと申し出た。
それを聞いた鈴子は頭に来た。一時金を出すだけの金があるなら解雇を取り消すべきだし、ましてや劇団員たちの団結の切り崩しを試みる態度が許せなかったのだ。自分たちは劇団を大きくするよう頑張っているのに、会社側がそれを妨害するのはなぜかと詰め寄った。
梅丸社員は、自分たちも会社のためを思ってやっているのであって、劇団員たちが歌って踊れる場をなんとか守ろうと努めているだけだと答えた。そして、両者は決裂し、梅丸社員は帰っていった。

翌日、稽古場に行くと騒ぎになっていた。一時金を餌にした労働争議の妨害工作は他の団員たちのところにあったというのだ。劇団員で応じた者はいなかったが、楽団のピアノ担当でいつも稽古の伴奏をしてくれている股野(森永悠希)は応じてしまったという。

大和礼子はストライキすることを決めた。公演本番が近いので、今ストライキをすると公演もできなくなる。しかも、この公演は大和が初めて演出を手がけるものである。自らの演出作品を諦めてでも労働争議を続ける必要があると決断した。この労働争議は今いる劇団員だけのものではなく、将来の劇団員など多くの者に関わる問題である。だから絶対に引き下がるわけにはいかないと言うのだ。

しかし、橘アオイ(翼和希)はストライキに反対した。大和の言い分は劇団員のことばかりの身勝手なもので、公演を楽しみにしている観客のことが一切考慮されていないと反発した。

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NHK『ブギウギ』第13回

昨夜はNHK夜ドラ『ミワさんなりすます』の2回目の放送で、主人公(松本穂香)が敏腕家政婦の別人になりすまして大ファンの俳優(堤真一)の家で働き始め想像以上の仕事の厳しさに挫けそうになりつつ、俳優から声をかけられて有頂天になった直後、不可抗力で彼の作りかけのボトルシップを壊してしまうという内容を見たのだけれど、楽しみにしていたReiちゃんさん(バーの店長役)がやっぱり出てこなくてがっかりしたんだけれど、今日は彼女の新曲のリリースだから結局機嫌のいい当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第13回めの放送を見ましたよ。

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第3週『桃色争議や!』

大和礼子(蒼井優)は新たな演出としてラインダンスを取り入れることにした。一列に並んで一糸乱れずに足を上げてステップを踏むことでみんながまとまるし、やる方も見る方も楽しいからだ。しかし初めてのことで、なかなかうまくできなかった。劇団員たちはヘトヘトになっている。

桜庭辰美(片山友希)が1週間ぶりに稽古場にやって来た。梅丸少女歌劇団を辞めるつもりだという。今の不況で家業の畳屋が火の車なのだという。病弱な母も入院し、とにかく家の手伝いで金がいるというのだ。
あくまで家庭の事情だと言い張り、ライバルの秋山美月(伊原六花)に追い抜かれたことは関係ないと否定した。
しかし、秋山とのライバル関係が理由であろうことは誰の目にも明らかだった。

大和礼子は、桜庭がやる気を失っている根本は秋山とのライバル関係ではなく、自分自身から逃げている点にあると指摘した。誰しも逃げ出したい時はあるが、続けるべきだと忠告しようとした。
そこへ鈴子(趣里)が割って入り、大和礼子に食ってかかった。誰にだってどうしようもないことはあるのだから、逃げてもいいし、桜庭が劇団を辞めるのも仕方ないと主張した。鈴子自身も大和礼子や同期の娘役・リリー白川(清水くるみ)には敵わないと自覚して悩んでいると打ち明けた。自分の売りとなる点が見つけられず、どうしていいかわからないというのだ。

そのような悩みを抱えているにも関わらず、なぜ劇団を続けられるのかと桜庭が問うた。
鈴子は自分でもわからないが、なぜか辞められないと話した。下手ではあるが、歌って踊るのが大好きだからかもしれないと答えた。
桜庭も同様に、歌って踊るのが大好きだと同意した。しかし、後輩に抜かれるのがどうにも悔しくて辛いのだと本心を打ち明けた。
鈴子も、抜かれるのは辛いが、ふたりで一緒に抜かれようと話した。そして、いつか抜き返して見返してやろうと言った。
ふたりは泣きながら抱き合った。

大和が再び話しはじめた。
自分は新しい演出のことばかりを考えていて、劇団員の状況に目が向いていなかったかもしれないと謝った。
大和の本心としては、誰も辞めさせることなく、みんなで楽しくやりたいのだと話した。みんなが劇団員を続けて、劇団を楽しい場所にしたいのだと述べた。

橘アオイ(翼和希)は、大和礼子がラインダンスを新たに採用した理由に合点がいった。全員が一丸となって楽しむことが主眼なのだと理解した。
みんなにそう話し、全員でひとつずつ壁を乗り越えていこう、永遠に修行あるのみだと呼びかけた。

こうして、劇団員たちの結束がより高まった。ラインダンスも以前よりはうまくできるようになった。

陰から様子を窺っていた林部長(橋本じゅん)は丸く収まったことに安堵し、以前よりも良くなったことを喜んで大熊社長(升毅)に報告した。
しかし、大熊社長は厳しい表情を崩さず、賃金と人員の削減が必要だと告げた。

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NHK『ブギウギ』第12回

昨夜はNHK夜ドラ『ミワさんなりすます』の1回目の放送で、主人公(松本穂香)がひょんなことから大ファンの俳優(堤真一)の屋敷のニセ家政婦になるというところまで話が進んだのだけれど、楽しみにしていたReiちゃんさん(バーの店長役)が出てこなくてがっかりした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第12回めの放送を見ましたよ。

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第3週『桃色争議や!』

大和礼子(蒼井優)が演出を担当することになり、配役も大幅に変更される予定だ。そのため、劇団内では熾烈な役の争奪戦が始まっていた。

特に、男役として桜庭辰美(片山友希)と秋山美月(伊原六花)は大きな争点だった。
秋山は花咲少女歌劇団に所属していた実力派で、自他共にその才能が認められていた。一方、桜庭はそれより明らかに見劣りがした。
鈴子(趣里)は同期として桜庭を自主練習や息抜きに誘ったが、桜庭はふさぎ込みがちになり、それらを全て断った。そして、入団して6年で初めて稽古を休んだ。

鈴子自身も心穏やかではなかった。憧れの大和礼子に比べて、自分には個性や才能が備わっていないと思われたからだ。

鈴子は新人研究生の教育係も担当しているが、その鈴子に相談もなく、秋山が研究生たちを怒鳴りつけているのを見つけた。秋山は、才能がないなら辞めてしまえと説教していた。
鈴子は慌てて彼女らを引き離し、研究生たち3人に甘いものを食べさせて慰めた。劇団を辞めると意気消沈している彼女らに対して、苦しい稽古の後に同期と一緒に食べるおやつは美味しい、自分も才能がないのに頑張って来たのだから同じように頑張れなどと励ました。

同様に、鈴子は秋山を食事に誘って話をした。みながみな、秋山と同じような才能を持つわけではないのだから、新人を追い詰めすぎないよう注意した。
秋山の言い分は、彼女の言う才能とは踊りではなく、頑張る才能のことだということだった。頑張る気がないのなら辞めるべきだという点は譲らなかった。
秋山によれば、踊りの志を同じくした友達がいたと言う。ふたり一緒に花咲音楽学校に合格したが、その友達は入学直前に事故に遭って踊れなくなってしまった。その友達のことを思うと、相手が誰であろうと努力しない者のことは許せないのだと言う。それで拗れて花咲少女歌劇団を辞めてしまった。今は梅丸に拾ってもらった恩を感じており、劇団をもっと大きくして花咲を抜くことを目指している。だから、周囲に厳しく接することをやめるつもりはないと説明した。それで嫌われても構わないと言う。

家に帰ると、父・梅吉(柳葉敏郎)が映画の脚本を書くといって机に向かっていた。彼は季節の変わり目になると脚本家になりたがり、しばらくするとやめてしまうということを昔からずっと繰り返している。鈴子ですら、そんな父に呆れていた。
ちょうど、親友のタイ子(藤間爽子)も遊びに来ていた。彼女は女学校卒業後、母親の反対を押し切って芸者見習いになった。タイ子は、芸者見習いは辛いことよりも楽しいことの方が多いと話した。梅吉の脚本執筆についても褒めた。たとえ才能がなくても継続することが素晴らしいと言うのだ。

鈴子は、周囲の人々が異口同音に努力して続けることが大切だと言っていることに気づいた。誰しも自信がないままにもがいている。鈴子自身ももがき続けるしかないと思うのだった。

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NHK『ブギウギ』第11回

昨夜はTBS日曜劇場『下剋上球児』の初回放送で、野球が大好きな家庭科教諭・山住香南子(黒木華)が野球部員1人だけの高校に赴任して来て、クセのある生徒たちをかき集めてギリギリ試合ができるだけの人数を集めたり、どうやら野球経験者なのだがその過去をひた隠しにしているワケありな社会科教諭・南雲脩司(鈴木亮平)の協力をなんとか取り付けるというお話を見た当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第11回めの放送を見ましたよ。

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第3週『桃色争議や!』

1933年(昭和8年)、鈴子(趣里)が梅丸少女歌劇団は関西で人気の劇団となっていた。もう映画の幕間の余興ではなく、全て単独公演となっていた。公演回数も増え、劇団員たちは公演と稽古で大忙しだった。

鈴子は新人教育係を任されていた。自分が橘アオイ(翼和希)から言われたことを、異口同音に新人たちに伝えていた。口調までそっくりで、橘アオイは陰で苦笑していた。
しかし、鈴子は未だに脇役ばかりであった。自分には大役を任されるような特徴がないのではないかと悩み始めていた。母・ツヤ(水川あさみ)からは持ち前の笑顔を売りにすればよいと励まされたが、鈴子にはどうもピンとこなかった。

同期のリリー白川(清水くるみ)は同じ娘役であったが、鈴子より人気があった。リリー白川は持ち前の美貌と目の表情を武器に男性客を魅了した。また彼女は、稽古が終わるとそそくさと男とデート(デート?デートなのか!?)に出かけるのが常だった。

関西一の歌劇団・花咲歌劇団から秋山美月(伊原六花)が移籍して来た。彼女の実力は自他共に認められていた。男役として何人かの先輩も追い抜き、男役トップの橘アオイですら油断できないほどであった。そしてまた秋山美月は自信家でもあった。劇団内では相手が誰であれ歯に衣着せぬ物言いであった。

鈴子の同期で男役の桜庭和希(片山友希)は焦り始めた。入団順では秋山が先輩に当たるものの、実力は秋山の方が上回っていた。しかも、秋山はみんなの前で桜庭のミスを指摘する。プライドの高い桜庭は少しずつ元気をなくしていった。

当時、日本の景気は悪かった。2年前の世界恐慌の余波が長引いていた。あちこちで労働争議が巻き起こっていた。
鈴子の家の銭湯も景気が悪く、鈴子は月給の半分を家に入れていた。母・ツヤは恐縮しつつも、遠慮なくそれを受け取った。

不景気は梅丸少女歌劇団にも影響を与えた。
代表的演目である『四季の宴』は相変わらず好評であったが、マンネリ化も心配された。そこで新たな試みとして、娘役トップの大和礼子(蒼井優)が演出を手がけることになった。彼女の以前からの希望であり、大和は今までのものを踏襲しつつ新しいものを取り入れたいと抱負を述べた。

新しい演出では役の配置換えが行われる可能性が高い。鈴子は次こそは大きな役を獲得しようと張り切って稽古に参加した。
そんな中、男役を争う同期・桜庭と元花咲・秋山の間でも軋轢が表面化した。稽古中に秋山が桜庭のミスをみなの前で指摘したのだ。まだ稽古は始まったばかりで、振り付けを覚えきれていないのは仕方ないと周りは庇った。
しかし、演出担当の大和は秋山の意見に同意してしまった。桜庭は消沈してしまった。

その日、鈴子は居残り練習をしようと稽古室に向かった。すると、大和と橘が話し合っているのを聞いてしまった。
橘は大和の指導が厳しすぎるとたしなめていた。今のやり方ではついてこられない者もいると懸念を表明した。
しかし大和は応じなかった。大和は劇団をもう一段上にレベルアップさせたいのだと主張した。それを実現するため、今回は自分の方針を貫くと答えた。

鈴子が聞いていることに気づいた大和は、鈴子に声をかけた。
鈴子が自分の個性や特徴を見つけられずに焦っている様子には気づいている。しかし、焦らずに続けていれば自ずと見つかるものだと助言した。ただし、続けることが一番難しいことでもあると付け足した。

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『キリエのうた』を2回見た

本ブログの読者のみなさんならご存知の通り、僕は黒木華さんが大好きなわけで。彼女の出演するドラマや映画ならば、どんな端役であれ、事前に駄作であることが容易に予想できる場合であれ、必ず見ることにしているわけで。
10月13日に公開となった『キリエのうた』に出演すると知ったからには、当然見に行ったわけで。

本作の監督の岩井俊二は確かに僕と女優の趣味がぴったりあって、黒木華のほか蒼井優とか伊藤歩とか中山美穂などなど、僕の好きな女優を起用してくれて、良い監督だと思ってるわけで。中山美穂主演の『Love Letter』なんかでは、僕の母校の高校の駐輪場に鈴木蘭々を連れて来てロケやってくれたし。僕は映画自体は見たけれど、撮影現場は見てないんだけれど。

そんだけ評価している岩井俊二なんだけれど、基本的に尺が長いんですよね。それがちょっと玉に傷。
今回の『キリエのうた』も3時間あるし。見る前は、「黒木華さん出るし、しゃあねぇな。どうせ彼女は主役じゃなし、出番が終わったら居眠りする覚悟で見るか」と消極的だったんだけれど。
ところが、ところが。いざ見てみると、3時間ずっと目が釘づけで、しかも2日連続で2回見ちゃいましたよ。

公開後3日間限定の来場者特典も2つあります。シーン紹介とメインキャストの紹介ミニパンフレット。


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