佐山尚一『熱帯』 と 森見登美彦『熱帯』

 エイプリル・フールでもないのに、amazon.co.jp が森見登美彦と組んで壮大なネタを仕掛けている模様。

 amazon の文学・評論のページから、右にある「MATOGROSSO(マトグロッソ)」のバナーリンクをたどって欲しい。
 直接リンクを張れないようになっているのが残念であり、腹立たしい。マトグロッソ配下のページにダイレクトにアクセスすると、必ず「文芸・評論」のページに戻されるようになっているのだ。しかも、RSS feed を提供しているのに、RSSリーダーからのアクセスも遮断するというトンチキぶりに激しく目眩がした。

MATOGROSSO

 かなり気に入らないところもあるが、「Amazon.co.jp だけで読める Web文芸誌 マトグロッソ」という自信満々のコピーに偽りはない。売れっ子小説家の伊坂幸太郎や、漫画界の大御所である萩尾望都のSF小説なども読める。どんな作家と作品が掲載しているか、アクセスは面倒だが、一度ご覧になってみることをお薦めする。


続きを読む

NHK『ゲゲゲの女房』第82回

 茂と布美枝がドラマの中で見た映画(第57回)だという『ナバロンの要塞』のDVDを借りたのだけれど、160分もあると知って、週末にかなり気合を入れないと見れないなぁと思っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第82回めの放送を見ましたよ。

* * *

「旅立ちの青い空」

 布美枝(松下奈緒)が発案したメダル作戦でこみち書房は賑わいを取り戻した。商店街でも評判になっており、同店の夫・政志(光石研)は羨ましがられる。しかし、政志は他人事のようで、しらけた素振りを見せていた。

 子供たちが集うこみち書房に、貸本廃止を主張する市民団体がやって来た。PTAで議論した結果、小学生の貸本屋への出入禁止が決定されたという。穏便に事を収めようと下手に出る美智子(松坂慶子)であったが、すでに待ったなしの状態になっている団体側は、反発する子供たちにも一切耳を貸さず、強引に追い立て始めた。

 ちょうどそこへ政志が帰ってきた。激昂した政志は、団体の男性ら数人と暴力沙汰を起こした。もみ合いの中で子どもが1人押し倒された。警官も駆けつける騒ぎとなった。幸いにして、子供の怪我は軽く、警官も事件にせずに寛大な対処をしてくれた。しかし、こみち書房の評判は地に落ちてしまった。

 書店のおばあさん(佐々木すみ江)は政志に説教を始める。せっかく美智子が平和的に解決しようとしていた矢先、政志が全てをぶち壊したのだ。申し開きのできない政志は、ふて腐れて家を出て行った。店の前に落ちていたメダルを拾い上げ、何かを思いながら歩き出すのだった。

 おばあさんは、美智子にも強い口調で怒りをぶつける。美智子が政志に遠慮して何も言わないのもよくないのだと。図星をつかれ、彼女にしては珍しく、落ち込んで黙りこんでしまった。美智子は、政志の出征中に一人息子を病気で死なせてしまった負い目があるのだ。そのせいで、自分で自分を責め、政志に対して心の壁を作り出しているのだ。
 おばあさんは、そんなふたりを情けなく思い、つい大声を出してしまったのだ。話を聞いた布美枝も、彼ら夫婦の問題をどうにか解決できないものかと思うのだった。

 その騒ぎから1ヶ月。こみち書房を訪れる客はほとんどいなくなった。子供たちは貸本を利用せず、書店に雑誌を買いに行くありさまだ。

 茂(向井理)は漫画雑誌「ゼタ」の読者層を考慮し、かなり大人向けの漫画を描いている。布美枝もとても面白いと、夢中になって読んでいる。
 新しい原稿が完成し、布美枝は原稿の配達を頼まれた。出かけようとすると、家の前が騒がしい。最近、近所を野犬がうろついているらしいのだ。

* * *

続きを読む

NHK『ゲゲゲの女房』第81回

 女の子から「木公さんが好き♪」と言われ、年初に受け取った年賀状を含めると、今年に入って告白されたのは2回目であり、有頂天になっている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第81回めの放送を見ましたよ。

* * *

「旅立ちの青い空」

 ゼタ創刊を知って、浦木(杉浦太陽)がやって来た。広告仲介の儲け口があるのに、どうして自分に黙っていたのか、と。しかし茂(向井理)は、美人秘書(桜田聖子)が浦木以上のやり手であると言って、冷たくあしらうのだった。

 他にも浦木はいくつかの噂を持ってきた。はるこ(南明奈)が焦り始めていることと、貸本屋の夫・政志(光石研)を喫茶店で見かけたという話である。政志は、連れの男と電気工事の会社を始めるなどと話していたという。それを聞いた布美枝(松下奈緒)は、いよいよ貸本屋を閉めて、商売替えするのではないかと心配になった。

 東京で暮らし始めた時から、布美枝はこみち書房には何度も助けられた。そのため、個人として何か恩返しをしたいと思うし、みんなの集会場とも言える同店を存続させたいとも思う。そこで、商売繁盛のためのアイディアを持って、こみち書房を訪れた。
 もうすぐ行われる東京オリンピックにあやかって、子供たちに紙で作ったメダルをプレゼントするというキャンペーンである。借りた数に応じて、金・銀・銅のメダルが貰えるのだ。そのアイディアには美智子(松坂慶子)らも乗り気になった。

 その時、地主(九十九一)が地代を2倍にしたいと言いに来た。物価上や固定資産税の上昇で仕方のないことだと言われ、美智子も受け入れざるを得なかった。いよいよ貸本屋の経営が難しくなった。
 電気工事店に商売替えするつもりだという噂が真実味を増し、布美枝はうっかりと口に出して聞いてしまった。しかしそれは誤解だという。戦争のせいで無気力になってしまっているが、政志は元々腕のいい電気工であった。千葉の会社で働かないかと誘いを受けているだけだという。

 美智子は店を閉めるつもりはない。経営が苦しくても、貸本代金の値上げもしない。布美枝の作ってくれたメダルで起死回生するのだと、明るく言うのだった。
 その試みは大成功だった。本を借りに来る子供たちが一挙に増えて、昔のように店が賑わった。子供たちに釣られて、大人の客も戻り始めた。

* * *

続きを読む

ワサガオ

 ワサワサしているアサガオだから「ワサガオ」。

ワサガオ

 ここに写っているのは、7株のアサガオ。葉が密集してワサワサしてしまった。葉からの採光も、根からの吸水も、都合が悪いだろう。しかし、複雑にからみ合ってしまって、いまさらどの株を間引いていいものやらもうわけがわからない。
 だからこのまま、野性味あふれるワサガオとして育成することを決意。

続きを読む

NHK『ゲゲゲの女房』第80回

 天気予報において、高気圧が青、低気圧が赤で表示されるのは、低気圧は強い雨や風で災害が発生するおそれがあり、注意喚起のため気象庁が必ずそうするよう定めていると知った(NHK「おはよう関西」で言っていた)当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第80回めの放送を見ましたよ。

* * *

「旅立ちの青い空」

 「好きなことに裏切られることだってある」貸本屋の夫・政志(光石研)は、胸の内に何か暗いものを抱えているように思われた。
 場の雰囲気が暗くなったので、布美枝(松下奈緒)は慌てて太一(鈴木裕樹)の近況に話題を変えた。太一は、新しい仲間を得て、詩や短歌の同人誌を作ろうとしている。急に競馬に興味を持ちだしたのは寺山修司に憧れてのことだという。ただし、太一以外に寺山の名を知る者はその場にいなかった。

 それからしばらく経って、ついに深沢(村上弘明)の漫画雑誌「ゼタ」が創刊された。3日で描き上げたという茂(向井理)の短編漫画には、ケチな金の話をする登場人物(ねずみ男)がいた。布美枝はそれを見て浦木(杉浦太陽)にそっくりだと思うのだった。

 ゼタを見た戌井(梶原善)がお祝いに駆けつけてくれた。戌井も深沢と面識があり、深沢はここぞという時に大勝負に出る山師のような男だと好意的に評する。
 そこへ、深沢本人が創刊の挨拶にやって来た。戌井に再会した深沢は、彼にも寄稿してくれるよう声をかけた。深沢は戌井のスリラー漫画を評価していたのだ。しかし、戌井は自分の才能の限界が見えてしまったといい、漫画はもう描かないと言って断ってしまった。その代わり、出版者として、斬新な漫画を世に送り出すことに人生を捧げると、強く決意を表明するのだった。

 その頃、はるこ(南明奈)が思いつめた表情でこみち書房に入っていった。素性を伏せたまま、自分の漫画の人気を聞いてみた。貸本屋のおばあさん(佐々木すみ江)は、全く人気がないと率直に言うのだった。人気のある本は何度も貸し出されてボロボロになると聞いて、はるこは何冊かある自分の本を点検するが、どれも新品同様であった。

 その後、商店街の喫茶店で浦木と落ちあって、いつものように彼から小説のカットの仕事を請け負った。しかしはるこは、カットの仕事はこれを最後に辞めたいと告げる。自分はゼタに掲載されるような一流の漫画家になりたい、今は漫画に集中したいと理由を説明した。さらに、浦木に聞かせるでもなく「もう時間がない」と意味深な言葉をつぶやくのだった。

 その喫茶店に、政志が他の男と一緒に入ってきた。彼は浦木の存在に気づいていない様だ。聞き耳を立てると、政志はあまり乗り気ではないものの、何かを計画している様子だった。

 村井家では、男たちが戦艦模型を並べて鑑賞会を開いていた。布美枝と深沢の秘書・郁子は食事の後片付けをしながら話をしている。郁子は、大企業の重役秘書を辞めた理由を「自分の名前」がなかったからだと説明した。女は「重役秘書」、「○○の妻」、「××のお母さん」などと役割で呼ばれるのみで、名前で呼ばれることがない。いくら待遇がよくても、それが不満で前の会社を辞めたという。深沢のもとでは、自分の名刺を持って仕事ができるのを心地良く感じている。
 布美枝は、自分も名前で呼ばれていないことに、はたと気づくのであった。

* * *

続きを読む

NHK『ゲゲゲの女房』第79回

 高温多湿な気象でヘトヘトになりかけている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第79回めの放送を見ましたよ。

* * *

「旅立ちの青い空」

 弟・貴司(星野源)の婿入りが正式に決まった。布美枝(松下奈緒)は祝いにパッチワークのクッションカバーを手作して贈ろうとするが材料の端布が足りない。商店街に買いに出かけた。
 市井の人々の生活レベルは高まっている。秋に行われるオリンピックを控え、テレビの普及率が8割を超えたという。ジャズ喫茶などもできて若者を惹きつけている。一方で、物価も上昇し始めている。

 美智子(松坂慶子)は貸本料金を5円増して15円にしたいと思っているが、客離れを心配して踏み切れない。ただでさえ、生活の変化に伴って、貸本利用者が急激に減っているのだ。さらに、反貸本漫画の抗議行動も相変わらずだという。
 貸本屋の夫・政志(光石研)は相変わらず道楽者で、今日も競馬に出かける予定だ。居合わせた太一(鈴木裕樹)も競馬に興味を持ち始めたという。そこで、太一は政志について競馬場へ出かけることにした。

 深沢(村上弘明)の新しい出版社は順調だった。特に、美人秘書(桜田聖子)の活躍がめざましく、広告主の獲得や業者への値下げ交渉など、深沢以上の働きを見せている。
 秋に創刊予定だった漫画雑誌「ゼタ」の発行も前倒しすることになった。深沢は結核で肺を一つ摘出した。それによって人生観の変化した深沢は、できることは何でも素早く成し遂げたいと思っているのだ。最初はいぶかしく思っていた茂(向井理)であったが、彼の話を聞いて協力する気になった。創刊号に間に合うように大急ぎで原稿を作ることを依頼されたが、茂は快諾した。

 帰宅し、早速原稿に取り掛かろうとする茂であったが、運悪く浦木(杉浦太陽)が訪ねてきた。競馬でスってしまったので、飯を食わせて欲しいと図々しく上がりこんだ。彼は、競馬場で知り合ったと言って、政志と太一も連れてきた。競馬場で茂の噂話をしているふたりに出くわし、意気投合したというのだ。そして、全員そろってオケラになってしまった。

 食事の場では、政志が茂の片腕に言及した。そのような身体では細々と漫画を描く以外に満足な職に付けないのだろうと、独りよがりな同情を示す。しかし、茂は、仕方無しに漫画家をやっているのではなく、自発的にやりがいを感じて漫画を描いているのだと胸をはる。

 茂の誇る態度に、政志はへそを曲げた。「好きなものに裏切られることもある」という政志の言葉に、布美枝は言い知れぬ不安を感じるのであった。

* * *

続きを読む

「ソマリア教育基金」へ12,500円: 余裕ある社会を求めて

 先にお伝えしたとおり、本日開催された第25回サロマ湖100kmウルトラマラソンにおいて、sterai氏が 12:24:39 のタイム(速報値)で100km を完走した。
 まずは彼の栄光を讃えたい。

 さて、今回の彼の100kmマラソン初チャレンジに対して、僕はsterai さんの走破距離に応じて、100円/km の募金を行うと約束した。そして、彼が見事100kmを走ったので、僕は1万円を募金する義務を果たさねばならない。
 募金と言っても、彼自身に賞金を支払うわけではない。彼の走行距離に応じて、僕が金を支出し、発展途上国の支援をするのだ。彼自身は金を受け取る権利を有しない。しかし、せめて支援先の選定には彼の意向も反映させることにした。

 ふたりで相談した結果、日本ユニセフ協会の『ソマリア教育募金』支援プログラムを募金対象と決めた。
 教育関連の基金を対象にしたいというのは、sterai 氏の当初からの希望であった。最終的に『ソマリア教育募金』支援プログラムを選んだのは、出資者である僕の権利と責任による。

 善は急げ。募金処理を完了した。

募金受付メール

続きを読む

祝: sterai氏 100km 完走

たった今、sterai氏本人から、わざわざ電話で完走の報告をいただきました。
こちらが拍子抜けするくらい、元気な声でびっくりしました。

本人曰く、この後、さらに1.4km移動して北見行きのバスに乗らないとならないそうです。それに乗り遅れると、宿泊がヤバイそうです。
そのため、まだ緊張が続いているようでした。

とても明るいニュースです。
おめでとうございます。

sterai氏の記録

「キング・オブ・ポップの素顔」はビチグソ。黙殺が正しい。

 映画「マイケル・ジャクソン: キング・オブ・ポップの素顔」を見てきた。
 予想を遥かに上回るダメっぷりだった。

 子どもが生まれたばかりの夫婦の家に遊びにいくと、延々と子供を撮影したホームビデオを見せられることがある。最初の10分くらいは純粋に可愛らしいと思って、夢中で見る。15分あたりで飽きてくる。25分を経過すると「きっとキリのいい30分で終わるに違いない」と思う。しかし、無情にも30分以上続いてガッカリする。
 みんな、口に出しては言わないが、そういう経験をしたことが1度や2度はあるだろう。

 「キング・オブ・ポップの素顔」は、よその家の子供のビデオを強制的に見せられる退屈さ、くだらなさ、編集のダメっぷりのいずれにおいても上回っており、驚くべきほどの見どころの無さであった。5分でツラい。
 映画館の暗闇のなかで目を凝らして時計を見たとき、本編開始からまだ10分しか経っていなかった。めまいがして、ため息が出た。

続きを読む

sterai氏 電話インタビュー

 明日、北海道で第25回サロマ湖100kmウルトラマラソンが開催される。これに、当方の知人の sterai 氏が出場する。現地にいる sterai 氏に電話インタビューを行ない、現在の様子を伝えてもらった。通話は、19:10から5分間ほど。

 彼は10:30に札幌を出発し、スタート地点のある湧別町に自動車を運転して向かったそうだ。
 現在は、スタート地点そばにある湧別町文化センターの駐車場に車を停め、そこにいるそうだ。今夜は車中泊し、明朝5時のスタートに備える。

 湧別町にめぼしい宿はないそうだ。近隣の遠軽町(約20km)や紋別町(約30km)に行けば宿泊設備はありそうだが、早朝にスタート地点まで移動するのが難しいので断念したとのこと。スタート地点そばに泊まる人は少数ではなく、なかには用意周到にテントを設営している人もいるとのこと。

 昨日、彼は微熱があると騒いでいた。しかし、あれは全くの勘違いで現在の体調は良いとのこと。

 しかし、今日の北海道は記録的な猛暑であり、明日も引き続き気温が高いという。そのため、例年より完走できる人が少ないのではないかと彼は話していた。自分が完走する可能性もちょっと低くなったと、冗談めかしてはいたが、少し弱気なことを言っていた。

好天に恵まれた道内は26日、十勝地方やオホーツク海側で気温が37度に達し、各地でも35度を超えるなど、全国に先駆け今年最初の猛暑日を観測した。(北海道新聞

 以前に宣言したとおり、僕は sterai さんの走破距離に応じて、100円/km の募金を行うつもりである。世界の恵まれない子供たちのために、暑いとか軟弱なことを言っていないで、彼には是非とも完走してもらいたい。