NHK『ゲゲゲの女房』第89回

 昨夜、ものすごく久しぶりに恒例のアレを送ってもらったのに、悪夢の中で四苦八九した・・・などとオヤジ・ギャグを放つ当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第89回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 布美枝(松下奈緒)とはるこ(南明奈)は、深大寺の茶屋で休憩していた。話題は茂(向井理)のことばかりであった。茂の食いしん坊は父(風間杜夫)譲りであること(父は同じ店で団子、まんじゅうを大食いした)、そばにある墓地は茂のお気に入りの場所であることなどを布美枝が話して聞かせていた。
 はるこは、先日、布美枝に対して漫画家の気持ちなど分からないと暴言を吐いたことを改めて謝った。そして、茂の作品に対する布美枝の見えない貢献を高く評価した。茂自身も自覚していないだろうが、妻として支えているから茂は漫画だけに打ち込むことができ、立派な作品が作れるのであると。野に咲くナズナのうに、目立たないがいつもそばにいて、可憐でありながらたくましいところが布美枝のいいところだと、はるこは言うのだった。

 そして、はるこは勢いのあまり、茂のことが好きだと口走ってしまった。失敗したと思ったはるこは、作家として尊敬している、夫婦として自分の憧れという意味であると、慌ててごまかす。しかし、布美枝は彼女が男女の恋愛感情として茂に惚れていると見抜いた。けれども、彼女の気持ちを慮って、気づかぬふりを突き通すのだった。

 はるこは、これまでの生活とはきっぱり決別して山梨へ帰っていった。上京のきっかけとなった深沢(村上弘明)にはハガキではっきりと断筆を知らせた。彼女の才能を評価していた深沢は残念がるが、漫画家の新陳代謝も仕方のないことだと冷静に受け止める。
 そして、はるこが去った下宿には、茂たちと一緒に写った写真だけが残されていた。

 浦木(杉浦太陽)が茂の家にやって来た。はるこが帰郷することを引き止めたり、自分に知らせたりしなかったのはどういうことかと、泣き崩れながらなじるのであった。

 そんな騒ぎの中、人気漫画雑誌の編集者・豊川(眞島秀和)が訪ねて来た。『別冊・少年ランド』への原稿依頼である。貸本漫画の依頼とは違うスマートで羽振りの良い依頼の仕方、そして何よりも、大手出版社からの依頼ということで、布美枝や浦木は茂以上に緊張してしまう。せっかくのチャンスを無駄にしてほしくないと、布美枝は身を縮こませるのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第88回

 ドラマの中で茂が自分の趣味を押し付けて布美枝を連れて行った映画『ナバロンの要塞』を僕も見たのだが、予想をはるかに上回る面白さで、いやいや見始めた布美枝が茂以上に熱中した気持ちもよくわかった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第88回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 茂(向井理)の両親(風間杜夫、竹下景子)が急に泊まっていくと言い出した。迷惑に思うが、強引に押し切られてしまった。女は女同士、男は男同士、一緒に寝ることになった。

 義母は布美枝(松下奈緒)に、茂は朴念仁で昔から女にモテなかった。だから、はるこ(南明奈)と抱き合っていたのも、色恋沙汰であるはずがないと断言した。また、病気を克服し、40歳を過ぎてから大ヒットした三浦綾子を引き合いに出し、茂にもチャンスはあるかもしれないと言って聞かせる。一方、このまま芽が出なくても、茂のことを見捨てないでくれと頭を下げるのだった。

 父は茂に、小説出版が破談になったことを愚痴る。母は芸術を理解しないのに、余計な口出しばかりするのだと文句を言っている。母の言い分が正しいと思う茂は、仕事をしながら適当に聞き流していた。しかし茂は、昔から小説や劇、映画などを愛好した父の姿に共感する部分もあった。また、金だけを追いかける人生はつまらない、好きなことを追いかけていればあとはなんとかなる、という父の「なんとかなる主義」には特に強く共感するのだった。

 翌日、両親は境港に帰っていった。

 それから数日経ち、はるこが村井家に謝罪と近況報告に来た。
 最後の原稿を描き直し、自信満々で出版社に持っていったが、採用されなかった。ついに漫画家の道は断念し、翌日田舎に帰るのだという。

 はるこは、昔から漫画家になることしか頭になかったので、これからどうやって生きていけばいいか分からない、修行をした3年間も全くの無駄になったと話す。それに対して茂は、人生経験はどこでどのように役に立つか分からない、だからそんなに落ち込む必要もないと言い聞かせる。小さい頃、父は周りから馬鹿にされながらも、小説や劇の話を自分に教えてくれた。それが、今になって漫画を描くタネになっている。父から授かった「なんとかなる主義」で生きているのだと話してやった。

 それを聞いて、はるこは持ち前の明るさを取り戻すことができた。
 東京を離れる前に、一度深大寺に行ってみたいと言い、布美枝を強引に連れて出かけていくのだった。

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アニメ『四畳半神話大系』最終回のエンディングテロップ

スロー再生で読んで、書き起こしてみた。

おやすみ
ごきげんよう
ありがとう
いかかがでした
おしまい
またいつか
ごきげんよう
おつかれさま
おやすみ
またね
またいつか
ごくろうさま
さよなら
ありがとう
おしあわせに
おせわさま
かたじけない
さよなら / またね / ごきげんよう
おせわさま / ごくろうさま / いかがでした
ごきげんよう / さよなら / おしあわせに
おつかれさま / ありがとう / またね
おやすみ / おしまい / ごくろうさま
ありがとう / またいつか / おしまい

分かる人にだけ分かっていただければ。
最終回を見たはずなのに分からないと言う人は、エンディングテロップの黄色い文字を目を凝らして見ること。

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NHK『ゲゲゲの女房』第87回

 先日出かけた郵便局で、火の用心かなにかのポスターに南明奈が起用されているのを見て、「お、なかなかかわいいじゃん」と思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第87回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 今日は、布美枝(松下奈緒)が義理の父母(風間杜夫、竹下景子)を深大寺へ案内することになっていた。名物そばも食べさせようと思うのだが金が心配だ。出かけてみると、義理の父は無類の食いしん坊で、そばの後に数人前の団子まで食う始末。呆れる布美枝だが、天気の良い3月を満喫する一同だった。

 その頃、漫画雑誌『少年ランド』の編集部では、新機軸を打ち出そうと会議を続けていたが、どうも決め手がない。売れっ子発掘に定評のある豊川(眞島秀和)に意見が求められ、彼は茂(向井理)を推薦した。今までに何度か提案したのだが、その度に貸本漫画は胡散臭く、古臭い、内容も子供向けではないと却下されていたのだ。ところが今回、編集長(長谷川公彦)は、宇宙物のSF漫画を描くという条件で茂の採用を決めた。

 豊川が会議を終えて出てくると、少女漫画誌の編集者(山本圭祐)に呼び止められた。ちょうど、はるこ(南明奈)が原稿を持ってきていて、それを見て欲しいというのだ。豊川の評価は、絵が上手で無難な作品だが、個性がないというものだった。その言葉を好意的に引きとり、少女漫画の編集者は手直ししてもう一度持ってくるように励ました。
 俄然やる気の出てきたはるこであったが、編集者の目論見が別のところにあるのを立ち聞きしてしまい、絶望する。少女誌の編集者は、はるこの絵の上手さにだけ着目し、売れっ子作家のアシスタントに送り込もうと考えていたのだ。はるこにはデビューの見込みがないのである。

 家族が観光にでかけ、一人で仕事をしている茂。そこへ、落ち込んだはるこが訪ねて来た。普段は他人にほとんど関心のない茂であったが、はるこの様子があまりにおかしいのできちんと話を聞くことにした。
 はるこは、3年以内に漫画家として成功するという約束で、親の反対を押し切って状況した。今月がそのタイムリミットであり、がむしゃらに作品作りと持ち込みに取り組んだ。貸本漫画では軌道に乗りかけていたが、今では業界自体が尻すぼみでうまく行っているとは言えない。漫画雑誌に移籍しようとしているが、もうほとんど見込みがない。そこまで言うと、ついにはるこの感情は臨界に達した。

 茂が妻帯者だとわかっていながら、好きだったことを打ち明けた。ただしそれは、プラトニックな恋であり、そばにいれるだけで良かったのだと付け足した。しかし、突然そんな告白をしたことを自分でも驚き、慌てて家を出て行こうとする。その時、手が滑って、自分の原稿の上に茶をこぼしてしまった。
 原稿が汚れてしまったこと、そして、秘めていた思いを口にだしてしまったことで、はるこは感情を抑えつけることができなくなった。涙を流し、茂の胸にすがりつくのだった。

 そこへ、布美枝と両親が帰宅した。ふたりが寄り添っているのを目撃される。はるこを帰した後、茂は整然といきさつを説明する。はるこの境遇をよく知っている布美枝なので、誤解はすぐに解けた。
 しかし、茂の父が、彼女は茂に惚れているに違いないと、不用意に話を蒸し返す。父の意見には誰も耳を貸さないが、布美枝だけは心に引っかかるものがあった。以前に、はるこが茂と一緒に写っている写真を隠し持っていたことを思い出したのだ。

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MJ遺品展 7月24日より大阪で

 先日、僕が東京タワーで見てきたマイケル・ジャクソンの遺品展「Michael Jackson the Official Lifetime Collection」が 2010年7月24日より大阪の梅田スカイビルで開催されることが決まったそうです。

 映画『THIS IS IT』の特典映像で見れるステージ衣装とか、過去のPVで実際に使ったセットなどが見れるので、お勧め。

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トラヴィス・ペインとケント・モリが教える Beat it

トラヴィス・ペインは、マイケル・ジャクソンの振付師。This is it にも出てくる人。
ケント・モリは、マイケルとマドンナが取り合ったという逸話のある日本人ダンサー。

Beat it は、マイケル・ジャクソンの有名曲のひとつ。邦題は「今夜はビートイット」。オリジナルはこちら(Youtube)

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NHK『ゲゲゲの女房』第86回

 自分の年齢を鑑みれば、白髪が増えてきたことは仕方ないことと諦めるが、白髪だけがチリチリに縮れており、妙に浮かび上がって目立つのだけは勘弁して欲しいと思っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第86回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 茂(向井理)の両親(風間杜夫、竹下景子)は、小説の出版は諦めたが、1週間ほど東京に滞在することになった。兄(大倉孝二)の家に泊まることになり、帰っていった。

 村井家に一人残った浦木(杉浦太陽)は、はるこ(南明奈)と音信不通だと知らせた。半月前にパチンコ屋の住み込みを辞め、行方がわからないという。そう言われて、布美枝(松下奈緒)たちも最近は姿を見ていないことを思い出した。

 別の日。こみち書房がなくなり、仲良し連中は乾物屋(尾上紫)を新たな集会場にしていた。
 太一(鈴木裕樹)の同人誌がついに完成し、それをみんなで見ていた。話の流れから、その同人誌を布美枝の紹介で『ゼタ』出版社に持ち込むことになった。

 そのころ、はるこは『ゼタ』の深沢(村上弘明)のところへ漫画を持ち込んでいた。しかし、掲載を焦るあまり、はるこの個性が活きておらず、人気漫画の亜流でしかない原稿だった。そのことをはっきり伝え、深沢は応援しつつも、掲載を断った。つい頭に来たはるこは、大手の商業誌では読者に受けるように描かないと掲載されてもらえない、弱小雑誌の『ゼタ』の方針がおかしいのだと食ってかかってしまった。

 ちょうどそこへ、太一を伴った布美枝が事務所に現れた。はるこを見つけて驚いた布美枝は、下宿を引き払って行方をくらましたことをみんなの前で言ってしまった。当然、そのことが深沢の耳にも入った。慌てて、逃げるように事務所を出て行くはるこ。
 布美枝は途中まで追いかけ、親身になって話を聞いてやろうとする。しかし、はるこは、布美枝は漫画家の妻ではあるが、漫画家本人ではない。そんな人間に、漫画家の本当の苦しみなどわかるはずがないと捨て台詞を吐いて、足早に立ち去るのだった。

 布美枝が事務所に戻ると、深沢は太一の目の前で、作品を褒めて、励ましているところだった。すぐに、『ゼタ』で同人誌を紹介してくれることが決まった。深沢は太一に連絡先を書くよう命じるが、太一は一瞬躊躇した。近々、厚木に転勤になるのだが、そのことを言い出せずにいたのだ。しかし、思い切って告げた太一の姿や同人誌を見て、布美枝は彼がたくましく成長したことを心強く思うのだった。
 深沢は、太一が自分の好きなように詩を書いていることを評価している。はるこも、自由に自分らしい作品を描くようになればいいのにと、願っているのだった。

 夜、茂は一心不乱に仕事をしている。その姿を見た布美枝は、やはり自分は傍観者であり、漫画家本人の苦しみはわからないのかもしれないと思った。はるこの言葉を思い出した。

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NHK『ゲゲゲの女房』第85回

 出勤途中のマクドナルドで携帯電話のワンセグを起動した当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第85回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 村井家は、いまだに貧乏のままである。茂(向井理)も布美枝(松下奈緒)も、家に居座る貧乏神(片桐仁)の気配を感じている。

 昭和40年3月。
 茂の兄夫婦(大倉孝二愛華みれ)がまたしても風呂を借りに来た。兄は白黒テレビを買ったことを自慢する。テレビがどんなに面白いかを話し、茂の漫画もテレビで放送しろと勝手なことを言う始末だった。

 その時、突然茂の父母(風間杜夫、竹下景子)が家に現れた。上京のハガキよりも先に本人たちが到着してしまったのだ。父の書きかけの小説を出版するという話が持ち上がり、その打ち合わせのために急遽上京してきたという。父は、主婦からベストセラー作家になった三浦綾子を引き合いに出し、自分の小説も大ヒットすると思い込んでいる。しかし、母はどうも胡散臭い話だと疑っている。素人の小説がいきなり本になるのもおかしいし、出版費用の半分を負担しなければならないというのもおかしいと疑っているのだ。

 そこへ、浦木(杉浦太陽)までもがやって来た。玄関で茂に向かって、インチキ商売の話を大声で話し始めた、素人に出版話を持ちかけ、多額の費用を本人に負担させる。それをピンハネして儲けるのだという。その声は、居間の一同に筒抜けで、父が騙されていたことが明らかになった。母は怒り狂い、インチキ商売をしている浦木、彼と付き合っている茂、茂の交友関係に注意を払わない布美枝、まんまと騙されかかった父へと次々に怒鳴り立てるのだった。

 その頃、日本一の売上を誇る漫画雑誌『少年ランド』を発行する雄玄社では、編集者の豊川(眞島秀和)が茂の漫画を熱心に読んでいた。彼は茂の漫画に惚れ込み、雑誌で取り上げるようこれまで3回も提案した。しかし、絵柄が似つかわしくないといずれもボツにされてしまった。独特の雰囲気こそが持ち味だと信じる豊川は、もう一度掛け合ってみようと意欲を燃やしていた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第84回

 お盆に故郷でクラス会を行うからぜひ帰って来いと電話があったのだが、夏の北海道は飛行機代が高いばかりか、実家に滞在すると朝から晩まで親にかまわれてしまい、落ち着いて朝ドラを見ることも難しく、この連載に穴をあける懸念があり、実際に過去『だんだん』の連載を取りやめたのは同ドラマが面白くなかったことが理由だけれど、実家滞在中で集中してドラマを見れなかったことも少なからず影響していると思われ、その二の舞を避けるというだけ理由で帰省をやめようかなぁ、どうしようかなぁと悩んでいる当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第84回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 村井家のふたりに、政志(光石研)は自分の過去を話し始める。腕の良い電気工だった彼は、シベリアに抑留された時も人一倍働いた。ソ連人からの評価も高く重宝がられたのだが、反対に日本人の仲間からは妬まれ、いじめの対象となった。そのせいで、人間不信、無気力になってしまったのだ。
 戦争の悲惨さに共感する茂(向井理)ではあるが、自分で自分を不憫に思うことは筋違いであると断言する。戦争で死んでしまった人間に比べれば、どんなに苦しくても、好きなことをやって生きているのが幸せなことである、と。その言葉に、政志は何かを思うのであった。

 その時、商店街の靖代(東てる美)がやって来て、美智子(松坂慶子)が行方不明だと伝えた。政志は、心配はするものの、照れ隠しと強がりで、探しに行こうともしない。布美枝は、美智子が店も夫婦もおしまいだと言って泣いていたことを政志に知らせた。
 それを聞いた政志は、居ても立ってもいられなくなり、美智子を探しに行くことにした。息子の墓がある深大寺にいると予測し駆けつけてみると、やはりそこで美智子は見つかった。

 家に帰ると、政志はついに自分の決意を打ち明けた。千葉の会社に就職し、電気工として出直したい。調布の貸本屋を閉めて、一家で千葉に引っ越そうと言うのだ。
 今まで家のことはなんにもしてこなかったのに、勝手なことを言わないで欲しいと反論する美智子。しかし、不満を述べる顔も、どことなく嬉しそうだ。ついに政志の言い分に同意し、転居することが決まった。
 夫婦の溝も埋まり、ふたりは明るい夫婦に戻った。

 昭和39年10月10日。今日は東京オリンピックの開会式である。人々はテレビやラジオに釘付けである。村井家のラジオは調子が悪く、なかなか放送を聞くことができない。
 そこへ、貸本屋の常連・太一(鈴木裕樹)が慌てて飛び込んできた。こみち書房が突然閉店し、トラックで引越し作業をしていると伝えに来た。

 美智子は、人々に見送られるのが辛いので、秘密裏に町を去ろうとしていたのだ。そのため、引越しの日程を誰にも話さずにいた。オリンピックの開会式の日ならば、人々の目をそらすことができるだろうと、かねてから計画を立てていたのだ。しかし、それは失敗してしまった。

 真っ青な秋晴れの下、美智子らの一家は、意気揚々と新しい生活へ向けて旅立って行った。

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NHK『ゲゲゲの女房』第83回

 ブロンソンズ(みうらじゅん田口トモロヲ)の「大脱走’95」を聴いて衝撃を受け、映画『大脱走』を一度見てみたくてDVDを借りたのだけれど、170分もあると知り、『ナバロンの要塞』より10分も長く、週末にかなり強烈に気合を入れないと見れないなぁと思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第83回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 布美枝(松下奈緒)は、漫画雑誌『ゼタ』の編集長・深沢(村上弘明)に原稿を届けに来た。雑誌はまだ赤字であるが、売上も伸びつつあるし、茂(向井理)の人気も上々だという。読者からの反響の手紙も多い。
 新人漫画家の持ち込みもひっきりなしだ。漫画以外にも、詩や散文も郵送で投稿されてくるという。その中には、布美枝の知人である太一青年(鈴木裕樹)からのものもあった。即掲載というわけではないが、深沢はなかなか悪くない詩であったと評する。

 茂の漫画が人気なのは、社会の矛盾や滑稽な点を風刺する作風にあるのだ。布美枝も深沢も、その点を認めている。
 話は膨らんで、深沢は自分自身のことを語り始めた。終戦直前、満州で働いていて、一歩間違えばシベリアに抑留されるところだった。シベリアでは多くの仲間が死んだという。また、自身が身体を壊して長期入院した体験から、やりたいことはすぐに始めないと、次の機会が与えられるかどうか分からないという人生観を得た。だから、無謀だと認めながらも『ゼタ』の発行に全身全霊をかけるのだという。そしてまた、社会風刺を通じて、世の中に一石を投じたいとも思っている。

 深沢の事務所からの帰り道、布美枝はこみち書房に立ち寄った。しかし、客は一人もいなかった。
 その代わり地主(九十九一)が来ていて、美智子(松坂慶子)に先日の暴力沙汰の苦言を呈していた。地代さえ払ってくれれば文句はないと言うものの、商売替えしてはどうかと、善意とも嫌味とも取れない一言を告げて帰っていった。

 布美枝は、親身になって美智子の話を聞いてやることにした。そこへ、夫の政志(光石研)が外出しようと姿を現した。美智子は店や家族の生活のことについて政志に相談したいのだが、彼は店を閉じてつつましく暮らせばいいと冷たく言い放つだけだった。心ない一言に、美智子はつい感情的になる。店は単なる生活の道具ではなく、人々との交流の場なのだ。一家が社会と繋がっている窓口でもあるのだ。それがなくなってしまうことは、心の大きな支えが失われてしまうことになるのだ。
 されに加えて、政志が自分に心を開いてくれないことも悲しくて、辛い。そう訴えるのだが、政志は無視して出かけてしまった。辛抱できなくなった美智子は布美枝の前で涙を流す。布美枝もまた、夫婦の危機を目撃し、もらい泣きするのだった。

 帰宅し、美智子夫婦のことを思いながら台所に立つ布美枝。ふと気づくと、そばに居たはずの藍子の姿が見えない。外からは、野犬の唸り声と藍子の泣き声が聞こえてくる。目を離した隙に、勝手に外に出ていったようだ。
 慌てて家を飛び出すと、政志が藍子を抱き抱えて救出してくれていた。藍子は無事だった。

 政志は、美智子との夫婦喧嘩で家に帰りにくい。町をブラブラしていたら、茂(向井理)のことを思い出して、もう一度話をしてみたくなったという。漫画が大好きであり、それを仕事にすることで、貧しくとも幸せを感じている茂。政志は何かを思いつめたように、その好きなこと(漫画)で仲間から裏切られることがあったとしたら、どんな思いがするだろうか、と茂に問いかけるのだった。

 その頃、こみち書房からは美智子の姿が消えていた。

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