トラヴィス・ペインは、マイケル・ジャクソンの振付師。This is it にも出てくる人。
ケント・モリは、マイケルとマドンナが取り合ったという逸話のある日本人ダンサー。
Beat it は、マイケル・ジャクソンの有名曲のひとつ。邦題は「今夜はビートイット」。オリジナルはこちら(Youtube)
トラヴィス・ペインは、マイケル・ジャクソンの振付師。This is it にも出てくる人。
ケント・モリは、マイケルとマドンナが取り合ったという逸話のある日本人ダンサー。
Beat it は、マイケル・ジャクソンの有名曲のひとつ。邦題は「今夜はビートイット」。オリジナルはこちら(Youtube)
自分の年齢を鑑みれば、白髪が増えてきたことは仕方ないことと諦めるが、白髪だけがチリチリに縮れており、妙に浮かび上がって目立つのだけは勘弁して欲しいと思っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第86回めの放送を見ましたよ。
茂(向井理)の両親(風間杜夫、竹下景子)は、小説の出版は諦めたが、1週間ほど東京に滞在することになった。兄(大倉孝二)の家に泊まることになり、帰っていった。
村井家に一人残った浦木(杉浦太陽)は、はるこ(南明奈)と音信不通だと知らせた。半月前にパチンコ屋の住み込みを辞め、行方がわからないという。そう言われて、布美枝(松下奈緒)たちも最近は姿を見ていないことを思い出した。
別の日。こみち書房がなくなり、仲良し連中は乾物屋(尾上紫)を新たな集会場にしていた。
太一(鈴木裕樹)の同人誌がついに完成し、それをみんなで見ていた。話の流れから、その同人誌を布美枝の紹介で『ゼタ』出版社に持ち込むことになった。
そのころ、はるこは『ゼタ』の深沢(村上弘明)のところへ漫画を持ち込んでいた。しかし、掲載を焦るあまり、はるこの個性が活きておらず、人気漫画の亜流でしかない原稿だった。そのことをはっきり伝え、深沢は応援しつつも、掲載を断った。つい頭に来たはるこは、大手の商業誌では読者に受けるように描かないと掲載されてもらえない、弱小雑誌の『ゼタ』の方針がおかしいのだと食ってかかってしまった。
ちょうどそこへ、太一を伴った布美枝が事務所に現れた。はるこを見つけて驚いた布美枝は、下宿を引き払って行方をくらましたことをみんなの前で言ってしまった。当然、そのことが深沢の耳にも入った。慌てて、逃げるように事務所を出て行くはるこ。
布美枝は途中まで追いかけ、親身になって話を聞いてやろうとする。しかし、はるこは、布美枝は漫画家の妻ではあるが、漫画家本人ではない。そんな人間に、漫画家の本当の苦しみなどわかるはずがないと捨て台詞を吐いて、足早に立ち去るのだった。
布美枝が事務所に戻ると、深沢は太一の目の前で、作品を褒めて、励ましているところだった。すぐに、『ゼタ』で同人誌を紹介してくれることが決まった。深沢は太一に連絡先を書くよう命じるが、太一は一瞬躊躇した。近々、厚木に転勤になるのだが、そのことを言い出せずにいたのだ。しかし、思い切って告げた太一の姿や同人誌を見て、布美枝は彼がたくましく成長したことを心強く思うのだった。
深沢は、太一が自分の好きなように詩を書いていることを評価している。はるこも、自由に自分らしい作品を描くようになればいいのにと、願っているのだった。
夜、茂は一心不乱に仕事をしている。その姿を見た布美枝は、やはり自分は傍観者であり、漫画家本人の苦しみはわからないのかもしれないと思った。はるこの言葉を思い出した。
出勤途中のマクドナルドで携帯電話のワンセグを起動した当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第85回めの放送を見ましたよ。
村井家は、いまだに貧乏のままである。茂(向井理)も布美枝(松下奈緒)も、家に居座る貧乏神(片桐仁)の気配を感じている。
昭和40年3月。
茂の兄夫婦(大倉孝二、愛華みれ)がまたしても風呂を借りに来た。兄は白黒テレビを買ったことを自慢する。テレビがどんなに面白いかを話し、茂の漫画もテレビで放送しろと勝手なことを言う始末だった。
その時、突然茂の父母(風間杜夫、竹下景子)が家に現れた。上京のハガキよりも先に本人たちが到着してしまったのだ。父の書きかけの小説を出版するという話が持ち上がり、その打ち合わせのために急遽上京してきたという。父は、主婦からベストセラー作家になった三浦綾子を引き合いに出し、自分の小説も大ヒットすると思い込んでいる。しかし、母はどうも胡散臭い話だと疑っている。素人の小説がいきなり本になるのもおかしいし、出版費用の半分を負担しなければならないというのもおかしいと疑っているのだ。
そこへ、浦木(杉浦太陽)までもがやって来た。玄関で茂に向かって、インチキ商売の話を大声で話し始めた、素人に出版話を持ちかけ、多額の費用を本人に負担させる。それをピンハネして儲けるのだという。その声は、居間の一同に筒抜けで、父が騙されていたことが明らかになった。母は怒り狂い、インチキ商売をしている浦木、彼と付き合っている茂、茂の交友関係に注意を払わない布美枝、まんまと騙されかかった父へと次々に怒鳴り立てるのだった。
その頃、日本一の売上を誇る漫画雑誌『少年ランド』を発行する雄玄社では、編集者の豊川(眞島秀和)が茂の漫画を熱心に読んでいた。彼は茂の漫画に惚れ込み、雑誌で取り上げるようこれまで3回も提案した。しかし、絵柄が似つかわしくないといずれもボツにされてしまった。独特の雰囲気こそが持ち味だと信じる豊川は、もう一度掛け合ってみようと意欲を燃やしていた。
お盆に故郷でクラス会を行うからぜひ帰って来いと電話があったのだが、夏の北海道は飛行機代が高いばかりか、実家に滞在すると朝から晩まで親にかまわれてしまい、落ち着いて朝ドラを見ることも難しく、この連載に穴をあける懸念があり、実際に過去『だんだん』の連載を取りやめたのは同ドラマが面白くなかったことが理由だけれど、実家滞在中で集中してドラマを見れなかったことも少なからず影響していると思われ、その二の舞を避けるというだけ理由で帰省をやめようかなぁ、どうしようかなぁと悩んでいる当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第84回めの放送を見ましたよ。
村井家のふたりに、政志(光石研)は自分の過去を話し始める。腕の良い電気工だった彼は、シベリアに抑留された時も人一倍働いた。ソ連人からの評価も高く重宝がられたのだが、反対に日本人の仲間からは妬まれ、いじめの対象となった。そのせいで、人間不信、無気力になってしまったのだ。
戦争の悲惨さに共感する茂(向井理)ではあるが、自分で自分を不憫に思うことは筋違いであると断言する。戦争で死んでしまった人間に比べれば、どんなに苦しくても、好きなことをやって生きているのが幸せなことである、と。その言葉に、政志は何かを思うのであった。
その時、商店街の靖代(東てる美)がやって来て、美智子(松坂慶子)が行方不明だと伝えた。政志は、心配はするものの、照れ隠しと強がりで、探しに行こうともしない。布美枝は、美智子が店も夫婦もおしまいだと言って泣いていたことを政志に知らせた。
それを聞いた政志は、居ても立ってもいられなくなり、美智子を探しに行くことにした。息子の墓がある深大寺にいると予測し駆けつけてみると、やはりそこで美智子は見つかった。
家に帰ると、政志はついに自分の決意を打ち明けた。千葉の会社に就職し、電気工として出直したい。調布の貸本屋を閉めて、一家で千葉に引っ越そうと言うのだ。
今まで家のことはなんにもしてこなかったのに、勝手なことを言わないで欲しいと反論する美智子。しかし、不満を述べる顔も、どことなく嬉しそうだ。ついに政志の言い分に同意し、転居することが決まった。
夫婦の溝も埋まり、ふたりは明るい夫婦に戻った。
昭和39年10月10日。今日は東京オリンピックの開会式である。人々はテレビやラジオに釘付けである。村井家のラジオは調子が悪く、なかなか放送を聞くことができない。
そこへ、貸本屋の常連・太一(鈴木裕樹)が慌てて飛び込んできた。こみち書房が突然閉店し、トラックで引越し作業をしていると伝えに来た。
美智子は、人々に見送られるのが辛いので、秘密裏に町を去ろうとしていたのだ。そのため、引越しの日程を誰にも話さずにいた。オリンピックの開会式の日ならば、人々の目をそらすことができるだろうと、かねてから計画を立てていたのだ。しかし、それは失敗してしまった。
真っ青な秋晴れの下、美智子らの一家は、意気揚々と新しい生活へ向けて旅立って行った。
ブロンソンズ(みうらじゅん&田口トモロヲ)の「大脱走’95」を聴いて衝撃を受け、映画『大脱走』を一度見てみたくてDVDを借りたのだけれど、170分もあると知り、『ナバロンの要塞』より10分も長く、週末にかなり強烈に気合を入れないと見れないなぁと思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第83回めの放送を見ましたよ。
布美枝(松下奈緒)は、漫画雑誌『ゼタ』の編集長・深沢(村上弘明)に原稿を届けに来た。雑誌はまだ赤字であるが、売上も伸びつつあるし、茂(向井理)の人気も上々だという。読者からの反響の手紙も多い。
新人漫画家の持ち込みもひっきりなしだ。漫画以外にも、詩や散文も郵送で投稿されてくるという。その中には、布美枝の知人である太一青年(鈴木裕樹)からのものもあった。即掲載というわけではないが、深沢はなかなか悪くない詩であったと評する。
茂の漫画が人気なのは、社会の矛盾や滑稽な点を風刺する作風にあるのだ。布美枝も深沢も、その点を認めている。
話は膨らんで、深沢は自分自身のことを語り始めた。終戦直前、満州で働いていて、一歩間違えばシベリアに抑留されるところだった。シベリアでは多くの仲間が死んだという。また、自身が身体を壊して長期入院した体験から、やりたいことはすぐに始めないと、次の機会が与えられるかどうか分からないという人生観を得た。だから、無謀だと認めながらも『ゼタ』の発行に全身全霊をかけるのだという。そしてまた、社会風刺を通じて、世の中に一石を投じたいとも思っている。
深沢の事務所からの帰り道、布美枝はこみち書房に立ち寄った。しかし、客は一人もいなかった。
その代わり地主(九十九一)が来ていて、美智子(松坂慶子)に先日の暴力沙汰の苦言を呈していた。地代さえ払ってくれれば文句はないと言うものの、商売替えしてはどうかと、善意とも嫌味とも取れない一言を告げて帰っていった。
布美枝は、親身になって美智子の話を聞いてやることにした。そこへ、夫の政志(光石研)が外出しようと姿を現した。美智子は店や家族の生活のことについて政志に相談したいのだが、彼は店を閉じてつつましく暮らせばいいと冷たく言い放つだけだった。心ない一言に、美智子はつい感情的になる。店は単なる生活の道具ではなく、人々との交流の場なのだ。一家が社会と繋がっている窓口でもあるのだ。それがなくなってしまうことは、心の大きな支えが失われてしまうことになるのだ。
されに加えて、政志が自分に心を開いてくれないことも悲しくて、辛い。そう訴えるのだが、政志は無視して出かけてしまった。辛抱できなくなった美智子は布美枝の前で涙を流す。布美枝もまた、夫婦の危機を目撃し、もらい泣きするのだった。
帰宅し、美智子夫婦のことを思いながら台所に立つ布美枝。ふと気づくと、そばに居たはずの藍子の姿が見えない。外からは、野犬の唸り声と藍子の泣き声が聞こえてくる。目を離した隙に、勝手に外に出ていったようだ。
慌てて家を飛び出すと、政志が藍子を抱き抱えて救出してくれていた。藍子は無事だった。
政志は、美智子との夫婦喧嘩で家に帰りにくい。町をブラブラしていたら、茂(向井理)のことを思い出して、もう一度話をしてみたくなったという。漫画が大好きであり、それを仕事にすることで、貧しくとも幸せを感じている茂。政志は何かを思いつめたように、その好きなこと(漫画)で仲間から裏切られることがあったとしたら、どんな思いがするだろうか、と茂に問いかけるのだった。
その頃、こみち書房からは美智子の姿が消えていた。
エイプリル・フールでもないのに、amazon.co.jp が森見登美彦と組んで壮大なネタを仕掛けている模様。
amazon の文学・評論のページから、右にある「MATOGROSSO(マトグロッソ)」のバナーリンクをたどって欲しい。
直接リンクを張れないようになっているのが残念であり、腹立たしい。マトグロッソ配下のページにダイレクトにアクセスすると、必ず「文芸・評論」のページに戻されるようになっているのだ。しかも、RSS feed を提供しているのに、RSSリーダーからのアクセスも遮断するというトンチキぶりに激しく目眩がした。
かなり気に入らないところもあるが、「Amazon.co.jp だけで読める Web文芸誌 マトグロッソ」という自信満々のコピーに偽りはない。売れっ子小説家の伊坂幸太郎や、漫画界の大御所である萩尾望都のSF小説なども読める。どんな作家と作品が掲載しているか、アクセスは面倒だが、一度ご覧になってみることをお薦めする。
茂と布美枝がドラマの中で見た映画(第57回)だという『ナバロンの要塞』のDVDを借りたのだけれど、160分もあると知って、週末にかなり気合を入れないと見れないなぁと思っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第82回めの放送を見ましたよ。
布美枝(松下奈緒)が発案したメダル作戦でこみち書房は賑わいを取り戻した。商店街でも評判になっており、同店の夫・政志(光石研)は羨ましがられる。しかし、政志は他人事のようで、しらけた素振りを見せていた。
子供たちが集うこみち書房に、貸本廃止を主張する市民団体がやって来た。PTAで議論した結果、小学生の貸本屋への出入禁止が決定されたという。穏便に事を収めようと下手に出る美智子(松坂慶子)であったが、すでに待ったなしの状態になっている団体側は、反発する子供たちにも一切耳を貸さず、強引に追い立て始めた。
ちょうどそこへ政志が帰ってきた。激昂した政志は、団体の男性ら数人と暴力沙汰を起こした。もみ合いの中で子どもが1人押し倒された。警官も駆けつける騒ぎとなった。幸いにして、子供の怪我は軽く、警官も事件にせずに寛大な対処をしてくれた。しかし、こみち書房の評判は地に落ちてしまった。
書店のおばあさん(佐々木すみ江)は政志に説教を始める。せっかく美智子が平和的に解決しようとしていた矢先、政志が全てをぶち壊したのだ。申し開きのできない政志は、ふて腐れて家を出て行った。店の前に落ちていたメダルを拾い上げ、何かを思いながら歩き出すのだった。
おばあさんは、美智子にも強い口調で怒りをぶつける。美智子が政志に遠慮して何も言わないのもよくないのだと。図星をつかれ、彼女にしては珍しく、落ち込んで黙りこんでしまった。美智子は、政志の出征中に一人息子を病気で死なせてしまった負い目があるのだ。そのせいで、自分で自分を責め、政志に対して心の壁を作り出しているのだ。
おばあさんは、そんなふたりを情けなく思い、つい大声を出してしまったのだ。話を聞いた布美枝も、彼ら夫婦の問題をどうにか解決できないものかと思うのだった。
その騒ぎから1ヶ月。こみち書房を訪れる客はほとんどいなくなった。子供たちは貸本を利用せず、書店に雑誌を買いに行くありさまだ。
茂(向井理)は漫画雑誌「ゼタ」の読者層を考慮し、かなり大人向けの漫画を描いている。布美枝もとても面白いと、夢中になって読んでいる。
新しい原稿が完成し、布美枝は原稿の配達を頼まれた。出かけようとすると、家の前が騒がしい。最近、近所を野犬がうろついているらしいのだ。
女の子から「木公さんが好き♪」と言われ、年初に受け取った年賀状を含めると、今年に入って告白されたのは2回目であり、有頂天になっている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第81回めの放送を見ましたよ。
ゼタ創刊を知って、浦木(杉浦太陽)がやって来た。広告仲介の儲け口があるのに、どうして自分に黙っていたのか、と。しかし茂(向井理)は、美人秘書(桜田聖子)が浦木以上のやり手であると言って、冷たくあしらうのだった。
他にも浦木はいくつかの噂を持ってきた。はるこ(南明奈)が焦り始めていることと、貸本屋の夫・政志(光石研)を喫茶店で見かけたという話である。政志は、連れの男と電気工事の会社を始めるなどと話していたという。それを聞いた布美枝(松下奈緒)は、いよいよ貸本屋を閉めて、商売替えするのではないかと心配になった。
東京で暮らし始めた時から、布美枝はこみち書房には何度も助けられた。そのため、個人として何か恩返しをしたいと思うし、みんなの集会場とも言える同店を存続させたいとも思う。そこで、商売繁盛のためのアイディアを持って、こみち書房を訪れた。
もうすぐ行われる東京オリンピックにあやかって、子供たちに紙で作ったメダルをプレゼントするというキャンペーンである。借りた数に応じて、金・銀・銅のメダルが貰えるのだ。そのアイディアには美智子(松坂慶子)らも乗り気になった。
その時、地主(九十九一)が地代を2倍にしたいと言いに来た。物価上や固定資産税の上昇で仕方のないことだと言われ、美智子も受け入れざるを得なかった。いよいよ貸本屋の経営が難しくなった。
電気工事店に商売替えするつもりだという噂が真実味を増し、布美枝はうっかりと口に出して聞いてしまった。しかしそれは誤解だという。戦争のせいで無気力になってしまっているが、政志は元々腕のいい電気工であった。千葉の会社で働かないかと誘いを受けているだけだという。
美智子は店を閉めるつもりはない。経営が苦しくても、貸本代金の値上げもしない。布美枝の作ってくれたメダルで起死回生するのだと、明るく言うのだった。
その試みは大成功だった。本を借りに来る子供たちが一挙に増えて、昔のように店が賑わった。子供たちに釣られて、大人の客も戻り始めた。
天気予報において、高気圧が青、低気圧が赤で表示されるのは、低気圧は強い雨や風で災害が発生するおそれがあり、注意喚起のため気象庁が必ずそうするよう定めていると知った(NHK「おはよう関西」で言っていた)当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第80回めの放送を見ましたよ。
「好きなことに裏切られることだってある」貸本屋の夫・政志(光石研)は、胸の内に何か暗いものを抱えているように思われた。
場の雰囲気が暗くなったので、布美枝(松下奈緒)は慌てて太一(鈴木裕樹)の近況に話題を変えた。太一は、新しい仲間を得て、詩や短歌の同人誌を作ろうとしている。急に競馬に興味を持ちだしたのは寺山修司に憧れてのことだという。ただし、太一以外に寺山の名を知る者はその場にいなかった。
それからしばらく経って、ついに深沢(村上弘明)の漫画雑誌「ゼタ」が創刊された。3日で描き上げたという茂(向井理)の短編漫画には、ケチな金の話をする登場人物(ねずみ男)がいた。布美枝はそれを見て浦木(杉浦太陽)にそっくりだと思うのだった。
ゼタを見た戌井(梶原善)がお祝いに駆けつけてくれた。戌井も深沢と面識があり、深沢はここぞという時に大勝負に出る山師のような男だと好意的に評する。
そこへ、深沢本人が創刊の挨拶にやって来た。戌井に再会した深沢は、彼にも寄稿してくれるよう声をかけた。深沢は戌井のスリラー漫画を評価していたのだ。しかし、戌井は自分の才能の限界が見えてしまったといい、漫画はもう描かないと言って断ってしまった。その代わり、出版者として、斬新な漫画を世に送り出すことに人生を捧げると、強く決意を表明するのだった。
その頃、はるこ(南明奈)が思いつめた表情でこみち書房に入っていった。素性を伏せたまま、自分の漫画の人気を聞いてみた。貸本屋のおばあさん(佐々木すみ江)は、全く人気がないと率直に言うのだった。人気のある本は何度も貸し出されてボロボロになると聞いて、はるこは何冊かある自分の本を点検するが、どれも新品同様であった。
その後、商店街の喫茶店で浦木と落ちあって、いつものように彼から小説のカットの仕事を請け負った。しかしはるこは、カットの仕事はこれを最後に辞めたいと告げる。自分はゼタに掲載されるような一流の漫画家になりたい、今は漫画に集中したいと理由を説明した。さらに、浦木に聞かせるでもなく「もう時間がない」と意味深な言葉をつぶやくのだった。
その喫茶店に、政志が他の男と一緒に入ってきた。彼は浦木の存在に気づいていない様だ。聞き耳を立てると、政志はあまり乗り気ではないものの、何かを計画している様子だった。
村井家では、男たちが戦艦模型を並べて鑑賞会を開いていた。布美枝と深沢の秘書・郁子は食事の後片付けをしながら話をしている。郁子は、大企業の重役秘書を辞めた理由を「自分の名前」がなかったからだと説明した。女は「重役秘書」、「○○の妻」、「××のお母さん」などと役割で呼ばれるのみで、名前で呼ばれることがない。いくら待遇がよくても、それが不満で前の会社を辞めたという。深沢のもとでは、自分の名刺を持って仕事ができるのを心地良く感じている。
布美枝は、自分も名前で呼ばれていないことに、はたと気づくのであった。