NHK『ゲゲゲの女房』第80回

 天気予報において、高気圧が青、低気圧が赤で表示されるのは、低気圧は強い雨や風で災害が発生するおそれがあり、注意喚起のため気象庁が必ずそうするよう定めていると知った(NHK「おはよう関西」で言っていた)当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第80回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 「好きなことに裏切られることだってある」貸本屋の夫・政志(光石研)は、胸の内に何か暗いものを抱えているように思われた。
 場の雰囲気が暗くなったので、布美枝(松下奈緒)は慌てて太一(鈴木裕樹)の近況に話題を変えた。太一は、新しい仲間を得て、詩や短歌の同人誌を作ろうとしている。急に競馬に興味を持ちだしたのは寺山修司に憧れてのことだという。ただし、太一以外に寺山の名を知る者はその場にいなかった。

 それからしばらく経って、ついに深沢(村上弘明)の漫画雑誌「ゼタ」が創刊された。3日で描き上げたという茂(向井理)の短編漫画には、ケチな金の話をする登場人物(ねずみ男)がいた。布美枝はそれを見て浦木(杉浦太陽)にそっくりだと思うのだった。

 ゼタを見た戌井(梶原善)がお祝いに駆けつけてくれた。戌井も深沢と面識があり、深沢はここぞという時に大勝負に出る山師のような男だと好意的に評する。
 そこへ、深沢本人が創刊の挨拶にやって来た。戌井に再会した深沢は、彼にも寄稿してくれるよう声をかけた。深沢は戌井のスリラー漫画を評価していたのだ。しかし、戌井は自分の才能の限界が見えてしまったといい、漫画はもう描かないと言って断ってしまった。その代わり、出版者として、斬新な漫画を世に送り出すことに人生を捧げると、強く決意を表明するのだった。

 その頃、はるこ(南明奈)が思いつめた表情でこみち書房に入っていった。素性を伏せたまま、自分の漫画の人気を聞いてみた。貸本屋のおばあさん(佐々木すみ江)は、全く人気がないと率直に言うのだった。人気のある本は何度も貸し出されてボロボロになると聞いて、はるこは何冊かある自分の本を点検するが、どれも新品同様であった。

 その後、商店街の喫茶店で浦木と落ちあって、いつものように彼から小説のカットの仕事を請け負った。しかしはるこは、カットの仕事はこれを最後に辞めたいと告げる。自分はゼタに掲載されるような一流の漫画家になりたい、今は漫画に集中したいと理由を説明した。さらに、浦木に聞かせるでもなく「もう時間がない」と意味深な言葉をつぶやくのだった。

 その喫茶店に、政志が他の男と一緒に入ってきた。彼は浦木の存在に気づいていない様だ。聞き耳を立てると、政志はあまり乗り気ではないものの、何かを計画している様子だった。

 村井家では、男たちが戦艦模型を並べて鑑賞会を開いていた。布美枝と深沢の秘書・郁子は食事の後片付けをしながら話をしている。郁子は、大企業の重役秘書を辞めた理由を「自分の名前」がなかったからだと説明した。女は「重役秘書」、「○○の妻」、「××のお母さん」などと役割で呼ばれるのみで、名前で呼ばれることがない。いくら待遇がよくても、それが不満で前の会社を辞めたという。深沢のもとでは、自分の名刺を持って仕事ができるのを心地良く感じている。
 布美枝は、自分も名前で呼ばれていないことに、はたと気づくのであった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第79回

 高温多湿な気象でヘトヘトになりかけている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第79回めの放送を見ましたよ。

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「旅立ちの青い空」

 弟・貴司(星野源)の婿入りが正式に決まった。布美枝(松下奈緒)は祝いにパッチワークのクッションカバーを手作して贈ろうとするが材料の端布が足りない。商店街に買いに出かけた。
 市井の人々の生活レベルは高まっている。秋に行われるオリンピックを控え、テレビの普及率が8割を超えたという。ジャズ喫茶などもできて若者を惹きつけている。一方で、物価も上昇し始めている。

 美智子(松坂慶子)は貸本料金を5円増して15円にしたいと思っているが、客離れを心配して踏み切れない。ただでさえ、生活の変化に伴って、貸本利用者が急激に減っているのだ。さらに、反貸本漫画の抗議行動も相変わらずだという。
 貸本屋の夫・政志(光石研)は相変わらず道楽者で、今日も競馬に出かける予定だ。居合わせた太一(鈴木裕樹)も競馬に興味を持ち始めたという。そこで、太一は政志について競馬場へ出かけることにした。

 深沢(村上弘明)の新しい出版社は順調だった。特に、美人秘書(桜田聖子)の活躍がめざましく、広告主の獲得や業者への値下げ交渉など、深沢以上の働きを見せている。
 秋に創刊予定だった漫画雑誌「ゼタ」の発行も前倒しすることになった。深沢は結核で肺を一つ摘出した。それによって人生観の変化した深沢は、できることは何でも素早く成し遂げたいと思っているのだ。最初はいぶかしく思っていた茂(向井理)であったが、彼の話を聞いて協力する気になった。創刊号に間に合うように大急ぎで原稿を作ることを依頼されたが、茂は快諾した。

 帰宅し、早速原稿に取り掛かろうとする茂であったが、運悪く浦木(杉浦太陽)が訪ねてきた。競馬でスってしまったので、飯を食わせて欲しいと図々しく上がりこんだ。彼は、競馬場で知り合ったと言って、政志と太一も連れてきた。競馬場で茂の噂話をしているふたりに出くわし、意気投合したというのだ。そして、全員そろってオケラになってしまった。

 食事の場では、政志が茂の片腕に言及した。そのような身体では細々と漫画を描く以外に満足な職に付けないのだろうと、独りよがりな同情を示す。しかし、茂は、仕方無しに漫画家をやっているのではなく、自発的にやりがいを感じて漫画を描いているのだと胸をはる。

 茂の誇る態度に、政志はへそを曲げた。「好きなものに裏切られることもある」という政志の言葉に、布美枝は言い知れぬ不安を感じるのであった。

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「ソマリア教育基金」へ12,500円: 余裕ある社会を求めて

 先にお伝えしたとおり、本日開催された第25回サロマ湖100kmウルトラマラソンにおいて、sterai氏が 12:24:39 のタイム(速報値)で100km を完走した。
 まずは彼の栄光を讃えたい。

 さて、今回の彼の100kmマラソン初チャレンジに対して、僕はsterai さんの走破距離に応じて、100円/km の募金を行うと約束した。そして、彼が見事100kmを走ったので、僕は1万円を募金する義務を果たさねばならない。
 募金と言っても、彼自身に賞金を支払うわけではない。彼の走行距離に応じて、僕が金を支出し、発展途上国の支援をするのだ。彼自身は金を受け取る権利を有しない。しかし、せめて支援先の選定には彼の意向も反映させることにした。

 ふたりで相談した結果、日本ユニセフ協会の『ソマリア教育募金』支援プログラムを募金対象と決めた。
 教育関連の基金を対象にしたいというのは、sterai 氏の当初からの希望であった。最終的に『ソマリア教育募金』支援プログラムを選んだのは、出資者である僕の権利と責任による。

 善は急げ。募金処理を完了した。

募金受付メール

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祝: sterai氏 100km 完走

たった今、sterai氏本人から、わざわざ電話で完走の報告をいただきました。
こちらが拍子抜けするくらい、元気な声でびっくりしました。

本人曰く、この後、さらに1.4km移動して北見行きのバスに乗らないとならないそうです。それに乗り遅れると、宿泊がヤバイそうです。
そのため、まだ緊張が続いているようでした。

とても明るいニュースです。
おめでとうございます。

sterai氏の記録

「キング・オブ・ポップの素顔」はビチグソ。黙殺が正しい。

 映画「マイケル・ジャクソン: キング・オブ・ポップの素顔」を見てきた。
 予想を遥かに上回るダメっぷりだった。

 子どもが生まれたばかりの夫婦の家に遊びにいくと、延々と子供を撮影したホームビデオを見せられることがある。最初の10分くらいは純粋に可愛らしいと思って、夢中で見る。15分あたりで飽きてくる。25分を経過すると「きっとキリのいい30分で終わるに違いない」と思う。しかし、無情にも30分以上続いてガッカリする。
 みんな、口に出しては言わないが、そういう経験をしたことが1度や2度はあるだろう。

 「キング・オブ・ポップの素顔」は、よその家の子供のビデオを強制的に見せられる退屈さ、くだらなさ、編集のダメっぷりのいずれにおいても上回っており、驚くべきほどの見どころの無さであった。5分でツラい。
 映画館の暗闇のなかで目を凝らして時計を見たとき、本編開始からまだ10分しか経っていなかった。めまいがして、ため息が出た。

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sterai氏 電話インタビュー

 明日、北海道で第25回サロマ湖100kmウルトラマラソンが開催される。これに、当方の知人の sterai 氏が出場する。現地にいる sterai 氏に電話インタビューを行ない、現在の様子を伝えてもらった。通話は、19:10から5分間ほど。

 彼は10:30に札幌を出発し、スタート地点のある湧別町に自動車を運転して向かったそうだ。
 現在は、スタート地点そばにある湧別町文化センターの駐車場に車を停め、そこにいるそうだ。今夜は車中泊し、明朝5時のスタートに備える。

 湧別町にめぼしい宿はないそうだ。近隣の遠軽町(約20km)や紋別町(約30km)に行けば宿泊設備はありそうだが、早朝にスタート地点まで移動するのが難しいので断念したとのこと。スタート地点そばに泊まる人は少数ではなく、なかには用意周到にテントを設営している人もいるとのこと。

 昨日、彼は微熱があると騒いでいた。しかし、あれは全くの勘違いで現在の体調は良いとのこと。

 しかし、今日の北海道は記録的な猛暑であり、明日も引き続き気温が高いという。そのため、例年より完走できる人が少ないのではないかと彼は話していた。自分が完走する可能性もちょっと低くなったと、冗談めかしてはいたが、少し弱気なことを言っていた。

好天に恵まれた道内は26日、十勝地方やオホーツク海側で気温が37度に達し、各地でも35度を超えるなど、全国に先駆け今年最初の猛暑日を観測した。(北海道新聞

 以前に宣言したとおり、僕は sterai さんの走破距離に応じて、100円/km の募金を行うつもりである。世界の恵まれない子供たちのために、暑いとか軟弱なことを言っていないで、彼には是非とも完走してもらいたい。

アサガオは横にばかり伸びている

今日のアサガオ

庭の柵に絡みつくことを画策して植えたのに、当家のアサガオは地を這って横に伸びるばかりだ。

伸びた所に支柱やタコ糸を張って、そこに沿うようにすると良いのか。それとも、他のツルが柵に自然に絡みつくことを期待しつつ、横に伸びた余分なツルは切ってしまった方が良いのか。

いずれにせよ、今日は雨なので、外で作業する気はないけれど。

NHK『ゲゲゲの女房』第78回

 本日は6月26日である。この日だけは私にとって実に重大な日である。そう、当方の愛する山瀬まみの結婚記念日なのである。1999年のこの日、情報バラエティ『ブロードキャスター』内の名物コーナー「お父さんのためのワイドショー講座」の生放送中に、自身で結婚を発表した。それを見ていた当方は、彼女の嬉しそうな笑顔に感激するとともに、突然のことに言葉を失って呆然としてしまった。翌日は、1日中パソコンに向かって山瀬まみスクリーンセイバーの作成に没頭し、自分の喜びと落胆を昇華させたりしていた。
 そうそう、今日はマイケル・ジャクソンの命日でもある。マイケル・ジャクソンが死んだのはアメリカでは6月25日午後であるが、その時日本では6月26日であった。だから、マイケル・ジャクソンへの追悼は6月26日に行うのが正しい。ちょうど1年前、当方が朝ドラの『つばさ』を見るためにテレビをつけたら、マイケル死亡のニュースが飛び込んできてしばし呆然としたことを思い出す(当日の当blog記事)。
 ・・・などと、すでに6年以上も更新の止まったままである森で屁をこくの定番マクラをパクった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第78回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 貴司(星野源)は、洋裁器具店の一人娘・満智子(長澤奈央)の婿養子となることを父(大杉漣)にはっきりと宣言した。父は、貴司を家業の酒屋の跡取りにすると決めてかかっていたので、激しく拒絶する。相手の家に怒鳴り込もうとする父を、貴司は体を張って止めに入った。普段は物静かなのと打って変わって大声を出し、何よりも彼女が大切なのだと叫んだ。

 店先に家族が集まり行方を見守っていると、甥(佐藤詩音)が慌てて奥の間から飛び出してきた。藍子がビー玉を誤飲し、喉に詰まらせたという。
 父は自分に任せろと言うのだが、布美枝(松下奈緒)はそれには一切耳を貸さず、自分で吐き出させようと奮闘する。手を口の中に突っ込んで、やっとのことでビー玉を取り出すことができた。安心する一同。しかし、父だけは思うところがあった。

 父は、自分の子供達はいつまでも半人前なので、自分が手取り足取り面倒を見てやらなければならないと考えていた。しかし、さっきの布美枝の緊急対応を見て、彼女は一人前の母親になったのだとわかった。子供たちは自然に独り立ちする、自分が何もかも指図する必要は無いのだと、やっと悟ったのだ。
 照れくさそうな様子で、満智子を連れてきて紹介しろと貴司に告げた。本人に会うまでは結婚を許すかどうか決められないとは言うものの、話は決まったも同然な柔らかい態度だった。そんな父の姿を影から見ていたいずみ(朝倉えりか)は嬉しい気持ちになった。

 いずみは早速、布美枝に貴司のことを報告に行った。そして、話は自然と藍子のビー玉事件へ発展した。布美枝は、いずみが赤ん坊の時の話を聞かせてやった。肺炎にかかったいずみは、痰を喉に詰まらせて窒息しそうになった。その時、父が手を突っ込んで痰を掻きだした。布美枝はその父の姿を覚えているから今日の対応ができたと話す。
 東京で働きたいといういずみの希望を父が猛反対している。親が子のことを何よりも心配するのは当然なのだから、喧嘩して家出するようなことはするなと諭す布美枝であった。いずみは突然、運転免許を取得すると言い出した。その理由は、貴司が家を出て行ったら、酒の配達などは自分が手伝わなければならないからだという。強がっていて、素直に表現することをしないのだが、彼女も態度を軟化させたのだ。東京行きを諦めた様子だ。

 布美枝が東京の家に帰って来た。
 茂(向井理)は破顔して、布美枝と藍子の帰宅を出迎えた。
 家の中が思った以上に片付いていていた。はるこ(南明奈)が手伝いに来たことは当然伏せておいて、自分の手柄のように誇る茂。自分がいなくても平気らしいと思い、少々くやしい布美枝であった。

 しかし、茂は一人でいると、一緒に笑う相手がいなくて寂しかったと殊勝なことを言う。屁をしても聞かせる相手がいないのもつまらない、と。
 それを聞いて、茂のそばこそが自分の居場所なのだと思いを強くする布美枝であった。目の前で屁をされるのがむしろ楽しいくらいだった。どんなに貧乏でオンボロな家でも、我が家が一番安心できる場所だと言うのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第77回

 カラオケでは必ずチェッカーズの「NANA」を歌うけれど、矢沢あいの「NANA」は読んだことのない当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第77回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 布美枝の父(大杉漣)は、いずみ(朝倉えりか)の上京も、貴司(星野源)が婿養子に行くことも、一切許す気がない。イライラとして妻(古手川祐子)に当り散らすほどだった。

 夜、貴司が店にひとりでいるところへ、布美枝(松下奈緒)が話をしに来た。布美枝は、父が激怒する理由は中途半端にしか話していないからだ、腹を割って話をする必要があるとアドバイスをする。しかし、貴司は、一家が苦労して続けてきた酒屋なので、自分の一存で放り出すことはできないという。
 それに対して布美枝は、他の家族には黙っているような、もっともひどい苦労話を打ち明ける。そんな生活であっても、漫画を描く事が大好きな茂(向井理)と一緒にいることが幸せなのだと付け足す。人は、自分にとって一番大切なことを諦めてはいけないと言い聞かせた。
 その話に何か思うところのあった貴司であったが、口では家を放り出すわけにはいかないと強がりを言うのであった。

 翌日、布美枝は茂の実家へ出かけた。大喜びする両親は、近所の人々も招いて藍子をお披露目する宴会を開いた。その宴会の給仕は全て布美枝一人に任されてしまった。
 茂は自分の暮らしぶりを故郷には秘密にしている。近所の人々は、茂は大成功していて、次々に舞い込む仕事のせいで帰省できないのだと、勝手に噂話を始める。問いかけられて、布美枝は曖昧に返事をするのが精一杯だった。

 客が帰った後、茂の母(竹下景子)は茂らの本当の暮らし向きを訪ねる。明確な返事を避けた布美枝であったが、母な全て見通していたのだ。その理由は、村井家の男たちは父(風間杜夫)をはじめ、全員金に締りが無いからだという。それを支えるために、布美枝がしっかりしなければならないと発破をかけられるのだった。

 その夜、布美枝は境港に一泊した。
 その頃、店で仕事をする貴司の所へ、思いつめた表情で恋人の満智子(長澤奈央)がやって来た。

 翌日、布美枝が実家に帰宅した。家の様子がおかしい。ついに父と貴司の間で何かが起きたらしい。

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NHK『ゲゲゲの女房』第76回

 10日以上続いた水便がやっと収まって、ほっとした当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第76回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 調布の村井家に、はるこ(南明奈)がパチンコ景品の缶詰を差し入れに来た。布美枝(松下奈緒)が帰省したと聞き、荒れるに任せた家の状態を見て、勝手に家事を始めてしまう。茂(向井理)は遠慮するが、仕事がはかどるので、つい任せてしまった。しばらくすると浦木(杉浦太陽)が様子を見に現れた。案の定、はるこが茂と親密になりそうなのを見つけ、立ち去るように説得する。その騒ぎに立腹した茂は、ふたり揃って追い出すのであった。

 安来の喫茶店では、布美枝が弟・貴司(星野源)からじっくりと話を聞いていた。恋人・満智子(長澤奈央)の家は裁縫機器の販売代理店を営んでいる。彼女は一人娘でもあり、婿養子をとって店を続けなければならない。貴司の父(大杉漣)は、すっかり自分に見合いをさせて、家業の酒屋を継がせる気になっている。彼女と父との間で板挟みになってしまっているのだった。

 ふたりが家に帰ると、父が妹・いずみ(朝倉えりか)を怒鳴りつけていた。彼女が内緒で東京の会社に就職活動をしていたことがバレてしまったのだ。父は、いずみを地元の小学校の先生にさせるつもりなのだ。自分の人生を親に決められることに反発するいずみ。
 立場上、貴司は仕方無しにいずみのことをたしなめる。彼が味方をしてくれなかったことでますます激昂したいずみは、みんなの前で貴司の秘密をばらしてしまった。家族の中にいくつものしこりが残った。

 夜、布美枝はいずみと向き合った。布美枝から見ると、彼女の東京への憧れは一時の気の迷いのようにも見える。東京の暮らしは必ずしも良いことばかりではないし、地元・安来の方がよっぽど良い所だと話す。それは理解するものの、いずみは若いうちに一度は東京を見てみたいのだ。そして何よりも、親に勝手に人生を決められることへの不満で渦巻いているのだった。

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