NHK『ゲゲゲの女房』第78回

 本日は6月26日である。この日だけは私にとって実に重大な日である。そう、当方の愛する山瀬まみの結婚記念日なのである。1999年のこの日、情報バラエティ『ブロードキャスター』内の名物コーナー「お父さんのためのワイドショー講座」の生放送中に、自身で結婚を発表した。それを見ていた当方は、彼女の嬉しそうな笑顔に感激するとともに、突然のことに言葉を失って呆然としてしまった。翌日は、1日中パソコンに向かって山瀬まみスクリーンセイバーの作成に没頭し、自分の喜びと落胆を昇華させたりしていた。
 そうそう、今日はマイケル・ジャクソンの命日でもある。マイケル・ジャクソンが死んだのはアメリカでは6月25日午後であるが、その時日本では6月26日であった。だから、マイケル・ジャクソンへの追悼は6月26日に行うのが正しい。ちょうど1年前、当方が朝ドラの『つばさ』を見るためにテレビをつけたら、マイケル死亡のニュースが飛び込んできてしばし呆然としたことを思い出す(当日の当blog記事)。
 ・・・などと、すでに6年以上も更新の止まったままである森で屁をこくの定番マクラをパクった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第78回めの放送を見ましたよ。

* * *

「初めての里帰り」

 貴司(星野源)は、洋裁器具店の一人娘・満智子(長澤奈央)の婿養子となることを父(大杉漣)にはっきりと宣言した。父は、貴司を家業の酒屋の跡取りにすると決めてかかっていたので、激しく拒絶する。相手の家に怒鳴り込もうとする父を、貴司は体を張って止めに入った。普段は物静かなのと打って変わって大声を出し、何よりも彼女が大切なのだと叫んだ。

 店先に家族が集まり行方を見守っていると、甥(佐藤詩音)が慌てて奥の間から飛び出してきた。藍子がビー玉を誤飲し、喉に詰まらせたという。
 父は自分に任せろと言うのだが、布美枝(松下奈緒)はそれには一切耳を貸さず、自分で吐き出させようと奮闘する。手を口の中に突っ込んで、やっとのことでビー玉を取り出すことができた。安心する一同。しかし、父だけは思うところがあった。

 父は、自分の子供達はいつまでも半人前なので、自分が手取り足取り面倒を見てやらなければならないと考えていた。しかし、さっきの布美枝の緊急対応を見て、彼女は一人前の母親になったのだとわかった。子供たちは自然に独り立ちする、自分が何もかも指図する必要は無いのだと、やっと悟ったのだ。
 照れくさそうな様子で、満智子を連れてきて紹介しろと貴司に告げた。本人に会うまでは結婚を許すかどうか決められないとは言うものの、話は決まったも同然な柔らかい態度だった。そんな父の姿を影から見ていたいずみ(朝倉えりか)は嬉しい気持ちになった。

 いずみは早速、布美枝に貴司のことを報告に行った。そして、話は自然と藍子のビー玉事件へ発展した。布美枝は、いずみが赤ん坊の時の話を聞かせてやった。肺炎にかかったいずみは、痰を喉に詰まらせて窒息しそうになった。その時、父が手を突っ込んで痰を掻きだした。布美枝はその父の姿を覚えているから今日の対応ができたと話す。
 東京で働きたいといういずみの希望を父が猛反対している。親が子のことを何よりも心配するのは当然なのだから、喧嘩して家出するようなことはするなと諭す布美枝であった。いずみは突然、運転免許を取得すると言い出した。その理由は、貴司が家を出て行ったら、酒の配達などは自分が手伝わなければならないからだという。強がっていて、素直に表現することをしないのだが、彼女も態度を軟化させたのだ。東京行きを諦めた様子だ。

 布美枝が東京の家に帰って来た。
 茂(向井理)は破顔して、布美枝と藍子の帰宅を出迎えた。
 家の中が思った以上に片付いていていた。はるこ(南明奈)が手伝いに来たことは当然伏せておいて、自分の手柄のように誇る茂。自分がいなくても平気らしいと思い、少々くやしい布美枝であった。

 しかし、茂は一人でいると、一緒に笑う相手がいなくて寂しかったと殊勝なことを言う。屁をしても聞かせる相手がいないのもつまらない、と。
 それを聞いて、茂のそばこそが自分の居場所なのだと思いを強くする布美枝であった。目の前で屁をされるのがむしろ楽しいくらいだった。どんなに貧乏でオンボロな家でも、我が家が一番安心できる場所だと言うのだった。

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 布美枝が気丈に藍子のビー玉を取り出すのを見て、我が子の独立を認めるという展開は少々強引ではないか。あまりに唐突な話で、おもわず口をあんぐりとしてしまいましたよ。数日前の放送で、叔母(有森也実)が藍子への土産にお手玉を持ってくるシーンがあった。たとえばあそこで、お手玉と一緒にビー玉を渡すとか、もしくは「藍子にはお手玉、あんた(甥)にはビー玉よ」と甥に手渡すとか、そういう伏線が1カットがあれば神だったのになぁ(もしかしたら、僕が見落としただけであったのかもしらん。確認はとってない)。

 ビー玉の件は唐突であったけれど、その事件を通して、父が何事か悟るという流れは悪くなかったです。そして、藍子のビー玉掻き出しといずみの痰掻き出し(これも唐突だったな)に符合があり、パタパタと登場人物たちが態度を改めていく流れは小気味良かったです。

 冒頭の父と貴司の対峙シーン。父は、「祖母が一生かけて守ってきた店を大切にしないとは何事だ!?」みたいなことを言います。元は呉服屋だったのに、金物屋をしてみたり(いや、これは計画だけだっけ?)、酒屋にしてみたりという自分の野放図な経営は棚にあげるなよ!・・・と、みなさん正しく突っ込めましたよね?

 しかし、「死人に口なし」とはよく言ったものだ。祖母が生きていたらどう言うか、誰にも本当のところはわからない。けれども、死人に口なしなのだから、父が祖母の気持ちを代弁していると思って疑うものはいない。
 死人の威を借りると、自分の主観的な意見を、必ずしも主観ではいかのように装うことが可能だよね。自分がそういうことをしないように気をつけようと思うし、そういう物言いをする人の意見は割り引いて聞くことにしよう。

 そんなわけで、今夜辺り映画「マイケル・ジャクソン キング・オブ・ポップの素顔」を観に行こうと思っているんだ。マイケル・ジャクソンの元関係者でトラブルを起こした人物が作った映画だという情報をお寄せいただいたけれど、一応どんなもんか見ておこうと思って。

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