根性試しに「ニュー・シネマ・パラダイス」

 映画『ニュー・シネマ・パラダイス』を見た。

 映画の時代設定は、第二次世界大戦終了直後あたりのイタリア。シチリア島の小さな村の映画館「シネマ・パラダイス」の中年映写技師と映画好きの少年の心の交流にかんする物語。やがて少年は成長し、映写技師の勧めもあって村を捨てる。中年になった少年が、自分の人生で得たものと失ったものを回想するという主題。

 古い映画の断片がたくさん出てくるので、映画フェチ垂涎の映画だろう。
 僕はそれほどの映画フェチではない。けれども、この映画は胸を張って良い映画だったと言える。たとえ上演時間が3時間(「完全オリジナル版」)あって、派手なシーンがないので油断すると寝そうになるという弱点はあるものの、この映画を観る前後で、僕は自分の人生に対する姿勢が軌道修正された。今まで右斜め方向(政治的意味ではない)に突き進んでいた僕の人生指針が、少なくとも3度位は正面方向に修正された気がする。

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NHK『ゲゲゲの女房』第102回

 今朝、家の周りでは初めてセミの声を聞いた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第102回めの放送を見ましたよ。

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「プロダクション旗揚げ」

 落ちこぼれアシスタントの菅井(柄本佑)は足を引っ張ってばかりだった。今朝は、完成間際の原稿にコーヒーをこぼしてしまい、経理担当の義姉(愛華みれ)ですら我慢の限界に達した。彼女は茂(向井理)に直談判した。それを偶然耳にした菅井は、自分はクビになると思い込んでしまった。
 茂は、菅井の今気強さ(単調な図形を黙って描き続ける)だけは評価しているという。しかし、それを聞く前に菅井は立ち去ってしまっていた。また、茂は、彼の滑稽な人間味が気に入っているのだった。

 落ち込んだ菅井は、仕事部屋で他のアシスタントに相談したが、彼らも冷淡だった。茂を呼びに行かせたのに、ひとりで帰って来てしまったことを倉田(窪田正孝)になじられる。彼はコーヒー事件を根に持っているのだ。小峰(斎藤工)は、漫画以外にも仕事はあるとぶっきらぼうに言うのだった。

 菅井は自分の机に書置きを残し、辞めるつもりでプロダクションを去った。居なくなった直後、布美枝(松下奈緒)が書置きを見つけた。布美枝は慌てて後を追っていった。
 しかしその時、菅井はまだ家から数メートルしか離れていなかった。上京してきた布美枝の妹・いずみ(朝倉えりか)に家の目の前で声をかけられた。布美枝からの写真や手紙で全アシスタントのことを知っていたいずみは、相手が菅井だと知っていたのだ。そのことが嬉しくなり、また、いずみが自分に惚れていると都合よく解釈した菅井は、何事もなかったかのように仕事に戻った。

 いずみは父(大杉漣)の命令で、布美枝の妊娠とプロダクションの手伝いに来たのだ。彼女は東京ぐらしに憧れていたので、渡りに船だった。父とは1年間の約束だったが、どさくさに紛れて東京に居座ろうという目論見もある。
 茂の大躍進による生活の激変、特に大勢が家に出入りすることで布美枝は精神的に辛い思いをし始めていた。そこへ、故郷の肉親が来てくれたことで、布美枝はほっとひと安心するのだった。

 その頃、鬼太郎のテレビ局への売り込みは失敗していた。豊川(眞島秀和)と船山(風間トオル)は打開案を練っていた。彼らの本命はあくまで鬼太郎なのだが、水木漫画の実績を作るために、まずは「悪魔くん」でスポンサーを獲得する方針に決めた。それが成功すれば、鬼太郎で大勝負に出ようというのだ。
 「悪魔くん」を見せられた船山は、それでは失敗するのではないかと訝しんだ。しかし、豊川は胸を張って「悪魔くん」を推すのだった。

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