NHK『カーネーション』第77回

昨日は会社の有給を使って、岸和田へ取材旅行に出かけた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第77回目の放送を見ましたよ。

南海・岸和田駅の改札前の横断幕

* * *

第14週「明るい未来」

戦争が終わったものの、今度は進駐軍がやって来るというので人々は不安に思った。これまで激しい戦闘をしていた相手が、敗戦国の日本に何をするか分かったものではない。とにかく、アメリカ兵とは顔を合わさず、隠れているのが良いという噂になっていた。

1945年(昭和20年)10月。いよいよ進駐軍が岸和田にもやって来た。
商店街に2人のアメリカ兵が姿を表したという報せが駆け巡り、人々は店の扉を閉めて、奥に隠れた。糸子(尾野真千子)もしっかりと戸締りし、家の者をかくまった。

しかし、優子(花田優里音)と直子(心花)がまだ家に帰ってきていなかった。しかも、間の悪いことに、アメリカ兵たちが糸子の店の前で様子を伺っている所へふたりは帰ってきた。アメリカ兵は、喧嘩している優子と直子をなだめてやろうとした。家の中でその物音を聞いていた糸子は、娘たちを救うために表へ飛び出した。それに合わせて、近所の者たちも得物を持って一斉に表へ出た。一触即発の空気が流れた。

けれども、アメリカ兵たちは噂ほど恐ろしいものではないということが分かった。
喧嘩していた優子と直子は、それぞれ1枚ずつとても大きなチョコレートを貰っておとなしくなった。木岡(上杉祥三)は日本の珍しい土産物として、下駄を売り込むなどして仲良くなった。
アメリカ兵は外国の珍しいものを持ち込んでくれるし、日本の物を買ってくれるので、自分たちにとってありがたい人々であるという認識にすぐに変わった。

闇市にもアメリカからの品物が流入していて重宝した。
闇市では物々交換が主な売買手段だった。糸子は軍事用の布で作った粗末な下着を持ち込んでいたが、それでもありがたがられた。糸子は下着1枚がカネのように思え、あちこちの軍事工場跡から生地をかき集めては大量に下着を縫うのだった。

そんなある日、サエ(黒谷友香)が訪ねてきた。互いの無事を確認すると、ふたりは泣きながら抱き合った。しかし、サエは弟や仲のよかった親戚の男性を戦争で亡くしたのだという。糸子も親しい人々を戦争でなくしていたので、ますます共感しあった。

ところが、お洒落の話になるとサエは急に明るくなった。そして、なぜ女性用の洋服を縫わないのかと、糸子に詰め寄った。サエは食うのを我慢してでもお洒落をしたいと言い出した。街には復員した若い男たちやアメリカ兵が増えてきている。この機会を逃したくはないのだという。
そして何より、いつまでもふさぎこんでいたら、悲しいのと悔しいので死んでしまいそうだと訴えた。男たちが当局の禁止を破ってだんじりを曳いて憂さ晴らしをしたのと同じように、女はお洒落をして憂さ晴らしをしなくてはならないと説得するのだった。

サエが帰った後、糸子はずっと彼女の言葉が気にかかった。そして実際、他にも洋服を求める女性客がいた。確かに糸子も洋服を作りたいのだが、上等な生地がどうしても手に入らないのだ。

悩んでばかりもいられないので、糸子は軍用の生地で洋服を作って見ることにした。ズボン下用の生地で作ったブラウスと、軍服用の生地で作ったスカートをショーウィンドウに飾った。すると、地味で簡素なものであるにもかかわらず、それを求める客が殺到した。

客の中には、馴染みの長谷(中村美律子)もいた。彼女は3人の息子を出征させたはずだが、彼らがどうなったかは聞くに聞けない。結果がどうであれ、良い洋服を作ってやって、彼女を喜ばしてやりたいと思った。

長谷だけではない。糸子は、良い洋服を作って、多くの人々に着せてやりたいと強く思うのだった。

* * *

続きを読む