『カーネーション・ドラマガイド part2』(amazon)には第20週までのあらすじが掲載されており、読むべきかどうか散々迷った挙句、結局読んでしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第98回目の放送を見ましたよ。
1954年(昭和29年)、ある秋の日曜日。戦争が終わり、あっという間に10年が過ぎた。生活も街も、そこで暮らす人々もずいぶんと変わった。
以前は電気店を営んでいた木之元(甲本雅裕)は、輸入雑貨品を扱う「アメリカ商会」を新たに始めた。木之元に言わせれば、最近の電気製品は見ていても売っていてもつまらない。角張ったデザインで、色も画一的だというのだ。店を半分息子(城土井大智)に任せ、木之元は気ままに暮らしている。
木岡(上杉祥三)は頑なに和履物専門店をやっているが、客も少なく、本人も年を取り、もっぱら盆栽いじりに精を出している。隣のオハラ洋裁店で何やらにぎやかな催しを行なっているが、我関せずといった感じである。
そこへ、11歳になった三女・聡子(村崎真彩)がテニスクラブの練習を終えて帰ってきた。聡子も店の騒ぎに気づいたが、特に興味もなく、勝手口から入って2階に上がった。
その日、オハラ洋裁店ではファッションショーが行われていた。モデルは店の常連客が務めた。初めての試みで、素人くさいところも多々あったが、たいへんな盛り上がりだった。特に、チューリップラインやHラインなど、ディオールが発表するデザインを真似た洋服が人気だった。
裏方として、次女・直子(川崎亜沙美)が手伝わされていた。15歳になった直子であったが、店のことやファッションショーにはあまり興味がなかった。音楽係としてレコードを操作するよう命じられていたが、いい加減にこなすばかりで、お菓子を食べながら鉛筆デッサンに熱中していた。彼女の絵の腕前はなかなかのものだった。
17歳の長女・優子(新山千春)は、より一層ファッションショーには興味がなかった。2階の部屋で、油絵制作をしていた。彼女は東京の美術大学への進学を希望しており、その受験勉強の一貫として絵の練習に明け暮れているのだ。
ファッションショーには、北村(ほっしゃん。)も様子を覗きに来た。彼は、過去にウソの噂を業界に流したため、一時はオハラ洋裁店との関係が悪くなっていたが、今では悪びれることもなく顔を出す。むしろ、小原一家の女たちとは仲がよすぎるほどである。
北村が甘い物をご馳走すると言えば、3人の娘たちは喜んでついて行った。
ホットケーキを食べながら、北村は娘たちの将来の夢について聞いてみた。
優子は、プロの絵かきになるかどうかはわからないという。その道が厳しいことを知っているからだ。しかし、絵の勉強は続けたいので、東京の美術大学に行きたいという。
一方、直子は、プロの画家になるという強い希望を持っている。直子は自分の腕前に自信があるのと同時に、姉に対して常に対抗意識を燃やしているのだ。姉が画家になることは難しいと言えば、自分は絶対になってやると応えるのだ。
まだ幼い聡子は、将来の夢も特になく、甘い物を食べるのに夢中だった。
ことごとく意見の対立する優子と直子だが、親の仕事を継ぐ気が全くないという点では一致していた。盆も正月も休みなく働き続ける母親の姿を見て、あのような一生は送りたくないと異口同音に言うのだった。
その日は、北村も小原一家の夕食に加わった。実は、北村は3ヶ月に一度は顔を出し、遠慮するフリをしながら食事していくのが恒例になっていたのだ。千代(麻生祐未)も北村のことを気に入っており、いつも楽しそうにもてなした。
他の者達と違って、糸子(尾野真千子)だけは北村に冷たかった。
糸子は、北村が業界にウソを言いふらし、周防や自分を苦しめたことを恨んでいるのだ。北村は過去のことだといってごまかすが、糸子は一生忘れないと言ってやり返した。
それでも、糸子は北村が頻繁にやってくることを受け入れていたし、家族と仲良くすることにも悪い気はしていなかった。むしろ、手応えのある喧嘩相手として歓迎しているフシもあった。北村が来るとついつい飲み過ぎてしまい、食卓で寝てしまうほどだった。
北村が帰っていく物音で、糸子は目を覚ました。
すると、糸子は起きだしてミシンの前に座った。夜も遅くなったが、これからもう一仕事しようというのだ。
糸子は41歳になっていた。しかし、まだまだこれからだと、自分を奮い立たせるのだった。
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