AKB48の主題歌『365日の紙飛行機』を最初はなんとも思っていなかったのだけれど、さすがに50回近くも毎朝聞いていたら耳に残るようになり、気付いたら鼻歌まで口ずさむようになっていたし、昨夜はついにギターで弾いてみようと思ってスコアを買ったし、夜遅くまで弾き語りの練習をしていたら秋元康の歌詞がすごくいいことに気付いて、「よし、明日の朝は空を見上げて笑顔でいられるように祈ろう」と決意したのだけれど、見事に今朝は寝坊し、その上雨だし、「思い通りにならない日は明日がんばろう」と自分を慰めて二度寝した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第45回めの放送を見ましたよ。
京都のあさ(波瑠)の実家に五代友厚(ディーン・フジオカ)がやって来た。
実家・今井家が日本初の銀行を作るにあたり、政府の役人である五代が協力しているからだ。
あさの弟・久太郎(興津正太郎)は五代を慕い、彼を目標としていた。五代の作った英語の辞書を入手し、英語の勉強に励んでいる。久太郎は、近いうちにアメリカへ留学することが決まっており、銀行について学んでくる予定なのだという。
しかし、あさは今井家が銀行を興す理由がわからなかった。
あさの本音では、銀行は悪しき商売としか思えないのだ。石炭は蒸気機関を動かし、人々の幸福に直結する。一方、あさはカネのせいで苦しむ人をたくさん見てきた。たとえば、貨幣改革の折に自分の銀貨の価値がなくなり、泣いたり怒ったりした人たちを何人も見た。はつ(宮﨑あおい)の嫁ぎ先の山王寺屋も借金が返せなくて夜逃げする羽目になった。
銀行の存在は、カネにまつわる揉め事を増やすことにしかならないのではないかと言うのだ。
その疑問をぶつけられた五代は、カネの一面だけ見ればそれも正しいと同意した。しかし、別の側面を見れば、カネこそが困った人を助ける力になるのだと説明した。
これから時代が代わり、新しい事業があちこちで立ち上がる。何かを始める時には必ずカネが必要であるが、個人ではそれを工面することができない。そこで、銀行が多くのカネを集めておいて貸し出すことが重要だと説いた。
ただし、むやみにカネを貸せば良いというものではない。銀行は、事業を始めようとする人の話をよく聞き、もし問題点があれば指摘して改善を促す。そうすることで事業が成功しやすくなる。事業が成功すれば、借り手は幸せになる。その手助けをするのが銀行だと力説した。志のある人を救うのが銀行であり、志のある人が増えれば、人々も町も元気になる。最終的に人々を元気づけるのが銀行の使命であり、五代の志だと説明した。
あさはその話に感服した。
その時、ちょうど新次郎(玉木宏)と舅・正吉(近藤正臣)もあさの実家に到着した。失くなった祖父・忠政(林与一)の弔問のために訪れたのだ。
あさと五代の話は部屋の外まで聞こえていた。新次郎は五代の話に嫌悪感を抱いた。新次郎は、幼なじみの家が借金のせいで潰れてしまったのを目の当たりにしてから、カネが心底嫌いになっていたからだ。
五代の帰り際、新次郎は密かに彼を呼び止めた。
そして、五代があさに預けていた拳銃を返した。その時、拳銃のおかげで助かったとおざなりの礼を述べた。さらに皮肉を交えて、外国帰りの人は女に親切だと付け加えた。
新次郎の喧嘩腰に、五代も皮肉で答えた。彼は、自分は誰にでも優しいわけではないと言い、あさに対して特別な好意を寄せていることをほのめかした。
五代は、新次郎に睨みつけられながら帰って行った。
翌日、あさとはつは大阪に帰ることになった。新次郎らと同行すると都合がいいからだ。
はつが帰る直前、母・梨江(寺島しのぶ)は小さな包を手渡した。それは梨江のへそくりで、家を買うくらいのカネにはなるという。百姓から借りている家を出て、生活を立て直せというのだ。特に梨江は、山王寺屋が潰れる前、はつと惣兵衛(柄本佑)が金の無心に来た時のことを気にしていた。その時に援助を断ったのだ。
しかし、はつは遠慮した。家を守りきれなかったのは自分のせいであり、梨江が気にすることではないというのだ。
それに、はつは嫁入り前に梨江から手作りのお守り袋を貰っている。それがあれば十分なのだという。お守り袋と一緒に、梨江からは「あんたは幸せになれる」と言われたことをいつも思い出しているという。
確かに、はつは不安で押し潰れそうになることもあると打ち明けた。いつ借金取りに見つかるかと怯えているし、働いても働いても金はたまらない。息子・藍之助の将来も不安である。しかし、不安になる度に母から貰ったお守り袋と言葉を思い出している。それがあればどんな苦労も乗りきれるというのだ。
はつの健気な言葉に梨江は涙した。健気なはつに対して、それ以上金を押し付けようとはしなかった。
こうして、あさとはつは大阪の家へそれぞれ帰って行った。
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