NHK『ゲゲゲの女房』第111回

 家にクーラーのないあたりは現在の村井家と同じ当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第111回めの放送を見ましたよ。

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「鬼太郎ブームがはじまった」

 新人漫画賞の結果が発表された。自信満々だった倉田(窪田正孝)であったが、佳作にすぎなかった。倉田は激しく落ち込んだ。大賞受賞者しかデビューさせてもらえないので、彼はまだまだ下積みを続けなければならないのだ。アシスタントの給料では実家への仕送りが大変なことに加え、もう一つ見ていた夢が破れたのだ。

 家にかかってきた電話にいずみ(朝倉えりか)が出てみると、それは実家の父(大杉漣)からだった。帰郷して見合いをするようしつこく言ってきているのだ。いずみは強く反抗している。布美枝(松下奈緒)は、いずみが東京で何をやりたいのか希望を聞いてみた。それに合わせて、いずみを弁護してやろうとしているのだ。
 しかし、いずみは自分自身の将来像を見失いつつあった。要領を得ない説明であったが、どうやら好きな人がいて、その男との関係が進展しないことを悩んでいるようであった。布美枝は、相手が倉田かもしれないと気づき始めるが、確かめる前にいずみは消えてしまった。

 漫画賞のショックで、倉田は仕事にも身が入らない。庭で休憩していると、洗濯物を取り込むいずみがやって来た。今回の漫画賞への投稿は、いずみが郵便を出しに行ってくれた。その礼は、「金で買えない素敵なもの」にするという約束をしていた。顔を見るたびに催促するいずみ。
 しかし、倉田はまだお礼を準備できていないという。煮え切らない態度の倉田に対して、いずみは鎌をかけるつもりで、見合い話が持ち上がっていると告げた。倉田は当惑しながら、結婚祝いも一緒に贈らなくてはならなくなったと軽口を叩く。彼のつれない素振りに腹を立てたいずみは、急いで洗濯物を取り込むと部屋に駆け込み、泣き出すのだった。
 倉田は、新人漫画賞の大賞が取れたら、いずみに一番最初に知らせるつもりだった。それこそが、金では買えない素敵な贈り物だと思っていたのだ。しかし、それがかなわず、倉田も困惑していたのだった。

 数日後、過去に下宿していた中森(中村靖日)がやって来た。彼から、布美枝がどんなに茂(向井理)の支えになっていたかを聞いたいずみは、布美枝に謝る。何日か前に、夫に依存して生きているだけだと罵倒したことがあったのだ。布美枝は特に気にしていなかったと言いながら、むしろ最近は茂が忙しすぎてまともに向き合えないことを寂しく思うと話すのだった。

 布美枝はそれを口火にして、いずみに倉田のことを聞いてみようとした。しかし、邪魔が入った。
 浦木(杉浦太陽)が、『ゼタ』が窮地に立たされているという噂を持ってきたのだ。

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NHK『ゲゲゲの女房』第110回

 右袖にゲゲゲのブログパーツを設置した当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第110回めの放送を見ましたよ。

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「鬼太郎ブームがはじまった」

 『少年ランド』の北村(加治将樹)が原稿を持ち帰った。彼のことをいずみ(朝倉えりか)を巡るライバルだと敵視している菅井(柄本佑)は、居間で倉田(窪田正孝)に相談を持ちかけていた。そこへ偶然いずみが顔を出した。先日、倉田の自作漫画を郵便局に届けに行ったお礼をまだもらっていないと催促するいずみ。倉田はドギマギして逃げ出してしまった。

 その時、渡したばかりの原稿にミスがあることが発覚した。毎日、仕事の後に自作漫画を描いているせいで、倉田がボンヤリしていたことが原因だ。またしてもいずみが倉田の代わりに差し替え原稿を編集部に届けることになった。

 いずみは、初めて見る編集部の活気ある様子に心奪われた。
 帰りしな、ビルの中で加納郁子(桜田聖子)に出くわした。彼女は『ゼタ』に携わる一方で、婦人雑誌のライターをやっているという。女性でありながら颯爽と働く姿に、いずみは大きなあこがれを抱いた。

 その頃、『ゼタ』の深沢(村上弘明)の元には、大手出版社の浜野(小木茂光)が来て、提携を持ちかけていた。

 家に帰って来たいずみは、出版社で見聞してきたことを楽しそうに布美枝(松下奈緒)に話した。加納が他社で記事を書いていることを気がかりに思う布美枝であったが、あまり詳しいことはわからなかった。
 布美枝は、父(大杉漣)から電話があったこと、いずみの見合い話が進みつつあることを知らせた。自分の進路を勝手に決められることに反発するいずみ。頑なに拒否するいずみの態度を見て、布美枝は東京に好きな男でもいるのではないかと聞いてみるが、いずみはきっぱりと否定した。
 さらにいずみは、今は女性も外に出て働く時代なのだと主張する。加えて、布美枝は夫に依存しなくては生きていけない、古いタイプの女性だと心ないことを言ってしまった。

 いずみの将来を心配する気持ちと、ひどい言われ方をしたショックで、布美枝は茂(向井理)に話を聞いてもらおうと、仕事場を覗いた。
 茂は一人でいたが、深沢から電話で提携話の相談を受けたり、全く進んでいない「墓場鬼太郎」イメージソングの作詞などでそれどころではなかった。忙しそうにしている茂の姿に、布美枝は何も言い出せなくなってしまった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第109回

 ズバリ二日酔いな当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第109回めの放送を見ましたよ。

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「鬼太郎ブームがはじまった」

 昭和42年初夏。
 自動車を購入したのにあわせて、布美枝(松下奈緒)は自動車学校に通い始めた。

 ある日の午後、倉田(窪田正孝)は郵便局に行きたがっていた。コツコツと書きためた自作漫画を、雑誌の新人コンクールに投稿しようとしているのだ。しかも、締切りは今日の消印までであった。しかし、締切り直前の忙しい時であり、自分の都合で抜け出すことは許される状況ではなかった。

 倉田の窮地に気づいたいずみ(朝倉えりか)が代わりに原稿を出しに行き、無事に締切りに間に合わせることができた。心の底から感謝した倉田は、何かお礼をしたいと申し出た。いずみは、「お金では買えないけれど素敵なもの」が欲しいといたずらっぽく言って、倉田を悩ませるのだった。

 その後しばらくして、『少年ランド』の豊川(眞島秀和)と北村(加治将樹)が来た。人気漫画のイメージソングを作り、レコードを発売する計画を進めているという。漫画原作者が作詞をするという企画趣旨なので、茂(向井理)には『墓場鬼太郎』の詞を作って欲しいという。作詞は苦手なので困りつつも、茂は引き受けてしまった。茂は仕事がなくて苦労した時代があったので、仕事があるだけありがたいと思い全て引き受けてしまうのだ。

 部下の北村は仕事場を離れ、村井家の居間にいた。彼はいずみに惚れているのだ。同様にいずみのことが好きな菅井(柄本佑)は北村の動きを察知して、追い払いに来た。
 いずみはふたりの感情に気づいていない様子だったので、布美枝がそのことを教え、少々釘を刺す。茂の仕事関係の人々なので、恋愛感情がもつれて支障が出ては困るというのだ。ふたりのことを特になんとも思っていないいずみは、心配いらないと笑い飛ばしてしまった。布美枝は、彼女の軽薄な態度に胸騒ぎがするのであった。

 菅井は倉田を喫茶店に呼び出して、いずみに好意を寄せていることを告白した。ライバルの北村に比べると見劣りする自分をどうすればいいかと相談するのだった。自分には学もないし、金もない。仕事も半人前なので北村にはかなわないし、良家の娘であるいずみにも不釣合であることを思いつめているのだった。
 倉田は菅井に腹を立てる。男たるもの仕事で一本立ちをし、その後に女性に求愛すべきだと考えているのだ。しかし、菅井に向けたその言葉は、同時に倉田自身の胸にも突き刺さった。倉田は急に席を立つと、新たな自作漫画を描くために帰っていってしまった。

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映画『扉をたたく人』を見た

 コネチカット州の大学に勤める白人男性ウォルター(リチャード・ジェンキンス)は、全くうだつが上がらない。発展途上国への経済支援を専門にするが、近年は論文を全く書いていないし、講義内容も20年間変えていない。ピアニストだった妻に先立たれ、唯一彼女の思い出だけを胸に、無気力な毎日を送っている。
 ある日、お情けで共著者に加えてもらった論文の学会発表のため、ニューヨークに行くことになった。第一著者が産休のため、どうしても出張できなくなってしまったのだ。少しも気乗りしないのだが、発表をキャンセルするわけにもいかず、嫌々出かけていった。

 ニューヨークには、ずいぶん前に購入したアパートメントを持っていた。しかし、どこでどう話がもつれたのか、シリアとセネガルからそれぞれやって来た不法滞在のカップルが又借りして住んでいた。所有権を主張してふたりを追い出すウォルターであったが、行き先の無い彼らを不憫に思い、新しい住処が見つかるまで置いてやることにした。

 保守的なアメリカ文化に育ったウォルターと、アフリカ文化をルーツとする彼らの間には当然ぎこちなさがあった。ところがウォルターは、学会での付き合いに馴染めない一方で、シリア人タレク(ハーズ・スレイマン)の打楽器ジャンベに興味が惹かれていく。いつしか、彼と一緒にストリートで演奏するまでになる。

 そんなある日、とても些細な出来事のせいでタレクが警察に逮捕され、不法滞在が大きな問題となった。
 その事件を通して、ウォルターは良き/善き人生とは何かを考え始めるのだった。

扉をたたく人

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NHK『ゲゲゲの女房』第108回

 現在ドラマの中では昭和41年であり、それは俗に言う丙午であり、出生数のグラフ(参考)を見ても驚くべきほど明らかに産み控えがあったわけだが、村井家はそういうことを気にしなかったのか、出生届をちょろまかしたりするのだろうか(年末に生まれたものを、年明けに生まれたかのように記載する)・・・なんて余計なことを考えている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第108回めの放送を見ましたよ。

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「悪魔くん復活」

 布美枝(松下奈緒)は病院で帝王切開することになった。その日は、藍子(篠川桃音)の誕生日であり、クリスマスイブでもある。付き添いのいずみ(朝倉えりか)は病院から電話をかけ、茂(向井理)にお祝いの料理や藍子へのプレゼントの隠し場所などを指示し、あとのことを頼んだ。
 しかし、茂は当日の締切りを2つも抱えており、プロダクション全員が徹夜体制であった。編集者・北村(加治将樹)が早くも原稿を取りに現れ、待ったなしの状態になってしまっていた。

 その夜、布美枝は無事に女の子を出産した。

 翌朝、いずみだけが病院から帰って来た。茂らは徹夜で仕事をし、全員疲れて仕事場で眠っていた。仕事部屋の狭い一角のテーブルには、ご馳走が無残にも食い散らかされていた。藍子も仕事部屋の椅子で眠っていた。藍子にはプレゼントも渡されていなかった。

 いずみは、藍子の誕生日が台無しにされたことに立腹する。唯一目を覚ました倉田(窪田正孝)に不満をぶちまける。少しくらい時間を見つけて、茂本人が病院に顔を出したり、藍子の相手をしてやっても良かったのではないかとまくし立てた。
 しかし、倉田も黙って聞いているわけではなかった。茂は極度の集中力で、命を削って漫画を描いている。少しでも集中が途絶えると、作品が台無しになる。そうなると読者や出版関係者など、多くの人々に迷惑がかかることがなぜわからないのか、と反論するのだった。

 ふたりがちょっと目を離した隙に、藍子がストーブで手を火傷してしまった。その騒ぎを聞きつけた茂は、倉田と一緒に、自分の足で走って藍子を病院に連れていった。タクシーを呼ぶ時間ももどかしかったのだ。
 徹夜明けで疲労の極限にあるはずの倉田だが、処置が終わるまで付き合ってくれた。いずみは自分の落ち度を悔やみ、落ち込んだ。夕方、村井家を去る倉田に苦しい心境を打ち明けた。朝の口論は忘れたかのように、倉田はいずみのことを慰めてくれた。

 年が明けて、昭和42年1月。
 布美枝が赤ん坊を連れて退院、帰宅した。

 藍子の手の傷跡を初めて目にする布美枝に対して、いずみは深く謝る。しかし布美枝は意に介さず、むしろ、いずみの方に心配をかけて申し訳ないと逆に謝るのだった。そのことで、いずみは明るさを取り戻した。

 以前から、布美枝は自動車が欲しいと茂に訴えていたが、彼は聞く耳を持たなかった。しかし、布美枝の退院は、いずみが自家用車を運転して迎えに来た。そのことを不思議に思う布美枝に対して、いずみは事情を説明した。
 藍子が火傷を負ったとき、茂は反省したという。家族に何かあったとき、自動車があれば安心だ。その一件で車を買うことにしたという。藍子の誕生日の一件で、茂のことを悪く思ったいずみだが、心のなかではきちんと家族のことを考えているのだと見直したという。

 その夜、布美枝は久しぶりに茂とふたりっきりで静かな夜を迎えることができた。茂が旧『悪魔くん』のラストに描いた予言の通り、本当に悪魔くんが復活したのが嬉しいと言う布美枝。しかし、茂は予言ははずれたという。予言では7年後に復活するはずだったのに、4年未満で復活してしまった。だから、思い通りではなかったと、茂は冗談を言うのだった。

 次女の名前は、喜子(よしこ)に決まった。

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「日本のいちばん長い日」のキャストがすごい件

 「日本のいちばん長い日」という映画があるらしい。8月7日より劇場公開。
 しかし、明日(7月30日) 20:00 よりNHK-BS1でも放送されるらしい。NHK製作なので放送するのに不思議はないのだが、どうして劇場公開直前にテレビで見せるのかはよくわからない。

 どんな内容の映画(ドラマ)なのか、僕もまだよく理解していない。

東京オリンピックを間近に控え、高度成長のまっただなかにあった昭和38年、東京・銀座の料亭に28人の人々が集まった。終戦を語るためである。終戦当時、政府の中枢にいた人物、軍関係者など、彼らの話から、昭和20年の「長い夏」が多面的に浮かび上がってくる…。当時、文芸春秋の編集部員だった作家・半藤一利が企画したこの座談会をドラマ化。本格的な演技に初挑戦する文化人たちが、長い夏を追体験し、表現していく。

 要するに、戦時中の権力者たちが集まり、太平洋戦争を総括する座談会を行ったという史実をドラマ化したものらしい。

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NHK『ゲゲゲの女房』第107回

 ニンニクをたっぷり入れた天理スタミナラーメンを3日連続で食べたおかげで夏バテっぽいことにはなっていないが、お腹がちょっと緩くなるという副作用の出ている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第107回めの放送を見ましたよ。

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「悪魔くん復活」

 『悪魔くん』の放送を見るために上京した茂の母(竹下景子)は、朝から各方面に口うるさく言って回った。茂(向井理)の朝寝坊を注意したり、仕事場でひとしきり大騒ぎしたりした。
 彼らが境港へ帰って行く時、布美枝(松下奈緒)は義父(風間杜夫)からこっそりと真相を聞かされた。テレビが壊れたから状況したというのは方便で、義母はどうしても茂と一緒に放送を見たかったのだという。布美枝は少し驚きつつも、子を思う母の気持ちがわかるようでもあった。

 その後、『悪魔くん』のテレビ放送は人気を博した。相乗効果で、連載誌の「少年ランド」も100万部の発行部数となり、トップに躍り出た。

 昭和41年12月24日。
 今日はクリスマスイブであり、また、長女・藍子(篠川桃音)の誕生日でもある。布美枝といずみ(朝倉えりか)は、パーティーの準備を進めていた。一方の茂は締切りを2本抱えていて、それどころではなかった。いずみは不満そうであったが、貧乏でお祝いの品を揃えられないのに比べればとても暮らしが良くなったと布美枝は言うのだった。

 仕事は佳境であるが、菅井(柄本佑)の姿が見えなくなった。彼は新年コンサートチケットを2枚用意し、クリスマスにかこつけていずみをデート(デート?デートなのか!?)に誘おうとしているのだ。運悪く藍子に見つかり、チケットを奪われてしまった。慌てて逃げ帰る菅井の姿を見たいずみは、それが自分に宛てられたものだと見抜いた。

 台所に立つ布美枝は、予定日まで半月を残しているのに、急に産気づいた。いずみに付き添われて病院に行ったところ、逆子になっており陣痛も始まったので帝王切開をするという。すぐに手術することになった。
 いずみは茂に電話で報告し、同時に藍子の誕生日のお祝いをするように頼むのであった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第106回

 Amazonアフィリエイトの隠れたメリットは、予期していなかった商品の販売から俺自身が新たな情報を獲得することであり、今朝は「俺俺」(星野智幸)という小説が売れていて、説明文を読んでみたところとても面白そうで興味の惹かれた俺が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第106回めの放送を見ましたよ。

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「悪魔くん復活」

 テレビドラマ『悪魔くん』の放送日。
 茂(向井理)の周囲はみな慌しく、落ち着きがなかった。布美枝(松下奈緒)は放送終了後の宴会の準備を進めていた。
 何の前触れもなく、茂の両親(風間杜夫、竹下景子)が現れた。家のテレビが壊れてしまい、買い換えるくらいなら、いっそ上京して茂と一緒に見ようということになったらしい。母親のことを苦手に思う茂であったが、今日はそのことがあまり気にならないほど喜びに満ちていた。

 いよいよ放送が始まった。人々は固唾を飲んで画面に見入った。放送は大成功だった。
 茂に縁のある人々は、成功した者も落ちぶれた者も、それぞれの場所で、思い思いのやり方で放送を見た。苦楽を共にした者たちは、茂の成功を心の底から喜び、テレビの前で惜しみのない拍手と涙を送るのだった。

 村井家では、放送終了後の宴会が始まろうとしていた。しかし、茂の姿だけが見えない。仕事場に様子を見に行った布美枝は、茂が感極まり涙ぐみながら密かに電話をかけているのを見つけた。相手は戌井(梶原善)であった。
 そもそも『悪魔くん』は戌井の出版社から出ていた作品である。売上が芳しくなく打ち切りになったが、茂と戌井は世紀の大傑作だと信じていた。それがついに全国放送のテレビ番組にまでなったのである。編集者としての戌井の目に狂いはなかったのだと、茂は真の理解者を称えるのだった。
 戌井もその言葉を聞いて、打ち震えていた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第105回

 NHKの連続ミニドラマ『僕がセレブと結婚した方法』で、ゲゲゲのアシスタント・倉田を演じている窪田正孝が漫画家役をやっているのを目にしてぶっ飛んだ当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第105回めの放送を見ましたよ。

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「悪魔くん復活」

 秋から『悪魔くん』のTVドラマが放送されることになった。新連載1回目の原稿のできが良かったので、豊川(眞島秀和)と船山(風間トオル)がすぐに売り込みに行ったのだ。他の番組の企画が没になって代案を探していたという幸運もあり、トントン拍子に話がまとまったのだ。

 ちょうど、雑誌「ゼタ」の原稿を取りに嵐星社の加納(桜田聖子)もやって来た。「エロイムエッサイム」という印象的なフレーズを全面に押し出して流行らせることが肝心であると、鋭い提案を行う。主題歌にそれを取り入れることが決まり、茂(向井理)が作詞することに決まった。

 いずみ(朝倉えりか)は、男たちと肩を並べて働く加納の才色兼備ぶりに憧れを抱く。1年の約束で手伝いに来ているのだが、ずっと東京で暮らしたいという思いを強くした。
 ところが加納は、自分の境遇への不満が高まっていた。テレビ番組に合わせて「ゼタ」でも水木しげる特集を組み、一気に売上を伸ばそうと提案した。しかし、深沢(村上弘明)は最近の茂の忙しさを考えれば、これ以上仕事を頼むわけにはいかないと却下する。雑誌の方向性に関しても、商業主義とは一線を画し、自由奔放な作品を扱う誌面にしたいと考えているのだ。大きな仕事を手掛けたいと思っている加納は、完全にやる気を失ってしまった。

 布美枝(松下奈緒)は、町の知り合いにテレビ番組のことを報告した。あっという間に町中に噂が広がった。そこで初めて知った浦木(杉浦太陽)は、茂の漫画が世間ウケするとは信じられないと言いつつも、上り調子に便乗して一儲けしようと企むのであった。

 昭和41年10月6日(木)、ついに『悪魔くん』の放送日となった。
 夜7時からの30分の番組をじっくりと見るために、水木プロダクションでは大急ぎで仕事を仕上げようとしていた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第104回

 昨日は土用の丑の日で鰻デーだったけれど食べず、今日は売れ残りが値崩れしてんじゃないかなと密かに期待している当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第104回めの放送を見ましたよ。

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「悪魔くん復活」

 新生『悪魔くん』が完成した。原稿を取りに来た北村(加治将樹)は、ストーリーと絵の緻密さをべた褒めする。茂(向井理)も3人のアシスタントたちも鼻が高い。

 原稿を受け取ったのに、北村は村井家の居間で油を売っていた。藍子(篠川桃音)に取り行って、いずみ(朝倉えりか)に近づこうとしているのだ。それに気づいた菅井(柄本佑は彼を追い払い、布美枝(松下奈緒)に忠告する。一方の布美枝も、その態度から菅井もいずみに惚れていることを見抜いた。帰社への道中、北村も菅井の感情に思い至るのだった。

 昼になり、アシスタントたちはそれぞれの弁当を開く。小峰(斎藤工)はおかず付きの綺麗な弁当であった。どうも女の影が見える。布美枝によれば、雨の日に女性が傘を持って迎えに来ていたこともあるという。菅井は店で買ってきたジャムパン、アンパン、クリームパンの3点セットであった。
 倉田(窪田正孝)は、大きな弁当箱にご飯をいっぱいに詰めた日の丸弁当だった。どうやら倉田は実家への仕送りのため、食費を最低限にまで切り詰めているようだ。茂の話によれば、彼は漫画に熱心で、アシスタントの仕事を終えた後、家で遅くまで自分の漫画を描いているという。彼のことが心配になった布美枝は、毎日、家の残り物で味噌汁を振舞うことにした。

 初日、喜ぶ他のアシスタントと違って、倉田は自分のみすぼらしい食事への哀れみだと感づいた。倉田は布美枝の配慮に感謝しつつも、十分な給料の中から自分の意思でやっていることなので気を使わないで欲しいと丁寧に申し出る。しかし、布美枝はやめるつもりはないという。このことは、必ずしも倉田への同情ではないからだという。アシスタントたちが健康で仕事を続けることで、茂の作品の完成度が高まる。今は自分がペンを持って原稿を手伝うことはなくなったが、こういう形で作品作りに貢献したいのだという。
 布美枝の思惑を知り、倉田は彼女の賄いを受け入れることにした。そして、仕事に対する熱意も一段と増した。

 数日後、豊川(眞島秀和)と船山(風間トオル)が家に駆け込んできた。ついに『悪魔くん』のテレビ放映が決定したことを知らせに来たのだ。

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