NHK『ゲゲゲの女房』第94回

 昨日、当方の職場のエライ人のアリガタイお話を拝聴していたところ、「人は得意なことをやってこそ能力が発揮される。『ゲゲゲの女房』の水木しげるは、SF物の依頼を断固として引き受けなかった。その後、自分の得意なジャンルで勝負したのです」などという話が出て、「あのエライ人が見てるんだったら、社内で『ゲゲゲの女房』はオーソライズされたってことだな、俺の毎朝の作業も無駄じゃないってことだな」と勝手に解釈した当方が、「だけど、所長に当blogの存在は告げ口しないでね、お願いだから」と懇願しつつ、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第94回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 大手出版社の週刊漫画誌「少年ランド」に鬼太郎を描く事になり、茂(向井理)は編集者・豊川(眞島秀和)が帰るのを見送ろうともせず、机に向かった。
 「テレビくん」の原稿料は、口座振込みで支払われるという。弱小出版社との付き合いでは手渡しだったので、大手出版社の秩序正しいやり方に布美枝は思わず興奮してしまった。また豊川は、電話を引くよう頼んだで帰っていった。調布にある茂の家まで、毎回通って原稿依頼や打ち合わせをするのは大変なのだ。

 成功のきっかけを掴み、布美枝は有頂天になった。

 布美枝は、深沢(村上弘明)の事務所へ「ゼタ」用の原稿を届けに来た。大手雑誌の仕事が決まったことを報告すると、深沢は大喜びしてくれた。深沢は時代が変わったという手応えを感じていた。すでに漫画は子供だましの二流文化ではない。最近は、大学生も「ゼタ」を熱心に読むようになっている。そこへ、茂の作品が大手出版社を経由して広く世に伝播するのは望ましいことだと、心の底から喜んだ。

 深沢の美人秘書・加納(桜田聖子)だけは、茂の状態を面白くないと感じた。布美枝が帰ったのち、即座に深沢に不満を述べる。「墓場鬼太郎」は、以前に深沢の会社が手がけて出版していたシリーズだ。それが大手出版社に横取りされたように感じるのだ。「ゼタ」では新人賞を設けて新進作家の発掘を行っているが、自分たちが見つけた才能を金の力で大手に引きぬかれてしまう状況を招きかねないと警戒しているのだ。
 しかし、深沢はそんなことは意に介していなかった。奥深いストーリーと斬新な表現の漫画を世に出すことが自分の願いであり、それが実現するなら、自分の会社だろうと他社だろうと関係ないと言い切る度量を持っているのだ。

 通帳を記帳した布美枝は、桁違いの金が振り込まれているのを見つけて、処理間違いが起きていると思った。大手出版社の原稿料は、それほど破格だったのだ。たった32ページの原稿で、貸本1冊を丸々描いた以上の原稿料が支払われるのだから、驚くのも無理がない。
 布美枝は茂に相談して、家に電話を設置することを決めた。

 早速、豊川から原稿依頼の電話連絡が来た。鬼太郎を本誌「少年ランド」で連載することが正式に決まったのだ。

 そうこうしているうちに、「テレビくん」の掲載された雑誌が発売された。すぐに戌井(梶原善)と浦木(杉浦太陽)がやって来て、それぞれ感想を述べる。戌井ができを褒めるのに対して、浦木は冷ややかな反応を示す。古臭い絵柄でオドロオドロしい物が子供に受けるはずがないと言うのだ。この調子では鬼太郎の連載も失敗するから方向転換しろと言い出す浦木。それを聞いた戌井は怒り出し、いつの子供たちも怖いものや不思議なものを好む。それに、日本は明るく豊かな時代に変わりつつあるからこそ、その反動で暗い物語が受け入れられる余地があると主張する。
 戌井もまた、茂の漫画の大ファンなのである。自分の出版社の仕事は後回しにしても良いから、大手の連載に注力しろとまで言うのだった。

 時が流れ、鬼太郎はすでに2回分の連載が発表された。しかし、期待に反して人気はどん底であった。編集会議で茂の漫画は酷評された。編集長の豊川でさえ、編集部員たりの士気低下を抑えることはできなくなっていた。
 同社に出入している浦木は、鬼太郎が窮地に立たされているという噂を布美枝に伝えた。読者アンケートで3回連続最下位になると、連載は打ち切りになるのだ。そうでなくても、すでに2回とも人気が低迷しているので、3回目の原稿は難癖を付けられてボツになる可能性が高いと知らせるのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第93回

 明日の木曜日は、3週間ぶりにサラリーマンNEOの放送が行われるので、今から楽しみにしている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第93回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 茂(向井理)は、「テレビくん」の主人公の顔が奇怪すぎて、かわいらしさが足りない点が失敗だと気づいた。編集者の豊川(眞島秀和)も、摩訶不思議な世界にかわいい顔の子どもが飛び込むというギャップが、人気の契機になるだろうと賛成した。

 構想がまとまり、いよいよ原稿作成にとりかかる茂。しかし、主人公の顔がなかなか決まらない。その上、放送局の様子など、茂はテレビのことを何も知らなくて作業は難航した。

 梅雨で蒸し暑い中、懸命に描き続ける茂のために、布美枝は何か安くて精のつくものを食べさせてやろうと、町の乾物屋に相談に行く。テレビを買ってしまった直後なので、うなぎや干しアワビといった高級食料は買うわけには行かない。餃子なら、野菜でカサを増やして満腹になるし、ニンニクで精もつくとアドバイスをもらった。

 その時、町に古紙回収トラックがやって来た。そこで、あることを思いついて、井戸端会議仲間から古雑誌を大量に貰い受けた。さらに家に帰る途中には、喫茶店などめぼしいところを回って、さらに古雑誌をかき集めた。自転車のカゴと荷台に載り切らないほどに大量の古雑誌が集まった。

 夕食時、布美枝はおそるおそる茂に声をかける。テレビを知らない茂のために、雑誌からテレビに関する記事を集めておいたと言って差し出した。仕事に口出したり、自分の無知を指摘されると茂が怒鳴りだすことを知っているので、布美枝は萎縮しているのだ。
 しかし、食いしん坊の茂が目の前の大量の餃子を後回しにするほど、それらの切り抜きに熱中してしまった。すぐに、より多くの記事を集めてスクラップブックにまとめるよう命じた。その言い方は素っ気無かったが、布美枝には茂が喜んでいることがよくわかった。嬉々としてスクラップブックつくりに没頭した。

 「テレビくん」の主人公の最終スケッチも完成した。ほっぺたが丸くてかわいらしい姿に、布美枝も愉快な気持ちになった。
 そのスケッチを布美枝が一人で見ていると、何もしていないのにテレビのスイッチが入った。食料品のCMが流れる中、テレビくんが自由自在に動き回り、商品を勝手に食べ始める。驚いて見ていると、彼はテレビを飛び出して布美枝の目の前にやってくるのだった。
 そんな幻覚を見ることができるほど、テレビくんのラフスケッチは活き活きとしていて、見るもののイメージを膨らませるものだったのだ。

 梅雨の終盤。豊川が原稿を受け取りにやって来た。難しい表情で、寡黙に読み続ける豊川の横で、茂と布美枝は不安で落ち着かなかった。一通り目を通し終えると、豊川は感情をあえて抑えつけながら好評価を告げた。うやうやしく頭を下げると、原稿を受け取った。茂らがほっとしたところで、豊川は自身の感情の堰を切った。
 豊川は、テレビくんの秘密を唯一知る少年の位置づけが絶妙だという。その少年は貧乏の中で苦労しながら生きている。貧乏で苦しいからこそ夢の世界に憧れる。それを普遍的なテーマとして描きたい茂の意図を豊川は完全に理解したのだ。

 さらにその場で、豊川は次の原稿の依頼を行った。いよいよ、本誌『週刊少年ランド』へ漫画を掲載したいという。最初は読み切り16ページで始めるという。ただし、またしても条件が付いた。奇抜でインパクトのある戦闘シーンのある漫画にして欲しいというのだ。

 一瞬考えを巡らせた茂は、『墓場鬼太郎』を描きたいと答えた。豊川は手を叩いて喜んだ。彼は古くからの茂漫画のファンで、鬼太郎のこともよく知っていたのだ。茂が言い出さなくても、自分から願い出るつもりだったという。トントン拍子で話は進み始めた。

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NHKかんさい特集「天王寺ブロードウェー」に平愛梨

 映画『20世紀少年』で、ヒロイン・遠藤カンナ役に抜擢された女優・平愛梨が、NHKの単発ドラマ「天王寺ブロードウェー」で主演を務めることがわかった。
 同ドラマは、2010年7月30日(金) 20:00 より、NHKの関西地方でのみ放送される(かんさい特集)。

 天王寺ブロードウェー

大阪・下町の檀家さんに愛されて300年。由緒あるこのお寺の唯一の悩み・・・それは「跡継ぎ」がいないこと。
ブロードウェーのミュージカル・スターを夢見る一人娘・楠楓(くすのきかえで)(=・平愛梨)は、お寺を継ぐことに一切興味なし。
しかもあろうことか、アメリカからボーイフレンド・マイケル(=ジェロ)を連れてきたりする。

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NHK『ゲゲゲの女房』第92回

 つかこうへい(つかこうへんさん死去・・・早過ぎる62歳: サンスポ)といえば『蒲田行進曲』を思い出し、本ドラマでも共演する風間杜夫(ヒロインの義父役)と松坂慶子(ヒロインの良き相談相手役)が主要キャストで共演していた(「蒲田行進曲トリオも衝撃: スポニチ)ことを思い出す当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第92回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 戌井(梶原善)の貸本出版社への原稿を徹夜で仕上げ、休む間もなく茂(向井理)は大手出版社の豊川(眞島秀和)から依頼された仕事の構想を練り始めた。自由な作品を描いて良い代わりに、豊川からは「テレビよりも面白いもの」という条件が突きつけられている。ここで期待に応えられないと、二度とチャンスは与えられない。プレッシャーと無理難題を前に、茂の思考は停滞していた。

 原稿を届け終えた布美枝(松下奈緒)が帰宅すると、茂はもらってきたばかりの原稿料を渡すように言いつけた。その上、生活費のためにとっておいた現金も全て奪い取り、何も言わずに慌てて家を出て行った。

 茂が向かった先は質屋だった。有り金全てをカウンターに叩きつけ、中古の白黒テレビを購入した。蒸し暑い中、片腕の茂はテレビを一人で運ぶことはできない。そこへ偶然、茂の家に行く途中だった浦木(杉浦太陽)に出くわし、彼を使役して家までテレビを運んだ。

 ただ働きさせられた浦木は機嫌が悪い。一度断ったのに、大手出版社が二度目の依頼をしてきたのは、彼らの腹いせではないかと勝手な想像をまくし立てる。無理難題を押し付けることで茂を苦しめ、その挙句、原稿をボツにして仕返しをするつもりなのだと言うのだ。自分は広告代理店を始め、その会社にも出入しているからよくわかるという。あまりにやかましいので家から追い出されたが、浦木は心の底から半信半疑なのであった。

 茂は、テレビを知るために、一歩も動くことなくテレビに見入っている。
 藍子(篠川桃音)も不思議そうにテレビを眺める。その姿を見た布美枝は、子どもはテレビの中に小さな世界があると信じているのかもしれないと、何気ない感想を行った。ふと何かが心に引っかかった茂であるが、まだ漠然としていて掴めない。

 夜遅く、家族が寝静まっても、まだ茂はテレビを見続けていた。
 CMのラーメンを見ていて、自分もあんなものが食べたいとぼんやりしていた。すると、自分がテレビの中に入り込んで、宣伝されているラーメンをうまそうに食べる幻覚が見えた。
 その瞬間、茂の頭の中で瞬く間に構想が膨らみ、「テレビくん」というタイトルの物語ができあがった。ついに腰をあげた茂は、仕事机に座り込んで、スラスラとラフスケッチを始めるのだった。

 「テレビくん」は、現実の世界とテレビの中の世界を自由に行き来することのできる子どもが主人公の物語である。テレビを経由して、どこへでも行けるし、好きなものを手に入れることができる。それが現実の世界に大騒動を巻き起こすというあらすじができあがった。茂自身、大きな手応えを感じた。

 約束の日に、豊川がやって来た。「テレビくん」の構想を見せられ、豊川はヒット間違いなしだと太鼓判を押した。子ども達の夢をそのまま写しとったかのような漫画なので、人気が出るに違いないと予測したのだ。

 しかし、どんどんと乗り気になる豊川と半比例するように、茂の顔色が徐々に曇ってきた。「テレビくん」の絵柄に納得がいかなくなってきたのだ。
 ぼんやりと藍子を眺め、彼女の丸くて愛らしい姿を見て、やっと何かがひらめいた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第91回

 朝マックでホットケーキセットを頼んだらフォークがついておらず、ワンセグを見ながら慌ててレジカウンターに戻った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第91回めの放送を見ましたよ。

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「来るべき時が来た」

 梅雨の初め、豊川(眞島秀和)が再び訪ねてきた。どんなジャンルでも良い、茂(向井理)が描きたい作品を32ページ、読み切りで「別冊少年ランド」に掲載するという。その代わり、テレビよりも面白いものを描き、テレビに夢中になっている子供たちを漫画雑誌に取り戻して欲しいと注文が付いた。
 それは、豊川から茂に対する挑戦状であり、試金石でもあった。自由に作品を作れるということは、逆に言えば作家本人の真の実力が試されることである。ここで失敗してしまうと、茂に後はない。それを理解した上で、茂は引き受けることにした。5日後に構想を提案することで話がまとまった。

 茂の仕事部屋を観察した豊川は、精巧な戦艦模型や漫画資料として保管されている大量のスクラップブックに舌を巻く。さらに、茂の描きかけの原稿を見て、緻密で高密度の絵に圧倒された。それは、当時の印刷技術では再現できないほどの細かさだった。茂自身も無駄になることは理解しながらも、自分のやり方なのでやめるつもりはないと言う。

 豊川は、社内では前代未聞の若さで編集長に抜擢され、翌月からその任に就くことになっていた。とはいえ、漫画雑誌編集部は社内でも冷遇されている。自分が編集長に就任したあかつきには、雑誌を大胆に改革し、売上トップを目指すと野望を抱いている。茂の仕事ぶりを間近に見た豊川は、茂の漫画こそが新機軸の中心となる確信を得たのだった。

 布美枝(松下奈緒)は、戌井(梶原善)の貸本出版社へ原稿を届けるついでに、茂に与えられたチャンスの報告をした。自分のことのように喜ぶ戌井であったが、一方で楽観できないことも告げた。豊川からの依頼が茂に与えられた試練であることに布美枝は気付いていなかったのだ。戌井にそのことを説明され、急に不安になる布美枝であった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第90回

 明日はちゃんと参院選挙の投票に行く予定である当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第90回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 大手出版社の編集者・豊川(眞島秀和)からの原稿依頼の内容は以下の通りあった。5月発売の雑誌に32ページの読み切り漫画。ただし、編集長からの命令で、子供たちに大人気の宇宙SF物を描いてもらわなければならない。

 喜んで引き受けようとした瞬間、茂(向井理)は仕事部屋の中のある物に気づいた。そして、仕事をきっぱりと断ってしまった。自分は宇宙SF物は得意ではないというのが理由であった。

 話が終わると、茂は溜まっていた仕事を再開した。豊川が帰るのに気づかないほどの没頭ぶりだった。仕事を断った上、見送りもしようとしない茂の態度に、布美枝(松下奈緒)はひどく恐縮して謝る。しかし、豊川はそれほど意に介するでもなく、茂の仕事姿に何かを感じ取っていた。

 一部始終を見ていた浦木(杉浦太陽)には、テレビも無い生活をしているから人類の初宇宙遊泳などの大ニュースを知らないのだ、そのせいで宇宙物を描くことができないのだろう、となじられる。頭に来た茂は、彼を家から追い出してしまった。
 布美枝も、茂が仕事を断った原因は、宇宙のことを何も知らないからだろうと想像している。そこで、金のことは心配せずに資料を買えば良いと提案した。しかし、茂はかなり虫の居所が悪く、仕事に口出しするなと怒鳴りつけるのだった。

 社に戻った豊川は、茂に断られたことを報告した。編集者たちには、たかが貸本漫画家が大手出版社の仕事を断るとは信じられないことだった。茂は、大舞台で勝負する度胸のない弱虫なのだろうと、編集者たちに嘲笑される。豊川だけは、茂の真意は何か別のところにあると思い、それを知りたいと強く思うのだった。

 夜になったが、布美枝も茂の真意がわからずいたが、やはり世の中の情報に対する知識不足がコンプレックスになっているのだろうと考える。嫁入り道具の一つとして、大切にしていたミシンを金に変え、テレビを買うことを決意する。仕事場を覗き、そのことを相談した。
 しかし、茂は相変わらず不機嫌で、その案を頭ごなしに否定した。すぐに話を打ち切り、夜食を用意するように冷たく言い放つのだった。しかし、茂もさすがに言い過ぎたことを反省し、夜食のカステラをつまみながら本当のことを話し始めた。

 漫画雑誌に移籍した貸本漫画家が、作風を変えて失敗し、消えていった例をたくさん見てきた。自分はその轍を踏まないよう、得意な分野で勝負したい。だから断った、と言うのだ。チャンスだからこそ、失敗しないように万全の備えをしたいというのが茂の意見である。
 それに加えて、豊川の背後で貧乏神(片桐仁)がニタニタ笑っているのが見えたという。貧乏神の罠だと思った茂は、とっさのところで仕事を断ったのだ。

 茂は、豊川の熱意をひしひしと感じたという。彼はきっと再びやってくるという確信を持っていた。
 その予言は的中した。数カ月経った梅雨入りの頃、豊川が訪ねてきた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第89回

 昨夜、ものすごく久しぶりに恒例のアレを送ってもらったのに、悪夢の中で四苦八九した・・・などとオヤジ・ギャグを放つ当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第89回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 布美枝(松下奈緒)とはるこ(南明奈)は、深大寺の茶屋で休憩していた。話題は茂(向井理)のことばかりであった。茂の食いしん坊は父(風間杜夫)譲りであること(父は同じ店で団子、まんじゅうを大食いした)、そばにある墓地は茂のお気に入りの場所であることなどを布美枝が話して聞かせていた。
 はるこは、先日、布美枝に対して漫画家の気持ちなど分からないと暴言を吐いたことを改めて謝った。そして、茂の作品に対する布美枝の見えない貢献を高く評価した。茂自身も自覚していないだろうが、妻として支えているから茂は漫画だけに打ち込むことができ、立派な作品が作れるのであると。野に咲くナズナのうに、目立たないがいつもそばにいて、可憐でありながらたくましいところが布美枝のいいところだと、はるこは言うのだった。

 そして、はるこは勢いのあまり、茂のことが好きだと口走ってしまった。失敗したと思ったはるこは、作家として尊敬している、夫婦として自分の憧れという意味であると、慌ててごまかす。しかし、布美枝は彼女が男女の恋愛感情として茂に惚れていると見抜いた。けれども、彼女の気持ちを慮って、気づかぬふりを突き通すのだった。

 はるこは、これまでの生活とはきっぱり決別して山梨へ帰っていった。上京のきっかけとなった深沢(村上弘明)にはハガキではっきりと断筆を知らせた。彼女の才能を評価していた深沢は残念がるが、漫画家の新陳代謝も仕方のないことだと冷静に受け止める。
 そして、はるこが去った下宿には、茂たちと一緒に写った写真だけが残されていた。

 浦木(杉浦太陽)が茂の家にやって来た。はるこが帰郷することを引き止めたり、自分に知らせたりしなかったのはどういうことかと、泣き崩れながらなじるのであった。

 そんな騒ぎの中、人気漫画雑誌の編集者・豊川(眞島秀和)が訪ねて来た。『別冊・少年ランド』への原稿依頼である。貸本漫画の依頼とは違うスマートで羽振りの良い依頼の仕方、そして何よりも、大手出版社からの依頼ということで、布美枝や浦木は茂以上に緊張してしまう。せっかくのチャンスを無駄にしてほしくないと、布美枝は身を縮こませるのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第88回

 ドラマの中で茂が自分の趣味を押し付けて布美枝を連れて行った映画『ナバロンの要塞』を僕も見たのだが、予想をはるかに上回る面白さで、いやいや見始めた布美枝が茂以上に熱中した気持ちもよくわかった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第88回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 茂(向井理)の両親(風間杜夫、竹下景子)が急に泊まっていくと言い出した。迷惑に思うが、強引に押し切られてしまった。女は女同士、男は男同士、一緒に寝ることになった。

 義母は布美枝(松下奈緒)に、茂は朴念仁で昔から女にモテなかった。だから、はるこ(南明奈)と抱き合っていたのも、色恋沙汰であるはずがないと断言した。また、病気を克服し、40歳を過ぎてから大ヒットした三浦綾子を引き合いに出し、茂にもチャンスはあるかもしれないと言って聞かせる。一方、このまま芽が出なくても、茂のことを見捨てないでくれと頭を下げるのだった。

 父は茂に、小説出版が破談になったことを愚痴る。母は芸術を理解しないのに、余計な口出しばかりするのだと文句を言っている。母の言い分が正しいと思う茂は、仕事をしながら適当に聞き流していた。しかし茂は、昔から小説や劇、映画などを愛好した父の姿に共感する部分もあった。また、金だけを追いかける人生はつまらない、好きなことを追いかけていればあとはなんとかなる、という父の「なんとかなる主義」には特に強く共感するのだった。

 翌日、両親は境港に帰っていった。

 それから数日経ち、はるこが村井家に謝罪と近況報告に来た。
 最後の原稿を描き直し、自信満々で出版社に持っていったが、採用されなかった。ついに漫画家の道は断念し、翌日田舎に帰るのだという。

 はるこは、昔から漫画家になることしか頭になかったので、これからどうやって生きていけばいいか分からない、修行をした3年間も全くの無駄になったと話す。それに対して茂は、人生経験はどこでどのように役に立つか分からない、だからそんなに落ち込む必要もないと言い聞かせる。小さい頃、父は周りから馬鹿にされながらも、小説や劇の話を自分に教えてくれた。それが、今になって漫画を描くタネになっている。父から授かった「なんとかなる主義」で生きているのだと話してやった。

 それを聞いて、はるこは持ち前の明るさを取り戻すことができた。
 東京を離れる前に、一度深大寺に行ってみたいと言い、布美枝を強引に連れて出かけていくのだった。

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アニメ『四畳半神話大系』最終回のエンディングテロップ

スロー再生で読んで、書き起こしてみた。

おやすみ
ごきげんよう
ありがとう
いかかがでした
おしまい
またいつか
ごきげんよう
おつかれさま
おやすみ
またね
またいつか
ごくろうさま
さよなら
ありがとう
おしあわせに
おせわさま
かたじけない
さよなら / またね / ごきげんよう
おせわさま / ごくろうさま / いかがでした
ごきげんよう / さよなら / おしあわせに
おつかれさま / ありがとう / またね
おやすみ / おしまい / ごくろうさま
ありがとう / またいつか / おしまい

分かる人にだけ分かっていただければ。
最終回を見たはずなのに分からないと言う人は、エンディングテロップの黄色い文字を目を凝らして見ること。

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NHK『ゲゲゲの女房』第87回

 先日出かけた郵便局で、火の用心かなにかのポスターに南明奈が起用されているのを見て、「お、なかなかかわいいじゃん」と思った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第87回めの放送を見ましたよ。

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「チャンス到来!?」

 今日は、布美枝(松下奈緒)が義理の父母(風間杜夫、竹下景子)を深大寺へ案内することになっていた。名物そばも食べさせようと思うのだが金が心配だ。出かけてみると、義理の父は無類の食いしん坊で、そばの後に数人前の団子まで食う始末。呆れる布美枝だが、天気の良い3月を満喫する一同だった。

 その頃、漫画雑誌『少年ランド』の編集部では、新機軸を打ち出そうと会議を続けていたが、どうも決め手がない。売れっ子発掘に定評のある豊川(眞島秀和)に意見が求められ、彼は茂(向井理)を推薦した。今までに何度か提案したのだが、その度に貸本漫画は胡散臭く、古臭い、内容も子供向けではないと却下されていたのだ。ところが今回、編集長(長谷川公彦)は、宇宙物のSF漫画を描くという条件で茂の採用を決めた。

 豊川が会議を終えて出てくると、少女漫画誌の編集者(山本圭祐)に呼び止められた。ちょうど、はるこ(南明奈)が原稿を持ってきていて、それを見て欲しいというのだ。豊川の評価は、絵が上手で無難な作品だが、個性がないというものだった。その言葉を好意的に引きとり、少女漫画の編集者は手直ししてもう一度持ってくるように励ました。
 俄然やる気の出てきたはるこであったが、編集者の目論見が別のところにあるのを立ち聞きしてしまい、絶望する。少女誌の編集者は、はるこの絵の上手さにだけ着目し、売れっ子作家のアシスタントに送り込もうと考えていたのだ。はるこにはデビューの見込みがないのである。

 家族が観光にでかけ、一人で仕事をしている茂。そこへ、落ち込んだはるこが訪ねて来た。普段は他人にほとんど関心のない茂であったが、はるこの様子があまりにおかしいのできちんと話を聞くことにした。
 はるこは、3年以内に漫画家として成功するという約束で、親の反対を押し切って状況した。今月がそのタイムリミットであり、がむしゃらに作品作りと持ち込みに取り組んだ。貸本漫画では軌道に乗りかけていたが、今では業界自体が尻すぼみでうまく行っているとは言えない。漫画雑誌に移籍しようとしているが、もうほとんど見込みがない。そこまで言うと、ついにはるこの感情は臨界に達した。

 茂が妻帯者だとわかっていながら、好きだったことを打ち明けた。ただしそれは、プラトニックな恋であり、そばにいれるだけで良かったのだと付け足した。しかし、突然そんな告白をしたことを自分でも驚き、慌てて家を出て行こうとする。その時、手が滑って、自分の原稿の上に茶をこぼしてしまった。
 原稿が汚れてしまったこと、そして、秘めていた思いを口にだしてしまったことで、はるこは感情を抑えつけることができなくなった。涙を流し、茂の胸にすがりつくのだった。

 そこへ、布美枝と両親が帰宅した。ふたりが寄り添っているのを目撃される。はるこを帰した後、茂は整然といきさつを説明する。はるこの境遇をよく知っている布美枝なので、誤解はすぐに解けた。
 しかし、茂の父が、彼女は茂に惚れているに違いないと、不用意に話を蒸し返す。父の意見には誰も耳を貸さないが、布美枝だけは心に引っかかるものがあった。以前に、はるこが茂と一緒に写っている写真を隠し持っていたことを思い出したのだ。

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