NHK『おかえりモネ』第92回

来月、1年半ぶりに音楽教室の発表会に出る予定なのだが、昨日はそのリハーサルに行ってきてめっちゃ楽しかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第92回めの放送を見ましたよ。

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第19週『島へ』

明日美(恒松祐里)からの電話で、百音(清原果耶)の実家のカキ棚が突風により壊滅的な被害を受けたらしいと聞かされた。百音は慌てて家族に電話を掛けるが、誰も出なかった。唯一、妹・未知(蒔田彩珠)から心配はいらないというメッセージが届いただけだった。むしろ、百音は何かを隠されているようにしか思えなかった。

その場にいた菅波(坂口健太郎)は、実家に帰って直接確かめてくるよう促された。百音は東日本大震災のときに家におらず、帰宅したのは1週間後だった。その時に何もできなかったという負い目に苦しめられている。再びそのような後悔をしないようにすべきだというのが菅波の意見だった。

近頃、本土と実家の島の間に橋が開通した。最終の新幹線とタクシーを使えば今夜中に実家に着くことができる。菅波は付き添うことを提案したが、百音は一人で行きたいと言ってきっぱり断った。

百音は、帰省前に仕事先に断りを入れた。本来なら翌朝はテレビ局での仕事があったはずだが、先日の台風の解説が放送されることになり、百音の中継コーナーは休止となっていた。番組に穴を開けずに休むことができる。

事情を聞いた朝岡(西島秀俊)は、応援しつつも懸念を示した。
身近な人々と密接な関係を築いて気象や防災の仕事をすることは、ときに残酷な思いをすることがある。被害を防げなかった時、自責の念にかられて苦しむことになりかねない。そのことに百音は耐えられるのか心配だというのだ。
百音は、自分に耐えられるかどうか、確かめるためにも実家の様子を見る必要があると言って出発した。

タクシーで橋を渡り、百音は実家の前に着いた。すると、家には大勢の人々が集まり、にぎやかな声が聞こえてきた。想像とはまったく違う様子に、百音は家に入ることができなかった。

龍己(藤竜也)のカキ棚は壊れ、養殖していたカキも全滅を待つしかなかった。そこで、カキが痛む前に全て出荷してしまおうとしていたのだ。地元の人々が総出で手伝いに来ていた。ついには、余ったカキはみんなで食べてしまおうということになった。
そこには悲壮感はなく、かえって楽しい祭りのような雰囲気だった。

百音は、東日本大震災の1週間後に人々と再会したときのことを思い出した。その時、みなは暗く沈んでいた。それとは対象的に、今目の前の人々は明るく笑いあっていた。
百音は涙がこぼれた。

百音は涙を拭って家に入った。
一同は百音の突然の登場に驚きつつも笑顔になった。

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NHK『おかえりモネ』第91回

今日は、音楽教室の発表会のリハーサル(1年半振り)に行ってくる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第91回めの放送を見ましたよ。

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第19週『島へ』

2019年9月16日(月、祝日)、百音(清原果耶)の実家のそばで突風が発生したらしい。朝岡(西島秀俊)のユーザー参加型サイトに竜巻らしい写真が投稿されていたが、竜巻や突風は現在の気象技術では予測や観測がひじょうに困難である。百音と朝岡は会社に居たが詳しい状況がわからなかった。

百音はすぐに実家に電話をかけた。家のガラス戸が粉々に割れてしまったが、家族は全員在宅していて怪我などはなかったという。百音はひとまず安心した。

百音は、全国に気象予報士を派遣する事業を計画している。それが実現すれば、観測機器では捉えにくい気象の変化を気象予報士が肌で感じて予測したり、事後の検証データを集めることができるだろうにと思いを強くするのだった。

仕事を終えた百音は、コインランドリーで選択しているうちに居眠りしてしまった。目を覚ますと、菅波(坂口健太郎)が居た。疲れている百音を気遣って、自然に起きるのを待っていたのだという。
菅波は登米から上京することを予告していたが、具体的な日付は伝えてなかった。今日はちょうど祝日で仕事が休みだし、翌17日は百音の誕生日だからそれに合わせたのだと説明した。

「誕生日」という言葉からは結婚のプロポーズが連想された。両者とも口には出さなかったが、素振りから双方がそれを意識していることは明らかだった。菅波は、百音の誕生日に言うつもりだなどと口走った。それはほとんどプロポーズしているも同然だった。

意を決した菅波はあらためて百音に結婚を申し込んだ。
百音の痛みを想像することで自分の視野が2倍になったと感じ、自分が成長しているように感じる。だからこれからも一緒に居たいと話した。しかし、その理屈っぽい理由に菅波は自嘲した。
そこで菅波は言い直した。百音の顔を見れば嬉しいし、声を聞けば安らぐ。離れる時はもっと一緒に居たいと感じる。この先、1分1秒でも長く一緒にいるために結婚したいと話した。

ただし菅波は、返事を急かすことはなかった。百音には自身のキャリアプランもあることだろうから、ゆっくり考えることを促した。
加えて、菅波は東京の大学病院に呼び戻されることになったと打ち明けた。そうなれば東京で一緒に暮らせることになる。一方で菅波は、百音が地元に帰ることを考え始めていることも知っている。百音が宮城に帰ることになれば、結局ふたりは入れ違いになってしまうことになる。
そのようなわけで、菅波は百音によく考えて欲しいと話した。

その時、百音に明日美(恒松祐里)から電話がかかってきた。
明日美が実家の母から聞いた話によると、百音の祖父・龍己(藤竜也)のカキ棚が突風で壊滅的な被害を受けたのだという。

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NHK『おかえりモネ』第90回

昨日、寝間着の短パンを脱いでシャワーに行き、さて短パンを洗濯しようかと思ったらどこを探しても見当たらず、家のあちこちを探したのだけれど見つからず、本当に不可解で妖怪でも出たのかと思うしかない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第90回めの放送を見ましたよ。

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第18週『伝えたい守りたい』

台風が過ぎ去りホッとしていたところ、長野県の番場川が氾濫しそうだと地元の人々からの情報提供があった。普段は枯れている上流の川が増水しており、それは番場川氾濫の予兆だという言い伝えがあるのだという。

百音(清原果耶)ら報道気象班はテレビ放送で警戒を呼びかけるべきだと提案した。しかし、高村デスク(高岡早紀)は裏付けがない限り報道できないと、慎重な姿勢だった。報道気象班は各所と連絡を取り情報収集を行った。

一方、ユーザー参加型気象情報アプリで同じ情報を掴んだ朝岡(西島秀俊)は、ネット動画配信で独自に情報発信することを決めた。テレビ出演を辞めた後SNSのフォロワーは減ってしまったが、まだ残っているフォロワーに拡散を協力してもらえば広く伝わるだろうと目論んだ。
この配信を手伝うために、百音が会社に戻ることになった。百音が機材の操作を行い、朝岡が出演する。

動画配信の準備が整ったのと同じ頃、テレビ局でも番場川氾濫の裏付けがとれた。上流の川がすでに堤防を越えていることや、気象庁が番場川の氾濫警報を発出したのだ。高村は放送の許可を出した。
しかし、急なことでキャスターの準備が整っていなかった。神野(今田美桜)や内田(清水尋也)は台風特別編成が解除され、帰宅する直前だったため普段着に着替えていた。報道局のアナウンサーも準備に20分ほどかかるという。氾濫や避難の情報提供は一刻を争う。たった数分で大きく状況が変わってしまうことがある。高村は焦った。

関係者でドレスアップしていたのは高村だけだった。彼女は、どんなときでもハイヒールとスーツを身に着けているのだ。皆に促され、過去にキャスター経験のある高村が出演することになった。いつも情報の取り扱いには慎重で根拠がなければ報道を許可しない高村であるが、視聴者のためになることなら躊躇しないというのが彼女のポリシーだった。

高村の放送と朝岡の動画配信が始まったのはほぼ同時だった。
いずれも番場川の氾濫と避難の呼びかけを強く行った。

動画配信を終えた百音は一息ついた。
今回は、朝岡が運営するユーザー参加型アプリでいち早く情報を集めることができた。今までのように気象庁やマスメディアからの一方的な情報提供だけでなく、これからは市井の人々が積極的に参与する仕組みが必要だと朝岡は話した。それは、百音が新規事業審査会で提案した「あなたの街の気象予報士」計画にも通じると言う。

一方、百音は、今回の情報発信でどれだけの人々を救えただろうかと気になった。百音にとっては誰かから感謝されたり、自分が役に立ったという実感を持ちたかった。これまで周囲の人から、利己的で打算的だなどと批判されたこともあるが、やはり百音にとってはそれが原動力なのだ。
朝岡は、百音がテレビ局で仕事をした初日のことを思い出した。仙台の突風に関連して、百音は自分の大切な人のために情報を伝えたいと話していた。朝岡によれば、それは百音の変わらない点であり、自身が一番大切だと考えていることである。
これからは人の顔が見える距離感での仕事が求められるだろうと、百音を後押しした。

その時、朝岡のアプリに新たな情報提供があった。
気仙沼で竜巻が発生したという。しかも、百音の故郷である亀島に渡る橋のすぐ近くだという。

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NHK『おかえりモネ』第89回

先日見た『先生、私の隣に座っていただけませんか?』をもう一回観に行きたいと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第89回めの放送を見ましたよ。

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第18週『伝えたい守りたい』

9月15日19時、かつてない大きさの台風12号が静岡県伊豆半島に上陸した。電柱の倒壊による夜間の停電や地下街の浸水など、百音(清原果耶)ら報道気象班には続々と被害状況が知らされてきた。報道気象班は右往左往した。

そんな一同を、テレビ局の高村デスク(高岡早紀)がたしなめた。被害の取りまとめと報道はニュースで取り扱う情報であり、気象班の役割は別にあるというのだ。つまり、過去に起きた被害ではなく、これから起きる可能性のある被害を防ぐよう働きかけることが本務だと思い出させた。
そうして気象班は冷静さを取り戻し、番組では被害を食い止める方法を繰り返し伝えた。

台風は関東を直撃し大雨を降らせたが、22時半ころには落ち着き、警報も解除された。深夜3時には事態が収まり、テレビ局の特別シフトも解除された。
百音たちにはやっと休息時間が与えられた。

百音が帰宅しようとしていたところ、長野在住の視聴者・五十嵐(大方斐紗子)からの電話が取り次がれた。彼女が言うには、裏山にある小川が増水しているという。普段、その川はどんなに雨が降ってもチョロチョロとしか水の流れない川だという。それが昨夜からの雨で水量が大幅に増えているという。村の言い伝えでは、その小川の水が増えると下流の番場川が氾濫するという。

その話を聞いた百音は、朝岡(西島秀俊)が運用中のスマホアプリのことを思い出した。そのアプリは全国のユーザーが身近な気象情報を共有するものである。その中の投稿に、長野にある枯れた川が増水すると下流で氾濫が起きるという言い伝えが書かれていた。それとまったく同じ話だ思われた。

その頃、会社でアプリの情報を見ていた朝岡も続々と同じ情報が投稿されていることに気づいた。観測データを確認すると、確かに長野県の番場川の上流で大量の雨が降っていた。朝岡は危険を感じた。

視聴者・五十嵐との通話を終えた頃、朝岡からテレビ局の報道気象班に連絡があった。長野の番場川が氾濫するおそれを放送で伝えるべきだというのだ。
しかし、高村デスクは同意しかねた。一般の人々による言い伝えでは根拠が薄弱であり、デマの可能性もある。確固とした根拠がなければ放送しないというのが高村のポリシーであった。

朝岡は、異なる大勢の人々が投稿しているわけだから、嘘である可能性は極めて低いと説得した。また、付近で大雨が降ったことは事実であるし、以前に野坂(森田望智)が行った山の調査でもこの付近は保水量が低いことがわかっている。
百音も、昔からの言い伝えは過去の災害を踏まえているものであり、人々を守りたいという思いが込められているものだと訴えた。ゆえに安易に切り捨てるべきではないと主張した。

高村は、確固とした裏付けをとることを条件に放送することに同意した。

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NHK『おかえりモネ』第88回

昨日はぼんやりしていて、まとめ記事の「今日の蒔田彩珠」コーナーを書き忘れた(修正済み)当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第88回めの放送を見ましたよ。

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第18週『伝えたい守りたい』

過去にあまり例がない大きさと強さの台風12号が日本に接近していた。首都圏を直撃し、前例のない激しい風雨をもたらすと予測されていた。気象庁は台風上陸3日前に会見を開いた。こんなことは前代未聞だった。

百音(清原果耶)たち報道班は、台風上陸3日前からテレビ局に詰めることになった。朝の番組以外のニュースなどでも適時的に台風情報を伝えることになったのだ。

百音は裏方として情報収集やキャスターへの伝達などに奔走した。
その際、百音に与えられた使命は、視聴者へいかにして危機感をもたせるかということであった。暴風雨が発生するのはおよそ2日後であり、現在はとても天気が良い。このままでは人々が油断してしまうと懸念された。一度雨が降り出すと、あっという間に危険な雨量になり、避難もままならなくなるおそれがある。人々に早めの警戒や避難を促す必要があった。

しかし、百音はどうすれば人々に警戒感をもたせることができるか考えあぐねてしまった。
短い空き時間に菅波(坂口健太郎)に電話をして相談してみた。すると彼は、少し未来に起きるだろうことを具体的に話すと良いと助言した。たとえば彼は食事を摂りたがらない患者に対して、2-3週間後に体力が落ちて起き上がることができなくなると話すという。この先に何が起きるかイメージできれば落ち着いて行動がとれるようになるのだという。
百音はそのアイディアを受け入れることにした。

台風上陸の前日。
百音はテレビ局にある資料映像の放送を提案した。体験施設で暴風雨にさらされる映像を視聴者に見せたいというのだ。
実際に放送されると、効果がありそうだった。たとえば、シェアハウスの近所に住む住民が放送を見て、菜津(マイコ)を頼って避難してきた。シェアハウスは2階建てで高いところに避難することができ、銭湯も兼ねているため小型発電機もある。もちろん奈津は、避難してきた人たちを受け入れた。

そして、上陸前日の15時30分。一都六県に同時に大雨特別警報が発令された。このようなことは前例がなかった。

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NHK『おかえりモネ』第87回

いろいろな事情により今日は仕事を休んでいる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第87回めの放送を見ましたよ。

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第18週『伝えたい守りたい』

百音(清原果耶)は、会社の新規事業審査会で「あなたの街の気象予報士: 全国津々浦々計画」を発表した。各地域のことを熟知した気象予報士を配置し、地域密着型気象サービスを提供するというものである。気象庁や放送局の気象予報士が提供する気象情報よりもきめ細やかな情報提供をしようという計画である。

小規模事業者のコンサルタントを行ったり、医療や自治体と連携して避難誘導を行う点が目新しい点であった。
この着想には、百音の実家のカキ養殖などが念頭にあった。加えて、菅波(坂口健太郎)が地域医療に注力していることもヒントになった。百音と菅波が会えるのは2ヶ月に一度くらいしかなかったが、会うたびにこの計画について相談ばかりしていた。菜津(マイコ)は、会える時間は短いのに仕事の話ばかりしている二人のことを心配した。しかし、本人たちはこの計画にのめり込んでいて、まったく苦にならなかった。

安西社長(井上順)ら、幹部は百音の計画の新規性を褒めた。
しかし、自分たちの会社だけで全国に気象予報士のネットワークを構築することの難しさが指摘された。計画を実現するためには、途方も無い数の気象予報士が必要になるからだ。
結論は保留され、継続して審議されることになった。

ある日、百音がテレビ番組の仕事を終えると未知(蒔田彩珠)から電話があった。家で母・亜哉子(鈴木京香)と父・耕治(内野聖陽)が揉めているのだと言う。

亜哉子は民宿を再開したいと考えていた。それは、亡き祖母・雅代(竹下景子)のライフワークだった仕事だ。家族にとってもにぎやかで楽しい思い出となっている。島と本土を結ぶ橋が開通し、観光客も大勢訪れるようになった。今こそ民宿を再開するときだと亜哉子は思ったのだ。

しかし、耕治は反対した。亜哉子ひとりで切り盛りすることは難しというのが理由だった。耕治は銀行、未知は水産試験場、祖父・龍己(藤竜也)はカキ養殖と、それぞれが仕事をしている。民宿を経営するには手が足りないというのだ。
龍己のカキ養殖が一家の中心である。むしろ、亜哉子が高齢の龍己を手伝うべきだと主張した。
亜哉子は自分の希望が受け入れられず落ち込んでしまった。

未知は、亜哉子がかわいそうだと話した。カキ養殖の手伝いならば未知ができることであり、亜哉子に押し付けることではないからだ。
そこまで話すと未知の出勤時間となり、話は打ち切られた。

9月10日すぎ、台風12号が発生し猛烈な勢いで発達しながら日本に近づいていた。
朝の情報番組『あさキラッ』では、台風情報をメインに伝えることとし、百音の中継コーナーはしばらく休止となった。百音は、自分のコーナーがなくなることで、かえって視聴者には緊迫感が伝わるだろうと意に介さなかった。

百音の所属会社・ウェザーエキスパーツでも台風12号対策室が設けられ、にわかに慌ただしくなった。

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NHK『おかえりモネ』第85回

季節の変わり目のせいか、寝ても寝ても眠たい当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第85回めの放送を見ましたよ。

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第17週『わたしたちに出来ること』

神野(今田美桜)は百音(清原果耶)のシェアハウスで愚痴っていた。
自分はこれまでの生涯で傷ついたことがないので人間性の深みがなく、それが弱点だと言うのだ。たとえば、百音は東日本大震災でつらい思いをしたことが強みになっていると話した。

それをそばで聞いていた菜津(マイコ)が神野をたしなめた。
奈津はシェアハウスで引きこもり生活を続ける宇田川を念頭に話しているのだと、百音にはすぐに分かった。世の中には、傷ついて動けなくなった人もいる。そういった辛い思いをしている人のことに思いを馳せ、いたわって欲しいと話した。
神野はその言葉に納得し、考えを改めた。

次の放送で、神野は天気のせいで苦しんでいる人へ向けてさりげなく優しい言葉をかけた。天候不順で難儀している農家へ翌週には良い方向へ向かうと励ましたり、季節の変わり目の服装のアドバイスを述べたりした。
百音は神野変化をすぐに感じ取った。視聴者のことをよく考えてくれていることが伝わってきて、まるで自愛に満ちた観音のようだと思った。

2017年3月26日(日)になった。菅波(坂口健太郎)の登米赴任まであと1週間である。仕事で引っ越しの準備がまったく手つかずの菅波に代わって、合鍵を持っている百音が部屋の片付けをしていた。電話で菅波は申し訳無さそうに謝った。

百音は仕事で忙しいものは仕方ないと言いながらも、口調にはトゲがあり、すこぶる機嫌が悪かった。
話したいことがたくさんあるのにまったく会えないのが不満だったのだ。特に、百音は自分のキャリアについて菅波に相談したかった。いつか地元に帰って、人々の役に立つことをしたいと思っている。しかし、何をすればいいか思いつかない。登米での地域医療に身を捧げる決意をした菅波に、地域の人々に貢献することについて相談したいとずっと思っているのだ。しかし、それがかなわない。

菅波は、仕事を抜け出して会いに行くと言った。けれども百音は、この後仕事に行かなければならないので時間がないと断った。それでも菅波は引き下がり、百音を会社まで送る15分間だけでも会うことを提案した。

そうしてふたりは、川沿いの道で落ち合った。

百音は菅波に不満をぶちまけた。
翌週には東京と登米に離れてしまうのに、近頃は会う時間が無い。離れ離れになることが不安になる。仕事だから仕方ないとわかっているが、少しでも時間を作ってくれるのではないかと待っていた。菅波が少しの時間でも顔を見れることはいいことだと言っていて、百音も同じように思っている。しかし、菅波はちっとも会ってくれなかった。
部屋の合鍵を渡してくれたのだから、会う時間が増えるだろうと期待していたのに、まったくそんなことはなかった。

少し離れたところに立っていた百音は、合鍵を菅波に向かって放り投げた。
普段は目測が苦手で、ドアを通り抜ける時に足をぶつけたり、自分に向かって飛んでくるものを掴むのが苦手な菅波である。しかし、百音から投げられた合鍵はちゃんと掴んで受け取ることができた。

菅波は、離れてしまっても大丈夫だと話した。今後、百音から投げられるもの(物理的であれ、心理的であれ)は全て受け止めると約束した。

百音は菅波に抱きついた。

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NHK『おかえりモネ』第84回

自分の姿が亜矢『戦場の華』のジャケットみたいになってて自嘲した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第84回めの放送を見ましたよ。

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第17週『わたしたちに出来ること』

内田(清水尋也)がキャスターとしてのカメラテストを行った。高村デスク(高岡早紀)によれば、まだ決定ではなく、上層部によるオーディションを後日行ってから決めるという。

神野(今田美桜)はキャスターから降ろされるのだと思い、高村に食ってかかった。自分は外見だけが取り柄であり、笑顔でパペットと掛け合いをすることくらいしか役に立たない人材なのだと卑下した。深刻な場面には似つかわしくない人間だと周囲が思っている証拠だと喚き散らした。

高村はそんな神野をたしなめた。彼女自身も過去に同じ理由で降板させられたことがあるのだと話した。仕事に優劣をつけたり、自分を卑下するべきではないと注意した。高村は神野を見捨てるつもりはないが、その代わり、実力で勝負できるようになれと激励した。

後日、内田がオーディションで採用された。翌月(4月)から番組に出演することになった。
ただし、神野が即降板とはならず、ふたりが日替わりで担当することとなった。2日と3日の割り振りになるが、どちらが多い方を担当するかは様子を見て決めるという。早速、神野は休みだということにして、内田が試験的に出演した。

内田の試験出演は視聴率が良好だった。視聴者からの応援メッセージも神野より多いくらいだった。
それを知った神野は荒れた。興奮して炭酸飲料を振ってしまい、開栓した途端、百音とふたりで頭から浴びてしまった。
ふたりは、百音のシェアハウスの風呂で洗い流すことにした。

入浴後、神野は落ち込んでいた。
神野は、自分が周囲からもチヤホヤされ、なんの苦労もなく生きてきたせいだと話した。実力で勝負しろと言われても、自分には人生経験がなさすぎるのだと話した。挫折や傷ついた経験のある人間こそが強いのだと思っていた。
たとえば、百音は震災を経験して傷ついた。そのようなものが自分にはないのだという。

それをそばで聞いていた菜津(マイコ)は、震災の例を引いたり、傷ついた経験が必要などと軽々しく言うべきではないとたしなめた。

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NHK『おかえりモネ』第83回

なんだか調子が狂って、ますますいろいろサエない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第83回めの放送を見ましたよ。

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第17週『わたしたちに出来ること』

合鍵をもらった百音(清原果耶)は、菅波(坂口健太郎)の部屋で帰りを待っていた。しかし、菅波からはまったく連絡もなかった。百音は仕方なくシェアハウスに帰った。

ずいぶん後になってから菅波から謝罪の電話がかかってきた。病院で仕事が残っており、まだ帰れそうにないという。百音は菅波とゆっくり会ったり、話をしたりできないことを寂しく思っていた。翌月には東京と登米とに離れて暮らすことになり、ますます会うこともままならない。しかし、そのことを口に出すことはしなかった。

その代わり、菅波が登米の診療所に専念することに決めた理由を尋ねた。まだそれを聞いていなかったのだ。
菅波は、人とじっくり時間をかけて向き合ったり、地域医療に貢献することにやりがいを感じ始めていると答えた。百音はもっと掘り下げて話を聞きたいと思っていたが、そこで菅波は仕事に戻る時間になった。話は打ち切られた。
百音の感じるすれ違いが埋まることはなかった。

休日の朝、百音がシェアハウスの食堂で朝食を摂っていると『あさキラッ』の気象班の同僚である内田(清水尋也)が現れた。明日美(恒松祐里)と一緒にスーツを買いに行くのだという。
明日美は、内田が高校生の時にモデルをやっていたと知ってから彼に惹かれているようだった。彼のことを「まもちゃん(本名・衛)」と呼ぶなど、通常以上に親密なことは百音の目にも明らかだった。内田によれば、買い物に誘ったのも明日美の方だという。けれども明日美は、内田はモデルだったくせにファッションセンスが無いから助けてやるのだなどと方便を使って出かけていった。

次の出勤日、放送前の打ち合わせをしていた。
視聴率低迷が自分のせいだと思った神野(今田美桜)は、気象用語の紹介など堅苦しい内容を扱いたいと提案した。神野は自分の外見や言動に説得力がないことが問題だと考えていた。
SNSなどでも可愛らしさばかり取り上げられている。また、気象に関する注意喚起をした日には如実に視聴率が下がるというデータもあった。これらのことは視聴者が神野の専門性を信用していないことの証拠だと考えた。だから、より専門的な話題を扱って、視聴者からの印象を変えたいのだと話した。

神野がこう思ったのは、会社で先日行われた新規事業審査会で見たことにも関連していた。内田や野坂(森田望智)、そして野坂に急遽指名された百音ですら、人前で堂々と自分の専門性に基づいて説得力のある話ができた。しかし、自他共に神野にはそのような能力がないと思っているのだ。それを克服したいと考えていた。

けれども、野坂は神野の良さが失われると言って、用語解説を受け入れようとしなかった。

その時、控室にあるテレビモニタにスタジオの様子が写った。
気象コーナーのセットの前にスーツ姿の内田が立ち、カメラリハーサルを行っていた。

内田をキャスターに推薦したのは朝岡(西島秀俊)だった。朝岡は、内田の外見の頼りなさと優秀な能力という相反する性質に以前から注目していた。
朝岡は新規事業審査会には出席しなかったが、安西(井上順)から内田の首尾と以外なキャラクター性について聞かされた。それは朝岡が以前から抱いていた内田の人物評と合致していた。

それで、朝岡はテレビ局の高村デスク(高岡早紀)に内田の起用を提案したのだ。同時に、元女性キャスターであり自信家でもある高村ならば、役を奪われた神野をうまくフォローできるという目論見もあった。

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NHK『おかえりモネ』第82回

その昔、”Mami’s Family” という山瀬まみ本人も発売当日まで知らされてなかったいう公式グッズの魚型キーホルダーを使っていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おかえりモネ』の第82回めの放送を見ましたよ。

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第17週『わたしたちに出来ること』

百音(清原果耶)の務める気象会社・ウェザーエキスパーツでは定期的に新規事業審査会が開かれる。社員なら誰でも自由に参加でき、安西(井上順)は新しいことが大好きなワンマン社長であり、彼が気に入れば即座に実現することができる。

野坂(森田望智)は、河川の氾濫を防ぐための植樹プロジェクトを提案した。これが4回目のチャレンジだという。
山に植樹することで保水力を高め、河川の氾濫を防ぐというのが提案の骨子だった。地方の自治体には潤沢な予算があるわけでもなく、河川等の改修や災害後の復旧を必ずしもできるわけではない。たった一度の氾濫で自治体が壊滅してしまうこともあり得るため、対策が必要だというのだ。

安西は、防災の重要性は認めつつも、気象会社が樹木に拘る理由がわからないと難色を示した。野坂はそれにうまく答えることができず、会場にいた百音を指名して説明させた。百音は林業に関わっていたからだ。
突然のことに慌てながらも、百音は野坂の弁護を行った。百音は、空と山と海の間で水が循環することが気象のキモであり全く無関係ではないと主張した。加えて、たった一度の災害で街が破壊されるのは悲しいことであり、それを防ぐことが重要だと話した。

安西は百音の話を聞いて納得したものの、野坂の提案を却下した。河川は複数の地方自治体をまたいでいる場合もあり、関与する森林所有者も多数に渡る。彼らの利害を調整し、合意を取り付けるのは難しいという判断だった。野坂は再度チャレンジすることにした。

安西は、野坂が朝岡(西島秀俊)と入れ替わりで関与している番組『あさキラッ』についても言及した。視聴率が低下しているというのは彼の耳にも入っていたのだ。安西は、やはり朝岡でなければうまくやれないのだろうと言うのだった。
会場の片隅でそれを聞いた神野(今田美桜)は自分では力不足だと言われていると感じ、カッとなった。しかし、自分をうまく抑え込み、言い返すことをぐっと堪えた。

続いて、内田(清水尋也)が花粉症対策アプリの提案を行った。すでに社内用WEBからダウンロードして体験できるところまで準備ができていた。花粉に関する様々な情報をスマホで調べることができるアプリである。

このアプリを無料で運用すると聞いて、安西は採算がとれるのか質問した。対して内田は、広告収入で収益をあげると答えた。人々は、食品から家電製品に至るまで、花粉対策のために多くの商品を購入する。その市場規模は1千億円だと試算されている。すでにいくつかの企業にアプローチし、色よい返事も貰っているという。
安西は、内田の提案をその場で採用した。

安西はアプリはもちろん、内田の話術にも感心した。若いのに説得力のある話し方で足、引き込まれてしまうというのだ。
その評価を聞いた神野は、自分の話には説得力がないのだと反省した。

夜、百音はコインランドリーで菅波(坂口健太郎)を待っていた。菅波と約束をし、早い時間に彼のアパートの前で待っていたのだが帰ってこなかったのだ。仕事で忙しいとわかっていても、コインランドリーで待っていれば菅波に会えると思ったのだ。

はたして、菅波が慌ててコインランドリーにやって来た。まだ仕事が終わっておらず、すぐに戻らなくてはならない。
しかし、もうすぐ登米に引っ越すため、ふたりに残された時間は少ない。だから少しでも会いたいと話した。そして、ちょっとでも顔を見ると嬉しくなるのだと言う。

菅波は、鮫のキーホルダーがついた自宅の合鍵を百音に手渡した。

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