「日経平均が4万円を越えたら結婚するんだ」(2021)

今日の日経平均株価の終値は30,084.15円で、NHKの報道によれば3万円を超えるのは1990年8月以来、30年6か月ぶりだそうだ(株価 終値でも3万円超え 30年6か月ぶりの高値; NHK)。

これで思い出したのは、2009年6月に書いた当blogの記事『「日経平均が4万円を越えたら結婚するんだ」(死亡フラグ)』。
その記事の中では、1949年から2009年までの12月31日の日経平均株価の終値(2009年のみ記事を書いた日)をプロットし、Excelで計算した回帰曲線を描いた。
当時の回帰式で計算したところ、日経平均株価が4万円を越えるのは2050年ころと予測された。その時、僕は76歳。がっかりしたもんだ。
当時がっかりしたし、今になって、やっぱり結婚してないことに再度がっかりした。

気を取り直して、今日の3万円越えのデータを使って、再び僕の婚期を予想してみよう。
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成人式の時期になると思い出すこと2021

当ブログで『毎年成人式の時期になると思い出すこと』という記事を書いたのは2014年1月である。
そこでは、2001年1月に山岸俊男氏が産経新聞に寄稿したエッセイを紹介した。彼のエッセイからちょうど20年になるわけだ。その頃に生まれた人々が今年の成人式の対象になるのだなあ。

山岸氏のエッセイのタイトルは『独立心を育まない社会 米国から見た「成人式」』であり、骨子は「オトナたちが準備した式典に新成人たちをおとなしく参加させるのが当然とされている。表向きは成人だと持て囃しながら、実際には彼らを半人前扱いしていることにほかならない。このままでは熾烈な国際競争の中で日本が凋落していくのではないか」ということだ。

今日エッセイを読み返してみて、確かに今の日本は、国際社会の中での地位が低下の一途だなぁと思ったわけで。その原因を成人式のあり方(若年層を半人前扱いすること)だけに求めるのは誤りに違いないとは思うけれど、あながち的外れでもないような気もする。
このエッセイからの20年で、日本の選挙権年齢が18歳に引き下がられたという変化はあったけれど、それで若年層の意識はどう変化したんでしょうね、社会はいい方向に向かうようになったんでしょうかね。

さっき、NHKで「全国の成人式の模様」というニュースを見たのだけれど。
折からのCOVID-19の感染拡大に伴って、今年は大きくやり方を変えた自治体が多いそうで。特に僕の目についたのは、ドライブスルー方式で記念品だけ受け取る方式や、広大な敷地に車で乗り付けて社内から式典に参加するというもの(それぞれどこの自治体だったかは忘れた)。そうすることで人々の密集を避けることができるのだという。悪くない。
悪くないんだけれど、先の山岸氏のエッセイに照らすと、そのアイディアがオトナから出てきたのか、新成人から出てきたものなのかは解説されなかった。まぁ、たぶん「オトナから」だと思うんだけれど。

そしてそのニュースを見ていて一番驚いたのは、映像に写っている多くの新成人が親と一緒に参加しているらしかったこと。20歳では免許や自分用の車を所持しているとは限らないので、家族に連れてきてもらうことは仕方ないことだとは思う。わかる。わかるし、家族の仲が良いことは羨ましんだけれど、親同伴の成人ってのもいかがなもんかねぇと思わないでもない。まだ半人前かよ、と。親が子離れできないのか、その逆なのかはわからないけれど。

僕は小学生の頃から親に授業参観にすら来てほしくなかったタイプだし、実家にはほとんど寄り付かないし、電話かかってきてもすげぇ塩対応だし、幼馴染からは「永遠の反抗期」と呼ばれるほどであるし、自分に子もないので、今日の親子関係のことはよくわかりませんが。
よくわからないけれど、情けねぇなぁと。

「情けねぇなぁ」まで言ってしまったけれど、そこでなんとか踏みとどまった。
そこから先の「なら、俺が鍛え直してやる」に行ったらダメだ。それは新成人を半人前扱いしているオトナと一緒じゃん、成人式を自分の好きなようにお膳立てするオトナと一緒じゃん。

新成人をどうこう言う前に、オトナとしての自分の身の振り方をきちんとしようと思った次第でございます。

映画『私をくいとめて』を見た

去年の1月5日、僕は橋本愛さんの夢を見た。それからというもの、橋本愛さんのことが気になって仕方がない。
一方、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』に激ハマりし、当ブログでまとめ記事を完走して以来、のん(a.k.a 能年玲奈)ちゃんさんのことも大好物である。

この2人が『あまちゃん』以来となる共演で親友役を演じたという話を聞いて、映画『私をくいとめて』を見てきた。映画自体には特に期待していなかったのだけれど、とにかくこの2人が同じ画面に収まるところを見たかった。近所では上映されていなくて、大阪市内まで出かけなければ見ることができなかった。しかも、一番行きやすい難波の映画館では1日1回しか上映されていなかった。
新型コロナウィルスの感染拡大が留まるところを知らず、こんな時に大阪まで行くのもどうかなぁとは思ったものの、とにかくのん&橋本愛を見るために大阪まで行く私を食い止めることはできなかった。緊急事態宣言が発出され、外出が原則すべて禁止になったとしても、きっと僕は大阪まで見に行ったことだろう。とはいえ、緊急事態宣言下では映画館も休業すると思うケド。
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あけおめことよろ2021

あけましておめでとうございます。

碧しのさんを引用しつつ、健康を誓った2020年でしたが、おかげさまでCOVID-19に感染することもなく、無事に新年を迎えることができました。

昨年の3月頃に “マジで新型コロナウィルスはやばいらしい” なんて話になって緊急事態宣言だなんだって言われた時にも「まぁ、4月末くらいには日常に戻るでしょ」なんてノンキに考えていた当方ですが、まさかそのまま年が明けてしまうとは。そればかりか、まだまだ先が見通せなくて、どうなることやらといくぶん仄暗い気分になってきますが。

加えて、当方の最愛の山瀬まみ様のレギュラー番組が次々となくなってしまい(2021年3月に『火曜サプライズ』が終了することが発表されており、このままでは『新婚さんいらっしゃい!』だけになってしまう)、何を楽しみに生きていけばいいのかよくわからなくなったり、ならなかったり。

しかし、新年を迎えたことですし、いつまでもいろんなことに未練がましくメソメソせずに前向きに健康第一で生きていきたいと思います。

本年もよろしくお願いいたします。

NHK『おちょやん』第15回

昨日はマクラを書き忘れた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第15回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

待ち合わせ場所に佇むシズ(篠原涼子)の所へやっと延四郎(片岡松十郎)が現れた。延四郎はシズが来ないものと思っており、彼にとっては嬉しい驚きだった。

シズは、20年前に自分が待ち合わせ場所に行かなかったことを恨んでいるか尋ねた。延四郎は全く恨んでおらず、むしろホッとしたと答えた。当時、延四郎は別れ話をするつもりでいたので、むしろ助かったと言うのだ。シズにはそれが延四郎の優しい嘘だとすぐに指摘した。昔から、延四郎は舞台以外では芝居が下手だと言ってからかった。
シズは、延四郎と別れて女将となったことを少しも後悔していないし、今の自分があるのも修行時代に延四郎の支えがあったからだと述べて感謝した。

こうしてシズと延四郎は禍根を残すことなく別れた。

その日、岡安は大きな団体客の応対をせねばならなかったが、シズ不在のままでうまくやり遂げた。
その最中、女優・高城百合子(井川遥)が岡安を尋ねた。彼女は映画女優に転向するため、奇しくも同じ日に道頓堀を去る。転向が嫌で逃げた時、岡安と千代(杉咲花)に匿ってもらった礼を言いに現れたのだ。皆は忙しくたち振る舞っており、千代に会うことは叶わなかった。百合子は、先代女将・ハナ(宮田圭子)にだけ挨拶をして街を去った。

シズが帰宅すると、千代に礼を述べた。千代がシズの背中を押してくれたから悔いを残さずに延四郎と別れることができると感謝した。

それから1ヶ月後の12月28日、延四郎が亡くなったとの報せがあった。彼は重い病であることを隠して舞台に立ち続け、それが引退の理由であったのだ。
舞台以外では芝居が下手な延四郎にすっかり騙されたと言って、シズは一人密かに泣くのだった。

そして年が明けて大正14年(1925年)になった。
千代の奉公の年季が明けた。千代は、自ら願い出て岡安で働き続けることになった。

朝、まだ岡安が動き出す前、激しく戸を叩く者がいた。
千代が出てみると、それは父・テルヲ(トータス松本)だった。

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NHK『おちょやん』第14回

当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第14回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

千代(杉咲花)は歌舞伎役者・早川延四郎(片岡松十郎)から、女将・シズ(篠原涼子)へ手紙を届けるよう頼まれた。ふたりの仲が道頓堀で悪い噂になり、岡安の商売に影響が出ている。当初、千代はきっぱりと断った。延四郎も諦めざるを得なかった。
しかし、延四郎としばらく話しているうちに情が移ってしまった千代は考えを改め、自ら手紙を引き受けた。

千代は手紙を差し出したが、シズは頑として受け取ろうとしなかった。押し問答の末、シズは手紙を受け取らない理由を説明した。
若い頃のシズは女将修行がうまくいかず、跡継ぎを諦めようとしていた。そんな時、延四郎に「どんくさい子が一生懸命努力し、一人前になっていく姿を見ていると自分の励みにもなる」と言って応援されたという。彼の励ましがなければ、今の自分はなかったと思うほどの恩人である。そのような人物の手紙を読めば会いたくなるに違いない。会いに行けば、岡安も家族も破綻してしまう。だから会いに行かないし、手紙も読まないと述べた。

シズは話を切り上げるため、千代の年季明けの身の振り方に水を向けた。自分の将来すら考えていない千代が、他人の心配などする筋合いはないと叱った。
ぐうの音も出なくなった千代は、ヤケになって手紙をシズの机に置いて立ち去った。物陰から盗み見すると、シズは即座にその手紙を破り捨ててしまった。

いよいよ、延四郎の引退公演の千秋楽の日を迎えた。
その日は別の理由で岡安も大忙しだった。翌日に重要な団体客を迎え入れる準備があったのだ。いつもはのんびりしている夫・宗助(名倉潤)ですら仕事に集中しなければならなかった。娘・みつえ(東野絢香)の舞の稽古にはいつも宗助が付き添っていたが、それもできず、千代が付き添うことになった。

みつえは母の跡を継ぐことを心に決めている。加えて、父から甘やかされたお嬢様育ちであるため勝ち気である。同い年の千代にもきつく当たる。
みつえの気性の激しさは、外の人間にも同様である。ライバル茶屋・福富の一人息子であり幼馴染でもある福助(井上拓哉)の姿を見つけるや否や、シズの悪評を流したことで食ってかかった。また、彼が跡継ぎ修行をせずに下手くそなトランペットで生計を立てようとしていることをバカにした。

福助は、家業の跡継ぎをしたくないのには理由があると話しはじめた。道頓堀での芝居興行は減少傾向にあるという。以前は一日中芝居が行われていたが、今では昼と夜の2回しかない。客の性質も変わり、芝居だけを見て、茶屋に寄らずにサッと帰る人が増えているという。実際、この10年間で多くの芝居茶屋が廃業した。福助から見れば、芝居茶屋に将来性はないのだ。
一方のみつえは、岡安を引き継いでもり立てることを夢見ており、福助の話は気に入らなかった。怒って、福助のトランペットを川に投げ捨てた。
千代にとっては、初めて聞く話で少なからず驚いた。

みつえの稽古の送迎を終えて戻ると、団体客対応の大詰めで岡安はさらに騒がしかった。店の要であるシズはてんてこ舞いである。

そんな中、千代はシズに向かって、団体客のことは自分たちに任せて延四郎に会いに行ってほしいと言い出した。それは、団体客の対応を全て放棄するのと同じことだった。
千代は自分の身の振り方に関してシズから言われた言葉を引用した。曰く、自分がどうしたいかよく考え、それに従って行動しなければ後悔するというものである。千代は、その言葉は千代に向けたのと同時に、シズが自分自身に向けた言葉ではないかと指摘した。会いに行かないことで、シズに後悔してほしくないと言うのである。

千代は、芝居茶屋の将来が暗いという話を聞いて考えたと話した。確かに自分は芝居が好きだし、岡安のことも好きである。だからここにいたい。
しかし、それよりも自分がもっとも優先したいことは、シズに恩返しすることだと述べた。実家が夜逃げして、自分には行き先がなくなった。そんな時に助けてくれたのはシズである。シズがいなければ、今の自分はいなかったに違いない。
自分にとってシズが恩人であることを思えば、シズにとっての恩人である延四郎のことをどう思うかは容易に想像できる。会いに行かなければどれほどの後悔をするかわかると述べた。

話を聞いていた女中連中も千代に同意した。先代女将・ハナ(宮田圭子)も承諾した。夫・宗助は、妻が昔の男に会いに行くなど承知し難かったが、それでは格好がつかないので平静を装って承諾した。

こうして翌朝、シズは延四郎との待ち合わせ場所へ向かった。

その頃、延四郎は興行主の大山鶴蔵(中村雁治郎)と別れの挨拶をしていた。延四郎が妙に早く出発するので訝しく思う大山であったが、気持ちよく送り出そうとした。

その矢先、延四郎が突然倒れた。

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NHK『おちょやん』第13回

2021年2月から放送の始まるNHK大河ドラマ『青天を衝け』に橋本愛さんが主人公・渋沢栄一の妻役で出演するわけだけれど、その役名も千代だと知ったし、みんなの予想に反して杉咲花よりも橋本愛さんの方が好きな当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第13回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

夜店見物の途中、シズ(篠原涼子)は歌舞伎俳優・早川延四郎(片岡松十郎)に偶然出くわした。今回の公演を最後に廃業しようとしている延四郎は、千秋楽の翌朝にもう一度会いたいと願うのだった。
直後、シズの夫・宗助(名倉潤)と娘・みつえ(東野絢香)が迎えに来た。シズは何も答えず立ち去った。

その一部始終は、ライバル芝居茶屋・福富の女中たち(丹下真寿美沢暉蓮藤本くるみ)が盗み見していた。彼女らは尾ひれをつけて、シズが延四郎と逢い引きしていたと街中に噂を流した。
道頓堀では、芝居茶屋の女中と役者の色恋はご法度である。特定の役者や芝居小屋を贔屓している見られ、信用を失うからである。福富の女中らの目論見は見事にあたり、シズの芝居茶屋の客がみるみる減った。

シズへの誹謗が大きな結果を生んだのには遠因があった。当時を知る岡安の女中頭・かめ(楠見薫)によれば、20年前にもシズと延四郎との間には一悶着あったという。

シズが岡安を引き継ぐために女中修行をしていた時分、延四郎と恋仲になった。延四郎は東京に進出することになり、駆け落ち同然でシズを連れて行こうとした。シズもその気になり、道頓堀での興行の千秋楽の翌朝に待ち合わせをしていた。
しかし、すんでのところで先代女将・ハナ(宮田圭子)に止められ、それきりになったのだという。

家中の騒ぎを鎮めるために、シズは自ら皆に語った。
過去にしきたりを破って延四郎と恋仲になりかけたのは事実であると認めた。そのせいで現在、岡安の看板に泥を塗る形になって申し訳ないと深く謝った。
そしてシズは、今まで隠し持っていた延四郎からの手紙を全て焼いてしまい、未練を断ち切った。

岡安への客足が遠のいたとはいえ、皆無ではなかった。千代(杉咲花)は残った客のために芝居小屋の座席を整えていた。そこで、噂の出どころである福富の女中たちと出くわした。
千代は、街の事情通である乞食・小次郎(蟷螂襲)から仕入れた情報を語った。曰く、福富の女中たちも二枚目俳優などとこっそり会っているのだ。それを聞かされた福富の女中たちは大いに慌てた。

仕返しをして気の晴れた千代は岡安に戻ろうとした。その道中、延四郎に捕まった。彼は、これが最後だと言ってシズへの手紙を千代に託そうとした。しかし、千代は頑として受け取らなかった。
その代わり、延四郎に請われ、現在のシズの様子を話してやった。シズが夫と娘に囲まれ、幸せに暮らしていると聞いて延四郎は満足した。

逆に千代は、延四郎が廃業する理由を尋ねた。
延四郎によれば、歌舞伎界は名のある家に生まれないと出世できないという。自分は生まれが悪いため、大阪ではうまくいかなかった。それで東京に行ったが、そこでも苦労が多かった。もう潮時なのだと話した。

そうして寂しそうに立ち去ろうとした延四郎を千代が呼び止めた。

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NHK『おちょやん』第12回

今朝はコンタクトレンズを付けずに裸眼で書いてるので誤字脱字がたくさんあったらごめんなさいと先に謝る当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第12回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

千代(杉咲花)は、街で見つけた高城百合子(井川遥)を岡安に匿った。彼女は何かから逃げている様子であり、また、千代が演劇に憧れるきっかけとなった女優だったからだ。

千代は知らないことだったが、百合子は会社と揉めて飛び出したのだった。
会社は、百合子に映画女優に転向するよう説得していた。しかし、映画は舞台よりも格下だと考えられており、百合子のプライドがそれを許さなかったのである。

岡安で安心した百合子は、千代にお茶子になった理由を聞かれた。
しかし、千代は明確に答えられなかった。親に売られ、これ以外に道はなかったのである。他にやりたいことはないのかと聞かれたが、それも特に思いつかなかった。

逆に、千代は百合子が女優になった理由を尋ねた。
まず百合子は、男に負けたくなかったと答えた。血縁者に頼ることができない境遇であったので、自分ひとりの力で生き抜くために女優になったという。
そして、それよりも大きな理由として、自分自身の内なる声がそう告げたのだと話した。その答えは、千代には想像もつかないことで、よくわからなかった。

千代はよくわからなかったものの、今の百合子には女優を辞めろという内なる声が聞こえているのかお尋ねた。不躾な質問をする千代に対して、百合子は気分を害した。それ以上喋らなくなった。

困った千代は、「私は、ただ、しようと思うことは是非しなくてはならいと思っている」と言った。すると百合子は「神聖な義務を思い出した。私自身に対する義務です」と答えた。
それは、演劇『人形の家』の中のセリフであり、過去に百合子が演じたものだった。その台本を持っている千代はそれを読むために字を覚え、今ではすっかり全て暗記してしまったのだ。百合子も過去の出演作でありながら、セリフをしっかりと覚えていた。ふたりでしばし掛け合いをした。

そのやり取りを通じて百合子はすっかり立ち直り、帰ることにした。
百合子は、芝居が好きなら自分でやってみるべきであり、人は一生に一度は本当にやりたいことをやるべきだと言葉を残して去っていった。

その夜、女将・シズ(篠原涼子)は家族と夜店を覗いていた。髪飾りを探しに言った宗助(名倉潤)とみつえ(東野絢香)を待つ間、石段に座って休んでいた。

その時、同じく夜店見物に来ていた歌舞伎役者・早川延四郎(片岡松十郎)に声をかけられた。20年ぶりの再会であった。
延四郎は何度も手紙を書いたのだが、シズは一度も返事を書かなかった。シズは、今でもそれらを持っているが、延四郎には全て読まずに捨てたと嘘を言った。

延四郎は、自分の興行の千秋楽の翌朝、もう一度ここで会いたいと言った。

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NHK『おちょやん』第11回

スター・ウォーズのスピンオフ連続ドラマ『マンダロリアン』を一気観したせいか、自分がマンダロリアンの一員になる夢を見てしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第11回めの放送を見ましたよ。

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第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

大正13年(1924年)秋。千代(杉咲花)は数え歳で17になり、岡安で奉公をはじめてから8年が経った。

千代はすっかり一人前のお茶子となっていた。得意客の好物をほとんど暗記しているなど、先輩お茶子よりも秀でているところもあった。岡安の本家ではあるが今や勢いの衰えつつある芝居茶屋・福富のお茶子たちに嫌味を言われることもあるが、千代は口先も達者で逆に言い負かすほどである。

岡安は、先代女将・ハナ(宮田圭子)が夫と共に開いた。その夫は早くに亡くなった。ハナは女手一つで店の切り盛りと一人娘・シズ(篠原涼子)の養育を行った。
店の得意客だった宗助(名倉潤)がシズに惚れ込み、婿養子となった。シズと宗助の間には一人娘・みつえ(東野絢香)が生まれた。千代と同い年のみつえは、岡安を継ぐつもりでいる。ハナと宗助はそれを喜んでいるが、シズはどこか面白くなかった。

千代は忙しい仕事の合間を縫って、芝居を盗み見するのが常だった。
今日は、早川延四郎(片岡松十郎)の芝居である。興行の中日を過ぎ、役者たちが疲れて精彩を欠いているのがわかった。そんな中、延四郎だけは張り切っているように見えた。聞けば、この興行は延四郎の最後の公演なのだという。彼は役者を辞めて故郷に帰るのだという。

その日の夜、千代はシズに呼ばれた。
岡安では数え歳で18になると年季明けという決まりになっているという。あと数ヶ月で年が明ければ、千代も年季明けである。身の振り方を考えろというのだ。千代は即座に女中として引き続き働きたいと申し出るが、シズは安易に決めるなと言って受け入れなかった。よく考えずに決めてしまうと後悔する結果になるというのだ。
それで千代はしばらく考えることにした。しかし、自分が本当は何がしたいのかなど考えたことがなかったので困ってしまった。これまではその日を生きることが精一杯で、将来の展望など考える暇もなかったのである。

千代は、道頓堀の乞食たちとも仲良くやっている。余った弁当を彼らに分け与えたりしているのだ。
その日も乞食たちの所へ行くと、頭からボロ布を被った見慣れない乞食がいた。その者は施しなど受けないと言って弁当を受け取ろうとしない。

不審に思って千代がしつこく声をかけると、それは千代の憧れの役者・高城百合子(井川遥)だった。

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NHK『おちょやん』第10回

河内弁の「しくさる」と「けつかる」の違いを学んだ当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第10回めの放送を見ましたよ。

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第2週『道頓堀、ええとこや~』

大切な使いをしくじった千代(毎田暖乃)は女将・シズ(篠原涼子)の逆鱗に触れ、岡安から追い出されることになった。
千代の実家が夜逃げし帰るところがなくなっているという情報は、千代がひとりで出ていった後に岡安に知らされた。クビにしたとはいえ放っておくわけにもいかず、警察に捜索願いを出した。

行き場のない千代は道頓堀の街をさまよった。ついには雨が降り出し、千代は人気のない寺の山門で雨宿りをした。亡き母・サエ(三戸なつめ)の写真と芝居小屋で貰った『人形の家』の台本を眺めながらうずくまっていた。

千代の所在は、岡安の先代・ハナ(宮田圭子)がすぐに見つけた。道頓堀に通じている彼女は、乞食たちを使って捜索させたのだ。警察よりもよほど早かった。
そうして千代は、ハナの仲介で岡安に戻った。

シズは、千代が無事だったことに安堵した。しかし、千代をクビにした手前、冷たい態度を貫いた。
千代は自分の身の上を全て話し、もう一度奉公させてくれるよう懇願した。5歳の時に母が死んだこと、それから家事を全て行っていたこと、学校に行けず読み書きができないこと、父が博打と酒ばかりで苦労させられたこと、継母が妊娠して自分が邪魔者になったこと、残していく弟の世話をしっかり行うことを条件に奉公に出たことを一気にまくし立てた。自分がこうして身を粉にしているのに、父は自分を売った金で博打をして借金をこさえたに違いない。実家の家族の行き先もわからず、自分にはもう帰る場所がないと訴えた。
言いつけられた仕事は全うするし、口答えもしないので助けて欲しいと深く頭を下げた。

さすがのシズもこれ以上放っておくわけにもいかなくなった。こうして、千代はもう一度岡安で雇われることになった。
シズの夫・宗助(名倉潤)も歓迎し、千代に字を教えることを約束してくれた。

一方、座長である天海天海(茂山宗彦)を亡くした天海天海一座は、彼の抜けた穴を埋めつつ公演を続けていた。天海の右腕であった須賀廼家千之助(星田英利)が、天海の役と自分の本来の役を両方演じるというハチャメチャな演出であった。しかし、舞台上で衣装を取り替えて老婆と息子の両方を演じる様子が滑稽で、かえって客席が沸くほどだった。
天海の息子・一平(中須翔真)も父の跡を継ぎ、役者として生きていくことを決意した。舞台の上でも見違えるようになった。客から見てもそれが一平の天職に思われた。

千代の騒動から数日後、天海天海一座は道頓堀での公演を終え、次の巡業先へと旅立っていった。

それから8年後。
千代(杉咲花)は相変わらず岡安のお茶子として懸命に働いていた。

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