ストレスにさらされると過食気味になるというよりは、少食&睡眠過多になる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第9回めの放送を見ましたよ。
33歳で急死した喜劇役者・天海天海(茂山宗彦)の葬儀は、劇場を利用して盛大に行われた。喪主を務めたのは、道頓堀の興行を取り仕切る鶴亀株式会社の社長・大山鶴蔵(中村雁治郎)だった。彼は、天海の死も利用して鶴亀の名をあげようとしているらしかった。
同時に大山社長は、故人の一人息子・一平(中須翔真)を二代目天海天海に襲名させるよう一座にはたらきかけた。
座員たちは、一平が父や芝居のことを嫌っていることはよく知っていた。一平は舞台に上がってもやる気がないし、仮病で休んだりする。襲名させることは普通に考えればありえないことである。しかし、道頓堀の主である大山社長に逆らっては、今後同地で興行を行うことができなくなる。なんとか一平を説得しようと試みることにした。
千代(毎田暖乃)は、女将・シズ(篠原涼子)から使いを命じられた。両手に収まるほどの小さな品物を届けるだけの簡単なものである。
しかし、千代は仕事に身が入らなかった。
故郷の村の小林(烏川耕一)から、実家が夜逃げしたと聞かされたからだ。父・テルヲ(トータス松本)は借金をし、激しい取り立てに苦しめられた末のことだという。
千代は、実家の家計を助けるために奉公に出たはずである。それなのに借金で夜逃げしたとあっては、自分がなんのために家を出たのかわからなくなったのだ。
気落ちしたまま道頓堀川のほとりを歩いていると、一平が橋の上から大きな石を川に投げ込もうとしているところに出くわした。
一平によれば、死んだ父からは絶対に道頓堀川に石を投げ込んではならないと言いつけられていたという。道頓堀川は船で観劇客を連れてくるありがたい川だと言ったそうだ。一平は、父がもう何も言えなくなったのをいいことに反抗しようとしているのだ。
一平は千代に手伝わせ、なんとか二人で石を持ち上げ、川に投げ込んだ。景気のいい水しぶきが上がった。
千代は、自分が居合わせた天海の最期の様子を語った。倒れる直前、天海が気にしていたのは一平のことだったと話してやった。
一平はそれを信じようとはしなかった。母がいないのも、学校に行けないのも、友達がいないのも全て父のせいだと恨み言を述べた。しかし、一平はこみ上げてくるものを抑えることができなくなった。
一方、千代は一平のことが羨ましいと話した。
千代の父・テルヲが、千代に知らせないまま借金を膨らませ夜逃げしたことに比べたら、最期に心配してもらった一平の方が恵まれていると思ったのだ。
そうしているうちに、ふたりは橋の上でおいおいと泣いた。
そんなことがあって、千代の使いはすっかり遅れてしまった。使い先から品物の受け取りを拒否され、千代はそれをそのまま持ち帰るしかなかった。その結果は、シズを激怒させた。
シズが届けさせたものは、珍しい煙管だった。使い先の主人は、その煙管をある人物に餞別として渡すつもりだった。その人物とは、今日限りで廃業する役者であった。今生の別れを惜しんで煙管を渡すつもりだったという。しかし、千代の到着を待つ間に役者は旅立ってしまい、もう行き先はわからないという。
岡安は大きな恨みを買うことになる。
シズは千代を追い出すことを決めた。
翌朝、千代は誰よりも早く起きて出発の準備を整えた。かまどの火を熾し、湯を沸かしておいた。
女中頭・かめ(楠見薫)が現れると別れの挨拶をし、入れ替わりにひとりで家を出た。
身元を引き受けるはずの口入れ屋(藤吉雅人)が岡安に到着した時には、千代はどこにも見当たらなかった。
口入れ屋は、シズにある噂話を告げた。