東海林さだおや中島らも、リリー・フランキーあたりのエッセイをつまみ読みしてアホみたいに笑いたいと思う程度に心がささくれだっている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第34回めの放送を見ましたよ。
あさ(波瑠)に会いに来たはつ(宮﨑あおい)が急に産気づいた。
加野屋は大騒ぎになり、女中たちが総掛かりでお産を手伝った。その結果、はつは無事に男の子を産んだ。
はつは夜逃げしたことを恥じており、そんな自分が会いに来てはあさに迷惑をかけると思い、素性を隠していたはずだった。しかし、お産の騒ぎですっかり正体がばれてしまった。
けれども、加野屋の者は誰もはつを咎め立てたりはしなかった。それどころか、めでたい場面に居合わせることができたと言って大喜びするのだった。
そんな中、あさの義母・よの(風吹ジュン)だけは少々面白くなかった。あさには子供が生まれないのに、姉のはつには子供ができたからだ。本来ならあさではなく、はつが嫁に来るはずだった。そうなっていれば、赤ん坊は自分たちの孫になっていたはずだと言うのだ。
その愚痴をあさが偶然聞いてしまった。
あさは家族の前では何でもない風を装っていたが、内心は傷ついた。
その頃、明治政府は廃藩置県を行った。それに伴い、両替商が旧幕府の藩に貸していた金は政府が肩代わりしてくれることになった。ただし、返還対象となるのは特定の条件を満たす一部のものだけであり、しかも利息なしで50年の分割払いと決められた。
両替商にとっては大損ではあったが、何もないよりはましである。加野屋では条件を満たす債権の洗い出しに大忙しとなった。あさも男たちに混じって帳簿調べに奮闘した。
そんなある日、商人の山屋(南条好輝)が石炭の見本を持ってやって来た。黒光りする石炭の美しさや、実際に燃える様子を目の当たりにし、あさはますます石炭に夢中になった。
山屋の話によれば、その石炭は筑前の鉱山で採れたものだという。その山は質の良い石炭を算出し、埋蔵量も甚大だという。
しかも、その鉱山の持ち主が先日亡くなったという。その人物に子はなく、妻が一人残された。妻は鉱山経営をするつもりもなく、買い手を探しているという。山屋によれば、あさにぴったりの物件だというのだ。
あさは正吉(近藤正臣)に相談した。加野屋の経済状況では言い値を一括で支払うことは無理である。そこで、いくらかの手付金を支払い、残りは分割払いにしてもらう計画を立てた。そのための交渉のため、九州に行きたいと持ちかけた。
正吉は、あさの熱意と先見性を評価していたので、計画に異存は無かった。
ただし、九州へ交渉の旅に出るとなると、1ヶ月近くは家を空けることになる。それだけの間、嫁が家を空けることなど非常識なことである。そうまでして行く覚悟があるなら許可すると正吉は話した。
あさは迷った。そこで即決ができなかった。
その日の夜。珍しく新次郎(玉木宏)が寝室にいた。
あさは、新次郎に妾を囲うよう願い出て、頭を下げた。
それはあさにとって苦渋の選択だった。
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