大竹文雄『競争と公平感: 市場経済の本当のメリット』

アンチ小泉・自民党やら、今日の友愛・民主党やらを支持する世論として「行き過ぎた経済競争が格差を生み出し、人々を不幸にしている」という意見があろう。

それに異を唱えるのが本書。

確かに経済競争によって何らかの損失は生まれることは認める。
しかし、その損失を低減する方法はあるし、多くの場合に現行制度よりもマシな結果をうむだろうことが説明されている。そして、経済競争によって、最終的には人々の生活が豊かになるだろうことを啓発する。

現代経済学のオーソドックスにして学術的な議論に基づきつつも、男女や年齢の格差、非正規雇用の問題、乳幼児教育の是非などが例題として挙がっていて、わかりやすく興味も持ちやすい仕上がりになっている。

一方で、オムニバス的内容で、いまひとつまとまりに欠けるような印象も受ける。この点を逆に評価するとするなら、目次を見て興味のあるところだけつまみ食いするのにもってこい。

続きを読む

NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』第2回

初めての冒険で往路は楽かったのに、帰り道に心細くなってしまう子供というお話に、つい芥川龍之介『トロッコ』を思い出してしまった当方が、『ゲゲゲの女房』の2回目の放送を見ましたよ。

林の中で姿の見えない何者かに追われている気配を感じる布美枝(菊池和澄)。その時、「しげ」と呼ばれる少年と出会う。
彼によれば、足音の正体は「べとべとさん」だという。2人で道の脇にそれ、「べとべとさん、御先にお越し」と唱えて道を譲るとそれっきり足音はしなくなった。
少年は妖怪に詳しく、布美枝が物置で感じたのが「小豆はかり」であること 腹が減っているとヒダル神に取り憑かれて行き倒れてしまうことなどを話してくれた。

その頃、布美枝の家を叔母の輝子(有森也実)が尋ねてきた。小さな女の子が何も言わずにキャラメルを預けていったと聞いたのだが、それは布美枝ではないかと思い確かめに来たのだ。
その時になってやっと布美枝がいなくなっていることに気づき、家は騒動になる。

布美枝は家のそばですぐに発見された。父(大杉漣)は彼女の軽率な行為を叱責する。一方、母(古手川祐子)や祖母(野際陽子)は、叔母が夏風邪をひいたという噂を聞いて見舞いに行ったという布美枝の心優しさを認め、かばってくれた。

続きを読む