木公 について

不良青年になりたいのですが、臆病で不良青年になれない当方です。 幸か不幸か、頭と顔と人格は、生まれつき不良品です。 職業は会社員で、やってることは研究関連。 大学での専攻は心理学。 そのせいかどうか知らないけれど、「理屈っぽいうえに、人の弱みを握ってそこをチクチクやるのが上手い。サイアクー」と言われ、あんまりモテない。 北海道出身のくせにスキーは一度もやったことがない。その上、スポーツ全般が苦手。 太陽光線もあまり浴びないインドア派。酔うとすぐにガンダムの話を始める。おかげで「あなたって、面白みのないオタクね。サイテー」と言われ、まったくモテない。 細かいことはあまり気にせず、ちょっとくらいの困ったことなら適当にジョークにして笑い飛ばすように、日々努力して生きています。 そのおかげで「そういう、明るく生きているところだけは、アナタのいいところかもね」と、ちょっぴりだけお褒めいただいております。

NHK『おひさま』第13回

村下孝蔵の「初恋」(YouTubeで見る)は年代的にちょっとはずれている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第13回目の放送を見ましたよ。

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第3週「初恋」

安曇野から上機嫌で東京に帰った房子(斉藤由貴)であったが、家では相変わらず雑事に追われて徒労感にさいなまれる。ある日、家族全員の帰りが遅いというので、思い切って陽子(若尾文子)の所へ遊びに行くことにした。

陽子が自分のことを少女のように扱ってくれることが、房子には何よりも嬉しかった。そして実際に、房子自身も少女に戻ったような気分になることができた。
陽子の店に、老人が採れたての野菜を持ってやって来た。その老人こそ、現在のタケオ(犬塚弘)だという。本物のタケオに会い、怯える彼の迷惑も省みずに房子は大興奮してしまった。

タケオは去り、陽子の思い出話が再開された。

昭和13年秋。中国で連戦連勝する日本軍に、国中が喜びに沸いた。
陽子(井上真央)も熱に浮かされたように大喜びだった。戦地への慰問袋の作成や、男手のなくなった農家への勤労奉仕など、嫌がらずに喜んで行なった。まだまだ国内は平和で楽しい時代だった。

陽子の唯一の悩みといえば、スカートの寝押しの成否くらいのものだった。失敗すると1日じゅう憂鬱だった。元気のない様子を心配されるも、「男の人にはわからないわ」と意味深な返答をしてしまい、父(寺脇康文)をうろたえさせることもあった。

そんなある日、松本の兄・春樹(田中圭)(中川大志)からハガキが届いた。冬になる前に松本に遊びに来るよう誘う内容だった。特に、川原(金子ノブアキ)も会いたがっていると書き添えてあったことに、陽子は有頂天になってしまった。

嬉しさのあまり踊り呆けている姿を父に見られてしまった。

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今年の家庭菜園

去年は家の庭にアサガオを植えて、ワサワサさせた(こんな感じ)。

花がいっぱい咲いて、種もたくさんできたようだった。しかし、世話をサボってほとんど種を回収しなかった。おそらく大多数がそのまま地べたに落下したものと考えられる。僕はそのまま引っ越してしまったので、今その種がどうなっているかは分からない。僕がいなくなった後、庭ではアサガオだけがたくさん芽を出しているんじゃないかと想像したらオカシイ。

4月から転居して神奈川県民になったわけだが(蛇足だが、当方は道民、府民、県民になったことがあるので、あとは東京都に住めば都民もクリアだ)、この夏は電力不足が心配されている。クーラーなどが使えないため、室内温度が常軌を逸するものと予測される。

元来、暑いのには平気な当方だが、それでもなんだか夏が心配だ。そこで、緑のカーテンを設置することにした。緑のカーテンとは、建物の外壁や窓に張り巡らせたものだ。植物の葉で日よけができる他、蒸散による水分の蒸発で周囲の気温を下げることも期待できるそうだ。緑のカーテンの裏の窓を開ければ、比較的涼しい風も吹きこんでくるらしい(wikipediaで「緑のカーテン」を調べる)。

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NHK『おひさま』第12回

斉藤由貴の「初戀」(YouTubeで見る)を名曲だと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第12回目の放送を見ましたよ。

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第2週「乙女の祈り」

翌朝、おならをしたという濡れ衣をかけられたことを忘れたかのように、陽子(井上真央)はいつもの明るさを取り戻していた。
次兄の茂樹(永山絢斗)が下手人だと白状した。頭に来た陽子は、茂樹の弁当からおかずを減らしてしまう。しかし、彼が飛行隊に入りたがっているという秘密を知ってしまったことに引け目を感じ、そっと元に戻すのだった。

長男の春樹(田中圭)と川原(金子ノブアキ)が松本に帰るという。登校する陽子をふたりが見送ってくれた。陽子は名残り惜しく思いつつも、川原に出会えたことをとても嬉しく思い、彼のことを思い出しては自然と顔がほころぶのだった。

学校の帰り、育子(満島ひかり)、真知子(マイコ)と村上堂に立ち寄り、いつものように買い食いした。新発売のレモン飴のコピー「甘酸っぱい初戀の味はひ」にひかれ、3人でなめてみた。初めて経験する飴の味と、自分の初めての恋の経験を重ねあわせ、えらく興奮するのだった。

陽子は、もう一つ気になることとして、海軍飛行予科練のことを、茂樹のことは伏せたまま、それとなく聞いてみた。友人たちの話によれば、試験に合格するのはかなり難しいという。それを聞いて、あまり優秀とは言えない茂樹なら不合格になるだろうと、安心する陽子だった。

戦争の陰は国中を覆いつつあった。それでもなお、陽子の周辺は、戦争自体を明るく希望に満ちたものだと捉える風潮があった。店を出ると、出征する男達の壮行会が開かれていた。陽子らは、行きずりにも関わらず、その雰囲気にのまれて輪に加わるのだった。

ふと見ると、出征する男達の中に、映画館で陽子に痴漢を働いたタマネギ男(千原せいじ)がいた。目があった男は、気まずそうな顔になり、背を丸めてトボトボと歩き始めた。彼のしょぼくれた姿を見て、陽子は大声でエールを贈った。その声におされて、男は元気を取り戻し、再び堂々とした行進をするのだった。
太陽の陽子である自分は、彼を勇気づける立場にあると思い、彼の罪を許したのだった。

そのあたりまで話を聞くと、房子(斉藤由貴)は夕飯の支度があると言って慌てて帰って行った。また話を聞きに来るから、勝手に一人で話を進めないで欲しいと陽子(若尾文子)に釘を刺して行った。

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NHK『おひさま』第11回

本作のヒロインは1922年(大正11)生まれという設定であり、瀬戸内寂聴と同い年なのだと気づいた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第11回目の放送を見ましたよ。

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第2週「乙女の祈り」

川原(金子ノブアキ)がハーモニカで吹いていたのは「月の砂漠」だった。その曲は、生前の母(原田知世)がよく歌っていたもので、陽子(井上真央)も大好きだった。
長兄の春樹(田中圭)もお気に入りの曲のようで、よく川原に吹いてくれと頼むらしい。そこから寮での春樹の様子についての話になった。川原が言うには、春樹は誰にも言えない悲しみを秘めており、そのせいかとても厳しく自分を律して勉学に励んでいるという。陽子は、一家が安曇野に越してきた夜に春樹がこっそりと泣いていたことを思い出した。

川原に請われ、陽子は伴奏に合わせて歌った。それは楽しい出来事だった。
ただし、後にこの初恋は、他の多くの初恋と同じ運命をたどることになる。

陽子は学校でもそわそわしたり、ぼーっとしたりしている。学校帰りに水飴屋・村上堂に立ち寄り、親友たちに自分の初恋を打ち明けた。みんなは陽子と一緒になって興奮してきた。
つられて、育子(満島ひかり)も自分の恋の遍歴を告白した。初恋は2年前で、これまで3人の男性と交際したという。育子の先進性に驚く一同であったが、後になって全て嘘だと判明した。自分を新しい時代の女性に見せたいと思っている育子は、恋も人並み以上にしていると言わざるを得なかったのだ。
一方、真知子(マイコ)は、恋はしないと決めていると宣言した。許婚がおり、別の男性と恋をしても辛いだけだと言い、そういう家に生まれたのだから仕方がないと納得していた。しかし、真知子も間もなく、つらい恋を経験する事となる。

陽子の家の夕食は、今日も楽しいものだった。春樹や川原の寮のそばで勤務する若い巡査が話題の中心だった。その巡査は年は変わらないが、すでに働いている。彼に比べれば、春樹らが学校に通えることは幸福である。父・良一(寺脇康文)は、世の中には学びたくても学べない人も大勢いる。そういう人々のためにも自分たちがしっかりと勉強し、世の役に立つ人物になるようにと諭すのだった。
話を聞いていた次兄の茂樹(永山絢斗)は、戦地に赴いて国のために戦っている軍人たちのことを思うのだった。

その時、誰かがおならをした。茂樹がからかって陽子のせいにした。川原の前で恥をかかされた陽子は部屋に閉じこもってしまった。茂樹を呪い殺して、自分も後を追って死ぬことを決意した。まだまだ幼稚な恋だったのだ。

呪殺を実行するため、陽子は夜中に茂樹の部屋へ忍んで行った。そこで陽子は、海軍飛行隊の募集広告と教則本を見つけた。陽子は初めて戦争を身近に感じた。そして、兄がこっそりと計画していることを知って、空恐ろしくなった。どうしていいか解らず、陽子は何も見なかったことにした。

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厚木のうた

厚木に住み始めて2週間。すっかりこの土地に愛着が生まれてしまいました。

そんなわけで、木村カエラらが歌う「厚木のうた」をニコニコしながら聞いている当方です。

今日の厚木の気温は20度近くまで上がったようですが、タートルネックにフリースの上着を来て出かけたらものすごく暑かったですよ。厚着し過ぎちゃいましたよ。
ボクの部屋に連れ込む厚着の女の子のアテもあんまりなくて悲しいですよ。

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NHK『おひさま』第10回

通勤路に桜のトンネルがあって、舞い散る花びらの中を車で走るのが楽しい当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第10回目の放送を見ましたよ。

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第2週「乙女の祈り」

国家総動員法が施行され、世相が変わりつつあった。しかし、まだ安曇野には大きな影響もなく、陽子(井上真央)らは平穏な生活を続けていた。特に、大好きな長兄・春樹(田中圭)が帰省するというので、陽子は朝から浮かれているのだった。

帰宅途中、タケオ(柄本時生)の母(角替和枝)に呼び止められた。煮物を分けてくれるという。兄をもてなす料理が増えて、陽子は喜んだ。
タケオの陽子に対する片思いを知っている母は、料理を教えてやるから嫁に来いとカマをかける。等のタケオはその様子を物陰から固唾を飲んで見守っていた。しかし、陽子はそれを単なる冗談だと思い、笑い飛ばしてしまった。陽子は、結婚だとか恋愛といったことを真剣に考えたことは一度もないのだ。

家中を掃除し、夕食の支度もすっかり整った頃、春樹が親友の川原(金子ノブアキ)を連れて帰ってきた。

陽子はハンサムな川原に一目惚れしてしまった。それが陽子の初恋だった。

川原の実家は医者だが、自分は医者になるつもりはないという。旧制高校卒業後は満州に渡り、親戚のいる新聞社で働く予定だという。アメリカと同じように、満州はアジアの諸民族が共存する理想的国家であると考え、その行く末を現地で見届けたいのだという。

夜遅く、陽子は興奮したのかなかなか寝付けなかった。すると、どこからかハーモニカの音が聞こえてくる。音をたどっていくと、家の近所で川原を見つけた。

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NHK『おひさま』第9回

「あの『広告』は本当なのか。」(バカだもん。 -月に咆える-)が事実だとしたら、とても悲しいことだと思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第9回目の放送を見ましたよ。

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第2週「乙女の祈り」

内緒で出かけた松本の映画館で、陽子(井上真央)は知らない男に手を触られた。自分は汚れてしまい、もう嫁に行くこともできないと思い込み、陽子は死にたいほどショックを受けた。上映中で声も出せず、恐る恐る痴漢(千原せいじ)の顔を見ると、その男は不敵な笑みを浮かべて出て行った。

映画館を出ると陽子は泣き崩れてしまった。事情を打ち明けられた真知子(マイコ)と育子(満島ひかり)は、痴漢に対して激しく怒り、陽子に深く同情した。陽子が嫁に行けない体になったなら自分たちも嫁には行かない、親友として一生ともに暮らそうと誓い合うのだった。
ただし、後にその約束は誰も守らなかった。

松本には、兄の春樹(田中圭)がいる。突然訪ねて行って、彼をびっくりさせる予定であったが、事件のショックでまっすぐ帰ってきてしまった。親友たちの慰めで一時は落ち着きを取り戻したが、家路を一人で歩いていると、再び落ち込んできた。
家に着くと、幼なじみで農家のタケオ(柄本時生)がタマネギを届けてくれていた。痴漢の顔がタマネギに似ていたことを思い出して、陽子は激しく取り乱した。その様子を見ていた父・良一(寺脇康文)は明らかに陽子の様子がおかしいと感じ取った。

良一は、自分が男親だから娘の気持ちがわからずに申し訳ないと、逆にへりくだった。その心遣いで陽子は心を開き、今日の出来事を全て話した。良一は怒り心頭し、今にでも家を飛び出して松本に向かうほどの勢いになった。その様子を見て、自分が父にとても大切にされているのだと理解し、陽子は嬉しくなった。

いきり立った父をなんとかなだめすかし、ふたりは静かに語り合った。良一が言うには、友達の家に行くと嘘をついていたことは感心できないので反省する必要がある。しかし、死んだ母(原田知世)なら、陽子の行動に賛成することだろうと言って笑うのだった。それですっかり陽子も気分が晴れた。

さらに嬉しいことに、松本で合うことのできなかった兄・春樹から帰省を知らせるハガキが来ていた。しかも、寮の友人を連れてくるという。

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NHK『おひさま』第8回

昨日は久慈利武(1984)『交換理論と社会学の方法: 理論社会学的アプローチ』を自炊(食事を作るほうじゃなくて、本をスキャンする方)した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第8回目の放送を見ましたよ。

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第2週「乙女の祈り」

いけ好かない教師・飯田(近藤芳正)への抗議として、試験に白紙回答を提出することをクラス全員で取り決めた。
しかし、約束を守ったのは陽子(井上真央)、真知子(マイコ)、育子(満島ひかり)だけだった。それをきっかけに3人は永遠の友情を誓い、「白紙同盟」を名乗るのだった。

それからは何をするのも常に一緒だったし、自由闊達な女性になるという考え方も一致していた。当時の女学校は、卒業後に結婚するための花嫁学校と位置づけられていた。そんな中、陽子は自分は教師になりたいという夢をふたりに話すのだった。本屋の娘で不良の育子は、東京で洋服の仕事をして、さらに将来はアメリカに渡りたいと語った。一方、大地主の娘の真知子は、まだ会ったこともない相手と結婚することになっていると打ち明けた。

3人がたまり場にしていたのは、村上堂という水飴屋だった。女学校の生徒が帰り道に買い食いをするなど、当時の風潮では言語道断であった。しかし3人は、その禁を破ってこっそりと通っていた。そこでは、自由で型にはまらない話題が常であった。

ある日、育子の発案で松本に映画を見に行くことになった。これも女学生にしてはかなり常識居ハズレな行動であったが、3人は喜んで出かけた。

しかし、映画館の暗闇の中で、陽子は見知らぬ誰かに手を握られてしまった。陽子は、生まれて初めて死にたいと思うほど恥ずかしい思いをした。

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ZUND-BAR

3月に厚木で部屋探しをしたとき、僕を担当してくれたのはなかなか可愛らしい女の人だった。

物件の下見に行くのに、一緒に車に乗って移動するのが楽しくて楽しくて仕方なかった。色白で細くて、けれどもちょっと丸顔で、どちらかというと童顔で、声もしゃべり方もカワユクて、一生部屋探しをしてもいいと思ったくらいだ。ちょっと天然ボケっぽいところもあって、それもまた愛くるしさに拍車をかけた。

土壇場になって、ちょっと信じがたいトラブルを引き起こしてくれたりもしたが、彼女の可愛さに免じて許した経緯もある。あれが別の担当者(特に♂)だったら、当方は10年に一度の大激怒をしていたところかもしれない。それを思いとどまらせ、当方を冷静にさせ、怒りを沈めさせるだけの魅力のある担当者だったわけだ。
なんなら、3ヶ月おきに引越ししてもいいんじゃないかと思ったり、思わなかったり。

そんな感じで、彼女に物件を見せてもらいながら、移動の車中で色々と話をした。
・・・話をしたはずなのだけれど、「このコかわいいなぁー」っつーことしか頭になくて、どんな話をしたのかほとんど覚えていない。花粉症がどうのこうの、ポンジュースがどうのこうの、バブルの時代に作られたマンションがどうのこうの、美味しいケーキ屋がどうのこうのなどと話したような気もするし、話してないような気もする。

そんな風にとてもあやふやな事になっていたのだが、唯一はっきりと憶えている話題がある。
それが「ずんどばー」である。彼女が言うには、
ちょっと不思議な作りのラーメン屋。最近ちょっと話題で、ずっと山の中にあるんですけど、私も連れていってもらいました!(はーと)
とのことだった。

美味しいのか美味しくないのか、当方の新居から近いのか遠いのか、結局、お勧めしているのか、単なる話の種なのかよくわからなかったのだが、とにかく「ずんどばー」という単語だけは頭に残った。

調べてみると、正しい表記は「ZUND-BAR」らしいことがわかった。当方の勤務先からそれほど遠くないこともわかった。そんなわけで、今夜食べに行ってみた。

ZUND-BAR

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NHK『おひさま』第7回

最近、自炊ばかりしていて(本をスキャンする方じゃなくて、食事を作る方の元来の意味)、今朝も白米、辛子明太子、味噌汁、目玉焼き、冷やしトマトという大量の朝食を食べた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第7回目の放送を見ましたよ。

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第2週「乙女の祈り」

通学途中の陽子(井上真央)が蕎麦畠で出会ったのは、松本でそば屋「丸庵」を営む丸山徳子(樋口可南子)だった。徳子は、陽子の可愛らしさに目を留めて声をかけたのだ。にわかに意気投合し、話が弾むふたりだったが、学校の始業時間が迫っていた。いつか松本でそばを腹いっぱい食べさせてもらうと約束して、陽子は学校へ急いだ。

話を聞いていた房子(斉藤由貴)は、陽子(若尾文子)が老いても美しさを保っている秘訣は、女学校時代にあるのではないかと考えた。房子も女子校に通っており、当時は痩せていて可愛らしかった。しかし、結婚して子供を産んだ後は、女らしさに気を配る意欲も無くなってしまったと気づいたのだ。
その告白を聞いた陽子は、「女性は自分を大切にしなくてはならない。自分を大切にできるのは自分だけ」と諭し、さらに自分の女学校時代の話を続けるのだった。

当時、陽子には2人の親友がいた。
真知子(マイコ)は安曇野の大地主の娘で、典型的なお嬢様だ。彼女は学校一の人気者でもあり、後輩の女学生からひっきりなしにラブレターを貰っていた。上品で礼儀正しく手紙を受け取り、相手をその気にさせるのがとてもうまかった。
育子(満島ひかり)は町の本屋の娘だった。彼女も下級生たちに人気があったが、差し出されるラブレターはいずれも冷たくあしらった。そして、現代にすれば微笑ましい程度だが、当時は学校一の不良だと言われていた。

親友ふたりに比べれば、陽子は地味で目立たない存在だった。そんな彼女らと大親友になったのは、1年前のある事件がきっかけだった。

当時、英語教師・飯田(近藤芳正)は生徒たちからもっとも嫌われている教師だった。授業が厳しく横柄な態度をとるばかりか、「女のくせに」が口癖であった。女のことを見下す様子が全生徒の反感をかっていた。特に陽子は、生前、母(原田知世)に「『女のくせに』と言われたら喧嘩していい」と言われていたことを思い出し、はらわたが煮えくり返っていた。

生徒たちのできの悪さにイライラした飯田は、次の授業で試験を行うと言い出した。それに対して、生徒たちはますます頭に来た。
真知子の発案で、抗議のためにクラス全員が白紙の答案を提出することとした。クラス全員が賛同し、いよいよ試験の日になった。

陽子は、自分が生まれて初めて反逆行為を行うのだと思い、とても緊張していた。

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