NHK『あさが来た』第67回

昨日は映画『母と暮らせば』(監督・山田洋次)を見てきたわけだが、黒木華が期待通りに可愛かったということ以外の感想としては、同じように不慮の死を遂げた夫や長男のことはほとんど顧みないのに、どうして母(吉永小百合)は次男(二宮和也)にばかり執着していたのかよくわからなかったということである当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第67回めの放送を見ましたよ。

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第12週『大阪一のおとうさま』

明治10年(1877年)。加野炭鉱の落盤事故から1ヶ月が経った。

心臓の発作で倒れた正吉(近藤正臣)は3日間意識を失っていたがやっと目を覚ました。心臓の悪いことを新次郎(玉木宏)や榮三郎(桐山照史)には秘密にしていたが、もう隠し切れなくなった。それでも、正吉が意識を取り戻したことで、彼らも安堵した。

正吉が目を覚ました時、あさ(波瑠)は留守だった。心臓によく効く舶来物の薬があるという噂を聞きつけ、それを買いに出かけていたからだ。

あさはでかけたついでに、五代の寄り合い所に久しぶりに顔を出した。
他の商人たちからは、九州・加野炭鉱の落盤事故について声をかけられた。彼らは怪我人が出たのにまだ続けるのか、女だてらに炭鉱に手を出すからだ、などと厳しい声をかけられた。
古い馴染みの山屋(南条好輝)だけは、あさのことを心配してくれた。そもそも九州の炭鉱を紹介したのは彼だから悔やんでいるのだ。彼は、今回の事故で加野屋が潰れるのではないかと噂になっていることも教えてくれた。

居心地の悪い思いをしたあさは、すぐに帰ることにした。すると、通りがかった五代(ディーン・フジオカ)に声をかけられ、しばし話をした。
五代は、あさには爆薬を仕掛けた犯人の目星が付いているのだろうと聞かれた。しかし、あさは人を疑うことはしないと言って、何も答えなかった。
五代は、誰に対しても優しいのがあさの良い所だと褒めた。しかし一方で、人の上に立つ者は、時には非情にならなければならないと諭した。あさは黙っているだけだった。五代は言い過ぎたことを悟って、話を打ち切って去っていった。

近頃、五代には心を痛めている事があったのだ。
鹿児島で西郷隆盛が政府に対して反乱し、西南戦争が起こった。五代は西郷と同じく薩摩の出身であるし、政府で指揮をとる大久保利通(柏原収史)も同様である。同郷の者同士が戦うことに複雑な思いを抱いているのだ。
五代自身、非情にはなりきれないでいたのだ。

加野炭鉱に赴任した雁助(山内圭哉)と入れ替わりに、亀助(三宅弘城)が大阪に帰ってきた。
亀助の報告によれば、怪我をした治郎作(山崎銀之丞)の治りは早く、すでに杖を付きながらではあるが、一人で歩けるほどに回復したという。また、鉱夫たちは強面の雁助の言うことはよく聞いており、統率も取れているという。一同は安心した。

ただひとつ、亀助は気になることも報告した。
サトシ(長塚圭史)が出奔したというのだ。

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NHK『あさが来た』第66回

11月25日放送の『ためしてガッテン』で酒粕漬けを見て、マシュマロの粕漬けに挑戦したり(山瀬まみが大絶賛。確かに激烈にうまかった)、今日の昼は鶏肉の粕漬けを焼いて食べようと計画したりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第66回めの放送を見ましたよ。

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第11週『九転び十起き』

加野炭鉱の事故現場から治郎作(山崎銀之丞)が救出された。彼は、とっさに側道へ逃げ込み、比較的軽症で助かったのだ。一同は彼の無事を喜んだ。

五代(ディーン・フジオカ)は現場で火薬の痕跡を見つけた。誰かが故意に落盤させた可能性があり、事故ではなく、計画的な事件ではないかと言うのだ。
しかし、あさ(波瑠)は五代の調査に感謝しつつも、犯罪説にはほとんど取り合わなかった。あさは鉱山を復旧させることだけを考えており、犯罪行為かどうかは興味の外にあった。
五代はあさの態度に呆れてしまったが、あさの意向を汲み、大阪へ帰って行った。

その後、警察の取り調べが始まった。
あさが鉱夫たちを互いに競わせるような制度を作ったため、鉱夫たちは安全対策よりも自分の欲望を満たすことを優先したことが事故につながったと結論付けられた。あさは厳しく追求されることになった。

一通りの取り調べが終わり、あさはやっと大阪へ帰ってきた。
加野屋では後始末にかかる費用の計算が行われた。炭坑の復旧、怪我をした治郎作への見舞金、鉱夫への休業補償などに莫大な金が必要となった。新次郎(玉木宏)は、それらの費用を削ることは人の道に外れる行為であり、きちんと支払うべきだと主張した。
しかし、当主の榮三郎(桐山照史)や大番頭・雁助(山内圭哉)は反対した。現在の加野屋の経営状況では捻出が難しい額だからだ。そればかりか、再度事故が起きれば、加野屋は破産だというのだ。

ついに雁助は、加野炭鉱は手放すべきだと主張した。あさは反論することができず、塞ぎこんでしまった。

夜、あさと新次郎はふたりきりで話をした。
新次郎は、負けのない人生はつまらないと明るく話した。勝ってばかりいたら、人の心のわからない人間になってしまう。今回の失敗は神様に与えられた試練だというのだ。「七転び八起き」の精神で頑張れと励ました。
あさはこれまでの挫折を数えてみた。(1)明治維新による混乱、(2)つわりの苦しみ、(3)今回の鉱山事故の3つしかなかった。まだまだ転んだ回数が少ないと思った。むしろ回どころか、9回転んで10回起き上がることを決意した。
こうしてあさは元気を取り戻した。

ある日、正吉(近藤正臣)は雁助を自室に呼び、ふたりきりで話をした。
正吉は、雁助に加野炭鉱へ赴任することを頼んだ。正吉は、石炭産業は今後も発展し、加野屋を支える重要な収入源になると信じている。しかし、すでにあさ一人の手には負えなくなってしまった。かと言って、新次郎や榮三郎を送り込むこともできない。正吉が最も信頼している雁助以外に、炭鉱や加野屋を救えるものはいないと言うのだ。
雁助は正吉に珍しく口答えをした。自分は正吉の言うことはなんでも聞く覚悟で仕えてきたが、大阪の加野屋を離れることだけはできないと断った。
正吉はもう一度頼んだ。これが自分の最期の頼みであり、たとえ死に目に会えなかったとしても、雁助に行って欲しいのだと説得した。そうまで言われると、雁助は断ることができなくなった。

こうして、雁助は加野炭鉱に赴任した。
炭鉱に着くや否や、雁助はサトシ(長塚圭史)の姿を探した。それも正吉からの指示だった。
雁助はサトシの顔に見覚えがあった。雁助は声をかけ、サトシを「松造」と呼びかけた。サトシも雁助のことをおぼろげに思い出し、呆然とした。

その頃、大阪では正吉が発作を起こして倒れた。

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NHK『あさが来た』第65回

主題歌「365日の紙飛行機」のMP3をamazonで購入しようと思ったのだけれど、同じ歌のはずなのにアルバムによって収録時間が異なるのでどれを買えばいいのか迷っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第65回めの放送を見ましたよ。
365_amazon

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第11週『九転び十起き』

九州の加野炭鉱で大きな落盤事故が起きた。
夜のことだったので鉱夫たちはみな宿舎で休んでいて無事だったが、不審な点を見つけて坑道に入った親分・治郎作(山崎銀之丞)が巻き込まれた。坑道の奥で火があがり、大量の煙も充満している。消火作業や治郎作の捜索は難航した。

この事故はサトシ(長塚圭史)が仕組んだものだった。鉱夫たちに被害が出ないよう、夜中に事故が起きるようにしていた。しかし、治郎作が様子を見に入ることは想定外だった。

鉱夫の福太郎(北原雅樹)は馬で一睡もせずに大阪まで駆け抜け、賀野屋に事故を報せた。
娘・千代が生まれ、平穏な日々を過ごしていたあさ(波瑠)であったが、報せを受けると即座に緊張し、すぐに九州への旅支度を始めた。

周囲の者は、あさが九州へ行くことを止めようとした。女が夜を徹して旅をするなど、いつ山賊に襲われてもおかしくない。とても危険なことなのだ。
しかし、あさはすぐに駆けつける決意でいた。あさにとって、加野炭鉱は我が子も同然なのである。大阪で千代を産み育てることと同様に、加野炭鉱を守り拡大させることも重要だと考えているのだ。

みなが反対する中、新次郎(玉木宏)だけはあさの味方をした。新次郎は、あさの考え方を理解しており、そのような考え方をする女性だからこそ愛しているのだ。千代の世話は全て自分が引き受けると約束し、子供のことは気にせずに行けと応援した。

あさの出発について押し問答をしていると、五代友厚(ディーン・フジオカ)がやって来た。彼も福岡に炭鉱を持っており、現地の部下から加野炭鉱の事故の報せを得たのだという。五代の炭坑からも煙が見えるほどの大事故だと報告を受け、心配で様子を見に来たのだ。
そして、あさの護衛として一緒に九州へ行くことを申し出た。こうして、あさの現場入りが決行された。

あさが加野炭坑に到着した時、まだ煙は収まっていなかった。桶で水を運んで消化しているのだが、火元が遠いためはかどらないのだという。しかも、煙の勢いもあり、治郎作もまだ見つかっていないという。

あさは、治郎作の妻・カズ(富田靖子)に面会した。
カズは、山に事故は付きものであり、鉱夫は常にそれを覚悟して働いているのだと話した。治郎作もそうであったし、その妻である自分も覚悟はしていたのだと気丈に答えた。
しかし、あさの顔を見て、そこまでしゃべると気が抜けてしまった。あさの胸に抱きついて泣き出してしまった。

そこへサトシがやって来た。
サトシは、あさを詰った。今回の事故の原因はあさにあるというのだ。あさが、採れ高に応じて報酬を出すことにしたため、鉱夫たちは競い合って掘るようになり、安全対策が疎かになった。そのために発生した事故だというのだ。
その上、これほど大きな事故が起きれば、加野炭鉱はしばらく閉山となり、鉱夫たちの働き口がなくなってしまう。加野屋も炭鉱を手放すことだろう。食いっぱぐれた鉱夫に対してどう責任をとるつもりだと詰め寄った。

カズはサトシの言い分に反対した。
鉱夫ならば、いつ仕事が失くなっても仕方がないと割りきって働いていたはずだ。今さら、今後の働き口の世話を要求するなど筋違いだと言うのだ。それに、あさが来るようになってから鉱山に活気が出てきた。あさには感謝をすべきで、責任を追求するべきではないと弁護した。

そのようなカズの応援であったが、あさの考えは違った。
あさは、まさに自分に責任があると後悔していた。出産のためとはいえ、自分が鉱山を離れたことに原因があるのだと認めた。留守にしたために細かい所に目が行き届かなくなり、それが事故の原因だと言うのだ。経営者として責任はとると述べ、深く頭を下げた。

そこへ、五代がやって来た。五代は、事故現場を調査してきたのだ。
すると、そこには火薬が落ちていたという。つまり、今回の事故は偶発的なものではなく、誰かが計画的に仕組んだものだと言うのだ。

そして、親分が見つかったという声が上がった。

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NHK『あさが来た』第64回

珍しくスーツを着て寝ているところを起こされたのだけれど、小さすぎてどこにいるのかわからない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第64回めの放送を見ましたよ。


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第11週『九転び十起き』

あさ(波瑠)は、難産ながらも元気な女の子を産んだ。

久しぶりの明るい出来事に、家中の者はみな喜んだ。
新次郎(玉木宏)が喜んだのももちろんで、あさに心の底から感謝した。

生まれた子供は、正吉(近藤正臣)が千代と名付けた。この先、永遠に店が栄えるようにとの願いを込めたのだ。あさも新次郎もその名前を気に入った。

生まれた子が女の子だったため、家の跡取りにはなれない。新次郎はそのことを申し訳なく思った。
しかし、よの(風吹ジュン)は全く気にしていないどころか、女の子で良かったと言うのである。その理由は、男の子だったら生まれつきの才能の出来具合で家の将来が決まってしまう。一方、女の子だったら、いくらでも出来の良い婿養子を取ることができるというのだった。
新次郎は、母の屁理屈に呆れながらも、女の赤ちゃんであることが受け入れられて安心した。

あさは、しばらくの間は一切の仕事をせず、千代の世話と体調の回復に専念した。しかし、ほどなく仕事に復帰し、以前と同じように第一線で働き始めた。
代わりに、新次郎は遊びに行くことをキッパリとやめてしまった。家にいて、甲斐甲斐しく千代の世話をするのだった。榮三郎(桐山照史)などは、それほどのマメさがあるなら、少しは家業の手伝いもしてほしいとこぼすほどだった。

あさは、そろそろ九州の炭鉱へ様子を見に行きたいと言いだした。現場を任せている亀助(三宅弘城)から手紙で報告は届いており、順調であることはわかっている。しかし、うまく行っているからこそ気を引き締める必要があり、自分のように厳しい人間が睨みを利かせる必要があるというのだ。
また、このことは誰にも話さなかったが、あさはうまく行きすぎていることを却って不審に思っているのだ。何か、良くないことが隠されているという胸騒ぎがしていた。

そんなあさに対して、榮三郎と雁助(山内圭哉)はふたりでコソコソと話をした。
あさは、炭鉱事業を拡大し、そこで設けた資金で銀行を開こうとしているのだ。しかし、榮三郎と雁助は加野屋が銀行を行うことに反対だった。けれども、加野屋の利益のほとんどは炭鉱事業から生み出されており、それを主導するあさに対して表立って反対はしにくかった。加えて、正吉もあさに肩入れしているため、ますます声を上げにくい。

雁助は、榮三郎こそが正当な当主なのだから何も遠慮することはないと励ました。そして、何があっても自分は榮三郎の味方だと約束するのだった。

そのころ、九州の加野炭鉱で事件が起きた。
終業後、親方・治郎作(山崎銀之丞)が歩いていると、炭坑の中から何人かが走り出てきたのを見た。もう作業は終えているので、鉱夫が中にいるはずはないのである。
治郎作は様子を見るために炭坑に入っていった。すると炭坑の奥で爆発が起きた。

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NHK『あさが来た』第63回

昨日は大阪証券取引所の前にある五代友厚の像を見学に行き、そのあまりのデカさ(台座から頭のてっぺんまでで2階建て以上の高さがあった)にびっくりぽんだった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第63回めの放送を見ましたよ。
2015-12-08 15.34.45

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第11週『九転び十起き』

秋になった。
初夏に髷を切った新次郎(玉木宏)らの髪も生えそろい、男前が上がった。

妊娠しているあさ(波瑠)の腹もずいぶん大きくなり、胎児は順調に育っていた。
あさは赤ん坊が自分の腹を蹴る度に幸せな気分になった。一方で、腰が痛くなったり、足が攣ったりすることもしばしばで、思い通りにならない自分の体が不甲斐なく思った。
それでも、生まれてくる子供のためにやれることは何でもやろうと思うのだった。近頃では、新次郎との合言葉が「安全第一」となっており、子供が無事に生まれてくることを何よりも優先していた。

そんな折、ちょっとした騒動が起きた。
これまでほとんど喧嘩らしい喧嘩をしたことのない正吉(近藤正臣)とよの(風吹ジュン)が大喧嘩を繰り広げたのだ。しかも、その原因にはあさの妊娠が関わっていた。
出産の際に、医者にかかるか、産婆に手伝ってもらうかでふたりの意見が割れたのだ。

正吉は、西洋の最先端の医学知識を持つ医者に分娩を任せるのが良いと考えている。つわりの重かったあさの事なので、出産時の体調のことも心配である。その点、医者ならば不自由のない対応ができるというのだ。
一方のよのは、産婆を推していた。昔ながらの産婆ならばたいていのトラブルに対応できるし、なにより女のことは女に任せるのが一番だというのだ。ましてや、いくら医者とはいえ、女は夫以外の男に体を見せるべきではないというのだ。

あさは、自分のせいで舅と姑が仲違いしたことに心を傷めた。
そこで、玉虫色の解決策を講じた。医者と産婆の両方に診てもらうというのだ。多少費用はかさむが、正吉とよのの両方の顔を立てることができる上、「安全第一」の考え方に従い万全の体制で望むことができるからだ。

産婆(春やすこ)と医者(関秀人)を同時に呼び、検診を受けた。
産婆と医者にとっても初めてのことであったが、彼らの関係も良好だった。あさの妊娠は順調であと10日ほどで子供が生まれるという見立てに関してもふたりの意見は一致した。
正吉のよのも仲直りし、八方が丸く収まった。

検診が終わった直後、正吉が胸の発作を起こし、ひどく苦しんだ。幸い、居合わせた医者が手当をして、大事には至らなかった。よのの話によれば、正吉の発作はしばらく前からあったのだが、日に日に発作の程度がひどくなっているという。
正吉は、あさに向かって、家の者には秘密にしておくよう約束させた。特に跡取りの榮三郎(桐山照史)は小心者なので、動揺して手がつけられなくなるからだと言うのだ。また、正吉は、家の者に対しては堂々とした態度でいたいのだと説明した。だから、情けない姿は絶対に見せたくないという。
そう言われると、あさも承諾せざるを得なかった。

あさとふたりきりになった時、よのはあさに感謝した。
よのは産婆を頼むつもりだったが、あさが医者も呼んでくれたおかげで正吉の応急処置ができたからだ。よのの意見だけを飲んでいたら、どうなっていたかわからない。
加えてよのは、あさに無事に子供を産むよう頼んだ。どうか正吉に孫の顔を見せてやって欲しいと言うのだった。

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NHK『あさが来た』第62回

今日は意外と大事な日にもかかわらず、朝ドラ仕事だけは欠かさない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第62回めの放送を見ましたよ。

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第11週『九転び十起き』

九州の加野炭鉱では、サトシ(長塚圭史)が密かに企みを抱いていた。加野屋が炭鉱の経営をできなくなるようにしてやろうしているのだった。

あさ(波瑠)はサトシの態度の不審さが気になっており、本心がわかるまで炭鉱に残るつもりでいた。しかし、日に日につわりが酷くなるばかりである。新次郎(玉木宏)に促され、亀助(三宅弘城)だけを残して大阪に帰ることになった。
炭鉱で働く者たちは、あさを明るく送り出した。それはまるで大きな家族のような様子だった。

帰阪したあさは、それから1ヶ月ほど酷いつわりが続いた。しかし、初夏の頃にやっと落ち着いてきた。外出したり、軽い掃除程度なら難なくできるようになった。

その頃、あさの実家が日本で初の銀行を開業した。
正吉(近藤正臣)は店の現在の経営陣である、跡取り・榮三郎(桐山照史)、後見人・新次郎(玉木宏)、大番頭・雁助(山内圭哉)の3人を集め、銀行について話した。
正吉によれば、あさは3年も前に加野屋でも銀行業を営むことを提案していたという。しかし、その時の正吉は時期が違うと言って断った。ところが、今になって考えてみれば、加野屋は本業の両替商ではほとんど利益は上げていない。儲けのほとんどは炭鉱事業に依存するという経営体質である。今後の事業計画をよく考えるべきだと助言した。
しかし、あくまで最終判断は現在の経営陣であるといい含め、正吉は判断を行わなかった。

3人は、彼らだけで集まってもう一度銀行経営について話し合った。
雁助は銀行経営に反対だった。両替商が時代に合わないことは事実だが、銀行というものも一時の流行に過ぎず、本腰を入れるべき事業ではないという意見だった。加野屋は両替商の伝統を守り、優良顧客を獲得して従来の商売を続けていけば良いと述べた。
榮三郎も同意だった。銀行を推進したがっているのは、五代(ディーン・フジオカ)など洋行帰りの者たちばかりである。異国かぶれの者の意見など聞く必要はないと断じた。

新次郎にも意見を求められた。彼は、外国文化のことを軽蔑していなかった。外国のものでも、良い物はどんどん取り入れるべきだと考えていた。
ただし、彼の意見は経済のことではなかった。店の経営には全く興味はなく、榮三郎と雁助に全て任せると告げた。その代わり、他の点で外国文化を取り入れることばかり考えていたのだ。
新次郎は、榮三郎と雁助を強引に連れ出し、どこかへ出かけていった。

3人の留守中、五代が訪ねてきた。他に誰も居ないため、あさが応対した。
五代は、妊娠中のあさに対して、無理はせずに子を産むことに集中するようアドバイスした。子供を産み育てることは、他のどんな産業よりも国のためになるというのだ。人はどんなに働いても、墓場まで金はもっていけない。生きている間にすべき事は、後世に何かを残すことだと話した。今のあさがすべき事は後世に人を残すことである言うのだ。
一方の五代は、後世のために大阪経済の再生に尽力していると話した。最近は、かつての賑わいをなくした大阪の米会所を復興させるべく働いているという。

そのような話をしていると、店の方から家の者たちが騒ぐ声が聞こえてきた。
新次郎らが驚くべき姿になって帰って来たのである。

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NHK『あさが来た』第61回

ダノンのヨーグルト「オイコス」の広告に出ている黒木華さんを見るだけで幸せな気分になれる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第61回めの放送を見ましたよ。


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第11週『九転び十起き』

九州の加野炭鉱で働いている最中、あさ(波瑠)の妊娠がわかった。あさのつわりは重く、食べ物はおろか、水すら喉を通らない。
それにもかかわらず、あさは大阪に帰ろうとしない。組頭・サトシ(長塚圭史)の態度に不審な点があり、それが気になって炭鉱を離れられないのだ。

あさが帰ってこないことを心配した新次郎(玉木宏)とうめ(友近)は、あさを連れ戻すべく九州の加野炭鉱へ向かった。

炭鉱に到着した新次郎は、あさを抱きしめた。
新次郎とあさは結婚して11年になる。その間、明治維新の混乱があり、加野屋の立て直しのためにあさは働き詰めだった。今でも、九州の炭鉱に入り浸りで、大阪の新次郎とは別居である。もう子供はできないと諦めていたのに、子供ができて嬉しいと言って新次郎は涙ぐんだ。

いつもなら新次郎に抱きすくめられると喜ぶあさであったが、今は違った。つわりのせいで、新次郎の鬢付け油の匂いにすら吐き気を催すのだった。新次郎が水筒を差し出し、水を飲んで落ち着けと言っても、あさは断った。

新次郎は、水筒に入っているのは自分が淹れたお茶だと勧めた。そう聞いたあさは、するりと飲むことができた。
さらに新次郎は、はつ(宮﨑あおい)から送られてきたみかんを持参していた。そのみかんを食べてみると、とても美味しかった。さらに、その香りは、あさの心を落ち着けた。あさは寝床でみかんの皮を手に持ち、その香りを嗅いでばかりいた。

新次郎は、野外で亀助(三宅弘城)を捕まえ、大阪に帰ってこない理由と問い詰めた。亀助は、態度のおかしい組頭が居て、それが気になって帰れないことを説明した。
新次郎は、その組頭の顔を見た。すると、どこか見覚えのある顔だった。亀助から「サトシ」という名を聞き、ますます思い当たる節があった。

サトシは新次郎と目が合うと、無言でぷいと炭坑の中へ入っていった。炭鉱支配人・宮部(梶原善)は、炭鉱の所有者への態度がなっていないことを心配した。宮部が追いかけて注意すると、サトシは悪びれることもなく、呑気な金持ちを見ると虫唾が走ると吐き捨てるのだった。
そして、このようなことももう終わりだとつぶやいた。

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NHK『あさが来た』第60回

昨夜はプッシュベアーズのギタボちゃんとLINEを使って初めて一緒に作詞を行い、僕が曲にのせて歌ったものを録画して送って確認してもらうなどということをしていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第60回めの放送を見ましたよ。

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第10週『お姉ちゃんの旅立ち』

炭鉱でみなと一緒に働くあさ(波瑠)は、近頃体調がすぐれない。あさに全く自覚は無かったが、妊娠していたのだ。

亀助(三宅弘城)は早速手紙を書いて大阪へ知らせた。その報せを受けて、家中は大騒ぎになった。あさには子供ができないと思っていた期待が、いい意味で裏切られたからだ。

亀助からの第一報ではすぐに大阪に帰ると書いてあったのに、あさはなかなか帰らなかった。
それどころか、宿舎に機織り機を導入し、外で働けない分を取り戻そうとしていた。亀助や親分の妻・カズ(富田靖子)は体に障ると心配したが、あさは聞く耳を持たなかった。

あさが大阪に帰らないことには理由があった。
反抗的な態度だったサトシ(長塚圭史)が従順になったが、どうやら裏でなにか企んでいる素振りがあるのだ。あさはそれが心配で炭鉱を離れるわけにいかないのだ。疑惑が晴れたら大阪に帰ろうと思っていた。
ただし、そのころは亀助以外には打ち明けなかった。大阪にも「仕事が片付いたら帰る」と一言ハガキを送るだけだった。

あさの妊娠は、女中・うめ(友近)からの手紙によって、はつ(宮﨑あおい)にも知らされた。
はつは和歌山に移住し、一家で助け合いながら幸せに暮らし始めていた。次男も無事に生まれ、子どもたちはすくすくと育っている。百姓になることを嫌がっていた姑・菊(萬田久子)も、はつと並んで働くようになった。

はつは、あさに近況報告と励ましの手紙を書いた。その手紙は大阪の家に送ったのだが、あさは不在のため読むことできなかった。その代わりに、新次郎が中を確認していた。
すると新次郎は気になる一節を見つけた。あさとはつの母・梨江(寺島しのぶ)は、つわりが重い質であったという。はつは幸い軽いつわりしか経験しなかったが、その分、母の性質はあさに受け継がれているかもしれないと書いてあったのだ。
新次郎は心配で居ても立ってもいられなくなった。

なかなか帰ってこないあさに業を煮やした正吉(近藤正臣)は、誰かを九州に派遣し、あさを連れ戻すことにした。
ただし、家のほとんどの者は仕事で忙しく、誰も九州にまで行こうとはしたがらない。そこで、正吉はうめに行くように命じた。あさは、幼い頃からうめの言うことだけは聞くので適任だと思われた。

そんなやり取りをしている所に、手紙を読んだ新次郎がやって来た。
いつになく男らしく、凛々しい表情で自分が迎えに行くと言うのだ。

こうして、新次郎はうめを伴って加野炭鉱へ向かった。

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NHK『あさが来た』第59回

今日は仕事をサボって、ザ・フォーク・クルセダーズの「コブのない駱駝」を口ずさんだりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第59回めの放送を見ましたよ。


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第10週『お姉ちゃんの旅立ち』

ふたりきりになった折、はつ(宮﨑あおい)は新次郎(玉木宏)があさ(波瑠)と結婚することを決めた理由を尋ねた。
本来、はつは新次郎の許嫁だったのだが、途中で相手が変えられることになったのだ。聞けば、新次郎は喜んでそれを受け入れたという。はつはそれが運命だと知りながらも、ずっと腑に落ちないでいたのだ。

新次郎は半分とぼけながら、ラクダの話を始めた。幼い時、父・正吉(近藤正臣)からラクダを見物した時の話を聞いた。ラクダは背中に大きなコブが2つも付いている珍しい動物だという。新次郎はラクダを一度見て見たいと願ったが、ついに叶えられなかった。
そんなある日、新次郎は父に連れられて京都の今井家へ行った。そこで、幼いあさが頭にカエルをのせて走り回っていた。それを見た時、一生ラクダを見れなかったとしても、この子を見ていたら楽しいだろうと思ったのがあさを選んだ主な理由だと説明した。

意外な答えに、はつは呆れた。
五代(ディーン・フジオカ)はあさのことをペンギンだと呼ぶし、新次郎はラクダと同類だとみなしていたからだ。

新次郎は続けた。
そもそもの発端はあさの奇妙な行動だったが、その後、あさのことを知る度に惚れなおしていると言う。むしろ、商才がありなんでもこなしていくあさを見ていると、何もできない自分は置いて行かれそうになるのではないかと不安になることもあると打ち明けた。
はつは、あさがのびのびと実力を発揮できるのは、新次郎が認めて自由にさせているからだと話した。もし別の男と結婚していたら、あさは家に閉じ込められ、その境遇に合わせて何もしない人間に変わるか、実家に逃げ帰るかしていたに違いないと言うのだ。新次郎あってこそのあさなのだから、自信を持つようにと励ました。特に、五代のような洋行帰り者には負けるなと発破をかけた。

その夜、あさとはつは布団を並べて床についた。
こうしていると、嫁入り前の実家でのことが思い出された。親の決めた許嫁と結婚する運命を嘆き、ふたりで抱き合って泣いたことが特に思い出された。
しかし、今はこれで良かったと思えた。あさは立派な女商人になっているし、はつは子供を産んで立派な母親となっている。
けれども、これでしばらく会えなくなるのかと思うと、まだまだ話は付きなかった。

はつは、自分があさに嫉妬していたことを打ち明けた。
あさにとっては寝耳に水だった。幼い時から、何でもそつ無くこなし、親からも可愛がられ、周囲からも優秀な娘だと褒められていたはつなのだから、おてんば娘の自分に嫉妬する理由など思いつかないからだ。

はつに言わせれば、あさは祖父・忠政(林与一)に特に目をかけられ、結婚前に新次郎から恋文を貰うなど幸せな幼少期を過ごした。結婚後も、立派な家の嫁となり、商売も常に上向きである。それが嫉妬の理由だったという。
しかし、今は全てを受け入れることができたという。あさが一人前になったのと同様に、自分の性根も変わったというのだ。心の底から今の暮らしで良いと思えるようになったし、あさの助けがなくても自信を持って生きていける。人が生きるということの本質がわかったような気がすると話した。

はつは、それぞれの生き方は変わってしまったが、これからが姉妹の本当の勝負の始まりだという。互いに精一杯幸せになれるように競い合おうと挑んだ。
負けず嫌いのあさは、絶対に負けないと意気込んだ。意気込みつつも、姉との別れが悲しかった。あさははつの胸で泣いた。

翌早朝、はつの家族が迎えに来た。まだ町が眠っている間に、人目につかないよう家財道具一式を持って和歌山へ旅立っていっ

時は流れて、大阪から神戸へ鉄道が開通した。
あさは九州の加野炭鉱で、女たちと一緒に炭だらけになって働いていた。あさはすっかり打ち解け、まるで母親のようにみなから慕われれていた。あさは大阪で見物した鉄道の話を聞かせ、あのように大きなものを動かす石炭の重要さを力説した。

さっきまで元気に働いていたあさだったが、急に気分が悪くなってしゃがみこんでしまった。
最近、いくら寝ても疲れが取れないのだという。

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NHK『あさが来た』第58回

今さらながら当ブログのデータベースのチューニングと記事のキャッシュ導入をしたので、少しでも表示が早くなるといいなと願う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あさが来た』の第58回めの放送を見ましたよ。

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第10週『お姉ちゃんの旅立ち』

大阪最後の日、はつ(宮﨑あおい)は藍之助(南岐佐)を連れて、あさ(波瑠)の家へ泊まりに来た。

姉妹がゆっくりと気兼ねなくおしゃべりするのは、ふたりが結婚してから初めてのことだった。いくら話しても話題が尽きることはなかった。

藍之助のことを自分の息子のようにかわいがり、一緒に遊んでいた新次郎(玉木宏)だったが、亀助(三宅弘城)が大慌てでやって来るなり、急いで家を出て行ってしまった。亀助が三味線がどうのと騒ぎ立てるのを押しとどめ、理由を一切言わなかった。

三味線と聞いて、あさは師匠・美和(野々すみ花)が関係していると思った。新次郎が昨晩も遅くまで返ってこなかったのは、美和が関係していると睨んでいるのだ。美和は艶っぽい素敵な女性であり、自分は敵わないと愚痴を言った。
はつは、そんなあさを、半分からかい、半分慰めた。あさの愚痴は、美和への単なるヤキモチだと言って笑うのだ。一方で、あさも十分にきれいな女性になったと褒めた。襲名披露でめかしこんだあさはきれいだったと話してやった。
ただし、あさもはつも、夫から直接きれいだと言われたことは無かった。そのことをふたりで笑い飛ばすのだった。

その頃、美和は、新次郎の紹介で五代(ディーン・フジオカ)と会っていた。ただし、新次郎は用事があると言って、同席していなかった。
美和は、五代が大阪商人たちが気さくに集まって話せる場を欲しがっているということを知っていた。以前、大久保利通(柏原収史)の頼みで三味線を披露した時に、大久保と五代の話を聞いていたからだ。
それで美和は、自分が商人たちのサロンを作りたいと申し出るのだった。

あさは、はつに琴を弾いて欲しいと頼み、自分の琴を出してきた。
しかし、はつは断った。長い間弾いていないし、野良仕事で手も荒れてしまったので、琴を弾くことはできないというのだ。あさがどんなに頼んでも応じなかった。

そこへ、新次郎が大急ぎで帰ってきた。手には大きな荷物を抱えており、その風呂敷を解くと、はつの琴が収められていた。
はつの琴は、山王寺屋が倒産する時の金策のために売られてしまっていた。惣兵衛(柄本佑)はそのことを激しく後悔しており、取り戻すよう新次郎に頼んでいたのだ。新次郎は大阪中の楽器店を探しまわったが、なかなか見つからなかった。それが先ほど、町外れの店で売りに出ていると聞いて、すぐに買いに行ったのだという。
新次郎も、はつの琴の腕前の評判は知っていた。それで、どうしても聞いてみたかったのだと話した。

はつは、自分の大切な琴と再会できたことをたいそう喜んだ。あさとはつは琴の合奏をした。それはとてもよい演奏だった。
惣兵衛はこっそりと加野屋のそばまで来て、漏れ聞こえてくる音色を家の外から聞いた。惣兵衛も満足だった。

演奏を終え、琴を片付けた。部屋にははつと新次郎のふたりだけがいた。
はつは、琴を置いていこうとした。琴の値打ちは知っていて、それほど高価なものを無償で貰うわけにはいかないからだ。しかし、新次郎の熱心な説得で、やっとはつは応じた。

琴の一件が片付くと、はつは話題を変えた。
はつは新次郎に、なぜあさと結婚する気になったのか尋ねた。

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