本木雅弘と宮沢りえの広告で名の知れている、サントリーのお茶・伊右衛門。広告キャラクターの2人と並んで、「京都・福寿園のお茶、伊右衛門」というキャッチコピーもお馴染みだろう。
伊右衛門のCMを見ていると、山の清流の上に作った床でゆったりとお茶を煎れるシーンや、昔ながらの日本家屋の街並みを二人が歩くシーンなど、「いかにも京都!」なイメージを読者は抱いているかもしれない。
別に、サントリーの恨みがあるわけではない。
どちらかというと、好きな企業だ。山崎のウィスキー工場の見学にも行ったし。まぁ、どちらかというと美人人妻とのデート(デート?デートなのか!?)が主目的だったという話もあるが。
それはさておき、読者の「京都・福寿園」に関する誤解を少々解いておこう。
まず、福寿園は確かに老舗の茶商で、創業は1790年だそうだ。創業地は山城国上狛。現代の住所でいえば、京都府木津川市山城町。確かに京都府であることには間違いないが、みんなが想像する「京都(市)」とはちょっと違う。車で京都(市)まで行こうと思ったら、小一時間かかる。どちらかっつーと、奈良市役所の方が近く、20分くらいで行けてしまう。
Google ストリートビューで見ると、本社はこんなところ。
周りには、伝統的な日本家屋は皆無。古い農村集落といった感じ。本木雅弘と宮沢りえがしっぽりと肩を寄せ合って歩くような雰囲気は全くない。
本社工場の裏には、木津川が流れている。川幅100mはあろうかという、かなり大きな河川。風流に床なんか作っても、あっという間に水の流れに飲まれてしまいそうな感じ。太い杭を何本も打ち込んで、コンクリート製の丈夫な建造物でもなければ、その上でお茶を煎れて飲むなんて不可能かもしれない。伊右衛門のCMで見るような清らかで清楚な流れとは全く異質。
そんなわけで、サントリーの伊右衛門は僕も好きでよく買って飲むのだが、みなさんもこれからは「見事なイメージ戦略だなぁ」と広告マンの手腕に感心しながら飲んでいただければと思います。