NHK『ブギウギ』第78回

風邪で一日中寝ていて、まとめ記事もやめようかなと頭によぎったりしたんだけれど、なんとか気力は回復した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第78回めの放送を見ましたよ。

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第17週『ほんまに離れとうない』

鈴子(趣里)と愛助(水上恒司)が結婚するためには、鈴子が歌手を辞めなければならないという条件がトミ(小雪)から突き付けられている。村山興業において絶大な権力を持っている彼女に逆らえるものは誰もいなかった。

鈴子は最愛の愛助と結婚するために歌手を辞めることに気持ちが傾きかけていた。
それを聞いた愛助は猛反対した。愛助はもともと歌手である鈴子の大ファンであり、彼女が引退することなど我慢ならないのだ。鈴子が歌手を辞める代わりに、自分が母・トミと縁を切り、会社を辞めるべきだと主張した。
けれども、村山興業東京支社長・坂口(黒田有)は愛助が会社を辞めることなどあってはならないと説得した。トミだけでなく、村山興業の社員一同も愛助こそが次期社長だと思ってこれまで盛り立ててきた。多くの人々の期待を裏切ることになってしまうからだ。
鈴子、愛助、坂口の三者三様の思いは平行線で結論が出そうになかった。

鈴子は家で夕食を作りながら愛助の帰りを待っていた。調理しながら我知らずに歌いはじめ、包丁やすりこぎ棒でリズムをとった。ふと我に帰って、自分がどれだけ歌が好きだったのかと思い出した。

その時、羽鳥(草彅剛)が突然訪ねてきた。鈴子が歌手を辞めないよう釘を刺しにきたのだ。そればかりか、鈴子のためにミュージカル舞台『ジャズカルメン』を企画していると話した。オペラの有名曲『カルメン』をジャズミュージカルに仕立てたものだという。そもそもの構想は戦争前からあたためていたが、戦時中の統制で実演できなかった。鈴子とタナケン(生瀬勝久)の喜劇舞台に感化され、今こそ上演する時だと思ったという。
これを歌い演じれるのは鈴子しかいない。だから、絶対に歌手を辞めてはならないと言うのだ。

帰宅した愛助はそれを盗み聞きしながら入ってきた。自分もその舞台を見てみたいと力説した。
愛助は自分こそ世界一の鈴子ファンであり、実演が楽しみだと話した。すると、羽鳥は自分こそが鈴子の一番のファンだと食ってかかった。鈴子が引き立つように歌を作り、それを最も楽しみにしているのだと食ってかかった。しばし、愛助と羽鳥はどちらがより鈴子のファンなのか言い争った。

そのやりとりを見ていた鈴子は、『ジャズカルメン』の楽譜を手に取り、ぜひ出演したいと述べた。やはり自分は歌がいちばん好きだから、これを逃すことはできないと話した。
しかし、自分と愛助の結婚問題には希望が持てなかった。鈴子が歌手を続け、愛助が村山興行の跡取りになることは両立しないからだ。

そこへ、村山興業東京支社長・坂口と鈴子のマネージャー・山下(近藤芳正)まで家にやってきた。

現役時代は村山工業で働き、トミのこともよく知っている山下は、鈴子が歌手を続け、愛助が跡取りになる妙案があると言う。トミが考えを変えればいいのだ。そして、それができる人物は愛助をおいて他にはいない。つまり、愛助がトミに直談判して結婚を認めさせればいいと言うのだ。

愛助はそんな簡単なことに気づかなかったことを恥じた。そして、明日にでもすぐに大阪に行って母を説得すると息巻いた。

その勢いとともに、愛助は喀血した。

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NHK『ブギウギ』第77回

昨日、某家電量販店でスマホを買ったんだけれど、担当してくれた美人販売員さんの名前が僕の「好きな女優」リストに載っている女優さんの姓と名を組み合わせたもので(ヒント:朝ドラに出演してヒロインのライバル役をやってたふたりの組み合わせ)ニヤニヤしていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第77回めの放送を見ましたよ。

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第17週『ほんまに離れとうない』

鈴子(趣里)と愛助(水上恒司)は、愛助の母・トミ(小雪)からの伝言として、ふたりが結婚する条件として鈴子が歌手を辞めることを課された。
トミは世間体のことや愛助に村山興業を託したいという思いから早く結婚してほしいと考えていると言う。一方で、愛助を支えるのみならず、村山興業の多くの芸人や社員たちの母代わりとして陰に陽に面倒をみる必要があり、歌手との二足のわらじは不可能だというのだ。

もとは歌手としての鈴子の大ファンだった愛助は、もちろん鈴子が歌手を辞めることに猛反対した。
けれども鈴子自身は迷い始めた。

鈴子は、羽鳥夫妻(草彅剛市川実和子)に相談した。鈴子の才能に惚れ込んでいる羽鳥はもちろん歌手を辞めないよう引き留めた。
一方、妻・麻里は辞めろとも辞めるなとも言う代わりに、女性の立場の弱さについて怒りをあらわにした。夫を支えるために我慢を強いられるのはいつも女性の側だというのだ。麻里自身も、夫・羽鳥が音楽だけに没頭できるよう、家のことはほとんど全てを引き受けている。それと似たように、歌と愛助という大好きな二つのどちらを取るかという重大な選択を女性である鈴子ひとりに迫っていることは理不尽だと憤った。

数日後、村山興業東京支社長・坂口(黒田有)が大阪から帰ってきた。愛助と鈴子の結婚条件を撤回するよう、トミに頼みに行ってくれていたのだ。
しかし、話はうまくまとまらなかった。むしろ、坂口もトミの考え方に近寄ってしまった。やはり、村山興業の社長夫人になるならば、多くの芸人や社員のために身を粉にする必要があり、歌手との両立は難しいかもしれないというのだ。村山興業の特徴的な経営方針は、全員が家族のように支え合うということである。社長夫人はみなの母代わりとなって面倒を見る必要がある。坂口も若い頃からその世話になってきており、この伝統は続けていくべきだというのだ。
愛助はやはり猛反発し、母の方針に意を唱えた。

しかし、鈴子は弱気になり始めていた。トミの言い分も少しは理解できるという。
それに、愛助と正式な家族になれるなら歌手を辞めてもいいような気がしてきたと話した。

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NHK『ブギウギ』第76回

CHAIがNEOかわいいをフォーエバー(=かいさん)すると知って、軽くショックを受けているとともに、自分らしさを大切にするという彼女らのコンセプトは今の朝ドラと通じるところがあるなと今さら気づいた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第76回めの放送を見ましたよ。

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第16週『ワテはワテだす』

『舞台よ!踊れ!』の公演が始まった。
鈴子(趣里)はレビュー劇団の新人女優役を演じる。芝居は初めてでなかなかうまく演じられなかったが、自分は自分らしくあろうと、セリフを全て大阪弁に変えて出演した。
その結果、舞台は大好評だった。タナケン(生瀬勝久)との掛け合いも客に大ウケだった。世間でも評判になり、鈴子の新たな魅力が知れ渡った。

これまでの稽古中タナケンは一度も鈴子の芝居にコメントをしなかったが、終演後に初めて評価をした。
タナケンによれば、鈴子の芝居は間がズレているという。しかし、それが何より面白く、鈴子の天性の持ち味だという。タナケンの芝居とは全く違うものだが、鈴子はそのままで良いという。これからもありのままでいるようアドバイスした。
鈴子は、もっと早くそう教えて欲しかったと苦情を述べた。対してタナケンは、答えは自分で探し出すものだから言わなかったと答えた。何事も道のりは険しが、それだからこそ面白いものだと言うのだった。

鈴子の舞台を見届けた後、小夜(富田望生)とサム(ジャック・ケネディ)はアメリカへ旅立った。
その見送りの場で、鈴子は小夜のことを家族同然だと述べた。家族で大切に思っているからこそ、初めはサムにつれない態度をとっていたと言って彼に謝った。そして、鈴子と小夜は互いの今後を祝福しつつ、泣きながら別れた。

それからしばらくして、鈴子は村山興業東京支社に呼び出された。
そこで、社長秘書室長・矢崎(三浦誠己)と面会した。彼はわざわさ大阪本社から社長のメッセージを携えて出向いてきたのだ。

矢崎はいけ好かない男だった。そんな彼は鈴子と愛助(水上恒司)に向かって事務的に話し始めた。

社長であり愛助の母でもあるトミ(小雪)は、ふたりはそろそろ結婚するべきだと考えていると言う。歳ごろの男女が2年も同棲状態にあるのは世間体が悪いと思っているのだ。
これまでトミはふたりの交際に猛反対していた。そこで苦肉の策として、愛助の看病という名目で鈴子が一緒に暮らしていたのだ。ついに結婚が認められたと知って、ふたりは大喜びした。

しかし、矢崎は結婚のための条件を告げた。それは鈴子が歌手をやめなければならないというものだった。

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NHK『ブギウギ』第75回

今朝はいつもより1時間早く目が覚めてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第75回めの放送を見ましたよ。

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第16週『ワテはワテだす』

小夜(富田望生)とサム(ジャック・ケネディ)が鈴子(趣里)の家を訪ねてきた。鈴子はサムを睨みつけ、ふたりの結婚とアメリカ行きを許す気にはなれなかった。
しかし、愛助(水上恒司)になだめられ、話だけは聞くことにした。

サムは小夜と一緒にいると元気になると話した。小夜は素直で正直者であり、いつもあれこれ食べたいと言っている。それがサムに元気を与え、自分にとっての太陽のようであると言うのだ。
小夜も、サムといれば何も怖いものがないと話した。見知らぬアメリカに移住しても胸を張っていられるだろうという。それに、鈴子から「どこで何をしていても、小夜は小夜だ」と言われたことに背中を押されたと述べた。鈴子のその言葉は小夜の勝手な振る舞いを許して再度自分の付き人として戻す意味で言ったのだが、小夜はアメリカでも自分らしく生きられるという意味に解釈したのだ。これからの自分の人生にワクワクしていると話した。
ふたりの熱意に押され、鈴子はついに折れた。ふたりのアメリカ行きを認めた。

帰り際、小夜は鈴子からもらった言葉を返した。芝居が上手くできないという鈴子に対して「どこで何をしてもスズ子さんはスズ子さんだ」と励ました。

次の芝居の稽古日、鈴子は腹を括った。クビになる覚悟で、自分の好きなように演技をしようと決めて臨んだ。
なんと鈴子は、台本では東京弁であったセリフを勝手に大阪弁に変えて演じた。しかも新人劇団員という役柄なのに、ふてぶてしくドスのきいた声で喋った。
周りの劇団員たちは慌てふためいたが、鈴子は自分は自分らしくやると言い張った。自分の慣れ親しんだ大阪弁でなければ上手く演じられないのだ。

劇団員たちの中で、タナケン(生瀬勝久)だけは目の色を変えた。それまで鈴子のことを公然と無視していた彼が、初めて「面白いね」と評価した。そのまま続けさせた。

タナケンは、客は現実を忘れるために喜劇を観にくるのである。そんな客に当たり前のものを見せるわけにはいかない。意外で面白いものがよいと述べた。そして、鈴子の好きにやることを認めた。鈴子がどんなことをやっても全て自分が受け止めて笑いに変える、なぜなら自分は日本一の喜劇王だからだと言ってのけた。

鈴子は、そんなタナケンに惚れ惚れした。これまでの仕打ちを全て忘れ、彼に心酔してしまった。

そして、舞台本番の日を迎えた。

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NHK『ブギウギ』第74回

最近どうも朝が辛くて、昨夜はいつもより1時間早く寝たはずなのに、起きる時間もきっかり1時間増えてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第74回めの放送を見ましたよ。

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第16週『ワテはワテだす』

タナケン(生瀬勝久)の舞台稽古で、鈴子(趣里)はどうしてもうまくやれなかった。しかし、タナケンは鈴子に良いも悪いも一切言わなかった。

鈴子の拙い演技は、周りの役者にも悪影響を与えはじめていた。役者・田中(西村直人)は鈴子の間の悪さに引きずられて思うように芝居ができない。そのせいで、後輩の中村(曽我廼家桃太郎)と役を交代させられてしまった。彼は明らかに自分より下手くそであり、田中は納得がいかなかった。しかし、タナケンの決定に異を唱えることはできなかった。
代わりに田中は、鈴子に八つ当たりした。歌のステージで素人と一緒に歌わされたら鈴子の調子が狂うのと同じように、素人同然の鈴子と一緒に芝居をさせられたせいで調子が狂い、役を取られたと文句をつけると立ち去った。

鈴子は稽古場に一人で残っていたタナケンに自分の芝居が下手なのか訪ねた。しかし、タナケンは「どうだろうね?」と言うだけで明確な返事をせずに去ってしまった。

鈴子は、そばにいたマネージャー・山下(近藤芳正)に弱音を吐いた。
これまで鈴子は新しいことを始めるたびに先達から指導を受けてきた。USKに入団した時は先輩団員たちから、東京に進出した時には羽鳥(草彅剛)から厳しいレッスンを受けた。これから芝居に取り組むにあたっても同様に指導が欲しいのだ。それなのにタナケンは鈴子のことを無視してばかりである。ほとんど嫌気がさしていた。

ところが山下は、もう少し我慢するよう話した。そして、鈴子に芝居をやってもらいたい理由を述べた。
山下によれば、鈴子よりも上手な歌手はたくさんいる。それでも、多くの人が鈴子の歌を聴きにくる。それは、鈴子自身の面白さや魅力があるからだという。これからは鈴子の歌しか知らない人に、もっと別の魅力を知ってもらいたい。そのためには芝居に出ることが必要だと言うのだ。
鈴子は渋々従った。

家に帰ってしばらくすると、行方をくらましていた小夜(富田望生)が泣きながらやってきた。恋人だと思っていたアメリカ兵・サム(ジャック・ケネディ)がアメリカに帰ると言い出したというのだ。それで、捨てられるのだと思い、鈴子のところに逃げ帰ってきたという。
鈴子は頭に来た。サムと会っていた場所を聞くと、そこへ一目散に駆けて行った。

鈴子はサムを見つけるや否や、胸ぐらを掴んで日本語で捲し立てた。一方のサムは英語で一生懸命に何かを伝えようとしている。
鈴子の後を追ってきた愛助(水上恒司)と小夜によれば、サムは小夜にプロポーズしているのだという。彼は小夜と一緒にアメリカに帰って結婚したいと言うつもりだったが、小夜は帰国のことしか聞かずに捨てられると早合点していたのだ。

それでも鈴子の怒りは収まらなかった。言葉もわからず知り合いもいない異国に小夜を連れ去るなど許せることではないと思うのだ。鈴子は小夜を連れて家に帰った。
鈴子は、サムと別れるよう小夜を説得した。自分の付き人として戻ってきて欲しいと話した。
小夜は鈴子の優しさが嬉しかった。しかし、これ以上鈴子に優しくされると自分がもっとダメな人間になるような気がした。それで、鈴子に謝りつつ、家を飛び出してしまった。

追いかけようとしたところ、愛助が帰ってきた。彼は、鈴子と小夜が去った後、サムとふたりで話をしていたという。鈴子はひとまず愛助の話を聞くことにした。
愛助によれば、サムはたいそう真面目な男だったという。帰国したら軍を除隊し、実家の農園を継ぐつもりだと話していた。

そして何よりも、サムは怒鳴り込んできた鈴子の姿を見て嬉しかったと話していたという。サムは、小夜は親に捨てられて奉公に出されたと聞いていた。彼女は天涯孤独だと思っていた。ところが、激しい形相でやってきた鈴子のことを小夜の家族だと思ったという。孤独だったはずの小夜にも家族がいたのだと思って心底嬉しかったと話していたいう。

愛助は、鈴子にふたりのことを考え直してやるよう言った。

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NHK『ブギウギ』第73回

『“ウザさが癖になる”スズ子の弟子・小夜ちゃんを熱演 富田望生「天国の父と震災の孤独が、私を女優へと導いた」』(女性自身)という記事を読んだ当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第73回めの放送を見ましたよ。

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第16週『ワテはワテだす』

鈴子(趣里)は、日本一の喜劇王・タナケンこと棚橋健二(生瀬勝久)の舞台に出演が決まった。愛助(水上恒司)や、ダンスのレッスンで上京した秋山(伊原六花)は大抜擢だと驚き、祝福した。

しかし、鈴子はまったく乗り気ではなかった。
ただでさえ芝居をするのは初めてで不安であるのに、タナケンが鈴子を歓迎していないように見えるからだ。顔合わせの時はほとんど口を開かず、音楽監督の羽鳥(草彅剛)に推薦されたから仕方なく採用したといった風情だった。

そして、喜劇舞台『舞台よ!踊れ!』の稽古初日を迎えた。
レビュー劇団を取り上げたもので、舞台の本番直前に看板女優が安い賃金に不満を募らせて逃げ出してしまう。鈴子は急遽その代役を任された新人女優役を務める。タナケンは本番を成功させるために奮闘する演出助手役である。

鈴子とタナケン、そして劇団員・田中(西村直人)のシーンの稽古が行われた。タナケンと田中はセリフが全て頭に入っておりスラスラと演じていたが、鈴子は台本を持ったままセリフを言うのが精一杯だった。
タナケンはそのシーンを何度もやり直した。田中の演技がどうにもしっくりこないのだと言う。
一方で、鈴子の演技に対しては何の助言もなく、良し悪しの評価もしなかった。無視しているも同然だった。
そうしているうちに、初日の稽古は終わった。翌日は同じ箇所の確認から行うと告げて、タナケンは先に帰ってしまった。

帰り際、田中は鈴子に面と向かって悪態をついた。
自分はタナケンから何度もダメ出しをされたのに、鈴子はまともに芝居をせずともよいのだから楽で羨ましいと言う。人気歌手の鈴子は客寄せのために呼ばれただけで、何も期待されていないのだと言い捨てると帰って行った。
マネージャー・山下(近藤芳正)は、タナケンの大舞台で他の役者たちも気が張り詰めていて心にもないことを言っているのだと慰めたが、鈴子は気が晴れなかった。

その帰り道、鈴子は闇市の近くで元付き人の小夜(富田望生)がアメリカ兵(ジャック・ケネディ)と腕を組んで歩いているのを見つけた。以前にも一度この付近で見かけたことがあり、闇市の人々の間ではアメリカ兵相手のパンパンだと噂になっていた。

鈴子は小夜がパンパンになったのかと問い詰めた。
しかし、小夜は否定した。アメリカ兵・サムとは恋人同士だと言う。今は工場で住み込みで働いており、サムと恋仲になったのもその後である。金目的で付き合っているわけではないと説明した。
鈴子は、アメリカ兵はいつか帰国する者であり、小夜のことは一時的な恋愛であると諭した。しかし、小夜は聞く耳を持たなかった。埒が開かないと思った鈴子は、サムに対して小夜をたぶらかすなと日本語で食ってかかった。しかし、サムは鈴子の早口を理解できなかった。

小夜は、自分のことは放っておいてほしいと吐き捨てて、サムと一緒に逃げ去った。

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NHK『ブギウギ』第72回

今朝は夢の中で緊急地震速報がけたたましく鳴り激しい揺れを感じたのだけれど、ちょうどスマホの目覚ましアラームが鳴り、それと連動して腕に着けている活動量計のバイブレーターが振動していたというわけで、目覚めの悪かった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第72回めの放送を見ましたよ。

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第16週『ワテはワテだす』

戦争が終わり、自由に音楽活動ができるようになった。
それぞれが活動範囲を広げ、新たな段階へ進めるよう、鈴子(趣里)は「福来スズ子とその楽団」を円満に解散させた。
ただし鈴子は、マネージャー・山下(近藤芳正)と付き人・小夜(富田望生)だけは手元に残すつもりだった。
しかし、小夜は理由も告げず、一方的に付き人を辞めると言って姿を消してしまった。鈴子はショックを受けた。

それから3ヶ月が経ち、1946年(昭和21年)4月になった。
愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業に入社した。東京支社長・坂口(黒田有)の下で、宣伝部員として働いている。背広姿が決まっていて、鈴子は彼に惚れ直した。

そんな頃、マネージャー・山下が新しい仕事の話を持ってきた。
日本を代表する喜劇役者タナケンこと棚橋健二(生瀬勝久)が歌える女優を探しているのだという。タナケンは数多くの喜劇映画に出演したり、自身が演出/主演を務める舞台で大活躍している。またとないチャンスだという。
タナケンの次の舞台は、レビュー劇団のドタバタを描いた喜劇である。歌って踊れる女優が必要だが、それが見つからず難儀している。先方は、ぜひ鈴子に会ってみたいと言っているという。

鈴子は乗り気ではなかった。歌と踊りには自信があるが、これまで芝居は一度もやったことがないからだ。畑違いのことなどやりたくないと断った。
しかし、山下は食い下がった。楽団を解散したばかりの今だからこそ、活動の幅を広げるチャンスである。日本一のタナケンの胸を借りるつもりでやってみればいいと説得した。
その熱意に押され、鈴子は一度だけ会ってみることに同意した。

こうしてタナケンの劇団を訪問したが、散らかった会議室で鈴子たちはお茶も出されず2時間待たされた。
やっとタナケンが現れたかと思ったから、彼は鈴子を半ば無視して台本に目を通し始めた。劇団員は彼にだけ茶を出した。

鈴子と山下は、タナケンにうやうやしく挨拶をした。それでもタナケンは一言も喋らなかった。
鈴子が聞こえているのか?と尋ねると、やっとタナケンは口を開いた。
タナケンは、鈴子を好き好んで呼んだわけではないと話し出した。ある人に配役が難航していると話したら鈴子のことを強く推され、ほんの少しの興味で会っただけだという。自分の舞台に出すかどうかもわからないと言う。

鈴子は頭に来た。時間の無駄だと言って、帰ろうとした。
そこへ、作曲家・羽鳥(草彅剛)が入室してきた。彼は今回の舞台の音楽監督を務めているのだという。タナケンに鈴子のことを推薦したのも羽鳥なのだという。

羽鳥は新曲「コペカチータ」を書いたと言う。この曲は不思議なリズムで構成されていて、鈴子以外には歌いこなせないだろうと言う。今回の舞台は鈴子が歌ってこそ完成するのだと話した。
それを手掛かりに、羽鳥と山下マネージャーはタナケンに再び鈴子を推薦した。

タナケンは興味なさそうに認めた。
こうして、鈴子はタナケンの新しい舞台『舞台よ!踊れ!』への出演が決まった。

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NHK『ブギウギ』第71回

今朝も起きるのが辛かった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第71回めの放送を見ましたよ。

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第15週『ワテらはもう自由や』

1946年(昭和21年)1月。
「福来スズ子とその楽団」にはひっきりなしに公演依頼が舞い込み、休みがまったくないほどだった。アメリカ軍が進駐して、流行りの音楽が大きく変わったことも拍車をかけていた。

忙しい一方で、メンバーたちに少しずつ変化が起きていた。
ギター・三谷(国木田かっぱ)とドラム・四条(伊藤えん魔)が遅刻したり、終演後のミーティングを欠席するようになった。本人たちは忙しさのあまり疲れているせいだと言って謝った。
付き人・小夜(富田望生)は腹が痛いと言って早退することが多くなった。

小夜は腹痛だと嘘をついて、仲良くなったアメリカ兵・サム(ジャック・ケネディ)と頻繁に会っていた。
小夜は福来スズ子のような歌手になりたくて付き人をしていると話した。すると、サムから歌うように頼まれ、小夜は往来で福来スズ子のモノマネをした。
通りがかりの人々は、小夜の滑稽な姿を見て笑った。サムは褒めてくれたが、小夜は急に恥ずかしくなった。サムに挨拶もせず、小夜はそのまま走り去った。

終演後のミーティングで、いつものように三谷と四条が帰った後、二村が鈴子(趣里)に真相を明かした。
あのふたりは、他の楽団と掛け持ちをしているという。どこの楽団も人手不足で、演奏家は引く手数多だと言う。実際、二村や一井(陰山泰)にも引き抜きの声がかかっているという。ただし、二村と一井はそれらを断り、鈴子の楽団に集中していると話した。

鈴子は一晩考え、結論を出した。
翌日、メンバーに楽団の解散を宣言した。

鈴子にとって、楽団員たちが他所から引き抜かれることは嬉しいことだという。
戦争で梅丸楽劇団が解散したことで、鈴子は歌う機会が奪われた。その代わりとして苦し紛れに作ったのが今の楽団である。けれども戦争中は公演も少なく、ずっと食うや食わざるやの苦しい状態が続いた。いよいよ戦争が終わって、自由に音楽ができるようになり、好きな音楽で生計を立てられるようになった。これからは楽団メンバーも自由だというのだ。
鈴子は心の底からメンバーたちにこれまでの礼を言った。

楽団メンバーたちも鈴子に感謝して解散を受け入れた。
戦争で仕事がなくなっていたのは彼らも一緒だったからだ。鈴子のもとへ集まったことで、演奏を仕事にすることができたし、日々の鍛錬にもなった。他に取り柄もなく、鈴子がいなければ野垂れ死にだったろうと口々に礼を言った。

こうして、付き人の小夜とマネージャーの山下(近藤芳正)だけを残して、「福来スズ子とその楽団」は活動を終えた。

ところが、小夜も付き人を辞めるという。
明確な理由も述べず、小夜は走り去ってしまった。

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NHK『ブギウギ』第70回

今朝も寝坊してリアルタイムで見れなかったんだけど、それはさておき、我が最愛の山瀬まみレギュラー出演中のラジオで美味しいと言っていたKiriクリームチーズのチロルチョコを今日も買いに行った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第70回めの放送を見ましたよ。

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第15週『ワテらはもう自由や』

戦後初の歌謡ショーでいよいよ鈴子(趣里)の出番となった。
戦時中に封印されていた『ラッパと娘』を思う存分歌い、踊った。楽団はそれに合わせるように盛り立てた。観客たちは往年の人気曲に大盛り上がりだった。

熱狂のうちにステージが終わり、鈴子は楽屋に引き上げた。久しぶりに激しく歌ったせいで鈴子は死ぬ思いがした。しかし最高の気分だった。
先に出番を終えていた茨田りつ子(菊地凛子)も良いステージだったと褒めてくれた。
するとそこへ、羽鳥が現れた。上海に行ったきり終戦後は音信不通だったため、鈴子もりつ子も驚いた。羽鳥は身柄を拘束されるなどの災難に遭ったものの、無事に釈放され命からがら引き上げ船で帰ってきたのだと言う。羽鳥はふたりのステージはこれまでで最高だったと絶賛した。そして、自分も負けずに新しい曲を作ると宣言した。上海での経験で新しい音楽の可能性を見出したと言うのだ。ただし、向こうで書いた楽譜は全て没収されてしまった。けれども、頭の中に残っているので、すぐに書き直すと言って早々に帰って行った。

鈴子が帰宅すると、愛助(水上恒司)は玄関に正座して鈴子を待っていた。今日のステージは、今までの福来スズ子の歴史の中で最高のものだったと感激しながら話した。
鈴子も今日の出来に満足しており、これからは誰に何を言われようと自分の好きなように歌うと約束した。

それからしばらく、鈴子たちは平穏に暮らした。
ただし、以前に鈴子と小夜(富田望生)が買った宝くじはきれいさっぱり外れてしまった。

小夜は、カラくじを持って一人で売り場に向かった。4枚のカラくじはタバコと交換してくれるからだ。
小夜はタバコを一切吸わないが、アメリカ兵・サム(ジャック・ケネディ)にあげようと思った。小夜が宝くじを買う時には3枚分の金しか持ってなかったが、通りかかったサムが1枚買ってくれたのだ。小夜は、サムがいつも決まった時間にやって来て、子どもたちにチョコレートを配ることを知っていた。だから、その時間に合わせて宝くじ売り場へ行った。

こうして、小夜は宝くじの礼としてサムにタバコを渡した。それだけ済ませて帰ろうとした小夜をサムが呼び止めた。彼は片言の日本語で食事に行こうと誘った。
食べ物に目のない小夜は喜んでついて行った。

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NHK『ブギウギ』第69回

我が最愛の山瀬まみが『居酒屋新幹線2』の放送開始(昨夜)を楽しみにしていると言っていたので、僕も録画しておいたものを見ようと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第69回めの放送を見ましたよ。

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第15週『ワテらはもう自由や』

終戦から3ヶ月、日帝劇場が再開され、スター歌手たちを集めた公演が行われることになった。

鈴子(趣里)と楽団員たちは久しぶりに事務所に集まり、演目の相談をした。
当然のように満場一致で『ラッパと娘』を演奏することになった。福来スズ子の代表曲であるものの、派手な歌や踊りであるため戦争中は自粛していたのだ。戦争が終わって思う存分やれることとなり、鈴子も楽団員たちも大いに盛り上がった。

鈴子は自宅で家事をしながら、『ラッパと娘』の稽古をした。久しぶりに歌うのでメロディーや踊りを忘れているところがあったのだ。
その様子を見た愛助(水上恒司)は大いにはしゃいだ。そもそもが彼女の大ファンだった愛助は、往年の福来スズ子が帰ってくることが嬉しいのだ。

ところが、鈴子は不安になっていた。戦争があったことで、人々が変わってしまったのではないかと思うのだ。ましてや、今は戦後復興に必死な時である。以前のように自分の歌と踊りを楽しんでくれるかはわからない。
愛助は、福来スズ子の歌には力があるので心配はいらないと話した。鈴子はほんの少しだけ気が楽になったが、それでもまだ不安は拭えなかった。

いよいよ公演当日。鈴子は久しぶりに派手な衣装を身につけ、昔のように巨大なつけまつ毛を付けた。それでもまだ不安で落ち着かなかった。
すると楽屋へ、茨田りつ子(菊地凛子)が現れた。久しぶりの再会に鈴子は大いに喜んだ。

しかし、りつ子は沈み込んだ様子だった。東京の家が空襲で焼けてしまったのだと言う。そればかりか、特攻隊員の慰問に行ったことがずっと心に引っかかっているのだと話した。
特攻隊員たちは自分の歌を聞き、勇気づけられて出撃した。りつ子は、最終的に自分の歌が隊員たちの背中を押して死に追いやったのではないかと悩んでいるのだ。歌は人を生かすためにあるものなのに、それと反対のことをしてしまったと悔やんだ。

その話を聞いた鈴子は、戦争が終わった今こそ、自分たちの歌で人々を生かさなければならないと述べた。今はどん底なので、あとは良くなるばかりだ。歌えば歌うだけ人々は元気になるはずだから、好きなように歌おうと話した。
りつ子にそう話しているうちに、鈴子は自分の抱えていた不安が吹き飛んだ。溌剌としてやる気に満ち溢れた。
ひとりで興奮している鈴子を見て、りつ子は苦笑いした。それでも、りつ子の気持ちも少し軽くなった。

本番が始まり、最初はりつ子の出番だった。
りつ子は人気曲『別れのブルース』を歌った。歌いながら特攻隊員たちのことを思い出してしまったが、それがかえって歌の情感を高めた。観客たちは涙を拭いながら聞き入った。舞台袖で聞いていた鈴子も涙を止めることができなかった。

歌い終えたりつ子も頬を涙で濡らしていた。
舞台袖に引き上げてきたりつ子に、鈴子は賛辞を送った。
そして、次は鈴子の出番だった。雰囲気を入れ替えるかのように、大きく手を振りながら元気よくステージに躍り出た。

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