NHK『ブギウギ』第102回

大好きな野菜はニンジンである当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第102回めの放送を見ましたよ。

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第22週『あ~しんど♪』

1950年(昭和25年)春。
大野晶子(木野花)が家事手伝いとして鈴子(趣里)の家に来て半年が経った。家の中はいつもきれいに整えられ、おてんば娘だった愛子(小野美音)もすっかりおとなしくなった。
ただし、愛子の食べ物の好き嫌いだけはなかなかなおらなかった。彼女はニンジンが大嫌いで、いつもそれだけ残していた。鈴子が叱ってもまったく言うことを聞かない。ある朝、食卓に出てきたニンジンを食べ終わるまで遊ぶのは禁止だと言いつけて、鈴子は仕事に出かけた。

今日の鈴子の仕事は、レコード会社での打ち合わせであった。近く、鈴子のワンマンショーが開催されることになっており、その企画会議である。
レコード会社社員・佐原(夙川アトム)はそのワンマンショーで新曲を発表したいという。しかも、その新曲は『東京ブギウギ』を超える大ヒットにしたいと述べた。『東京ブギウギ』が発表されたのは2年前で、その後も『ヘイヘイ・ブギー』や『ジャングル・ブギー』も人気を博した。しかし、後続作はいずれも『東京ブギウギ』ほどの大ヒットにはならなかった。これまでのイメージを変えてでも、次の大ヒット作品を作りたいというのが佐原の希望だった。

鈴子は困惑した。鈴子自身はレコードの売り上げを意識したことは一度もなかった。鈴子は自分の気持ちがよくなることと、客が楽しむことだけを考えて歌ってきた。どうすればヒット曲がでるのかなど、鈴子にはまったく想像がつかないのだ。マネージャー・山下(近藤芳正)は、佐原のいないところで、鈴子のやり方は間違っていないと励ました。今まで通りでよいと言うのだった。

レコード会社での打ち合わせを終えた後、鈴子は茨田りつ子(菊地凛子)に会いに行った。家事手伝い・大野を紹介してくれた礼をまだ言ってなかったからだ。
りつ子は、大野が鈴子に気に入られていると聞いて安堵した。自分が勝手に送り込んだため、ふたりの馬が合わなかったらと心配していたのだ。

りつ子は、大野の経歴について話し始めた。
大野は、りつ子の青森の実家の呉服屋で女中をしていたという。子ども時代のりつ子は、金持ちの娘として甘やかされて育ち、わがまま放題になっていた。親や他の女中たちも手をつけられなくなり、なかば見放されていた。そんな中、大野だけはりつ子に真剣に向き合ってくれたという。女中だという立場にもかかわらず、「わがままばかりでは誰にも相手にされなくなる。いい加減にしろ」と奉公先の娘であるりつ子のことを怒鳴りつけたことがあった。それでりつ子は目が覚めたのだ。
りつ子は15歳で家を離れたため、大野とも疎遠になった。その後、大野は青森で結婚したが、戦争のころに夫と死に別れた。離れて暮らしていた息子を頼って上京したが、その息子も戦死した。残された嫁と孫と3人で暮らしていたが、空襲の時にはぐれてしまい、そのふたりも亡くした。
それからはひとりぼっちで暮らしていた。どこかで女中として働いていたとのことだが、りつ子が再会したときにはすっかり打ちひしがれ、憔悴しきっていた。昔みたいに元気になって欲しいと思い、鈴子に紹介したというのだ。
鈴子なら大野の気持ちがわかるだろうし、苦労を重ねてきた大野だからこそ鈴子の力にもなるというのがりつ子の考えだった。鈴子は、りつ子の見立て通りだと感服した。

その頃、家では大野が愛子のニンジン対策を行っていた。
愛子が食べ残したニンジンを米、砂糖と一緒にすりつぶし、フライパンで焼いてがっぱら餅に仕立てた。その制作過程が面白く、愛子は自分から手伝った。大野によれば、ふつうのがっぱら餅にはニンジンを入れないが、今日だけは特別なおやつにしたという。しかも、ニンジンを食べれば美人になると付け足した。
愛子はおっかなびっくりかじってみると、そのおいしさを気に入った。出来上がったニンジン入りがっぱら餅をすっかり平らげてしまった。

鈴子が帰宅すると、愛子と大野は楽しそうにお絵描きをしていた。朝はニンジンを食べ残してぐずっていた愛子の機嫌がよくなっていて、鈴子は安堵した。また、大変な苦労をして人相が変わるほどだったと聞いた大野も楽しそうにしているのを嬉しく思った。
鈴子が帰宅したのと入れ替わりに、大野は愛子を鈴子に任せて買い物に行くと言う。鈴子は自分もついていくことにした。3人で手を繋いで仲良く歩いていると、近所の人からは大野が本当の祖母であると勘違いされた。鈴子はそれを否定しなかったし、良いことを言われたと思った。幸せな時間だった。

ある朝、マネージャー・山下が雑誌『真相夫人』を携えて、慌ててやってきた。
記事によれば、タナケン(生瀬勝久)が足に大怪我をしたという。

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NHK『ブギウギ』第101回

今日は大好きなReiちゃんさんのライブに行く当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第101回めの放送を見ましたよ。

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第21週『あなたが笑えば、私も笑う』

茨田りつ子(菊地凛子)から紹介されたと言って、大野晶子(木野花)が家事手伝いとして雇ってくれと押しかけてきた。鈴子(趣里)には寝耳に水で困惑した。なんとか断ろうとしたが、大野は一歩も引こうとしない。そこで、翌日1日だけ試しに働いてもらうことにし、家の鍵を渡して追い返した。

翌朝6時、鈴子は味噌汁のいい匂いで目を覚ました。
なんと、すでに大野が家に来ていて、朝食の準備をすっかり済ませていたのだ。鈴子は驚いたが、彼女の作った朝食は美味しかった。好き嫌いの激しい愛子(小野美音)もおとなしく平らげた。

その日の鈴子のスケジュールは、出演映画の試写会とレコード会社での打ち合わせである。
鈴子がいつものように愛子を連れて出かけようとすると、大野は自分が家で預かると言い張って押し問答になった。鈴子はこれまで愛子と離れて出かけたことがなく不安なのだ。映画の撮影中に楽屋でスタッフに預けたところ怪我をしたこともある。絶対に目を離したくなかった。一方の大野は、茨田りつ子から鈴子の負担を軽くするよう厳命されているのだ。なんとしても愛子を預かると言って譲らなかった。
迎えに来たマネージャー・山下(近藤芳正)が仲裁し、今日だけ大野に任せてみればよいと提案した。ダメだったら、明日からまた元通りに仕事場に連れて行けばよいと言うのだ。
鈴子は渋々、山下の案を受け入れた。愛子は鈴子と離れることを不安に思い泣き出した。鈴子もこの世の別れのように思われたが、断腸の思いで家を出た。

鈴子とタナケン(生瀬勝久)の共演作『タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩』の試写は好評だった。丁々発止の夫婦喧嘩のシーンでは笑い声が、仲直りしてデュエットするラストシーンでは啜り泣く声があちこちから聞こえてきた。タナケンも満足し、鈴子の演技を褒めた。鈴子は関係者一同に感謝の挨拶をした。

しかし、試写会の間中、鈴子は愛子のことが心配で気が気ではなかった。好き嫌いの多い愛子はきちんと昼ごはんを食べているだろうか。愛子があたりを走り回って怪我をしていないだろうか。大野は歳をとっているので、愛子の動きについていけないかもしれない。何かあったら、大野に任せた自分の責任である。
山下は鈴子の不安な様子を見ていられなくなり、家に帰すことにした。この後のレコード会社との打ち合わせは自分一人で十分だし、終始ソワソワしている鈴子が隣にいると落ち着かず仕事にならないと言うのだ。
山下の提案を受け入れ、鈴子は走って家へ帰った。

家へ着くと、鈴子の心配をよそに愛子はとても良い子にしていた。ちょうど大野と一緒に洗濯物を畳んでいるところだった。朝は離れることをあれほど泣いて嫌がっていた愛子なのに、鈴子が帰ってきても甘えることはなかった。
愛子がイタズラして破った障子も完璧に修繕されていた。大野によれば、愛子も手伝ってくれたという。障子に花柄のつぎあてを貼ったのは愛子の仕事だという。大野によれば愛子は楽しんで作業をしたし、女の子は花が好きだから、もう自分で破ることもないだろうという大野の企みでもあった。

鈴子は、愛子が落ち着いていることと大野の手腕にすっかり安堵した。そして我知らず涙がこぼれた。
大野は、これまで鈴子が一人で頑張ってきたことをねぎらった。そして、これからは自分を頼ってよいのだと優しく話した。
鈴子はすっかり大野を信頼した。こうして大野が正式に雇われることとなった。

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NHK『ブギウギ』第100回

キリ番の100に到達した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第100回めの放送を見ましたよ。

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第21週『あなたが笑えば、私も笑う』

鈴子(趣里)は羽鳥(草彅剛)にブギの新曲を作るよう依頼した。茨田りつ子(菊地凛子)から、歌を捨てて映画に出演している鈴子は次第に世間から忘れられ、ブギの人気もすぐに終わると言われたことを見返してやりたいからだ。鈴子とりつ子の対立を面白がり、羽鳥はそれを請け負った。

その頃、りつ子はりつ子で鈴子とやり合ったことを後悔していた。特に、ふたりの言い争いの声で幼い愛子(小野美音)が泣き出してしまった光景が頭から離れなかった。
そこへ、雑誌記者・鮫島(みのすけ)が顔を出した。鈴子とりつ子の対談記事は話題を呼び、掲載号がよく売れているという。続報を出したいので、言い足りないことがあればぜひ聞きたいというのだ。

しかし、りつ子は鮫島に愛想を尽かしていた。自分も鈴子も鮫島に煽られて、扇動的な記事の発表に利用されただけだと気づいたからだ。りつ子は冷淡に彼を追い返そうとした。
鮫島は、りつ子や鈴子がスターでいられるのは、自分たちが話題にしているからだと捨て台詞を吐いた。記事にされなくなったら人気もなくなり、歌手生命が絶たれると脅した。
それでもりつ子は毅然とした態度を貫いた。自分は人気が欲しくて歌っているわけではなく、たとえ客が一人になっても歌い続けると胸を張って答えた。その一人に対して一生忘れられない歌を聞かせてやるつもりだと不敵な笑みを浮かべながら答えた。
その剣幕に、鮫島は逃げていった。

ある晩、鈴子は愛子の世話に難儀していた。食べ物の好き嫌いを言い出すようになり、うまく食事を摂らせることができなかった。家の中も愛子のおもちゃで溢れかえり、掃除をする余裕もなかった。

そんな時、先触れもなく鈴子が訪ねてきた。
りつ子は、鈴子にひどいことを言ってしまったことを謝りたいのだという。居間にあがり愛子の顔を見ると、いつも険しいりつ子の表情がやわらいだ。
りつ子は、最近の自分はおかしかったと反省を述べた。戦争が終わって自由に歌えるようになったはずなのに、自分の歌が客に届いていないように思えて気分が晴れないのだという。歌手は歌を聞かせる仕事なのに、新聞や雑誌では歌手の色恋沙汰やトラブルばかりが報じられ、歌そのものが話題に上がることは少ない。そんな矢先、鈴子までもが映画に出ると聞いてカッとなったのだと説明した。

鈴子は自分の立場を話した。
芝居は芝居で楽しいと思っているが、歌を捨てたつもりは全くない。一人で愛子を育てるためには、どんな仕事も引き受けなければならないのだと説明した。誰にも頼らずに育てなければならず、不安もあるが仕方のないことだと話した。それを聞いて、りつ子は鈴子の境遇を理解した。
こうしてふたりは仲直りした。

その直後、羽鳥は新曲「ヘイヘイブギー」を完成させた。テーマは陽気な恋であり、恋をすれば誰もがおかしくなっている様子を表した歌だという。
鈴子はその曲を気に入った。羽鳥は何も言わなかったし、彼に尋ねもしなかったが、鈴子はその歌に隠されたテーマを一目で見抜いた。恋の歌であると同時に、鈴子と愛子のことが歌われていた。

ある日、大野晶子(木野花)と名乗る東北訛りの老婆が鈴子の家を訪ねてきた。彼女はりつ子と同郷の縁があるという。そして、りつ子の紹介状を携え、鈴子の家で家政婦として働くよう頼まれたのだと話した。
鈴子は、一人で愛子を育てるのを大変だと話したことをりつ子が気にかけてくれたのだと理解した。しかし、事前の相談もなく送り込まれてきたことで困惑してしまった。

大野は、りつ子からの頼みは必ず成し遂げなければならず、鈴子が雇ってくれるまで帰らないと言い張った。試しに一日だけでも働かせてくれと頼むと、鈴子は渋々了承した。喜んだ大野は、早速部屋の片付けを始めようとした。鈴子はそれを押し留め、試用期間の一日は翌日だと言い聞かせて帰し、なんとかその日はやり過ごすことができた。

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NHK『ブギウギ』第99回

昨夜はマクドナルドで晩御飯を食べながらWikipediaの藤田田の記事を読んでいた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第99回めの放送を見ましたよ。

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第21週『あなたが笑えば、私も笑う』

茨田りつ子(菊地凛子)が福来スズ子(趣里)は終わった歌手だと述べたとする記事が雑誌に掲載された。
鈴子は、雑誌記者・鮫島(みのすけ)が面白おかしく誇張して書いたと知りつつも、りつ子が何か勘違いをしているかもしれないと思った。そこを鮫島に手玉に取られ、彼の口車に乗せられて鈴子はりつ子と雑誌社主催の対談に臨むことになった。

鈴子は映画撮影の合間に、娘・愛子(小野美音)とマネージャー・山下(近藤芳正)を伴って対談会場へ到着した。
鈴子はつとめて朗らかな雰囲気を作ろうとしたが、先に席に着いていたりつ子はむっつりとしているばかりで口数も少なかった。

鈴子はなんとか対談を進めようと、「福来スズ子は終わった歌手」と言ったのは本当か尋ねた。するとりつ子は眉ひとつ動かすことなく肯定した。鈴子はにわかには信じがたかった。これまでも親友というわけではなかったが長い付き合いで、歌手として人気も二分してきた。産後直後で鈴子が困っているときには、りつ子が愛子の子守りを買って出てくれたほどである。
りつ子によれば、好意的に接していたのは鈴子のことを歌手として認めていたからだという。ところが、「ブギの女王」ともてはやされてからは浮かれてばかりいる。鈴子のことはあっという間に忘れられ、ブギの人気もすぐに終わるだろうと予言した。

それまでは穏やかな態度だった鈴子だが、ブギが終わると言われたことで頭に血が上った。りつ子はブギを歌ったこともないくせに、偉そうなことを言うなと言い返した。
りつ子の批判も止まらなかった。歌手ならば歌で勝負すべきなのに、最近の鈴子は映画出演に夢中で歌を捨ててしまったようにしか見えないと追撃した。

映画出演の話になると、主催者の鮫島もりつ子に加勢した。撮影所関係者から聞いた話として、撮影中の鈴子はスタッフに娘を預けっぱなしにしており、目を離したせいで愛子が怪我をしたと指摘した。しかも、その事故のせいで撮影スケジュールが狂って現場が大混乱、スタッフたちは大迷惑を被っていると述べた。鮫島は、明らかに話を誇張していた。
それがますます鈴子を怒らせた。思わず声を荒げ、それに驚いた愛子が泣き出してしまった。
それを潮に、鈴子は一方的に対談を打ち切り、帰ってしまった。

後日、その対談の模様が雑誌に掲載された。もちろん、鈴子をけなす内容だった。曰く「歌を捨てたブギの女王はもう終わり」。
いつもの鮫島のやり口だと分かってはいるものの、りつ子の態度も冷たかったと鈴子は思った。

映画撮影の最終日、雑誌を見たタナケン(生瀬勝久)が鈴子の楽屋を見舞った。
鈴子は、タナケンの前で少し弱気になった。りつ子が言ったり、記事に書かれている通り、自分は歌と演技との間で中途半端であったかもしれないと反省した。それに加えて、子育てまでしているのだから半端になるのだろうと話した。

タナケンは、歌手や役者は、何があっても続けるしかない職業だと話した。人々に邪魔されようが誤解されようが、自身の芸や生き方で理解してもらうしかないというのだ。それは、母親も同じである。鈴子が精一杯頑張っている姿が愛子に伝わっているはずだから、今まで通り努力を続けろと説いた。
それはタナケンなりの応援と謝罪だった。愛子が怪我をして撮影が中止になったとき、タナケンは客は役者の事情など忖度しない、出来上がった作品でだけ評価されると厳しく話した。歌手や役者は芸でのみ評価されるという意味は変わらないが、同じ話に母親という役割を加え、鈴子に受け入れやすいように話を再構成したのだ。鈴子は前向きな気持ちになれた。

最後の撮影は、喧嘩ばかりしていた長屋の夫婦が仲直りする場面だった。鈴子とタナケンは見事に演じきり、全ての撮影が無事に終わった。撮影スタッフたちも満足し、鈴子とタナケンも満面の笑みを浮かべた。

マネージャー・山下は、映画の撮影が終わったタイミングで鈴子に長期の休暇をとることを勧めた。
しかし、鈴子はそれを断った。タナケンに言われたことを思えば休んでいる暇はないというのだ。しかも、自分が歌を捨てたという悪評を吹き飛ばす必要もある。

撮影を終えた翌日、鈴子は羽鳥(草彅剛)の家を訪ね、新曲を作ってほしいと直談判した。
羽鳥は、『東京ブギウギ』、『ジャングル・ブギー』と続いたので、そろそろ目新しいことすべきだと提案した。ブギばかりでは面白みがないというのだ。
しかし、鈴子は応じなかった。次の曲もブギにしてほしいと依頼した。鈴子はブギで勝負したいのだと力説した。

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NHK『ブギウギ』第98回

最近もまとめ記事がちょっとしんどくなってきたけれど、もう終盤だと思って気力を振り絞っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第98回めの放送を見ましたよ。

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第21週『あなたが笑えば、私も笑う』

鈴子(趣里)の初めての映画出演の撮影中、楽屋で遊んでいた愛子(小野美音)が転倒して頭に怪我をした。幸い大事には至らなかったが、念のためにその日と翌日の撮影は中止になった。

次の撮影日、鈴子は共演者のタナケン(生瀬勝久)に謝った。
タナケンは子どものしたことは仕方がないと言いつつ、鈴子に小言を発した。撮影が1日でも伸びると現場の負担が増え、その皺寄せが作品の質を下げるかもしれない。客は鈴子が母親として苦労しているかどうかなど気にも留めず、大目に見てくれることなどない。つまらない映画を見せたら人々からそっぽを向かれて終わりだと注意した。鈴子は平謝りするほかなかった。

しかし、その日の鈴子は不調だった。楽屋に待たせている愛子のことが気になって芝居に身が入らなかった。単調な芝居になってしまい、NGを出した。そんな体たらくにもかかわらず、休憩時間になると一目散に楽屋に帰って行った。タナケンはそんな鈴子の様子を苦々しく見ていた。

その頃、茨田りつ子(菊地凛子)も調子が悪かった。客やスタッフはまだ気づいていなかったが、りつ子はうまく声の出ないことを自覚していた。それでもりつ子は歌手としてのプライドがあり、歌を休むつもりは毛頭なかった。

そんなある日、雑誌『真相夫人』の記者・鮫島(みのすけ)が往来でりつ子に声をかけた。
鮫島は歌に打ち込むりつ子を褒めそしつつ、鈴子は歌を捨てて女優に専念するらしいと吹き込んだ。りつ子も鮫島がデタラメで扇動的な記事ばかり書くことを知っていて無視するつもりだった。
すると鮫島は、鈴子が「歌うことしかできないりつ子はもう終わりだ」と話したと伝えた。それを聞いたりつ子は、それが本当だとするなら、福来スズ子もブギも終わりだと答えて去って行った。

それから1週間後、『真相夫人』が発売になり、マネージャー・山下(近藤芳正)が慌てて鈴子のもとへ持ってきた。そこには、りつ子が「福来スズ子は終わりだ」と述べたとする見出しの記事が掲載されていた。
鈴子は、りつ子が本当にそう言ったのか確かめに行きたいと言い出した。しかし、山下はそれを思いとどまらせた。ただでさえ愛子の怪我で撮影を休んだのに、これ以上時間をとってりつ子に会いに行く時間などないからだ。ましてや、鈴子とりつ子が直接会って話をするなど、鮫島のゴシップ記事の格好の餌食になる。そう言われて鈴子は納得し、記事のことは忘れることにした。

ところが、鮫島は撮影所にまで鈴子を追いかけてきた。もちろん鈴子は鮫島の相手をせず、彼を追い返そうとした。
ところが鮫島は食い下がった。りつ子は鈴子のことを挑発しているというのだ。記事には書かなかったが、りつ子は「ブギは終わりだ」とも言っていたと告げた。鮫島は、疑うならりつ子に直接聞けばよいと助言した。ただし、鈴子が直接連絡を取ったり、ふたりだけで会おうとすれば、りつ子は鈴子が怒りに任せて怒鳴り込んできたと思うだろうと指摘した。そこで、鮫島が対談の場を用意するので、そこで互いに公平な立場で話し合うのがよいと提案した。

鮫島のことを無視するつもりだったが、その鈴子の曖昧な返事が鮫島には承諾の意味だと捉えられてしまった。鮫島はすぐに対談の準備に取り掛かると言って帰って行った。

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NHK『ブギウギ』第97回

ラップとかは普段全く聞かないんだけれど、元気が出ない時はRHYMESTERの『My Runway feat. Rei』を無性に聴きたくなるし、今朝も聴きまくってる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第97回めの放送を見ましたよ。

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第21週『あなたが笑えば、私も笑う』

1949年(昭和24年)夏。
『東京ブギウギ』や『ジャングル・ブギ』の大ヒットして仕事が順調な一方、家事や育児をひとりでこなす鈴子(趣里)は大忙しだった。
娘・愛子(小野美音)は2歳になり、自分で歩けるようになってからは一時もじっとしていなかった。家の障子を破ったり、居間をおもちゃでいっぱいに散らかすなど、そのお転婆ぶりに鈴子は手を焼いていた。しかし、娘を溺愛する鈴子はあまり強くは叱れなかった。

その頃、鈴子は新たに映画に出演することになった。
喜劇王タナケンこと棚橋健二(生瀬勝久)からの共演指名であり、内容は長屋に暮らす夫婦の人情喜劇、タイトルは『タナケン福来のドタバタ夫婦喧嘩』であった。鈴子とタナケンの丁々発止のやりとりが目玉になる作品である。

鈴子はこれまでのように撮影所に愛子を連れてきた。ただし、撮影中は鈴子もマネージャー・山下(近藤芳正)も手が離せないため、撮影スタッフの畑中(梅林亮太)が愛子の面倒をみてくれることになった。

こうして撮影が始まった。
鈴子は繕い物で暮らしを支える貧乏な妻を熱演した。タナケン演じる夫は定職がなく、細々と手拭いを売りに行っている。帰ってきた夫は、売上金を全て飲み代にしてしまったという。こうして夫婦が互いに罵り合うシーンが撮影された。
鈴子は初めての映画撮影で、大きなカメラで撮られることに緊張して足がすくむほどだった。それでも精一杯やり遂げ、タナケンからも認めてもらえた。この後の撮影にも意欲が湧いてきた。

ところが、その撮影中に愛子が頭に怪我をして病院に行ったという。畑中が一瞬目を離した隙に転び、机の角に頭をぶつけたという。
鈴子はひどく取り乱したわけではないが、その対応でその日の撮影は全て中止になった。撮影スタッフからは翌日の撮影も休止にするので、愛子についていてほしいと言われた。

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NHK『ブギウギ』第96回

5月に発売される横浜銀蝿のトリビュートアルバム『仏恥義理 斗璃美勇徒』が楽しみな当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第96回めの放送を見ましたよ。

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第20週『ワテかて必死や』

鈴子(趣里)と再会したタイ子(藤間爽子)は、貧乏な母子家庭で病気がちな自身の境遇を恥じていた。歌手として華やかな成功を収めた鈴子との落差にも惨めさを感じていた。
嘆くタイ子に対して、鈴子はタイ子は立派だと告げた。身寄りを全て無くしても、たった一人で息子・達彦(蒼昴)を立派に育てている。その甲斐あって、達彦は母のために働くのを厭わない良い子になった。そんな達彦の思いに応えるためにも、鈴子の援助を受けて早く病気を治せと説得した。自分が歌手となれたのはタイ子の助言があったからで、その義理も返したいと話した。

ついにタイ子もそれを受け入れた。小さい頃から鈴子のお節介は変わらないままだと言って笑った。結局大失敗に終わったが、タイ子のためにラブレターを代筆するなどの事件があったのだ。その時タイ子は鈴子を責めなかった。それどころか、鈴子のお節介焼きを褒め、そのお節介がいつか人を助ける時が来るだろうと予言した。今がまさにその時のように思われた。
数日後、タイ子は医者(要冷蔵)の診察を受けた。脚気の症状が出ており、栄養のあるものを摂るしかないとのことだった。達彦は、栄養のある食品を買うためにもっと働くと決意を新たにするのだった。

後日、鈴子はおミネ(田中麗奈)に顛末を報告した。
おミネは、辛く厳しい世の中だが食らいついて生きていくしかない、誰だってどこからでもやり直せるはずであり、それはタイ子も同じだと感想を述べた。おミネはパンパンの元締めをやりながら、いつかは職業訓練所を開設するのが夢だと語った。なんとか生き延びようとパンパンになった女性の中には、いつのまにか消えていなくなる者も多い。そんな女性たちのことが心配であり、彼女らが他の仕事で生きていけるよう支援したいのだという。
鈴子も職業訓練所の開設に協力すると申し出たが、おミネは即座に断った。鈴子には鈴子のやるべきことがあり、それは歌をおいて他にないというのだ。周りのパンパンたちはすっかり鈴子のファンになり、いつも真似して歌ったり踊ったりしているという。みんなは鈴子の歌に生きる力をもらっているのだから、それに全力を尽くすべきだというのだ。

その足で、鈴子は羽鳥(草彅剛)の家へ飛び込んだ。翌月のワンマンショーに向けて新曲を作ってくれと頼んだ。パンパンやタイ子を招待する予定で、必死に生きている彼女らを勇気づけたいのだと力説した。
羽鳥は羽鳥で、売れっ子作曲家になって何件もの依頼を受けていた。締め切りはどんどん迫ってきており、とてもではないが鈴子を優先できる状況ではなかった。

しかし、鈴子がパンパンたちのことをまくし立てるのを聞いているうちに何かを閃いた。山積みになった書類の中から、『ジャングル・ブギー』と題された歌詞を掘り出した。随分前に映画の主題歌として依頼された歌詞なのだが、意味のわからない内容でほったらかしにしていたという。ところが、鈴子の話を聞いているうちに歌詞にあったメロディーが浮かんできたという。
羽鳥は、家に詰めかけた他の依頼者たちを無視して、『ジャングル・ブギー』の作曲に取り掛かった。すると、30分もかからずにあっという間に書き上がってしまった。羽鳥によれば、力強い野獣のような歌で鈴子の新境地になるに違いないとのことだった。

こうして鈴子のワンマンショーが開幕した。
鈴子は豹柄の強烈な衣装を身に纏った。マネージャー・山下(近藤芳正)は赤ん坊の母親が着るような衣装ではないと苦笑いしたが、鈴子は自信満々だった。

こうして初披露された『ジャングル・ブギー』も大好評だった。
招待されたおミネたちパンパンガールや、タイ子・達彦親子も興奮しながら見入った。

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NHK『ブギウギ』第95回

今日も人間ドック2日目で夜までお預けとなった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第95回めの放送を見ましたよ。

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第20週『ワテかて必死や』

靴磨きの少年・達彦(蒼昴)が商売敵の少年たち(池田龍生宮崎奏太)に暴力を振るわれ怪我をした。鈴子(趣里)は達彦を助けて家まで送って行った。そこで、達彦が大親友の幼馴染・タイ子(藤間爽子)の息子だと知った。

鈴子はタイ子との奇跡的な再会に感激した。しかし、タイ子は赤の他人であるかのように振る舞った。今やすっかり落ちぶれ、母と子ふたりきりで貧乏な暮らしをしている。その上、自身は病気で働けず、一人息子を学校にも行かせずに働かせている。そのような姿を鈴子に見られたことをこの上なく恥じているのだ。
タイ子は鈴子を追い返した。鈴子もそれ以上引き下がるわけにもいかず、渋々退散した。

後日、鈴子は街で靴磨きをしている達彦に声をかけた。達彦は初めこそ母に気を遣って鈴子を無視しようとしたが、鈴子が屈託なく明るく話しかけたことで態度を軟化させた。
これまで鈴子は歌手をやっているとは話していたが、名乗ってはいなかった。けれども、達彦は目の前の人物が福来スズ子だと見抜いた。母・タイ子は以前から『東京ブギウギ』など鈴子の歌を大変嫌っていた。鈴子はタイ子の幼馴染だと言って声をかけたのに、タイ子が激しく拒絶する様子を見て勘付いたという。
達彦によれば、彼の父は戦死したという。親戚もみんな死んでしまっており、父が戦死した時も、母・タイ子が病気になった時も助けてくれる人はいなかった。鈴子は、子供の頃タイ子とどんなに仲が良かったか話して聞かせた。特に、鈴子に歌劇団の存在を教えてくれたのはタイ子であり、いわば福来スズ子の生みの親だと話した。達彦はそれを聞いて喜んだ。

別の日、鈴子はパンパンの元締め・おミネ(田中麗奈)にタイ子のことを話して相談した。
おミネは、タイ子が貧乏で病気までした姿を幼馴染に見せたくないのは当然だろうと話した。鈴子がいくら助けたいと思っても、施しなど受けたくないと言うのも当然だと説明した。おミネたちパンパンも誰かに施しを受けるのではなく、自分の力で生計を立てたい気持ちは同じである。だから、人々から後ろ指を刺されても売春を続けるのだと話した。

おミネの話を聞いているうちに、鈴子はタイ子と達彦が自分たちの力で生きていく方法を思いついた。それは、パンパンたちを達彦に紹介するということであった。パンパンたちは客引きのために派手なハイヒールを履いており、その美しさが売上に結びつく。達彦にとっても労せず多くの客を得ることができる。
おミネはそのアイディアに賛同し、多くの女性たちを達彦のところへ連れてきた。パンパンたちはこれまで利用していた老人の靴磨きよりも達彦の方が上手だと褒めそやした。しかも、以前の老靴磨きはどさくさに紛れてスカートの中を覗き込んでくるという。そのようなスケベ心のない達彦をますます気に入ったのだ。
その様子を見た商売敵の少年たちがまたしても達彦に難癖をつけようとしたが、おミネは彼らも追い払ってくれた。おミネが付近を仕切っているヤクザの名前を出すと少年たちは恐れ慄いて逃げて行ったのだ。

その日、達彦は過去に例がなかったほど多額の売上金を手にした。タイ子の治療費にはまだまだ足りなかったが、この調子で続けていけば近い将来には治療の目処が立ちそうだった。
帰宅した達彦は、喜び勇んで売上金をタイ子に見せた。しかし、タイ子は達彦のことを叱りつけた。今までに見たことのない売り上げだったので、達彦が盗みをはたらいたと思い込んだのだ。

外から様子を伺っていた鈴子だったが、タイ子の一方的な誤解を正すために家に飛び込んだ。もちろんタイ子は赤の他人を装い、鈴子を追い返そうとした。
我慢のならなくなった鈴子は、子ども時代の思い出を次から次へと捲し立てた。鈴子自身の本名、鈴子の実家の銭湯、転校生の鈴子にはじめに声をかけてくれたのがタイ子だったこと、それから大親友になって毎日一緒に遊んだこと、タイ子の母は綺麗な人で芸者だったこと、その母から二人一緒に日舞を習っていたこと、タイ子の初恋相手に鈴子がラブレターの代筆をして騒動になったこと、そんなラブレター事件もタイ子が優しく許してくれたことなどである。
タイ子は泣き叫びながらやめさせようとした。しかし、鈴子は止まらなかった。いつしか鈴子も目に涙を浮かべ、ふたりは抱き合った。

タイ子はついに本音を話し始めた。
芸者だった母が空襲で死に、夫も戦死した。他に身寄りもなく、自分は病気で寝たきりである。年端もいかない一人息子を働かせなければ生きてけない。自分は不幸のどん底にいるのに、あちこちから鈴子の歌が聞こえてくる。自分はギリギリ生きてくのに精一杯なのに、鈴子は自分の夢を叶えて活躍している。鈴子と自分は天と地の違いがあると嘆いた。

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NHK『ブギウギ』第94回

今日は人間ドックのため7時半に家を出なければならなかったので朝の放送を諦めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第94回めの放送を見ましたよ。

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第20週『ワテかて必死や』

鈴子(趣里)のインタビュー記事が雑誌に掲載されたのだが、記者・鮫島(みのすけ)が勝手に手を加え、あたかも鈴子がパンパンたちの庇護者を自認しているかのような内容になってしまっていた。
パンパンの元締め・おミネ(田中麗奈)は日陰者の自分たちを勝手に悪目立ちせさるなと言って鈴子の楽屋でひとしきり騒いで帰って行った。

鈴子はおミネの誤解を解こうと、パンパンたちの根城である有楽町へ単身出向いた。鈴子はたちまちパンパンたちに捕まり、彼女らの寄合所に連れて行かれた。
鈴子は誤解を解くために来たと説明したが、おミネたちはまったくの喧嘩腰だった。

おミネは、鈴子と自分たちでは立場が違うのだと話した。
鈴子は好きでもない男に抱かれた経験はないだろうから、パンパンの気持ちがわかるはずがないと言う。彼女らは戦争で家族や夫を亡くし、金も食べ物もなかった。体を売らなければ到底生きていけなかったのだ。しかも、その戦争だって彼女らが始めたものではない。知らない誰かが勝手に始めて、勝手に負けたのだ。彼女らは知らないうちに巻き込まれて不幸な目にあったのだ。それなのに世間は冷たく、彼女らは口汚く罵られ、石まで投げられる。
世間の人々は自分たちを見下す一方で、流行歌手・福来スズ子に熱狂している。同じ世間なのに、扱いが全く違う。
ましてや、鈴子自身はお気楽に歌っているだけであり、パンパンの生活を想像できるはずがないと言うのだ。

はじめは小さくなって聞いていた鈴子だが、「お気楽に歌っている」と言われて頭に来た。堰を切ったように反論した。
自分は全く気楽ではなく、パンパンたちと同じように死に物狂いだと主張した。母を病気で亡くし、弟が戦死し、最愛の夫は結核で死んだ。生きていく気力を無くしかけたが、夫との間に生まれた子どものことを思うと必死に生きて守らなければならない。寂しい悲しいなどと泣き言を言っている暇はないし、辛くてへこたれそうな時も笑顔を振りまいて歌うしかないと訴えた。
仕事の内容こそパンパンたちとは違うものの、必死なのは同じだと主張した。最後は涙声になっていた。

おミネは、鈴子の楽屋へ怒鳴り込んだ時、そこに赤ん坊がいたことを思い出した。鈴子が必死に子育てしているという話に嘘はないとわかった。他のパンパンたちも、鈴子と同じように夫や家族を病気、戦争などで亡くしていた。互いに同じ境遇にあるということを理解した。
鈴子は、自分の芸名・福来スズ子は亡き母が「福が来るように」という願いを込めて付けてくれたと説明した。おミネはそれに感じ入り、希望を抱いて自ら笑うことが幸せに生きる秘訣なのだと悟った。
こうして、鈴子とおミネたちパンパンは和解した。

ある日、鈴子は顔馴染みの靴磨き・達彦(蒼昴)が他の少年たちに因縁をつけられているのを目撃した。縄張りを荒らしたとして暴行を受け、売上金を全て巻き上げられたところだった。
達彦は足に怪我をしてうまく歩けなくなってしまったので、鈴子は彼の家まで送ってやることにした。

達彦の家は粗末なものだった。鈴子は家の前まで達彦を送り届けると、そのまま帰ろうとした。その時、中から咳き込む母親の声が聞こえてきた。鈴子は気になり、ガラスすらはまっていない窓から中を覗いてみた。

そこから見えたのは、息子の帰宅を迎えるためにせんべい布団から体を起こした母親の姿だった。彼女は屋外の気配に気づき、鈴子と目があった。
その母親こそ、鈴子の幼馴染のタイ子(藤間爽子)だった。鈴子は意外な再会に嬉しくなり、断りもなく家の中に飛び込んだ。もう何年も音信不通だったのだ。

しかし、タイ子は鈴子のことを知らない、帰って欲しいと言い張った。自分を思い出させようと粘る鈴子であったが、タイ子は布団から立ち上がると、ふらつく足で鈴子を家の外に押し出そうとした。最後には、知らない人に施しを受ける義理はないと呟いた。

その剣幕に、鈴子は引き上げるしかなかった。
鈴子がタイ子に最後にあったのは、母・ツヤ(水川あさみ)の葬式の時だった。当時のタイ子はすでに妊娠していて、近いうちに東京で暮らすと言っていた。そして、鈴子の実家のような楽しい家庭を作りたいと明るく離していたのだった。

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NHK『ブギウギ』第93回

朝から書く話題でもないけれど僕は足の裏フェチなんですが、それはいったん置いて田中麗奈の話をしたいわけで、そもそも僕は山瀬まみに代表されるように童顔女性が大好きなんだけれど、そんな中にあって田中麗奈だけは「オトナ美人顔部門」として田中麗奈のことが気に入っていたんですよ、ところが映画『夕凪の街 桜の国』で田中麗奈の足の形を見たときに想像と違っていて恋が覚めてしまって、勢いでそのことをブログ記事にまでしてしまったこともある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第93回めの放送を見ましたよ。

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第20週『ワテかて必死や』

日帝劇場の楽屋にパンパンの元締め・おミネ(田中麗奈)
が怒鳴り込んできた。
鈴子(趣里)の記事が雑誌『真相夫人』が掲載され、そこには鈴子がパンパンガールの味方を自称しているかのように書かれていた。それを見たおミネは、勝手に自分たちの味方を名乗るなと怒っているのだ。ただでさえパンパンは世間からの鼻つまみ者である。このように雑誌などで悪目立ちすると困るという。ましてや、鈴子の人気取りに利用されるのが気に入らないと言うのだ。
実際の取材で、鈴子はパンパンガールにも生きるための事情があり良いとも悪いとも言えないと話したに過ぎない。しかし、記者・鮫島(みのすけ)が拡大解釈して扇動的な見出しにしたのだ。そう弁解したがおミネはまったく聞く耳を持たない。鈴子が悪いと一方的に決めつけて帰って行った。

鈴子はあまりの剣幕に恐れ慄いた。しかし、時間が経って落ち着いてくると、恐怖のあまり自分の言いたいことが少しも言えなかったと思うようになった。もう一度おミネに会って、双方が納得するまで話し合いたいと思った。
マネージャー・山下(近藤芳正)たちはなんとか押し留めようとした。パンパンたちに深入りしていることが鮫島にバレたら、次も何を書かれるかわからず、鈴子のイメージに傷がつくかもしれない。ましてや、パンパンたちが商売している有楽町は特に治安が悪い。鈴子が行くには危険すぎるというのだ。
それでも鈴子の決意は変わらなかった。愛子を背負ったままで有楽町へ行くと脅すと、さすがの山下も折れた。山下は愛子を預かり、鈴子に安全第一で行動し、危なくなったらすぐに逃げるよう念押しした。

鈴子は夜の有楽町へ到着した。周りはパンパンガールとその客が大勢おり、鈴子は驚くとともに恐ろしくなった。おミネを探すことを諦め、早々に帰ろうとした。
しかし、その矢先、複数のぱんぱんガールに取り囲まれてしまった。見知らぬ女である鈴子が勝手に商売を始めようとしているか、そうでなければ、面白半分で冷やかしに来た人間だと思われたのだ。鈴子は自分は福来スズ子だと名乗り、おミネに会いに来たと説明した。けれども取り囲んだパンパンガールたちはその言葉を信じなかった。福来スズ子ほどの大スターが一人でこんな場所に来るはずがないからである。鈴子は『東京ブギウギ』を歌って証明して見せようとしたが、緊張のあまり声がうわずってしまった。ますます信用されなくなった。

そこへ、騒ぎを聞きつけたおミネが現れた。

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