久住昌之のうた

久住昌之とは、マンガ『孤独のグルメ』や『花のズボラ飯』などの原作を行い、自分でも描く漫画家。生まれも育ちも三鷹で、吉祥寺界隈では楳図かずおの次によく目撃される漫画家だと言われているらしい(みうらじゅん談)。

先週の土曜日、高円寺フェス2011 みうらじゅん×久住昌之×前野健太トークイベントで僕は初めて生の久住昌之を見た。みうらじゅんにいじられながらも、軽妙に切り返すのが面白かった。

笑点の公開録画の取材に行き、適当に座席を選んで座っていたら、オープニングで真横に司会の三遊亭円楽(先代)がやって来て、そのつもりは全くなかったのにテレビ画面に写り込んでしまったエピソードが紹介されていた。おちゃめな人だ。

散歩も趣味だと言っていた(『散歩もの』というマンガの原作もしていますね。画は『孤独のグルメ』の谷口ジロー)。その散歩がすごくて、東京から大阪まで散歩で行ってしまったという。ただし、1日に歩ける所まで行って、電車で帰ってくる。再開するときは前回の地点まで電車で行って歩き始めるのだという。僕もこの夏、自転車で地べたを踏んで東京から京都まで行ったので、その話にとても共感した。彼の場合、三重から国道163号に入り、奈良を経由して大阪に向かったそうなので、僕と完全に同じコースというわけではないが。
京都府笠置町のあたりを歩いていたら、車に乗った知り合いに偶然会ったという話もすごかった。その付近の写真を見せてくれたのだが、僕が京都に住んでいた時に何度かドライブで出かけたコンビニが写っていて懐かしかった。もっとすごいのは、その知人が久住昌之を見つけて無理な停車をしたために、後ろの車が追突したという話なのだが。
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NHK『カーネーション』第38回

ドラマ『坂の上の雲』の記者会見で高橋英樹が「3年がかりの大作なので途中で予算が切れ、最後はナレーションだけで済ますのではないかと心配した」などと言っているのを聞いて(ここに出ている会見の発言だが、件の発言はカットされているようだ)、話が完結する前に打ち切りになり最終回は文字説明ばっかりだった漫画界の迷作『日露戦争物語』(江川達也)を思い出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第38回目の放送を見ましたよ。

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第7週「移りゆく日々」

糸子(尾野真千子)のイブニングドレスはダンスホールの踊り子たちの間で大評判となり、ロイヤル紳士服店は大繁盛だった。2ヶ月先まで埋まっていた注文も、やっと折り返し地点まで来た。すると今度は、最初の頃にドレスを作った客が普段使いのワンピースも欲しいと言ってくるほどだった。婦人服をバカにしている店主(団時朗)であるが、金儲けのクチになるのでたいそう機嫌が良かった。

踊り子のサエ(黒谷友香)と糸子はすっかり打ち解けていた。最近のサエはロイヤル紳士服店には顔を出さず、糸子が居る時を狙って家に遊びに来るようになった。サエはロイヤル店主の意地汚い性格を知っており、彼と顔を合わせたくないのだ。彼に金が流れるのも気に入らない。
家にはミシンもあるし、糸子の評判は高まっていることを理由に、サエは糸子に独立することを勧めた。糸子もその気になり始めた。

早速、糸子は善作(小林薫)に店を辞めて独立したいと相談した。
ところが、酒を飲んですでに酔っ払っている善作はめちゃくちゃなことを言い出した。まず、糸子が「小原洋裁店」と言ったのが気に入らなかった。ここは呉服店だと言ってへそを曲げた。
次に、ロイヤル紳士服店に修行に出た糸子が身に付けたのは職人の腕前だけであり、そもそもの目的である商売人としての腕は挙げていないと難癖を付け始めた。イブニングドレスで繁盛したことは認めるが、それだけで商売人として成功しているとは言えない。

そこで善作は、もう1軒別の店を繁盛させることができたら独立させてやってもいいと、酔いに任せて適当な約束をした。
糸子は腹を立てたが、それに従うほかなかった。ロイヤルの店主に、ドレスを全て仕上げたら店を辞めることを申し出た。金のなる木を失うわけにはいかない店主は、困った顔を見せたり、怒ったりして引きとめようとするが、当然糸子の意思は固かった。父との約束のことを打ち明けると、店主は呆れてしまいそれ以上何も言えなくなった。

その頃、奈津(栗山千明)が玉枝(濱田マリ)の店に髪を結いにきた。翌日が入籍だという。ただし、父(鍋島浩)の喪中で式は挙げられない。父が買ってくれた高価な花嫁衣裳なのに、父が自分で無駄にしてしまったなどと、奈津は皮肉な冗談を言っていた。

ところが次第に顔を曇らせ、玉枝に打ち明け話を始めた。自分は小さい頃からずっと、玉枝の息子である泰蔵(須賀貴匡)のことが好きだったのだと。自分のことなど知られていないと思っていたのに、名前を知ってくれていて嬉しかったなどと話した。そのあたりまで話すと、しくしくと泣き出すのだった。
玉枝は人払いをし、奈津の気が済むまで店で泣かせてやるのだった。

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