2003年公開の映画。原作は田辺聖子。
脚本が渡辺あや。この人はNHK『カーネーション』の脚本も書いており、同ドラマはすごく面白い。それで渡辺あやの他の作品が気になって、彼女のデビュー作と言われている『ジョゼと虎と魚たち』を見てみた。
映画の舞台はおそらく寝屋川。もしくは東大阪辺りかもしれない。いずれにせよ大阪市近郊。
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尾野真千子さん、30歳のお誕生日おめでとうございます、と、お喜び申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第29回目の放送を見ましたよ。
糸子(尾野真千子)の作った制服は検品に問題もなく無事に納品された。報酬もその場で現金で受け取ることができた。
疲労の極限に達していた糸子は何度も居眠りしてしまった。検品を待つ間も、帰りの電車の中でも座ったままうつらうつらした。家に帰っても、食事もとらず、その日はずっと眠り続けた。
翌日は心斎橋百貨店の初売で、糸子の制服のお披露目の日だ。
糸子は妹ら(柳生みゆ、眞木めい、吉田葵依)と共に百貨店に出かけた。妹たちは百貨店での買い物を楽しんだが、糸子だけは制服のことが気になった。商品ではなく従業員ばかり見て歩いた。糸子から見れば店の雰囲気に合っていると思われた。着用している従業員(辻本瑞貴)も糸子と目が合うと満足気な表情を送ってくれた。
そして、一人の客が花村(國村隼)に話しかけているのを耳にした。そこでは制服の評判は上々だった。糸子は嬉しくなったし、花村も糸子に笑顔を見せてくれた。
糸子はやっと年が明けた気分になった。
しかし、小原一家の家計に目を向けると、現実は厳しいものだった。
百貨店の仕事で一時的に金は手に入ったが、その後の仕事のアテが全くなかった。ミシンの購入資金にするため店の反物を全て処分してしまったので、店には売り物がほとんどなかった。善作(小林薫)は、糸子の洋裁の技術が認められ百貨店から継続的に仕事を受注できると目論んで反物を処分したのだ。しかし、その後、百貨店からは一切仕事がもらえなかった。
糸子には、店が潰れるのも時間の問題だと思われた。
唯一の希望は、次女・静子があと2ヶ月で女学校を卒業することだった。成績優秀な彼女は、就職も決まっていた。外から給料をもらってくるようになれば、一家が路頭に迷う事だけは避けられると期待していたのだ。
ところが、静子は糸子に就職をやめたいと打ち明けた。一家で制服作りをしたのが楽しかったから、卒業後は家で糸子の仕事を手伝いたいと言い出した。
聞いた途端、糸子は激しく怒り出した。のんびりした性格の静子は、一家の経済状況を何もわかっていなかったのだ。糸子はこんこんと静子を説教した。売るべき反物もなく、洋裁の仕事もない。ついカッとなった糸子は、どうしても手伝いたいなら自分で仕事を取ってこいと言ってしまった。
文字通り受け取った静子はどこかに出かけていったが、すぐに現実の厳しさを知って反省するだろうと、糸子は放っておいた。
すると、小一時間ほどして、静子が本当に仕事を見つけてきた。ただし、それは相当に非常識なものだった。
その客(国木田かっぱ)は、翌朝までにパッチが100枚必要だと言って、リヤカーに大量の生地を搭載してやってきた。あまりに無茶な要望のため、どこに行っても断られ続けたという。その矢先に偶然静子と出会い、わらにもすがる思いでやってきたのだ。
一瞬困惑する糸子であったが、困っている人を放っておけなかったことと、仕事がありがたかったことにより、引き受けてしまった。客が生地を降ろして帰るやいなや、静子とふたりで作業に取り掛かった。
そこへ善作が帰ってきた。そして、話を聞いてすぐに怒り出した。無理な仕事を受けて一家総出の仕事になったら、先日の制服作製のように家族全員が巻き込まれて迷惑するというのだ。
一方の糸子は、今は仕事を選べる状況ではないと口答えした。その一言は善作の火に油を注ぐ事となった。糸子一人に100枚のパッチを押し付け、仕事を取ってきた静子ですら手伝うことを禁じてしまったのだ。