木公 について

不良青年になりたいのですが、臆病で不良青年になれない当方です。 幸か不幸か、頭と顔と人格は、生まれつき不良品です。 職業は会社員で、やってることは研究関連。 大学での専攻は心理学。 そのせいかどうか知らないけれど、「理屈っぽいうえに、人の弱みを握ってそこをチクチクやるのが上手い。サイアクー」と言われ、あんまりモテない。 北海道出身のくせにスキーは一度もやったことがない。その上、スポーツ全般が苦手。 太陽光線もあまり浴びないインドア派。酔うとすぐにガンダムの話を始める。おかげで「あなたって、面白みのないオタクね。サイテー」と言われ、まったくモテない。 細かいことはあまり気にせず、ちょっとくらいの困ったことなら適当にジョークにして笑い飛ばすように、日々努力して生きています。 そのおかげで「そういう、明るく生きているところだけは、アナタのいいところかもね」と、ちょっぴりだけお褒めいただいております。

NHK『ブギウギ』第27回

今週のサブタイトルの「バドジズ」に関して、ジズってのがジャズを意味してるんだろうと思うのだけれど、バドがなんなのかまだ見当のつかない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第27回めの放送を見ましたよ。

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第6週『バドジズってなんや?』

東京に出てきた鈴子(趣里)と秋山(伊原六花)は、梅丸楽劇団(UGD)の首脳陣との顔合わせのために日帝劇場へ向かった。

首脳陣たちは、大阪を視察した松永(新納慎也)からすごい歌手とダンサーだと聞かされていて期待も高かった。
バンドマスター兼トランペット奏者の一井(陰山泰)は、部屋に入ってきたふたりを一目見た瞬間、秋山のスタイルの良さと華やかさに満足した。一方の鈴子はモヤシのように見えて、やっていけるかどうか不安に思った。すごい歌手というのは秋山の方だと思ったのだが、鈴子の方こそ歌手だと聞かされて驚いた。

今日は顔合わせだけという話だったが、音楽監督の羽鳥(草彅剛)は鈴子に歌ってみるよう命じた。予定になかったことなので周囲は止めようとしたが、鈴子本人は歌うと言い張った。演出家・松永の勧めで、大阪で評判だった「恋のステップ」を歌った。

微笑みながら聞いていた羽鳥だが、鈴子が一番を歌い上げたところでやめさせた。そして、今からすぐに稽古を始めようと言い出した。
この日に稽古をするなどと言うことはますます予定になかったことで、制作部長・辛島(安井順平)は慌てた。今日はこの後、協賛会社の重役たちと面会することになっており、そこには羽鳥の同席が必須だった。今まで何かと理由をつけては欠席していた羽鳥なので、今日の会合には絶対に出席させたいというのが辛島部長の意向だった。
羽鳥はその説得に折れて、稽古は予定通り翌日から開始されることとなった。
帰り際、羽鳥は鈴子に封筒を一通手渡した。

ほんの短い愛だったが、鈴子と秋山は緊張のあまりぐったりと疲れてしまった。
秋山は、ダンサー兼振り付け担当として中山史郎(小栗基裕)がいたことに興奮していた。彼は一流のダンサーで、秋山は以前に彼の舞台を見たことがあった。憧れの人と一緒に踊ることができるかと思うと嬉しかったのだ。
鈴子は、羽鳥が茨田りつ子(菊地凛子)のヒット曲「別れのブルース」を作ったと聞いて驚いていた。鈴子も大好きな曲で、まさかその作曲者と会えるとは思っていなかったからだ。

ふたりは、帰り道に伝蔵(坂田聡)のおでん屋台に立ち寄った。
話題は次第に演出家・松永の方へ移っていった。幼い頃からペリー提督のことが好きだった鈴子は、洋風かぶれの松永のことを好ましく思っていた。秋山は、鈴子が松永に掘れたのではないかと指摘したのだが、鈴子はまだピンときてなかった。それでもふたりは楽しそうに話し合った。
ふたりの黄色い声を聞いた伝蔵は急に怒り出した。伝蔵は浮ついた話が大嫌いなのだ。どうやら、それは彼が妻に逃げられたことと関係していそうだった。

その夜、翌日から始まる稽古に備えて秋山は早々に床に着いた。
同室の鈴子はより遅くまで起きていた。羽鳥から渡された封筒の中には「ラッパと娘」の楽譜が入っていた。その予習に余念がなかった。

翌朝、ふたりは再び日帝劇場に出向き、秋山はダンス室、鈴子は歌唱室と分かれて稽古が始まった。
鈴子が定刻通りに稽古室に入ろうとすると、演出助手から羽鳥は2時間も前から来ていると聞かされた。

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NHK『ブギウギ』第26回

NHK大阪放送局がこの週末に開催していたBK大感謝祭の見学に行って展示パネルを見ていたら、本作のある登場人物が今後大きな苦難を受けるだろうことが容易に読み取れる記載(下図ではネタバレになる部分を塗りつぶしました。どうしても知りたい人はこちらの無修正画像をご覧ください)があって驚いた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第26回めの放送を見ましたよ。

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第6週『バドジズってなんや?』

1938年(昭和13年)4月、梅丸楽劇団(UGD)に移籍する鈴子(趣里)と秋山美月(伊原六花)は東京にやって来た。

東京では、ふたり相部屋で下宿住まいとなる。
下宿を切り盛りする小村チズ(ふせえり)はふたりを歓迎してくれた。男の下宿人ばかりで、女の子は久しぶりだと言って喜んでいた。しかし、彼女は返事も待たず、早口で一方的にしゃべりまくるので鈴子と秋山は面食らってしまった。
一方、チズの夫・吾郎(隈本晃俊)は口数が極端に少なく、少々ぼんやりしている。そのせいでチズにあれこれ指図されていた。彼は元力士で、相撲の腕前はいまひとつだったが、ちゃんこ番としては一流だったと言う。下宿の食事は彼が担当していて、味は間違い無いという。

その頃、梅丸楽劇団(UGD)では、首脳陣が会議を行なっていた。
取締役の辛島(安井順平)によれば、この劇団の立ち上げには多額の資金が注ぎ込まれ、欧米にも負けない男女混成の劇団としての成功を目指している。絶対に失敗できないというのだ。そのためにも一流のスタッフや劇団員が集められた。
松永(新納慎也)は欧米留学から帰国したばかりの新進気鋭の演出家である。

作曲家・羽鳥(草彅剛)は劇団のために新しい曲をいくつも書き下ろした。それらは首脳陣の中でも評判が良かった。
しかし、羽鳥によれば、まだ曲は完成していないと言う。歌は誰かが歌い、それを曲が聞いてこそ完成するというのが羽鳥の持論だった。まだ披露されていないのだから、未完成だと言うのだ。自分の曲を歌わせる歌手を何人か当たってみたが、東京には適した歌手がいなかった。人気歌手の茨田りつ子(菊地凛子)では、羽鳥の曲調のイメージに合わないと言うのだ。
羽鳥は、大阪から来るという歌手(鈴子)にも過度の期待はしていなかった。自分のイメージ通りに歌えるかどうかまだわからないからだ。
羽鳥は5年の雌伏期間を経て、やっと自分のやりたかったジャズができると張り切っていた。だから、一切の妥協はしたくなかった。

その夜、鈴子と秋山はなかなか寝付けなかった。これからの東京生活のことを考えると、胸がドキドキして止まらなかった。

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NHK『ブギウギ』第25回

OSKの公演で購入した桜ミニパラソルを所有しているのだけれど、ついにそれを自宅で使う時の来た当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第25回めの放送を見ましたよ。

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第5週『ほんまの家族や』

かねてから腎臓の悪かった大和礼子(蒼井優)は、医者から妊娠出産を諦めるよう言われていた。それでも礼子は子どもが欲しいと強く願い出産した。その結果、病気が悪化し、赤ん坊と引き換えに亡くなってしまった。

梅丸株式会社主催の大和礼子お別れ会が開かれ、多くの人々が集まった。
参列者の中には、礼子の両親の姿があった。彼らは、礼子が家を飛び出して大阪に来てから、一度も会っていなかった。
礼子の父(上杉祥三)は、礼子の夫・股野(森永悠希)に対して悪態をついた。大阪に来たりしなければ礼子はまだ生きていたし、自分なら病気をおしてまで出産などさせなかったと罵った。そういうと不遜な態度で会場を出て行った。

その背中に対して、鈴子(趣里)が声をかけた。
自分の憧れだった礼子を育てた両親に会えてよかったと告げた。しかし、礼子の両親は何も答えずに去ってしまった。
その様子は、お別れ会に参列した鈴子の両親(柳葉敏郎水川あさみ)も目撃していた。

帰宅した梅吉とツヤは、礼子の両親の態度についてポツポツと話し始めた。梅吉も家出同然で故郷を後にし、両親とはそのまま生き別れてしまった。自分の親もあのような心境だったのかと思うと胸が痛むと述べた。

ツヤは鈴子のことを考えていると話した。
鈴子は自分の出生の秘密を知ってしまったに違いないと言うのだ。鈴子が小さい頃は、産みの母・キヌ(中越典子)に会わせるために毎年里帰りしていた。しかし、鈴子に物心がついた頃から帰省しないようにした。仕事が忙しいと言うのは方便で、実際には鈴子を手放したくなくなったからだと打ち明けた。育てているうちに鈴子のことがどんどんかわいく思えてきて、絶対に手放したくないばかりか、自分だけのものにしたいと考えるようになった。だから、キヌにはあえて会わせないようにしていたのだ。

鈴子を手放したくないという理由で鈴子の行動を制限することは、自分の身勝手さだと自覚している。しかし、どうすることもできないのだった。鈴子は東京に行きたがっているが、そのまま縁が切れて帰ってこないのではないか心配していると述べた。
梅吉は、鈴子と縁が切れることはないだろうと話した。それに、ツヤがどんなに反対しても、鈴子は東京に行くだろうと予想した。なぜなら、ツヤが鈴子をそういう人間に育てたからだ。なんでも自分で考えて実行するよう仕向けていたのは当のツヤ自身だ。その子育て方針が成功して、今の鈴子があると話した。

鈴子が、家族より遅れてお別れ会から帰ってきた。
帰ってくるなり、鈴子は東京行きを再度願い出た。自分はどうしても大和礼子のようなスターになりたいのだ。客を励まし、同時に客に励まされ、今よりも楽しく歌って踊りたいと主張した。そのためには東京に行く必要があるのだと言う。
すでに吹っ切れていたツヤは、笑顔でそれを許した。

こうして鈴子は10年間所属したUSKを退団し、東京の楽劇団に移籍することになった。
一緒に移籍する秋山美月(伊原六花)とともに、盛大な退団公演が開催され、大盛況に終わった。

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NHK『ブギウギ』第24回

今日は、22:45-23:00に放送されるNHK夜ドラ『ミワさんなりすます』の12回目の放送にバーの店長役でReiちゃんさんが出るようだし、23:00になったら The Beatles の最後の新曲 “Now and Then” がリリースされるらしいので、心がウキウキワクワクしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第24回めの放送を見ましたよ。

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第5週『ほんまの家族や』

梅丸東京支社は、東京に男女混成の新しい楽劇団をつくる計画を立てていた。そのため、東京から演出家の松永大星(新納慎也)らが視察に訪れた。
松永はUSKのショーの素晴らしさを大絶賛した。中でも、鈴子(趣里)の歌と秋山美月(伊原六花)の踊りが特に気に入った。彼は、ふたりを新しい楽劇団に加入させたいと願った。

松永の意思は、USK取締役の林部長(橋本じゅん)を通じ、その日のうちにふたりへ伝えられた。秋山はその場で東京行きを即答したが、鈴子は返事を保留した。
鈴子は、現状に満足しておらず、何か変化が欲しいと思っていた。その点に関して渡りに船である。しかし、家族と離れ離れになってしまうことに大きな不安を感じたのだ。特に、母・ツヤ(水川あさみ)がどう思うかと考えると躊躇わずにいられなかった。

鈴子は、幼馴染のタイ子(藤間爽子)に相談した。
タイ子の意見は、鈴子は東京に行くべきというものだった。母・ツヤは鈴子の大ファンであるし、これまでも鈴子のやりたいことは何でも応援してくれた。今回の東京行きについても、母・ツヤが誰よりも喜んで応援してくれるだろうと言うのだ。
そう助言され、鈴子はその気になった。

帰宅した鈴子は、家族に東京行きを切り出した。現状での物足りなさと、新しい環境で勝負したい旨を説明した。このようなチャンスは二度とないかもしれないので、絶対に逃したくないと話した。父・梅吉(柳葉敏郎)と弟・六郎(黒崎煌代)は一も二もなく笑顔で賛成してくれた。

しかし、母・ツヤは険しい顔で反対した。大阪でも人気で実力も認められているのだから、そのままでよいと言うのだ。
鈴子にとっては全く予想外の反応だった。以前のツヤなら応援してくれたはずなのに人が変わってしまったようだと食ってかかった。
それでもツヤの態度は変わらなかった。それどころか、話を打ち切って席を立ってしまった。

父・梅吉がツヤを追いかけていき、鈴子は弟・六郎とふたりきりで部屋に残された。鈴子は六郎に本音を話した。
鈴子は、自分が両親と血の繋がっていないことを気にしている。その事実を知ったものの、両親に対しては知らないふりをしている。このまま家を出ていくと、家族の縁が切れてしまうような気がすると言うのだ。本当の家族なら、娘の大躍進の機会を喜んでくれるはずである。母・ツヤが喜んで送り出してくれれば、自分たちは本当の親子だと思うことができただろうに、それが叶わなかったと話した。
それに対して六郎は、自分たちは本当の家族だと答えた。ツヤは本当の母だからこそ、鈴子と離れるのが寂しいのだと言って聞かせた。

翌朝、朝食の場は重苦しい雰囲気だった。家族はみな黙ったまま食事を続けた。

そのまま稽古場に向かった鈴子であったが、そこで林部長からさらに衝撃的な知らせが伝えられた。
大和礼子(蒼井優)が亡くなったと言うのだ。彼女はUSK退団後に病気になった。赤ん坊を出産した直後にその病気が悪化し、亡くなってしまったのだという。

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NHK『ブギウギ』第23回

寒いのが大嫌いなので、今年は暖冬らしいと聞いてちょっと嬉しい当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第23回めの放送を見ましたよ。

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第5週『ほんまの家族や』

1937年(昭和12年)、鈴子(趣里)が香川で自身の出生の秘密を知ってから3年が経った。日本軍が南京を陥落させ、世間は高揚感に包まれていた。

梅丸少女歌劇団(USK)は鈴子たちの代が中心となっていて、ますます人気を集めていた。
公演の最大の見せ場は、鈴子のソロ歌唱とそれに続く秋山美月(伊原六花)のタップダンスだった。特に、秋山三月がリリー白川(清水くるみ)とペアで踊る箇所は観客の喝采を浴び、世間でも評判だった。記者たちの取材でも、秋山とリリーが頻繁に取り上げられた。

鈴子は、モヤモヤとした思いを抱いていた。
自分は、秋山美月の引き立て役に甘んじているのではないかと思われたからだ。秋山美月のことを激しくライバル視していた同期の桜庭和希(片山友希)も、近頃は角が取れた。あくまで鈴子の歌を認めた上で、劇団内ではそれぞれに役割があるのだから、それを担うことが大事だなどと話した。
鈴子はどうにも納得できなかった。自分は秋山美月より目立ちたいわけではないし、今の役割に不満があるわけでもなかった。しかし、自分が何に思い悩んでいるのかもわからなかった。

同時に、鈴子は自分の出生のこともずっと気になっていた。自分がそれを知ってしまったことは両親(柳葉敏郎水川あさみ)には黙り通していた。母・ツヤは、香川から帰ってきてから鈴子の様子のおかしいことに薄々気づいていた。しかし、何ら手は打てなかったし、父・梅吉には考えすぎだと言われて笑われるだけだった。

当時、ラジオでは茨田りつ子(菊地凛子)の『別れのブルース』がよく流れていた。銭湯に集まる客たちは辛気臭い歌だと言って敬遠していたが、鈴子はその歌声に何か感じるものがあった。険しい表情で写っている茨田りつ子の写真にも何か惹かれるものがあった。

その頃、鈴子の憧れだった大和礼子(蒼井優)が夫婦で公演を見に来てくれた。元ピアノ担当の股野義夫(森永悠希)の泣き落としによるプロポーズを受け入れ結婚し、ふたりでダンスとピアノの教室を営んでいるのだという。現在、礼子は妊娠中で、翌月に出産予定だという。

大和礼子は、公演での鈴子の歌を褒めてくれた。以前の礼子の見立て通り、鈴子の歌が大きな武器になったと話した。
そう言われても、鈴子は浮かない顔をした。それを見た礼子は、鈴子が秋山美月に負けていると思っているのだろうと言い当てた。礼子によれば、秋山も同様に鈴子に負けているような気がしているという。劇団員同士で切磋琢磨しているのが羨ましいなどと話した。

そして礼子は、鈴子が今の自分に物足りなくなったのだろうと看破した。現状に甘んじるのではなくより高みを目指しているのだが、その方法のわからないことが問題なのだろうと指摘した。礼子は自分の妊娠を引き合いに出し、子どもが生まれたら自分の何かが変わる予感がしていると話した。夫・義夫も妊娠がわかってからピアノの音が柔らかくなった。それと同じように、生活の変化が歌や踊りに表れるだろうと助言した。

翌日から、鈴子は自分を変えようと試行錯誤を始めた。2cmも3cmもあるようなつけまつ毛を取り入れるなど、周りの団員から笑われながらも挑戦を始めた。

梅丸東京支社から視察団がやって来た。
その一団には、演出家の松永大星(新納慎也)が含まれていた。彼は松永財閥の御曹司であり、パリやロンドンに留学経験もある西欧かぶれの男だった。

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NHK『ブギウギ』第22回

東海道新幹線の車内販売が今日で終了するというニュースを聞いて、ワゴン販売員がその仕事内容を記述した徳渕真利子(2007)『新幹線ガール』を久しぶりにパラパラと眺めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第22回めの放送を見ましたよ。

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第5週『ほんまの家族や』

産みの母・キヌ(中越典子)の家を去った鈴子(趣里)は呆然と歩いていた。自分の出生の秘密を知り、身体中が熱くて張り裂けそうな思いをしていた。

その日の夕方になって、やっと祖母・トシ(三林京子)の家に帰ってきた。
弟・六郎(黒崎煌代)はずっと鈴子のことを心配していて、体がバラバラになってしまいそうな思いをしていたという。鈴子も六郎も別々の場所で同じような感情を抱いていたのだ。鈴子は六郎に抱きしめてくれるよう頼み、彼にしがみついて泣いた。

母方の祖母・トシは、これまで黙っていたことを鈴子に謝った。
そして、本人の本心はわからないとしながらもツヤ(水川あさみ)のことを弁護した。きっと、ツヤは前後の見境がつかなくなるほど鈴子のことを大切に思い、鈴子の心も体も自分のものにしたくなり、二度と返したくなくなったのだろうと話した。トシの本音は、孫の鈴子や六郎よりも、自分の子であるツヤの方が大切に思っているという。それと同じように、ツヤも自分の子が大切だと思っているのだろうし、鈴子のことを本当の子だと思っているのだろうと話した。
最後にトシは、今回のことをツヤに話すかどうかは鈴子が決める問題だと話した。トシは自分の大切な娘であるツヤが悲しむのは見たくないと言いながらも、鈴子もひとりの人間なのだから、鈴子を尊重すると話した。

そして、鈴子と六郎は大阪に帰ってきた。
帰りの道中、鈴子はずっと決めかねていた。しかし、実家の建物を見ると決断をした。出生の秘密を知らないふりをし続けようと決めた。弟・六郎にも口止めをした。
母・ツヤは川で何かあったのではないかと心配そうな顔つきをしていたが、鈴子が満面の笑みで帰ってきたのを見て安堵した。

こうして、鈴子の1週間の休暇は終わった。またいつも通りの稽古と本番の日々が始まった。

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NHK『ブギウギ』第21回

昨夜はTBS日曜劇場『下剋上球児』の3回めの放送で、野球部監督を辞退した南雲(鈴木亮平)から彼が教員免許を偽造していたと聞かされ、一度は距離を置こうとした山住(黒木華)が結局それを受け入れて秘密を共有しようと決意するという話を見た当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第21回めの放送を見ましたよ。

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第5週『ほんまの家族や』

鈴子(趣里)は、自分の本当の父母を知らされた。
父は治郎丸(石倉三郎)の亡き息子・菊三郎で、母は西野キヌ(中越典子)だという。治郎丸家はキヌのことをよく思っておらず、かろうじて菊三郎の法事にだけ顔を出すことが許されているという。今は隣村の百姓に嫁いでいる。
真実を知った鈴子はひどく傷つき、そのまま行方をくらました。夜になっても帰ってこなかった。

翌日、鈴子はひとりで隣村の百姓・西村家を訪ねた。そこには、キヌとふたりの男児がいた。
鈴子に請われたキヌは、20年前に鈴子を産んだ時の経緯を話した。

治郎丸家で働いていたキヌは、身籠ったことがわかるや否や追い出されてしまった。実家からも勘当され、行くあてがなくなってしまった。
そんな時、偶然、知り合いだったツヤ(水川あさみ)に再会した。ツヤもお産のため里帰りしていたのだ。ツヤはキヌを自分の家に連れて帰り、そこで世話になりながら鈴子を産んだ。
ツヤは、自分が鈴子を育てることを申し出た。身寄りのなくなったキヌがひとりで育てることは難しいことが明白だったからだ。ツヤは年に一度鈴子を連れて帰り、キヌと会わせることを約束した。キヌが落ち着いて、育てられるようになったら返すというのだ。
キヌはその提案を受け入れた。子育てできるとは到底思えず、そのままでは母子共に生きていけないと思われたからだ。それからしばらくは、年に一度の鈴子の里帰りの際に抱くことで、キヌは生きる気力が湧いたという。

それらは鈴子に物心がつく前のことで、鈴子には全く記憶がなかった。鈴子に物心がついた後は、ツヤは銭湯の仕事で忙しくなり、帰省もままならなくなり、鈴子とキヌが会うこともなかった。鈴子はキヌの話を信じたくなかった。
その時、キヌの幼い子がぐずりはじめた。キヌは子守唄でその子を寝かしつけた。鈴子はその子守唄に聞き覚えがあった。自分の母である証拠のように思えた。

それでもまだ事実を受け入れ難い鈴子は、キヌが席を外したすきに黙って家を出た。
キヌは鈴子を追いかけてきて、懐中時計を手渡した。それは菊二郎の形見だという。高価な品なので、困った時には金に変えるよう言われていたという。しかし、今まで取っておいたという。その形見の時計をどうしても鈴子に渡したいというのだ。
強引に海中時計を握らされるまま、鈴子は何も言わず呆然と歩き去った。

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NHK『ブギウギ』第20回

昨日のマクラでは、僕は「弟のいるしっかり者の年上の女」と交際すべきだと人から言われたというエピソードを書いたわけだけれど、実は山瀬まみこそ条件にぴったりだと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第20回めの放送を見ましたよ。

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第4週『ワテ、香川に行くで』

鈴子(趣里)と六郎(黒崎煌代)の姉弟は、両親の郷里である香川にやってきた。地元の名士・治郎丸(石倉三郎)の亡き息子・菊三郎の法事への参列を請われたからだ。
ふたりは、両親の親族らと共に治郎丸の屋敷へ向かった。そこは大阪ではあまり見ないような大きな屋敷だった。

治郎丸は鈴子の到来を熱烈に歓迎した。しかし、どこか様子がおかしかった。鈴子の顔を見ながら、しきりに「似てる、似てる」などと呟いた。
一方、彼の妻・ミネ(湖条千秋)はどこかよそよそしく、鈴子に対していくぶん冷たい態度であり、治郎丸を鈴子から遠ざけようとするかのようだった。

法事が無事に終わり、宴会が始まると治郎丸はしこたま酔った。鈴子を隣に座らせ、酌をさせたり、劇団の儲けを不躾に尋ねたりした。梅丸少女歌劇団 “USK” のことを何度も USA と言い間違えたりした。さらに治郎丸は言動が奇妙になった。鈴子の目元が、亡き息子・菊三郎に似ているだの、鈴子たちは他人ではないのだから遠慮することはないなどと口走り始めた。
それでも鈴子は、招待された立場をわきまえ、笑顔で接しながら聞き流していた。

余興として鈴子が踊りを披露することになった。『金毘羅船船』という、香川ではよく知られた舞である。
それを見ていた治郎丸の様子はますますおかしくなった。菊三郎の写真を胸に抱え、写真に鈴子の踊りが見えるようにした。さらには、周りが止めるのも聞かず、「一緒に踊る。初めて会う孫なのだから、どうしても踊りたい」などと口走った。ついに、それまで冷たかった彼の妻・ミネも感極まり、鈴子は菊三郎にそっくりだと言い出した。次郎丸とミネは互いに、鈴子の目元が菊三郎の生き写しだと言い合った。

とうとう鈴子も様子がおかしいことに我慢できなくなった。鈴子は何か隠し事をされているに違いないと思い至った。白状するよう人々に迫った。喚き叫ぶ鈴子と、亡き息子の面影を語る治郎丸夫婦とで場は大混乱になった。双方はすぐに引き離された。

母方のおば・タカ(西村亜矢子)は鈴子を外に連れ出すと、謝りながら真相を白状した。鈴子は、確かに治郎丸家の子であり、亡き菊三郎の子なのだという。
鈴子は驚きつつも、六郎がしきりに自分たちは本当の姉弟ではないと言っていたことや、自分が高熱で生死の縁をさまよった時に母・ツヤ(水川あさみ)が鈴子を死なせるとどこかに顔向けできないと言っていたことを思い出し、合点がいった。

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NHK『ブギウギ』第19回

昔々、とある姐さんから「木公くんはさぁ、小さくてか弱そうで幼い感じの妹みたいな女の子が好きよねぇ。だけどね、君には年上の女が合うと思う。しかも、弟のいるしっかり者の女」と言われたことのある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第19回めの放送を見ましたよ。

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第4週『ワテ、香川に行くで』

鈴子(趣里)の弟・六郎(黒崎煌代)は幼い頃から間抜けな言動や行動が目立つ。飼っているカメを溺愛し、そのカメを模った帽子をいつも被ってる。さらに、木彫りのカッパの人形を常に携えている。

そんな六郎には、最近気になっていることがあった。自分の顔が父・梅吉(柳葉敏郎)と似ていないと思われるのだ。小さい頃、アホのおっちゃん(岡部たかし)から、六郎はカッパの子で、鈴子はクジラの子だとからかわれたことも半ば本気で信じていた。言われてみれば、自分と鈴子は似ていないようにも思える。

六郎からそのことを打ち明けられた鈴子は一笑に付し、自分たちは姉弟に違いないと説明してやった。六郎はまったくもってアホな子である。普通なら、これだけアホな子は嫌われるはずである。しかし、自分は六郎のことが大好きだ。これだけ好きなのだから姉弟に違いないと言って聞かせた。

しかし、後にひとりになって考えてみると、鈴子にも思い当たるところがあった。
過去に鈴子が高熱で倒れた時(第9回)、六郎が枕元で同じ「カッパの子、クジラの子」話をしていた。それに加えて、父と母(水川あさみ)が部屋の外でコソコソ話をしているのが聞こえたのだ。ふたりは、何があっても鈴子だけは死なせるわけにはいかないと言っていた。
鈴子は、その時のことは熱にうなされた悪夢だと思っていた。しかし、六郎の話した内容が過去と現在で合致していることから、あれは現実だったのだ。
そして鈴子は、あり得るとするなら、六郎の方こそ貰われてきた子だと思った。なぜなら、両親は鈴子だけは死なせるわけにはいかないと言っていたからだ。しかし、鈴子はそのことは自分の胸にしまっておくことにした。

この頃(1934年; 昭和9年)には、USKのストライキ騒動から1年が経っていた。勝ち取った待遇改善は実現し、劇団員たちは1週間の休暇が与えられた。他の団員たちはそれぞれに旅行の計画などを立てていたが、鈴子だけはどこにも出かける予定はなかった。むしろ、家の銭湯の手伝いをすることを楽しみにしていた。

そんなある日、母・ツヤの元へ郷里の香川の妹から手紙が届いた。それは、「白壁の家」と呼ばれる地元の名士の家の法事へ鈴子を連れて来て欲しいというものであった。ツヤの実家は手袋工場を営んでおり、「白壁の家」の主人には客を大勢紹介してもらうなど並々ならぬ世話になっていた。ツヤの実家にとっては断ることはかなり難しいことであった。
一方でツヤにとっても、郷里には帰りにくい事情があった。キヌ(中越典子)という女性に顔を合わせられない事情があったのだ。そのことを理解している父・梅吉と相談し、鈴子と六郎だけで行かせることにした。

ツヤは、「白壁の家」の法事に行って欲しいと鈴子と六郎に話した。そこの息子は早くに亡くなったが、主人はまだ生きている。その主人が梅丸少女歌劇団のファンであり、鈴子の活躍を聞きつけて会いたいと言っていると説明した。鈴子は悪い気がしなかった。
そして、父と母は銭湯の切り盛りで手が離せないので、鈴子と六郎のふたりだけで行って欲しいと話した。六郎は自分たちだけで出かける旅行に興奮した。
こうして、姉弟だけの香川行きが決まった。

六郎が香川行きを喜んで受け入れたのにはもう一つ理由があった。母の実家に行けば、自分たちの出生の秘密が明らかになると期待しているのだ。
その話を聞いた鈴子は呆れつつも、やはり六郎の方こそが貰われた子のはずであり、本人がそれを知るとどう思うかと心配になるのだった。

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NHK『ブギウギ』第18回

ラインダンスを見るとどうしてもえっちな気持ちになってしまい、それはきっと自分が足フェチだからだと思っていたのだけれど、もしかしたら懐かしの深夜番組『11PM』のアニメーションが思い出され、そこから同番組のお色気コーナーが連想されるせいかもしれないと思い至った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第18回めの放送を見ましたよ。

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第4週『ワテ、香川に行くで』

USKのストライキが始まってから1週間、大熊社長(升毅)はついに劇団員たちの要求を受け入れ、賃金を元の水準に戻し、人員解雇も取り消されることになった。
知らせを受けた劇団員たちは有頂天になって喜んだ。

翌日、劇団員たちは稽古場に集まり、久しぶりに古巣で稽古できることにワクワクしていた。
しかし、大和礼子(蒼井優)と橘アオイ(翼和希)がなかなか姿を見せない。やっと現れたかと思えば、神妙な面持ちの林部長(橋本じゅん)も同行していた。

林部長は、本日付で大和礼子と橘アオイが騒動の責任をとって退団すると発表した。突然のことに劇団員たちは動揺し、口々に抗議の声をあげた。
大和礼子はそれをなだめるように話し始めた。ストライキによる公演中止で客や会社に迷惑や損害を与えた。誰かがその責任を取らなければならず、それはまさしくストライキを主導した自分こそが責めを負わなければならないと説明した。そして、今回みんなが団結したことを忘れず、みんなで新しい梅丸少女歌劇団を作って欲しいと期待を述べた。自分がいなくなってもみんなならやれるはずだと励ました。
橘アオイは、大和礼子ひとりに責任を負わせるわけにはいかず、自分も一緒に辞めるのだと話した。

鈴子(趣里)は到底承服できなかった。ふたりがいなくなる結果になるのだったらストライキなどしなければよかったし、賃金や人員の削減も受け入れるからふたりには残って欲しいと泣きながら喚いた。ふたりがあってこその梅丸少女歌劇団なのだから、いっそのことこの劇団はなくなってしまえばいいとまで喚き散らした。
橘アオイは鈴子にビンタを張って黙らせた。大和礼子はみんなのことを守るために辞めるのだから、それを無碍にするなと説得した。

どんなに抗議しても、会社にふたりの退団を取りやめさせることはできなかった。なにより、当の本人たちの決意が一番固かった。
団員たちは泣きながら別れを惜しむしかなかった。

たったふたりがいなくなっただけなのに、鈴子には大勢の団員がいなくなったような寂しさを感じた。
それでも、解雇されていた同期の桜庭和希(木村湖音)や新人研究生たちが戻ってくると、少しだけ気分も前向きになれた。いつまでも寂しがっておらず、稽古に打ち込もうと思えた。

大熊社長はにとって、自ら決めたこととはいえ、トップスター2名を一度に失うということは大きな痛手だった。彼女らの不在を言い訳に粗末なショーを見せるわけにはいかない。残された団員たちが輝くような新しい出し物はないものかと頭を抱えていた。
その相談を受けた林部長は、大和礼子が中心となって稽古を続けていたラインダンスを社長に提案した。

こうして、USKは客前で初めてラインダンスを披露した。
大和礼子の置き土産である練習の成果が大いに発揮され、一糸乱れぬ見事なダンスだった。観客たちにも大好評だった。

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