NHK『カーネーション』第13回

昨日はスーパーで買ってきた一尾79円のサンマがおいしくて、どんぶり飯を2.5杯も食べてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第13回目の放送を見ましたよ。

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第3週「熱い思い」

昭和2年(1927年)。
糸子(尾野真千子)は学校を去った。同級生たちには、パッチ屋で働くために学校を辞めるのだと説明した。洋裁が好きで自ら選んだ道だと宣言した。そして、家の商売が傾いたから学校をやめるのではない、変な噂を流すなと念を押した。

いよいよ桝谷パッチ店へ出勤する初日。糸子はワクワクしていて、女学校時代には考えられなかったほど早起きをした。父・善作(小林薫)には仕事に行くのではない、勉強に行くのだとしつこく言われた。しかし、糸子の耳には届いていなかった。

糸子は期待で胸がいっぱいだった。親切な職人たちと明るい職場で、大好きな洋裁をやっていけることは楽園のように思えるのだった。

パッチ店では、明るく元気に挨拶をした。しかし、店の者たちの態度はあからさまに冷たく、よそよそしかった。自分が店に来ない間に何があったのかと山口(中村大輝)に尋ねると、馴れ馴れしい口を聞くな、敬語を使えと叱られた。

以前の糸子はお客さんだったから親切にしたが、今は店の中で一番下っ端であるというのが山口の言い分だった。お茶くみ、店の掃除などの下働きは全て糸子の担当にされた。みんなが食事をしている間も、糸子一人だけで店の留守番を命じられた。自分の食事の番になったが、ご飯はほとんど残っていなかった。
遊びに来るのと働くのとでは全く違うのだと思い知らされた。

一番びっくりして、一番悲しかったことは、布にすら触らせてもらえないことだった。
店に入って5年間は雑用のみ、10年経ってやっとミシンを使わせてもらえるというのだ。

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NHK『カーネーション』第12回

それが見るに耐えないほど酷いものだと言うつもりは全くないが、尾野真千子の左こめかみにある大きなホクロがどうしても気になってしまうので、どうか左側からは撮影しないでくれと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第12回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

店の資金繰りが上手くいかないことで、善作(小林薫)はふさぎこんでいる。しかし、家族は誰一人として原因に気付いていない。妻の千代(麻生祐未)などは、腹に虫がわいたと思って、呑気にも薬を買ってくるほどだった。

大地主(石田太郎)の娘の嫁入り衣装を請け負ったことで起死回生を目指していたが、問屋から反物を仕入れる金もない。どうすることもできなくなった善作は、大地主に正直に打ち明けて仕事を断ってしまった。
大地主は怒りはしなかった。むしろ、善作の今後について心配してくれた。ただし、商売は一度失敗すると坂道を転がるように没落していく、店をたたむなら早い方が良いとアドバイスするのだった。
頭でそれがわかっている善作であったが、どうしても踏ん切りが付かなかった。

糸子(尾野真千子)の女学校は夏休みが終わり、新学期が始まった。夏休みの間はおとなしく家にいた糸子であったが、学校の帰りに寄り道をして、父から出入りを禁じられていたパッチ店を覗いた。中からは店員たちの威勢のいい声やミシンの音が聞こえてきた。それらの音を聞いているだけで満足した糸子は、素直に家路についた。

ところが、帰り道の途中で、幼なじみの勘助(尾上寛之)が同級生にいじめられているのを見つけた。糸子は彼を助けようと思い、2人の男子に飛びかかった。しかし、小学生の頃とは違い、あっさりと返り討ちにあってしまった。
それまではやられるがままだった勘助であったが、糸子の窮地を傍観しているわけにはいかなかった。勇気を振り絞り、自分も加勢した。けれども、勘助も簡単にやられてしまった。

ふたりはボロボロになり、糸子は勘助に背負われて帰宅した。勘助が事情を説明しようとすると、何も言わせないうちに、糸子は勘助に物を投げつけて追い返してしまった。そして、そのまま糸子は布団に寝込んでしまった。

糸子は悔しかったのだ。弱虫で自分の庇護の下にあると思っていた勘助に、逆に助けられたことが悔しかった。男は成長につれて力が強くなっていくのに、女はそうならないことが悔しかった。女である自分は、これから一生男に勝てないのだと思うと悔しかった。だんじりに乗れないことが悔しかった。唯一自分の生きがいである洋服やミシンを父から禁じられていることが悔しかった。
もう自分の人生はお終いだ。そう思うと、普段は絶対に人前で涙を見せない糸子が、祖母(正司照枝)の前で号泣した。

善作は、その様子を陰から覗き見ていた。
翌朝、善作は糸子に声をかけた。だんじり祭が終わったら、女学校を辞めてパッチ店で働くことを許可するという。糸子は有頂天になった。父が話し続けているのにもかかわらず、ニヤニヤして大はしゃぎした。
善作は糸子を落ち着かせると、働きに行かせるのではなく「勉強をさせに行くのだ」ということを強調した。しかし、糸子はパッチ店に行けることが嬉しくて上の空だった。勉強という意味が少しもわかっていなかった。

そして今年も例年通り、勇壮なだんじり祭が行われた。

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NHK『カーネーション』第11回

元AKB研修生(AKB的には「研究生」が正しいらしい)を自称する尾野真知子という今年デビューした人のエロDVDがあると知り(amazonで調べる)、いろいろギリギリなところを突いてくるなぁと感心している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第11回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

善作(小林薫)は、またしても妻・千代(麻生祐未)を実家に派遣して金を借りてこさせようとした。しかし、一銭も借りることができなかった。千代の話によれば、これまで借りた金を全く返していないことではなく、善作が自分で来ないことが問題なのだという。

仕方のなくなった善作は、糸子(尾野真千子)を連れて神戸の妻の実家へ向かった。いつもなら善作に顔を合わせるたびに「学校を辞めたい、パッチ屋で働きたい」と直談判していた糸子であったが、何か様子のおかしいことを感じ取って、今日は黙っておくことにした。

清三郎と貞子(十朱幸代)は糸子を大歓迎した。しかし、善作に対してはいささか冷たく、よそよそしい態度だった。
清三郎は、糸子に席を外させると、善作にはびた一文金を貸さないと告げた。理由は、善作の呉服屋には将来性がないからだという。これからは洋服の時代になり、一流の呉服屋以外は生き残ることができない。善作の店は5年以内には潰れてしまうだろうというのだ。
店をたたんだ後は、清三郎が所有している姫路の工場で仕事を世話するという。そして、妻や子供たちは神戸に引き取るという。いわば、善作は家父長失格だと宣告されたのだ。

岸和田への帰り、善作は放心状態になっていた。往路よりも様子がおかしくなったことを感じ取った糸子は、学校をやめてパッチ屋で働きたいと試しに言ってみた。いつものように怒鳴ったり殴ったりすることもなく、力ない声で却下するだけだった。糸子はそれ以上何も言えなくなってしまった。

一家の女たちは夏祭りの夜店見物に出かけ、帰りが遅くなってしまった。善作にどやされるのではないかとヒヤヒヤしながら帰宅したが、善作はすでに布団を敷いて寝てしまっていた。明らかにいつもと様子が違うことに気付いたが、誰も本当の理由は知らなかった。どこか体調が悪いのだろうと思うのだった。

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NHK『カーネーション』第10回

昨日、10日にリニューアル・オープンしたばかりのNHKスタジオパークを見学してきた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第10回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

神戸の伯父・松坂正一(田中隆三)が訪ねてきた理由は、小原一家が苦労していないか様子を見ることだった。糸子(尾野真千子)の父・善作(小林薫)は、元々は松坂家に出入りする呉服屋の番頭であった。いつしか、千代(麻生祐未)と恋に落ちて、駆け落ち同然で結婚してしまったのだ。そのような経緯もあり、神戸の母方の実家では小原一家の経済問題等をいつも心配しているのだ。

松坂家の人間を苦手としている善作は、すでに逃げ出してしまっている。残された千代は、あまり正直に言っても話がややこしくなるので、適当にはぐらかして正一を帰してしまった。

ところが、正一が帰路につく途中、町の人間から糸子がパッチ店で働いているという噂を聞いた。調べに行ってみると、本当のことだった。正一は糸子を連れて、家に戻ってきた。

正一は、小原家の家計が苦しく、善作の命令で糸子が働きに出されているのではないかと疑ってかかった。ところが、善作はまったく知らないことだった。
糸子は、もう隠していても仕方のないことだと、全てを打ち明けた。自分の意思でパッチ店に出入りしていること、金はもらっていないこと、純粋にミシンを触りたいことが理由だということを説明した。しかし、一同には糸子の気持ちがよく分からなかった。

特に、善作は糸子がパッチ店に出入りすることが気に入らない。苦しい経済状況の中から学費を捻出しているのに、それをないがしろにされているような気がするのだ。
糸子がついに学校をやめてパッチ店で働きたいと申し出ると、善作は激怒した。糸子は蹴られて、顔に痣ができた。それでもめげずに、糸子は時を変えて何度も頭を下げた。しかし、その度に善作は怒り狂い、湯のみを投げつけられたり、酒を浴びせかけられたりした。善作は態度を変えようとしなかったが、糸子も粘り続けた。

そういうことが何日か続く間、糸子は桝谷パッチ店に顔を出すことができなくなった。心配になった店主(トミーズ雅)は妻と一緒に、糸子の家へさり気なく様子を見に来るようになった。糸子はその事に気付いていたが、顔を合わせにくく、隠れてばかりだった。

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NHK『カーネーション』第9回

栗山千明様にはいつも「様」を付けてお呼びさせていただいているのだが、本まとめ記事でも栗山千明様にだけは敬称をお付けするべきであろうと思ったり、思わなかったりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第9回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

糸子(尾野真千子)は働くことを通して、大人の自覚が芽生え始めている。もう朝寝坊はしなくなったし、往来を颯爽と歩くよう気をつけたりした。けれども、それにつれて、女学校がますますつまらなく思うようになった。学校に通うよりも、パッチ屋を手伝ってミシンを使うほうが楽しいのにと思うのだった。

パッチ屋の主人(トミーズ雅)も、糸子の働きと熱意を高く評価した。女学校を卒業したら店で働いてくれと頼むのだった。糸子も喜び、そうするつもりになった。それどころか、今すぐにでも学校を辞めて働き始めたいと思うほどだった。久しぶりに、幼なじみの勘助(尾上寛之)と話す機会があり、糸子は気軽な気持ちで学校を辞めたいと打ち明けるのだった。

一方で、糸子がパッチ屋に出入りしていることが町の噂になり始めた。小原呉服店は娘を他所に働きに出すほどだと景気が悪いと陰口を叩かれているのだ。妹の静子(柳生みゆ)がそれを聞きつけ、家族には内緒にしたまま、糸子に真偽を確かめた。ところが、糸子は少しも悪びれたところがなかった。その様子を見て、静子は父・善作(小林薫)の耳に入ったら大変なことになると心配するのだった。

実際、善作の呉服店は調子が良くなかった。「小原呉服店は品揃えがよくない。少し遠出してでも、心斎橋の呉服屋で誂えたほうが良い」などと陰口まで言われる始末だった。大地主・神宮司(石田太郎)の娘が嫁入りすることになったことを受けて、料理店・吉田屋の主人(鍋島浩)もそのように勧めた。神宮司に呼び出された善作は、部屋に入る直前に、ふたりがそう話しているのを耳にしてしまった。しかし、人前では気の小さい善作は、卑屈な作り笑いを浮かべて聞かないふりをするしかなかった。

ところが、神宮司は娘の嫁入り衣装一式を善作に任せると行って来た。善作との古い付き合いであることはもちろん、善作の商売が苦しいこともよく承知していた。だからこそ、善作を助ける意味でも依頼したいのだ。善作はたいそう喜び、張り切って仕事をすると請け負った。

ある日、糸子の母(麻生祐未)方のおじ・松坂正一(田中隆三)が訪ねてきた。母方の祖父(宝田明)は神戸で紡績会社を経営しており、おじもそれを手伝っている。繊維産業が盛んな岸和田にはよくやって来るし、その度に糸子の家も訪問するのだ。
けれども、義理の兄を苦手にしている善作は、正一の姿を発見すると、見つかる前に逃げ出してしまった。

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NHK『カーネーション』第8回

椎名林檎の『カーネーション』を鼻歌すると、いつも必ずNOKKOの『人魚』になってしまうのはどういうわけだろうと思ったり、思わなかったりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第8回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

裁縫の授業で、布を縫う機械の名前について質問し、糸子(尾野真千子)は「ミシン」という言葉を覚えた。そして、毎日、桝谷パッチ店に寄り道してはガラス戸から店内を覗いた。うっとりとミシンを眺めていた。
一方で、自宅で手縫いをするのが少しつまらなくなった。手縫いはミシンに比べて圧倒的に遅く、それが気に入らないのだ。

その矢先、父(小林薫)が家族のアッパッパ着用と糸子による縫製を禁じた。
父は、大地主(石田太郎)の息子が結婚するのに際し、立派な黒紋付が売れると期待していた。しかし、花嫁側の意向で洋装での挙式となった。しかも、大地主も、これからは洋服の時代だと言っている。それが父には面白くないのだ。
それで、洋服全てを目の敵にするようになった。糸子が抗議しても、もちろん聞く耳を持たなかった。

しかし、父の洋服禁止令は糸子にとってはそれほど痛手ではなかった。糸子は、ミシンを覗き見るだけで何事にも代え難い幸福感を感じていたからだ。

ある日、いつもと同じように戸口に立ってミシンを見ていると、店主(トミーズ雅)に声をかけられた。店にも糸子の存在は当然知られており、話題になっているという。糸子が裁縫やミシンに対する熱意を語ったところ、店主に気に入ってもらえた。店内に招き入れられ、間近でミシンを見学させてもらえるようになった。

何日か通っているうちに、ついに、実際にミシンを操作させてもらった。糸子は上手に使うことができた。店主にも筋が良いと褒められた。糸子は有頂天になった。嬉しくなった糸子は、店の雑用を進んで行うようになった。
ミシンが使えて楽しかったことに加え、糸子は働く楽しさや喜びをも知ることとなった。

働く喜びは、裁縫以外にも適用された。これまで家事の手伝いはほとんどして来なかった糸子であったが、突然食事の片付けをし始めた。糸子の豹変に、家族はたいそう驚いた。

糸子は、自分がひとつ働くと、周りがひとつ喜ぶ。それにともなって、自分がひとつ大人になるような気がした。自分が一歩ずつ大人になる事が嬉しかった。自分が働いたことを記録する「しごと帳」という日記を付け始めた。

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NHK『カーネーション』第7回

尾野真千子に関しては、先週の土曜スタジオパークにゲスト出演した時の様子(出演情報;ビデオあり)やtwitterの投稿を見て、「オーラが全くなくてマイペースなところが、かえって大物のオーラ感を醸し出してるよな」と思ったり、思わなかったりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第7回目の放送を見ましたよ。

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第2週「運命を開く」

女学校へ通っている糸子(尾野真千子)は友だちも作らず、休み時間も裁縫のことばかり考えている。裁縫の授業も週に4回あるが、初歩的なことばかりで、糸子はその授業に身が入らない。自宅で好きなだけ裁縫をしようと思っても、授業は午後遅くまであるし、宿題もたくさん出るので、なかなか時間を割けない。

家の呉服屋の商売はあいかわらず不景気だった。なかば自棄になった父・善作(小林薫)は、謡教室を始めた。弟子も数人集まり盛況であった。善作は稽古の場で着物も売りつける算段であったが、そっちの方はからっきしであった。そのかわり、謡教室の月謝でいくらか家計が助かった。
けれども、糸子の女学校の学費や、さらに3人の妹たちの学費のことを考えると、依然として家計は苦しいのだった。

善作が集金を苦手にしているのも変わっておらず、今ではほぼ全ての集金を糸子に任せていた。女学校進学後、ただでさえ裁縫の時間が減ったことを不満に思っている糸子であったが、父の命令には逆らえるはずもなかった。今日は隣町への集金を命じられたので、いつもより余計に時間がかかることとなった。

初めての集金先で、糸子は少し道に迷った。
しかし、ふと覗いたパッチ屋の奥に、見たことのない機械を見つけた。何をするものかわからないまま見つめていると、職人がそれを操作し始めた。すると、あっという間にきれいに布が縫い合わされてしまった。

ミシンに初めて出会った糸子は強いショックを受けた。そして、それがまるでだんじりのようだと思った。自分が乗るべきだんじりは、あの機械なのだと思うのだった。

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NHK『カーネーション』第6回

「俺のライバルは『5分でカーネーション』というネットで見れちゃう公式ダイジェスト映像だ(第1週)」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第6回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は、神戸の祖母(十朱幸代)からもらったドレスを近所のおばさん連中に見せびらかした。おばさん達は初めて目にする派手なドレスをからかいながらも、とてもきれいだと褒めてもくれた。
隣の履物屋の女将が、洋服の一種だといってアッパッパ(近畿地方の方言で、木綿製の簡易なワンピース。Wikipediaで調べる)を見せてくれた。そのアッパッパは自作の物だと言い、糸子にも自分で縫ってみるよう勧めた。

早速家に帰った糸子は、祖母(正司照枝)に余り布を見せてもらった。地肌にあう生地、羽織にあう生地など、素材の違いを簡単に教えてもらった。糸子は、生まれて初めて、生地が面白いものだと思った。

糸子は、さらしの生地をもらった。それは古くて黄ばんだものだったが、初めての布地がうれしくて、熱中して縫い物を始めた。母(麻生祐未)に声をかけられても聞こえず、食事も睡眠もそっちのけで、アッパッパの作製にのめり込んだ。

多少の難点はあったが、初めてのアッパッパが完成した。自分で着用し家族に披露したところ、みんながたいそう褒めてくれた。父(小林薫)も、将来有望だ、店の着物も糸子に縫わせよう、などと大はしゃぎであった。
糸子は嬉しかった。それからは、男子と喧嘩することもめっきりなくなり、学校が終わるや否や帰宅し、裁縫に明け暮れた。

しかし、ひとつだけ不満だったのは、岸和田のあたりでは洋服を着る人がまだほとんどいなかったことである。

昭和2年(1927年)。
糸子(尾野真千子)は成長し、女学生になっていた。ただし、おてんばなところは相変わらずだった。朝寝坊をし、台所で立ちながら飯をかっこみ、猛ダッシュで学校に向かった。

けれども、ひとつだけ変わったことがある。だんじりは今でも大好きだが、「大工方になりたい」とはもう思わないようになっていた。

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NHK『カーネーション』第5回

「関西に長く住みすぎたな。気がつけば、関西弁を喋らない女の子にはトキめかなくなってしまっている」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第5回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は、自分が女に生まれたこと、そして、その事によって自由が奪われている現実から、どうしようもない無力感に苛まれていた。

学校の帰り道、だんじりの倉庫の扉が開いていることに気付いた。忍び込んだところを泰蔵(須賀貴匡)に見つかってしまったが、彼は糸子のしたいようにさせてくれた。そこで、糸子はだんじりの屋根に乗ってみた。
しかし、糸子の気分は少しもよくならなかった。あんなに登ってみたいと思っていただんじりの屋根なのに、うす暗い倉庫の中で一人で乘ってみても、思っていたほどには興奮しないのだった。気がすんだか?という泰蔵の言葉にも、力なく首を振って去っていくのみだった。

家に帰っても、糸子は塞ぎこんだままだった。父・善作(小林薫)もさすがに糸子のことが心配になり、糸子に手を上げたことを後悔する素振りを見せた。ところが反省もつかの間、母・千代(麻生祐未)に責任転嫁し、千代がしっかりしていないから糸子がおかしくなるのだと、がなりたてはじめた。

その父の怒鳴り声を聞いて、糸子はますます自分が女である事が嫌になった。このまま大人になっても、一日中家に篭り、夫に叱られてばかりなのだと思うと失望した。

その時、神戸の祖母・貞子(十朱幸代)から小包が届いた。知り合いの外国人からおみやげに貰ったという、ピンクのかわいらしいドレスを送ってよこしたのだ。ちょうど、ドレスの絵を描いて妹たち(荒田悠良村上凜花田鼓)に見せてやっているところであり、糸子は思いがけない贈り物に有頂天になった。喜び勇んで、父や祖母・ハル(正司照枝)に見せに行った。家族はみんなが明るくなった。

しかし、貞子は寸法を知らずに送ってきたため、そのドレスは糸子には小さすぎた。そのため、次女の静子に着せられることとなった。糸子は少しも面白くなかった。3人の妹たちは、成長に連れて順にそのドレスを着る機会が訪れる。しかし、糸子だけは着るチャンスが全くないのだ。

糸子は、だんじりの大工方などの役割は、女である限り手に入らないと諦めていた。しかし、ドレスならば、女の自分でもいつかは着ることができるかもしれない。そう考えると、少しだけワクワクしてきた。

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NHK『カーネーション』第4回

「ネットでの評判を見ると、同じ関西弁でも岸和田と神戸の方言が使い分けられているらしいが、俺には聞き分けられねぇや」とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第4回目の放送を見ましたよ。

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第1週「あこがれ」

糸子(二宮星)は神戸の洋館で見た外国人達の着物のことが忘れられなくなった。岸和田へ帰宅してからも、ずっと夢うつつだった。
料理屋の娘の奈津(高須瑠香)に話したところ、「ドレス」という言葉を教えてもらった。

父・善作(小林薫)は、押しの弱い自分の代わりに、またしても糸子を集金に行かせた。しかし、だんご屋の主人は子供が相手だと思って、やはり代金を支払おうとはしなかった。一方の糸子は、金をもらうまでは絶対に店先から動かない覚悟だった。

そうして粘っていると、幼なじみの勘助(吉岡竜輝)ら悪ガキたちがだんごを買いに来た。彼らはだんご1本分の金で2本のだんごを持って逃げた。店を離れられない主人に代わって、糸子が彼らを追いかけ、だんごを取り返した。
糸子の行動に感謝と根負けをした主人は代金を支払ってくれた。

金を持って帰る途中、糸子は人数の増えた悪ガキたちに取り囲まれた。だんごの仕返しをするために集まったのだ。初めは相手にする気のなかった糸子であったが、「女だからといって容赦しない」などと自分の性別について言及されたことに堪忍袋の緒が切れた。河原でガキ大将と取っ組み合いの喧嘩を始めた。

喧嘩は糸子の優勢だった。しかし、川の中でもみ合っているうちに、集金したばかりの金が流れてしまった。それを取り戻そうとしたが、ついに糸子も溺れて流されてしまった。
その時、たまたま騒ぎを聞きつけた大工(かつ、勘助の自慢の兄)の泰蔵(須賀貴匡)が川に飛び込んで糸子を救助してくれた。金は失ってしまったが、全員身体は無事だった。

家に帰ると、糸子は父に金を失ったことを謝った。
善作は金のことは何も言わなかった。その代わり、女が男に張り合ったことについて、怒鳴り声と張り手で叱責した。女が男に敵うはずがないというのが、善作の一貫した態度なのである。

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