NHK『ゲゲゲの女房』第76回

 10日以上続いた水便がやっと収まって、ほっとした当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第76回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 調布の村井家に、はるこ(南明奈)がパチンコ景品の缶詰を差し入れに来た。布美枝(松下奈緒)が帰省したと聞き、荒れるに任せた家の状態を見て、勝手に家事を始めてしまう。茂(向井理)は遠慮するが、仕事がはかどるので、つい任せてしまった。しばらくすると浦木(杉浦太陽)が様子を見に現れた。案の定、はるこが茂と親密になりそうなのを見つけ、立ち去るように説得する。その騒ぎに立腹した茂は、ふたり揃って追い出すのであった。

 安来の喫茶店では、布美枝が弟・貴司(星野源)からじっくりと話を聞いていた。恋人・満智子(長澤奈央)の家は裁縫機器の販売代理店を営んでいる。彼女は一人娘でもあり、婿養子をとって店を続けなければならない。貴司の父(大杉漣)は、すっかり自分に見合いをさせて、家業の酒屋を継がせる気になっている。彼女と父との間で板挟みになってしまっているのだった。

 ふたりが家に帰ると、父が妹・いずみ(朝倉えりか)を怒鳴りつけていた。彼女が内緒で東京の会社に就職活動をしていたことがバレてしまったのだ。父は、いずみを地元の小学校の先生にさせるつもりなのだ。自分の人生を親に決められることに反発するいずみ。
 立場上、貴司は仕方無しにいずみのことをたしなめる。彼が味方をしてくれなかったことでますます激昂したいずみは、みんなの前で貴司の秘密をばらしてしまった。家族の中にいくつものしこりが残った。

 夜、布美枝はいずみと向き合った。布美枝から見ると、彼女の東京への憧れは一時の気の迷いのようにも見える。東京の暮らしは必ずしも良いことばかりではないし、地元・安来の方がよっぽど良い所だと話す。それは理解するものの、いずみは若いうちに一度は東京を見てみたいのだ。そして何よりも、親に勝手に人生を決められることへの不満で渦巻いているのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第75回

 「今日はマクラが思いつかないので、勘弁してくれ」と冒頭に謝罪する当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第75回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 布美枝(松下奈緒)が実家に帰って来た。布美枝の初めての里帰りを喜ぶ面々だが、それ以上に藍子のかわいらしさに大賑わいとなった。
 幼い頃に一番仲が良く、現在は農家へ嫁いだ姉のユキエ(星野真里)も顔を出してくれた。なかなか里帰りしないので汽車賃にも困る生活なのかと心配していたが、元気そうな顔を見て安心したと、気遣ってくれた。

 おばの輝子(有森也実)は、布美枝の弟・貴司(星野源)の見合い話を進めようとしている。父(大杉漣)もとても乗り気である。酒屋をもう1店舗つくり、貴司に所帯を持たせた上で全てを任せようと計画しているのだ。

 周囲で勝手に話が進んでいく中、貴司は何か思うところがありそうだったが、雰囲気に飲まれ、モジモジとして言い出せないでいた。母(古手川祐子)は貴司の様子がおかしいことに気づき、父をそれとなくたしなめるのだが、彼は聞く耳を持たなかった。
 夜、布美枝が部屋で藍子を寝かしつけていると、貴司と妹・いずみ(朝倉えりか)の低い声が聞こえてきた。布美枝にはっきりと聞こえたわけではなかったが、どうやら貴司には恋人がおり、店を継ぐことも完全には同意しているわけではないようだった。

 ある日、布美枝は幼馴染の親友・チヨ子(平岩紙)と喫茶店で会っていた。布美枝は、チヨ子が東京に訪ねてきたとき、家に招待せずに追い帰してしまった非礼を詫びた。貧しい生活を見せたくなかったのだと、本音を告げた。それを聞いたチヨ子はかえって安心したという。家に招かれないのは、夫が気難し家であるせいだと解釈していたのだ。夫の機嫌を伺いながら苦労することに比べれば、金の苦労の方がよほどマシだろうと、チヨ子は明るく言うのだった。

 しばらくすると、その喫茶店に貴司が入ってきた。彼は布美枝の存在に気づかないようだ。貴司は恋人・満智子(長澤奈央)に、勝手に縁談を進められていて困っていると打ち明けたようだ。しかし、それを体の良い別れ話だと思った満智子は泣きながら店を飛び出して行った。
 貴司は、そこで初めて布美枝に一部始終を見られてしまったことに気づいた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第74回

 目覚ましをセットし忘れて、危うく寝坊しそうになった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第74回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 こみち書房に顔を出した布美枝(松下奈緒)は、そこで一心不乱に漫画を読む富田(うじきつよし)に出くわした。茂(向井理)に20万円の手形を振り出したが不渡りになった過去があるので、布美枝の顔を見て逃げ出そうとする。しかし、なんとかなだめて家まで連れてきた。

 出版社を倒産させた富田であったが、本への未練が断ちがたく、現在は製本会社の工員として働いているという。身なりもみすぼらしかったが、なんとか金を集めて、8,500円ばかりを茂に返した。受け取るべき金額としては少なすぎたが、茂も布美枝も過去のことは水に流す気になった。

 そこへ、浦木(杉浦太陽)がひょっこりと顔を出した。過去に浦木が怪しげなビジネスを富田に入れ知恵したことで、彼の会社の資金繰りが悪化したという過去がある。一瞬、浦木に対して激昂する富田であったが、自分が欲に目がくらんだことを思い出し、反省するのだった。漫画が大好きで貸本出版社を始めたはずなのに、いつの間にか漫画を金儲けの道具にしか見ることができなくなっていた。それが失敗の元だったと悟り、現在は心を入れ替えているという。
 茂は富田の新たな門出を応援する一方、貸本業界からまた一人消えたことを悲しく思うのだった。

 深沢(村上弘明)が復帰したと聞いて、浦木は自分が心を寄せるはるこ(南明奈)のことを思い出した。彼女は、漫画家になるために深沢を頼って状況した。しかし、すぐに深沢が倒れたことで路頭に迷ったという経緯がある。深沢の良いニュースを伝えたら、はるこは自分への好意を増すに違いないと都合よく考えた。
 それと同時に、布美枝の帰省中にはるこが茂の所へ近寄らないように、何か策を打つべきだと思い至るのだった。

 そして、布美枝が故郷へ向けて出発する日になった。家のことが心配で茂にあれこれと申し付けながら、布美枝は慌ただしく家を出るのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第73回

 先週 NHKのあさイチ向井理がゲスト出演した時、水木プロダクションにしばらく通って習ったという彼のペンさばきがなかなか見事で、つい見とれてしまった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第73回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 孫の姿を見せに来いと、茂の実家から矢次はやに催促のハガキが来る。しかし、汽車賃が工面できず帰省は叶わない。金が無いことを隠しておきたいので、返事も適当にはぐらかし続けてきたが、いよいよ口実のネタも尽きてきた。茂(向井理)はめんどくさがって仕事部屋に逃げ込んでしまい、文面を任された布美枝(松下奈緒)は頭を抱えるのであった。

 ある日、茂の兄(大倉孝二)が、大慌てで家に飛び込んできた。業を似やした茂の両親が藍子に会うために上京することを決め、電話で通知してきたのだ。母(竹下景子)は激昂しやすい性格で、茂ら兄弟は苦手に思っている。(茂が結婚を決めた理由の一部は、結婚してしまえばそのことについて文句を言われなくてすむという魂胆もあった)。その上、芝居好きの父(風間杜夫)に良いチケットを用意してやったり、帰りの汽車賃を持たせてやったりと、出費がかさむことも心配である。彼らの上京を阻止するためには、布美枝と藍子だけでも境港に送り込むということで話がまとまった。金がなかろうが、原因は藍子にあるのだからお前達でなんとかしろと強弁して、兄は逃げ帰ってしまった。

 旅費はもちろん、藍子用のよそ行き衣類を準備する金すらなく、完全に途方にくれる布美枝。

 数日後、深沢(村上弘明)が家にやって来た。『河童の三平』の原稿を預かったまま結核に倒れ、原稿もろとも彼の会社が潰れてしまった以来の再会だった。快復した彼は、本格的に仕事に復帰するという。新たに嵐星社という出版社を起ち上げ、美人秘書の加納(桜田聖子)も同伴していた。療養所にいる時から少しずつ仕事を再開しており、「忍術秘帖」という月刊貸本漫画をすでに発刊している。茂にも忍法漫画を月刊連載で描いてくれと依頼するのだった。

 さらに、そろそろ貸本漫画には見切りをつけて、これからは漫画雑誌へシフトしていくという計画を披露した。既存の漫画雑誌が子供向けであるのに対抗し、貸本漫画の読者層に相当する、大人向けの漫画雑誌をつくるという。創刊は秋を目指すが、茂を雑誌のメインに据えたいという。茂も喜んで手伝うことを承諾した。

 また、深沢はうやむなになったままだった『河童の三平』の原稿料も支払ってくれた。
 現金が手に入ったことで、布美枝は里帰りできることになった。ただし、茂は仕事が立て込んでいるので留守番することになった。茂の実家へは少し顔出しするだけでいいので、布美枝の実家でゆっくりして来るがいいと優しくってくれるのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第72回

 明日(20日)午後5時よりNHK総合で、布美枝の少女時代から結婚までの総集編が放送されることを知り、一応押さえておいた方がいいよと宣伝するた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第72回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 布美枝(松下奈緒)が風邪で寝込んだ。茂(向井理)は仕事をそっちのけで世話を焼く。現金が払底してしまったため、鼻紙すら買えない。描き損じの漫画原稿をしごいて鼻をかむありさまだった。ろくな食料もない中、先日はるこ(南明奈)が持ってきてくれた みかんの缶詰を開けて、それだけで夕食を済ませる。

 みかんを食べながら、漫画をやめると言い出す茂。40歳を過ぎても芽が出ないのだから将来はない、映画の看板描きに転職するとボヤいた。茂の弱音を聞くのは初めてのことで、布美枝はショックを受けた。何か声をかけるべきなのだろうが、布美枝は言葉を発することができなかった。

 居間で寝ていた布美枝は、夜中に仕事部屋から聞こえてくる物音で目を覚ました。茂がまたしてもプラモデルを作っていたのだ。体調が少し良くなった布美枝は、茂の作業を手伝った。

 ふたりはプラモデル作りに没頭した。布美枝は、模型作りの楽しみもわかってきたが、茂と一緒に作業するのが何より楽しいのだと話す。結婚前の茂には腕が1本しかなかったが今は合わせて3本もある。自分は何があっても茂についていくつもりだ。だから、これからも漫画を続けて欲しいと訴えた。それを聞いて、茂も元気を取り戻すのだった。

 翌日、戌井(梶原善)が原稿料を届けに来てくれた。戌井も相変わらず苦しく、全額というわけではなかった。しかし、茂も布美枝も急場を凌ぐには十分であると笑顔で受け取る。ふたりの明るさに戌井も元気づけられて、意気揚々と帰っていくのだった。

 数日後、いよいよ年の暮れを迎え、布美枝は家中の掃除に余念がない。
 そんな中、呑気な茂は大海原に白波が立つ絵を描いていた。その上に戦艦のプラモデルを据え置くと、波を切って進む艦隊のジオラマになるのだ。忙しいのにと文句を言っていた布美枝であるが、ちゃぶ台の上に展開する勇壮な情景に見とれ、愉快な気分になってきた。

 さらに、藍子が本人初となる二足直立歩行に成功した。歓喜する茂と布美枝。一家は、貧しさに負けることのない、明るさと前向きさとを完全に取り戻したのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第71回

 前日の猫画像に引き続き、「図書館の画像ください」(ハムスター速報)を見て現実逃避し、神々しく幻想的な書棚の画像の数々に清澄な心持ちになった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第71回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 茂(向井理)と戌井(梶原善)は連れ立って、只野(片桐仁)を訪ねた。浦木(杉浦太陽)によれば儲かっているということだったが、只野の住まいは今にも壊れそうなボロ屋で、部屋の中も陰気で埃だらけだった。只野の風貌も怪しく汚らしく、貧乏神に取り憑かれていた。彼は一つの原稿を異なる業界新聞に掲載させることで効率良く儲けることができると主張しているが、傍目にはまったく儲かっているように見えない。また、只野は新聞漫画は単なるオマケに過ぎないと卑下している。茂らの理想とはほど遠い姿に、仕事の話を進めることなく帰るのだった。

 他人には頼れないとわかったふたりは、自分たちで状況を打開することにした。中味は茂のタッチそのものなのだが、読者が手に取りやすいように、表紙だけは見栄えの良い美男美女を配した本を作ることにした。
 茂は新たな原稿に取り掛かった。時代漫画と銘打って、表紙用に映画スターのような人物の絵を描いた。それは布美枝(松下奈緒)も惚れ惚れとするような素敵な絵柄だった。しかし、本篇はいつもの通り怪奇漫画であった。

 未払いのままだった『悪魔くん』の原稿料を受け取るために、布美枝は戌井の家へお使いへ行った。あいにく戌井は留守で、待つ間に戌井の妻(馬渕英俚可)と貧乏暮らしについて愚痴を言いあった。しかし、ふたりとも、漫画に全てを注ぎ込む夫のことを諦めると同時に、心の底から応援しているという共通点があった。貧困を嘆きながらも、笑顔の絶えないふたりだった。
 しかし、結局、戌井は帰宅せず、その日も金を受け取ることができなかった。いよいよ村井家の金が尽きた。

 家に帰り着くやいなや、布美枝は倒れ込んでしまった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第70回

 どうしようもない状況に陥り、「猫ですらこんな状況でもリラックスしているというのにおまいらときたら……」(ハムスター速報)を見て現実逃避し、その中にあったモノレール型猫で激しく笑うことができ、その結果朗らかな気持ちになった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第70回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 茂(向井理)は『悪魔くん』最終話の原稿を戌井(梶原善)に届けた。しかし、有り金全てを印刷屋に支払ってしまっていたため、原稿料を受け取ることができなかった。

 帰り道、八百屋で真っ黒に変色したバナナを見つけた。見た目が悪いことを理由に八百屋を言いくるめて、100円に負けさせて1束買った。茂は戦争中に南方の現地民から珍しい果物をもらって食べていた。だから、色は悪くても熟しきったバナナが美味しいことを八百屋よりもよく知っていたのである。初めは顔をしかめる布美枝(松下奈緒)であったが、思い切って食べてみて、そのおいしさに顔をほころばせるのだった。

 はるこ(南明奈)と浦木(杉浦太陽)が、大量の缶詰を持ってやって来た。はるこは、浦木との打ち合わせ前に、暇つぶしに入ったパチンコ屋で100円で大勝したという。パチンコ屋に住み込みしている都合上、景品を持ち帰るのもバツが悪いというのだ。
 一方ではるこは、漫画の持ち込みが失敗続きで、少し落ち込んでいた。藍子の姿を見て元気を貰いに来たと話している。

 藍子のオムツを取り替えるため、布美枝とはるこは2階へ上がる。布美枝は、家の前で撮影した写真をはるこが持っているのに気づいた。それを慌てて隠すはるこの様子を見て、布美枝はなんだか胸騒ぎがするのであった。

 一方、居間に残った浦木は、茂に今後の仕事口を紹介する。只野マコトという漫画家は、業界新聞(製鉄新聞、炭鉱新聞などの専門誌)の仕事で羽振りがいいという。一度原稿を書けば、同じものが各紙に転載されるため効率良く稼げるという。浦木は只野の住所の書付を押し付けるが、茂は乗り気にはなれなかった。

 藍子がちゃぶ台に手をかけて、つかまり立ちをしていた。自分の足で立てるようにいろいろ試しているのだと言う布美枝の言葉に、茂は自分の境遇を重ねた。自分もいろいろ試してみようと思うようになった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第69回

 7月から出演する新キャストの中で知っているのは風間トオルだけであり、一時期はモデル出身俳優として阿部寛と並び称されるほどの活躍だったのに、最近はドラマ『深夜食堂』でカリスマAV男優・エレクト大木なんつー役(僕は未見だが)をやっていると聞いてなんとなく不憫に思っていたりしていたのだけれど、朝ドラに出れて良かったね、がんばってねと密かにエールを送ったりして、ついでに、『深夜食堂』でエレクト大木の母親役がこみち書房のおばあちゃんを演じている佐々木すみ江だということも知って少々驚いている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第69回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 茂(向井理)と戌井(梶原善)の起死回生となるはずだった『悪魔くん』は大失敗だった。5冊の予定が3冊で打ち切りになり、完成したばかりの2冊目の原稿料も一部しかもらうことができなかった。残念がる茂だが、力なく笑いながら承諾するしかなかった。せっかく考えた長編用の構想も、急遽短くして話に収集をつけなくてはならない。

 危機的な状況にも関わらず、戌井が帰るやいなや、すぐさまプラモデル作りに没頭してしまう茂。逃避したくなる気持ちが分からないでもない布美枝(松下奈緒)は、茂の作業を手伝ってやることにした。そうしているうちに布美枝もプラモデルの面白さがわかってきて、時間を忘れるほど熱中してしまうのだった。

 作業をしながら、茂は戦艦模型を好きになった理由を話してくれた。幼い時、故郷の境港に多数の軍艦がやって来たことがあった。一人の海軍下士官(五十嵐大輔)と知り合いになり、乗船見学させてもらったり、ついには養子に乞われるほどの仲となった。少し前に軍記物漫画を描いていた時、当時の軍艦の資料を見て、懐かしくなったのだという。
 そしてまた、貧乏でくよくよしていると貧乏神につけ込まれる。だから、楽しいことをして朗らかな気持ちでいることが大切なのだと説くのだった。

 昭和38年11月、衛星中継の実験放送でケネディ暗殺の映像が日本にも伝えられた。
 茂は『悪魔くん』の最終話を描いていた。布美枝は手伝いをしながら原稿を読み、世直しのために戦っている悪魔くんが志半ばで死んでしまうのはあまりにかわいそうだと感想を述べる。茂は、暗殺されたケネディ大統領になぞらえているのだと説明した後に、物語のラストで悪魔くんが将来復活することをほのめかし、期待のもてるラストにしてあるのだと教えてくれた。いつか蘇るという望みがあることに、自分たちの生活を重ねたのか、布美枝は希望を取り戻すのだった。

 化粧クリームのセールスレディをしている靖代(東てる美)が、あちこちから子供用の古着をもらってきてくれた。一緒に彼女が持ってきた噂話によると、貸本反対運動が激化しているという。先日、中心人物の大竹(中嶋ひろ子)がこみち書房で邪険に扱われたことを根に持っているらしい。

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NHK『ゲゲゲの女房』第68回

 針金だけでザクの模型を作ったり、プラモデルの部品枠(ランナー)を組み合わせて人間大のガンダムを作ったりしているガンダムアート製作秘録に感銘を受けた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第68回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 布美枝(松下奈緒)は、茂(向井理)が戦艦プラモデルに熱中していることをこみち書房の人たちに打ち明けた。呆れる面々の中で、美智子(松坂慶子)の夫・政志(光石研)だけは茂の気持ちがわかるという。危機的状況になったとき、何かに熱中して逃避したくなることはよくある、生きるか死ぬかの戦地でもそういう男をたくさん見てきた、と。うそぶきながらも、藍子の様子を見ると、亡くした子供のことを思い出すのか、悲しげに自室へ引っ込むのだった。

 反貸本団体の大竹(中嶋ひろ子)が店先に現れた。自分の息子が『悪魔くん』を借りてきたことを見つけ、子供に低俗な漫画を貸しつけるとは無責任であると怒鳴り込んできたのだ。これまでの抗議活動はおとなしく聞いていた美智子ですら、ついに爆発し、両者の緊張は極限に達した。

 その時、奥から藍子の泣き声が聞こえてきた。目を離した隙に土間へ落下してしまったのだ。大竹の抗議による騒ぎには知らんぷりしていた政志であったが、藍子の緊急事態にはすぐさま駆けつけた。自分の子どもがちょうど藍子くらいの時に出征し、それが今生の別れとなった経験があるので、赤ん坊に対しては複雑な思いを持っているのだ。藍子を最優先する政志は、相変わらず店先で騒ぎ続ける大竹を一喝して追い返してしまった。

 いくつか事件はあったが、話を聞いてもらったことで布美枝は胸のつかえが取れた。意気揚々と帰宅すると、茂の兄(大倉孝二)が来ていた。彼の会社が倒産し、生活に困っているという相談だった。布美枝の反対を押し切って、茂は金を渡してしまった。『悪魔くん』が順調だと信じている茂は、すぐに埋め合わせができると考えているのだ。

 数日後、出版社の戌井(梶原善)が落ち込んだ表情で村井家を訪ねてきた。5冊出版予定だった『悪魔くん』を3冊で打ち切りにして欲しいと言う。1作目が売れ行き不振で、6割近くが返品される見込みとなった。この調子で本を出し続けると、赤字が膨らみ会社も倒産するおそれがあるのだ。

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NHK『ゲゲゲの女房』第67回

 「マシンは僕だ、僕がマシンだ。男の命を燃やすんだ。」などとマシン・ハヤブサの歌(唄: 水木一郎)を口ずさみつつ、小惑星探査機・はやぶさのニュースを見ていた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第67回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 『悪魔くん』の1巻が出版され、茂(向井理)は2巻を執筆中である。しかし、生活は相変わらず苦しいままであり、布美枝(松下奈緒)は魚屋や八百屋からもらってきた半端もので家計をやりくりしている。ボヤく布美枝には耳も貸さず、茂は次々に新しい戦艦プラモデルを買ってきては作成に没頭している。旧日本海軍の連合艦隊の全船舶を揃えるまで作り続けるつもりになっている。

 はるこ(南明奈)が浦木(杉浦太陽)を調布の喫茶店に呼び出した。浦木は自分に気があるのではないかと早とちりするのだが、はるこは以前に撮影した写真を欲しがったのみだった。逆境にも負けない茂にあやかるために、一緒に写っている写真をお守りにしたいというのだ。茂の話ばかり聞かされるので不満な浦木。他の写真を茂に渡す気はなかったのだが、はるこに笑顔で頼まれ、浦木は渋々ながら届けに行くことにした。

 茂が留守にしていたこともあり、布美枝は浦木にプラモデル道楽のことを相談する。浦木によれば、茂は幼い頃から一銭の得にもならないようなものを収集する癖があったという。
 そんな話をしていると、また新しいプラモデルを持った茂が帰って来た。浦木は布美枝の味方をして、茂の無駄遣いをはっきりと注意してくれた。しかし、そもそもが金に意地汚い浦木の言う事なので、茂は真剣に聞こうとはしないのだった。また、自信作の『悪魔くん』がうまく行きかけていることも、茂の気を大きくしていたのだ。

 しかし、浦木は『悪魔くん』のような暗く、そして、貧乏の怨念が詰まったような漫画が大きく売れるはずもないと指摘する。今はテレビアニメの時代であり、茂は時代遅れだと評するのだった。侮辱されて頭に来た茂は、浦木を家から叩き出してしまった。布美枝は一応の礼儀として浦木を見送った。その後、仕事場を覗いてみると、茂は早速プラモデルに没頭していた。その姿を見て不安を募らせるのであった。

 布美枝がこみち書房に顔を出すと、『悪魔くん』を読んだ太一(鈴木裕樹)が傑作だと褒めてくれた。しかし、布美枝はどこか元気のない表情をしていて、美智子(松坂慶子)らを心配させるのだった。

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