『鬼龍院花子の生涯』を観た

夏目雅子って『西遊記』くらいしか観たことなかったな、と思って。昭和の伝説の美人女優みたいな位置づけっぽいし、一度ちゃんと観てみようと思って。

観はじめて1分でびっくりしたことは、夏目雅子は鬼龍院花子役ではなかったってこと。
しかも、冒頭でチラリと出てきただけで、最初の1時間くらいは夏目雅子抜きで映画は進んでいく。ちょっと落ち着かなくなるよね。
落ち着かなくなるんだけれど、夏目雅子の子供時代を演じているのが仙道敦子でこれまたビックリ。少女時代から美人でしたねぇ。

で、夏目雅子および仙道敦子がなんの役かというと、鬼龍院花子と血の繋がらない姉・松恵でした。
続きを読む

『カサブランカ』を観た

かの有名な「君の瞳に乾杯」というセリフはどういうシチュエーションでどんな風にしゃべるのか知りたくて。

結論を言うと、3回くらい出てきた。わりとカジュアルな感じだった。
映画を見る前は映画のクライマックスで重厚な決めゼリフとして出てくるのかと思っていたので、そういう意味ではちょっと裏切られた。
しかし、愛し合うふたりだけが共有する符丁としての意味は十分にあった。
なお、物語の中で同じ符丁として「時の過ぎゆくままに (As time goes by)」という曲も出てくるけれど、それは第三者も知ってる符丁であった。そういう意味で「君の瞳に乾杯」というセリフは、本当にふたりだけしかしらない言葉で、大事な意味があるという位置づけだった。
続きを読む

『フルメタル・ジャケット』を観た

サー、観ました、サー。

サー、鬼軍曹が新兵いびりをする映画だという知識しか持たずに観ました、サー。
サー、有名なシーンだけれどどこかでチラッと出てくるだけだと思っていました、サー。サー、しかし、冒頭でいきなり出てきて驚きました、サー。
サー、もう一つ知っていたのは隊列を組んで歌いながらジョギングするシーンです、サー。サー、ファミコンウォーズのCMでパロディされてるあのシーンです、サー。サー、そのシーンは3シーン目で驚きました、サー。
サー、開始5分で観たかったところは全て見たような気になりました、サー。
続きを読む

『麗しのサブリナ』を観た

サブリナパンツってのがあるっていうじゃない。ふくらはぎ丈のほっそりとした女性用ズボン。
基本的にフェミニンな女性ファッションを見るのが好きだし、ロングヘアーもしくはポニーテールの女の子が大好きな当方なのだけれど。ところが、ショートカットにサブリナパンツのちょっとボーイッシュな感じの女子は、それはそれで好きだったり。

というわけで、一度『麗しのサブリナ』を観てみたいと思っていたわけですよ。サブリナパンツって名称もこの映画から来てるって言うじゃない。宣材写真を見る限り、ショートカットで目がくりくりしたオードリー・ヘップバーンも激烈に可愛いし。
そんなわけで、観てみたわけです。
続きを読む

『地獄の黙示録』を観た

小学校低学年の頃、プレイボーイのロゴのついた軍用ヘリコプターの写真を見た。蝶ネクタイをつけたウサギのアレ。そのロゴがプレイボーイのものであり、プレイボーイがどういう雑誌なのかということはずっと後になってから知ったのだけれど。
後というのはどれくらい後かというと、大学生くらいだったかと。一人暮らしで自分用のパソコンを入手し、インターネットプロバイダの Bekkoame と契約し(当時、使い放題で1万円/月は破格の安さだった)、テレホーダイ(深夜の電話代が定額料金になるサービス。2000-3000円くらいだっけ?)を使って夜な夜なウェッブサーフィン(死語)していた頃だと思う。Playboyのサイトにアクセスしたら、金髪美人のエロ写真が見放題だという噂を聞きつけて画像のダウンロードをしようとしてた頃ですね。結局、当時は回線が細くて、30分待ってやっと顔と胸が見えるか見えないかくらいしかいかなくて、ふて寝したんだけど。

それはさておき、プレイボーイロゴのヘリコプターは何年もずっと気になってて。その写真には、『地獄の黙示録』という映画のタイトルも書かれていたのを覚えていた。戦争映画らしいということはおぼろげに理解していた。「地獄」というおどろおどしいタイトルの戦争映画なのに、プレイボーイのヘリコプターなわけで、僕にはどういう映画なのかよくわからなかった。
よくわからなかったので40年近くそのままにしておいたんだけれど、一方で40年の記憶のしこりにそろそろケリをつけるべき時期だろうと思って。
そんなわけで、観てみたわけです。
続きを読む

『戦場のメリークリスマス』を観た

一生に一度は観ておかないといけない映画だと思って。
デビット・ボウイにも坂本龍一にもトム・コンティにも北野武にもそれほど興味があるわけではないけれど。事前には、男色っぽい話だという噂を信じていて、それにもあまり興味はなかったんだけれど。

監督の大島渚にはちょっと興味があって、なぜなら恩師にちょっと風貌が似ていたり、野坂昭如とマイクで殴り合ったりしたりしたから(このセンテンス、全員死んでるな)。あと、みうらじゅんらがやってたバンドの名称が大島渚だったりするので、なんとなく親近感あるし。
続きを読む

『パルプ・フィクション』を観た

連休だし、Chromecast with Google TVも買ったし、ということで何か名作映画でも観ようかと。

『パルプ・フィクション』はタイトルとジャケット写真だけ知ってるみたいな状態で。写っている女性がユマ・サーマンであることもよく知らなかったし、ていうかユマ・サーマン自体よく知らなくて。『キル・ビル』はずっと前に観たはずだけれど、栗山千明様くらいしか覚えてなくて(あと、布袋寅泰のテーマ曲)。本作のジャケット写真と『キル・ビル』の主人公が同じ俳優だとはいまいちわかってなかった。どちらも監督がクエンティン・タランティーノであり、彼が本作で名を挙げたらしいということまではかろうじて知っていたけれど。
続きを読む

映画『私をくいとめて』を見た

去年の1月5日、僕は橋本愛さんの夢を見た。それからというもの、橋本愛さんのことが気になって仕方がない。
一方、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』に激ハマりし、当ブログでまとめ記事を完走して以来、のん(a.k.a 能年玲奈)ちゃんさんのことも大好物である。

この2人が『あまちゃん』以来となる共演で親友役を演じたという話を聞いて、映画『私をくいとめて』を見てきた。映画自体には特に期待していなかったのだけれど、とにかくこの2人が同じ画面に収まるところを見たかった。近所では上映されていなくて、大阪市内まで出かけなければ見ることができなかった。しかも、一番行きやすい難波の映画館では1日1回しか上映されていなかった。
新型コロナウィルスの感染拡大が留まるところを知らず、こんな時に大阪まで行くのもどうかなぁとは思ったものの、とにかくのん&橋本愛を見るために大阪まで行く私を食い止めることはできなかった。緊急事態宣言が発出され、外出が原則すべて禁止になったとしても、きっと僕は大阪まで見に行ったことだろう。とはいえ、緊急事態宣言下では映画館も休業すると思うケド。
続きを読む

NHK『おちょやん』第15回

昨日はマクラを書き忘れた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第15回めの放送を見ましたよ。

* * *
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

待ち合わせ場所に佇むシズ(篠原涼子)の所へやっと延四郎(片岡松十郎)が現れた。延四郎はシズが来ないものと思っており、彼にとっては嬉しい驚きだった。

シズは、20年前に自分が待ち合わせ場所に行かなかったことを恨んでいるか尋ねた。延四郎は全く恨んでおらず、むしろホッとしたと答えた。当時、延四郎は別れ話をするつもりでいたので、むしろ助かったと言うのだ。シズにはそれが延四郎の優しい嘘だとすぐに指摘した。昔から、延四郎は舞台以外では芝居が下手だと言ってからかった。
シズは、延四郎と別れて女将となったことを少しも後悔していないし、今の自分があるのも修行時代に延四郎の支えがあったからだと述べて感謝した。

こうしてシズと延四郎は禍根を残すことなく別れた。

その日、岡安は大きな団体客の応対をせねばならなかったが、シズ不在のままでうまくやり遂げた。
その最中、女優・高城百合子(井川遥)が岡安を尋ねた。彼女は映画女優に転向するため、奇しくも同じ日に道頓堀を去る。転向が嫌で逃げた時、岡安と千代(杉咲花)に匿ってもらった礼を言いに現れたのだ。皆は忙しくたち振る舞っており、千代に会うことは叶わなかった。百合子は、先代女将・ハナ(宮田圭子)にだけ挨拶をして街を去った。

シズが帰宅すると、千代に礼を述べた。千代がシズの背中を押してくれたから悔いを残さずに延四郎と別れることができると感謝した。

それから1ヶ月後の12月28日、延四郎が亡くなったとの報せがあった。彼は重い病であることを隠して舞台に立ち続け、それが引退の理由であったのだ。
舞台以外では芝居が下手な延四郎にすっかり騙されたと言って、シズは一人密かに泣くのだった。

そして年が明けて大正14年(1925年)になった。
千代の奉公の年季が明けた。千代は、自ら願い出て岡安で働き続けることになった。

朝、まだ岡安が動き出す前、激しく戸を叩く者がいた。
千代が出てみると、それは父・テルヲ(トータス松本)だった。

* * *

続きを読む

NHK『おちょやん』第14回

当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おちょやん』の第14回めの放送を見ましたよ。

* * *
第3週『うちのやりたいことて、なんやろ』

千代(杉咲花)は歌舞伎役者・早川延四郎(片岡松十郎)から、女将・シズ(篠原涼子)へ手紙を届けるよう頼まれた。ふたりの仲が道頓堀で悪い噂になり、岡安の商売に影響が出ている。当初、千代はきっぱりと断った。延四郎も諦めざるを得なかった。
しかし、延四郎としばらく話しているうちに情が移ってしまった千代は考えを改め、自ら手紙を引き受けた。

千代は手紙を差し出したが、シズは頑として受け取ろうとしなかった。押し問答の末、シズは手紙を受け取らない理由を説明した。
若い頃のシズは女将修行がうまくいかず、跡継ぎを諦めようとしていた。そんな時、延四郎に「どんくさい子が一生懸命努力し、一人前になっていく姿を見ていると自分の励みにもなる」と言って応援されたという。彼の励ましがなければ、今の自分はなかったと思うほどの恩人である。そのような人物の手紙を読めば会いたくなるに違いない。会いに行けば、岡安も家族も破綻してしまう。だから会いに行かないし、手紙も読まないと述べた。

シズは話を切り上げるため、千代の年季明けの身の振り方に水を向けた。自分の将来すら考えていない千代が、他人の心配などする筋合いはないと叱った。
ぐうの音も出なくなった千代は、ヤケになって手紙をシズの机に置いて立ち去った。物陰から盗み見すると、シズは即座にその手紙を破り捨ててしまった。

いよいよ、延四郎の引退公演の千秋楽の日を迎えた。
その日は別の理由で岡安も大忙しだった。翌日に重要な団体客を迎え入れる準備があったのだ。いつもはのんびりしている夫・宗助(名倉潤)ですら仕事に集中しなければならなかった。娘・みつえ(東野絢香)の舞の稽古にはいつも宗助が付き添っていたが、それもできず、千代が付き添うことになった。

みつえは母の跡を継ぐことを心に決めている。加えて、父から甘やかされたお嬢様育ちであるため勝ち気である。同い年の千代にもきつく当たる。
みつえの気性の激しさは、外の人間にも同様である。ライバル茶屋・福富の一人息子であり幼馴染でもある福助(井上拓哉)の姿を見つけるや否や、シズの悪評を流したことで食ってかかった。また、彼が跡継ぎ修行をせずに下手くそなトランペットで生計を立てようとしていることをバカにした。

福助は、家業の跡継ぎをしたくないのには理由があると話しはじめた。道頓堀での芝居興行は減少傾向にあるという。以前は一日中芝居が行われていたが、今では昼と夜の2回しかない。客の性質も変わり、芝居だけを見て、茶屋に寄らずにサッと帰る人が増えているという。実際、この10年間で多くの芝居茶屋が廃業した。福助から見れば、芝居茶屋に将来性はないのだ。
一方のみつえは、岡安を引き継いでもり立てることを夢見ており、福助の話は気に入らなかった。怒って、福助のトランペットを川に投げ捨てた。
千代にとっては、初めて聞く話で少なからず驚いた。

みつえの稽古の送迎を終えて戻ると、団体客対応の大詰めで岡安はさらに騒がしかった。店の要であるシズはてんてこ舞いである。

そんな中、千代はシズに向かって、団体客のことは自分たちに任せて延四郎に会いに行ってほしいと言い出した。それは、団体客の対応を全て放棄するのと同じことだった。
千代は自分の身の振り方に関してシズから言われた言葉を引用した。曰く、自分がどうしたいかよく考え、それに従って行動しなければ後悔するというものである。千代は、その言葉は千代に向けたのと同時に、シズが自分自身に向けた言葉ではないかと指摘した。会いに行かないことで、シズに後悔してほしくないと言うのである。

千代は、芝居茶屋の将来が暗いという話を聞いて考えたと話した。確かに自分は芝居が好きだし、岡安のことも好きである。だからここにいたい。
しかし、それよりも自分がもっとも優先したいことは、シズに恩返しすることだと述べた。実家が夜逃げして、自分には行き先がなくなった。そんな時に助けてくれたのはシズである。シズがいなければ、今の自分はいなかったに違いない。
自分にとってシズが恩人であることを思えば、シズにとっての恩人である延四郎のことをどう思うかは容易に想像できる。会いに行かなければどれほどの後悔をするかわかると述べた。

話を聞いていた女中連中も千代に同意した。先代女将・ハナ(宮田圭子)も承諾した。夫・宗助は、妻が昔の男に会いに行くなど承知し難かったが、それでは格好がつかないので平静を装って承諾した。

こうして翌朝、シズは延四郎との待ち合わせ場所へ向かった。

その頃、延四郎は興行主の大山鶴蔵(中村雁治郎)と別れの挨拶をしていた。延四郎が妙に早く出発するので訝しく思う大山であったが、気持ちよく送り出そうとした。

その矢先、延四郎が突然倒れた。

* * *

続きを読む