NHK『あまちゃん』第20回

うちのテレビは午前中に陽の光がモロにあたる場所に設置してあり、画面が見にくいのでいつも雨戸シャッターを閉めているのだが、そのせいか4月も末になろうというのに部屋が暖まらなくて震えたり、コタツをつけたりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第20回目の放送を見ましたよ。

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第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

海女修行中のアキ(能年玲奈)はまだ1個もウニを穫れない。深く潜ると、潮に流されて溺れかけた時(第14回)の記憶が蘇り、恐ろしくなってしまうのだ。暗く沈み込んでおり、海女くらぶでのおしゃべりにも参加せず、そそくさと家に帰るようになった。

落ち込んで眠れない夜は、少女時代の春子の部屋に忍び込んで気を紛らわせた。その部屋は2階の隠し部屋で、高校3年生の春子(有村架純)が家出をした時のまま残されていた(第17回)。今夜は、ヘッドホンをつけてラジカセのテープを再生してみた。1983年12月5日に放送されたテレビの歌番組を録音したものだ。当時はビデオデッキが普及しておらず、少年少女たちはテレビの前にラジカセをおいて、音声を録音していたのだ。夏(宮本信子)がのんきに話しかける声なども一緒に録音されていた。アキはYMOの『君に、胸キュン。』(YouTubeで見る)を楽しんで聞いた。

異変に気づいた春子(小泉今日子)が隠し部屋の扉を開いた。ヘッドホンをしているアキはそれに気づかない。春子はそっと扉を閉め、気づかなかったことにして、アキを放っておいた。
観光協会のウェブ担当として、ヒロシ(小池徹平)は地元の人々のインタビューを集めることになった。はじめにアキを取材した。もちろん、ヒロシが彼女に密かに思いを寄せているからだ。

しかし、ウニを穫れない半人前の海女であることを気に病んでいるアキは、それに応じようとしなかった。逆に、ヒロシに対して仕事をすることの魅力について尋ねた。ヒロシは特に仕事が楽しいわけではないと答えた。父・功(平泉成)に世間体が悪いと怒鳴られたので仕事をしているだけだと言うのだ。その見解に、アキは反論した。功がヒロシに厳しいのは、本気でヒロシを心配しているからに違いないと思うからだ。子供のことをかわいく思わない親などいない、というのがアキの意見だった。

ヒロシのことを話しているはずなのに、アキはなぜだか自分の気が晴れた。インタビューに応じる気分になった。北三陸の魅力を自らアピールしたいと言うのだ。アキはカメラに向かって、ここには北限の海女がいること、自分は高校生海女であるがまだ1個もウニが穫れないことなどを話した。

その日の夜、ヒロシは早速ビデオの編集作業を開始した。アキの姿を見ているうちに感極まってしまった。春子が店番をするスナック喫茶・リアスに飛び込んだ。大向(東出昌大)や弥生(渡辺えり)、小田(塩見三省)など他人がいるにもかかわらず、ヒロシは春子に向かってアキが好きだと告げた。本人に告白する前に、春子に探り入れ、許可を得ようとしたのだ。

しかし、春子はヒロシがアキと交際することを茶化しながらもきっぱり断った。ヒロシは何やっても長続きせず、地に足がついていない。それではアキを幸せにできないからだという。居合わせた人々もその理由に同意し、ヒロシは孤立無援だった。アキに告白するのは控えるが、彼女のことを最初に好きになったのは自分だと宣言し、叫びながら店を出て行った。

次の週末、またしても大勢のオタクたちが北三陸市にやってきた。ただし、先週とちょっと違う点があった。北三陸市駅の手前の袖ヶ浜駅でも大量の男たちが下車したのだ。彼らは一目散に浜へ向かった。

それというのも、北三陸市観光協会のホームページにアキのインタビュービデオが掲載されたことが話題を呼んだのだ。

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NHK『あまちゃん』第19回

宮﨑あおいの右手の薬指の付け根辺りにはホクロがあることがわかったので、『純情きらり』のピアノ演奏シーンではそこに注目して吹き替えかどうか見るくせの付いてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第19回目の放送を見ましたよ。

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第4週「おら、ウニが獲りてぇ」

北三陸市観光協会ホームページに掲載されたユイ(橋本愛)の動画が話題を読んだ。2008年9月20日(土)、それを見たオタクたちが全国から大挙してやって来た。集計したところ、その日だけでいつもの約30倍にもあたる2300人がやって来たのだ。

町の人々は対応に追われた。喫茶リアスは人で溢れかえった。副駅長の吉田(荒川良々)がウニ丼の注文を断らずに全て受けてしまった。春子(小泉今日子)は夏(宮本信子)にウニ丼の追加を頼んだが、到底捌ききれなかった。

街にも人があふれた。しかし、これだけの大人数に慣れていない地元商店街は混乱した。恐れをなして営業を中止する店が続出した。本来はこのチャンスを率先して活かすべき、商工会議所長の今野(菅原大吉)ですら怖気づくほどだ。

家でゆっくり寝ていたユイは、兄・ヒロシ(小池徹平)からの電話で叩き起こされた。すぐに北三陸鉄道に乗るよう要請された。彼女は北三陸駅に到着すると、すぐに1日車掌の衣装に着替え、オタクたちに対応した。写真撮影や列車の見送りなど、愛想よく振舞った。

日が暮れて、やっとオタクたちは帰っていった。喫茶リアスに関係者たちが集まって反省会が開かれた。観光協会の試算によれば、その日の経済効果は1000万円に登り、効果は絶大だった。しかし、ほとんどの者は疲れきってしまい、もうやりたくないと言い出す始末だった。そんな中、駅長の大向(杉本哲太)だけは燃えていた。翌日曜日にも大勢の人が来ることが予想されるので、今日以上に準備をしておくようにと各方面に発破をかけた。

そんな中、肝心のユイは用事があって参加できないという。盛岡に行ってダンスのレッスン予約が入っており、の新曲を買ったり、雑貨屋めぐりもするつもりだったと言うのだ。それを聞いた大向は恥を捨てて土下座した。夏はいい大人が女子高生に見せる態度ではないなどと冷ややかに言うが、大向はなりふり構わなかった。その態度にユイは断りきれなくなり、翌日も北三陸のイベントに参加した。

アキ(能年玲奈)はユイの活躍に感心した。けれども、ユイは内心では白けており、その気持をアキに打ち明けた。自分がしていることは単に列車に乗っている姿を撮影され、握手しているだけだ。田舎の女子高生がちやほやされているに過ぎず、こんな姿は本当のアイドルではないと冷ややかに考えているのだ。

けれども、ユイは手を抜いたりはしない。嫌な顔一つせず、客をもてなした。彼らは皆、ユイに会えたことを喜び、満面の笑顔で帰っていった。

自分の役割を完璧にこなすユイの姿はアキに感銘を与えた。舞い上がる大人たちの中で冷静に自分を見失わないユイを手本に、自分も頑張ろうと勇気が湧いてきた。翌日、アキは張り切って海に向かった。潮に流されて溺れかけ、謹慎処分を受けて以来初めての素潜りだ。張り切って海へ向かった。

ただし、あれだけの騒ぎの中、袖が浜の海女漁は結局いつもと変わらずに閑散としていた。

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NHK『あまちゃん』第18回

アニメ『勇者ライディーン』の主人公・ひびき洸の父の名が「ひびき一郎」であることを知った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第18回目の放送を見ましたよ。

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第3週「おら、友だちができた!」

9月14日、北三陸秋祭りが開催された。同時に行われたミス北鉄コンテストでは、ユイ(橋本愛)があっけなく初代グランプリに選出された。

その様子を見ていた春子(小泉今日子)は、アキ(能年玲奈)を奮起させようとした。ユイのようにアキも頑張れと言うのだった。せっかく海女になるため東京を捨てて来たのに、潜れないままでは意味が無い。夏(宮本信子)と早く和解しろと助言した。春子と夏がそうだったように、ギクシャクした関係は時間が経てば経つほど修復が難しいというのだ。

もちろん、アキの心境も変化していた。ユイは同い年で大の親友ではあるが、自分とは持っているものがまるっきり違うと思った。しかし、アキにはそれが少しも厭味ではなかった。地元のアイドルになった輝かしいユイを見て、まるで自分の事のように嬉しかった。その様子を見て、アキは勇気がもらえた。

袖ヶ浜の海女漁は9月いっぱいで終了である。祭りが終わるとシーズンも終盤である。水温はぐっと探すし、観光客もほとんど来なくなる。そのせいで海女たちはふさぎ込み、弱音ばかり吐くようになってしまう。

仕事を終えた海女たちが漁協に戻ってくると、絣半纏を身につけたアキが待ち構えていた。もう一度海女をやらせて欲しいと夏に懇願した。しかし、夏は頑なに拒んだ。アキは海がどんなに危険な場所かわかっておらず、油断しているから潜らせる訳にはいかないというのだ。そして、アキのことは一人の海女である前に、自分の大事な孫だから死なせるわけにはいかないと言うのだった。

そのやり取りを聞いていたかつ枝(木野花)が口を挟んだ。かつ枝は、夏が自分に気を使っているのではないかと思ったのだ。というのも、かつ枝は海難事故で息子・克也(小林優斗)を16年前に亡くしていたのだ。地引き網漁師だった克也は、シケや嵐でも気にせず海に行くような男だった。そんな彼がなんでもないような日に海で死んだ。よその子が海に落としたビーチサンダルを拾うために海に入って命を落としたのだ。それでもかつ枝は、自分に遠慮はして欲しくないと言うのだ。

夏はアキを叱った。ウニ1個はたったの500円だ。アキはその500円のために溺れて、あやうく命を落とすところだった。海が簡単に人の命を奪うことを分かっていない。それに加えて、生き残された人々のつらい思いを理解していないと指摘した。

夏はアキにあらためて条件を課した。先輩の命令を聞くこと、絶対に入江の外に出ないこと、そして、今シーズンの終わりまでに1個でもウニを獲ること。それができれば海女として認めるというのだ。こうして、アキの復帰が認められた。本人だけでなく、海女たちも盛り上がった。シーズン終盤の暗い雰囲気が払拭された。

その頃、北三陸市観光協会にカメラ小僧のヒビキ一郎(村杉蝉之介)が怒鳴りこんできた。ホームページに掲載されているユイの写真が魅力的ではないとクレームを付けた。一郎が撮影した写真に差し替えろと要求した。埒が明かないと思った一郎は、菅原(吹越満)とヒロシ(小池徹平)を押しのけて、勝手に事務所のパソコンを操作してホームページを作り替えてしまった。

後日、一郎の掲載したビデオクリップを見た男たちが大勢列車に乗ってやって来た。

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NHK『あまちゃん』第17回

今日のまいにちにゃんこ(日めくりカレンダー)のモデルは愛猫あるにゃんだし(webサイト掲載)、来年のモデル募集広告にもあるにゃんが載っていたりして、いろいろゴキゲンな当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第17回目の放送を見ましたよ。
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第3週「おら、友だちができた!」

ある日の放課後、アキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)は袖が浜駅にいた。ユイの家はさらに先の畑野駅にあるのだが、アキの下車駅である袖が浜でユイも一度降りて、無人のホームでおしゃべりをしていた。

アキは、どうしてユイが東京に憧れているのかわからなかった。ネット通販が普及した現代では、全国どこにいても東京と同じ物が手に入る。むしろ北三陸市には、東京にはない大自然や美味しい食べ物がある。自分は東京が嫌いである。なぜ東京に行く必要があるのか。その疑問をユイにぶつけた。

ユイは、アキが田舎をバカにしているように思えた。不機嫌な感情を隠そうともしなかった。観光客が北三陸の風物をありがたがるのはよいが、地元民がそれを愛するのは卑屈な負け惜しみだと言うのだ。ユイは都会のビルや地下鉄、ネットカフェを一度も見たことがない。だから自分の目でそれを見てみたいし、それらが溢れている東京が好きなのだと話した。

そこまで言うと、ユイはスッキリして機嫌を直した。そして、自分には夢があるのだと話し始めた。アキに他言しないことを約束させ、自分の秘密を打ち明けた。ユイは東京に行ってアイドルになりたいのだという。すでにユイと同じような大勢の地方出身者が東京でチャンスを掴みかけている。中にはユイよりも若い者もおり、ユイは焦り始めているのだ。

アキは唖然として言葉が出なかった。あまりに現実離れした夢を聞かされ、ユイはバカなのだと内心思った。しかし、どうやらユイは本気のようだった。東京方面の線路に向かって、「アイドルになりたい!」と大声で叫んだ。すると、それまで見せたことのない晴れ晴れとした表情を浮かべた。

アキはユイの決意を知った。ユイは客観的に見てもかわいいし、本人もそのことを自覚している。そして、アイドルになるという将来に対して何の迷いも持っていない。その様子を見て、アキはユイをかっこいいと思った。

しばらくして、ミス北鉄コンテストの最終候補者5人が発表された。事前投票で、ユイと観光協会職員・栗原しおり(安藤玉恵)、他3名が残った。ヒロシ(小池徹平)はアキに投票したのだが、彼女は選から漏れた。

そのヒロシは、観光協会での職を新たに得た。ヒロシはパソコンが得意であるということを聞きつけた大向(杉本哲太)が、ウェブ担当の仕事を斡旋したのだ。おかげで、観光協会長・菅原(吹越満)が半年間放置していた街のホームページがあっという間に完成した。ミス北鉄コンテストの決選ウェブ投票システムもできあがった。

当初、ユイはミス北鉄コンテストを辞退するつもりだった。自分が東京でアイドルデビューした後、鉄道オタク向けの田舎のミスコンで優勝したなどという過去を暴かれては困ると思ったからだ。けれども、ヒロシが観光協会で働き始めた義理があるので、断りにくくなったのだという。ユイが辞退したことの責任をとってヒロシが仕事を辞めることになると、また家の中が荒れて、ユイは東京に行きづらくなってしまう。そのような事情から、ミスコンに出場するのだという。

ユイは、出場するからにはグランプリを狙うと決意表明した。そんなユイの姿に、アキはますます惚れ込んだ。ユイは自分の夢を実現するため、目的意識を持って着実に準備を進めている。一方で、自分自身の劣等感も強まった。自分には華も存在感もなく、ユイと比較して明らかに容姿が劣っている。海女になるはずだったのに未だ1つもウニを獲ったことがない。それどころか、夏(宮本信子)の言いつけを守らなかったことで、素潜りを禁止されてしまった。無為に時間ばかりが過ぎていくのだ。

焦りのせいか、アキは最近よく眠れない。ある晩、夜中に家の中を探ってみた。夏の家の2階に上がったことがなかったので、見に行って見ることにした。古い漁師の家は独特の作りになっていて、構造のわかりにくい入り組んだ廊下になっている。普段使われていないので、物置代わりにされており、雑然としていた。

薄暗い中、壁を手探りで進んでいくと、隠し扉が突然開いた。入ってみると、そこはどうやら娘時代の春子が使っていた部屋らしく、全てが当時(1984年)のまま残されていた。当時のアイドルのポスターやよくわからない雑貨、ペシャンコに潰され「暴走天使 天野春子参上」などと書かれた通学カバンまであった。

アキは見てはいけないものを見てしまった気がした。その時、スナック営業を終えた春子(小泉今日子)の帰宅する物音が聞こえた。アキは慌てて部屋を飛び出して寝室に戻った。

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NHK『あまちゃん』第16回

Googleドライブのスプレッドシートで「あまちゃんヒストリー」という年表を作り始めた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第16回目の放送を見ましたよ。

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第3週「おら、友だちができた!」

ミス北鉄コンテストの募集が始まった。主催の北三陸鉄道では、応募券付きの記念乗車券が発売された。それを使えば、自薦他薦を問わず、一人で何回でも応募できる仕組みだ。早速、大向(杉本哲太)は春子(小泉今日子)の名前を書いて応募した。応募資格は40歳以下に限定されており、春子は42歳であったが、もちろんそんなことは無視した。

駅でコンテストの告知と投票箱を見たユイ(橋本愛)は、「ださっ」と一言吐き捨てるだけだった。

そんなユイは、アキ(能年玲奈)を自宅に招いた。ユイの父・功(平泉成)がアキに会いたがっていると言うのだ。それというのも、功は元・北三陸高校の教師で、春子の担任だったからだ。

ユイの家は、北三陸駅から列車で1時間ほど南下した畑野駅にあった。その辺りはアキの住む袖が浜よりも田舎だった。周囲の長閑さとは対照的に、ユイの家は広大な敷地に建つ豪邸だった。功は高校教師を引退後、政治家になり地元の名士である。ユイの母・よしえ(八木亜希子)は仙台出身で、短大卒業後は岩手のテレビ局のアナウンサーになったという。仕事を通じて功に見初められ、結婚したという。

ユイは自分の家があまり好きそうではなかった。早く東京に行きたいとアキに話すのだった。兄・ヒロシ(小池徹平)が東京に就職したので、それを頼りに上京するはずだったのに、彼は2ヶ月あまりで帰ってきてしまったことを嘆いた。ヒロシは負け犬だと吐き捨てた。

アキは功と対面した。功に言わせれば、アキは春子に似ていないという。高校時代の春子はとてもかわいかったという。誰でも知っている評判の娘で、学校祭の時には他校の生徒が大挙して押し寄せ、整理券を配るほどだったという。一方で春子はツッパリだったので、功はずいぶんを手を焼いたと話した。ただし、彼の口調に嫌悪感はなく、昔の春子を愛おしく思い出す様子であった。功は春子の卒業写真を探したが見つからなかったという。それというのも、春子は高校を中退して東京へ家出したからだ。ユイは春子の生き方をかっこいいと言って憧れた。

ユイの母・よしえの料理は、まるで高級レストランで供されるもののように豪華で盛り付けも凝っていて、アキは驚くばかりだった。楽しく食事をしていると、ヒロシが帰ってきた。その瞬間、家の雰囲気がガラリと変わった。

ヒロシは誰とも口を聞かずに、食卓から離れた場所に座って一人で缶ビールを飲み始めた。功はアキの目の前だというのに、ヒロシのことを罵りだした。大学まで出してやったのに2カ月余りで東京の仕事を辞めて帰ってきてしまった、それからは仕事もせずにブラブラしている、世間体が悪いから家から出るな、などと言うのだ。

アキはヒロシの弁護を試みた。ヒロシが漁協の監視員をやっており、自分が溺れた時にサイレンを鳴らして助けてくれたこと(第5回)を話した。しかし、それが火に油を注ぐことになってしまった。ヒロシはその仕事すらすでに辞めてしまったことを白状した。功の方も、ヒロシが北三陸で仕事に就いたことすら初耳だった。ヒロシはそもそもまともな仕事のできるような人間ではないのだから、初めから東京などには行かず、地元で就職していればよかったなどと罵り、張り手を食らわした。

アキは、場を収めるはずの自分の一言が逆効果だったことを後悔した。功の剣幕に恐れおののき、身をすくめることしかできなくなった。隣のユイを盗み見ると、彼女は平常心で食事を進めている。アキは混乱し、食欲を失った。

帰りの列車の中で、アキはその日のことを一人で振り返った。たとえ田舎であっても大らかではない人はいるものであり、ギスギスした家庭もあるのだと思い知った。

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NHK『あまちゃん』第15回

観光協会の職員・栗原しおり役の安藤玉恵という女優さんについては、ドラマ『深夜食堂』でストリッパーのマリリン役をやっていたのでかろうじて知っていたのだけれど、映画『探偵はBARにいる』において喫茶店の妙にエロいウェイトレスを演じていたことには気づいていなくて驚いたし(‘ j ’)/、20代後半くらいの年齢だと思っていたのに1976年生まれだと知って(もう10歳くらい若いと思っていた)さらに驚いた(‘ jj ’)/当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第15回目の放送を見ましたよ。

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第3週「おら、友だちができた!」

アキ(能年玲奈)は言いつけを破って漁に出たことで溺れかけた。そのことが夏(宮本信子)の逆鱗に触れ、海女を辞めさせられてしまった。それからというもの、夏はアキに対してよそよそしくなった。仲裁に入った春子(小泉今日子)も夏と大げんかを繰り広げ、ふたりの関係も険悪になった。

毎月第1日曜日は観光協会に人々が集まり、まち興し会議が行われる。中心となっているのは北三陸駅長・大向(杉本哲太)だ。大向の報告によれば、北三陸市の人口、観光客数、観光収入はいずれも年毎に減少の一途をたどっている。その中で、鉄道利用者数だけはかろうじて横ばいを維持している。ただし、限定グッズの販売やイベント開催に投資しているにもかかわらず、それに見合うだけ利用者数が増えないので赤字が続いている。なんとか観光客を増やしたいというのが彼の意見だ。

9月に行われる北三陸秋祭りを宣伝するというアイディアが出た。しかし、肝心の観光協会長・菅原(吹越満)は反対した。彼は、秋祭りは地元の人々のためのものであり、部外者が参加することは望ましくないと言うのだ。その意見に夏は反対した。そのような閉鎖的な考え方が観光業に打撃を与えるというのだ。来る者は拒まず、サービス精神を発揮して観光客を誘致しようと主張した。

みんなも夏の意見に賛成した。そこで、北三陸の新たな名物を考えることにした。これまで、世界最北端の「海女」と、風光明媚な「北三陸鉄道」が観光の2大目玉だった。それに続く第3の名物を考案し、売り出す方針に決まった。

しかし、これといった名物が見つからなかった。流行りのご当地グルメを売りだそうとしたのだが、決め手にかけるのだ。黒砂糖とクルミを小麦粉で包み、野菜と一緒に醤油味の出汁で提供する「まめぶ汁」が候補に上がったが、地元民ですらめったに食べるものでもなく、売りとして弱い。夏が作るウニ丼は観光客ウケが良かったが、ウニの漁獲高をこれ以上増やすことができず、大々的に売り出すにはふさわしくなかった。

観光協会職員の栗原(安藤玉恵)が鉄道オタクに目をつけた。彼らは頻繁に大勢で北三陸市へやって来て、列車や風景の写真を撮りまくっている。独特な言動や風貌だったり、駅のベンチで野宿していたりして気味が悪い。とはいえ、彼らの心をくすぐるサービスを提供できれば、良いリピーターになると予想できた。

その頃、ヒロシ(小池徹平)が喫茶リアスに顔を出した。浜に行ってみたものの、アキの姿が見えなかったので街中を探しているのだ。春子は、ヒロシがアキに惚れているらしいことを見抜いた。春子は、アキが海女をクビになったこと、そのことで落ち込んでいること、気晴らしに遊びに連れていてやって欲しいことなどを話した。そして、ヒロシにアキのことが好きなのかとズケズケと聞いた。図星であったが、ヒロシは慌てて否定した。

アキが喫茶リアスに入ってきた。春子を除いて他に誰もおらず、ふたりの恋が芽生えるかと思われた。しかし、その直後に観光協会に集まっていた人々が大挙してやって来た。会議に結論が出ず、休憩しにきたのだ。

会議の参加者たちは、春子とヒロシに若者が集まるような企画が思いつかないと愚痴を言った。それを聞いたヒロシが、何気なく話に付き合うつもりでミス・コンテストでもやるのかと発言した。それは誰も思いつかなかったアイディアだった。その場で即座に「ミス北鉄コンテスト」の開催が決まってしまった。

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NHK『あまちゃん』第14回

昨日の放送で、アキ(能年玲奈)の通学用自転車を用意した大向(杉本哲太)のセリフに「盗まれないようにちゃんと鍵かけろ」というものがあったのだが、wikipediaで調べると、杉本哲太は酔って自転車を盗んで警察沙汰になったことがあったり、『日本の自転車泥棒』という映画に主演したことがあるなどの経歴を知り、その自虐的な展開に思わずニヤニヤした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第14回目の放送を見ましたよ。

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第3週「おら、友だちができた!」
アキ(能年玲奈)は学校が終わると一目散に浜へ行き、夕方まで海女漁の練習をした。しかし、未だ一つもウニを獲ることができないでいた。観光客などは、若くてかわいらしいアキが海にも潜らないことを口に出してがっかりした。アキは残念でならなかった。

そこへ、ヒロシ(小池徹平)がやって来た。彼も同様にアキが潜らないことが期待はずれだったようだ。その様子を見て取ったアキは、ヒロシのためにウニを獲ってくると宣言して海に潜った。

1時間経ってもアキは帰ってこない。ヒロシは海女漁がいかに難しいものかと驚くのだった。しかし、弥生(渡辺えり)や美寿々(美保純)に言わせれば、単にアキは運動神経が鈍いから下手なだけだという。アキは下手なりに、若くてハンサムなヒロシのために頑張っているのだろうと軽口を叩いた。アキが自分のために努力してくれていると思うと、ヒロシはまんざらでもなかった。

結局、その日もアキはウニを獲ることができなかった。

9月になると水温が下がり、潮の流れも変わる。危険が増すため、夏(宮本信子)はアキが潜るのは4時までに制限した。学校に行く時間を確保すれば、アキは毎日1時間しか海に入れないことになる。しかも、もうすぐ海女漁のシーズンも終わる。一つもウニを獲ることができず、半人前にすらなっていないアキはひどく焦りだした。

ある日の4時近く、他の海女が観光客の対応をしている間、アキは一人で海に潜った。しかも、功を焦って入江の外に近づいた。その辺りは特に潮の流れが激しく、ベテラン海女でもめったに近づかない。その代わり、手付かずのウニがたくさんいることをアキは知っていたのだ。

案の定、アキは潮に流されてしまった。その上、太い昆布が足に絡みつき、浮上することができなくなった。異変に気づいた美須々が助けに来て、アキは間一髪助かった。最悪の事態を避けられたことに安心したアキは、ヘラヘラと笑ってばかりいた。

しかし、夏は激怒した。4時になっても潜っていたこと、一人で潜ったこと、入江に近づいたことなど、いくつもの約束を破ったからだ。海を甘く見たり、年長者の言いつけを守れない人間は海女失格だと断じた。もう二度と海には来るなと命じた。アキは何も言えなくなってしまった。

騒ぎを聞きつけてやって来た春子(小泉今日子)はアキを弁護した。せっかく袖が浜に残って海女になる決意をしたアキの唯一の楽しみを奪わないでほしいと願い出た。しかも、先日の夏は多少の危険から学ぶこともあると言ったばかりだ、それなのに今日は危険を犯すことは大罪だと言っていることは矛盾であると指摘した。言うことがコロコロ変わると、言われている方は混乱すると激しく口撃した。

もちろん、夏もそう簡単には翻意しない。春子の方こそ、以前は自分も娘も海女になどしたくないと言っていたはずだ、何を今さらアキを海女にしたいと言うのか、などと反論した。

ふたりの口論はエスカレートする一方だった。本人たちも、何をそんなに興奮しているのか、そもそもの原因は何なのかわからなくなる程だった。ふたりの様々な鬱憤が噴出しているのだ。

アキはそんなふたりを見ていて悲しくなった。せっかく24年ぶりに仲直りしかけた親子が、自分のせいで再び仲違いしかかっているからだ。

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「死にたい」とか言ってる人に言いたいこと

他の人に比べて、僕が特にそういう場面に出くわす機会が多いとは思っていない。きっと、誰しも何回かはそういうケースに出くわしたことがあるだろう。たまにいるのだ、「死にたい」と口にする人。ネット上では「タヒたい」などと表記される場合もある。

幸いなことに、僕がこれまで経験してきた中では、そう言って本当に死んだ人はいない。たいていは冗談だったり、ごく瞬間的に心が弱っているだけだったり、ため息代わりにそう発言するのが癖になっていたりするだけだったりする。

しかし、そう言われるたびにこっちはドキドキする。
もしかしたら冗談じゃないかもしれないし、もう何日も神経が参っているのかもしれないし、深刻な心境の吐露かもしれない。本当に目の前で飛び降りたり、毒を飲んだり、頸動脈を切ったりするかもしれない。そんな様子を目の当たりにしたら僕はいったいどうすりゃいいんだ、とドキドキする。目の前ではなかったとしても、後日その人の自死を聞いたりしたら、それはもう、こっちまで「タヒたい」と言うほど落ち込むだろう。

だからもう、軽々しく「死にたい」なんて言わないで欲しい。マジで。そっちは「今日は天気がいいですね」程度の軽い挨拶程度の冗談のつもりで言ってるのかもしれないけれど、こっちはそれが本気か冗談かわからないんだ。いちいち振り回されてシンドイんだ。マジで。
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NHK『あまちゃん』第13回

宮藤官九郎『え、なんでまた?』のあとがきに「2013年2月11日現在『あまちゃん』の91話を書いています。・・・(中略)・・・ほぼ1日1話ずつ書いています」とあり、それから60日強経過したわけで、1日も休まなければすでに最終話(156回)を書き終えている頃だろうなと思いつつ、さすがに休みは取るだろうから20話/月と考えれば、今は140話前後を書いてるのかなと想像する当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第13回目の放送を見ましたよ。

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第3週「おら、友だちができた!」
春子(小泉今日子)は土壇場で袖が浜に残ることにした。アキ(能年玲奈)が帰ってきたことで、夏(宮本信子)はたいそう喜んだ。

しかし、春子は不機嫌だった。なぜ夏が引き止めに来なかったのかと食ってかかった。ただし、春子が言っているのは今朝のことではなく、24年前の家出の時のことだ。その前の晩、春子(有村架純)は布団に入った夏に対して、海女になりたくないこと、東京に行きたいことを話した。夏が寝たふりをしていたことは分かっていた。だから、夏は知っていながら春子の東京行きを無視したのだ。

夏は去る者は追わずがモットーだと言って取り合わなかった。春子はますます頭にきた。残ることに決めたのはアキのためではなく、自分のためだと言う。夏を自分の方へ振り向かせることが目的だというのだ。それでも春子は素直になれない。今度自分が出て行く時は泣きながら旗を振らせてやる、などと喧嘩腰だ。

夏は、あの言葉を言えと迫った。春子は不貞腐れながらも「ただいま」と言った。夏は高笑いしながら「おかえり」と答えた。無器用ながらも、春子の24年に渡る家出が終わった。

アキは早速、海女クラブへ行って、袖が浜に残ることを報告した。海女たち(渡辺えり木野花美保純片桐はいり)も喜んでくれた。

続いてアキはユイ(橋本愛)に会って報告した。ユイは、上京した時に頼る相手がいなくなったと言って一瞬暗い顔をするが、そもそも自分の方がアキより東京に詳しいのだから問題はないと茶化した。

ユイは、アキに学校のことを尋ねた。アキは、東京での自分は暗くて、学校には友だちも恋人も、好きな人すらもいないと答えた。それを聞いたユイは、自分も仲のいい相手はいるが、友だちはいないと同調した。さらにユイは、この街が好きか嫌いかという事も考えたことがないという。どうせ街を出て上京することに決めているのだから、変に情が移らないように、目を背けているのだという。

それでも、ユイにとってアキとの付き合いは別なようだった。袖が浜に住むのなら、自分と同じ高校へ編入しろと勧めた。一緒に通学できるから良いと言うのだ。その言葉に従って、アキは北三陸高校へ編入した。

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NHK『あまちゃん』第12回

昨夜、不意に過去の自分の大失態を思い出してしまい、The 虎舞竜の『ロード』(作詞作曲・高橋ジョージ; 歌詞)をもじって、「ちょうど10年前に新幹線に乗った夜。昨日のことのように今はっきりと思い出す。週末のせいで指定席は満席さ。どこまでも続く黒いオヤジ頭が汚くて。サイドシートの君はまるでマグマのように、無表情のまま毒リンゴの魔女。ニヤニヤ話した俺を恨めしそうに睨んで、俺の言葉を繰り返し『なにそれ、信じられない・・・』と言った。何でもないような事(だと俺が思い違いしたこと)が最悪だったと思う。とんでもない夜の事、二度とは戻れない夜」などとヤケクソ気味に歌っていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第12回目の放送を見ましたよ。

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第2週「おら、東京さ帰りたくねぇ」
楽しかった夏休みも今日で終わりだ。明日の朝、アキ(能年玲奈)は東京に帰らねばならない。アキはそのことを納得していた。抗うことなく、定められた運命を受け入れていた。漁協でみんなに別れを告げた。来年の夏休みに再び来ると約束した。

しかし、海女たち(渡辺えり木野花美保純片桐はいり)は仕事の手を休めず、アキの話も聞き流すような態度だった。それどころか、自分たちは高齢だから、来年は仕事を辞めているかもしれないなどと冷たいことを言う始末だった。

短期間だが東京で働いていたヒロシ(小池徹平)は、アキにカレーショップの無料券をくれた。漁協長・長内(でんでん)は、海女たちの言ってることは本心ではない、来年も仕事をしているはずだから心配するなと言う。

夏(宮本信子)は剥いたばかりのウニの身を手ずからアキに食べさせ、「忘れるな」と一言告げるだけだった。

結局、アキを引き止めたり、名残を惜しんでくれる者は一人もいなかった。

しかしそれは、みんなの本意ではなかった。みんなは喫茶・リアスに集まり、こっそりと相談していた。アキは24年ぶりの若い新人海女だ。それが観光業に与える良い影響を考えると、彼女を手放したくなかった。

海女たちは、駅長・大向(杉本哲太)の春子に対する恋心も焚きつけた。春子(小泉今日子)が東京に帰ってしまう前にプロポーズしろと言うのだ。

けれども、アキや春子を引き止める良策は見つからなかった。それどころか、肝心の夏がサバサバしており「去るものは追わず」などと言うものだから、打つ手が見つからなかった。

春子は、最後にもう一度アキの本心を確かめようとした。ところがアキは、吹っ切れたので東京に帰ることに異存はないと答えた。一人ぼっちの正宗(尾美としのり)のことをかわいそうに思う、北三陸市に友達ができたので満足している、来年また来ればいい、などと答えるのだった。

すると、そこへ夏が帰宅した。春子は夏ともう一度話し合いたかった。しかし、夏は朝が早いなどといって布団に入ってしまった。その様子を見た春子は頭にきた。24年前と態度が同じだというのだ。

1984年、高校生だった春子(有村架純)は地元の人々から海女になるよう要請された。判断に困った春子は夏に相談したかった。しかし、その時も夏は何も言わずに、さっさと布団に入ってしまった。それで、春子は誰とも相談できずに、翌朝家出したのだ。

その時のことを引き合いに出し、春子は夏を罵った。いつも夏は相談にのってくれない。肝心なことは全て春子一人に決めさせようとする。親なのにズルいことだなどと一方的にまくし立てた。けれどもやはり、夏は何も答えなかった。

翌朝、海女たちは家まで見送りに来てくれた。しかし、夏の姿はなかった。彼女は早朝から海に出てしまい、一言も別れの言葉はなかった。アキは大向の運転する車の中から、世話になった海女たちや袖が浜の珍しい風景を眺めた。さっきまでは気丈に振舞っていたが、やはり寂しかった。密かに半べそをかいてしまった。

駅に着くと、春子とアキは大向に明るく礼を言った。春子に惚れており、みんなに応援されている大向であったが、やはり改めてプロポーズすることはできなかった。来年の再会を約束するだけだった。列車の時刻が近づくと、無情にも発車ベルを押した。

春子が先に列車に乗り込んだ。しかし、アキはホームから動こうとしない。夏が見送りに来ないとつぶやくのだった。東京へ帰ることはアキが納得して自分で決めたことだと言って、春子はアキを急かした。しかし、アキはまだ動こうとはしなかった。

ドアが閉まる直前、アキは意を決して列車に飛び乗った。それと入れ替わるように、春子はホームに飛び降りた。慌てた春子はアキの腕を掴み、彼女を列車から引きずり降ろした。その瞬間、ドアが閉まり、大向だけを乗せて列車は出発してしまった。

アキは笑顔で夏の家に戻った。夏はアキの意外なUターンを喜んだ。泣きそうな表情になり、心の底からアキを歓迎した。

そんなアキと夏を尻目に、春子だけは虫の居所が悪かった。夏に対して、待っていたのにどうして来なかったのかと問い詰めた。夏はワカメが沢山採れたなどととぼけようとしたが、春子の口撃はやまなかった。それどころか、春子が問題にしているのは今朝のことではなく、24年前のあの日のことだった

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