後に『機動戦士Zガンダム』の主題歌「水の星へ愛をこめて」でデビューした森口博子も素人時代はのど自慢荒らしで有名だったらしいよね、などとつぶやく当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第37回めの放送を見ましたよ。
スナックでアキ(能年玲奈)の誕生会が開かれていたのだが、忠兵衛(蟹江敬三)が爆弾発言を行い、緊迫した雰囲気となった。
忠兵衛によれば、春子(小泉今日子)が家出した原因はアイドル歌手になるためだったという。アキは寝耳に水だったが、昔から街にいる人はみんな知っていた。知っていて、それに触れないようにしていたのだ。彼らは、忠兵衛の言葉も聞こえないふりをした。
春子は、周囲のそのような反応に腹を立てた。田舎の人達は上辺だけの優しさを見せて、自分を腫れ物のように扱う様子があった。今にして思えば、それが不満だったという。通常のスナックでは、客がママにカラオケを歌うようせがむことがよくある。それにもかかわらず、北三陸市の人々は誰一人として春子に歌うよう頼まなかった。みんなの白々しい態度が気に入らなかったのだ。
アキの誕生会は急にお開きになってしまった。
アキは自分の誕生会が台無しになったことよりも、春子の過去が気になって仕方がなかった。確かに春子は、アキが観光海女としてアイドル的扱いをされることに難色を示した。それは、春子がアイドルになることに挫折し、異常な警戒心や被害妄想を持っていると考えると合点がいく。一方で、アキは春子の歌を一度も聞いたことのないことを思い出した。子守唄や童謡ですら歌ってもらったことがない。
現在アイドルになることを目指しているユイ(橋本愛)も、春子の過去が気になった。ユイとアキは、高校時代の春子(有村架純)の担任だった功(平泉成)に話を聞いた。功によれば、春子はスケバンではあったが、かわいくて歌が上手かったという。地元の歌謡大会に出場しては連続で優勝し、県内ではコンクール荒らしとして知られていたという。その時の写真も見せてもらった。
続いてアキは、漁協に話を聞きに行った。漁協長・長内(でんでん)やかつ枝(木野花)が押し入れを探ると、当時の写真やトロフィーが何本も出てきた。さらに彼らの話を聞くと、春子と夏(宮本信子)は頻繁に喧嘩をしていたが、忠兵衛とはとても仲が良くどこにでも付いて行ったという。遠洋漁業船が出港する前日は必ず漁協で宴会が開かれる。春子はそこで必ず歌を歌い、大人たちから小遣いをもらったり、忠兵衛を喜ばせたりしていたという。
アキは、春子が過去にアイドルを目指していたことに間違いはないと確信を得た。しかし、どうして春子や街の人々がそれをひた隠しにしていたのか、その理由がわからない。春子に直接聞けば済むのだが、アキは恐ろしくてそれができずにいた。
いつしか、アキは高校時代の春子の部屋を自分の寝室として使うようになっていた。これまではきれいに使っていたのだが、春子の過去が知りたくて、あちこちひっくり返して手がかりを探し始めた。するとそこへ、春子が何かを持ってやって来た。
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