札幌すすきのを舞台にした探偵小説。
当方のような道産子のノスタルジーをくすぐるだけの陳腐な地方賛美小説だろうと思って読み始めたのだが、いい意味で期待はずれの大ヒット。
シリーズ1作目を読み終わり、すぐに本屋で2作目、3作目を購入(しかも、札幌ステラプレイスの三省堂書店で)。超ハマり中。
当方が札幌に縁のない人間だったら、たぶん絶対に読まなかった本だと思う。けれども、読んでみたらきっと今と同じようにお気に入りになっていた自信がある。
確かにすすきのローカルネタが多かったり、登場人物は流暢な北海道弁をしゃべるなどの特徴があるが、物語のプロットはしっかりしているハードボイルド系ミステリー。北海道に縁がなくても、楽しめる小説だろう。
親の遺言で「すすきのを舞台にした小説だけは読むな」などと言われているのでなければ、一読をお勧めする。
ちなみに、第1作『探偵はバーにいる』はラブホテルに出入りする売春婦とか、他人の唇の痕の残ったグラスが出てくる汚いスナックとかが出てくるので、潔癖系の人にはちょっと読むのがつらいかもしれない。
そんな向きには2作目『バーにかかってきた電話』をお勧めする。もちろん”汚い描写”は多々あるけれどトーンは控えめだし、殉愛・人情ものという仕上がりで読後感は悪くない。
実際、ネットの評判を見ていても、1作目よりも2作目の方がウケがいいみたいだし。僕も、両作は甲乙つけがたいと思う。