自分の年齢を鑑みれば、白髪が増えてきたことは仕方ないことと諦めるが、白髪だけがチリチリに縮れており、妙に浮かび上がって目立つのだけは勘弁して欲しいと思っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第86回めの放送を見ましたよ。
茂(向井理)の両親(風間杜夫、竹下景子)は、小説の出版は諦めたが、1週間ほど東京に滞在することになった。兄(大倉孝二)の家に泊まることになり、帰っていった。
村井家に一人残った浦木(杉浦太陽)は、はるこ(南明奈)と音信不通だと知らせた。半月前にパチンコ屋の住み込みを辞め、行方がわからないという。そう言われて、布美枝(松下奈緒)たちも最近は姿を見ていないことを思い出した。
別の日。こみち書房がなくなり、仲良し連中は乾物屋(尾上紫)を新たな集会場にしていた。
太一(鈴木裕樹)の同人誌がついに完成し、それをみんなで見ていた。話の流れから、その同人誌を布美枝の紹介で『ゼタ』出版社に持ち込むことになった。
そのころ、はるこは『ゼタ』の深沢(村上弘明)のところへ漫画を持ち込んでいた。しかし、掲載を焦るあまり、はるこの個性が活きておらず、人気漫画の亜流でしかない原稿だった。そのことをはっきり伝え、深沢は応援しつつも、掲載を断った。つい頭に来たはるこは、大手の商業誌では読者に受けるように描かないと掲載されてもらえない、弱小雑誌の『ゼタ』の方針がおかしいのだと食ってかかってしまった。
ちょうどそこへ、太一を伴った布美枝が事務所に現れた。はるこを見つけて驚いた布美枝は、下宿を引き払って行方をくらましたことをみんなの前で言ってしまった。当然、そのことが深沢の耳にも入った。慌てて、逃げるように事務所を出て行くはるこ。
布美枝は途中まで追いかけ、親身になって話を聞いてやろうとする。しかし、はるこは、布美枝は漫画家の妻ではあるが、漫画家本人ではない。そんな人間に、漫画家の本当の苦しみなどわかるはずがないと捨て台詞を吐いて、足早に立ち去るのだった。
布美枝が事務所に戻ると、深沢は太一の目の前で、作品を褒めて、励ましているところだった。すぐに、『ゼタ』で同人誌を紹介してくれることが決まった。深沢は太一に連絡先を書くよう命じるが、太一は一瞬躊躇した。近々、厚木に転勤になるのだが、そのことを言い出せずにいたのだ。しかし、思い切って告げた太一の姿や同人誌を見て、布美枝は彼がたくましく成長したことを心強く思うのだった。
深沢は、太一が自分の好きなように詩を書いていることを評価している。はるこも、自由に自分らしい作品を描くようになればいいのにと、願っているのだった。
夜、茂は一心不乱に仕事をしている。その姿を見た布美枝は、やはり自分は傍観者であり、漫画家本人の苦しみはわからないのかもしれないと思った。はるこの言葉を思い出した。