ドラマの中で街中の女性が水玉のワンピースを着ているシーンを見て「そんなバカな。人とカブるのを恥ずかしく思うはずだろ?」と思ったのだけれど、現代でもiPhoneやらPriusやらLOUIS VITTONやらをみんなが持っているという事実を思い出し、「あ、ありうるわ」と考えなおした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第84回目の放送を見ましたよ。
色男で、さわやかな周防(綾野剛)は店の女たちから好意的に受け入れられていた。一方の周防も店で居心地よく、のびのびと仕事をしていた。糸子(尾野真千子)との関係も良かった。糸子が近所のおっちゃんらと道で楽しげに話すのを、周防は二階の窓から愉快そうに眺めた。
ところが、その糸子に、木岡(上杉祥三)と木之元(甲本雅裕)が信じがたい噂をもたらした。闇市で奈津(栗山千明)がパンパンになっているのを見たというのだ。糸子はその話を否定しつつも、あながち嘘とも思えなかった。仕事をしながらも奈津のことが頭から離れなくなった。
そんな折、周防が背広に使うボタンを買いたいと言い出した。糸子は、周防の案内と奈津の真相を確かめることを兼ねて、一緒に闇市へ向かった。
周防が品定めをしている間、糸子はパンパンらの様子を伺った。すると、パンパンに近づく怪しい男(櫻木誠)がいるのに気づいた。客というよりは、パンパンの元締めのように思われた。しかも、奈津が惚れそうなタイプの色男だった。気になる糸子はその男の後を追った。
男は町外れの掘っ立て小屋の中に入っていった。外から様子を伺うと、中から若い女がその男を罵る声が聞こえてきた。どうやら彼らの関係がうまくいっていないことが知れたし、何よりもその声が奈津のもののように思えた。
糸子はしばらくそこで様子をみることにした。すると、周防が自分を追ってついて来ていることに気づいた。何をしているのか周防に理由を聞かれた糸子だが、ためらうばかりで何も話すことはできなかった。それでも、自分の頭に血がのぼっていること、暴力を振るいそうになったら止めて欲しいことだけを伝えた。
すると、掘っ立て小屋の中から本当に奈津が出てきた。派手なパンパンの姿をしていた。
それを見つけた途端、糸子は奈津に張り手をした。さらに奈津を押し倒し、馬乗りになって怒鳴りまくった。そこでやっと周防が止めに入った。
突然糸子が現れたことに驚く奈津であったが、気を取り直すと「関係ない」の一点張りになり、ハンドバッグで糸子を殴り、二度と来るなと捨て台詞を吐いて走り去ってしまった。
その夜、糸子はショックのあまり寝付くことができなかった。
翌朝、周防が出勤してくると、糸子はいの一番に前日のことを謝った。しかし、周防は軽く微笑むだけで何も言わずに作業場のある二階へ行ってしまった。
その日は、大親友のサエ(黒谷友香)が水玉のワンピースを来て遊びに来た。とてもよく似合っており、街を歩いていたら映画女優と間違えられたと言って上機嫌だった。そこへ、手洗いに行くために周防が姿を現した。周防に初めて会うサエは、彼の色男ぶりにのぼせ上がってしまった。
しかし、糸子は一日中不機嫌で、サエの相手すらまともにしようとはしなかった。
夕方、糸子は周防の帰った二階の作業部屋へ入った。
そこで、周防が自分の服を褒めてくれたことを思い出した。終戦後、服作りを通して人々の傷ついた心を癒すことが自分の夢だった。水玉のワンピースを来た女性たちはみな、希望と自信を取り戻し、未来への希望を取り戻すことができた。それはとても良いことであった。
しかし、糸子は考えなおした。
服で救うことができる人々は、そもそもそれほど深い痛手を負っていない人々のみだ。真のどん底に突き落とされた人を救うことは、服では力不足だ。そういった人々を救うことができるのは、自分の手以外にはありえない。
勝のミシンに座り、力をくださいと願い、自分は頑張ると決意を表明した。
糸子は安岡家を訪ねた。
八重子(田丸麻紀)に声をかけ、部屋に引きこもったまま家族にすら会おうとしないでいる玉枝(濱田マリ)に会いたいと願いでた。糸子の表情は厳しかった。
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