テレビ朝日『トットちゃん!』第10話

フライデーナイトギターをはじめたくてムズムズしている当方が、テレビ朝日の帯ドラマ劇場『トットちゃん!』の第10話の放送を見ましたよ。

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公立学校での和を乱す徹子(豊嶋花)は、転校するよう勧告された。
行き先が見つからず困った朝(松下奈緒)は、乃木坂上倶楽部のシイナ(小澤征悦)に相談した。

シイナは、自分が小さい頃に出会った先生のことを話しはじめた。
シイナはインド人と日本人の混血児であり、学校でいじめられていた。学校に行くのがつまらなくなり、公園でサボっていたらよその学校の先生に出会ったという。彼は毎日、子どもたちを公園に連れてきて遊ばせているという。自分の教え子ではないシイナにも優しくしてくれたのだという。

縁は切れてしまっていたが、先日の新聞で偶然その先生の記事を見たという。
彼の持論は、どんな子どもも良い性質を持って生まれてくる。しかし、大人たちや環境のせいでその性質が摘み取られてしまう。そこで彼は、子どもたちの良い性質を伸ばす教育を行う学校を開設したのだと言う。
朝は、早速その学校に連絡をとり、入学面接の約束を取り付けた。

ある夜、乃木坂上倶楽部の住人たちはサロンでダンスパーティを開いていた。黒柳一家も招かれ、守綱(山本耕史)がバイオリンで舞踏曲を演奏した。
住人のエミー市川(凰稀かなめ)とダニー市川(新納慎也)はアメリカで社交ダンスを学んだカップルであり、サロンでは本格的なダンスが披露されていた。

外に漏れ聞こえる音を聞きつけて、警官がやって来た。日本が国を挙げて中国と戦争をしている時局において、西洋かぶれの踊りをするなど言語道断だというのだ。
エミーは警官に口答えをした。自分たちは一流のダンスを学んでおり、貴族院議員の家族にも指導をしたことがある。議員のお墨付きがあるというのだ。
しかし、警官はひるまなかった。反抗的な態度であった市川夫妻と守綱を警察署に連行した。

3人はそれぞれ別室に入れられ、特高警察から厳しい取り調べを受けた。
日本女性にあるまじき扇情的な身なりをしたエミーは特に執拗に責られた。しかも、エミーの名乗った氏名は戸籍に記録がないという。中国から忍び込んだスパイではないかと疑われ、ますます状況が不利になった。

その時、メモを持った警官が取調室に入ってきた。メモによると、エミーは有澤伯爵(橋本大二郎)の娘なのだという。警官たちのエミーに対する態度は急変し、下にも置かない扱いとなった。即座に3人は釈放された。

警察署には有澤伯爵本人がエミーを迎えに来た。これまでのことは全て水に流すので家に帰ってきて欲しいという。
対するエミーは、釈放に力を貸してくれたことについて礼を述べるだけだった。しかも、とても他人行儀な口調だった。最後には、有澤伯爵と自分は初対面だと言い切った。誰かと人違いをしているに違いないと述べ、立ち去るのだった。

無事に乃木坂上倶楽部に帰って来た3人だったが、ダニー市川はひどく落ち込んでいた。自分の力で妻・エミーを守れなかったことを悔やんでいるのだ。そればかりか、エミーの将来を考えると、自分と別れて実家に帰った方がよいのではないかとさえ思った。
その思いを打ち明けられた守綱はダニーを励ました。戦時に芸術家が無力であるのは事実である。その一方で、人々の魂を癒せるのは芸術しか無いのも事実である。守綱はどんなことがあってもバイオリンと愛する妻・朝を捨てることはない。それと同じように、ダニーもダンスと妻・エミーを捨ててはいけないと説得した。
ダニーは救われる思いだった。

いよいよ、徹子の新しい学校の入学面接の日となった。
その学校の看板は、木に無造作にぶら下げてあるだけだった。しかし、徹子にとっては、看板が地面から生えているように映った。また、敷地の中には本物の列車が置かれていた。それも大いに興味をひいた。

校長の小林(竹中直人)は、徹子とふたりきりで話がしたいという。付き添ってきた朝は部屋の外で待たされた。

小林は、徹子になんでもいいから話したいことを話すように促した。
徹子は、飼い犬ロッキーや家族のことなど、脈絡もなく次々に話し続けた。小林校長は口を挟むこと無く、柔和な表情で徹子の話に耳を傾けた。
徹子のおしゃべりは、結局4時間続いた。

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NHK『わろてんか』第11回

ヤバい、しんどい、体調悪い当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第11回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

藤岡家では、てん(葵わかな)と伊能栞(高橋一生)の結納の準備が大急ぎで進められていた。

しかし、栞の父・伊能(南条好輝)から、結納を延期するよう通知された。
藤岡家の薬品倉庫が焼け、店が存亡の危機にあることが知られてしまったのだ。経済的援助を目的に結婚を進めるわけにはいかないというのだ。儀兵衛(遠藤憲一)は抗弁することができなかった。

医者によれば、喘息の発作から肺炎を起こした新一(千葉雄大)は長くてあと1ヶ月程度の命だと宣告された。
家の中は火が消えたように沈み込んだ。

病床にてんを呼んだ新一は、てんに笑い続けるよう頼んだ。
新一によれば、笑いは人間だけの特権だという。人間は金や地位、名誉を競い、ひどい場合には戦争で殺し合う生き物である。そしてまた、人生は思い通りにならず、辛いことばかりである。そういった苦しみから開放されるために笑いがあるのだと話した。だから、辛いときこそ、みんなで笑えと命じた。
てんは満面の笑顔で、そうすることを約束した。

儀兵衛の姿が見えなくなった。
しかも、姿を消す直前には、自分のせいで店を潰してしまったと言い、使用人全員に暇を出したという。

みなで探すと、儀兵衛は蔵にいた。
天井から縄を吊るし、その前おいた踏み台に乗っていた。

首吊りを阻止しようと、みなは儀兵衛にすがりついた。
口々に、儀兵衛はギョロ目の仏頂面ですぐに怒るが、それでもかけがえのない家長であると訴え、思いとどまらせようとした。

やっとのことで床に引きずり下ろされた儀兵衛は、大声で叫んだ。
儀兵衛は、延期になった結納の品々を蔵の中に片付けようとしていたのだという。品物を縄に結びつけ、蔵の2階に持ち上げようとしていたところだったのだという。儀兵衛の言うとおり、縄は滑車に通されていた。

人騒がせな事件に、一同は大笑いした。
みなが笑う姿を見た儀兵衛は、笑いは人を幸せにする薬だとしみじみつぶやいた。仏頂面の儀兵衛も、この時ばかりは泣きながら笑った。
そんな儀兵衛の様子は、ますますみなを沸かせた。

新一は、病床でひとりその声を聞いていた。

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