NHK『あまちゃん』第48回

次の朝ドラ『ごちそうさん』について「今秋朝ドラヒロインの杏、収録2日目で早くも手応え (ORICON STYLE)」という記事を見つけたわけだが、ヒロインのにはほとんど興味はないものの、助演の宮嶋麻衣(『ちりとてちん』でヒロインの親友を演じたり、『カーネーション』でヒロインの最初の客となる芸者役)やロケ地となった奈良女には興味津々な当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第48回めの放送を見ましたよ。

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第8週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

北鉄25周年記念イベントのお座敷列車運行まであと1週間にせまった。人々は一丸となって最後の追い込みに取り組んでいたが、陰では小さな波乱がいくつもあった。

春子(小泉今日子)のことを一途に思う大吉(杉本哲太)は、彼女が正式に離婚したのを機に、ますます積極亭なアプローチをするようになった。恋多き女である美寿々(美保純)は、新たに街にやって来た水口(松田龍平)に熱をあげている。アキ(能年玲奈)から相手にされないヒロシ(小池徹平)は、同僚の栗原(安藤玉恵)といい仲になっている。それぞれがそれぞれの恋愛模様を繰り広げていた。

アキとユイ(橋本愛)は、歌と踊りのレッスンに余念が無い。ユイから遊び半分でやらないで欲しいと言われたアキは、心を入れ替えて真剣に打ち込んだ。しかし、ユイにはアキに言えない秘密があった。

アキとユイはレッスンの休憩中に東京のことを話した。ユイは高校を卒業したら、アイドルを目指して上京するつもりである。アキはそもそも東京が嫌いで、北三陸市に住むことにした。けれども、最近は少しだけ東京のことが気になるのだと言う。なぜなら、心を寄せる種市(福士蒼汰)がこの春から東京に行くからである。アキは自分が種市と付き合っていると錯覚している。そして、春から遠距離恋愛になることが不安なのだ。

アキが種市の話を始めると、ユイの態度が急によそよそしくなった。帰りのバスまでまだ時間はあるはずだが、ユイは帰ると言い出した。そして、種市とちゃんと話し合うべきだと助言して去って行った。

その言葉に従い、アキは学校で早速種市を呼び出し、好きだから正式に付き合って欲しいと告白した。しかし、種市はその申し出を断った。種市は好きな人がおり、その人と交際しているのでアキとは付き合えないと説明した。

種市の交際相手というのはユイだった。種市は、アキが北三陸市にやって来る前からユイのことが好きだったのだという。1年移譲前、通学列車の中でユイを見かけ、一目惚れしたのだという。自分から声をかける勇気もないので、単に彼女の姿を見ているだけの思いであった。アキが潜水土木科に編入した前後から、ユイとも頻繁に顔を合わせるようになった。それでもなお、自分は東京で就職することが決まっていたから、ユイのことは心に潜めておくつもりでいた。

ところが、ユイからアキの気持ちに応えるよう説教されているうちに、自分の正直な気持ちを抑えておくことができなくなった。それで、ユイに交際を申し込んだのだ。アキの親友であるユイは、その申し出を即座に断った。しかし、直後に考え直し、ユイは交際を受け入れてくれたのだという。ただし、アキには内緒にしておくことと、種市が東京に行ってから正式に付き合い出すというのが条件だった。それは、アキと種市が車庫に閉じ込められた日の出来事であり(第46回)、結局トラブルでうやむやになったが、本当はその日にアキに話すつもりだったのだという。

アキはこれ以上無いショックを受けた。まさか種市に好きな人がいるとは考えもしなかったし、ましてやその相手がユイであるとはこれっぽっちも想像していなかった。アキの初めての失恋だった。アキは自転車で闇雲に暴走し、港から海に落ちた。

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NHK『あまちゃん』第47回

劇中では2009年3月になったわけだが、その頃の朝ドラといえばマナカナ主演の『だんだん』であり、ヒロインは「シジミジル」というストリート・バンドをやっていたのだが、デビューが決まって名前がダサいので「SJ」に変えられ、ついにはバックの男メンバーが邪魔だという話になってヒロインふたりだけで「Sweet Juno」というアイドルユニットになったりしたよな、などと思い出す当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第47回めの放送を見ましたよ。

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第8週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

宴会付きお座敷列車の運行日は3月18日に決まった。往復1時間で、食事やアキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)との記念撮影や歌がついて5000円でチケットが販売された。チケットは瞬く間に売り切れ、当初は1便だけの予定だったが、大吉(杉本哲太)は合計3便を走らせることを決めた。北三陸鉄道は存続の危機に瀕していたが、開通25周年に向けて盛大なイベントとなる手応えがあった。

アキとユイのユニット名は「潮騒のメモリーズ」とすることになった。しかし、肝心のふたりの歌は一向に上達が見られなかった。特にユイの様子がおかしかった。練習に集中できず、どこか落ち込みがちに見えた。

練習を終えたふたりは、駅の待合室で列車を待った。アキはお座敷列車がどんなに待ち遠しいかを一方的にしゃべった。走っている列車の中で食事をしたり歌を歌ったりするのは楽しいに違いないと言う。ただし、お座敷列車運行日は、あいにく種市(福士蒼汰)が東京に旅立つ日だ。彼が一緒にお座敷列車に乗れないことは残念だと話した。けれども、種市は必ず北三陸市に帰ってくると約束してくれたなどと言った。

すると、突然ユイが激昂した。お座敷列車イベントは遊びではないと言うのだ。アキにとっては青春時代の思い出作りの一つかもしれないが、ユイにとってはアイドルになる夢を実現する重要な一歩なのだ。足を引っ張られては困ると訴えた。そして、自分がストレスやプレッシャーに弱いと述べ、落ち込み始めた。しばらく一人になりたいと言い、アキとは違う列車で帰ると告げた。

アキはユイを怒らせてしまったことに動揺した。言われた通り一人で帰ったが、ユイが突然怒りだした理由になかなか思い至らなかった。しかし、よくよく思い出してみると、自分が種市の話を始めたことに原因がありそうだった。その途端、ユイの顔つきが変わったのだ。けれども、そのことをユイに直接謝る気にはなれなかった。代わりに、ユイと喧嘩したことを種市にメールで知らせた。ところが、種市からのメールの返事はなかった。

その時、アキは春子(小泉今日子)から居間に来るよう呼ばれた。行ってみると、ユイの母・よしえ(八木亜希子)がステージ衣装を持ってきていた。ユイのアイディア・スケッチを元に、よしえが作ったのだという。それは、海女の絣半纏とフリル付きのスカートを組み合わせたもので、アキが着てみるとかわいらしく、よく似合っていた。春子とよしえは、潮騒のメモリーズの成功を確信した。

よしえは、アキに最近のユイの様子を話して聞かせた。元々のユイはおとなしくて冷めた性格だったのだが、アキと友だちになってからは人が変わったという。家では歌の練習をするか、アキの話をするかばかりだという。ユイは恥ずかしがり屋なのだが、アキはユイの横でもっと恥ずかしいことを平気でやる。それに後押しされて、ユイもいろいろな事に挑戦できるのだと話しているのだそうだ。アキが居てくれることをとても喜んでいるという。

アキは改めてユイのことを親友だと思った。よしえの話を聞いて、アキは嬉しさのあまり泣き出してしまった。すぐさまユイに電話をかけ、仲直りした。自分の生半可な態度を反省し、明日からは一生懸命打ち込むから許して欲しいと謝った。ユイは特に気にしていなかった。むしろ、アキには普段通りでいて欲しい言うのだった。

ただし、電話を切る間際、ユイは脈絡もなく「ごめんね」とつぶやいた。というのも、ユイは駅の待合室で種市と一緒だったのだ。ユイはアキを先に帰して、自分は種市と会っていたのだ。

当然、種市からアキへのメールの返信はなかった。

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NHK『あまちゃん』第46回

劇中では2月になったわけだが、アキ(能年玲奈)は種市(福士蒼汰)にバレンタイン・チョコを用意していないのだろうか、女子高生の告白といえばそれが定番じゃないか、デート(デート?デートなのか!?)してくれと頼むならバレチョコを携えるのが王道じゃないか、などということが気になって眠りの浅かった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第46回めの放送を見ましたよ。

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第8週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

2008年2月、北三陸鉄道廃止案が持ち上がった。起死回生の手として、大吉(杉本哲太)はお座敷列車を運行することを決めた。車両改装等の準備を行い、3月に運行する。アキ(能年玲奈)とユイ(橋本愛)が乗り込んで歌を披露することが目玉企画とされた。

アキの希望で「潮騒のメモリー」を歌うことした。喫茶リアスのカラオケでアキの歌唱力を試すこととなった。しかし、アキの歌は人に聞かせられるレベルではなかった。ユイも「時をかける少女」を歌ってみたが、こちらも到底褒められたものではなかった。それを聞いて失望した弥生(渡辺えり)が歌唱指導をすることとなった。実は弥生は歌が得意なのだ。「愛の讃歌」を朗々と歌い上げ、皆が彼女の実力を認めた。

3月になった。
4月から東京で働く種市(福士蒼汰)が北三陸市にいられるのもあと少しである。ところが、最近の種市はアキに対して素っ気ない態度を貫いている。アキが潜水試験に合格し、約束通りデート(デート?デートなのか!?)して欲しいと言った時から種市がよそよそしいのだ。アキはそのことが気になってボーっとしていた。

ある日の放課後、アキとユイはリアスで歌の練習をすることになっていた。ユイはしばし練習を抜け出し、駅の待合室で種市を待ち伏せていた。そして、種市の姿を見つけるやいなや、怒りを露わに詰め寄った。種市の態度をアキから聞いていて、そのことを怒っているのだ。女の子の気持ちを踏みにじっていることを詰り、1回くらいデート(デート?デートなのか!?)に付き合ってやれとまくし立てた。

すると種市は、ユイに何かを伝えた。それを聞いたユイは急におとなしくなった。種市と別れ、リアスに入るとアキと練習を交代した。アキが休憩のために駅待合室へ行くと、種市に話があると呼び止められた。アキは喜び勇んでついていくことにした。

アキは種市を無人の車両倉庫へ案内した。そこには改装中のお座敷列車があり、ふたりで見学した。車内をぶらつきながら、アキはユイのことを話した。ふたりは親友で大の仲良しであること、初めて会ったのも北三陸鉄道の車内だったこと(第4回)などを楽しそうに話した。

その時、照明が全て消えた。作業を終えて無人になったと思った副駅長・吉田(荒川良々)が戸締りをしてしまったのだ。ふたりは倉庫の中に閉じ込められてしまい、焚き火で暖を取った。

アキが「潮騒のメモリー」を歌うと、種市は三島由紀夫の恋愛小説『潮騒』のことを話した。「潮騒のメモリー」の歌詞にある「火を飛び越えて」というのは、『潮騒』の有名なセリフだと言うのだ。「火を飛び越えて来い」と言われ、その通りに飛び越えて男女が抱き合うシーンが最も有名だという。

暗い倉庫の中で焚き火の明かりだけがあり、その焚き火にまつわる恋愛小説の話をした。アキはひどくロマンチックな気分になった。ふたりはしばし無言で見つめ合った。

その時、倉庫の中でケータイ電話が鳴り出した。副駅長・吉田が置き忘れていたのだ。紛失に気づいた吉田は、自分のケータイに電話をかけて探していた。

着信音に気づいた種市は、ケータイを拾いに行った。しかし、焚き火と『潮騒』に夢中になっていたアキは、ケータイのことには気づいていなかった。種市が向こうへ歩いて行ったのは、『潮騒』を再現する目的なのだと思い込んでしまった。アキは種市が止めるのも聞かず、助走をつけて火を飛び越えようと進みだした。

その時、ケータイの在り処に気づいた吉田が飛び込んで来た。アキよりも早く焚き火を越え、種市に飛びついてケータイを取り戻した。

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NHK『あまちゃん』第45回

昨日の『スタジオパークからこんにちは』のゲストは桂文枝で、『新婚さんいらっしゃい!』繋がりで山瀬まみがVTR出演したわけだが、無事にレコーダーに録画されていて見ることができた(本ドラマの出演者がゲストで出るかもしれないから毎日『スタパ』を録画予約している)ことをお伝えする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第45回めの放送を見ましたよ。

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第8週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

2009年2月。アキ(能年玲奈)は潜水士の資格試験に無事合格した。真っ先に種市(福士蒼汰)に報告へ行くと、彼も喜んでくれた。

ところが、試験に合格したので約束通りデート(デート?デートなのか!?)して欲しいと申し出ると、種市の表情が曇った。種市はユイ(橋本愛)に言われた言葉を思い出していたのだ。アキの気持ちを知っているのに、種市の態度が煮え切らないことを叱られた件だ。種市はアキの願いを断った。

その頃、県議員の足立功(平泉成)が大吉(東出昌大)を訪ねてきた。北三陸市長が鉄道廃止を画策していると知らせに来たのだ。市長はモータリゼーション推進派であり、北三陸鉄道の輸送機能をバスで置き換えようとしている。北三陸鉄道は開通25周年ということもあり、功の本音は鉄道の存続である。しかし、政治的立場上、市長に反対はできないのだという。

大吉は、鉄道存続案を自ら考えなくてはならなくなった。そのヒントとなったのは、功と琥珀堀り・小田(塩見三省)のある日の雑談である。雪景色の中を走る北鉄には風情があるし、そこにお座敷列車を走らせると素敵だろうというアイディアだ。大吉はそれを実現したいと思った。すぐさま関係者が集まって会議が行われた。その模様は、テレビ局の池田(野間口徹)が密着取材した。

車両を改造して掘りごたつを設置する。北三陸駅と畑野駅を2時間かけて往復し、飲み放題付きの宴会列車とする(予価1万円)。アキとユイが乗り込んで、一緒に食事をしたり、ゲームや歌を歌うという基本方針が提案された。アキとユイは乗り気であった。

喫茶リアスでカラオケの歌本を見ながら、アキとユイは車内で歌う曲を探した。アキは、以前に春子(小泉今日子)が歌った「潮騒のメモリー」を希望した。その歌は、20年ほど前の同名映画の主題歌だったという。日本を代表する女優・鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の主演作で、当時から清純派女優として人気だったという。主題歌を歌っているのも彼女自身で、歌手としてのデビュー作だったのだという。大人たちはみな懐かしがった。

しかし、春子だけは白けていた。以前に約束した通り(第35回)、アキが北三陸鉄道のキャンペーンに協力するのは3月までだと釘を差した。それに加えて、アキは歌が下手で、人前で歌うことはもちろん、カラオケすらまともにやったことがないと指摘した。

アキはムキになり、その場でカラオケで「潮騒のメモリー」を歌い始めた。春子の言うとおり、アキの歌は褒められたものではなかった

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NHK『あまちゃん』第44回

2年近く通っているコンビニのカワイコちゃん店員さんの左手薬指に指輪があることをつい最近知って、いろいろショックを受けたりしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第44回めの放送を見ましたよ。


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第8週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

アキ(能年玲奈)の誕生日を祝うという名目で北三陸市にやって来た正宗(尾美としのり)は、タクシー会社に就職までして居座ったままだった。離婚したがっている春子(小泉今日子)は、12月のある日、彼と話し合った。

自分の落ち度がわからない正宗に対し、春子は正宗は変わらなくていい、自分が変わるために離婚したいのだと説明した。24年ぶりの昔馴染や家族と向き合い、変わりたいのだという。その時、正宗は本当の春子のことを知りすぎており、正宗と一緒にいると本当の自分に見られているような気になって息が詰まるのだという。

正宗は春子の決意に協力することにし、離婚に応じることにした。ただし、せめてクリスマスまでは一緒に過ごしたいと希望を述べた。アキは今でもサンタクロースの存在を信じきっており、毎年正宗がプレゼントを渡していたのだ。春子もそれを受け入れた。

12月24日の深夜、正宗は念入りなサンタクロースの扮装をして、アキの部屋に忍び込んだ。眠っているアキの枕元にプレゼントを置き、立ち去ろうとした。その時、アキが目を覚ました。寝ぼけているアキは、正宗だとは気づかず、本物のサンタクロースだと思い込んでいる。

正宗もサンタクロースのふりを続け、正宗からの伝言だと言ってアキに話しかけた。春子と正宗が正式に離婚し、東京に帰ることを伝えた。アキが元気に暮らすことを願い、辛くなった時にはいつでも東京に会いに来るよう言いおいた。

それを終えると、正宗は扮装を解き、夜中のうちに天野家を出て行った。正宗は世話になったことを夏(宮本信子)に丁寧に感謝した。春子と夏に加えて、大吉(杉本哲太)が見送りに来てくれた。これまで犬猿の仲だった正宗と大吉であったが、正宗は彼に天野一家の面倒を見ることを頼んだ。大吉もそれを請け負い、正宗に心を許し、固い握手を交わした。

去り際、正宗は春子と言葉を交わした。幸せにしてやれなかったことを謝罪した。春子も自分の身勝手な行為を謝った。ふたりは握手をして別れた。

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NHK『あまちゃん』第43回

先週土曜日の放送は録画を20回くらい見返して「潮騒のメモリー」の歌詞を全て聞き取ろうとしたのだが、どうしても1箇所だけわからず悶々としていたのだけれど、今日の放送で字幕が出て肩透かしを食らうと共に、「三途の川のマーメイド」に衝撃を受けた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第43回めの放送を見ましたよ。

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第8週「おら、ドキドキがとまんねぇ」

忠兵衛(蟹江敬三)の旅立ちの日。カメラマン(若尾義昭)を呼んで家族5人の写真と忠兵衛の遺影を撮影した。忠兵衛はいつもの年と同じように「自分は死んだものと思え」と言い残した。夏(宮本信子)もいつもの日曜日と同様にウニ丼作りの手を休めない。ふたりはさよならも言わず、素っ気ない態度で別れた。忠兵衛は八戸の漁港まで大向(杉本哲太)に車で送られていった。

そうして、2008年の暮れも近づいてきた。アキ(能年玲奈)と夏は家でクリスマスツリーを飾り立てた。

しかし、アキは楽しんでばかりもいられない。年明け1月には潜水士の資格試験があるのだ。遅くまで学校に残って補習や模擬試験を受けているが、どうも芳しくない。

いつもアキと一緒に下校していたユイ(橋本愛)は一人で帰ることが多くなった。ある日、ユイは駅の待合室で種市(福士蒼汰)を待っていた。友だちとゲーセンで遊んでいたという種市は、最終列車の時刻になってやっと駅に現れた。ユイは珍しくイライラした態度を隠そうともせず、種市に詰め寄った。種市がアキのことをどう思っているのか問いただした。

種市は、アキの「頑張り」を褒めた。その一言が、さらにユイの怒りに油を注いだ。ユイは「頑張る」という言葉が嫌いなのだという。「頑張る」ということは、現状ではその人が報われていないということを意味する。種市がアキに対して「頑張れ」と言うことは、アキが報われていないことになる。それが腹立たしいのだ。種市は、アキが種市のことを好きであることを知っている。それにも関わらず、知らんふりをしているのが残酷だと言うのだ。ユイは興奮してまくし立てた。

居残りで最終列車を逃したアキは、スナック梨明日で正宗(尾美としのり)を待つことにした。彼のタクシーで家まで送ってもらうためだ。

すると、琥珀掘り見習いの水口(松田龍平)が話しかけてきた。潜水士の資格を取ったとして、アキは将来何をしたいのかと聞いてきた。ところが、アキには具体的な将来設計ができていなかった。単に年中海に潜れればそれで良いと答えた。

水口は、アキがネットやテレビで人気になったことを知っていた。アキにはまだ知らない世界や無限の可能性があるはずだなどと、アイドルとしてのアキを評価するかのような発言をした。それを聞いていたマネージャー役のヒロシ(小池徹平)や春子(小泉今日子)は、アキに妙なことを吹きこまないように止めに入った。

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NHK『あまちゃん』第42回

三島由紀夫の『潮騒』については原作はもちろん、山口百恵主演の映画も見たことはないのだけれど、「その火を飛び越して来い」というのはなんとなく知っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第42回めの放送を見ましたよ。
https://youtu.be/MX55kPqE9cw?t=46s

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第7週「おらのママに歴史あり」

陸での生活に張り合いの見いだせない忠兵衛(蟹江敬三)は、再度漁へ出ることを決めた。夏(宮本信子)は悲しみのあまり深く落ち込んでしまった。

忠兵衛は素直に夏を慰めることをしない。自分は陸にいるとジジイになってしまう、それにつられて夏もババアになる、そんな夏を見ているのに耐えられないなどと乱暴な言葉をかけた。それを聞いた夏は気丈に言い返した。弁当や晩酌の準備、洗濯など、忠兵衛の世話をしていたら息が詰まると述べ、いなくなれば清々すると喧嘩腰で応えた。忠兵衛は、今年で最後にすると頭を下げた。夏によれば、それは忠兵衛の毎年の決まり文句だという。夏は二度と帰ってくるなと啖呵を切った。それも毎年の決まり文句だった。

急遽、忠兵衛の送別会がスナック梨明日で開かれた。しかし、夏は相変わらずむっつりとしている。常々「去る者は追わず」と言っている夏は、夫に対しても同じ態度を貫いていた。それを見かねた春子(小泉今日子)は、追ってもらえないのは気楽である一方、寂しいものであると話した。去る者はきちんと送り出してもらうことを期待しているものだと言うのだ。

春子は忠兵衛を送り出すためにカラオケを披露した。それは20年以上前のヒット曲である「潮騒のメモリー」であった。いつも不機嫌でがさつな春子がアキ(能年玲奈)には別人に見えた。それほど見事な歌唱だった。

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NHK『あまちゃん』第41回

シャンプーの種類が変わったり、ジミヘンの曲を聞いたりすると山瀬まみ作詞の「軽蔑」を思い出して必ず口ずさむ当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第41回めの放送を見ましたよ。
https://youtu.be/plvBtyqqHdU

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第7週「おらのママに歴史あり」

忠兵衛(蟹江敬三)はスーパーの鮮魚コーナーで働き出した。夏(宮本信子)は弁当を持たせて送り出す。結婚以来、忠兵衛はずっと遠洋漁業に出ていたので、弁当を作ることなど初めてのことだ。ふたりはまるで新婚夫婦のように楽しそうだった。さらに新婚気分を満喫するため、夏はふたりで温泉旅行に行くことを計画し始めた。

しかし、忠兵衛は必ずしも仕事に満足していなかった。刺身の値引きについて主任(須藤公一)に叱られてしまった。刺身パックに半額シールを貼るよう指示されたことに反発したのだ。まだ鮮度が落ちておらず美味しく食べられる刺身を半額にする理由がわからなかった。その魚を苦労して獲った漁師の気持ちもわかるので、軽々しくたたき売りすることにも納得できなかった。渋々命令に従ったが、忠兵衛は面白くなかった。

こっそり様子を見に来た春子(小泉今日子)はその一部始終を目撃した。家に帰ってきた後も、忠兵衛はどこか元気が無い。春子は忠兵衛のことが少々気になり始めた。

そんなある日、忠兵衛が勤め先から消えたという連絡が入った。昼休憩を取ったまま姿が見えなくなったというのだ。高齢で体も悪くなり始めた忠兵衛のことなので、どこかで倒れでもしたのではないかと心配された。すぐさま家族に連絡が入った。ところが、春子がすぐに忠兵衛を見つけた。正宗(尾美としのり)との同居のストレス発散のためにパチンコ屋に入り浸っている春子が、同じ店内に忠兵衛を見つけたのだ。

すぐさま家に連れ帰り、家族や知人が集まって話し合いがもたれた。漁協長・長内(でんでん)は、自分が紹介した仕事がマズかったのではないかと心配した。港の監視小屋など、人と顔を合わせずに済む仕事を再度紹介しようとした。忠兵衛は多くを話そうとはしなかったが、人と接するのが原因ではないという。

夏が忠兵衛の気持ちを代弁した。忠兵衛は海が恋しいのだ。陸にいることに我慢できず、船に乗って沖に出たいのだ。そう指摘されて忠兵衛は認めた。一時は自分の歳や体調のことを考えて漁師を引退することにした。定期健診の結果、心臓が悪くなっている事がわかった。沖合で何かあっても医師に診てもらうことができない。船に乗ると、もう生きて帰ってこれないかもしれないというのだ。

それでも忠兵衛は船に乗りたかった。漁師の血が騒ぎ、海上にいた方が気が張っていて体の調子もいいのだという。陸上にいると、身も心も緩んでしまって再起不能になるだろうと訴えた。スーパーの仕事を辞め、船に乗ることを半ば決めた。夏が計画していた温泉旅行にも行かないと言う。そんなことをすると、夏との別れが辛くなるというのだ。

その話し合いの最中、夏はいつの間にか家を出て行った。春子に促されてアキ(能年玲奈)が様子を見に行くと、離れのウニ丼作業場に座り込んでいた。

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NHK『あまちゃん』第40回

とある20歳代女子から「10歳くらい年上の男性を落とす方法を教えて欲しい」と相談を受けたので、「『抱いて』の一言でいいんじゃね?」と素っ気なく答えたところ激しく落胆され、軽蔑されかかったわけだが、「アンタのその貧相な胸を精一杯寄せ上げて豊満さを装い、プール上がりみたいに血色の悪い唇と手入れを怠ってカッサカサの頬にベッタリと紅を挿し、女芸人の下品なギャグみたいな舌なめずりをかましながら、いつもドライアイ気味の目を無理やり潤ませつつ『抱いて。このままじゃ蜘蛛の巣が張っちゃうぅぅ』で一発くらいはヤれるんじゃね?」と言わなかっただけマシじゃねーかとこの場でイタチの最後っ屁をかましながらも、万事うまく行くことを心から祈念してやまない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第40回めの放送を見ましたよ。

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第7週「おらのママに歴史あり」

現在67歳の忠兵衛(蟹江敬三)は定期検診の結果あまり芳しくなく、漁師を辞めるよう忠告された。春子(小泉今日子)やアキ(能年玲奈)が一所に暮らし始めたこともあり、きっぱりと辞める決意をした。代わりに、スーパーの鮮魚コーナーで陳列や接客の仕事を始めることとなった。魚のことをよく知っているので適した部署ではあったが、40年以上も船に乗ってばかりいたので少々社会常識が不安視された。

アキとユイ(橋本愛)は学校でいろいろな話をした。まず話題に登ったのは、春子がアイドルを目指していたことについてである。アキは春子から聞いた話をユイに伝えた。それを聞いたユイは、春子がアキに嫉妬しているのではないかと言う。娘がテレビやインターネットで人気を得、自分の果たせなかった夢を簡単に実現させていく姿を見るのは面白く無いはずだと言うのだ。アキは否定したが、ユイはそう信じている。

続いてユイは、ふたりのユニット名や決めポーズを考えようと言い出した。今後、ローカル情報番組のレギュラーを獲得した際にそれを使うというのだ。アキは呆気にとられるが、ユイは構うことなく次々とアイディアを出していった。

その後下校し、ふたりは喫茶リアスの隅でコソコソを話を始めた。そこでの話題は、アキの恋愛についてだった。アキは、自分が潜水士の試験に合格したら、種市(福士蒼汰)にデート(デート?デートなのか!?)してくれるよう約束を取り付けたことを報告した。ただし、それ以上の進展はない。

ユイは、来年の3月以降のことをアキに尋ねた。種市は高校卒業後、東京で暮らすことになる。そうすると、仮にふたりが交際を始めたとしても、遠距離恋愛になってしまうのだ。そのことを指摘したユイは、アキも東京で暮らすことを進めた。東京で正宗と一緒に住めばよいというのだ。ユイも高校を卒業したら東京に行く予定なので、また会えるという。加えて、東京で自分と一緒にアイドルを目指そうと誘うのだった。

それを盗み聞きしていた春子は嫌悪感を示した。アキは海女を目指しているのだから東京に行くなどと誘わないで欲しいと言うのだ。しかも、正宗とは離婚して縁を切るのだから、東京でアキが暮らすことはないと言い切った。

そこへ正宗(尾美としのり)が店に飛び込んできた。彼は北三陸市のタクシー会社への就職を決めてきたのだ。春子は正宗の独断に腹を立てた。しかし、正宗は意に介さなかったし、「来る者は拒まず」がモットーの夏(宮本信子)も彼を受け入れた。こうして天野家は5人が一緒に暮らすこととなった。

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NHK『あまちゃん』第39回

今から18年くらい前、僕がAL-Mailを使い始めた頃、ユーザー交流用メーリングリスト alm-hokkai で一回り年上のおっちゃんやお姉さんたちと知り合いになったのだけれど、彼らはみんな村下孝蔵の「初恋」が好きだと言っていたなぁと思い出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第39回めの放送を見ましたよ。

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第7週「おらのママに歴史あり」

春子(小泉今日子)は自分が17歳の時に歌った村下孝蔵「初恋」のデモテープをアキ(能年玲奈)に聞かせた。漁協からカラオケセットを借りてきて自分の部屋で録音したのだという。本当は松田聖子の歌にしたかったが、そのカラオケセットには収録されていなかったのだ。

同じ頃、スナック梨明日でも春子のデモテープが聞かれていた。春子からテープをもらった大向(杉本哲太)が大事に保管していたものだ。それがオーディション用のものだと知らなかった大向は、歌の内容から春子が自分に特別な思いを寄せていると勘違いして、大切にしていたのだ。自分と春子の特別な関係を見せつけ、正宗(尾美としのり)を嫉妬させようという魂胆もあった。しかし、正宗は冷静で、自分の知らない春子のことを知れてよかったと言うのだった。

春子はアキにそのテープを吹き込んだ時のことを話し始めた。1984年6月、デモテープは一次審査を通過し、当時17歳の春子(有村架純)はオーディション番組に出場できることとなった。その番組で10週勝ち抜けばアイドル歌手としてデビューできる。1回めの出場が7月7日(土)と決まり、その日に東京のスタジオへ行かなくてはならない。

6月30日の夜、春子は夏(宮本信子)に東京行きを願い出た。その日は観光海女の手伝いをすることになっていたが、東京でオーディションを受けることを希望した。10週勝ち抜くことは無理だろうが、1-2回程度なら勝てそうだ。どうしても出場したいと訴えた。

しかし、夏は難色を示した。春子が家を出て歌手になることを容認しがたかったのだ。春子が自ら10週勝ち抜きは難しいなどと、初めから諦めている態度が特に気に入らなかった。全勝して歌手になるなら認めるが、そうでないなら絶対に行かせないというのだった。そこで春子は、自分の決意が固いことを述べた。絶対に10週勝ち抜くことを約束した。それを聞いた夏は、春子の東京行きを認めることにした。漁協長・長内(でんでん)らは春子が海女になることを希望しているが、夏が彼らの説得にあたると約束してくれた。

その直後に長内が市長(北見敏之)を連れて家にやって来た。翌日の北三陸鉄道開通に合わせて、春子に高校生海女として海に潜って欲しいと頼みに来たのだ(第6回参照)。すると夏は、先ほどの約束を忘れてしまったかのように何もしゃべらず、春子を一切弁護しなかった。春子の海女就任を親として黙認する形となった。

春子はひどく腹を立てた。そんな夏の様子を見て、春子は北三陸鉄道の開通始発列車で家出したのだ。

そこまで話した春子は、未だに当時の夏の気持ちがわからないという。そして、結局アイドルになれなかった自分を省みて、東京に行ったことは失敗だったと後悔する素振りを見せた。そんな母に対してアキは、夏はきっと春子を応援していたのだろうと慰めた。そして、春子が東京に行ったおかげで正宗と出会い、自分が生まれたのだと喜びを表現した。

春子は、自分がアキの母親であることを思い出した。夏がそうであったように、子を持つ親というのは難しいものだと思い至った。春子は、アキが海女や南部もぐりを始めたいと言った時に強く反対ができなかった。同じ年頃の時に、自分が親の静止を振りきって家出した過去があったからだ。つくづく、親になるのは難しいものだと話した。

そこまで話すと、ふたりは明るく打ち解けた。話を打ち切り、今へ降りることにした。そろそろ夕食の時間である。

食卓に着くと、忠兵衛(蟹江敬三)は漁師を辞めると発表した。春子とアキという家族が増えたので、一緒に陸で暮らしたくなったのだという。67歳であるが、新しい仕事を見つけて働くのだという。アキは喜んだ。

しかし、夏は浮かない顔をしている。実は定期健診の結果、忠兵衛の体は漁師の仕事に耐え切れなくなって来ているのだという。それが漁師を辞める本当の理由だ。夏は春子にだけそのことを知らせた。

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