NHK『わろてんか』第3回

今朝は気温が低くてテンションの上がらない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第3回めの放送を見ましたよ。

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第1週『わろたらアカン』

くすり祭りが始まった。
薬問屋である藤岡屋は総代を担っており、儀兵衛(遠藤憲一)を中心に家族や使用人も総出で準備に駆り出される。てん(葵わかな)もご褒美のチョコレートを目当てによく手伝いをした。

仲の良い丁稚・風太(鈴木福)が、てんを祭り見物に誘った。大勢の芸人が出し物をしていて、特に落語が見ものだという。喘息の発作で静養中の兄・新一(千葉雄大)からも落語がいかに面白いかを聞き、俄然興味が湧いた。風太と一緒に出かけることにした。

落語はすでに始まっていたが、入場待ちの行列ができていた。てんと風太は正直に並んでいては見逃してしまうと思い、列を抜けて脇から会場に忍び込んだ。

はじめて落語を見るてんであったが、その面白さに魅了された。加えて、周りの客たちが大笑いしている姿にも感じ入るものがあった。

しばらく見ていたが、てんと風太がタダ見していることがバレた。係員から逃れるため、ふたりは会場中を走り回った。ついには高座にまで上がり込み、落語家(桂南光)の周りをぐるぐると逃げまどった。
その滑稽な姿に、客席は大いに湧いた。

てんは、自分が人々を笑わせているのだと気づいた。そして、笑いが人々にもたらす力を知り、有頂天になった。

落語会場を抜け出し、神社の境内を逃走していたてんは、派手な着物を着た若者・北村籐吉(松坂桃李)に出会った。彼は、相棒のキース(大野拓朗)と共に、食い逃げで追われているのだった。
追手を巻くために、それぞれが別れて逃げた。てんは籐吉と共に、祠の中に潜んだ。

腹をすかせた籐吉のために、てんは駄賃でもらったチョコレートを差し出した。チョコレートを初めて食べる籐吉はむしゃぶりついた。
籐吉は、自分は芸人だと自己紹介した。大阪で自分を知らないものはいないし、人々を大笑いさせる日本一の芸人だと説明した。てんは初めて芸人と話をして感激した。
籐吉は、てんの名を聞いて「てんご」(いたずら)のてんだと思いこんだ。また、てんに笑い禁止令が課せられていることを知ると、籐吉は笑えないなんてもったいない、人生を損していると述べるのだった。

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NHK『わろてんか』第2回

岡本玲さんが早く出てこないかなと、それだけを楽しみにしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週『わろたらアカン』

薬問屋を営む父・儀兵衛(遠藤憲一)は、大切な取引相手であるドイツ人一家を招いてパーティをひらいた。しかし、笑い上戸のてん(新井美羽)のせいで大切な薬瓶をわってしまい、相手は怒って帰ってしまった。
儀兵衛は激しく怒り、てんに二度と笑わないよう叱責した。

祖母・ハツ(竹下景子)は、てんに礼儀作法の身についていないことが問題だと考えた。品格が身につき、おしとやかになれば、父も許してくれるだろうと言うのだ。そこで、茶道や華道、琴などの稽古をてんにつけてやるのだった。

しかし、てんは、自分が父から嫌われているのではないかと悩み始めた。自分はおてんばで行儀が悪く、勉強も苦手である。良いところがないため、父は気に入らないのだろうと思うのだ。

悩みを打ち明けられた母・しず(鈴木保奈美)はそれを否定した。
儀兵衛はそもそも笑うのが苦手であり、笑いそのものを好まないだけである。てん自身のことを嫌いではないというのだ。
儀兵衛は厳しい丁稚修行で鍛えられた。親元を離れ、誰かに甘えることもできず、笑う暇もなく働き詰めだったから今のような無愛想な性格になったと説明した。事業を拡大するために、今でも徹夜で外国語を勉強し、苦手なホームパーティも率先して開くなど努力をしているというのだ。さらに、パーティでの失敗を取り戻すべく、新たな取引相手を開拓しようとドイツの薬品会社に必死で手紙を書いているのだ。
てんは、その話に感じ入った。

兄・新一(千葉雄大)が喘息の発作で静養することになった。学業優秀な彼であったが、学校も休学しなくてはならない。家の中が暗い雰囲気になった。

てんは新一へ近づくことも禁じられた。笑い上戸のてんにつられて、新一が笑ってしまうと発作で苦しめることになるからだ。てんは、自分の笑い上戸には良いことが一つもないと、ますますふさぎ込んだ。

母・しずは、そんなてんを慰めた。てんの笑い上戸と、新一の喘息には深い関わりがあるのだという。てんが4歳のとき、新一の喘息発作が始まって、家中が彼の看病にかかりっきりだった。その頃、誰にも相手にされず寂しいはずのてんが、急に小さなことで笑い出すようになったのだという。てんの笑い声で暗い家中が明るくなった。家の者はてんの明るさに感謝しているのだという。
そもそも、てんの名前も「お天道さま」にちなんでいる。いつでも明るく、まわりを照らす子でいて欲しいという願いが込められているのだという。

少しだけ元気を取り戻したてんは、こっそりと新一の部屋を覗いた。
やはり新一も、てんの笑顔が好きだった。自分の前では笑ってくれと頼んだ。新一は、喘息の発作だけでなく、学業や家の跡取りのことを考えると、いつも挫けそうになるという。父の期待に答える自信がないからだ。
それでも、笑っているてんを見ると元気が湧いてきて、頑張れるのだと話した。

その時、外から神社の祭りの音が聞こえてきた。世界中の薬の神様を祀った祭りだという。
てんは、新一の平癒を祈るため、祭りに出かけることにした。

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NHK『わろてんか』第1回

今日の僕にとっていちばん大切なことは何かと尋ねられれば、もちろん山瀬まみ(骨折のため療養中)の誕生日であると答える当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『わろたらアカン』

1902年(明治35年)。
主人公・藤岡てん(新井美羽)の生家は京都で一二を争うほど大きな薬問屋である。

父・儀兵衛(遠藤憲一)は使用人から身を起こし、一代で今の地位を築き上げた。周囲からの人望も厚く、一目置かれていた。しかし、目付きの鋭い頑固者で、一度怒ると手がつけられないと恐れられてもいた。

てんの欠点は笑い上戸であることだった。蝶が人に止まるだけでおかしくてたまらなくなり、大笑いしてしまうほどだった。
父・儀兵衛は、彼女のそんな性格を苦々しく思っていた。藤岡屋では薬を扱っており、それは人の生死に関わるものである。薬問屋の人間は、軽々しく笑うものではないというのだ。てんの笑い上戸はなかなか直らない。

ある日、父・儀兵衛は、ドイツ人の一家を家に招待した。ドイツの薬品会社の重役で、藤岡屋の商売にとって大切な客人である。当然、てんも給仕の手伝いなどとして客の前に出る必要がある。儀兵衛は、てんに笑わないよう厳しく釘を差すのだった。

てんは客に酌をする役目になった。その時、外から飛んできた蝶が客の頭に止まった。それがてんにはおかしくて仕方がなかった。なんとか我慢していた矢先、もう一匹の蝶がやって来て、同じように頭に止まった。2匹も止まっている様子を見てしまい、我慢の限界を超えた。

てんは大笑いして、手元が狂った。酒をテーブルの料理の上にぶちまけてしまった。慌てた一同が手を差し伸べたせいで、テーブルの上はますます混乱した。
ついには、客がドイツから持ってきた新発売の薬の瓶も床に落ち、粉々に砕け散った。
客は怒り、そのまま帰ってしまった。

儀兵衛はてんを蔵に閉じ込める仕置きをした。金輪際、笑うことを一切許さないと告げるのだった。

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NHK『ひよっこ』第4回

今日は、人類にとっては小さな一歩だが、自分にとっては大きな一歩となる報告をする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』の第4回めの放送を見ましたよ。

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第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』

茨城へ帰郷しようとしていた実(沢村一樹)は、赤坂の路地裏で偶然洋食店・すずふり亭を見つけた。サンプルケースには見たこともないメニューが並んでおり、実は興味津々だった。
ちょうど開店準備のために出てきた店主・牧野鈴子(宮本信子)に誘われ、実はここで食事をすることにした。

東京では、洋食はすでに庶民的な食べ物になっていた。しかし、茨木の農村や出稼ぎ労働者の飯場しか知らない実にとっては未知の食べ物であり、洋食店の内装や接客の様子も初めて経験するものだった。

すずふり亭は、気取らない店で、安くて美味しい料理を提供することで評判の店だった。しかし、出稼ぎ労働者の実にとっては懐事情が気になった。
そこで、料理の内容を吟味するのではなく、価格だけを手がかりにハヤシライスを注文した。

もちろんハヤシライスは見るのも食べるのも初めてである。しかし、一口食べただけで、その美味しさに感激した。

また、店主・鈴子が話し相手になってくれた。
自分は単なる出稼ぎ労働者であると卑下する実に対して、鈴子は自分にもっと誇りをもってよいと語った。最近の東京では、霞が関のビル群やオリンピックに向けた国立競技場などの建築ラッシュだが、どれも地方からの出稼ぎ労働者たちの働きによってできた。近代的な都市になったのは、東京がすごいのではなく、実のような人々が支えてくれているからであると話した。
実は食事だけではなく、鈴子の人柄からも満足感を得た。

勘定を済ませると、鈴子とシェフの牧野省吾(佐々木蔵之介)が手土産を持たせてくれた。ポークカツサンドが家族全員分用意してあり、故郷で皆と食べるとよいと言う。
鈴子と牧野は、このようなサービスを頻繁に行っていた。ふたりの阿吽の呼吸で、客が帰る頃にはカツサンドの手土産ができ上がるのだ。
実はますます感激して、茨城への帰路についた。

故郷・奥茨木村では家族が帰りを待ちわびていた。
やっと家にたどり着き、家族全員の顔を一目見ると、実は靴も脱がずに畑へ直行した。

実は故郷の土が懐かしかった。
畑の土を手にすくい、顔に近づけて匂いを胸いっぱいに嗅いだ。

その様子を見ていたみね子(有村架純)は、父は本当に農業が好きで、それだけをやりたがっているのだろうと思った。
どうすればいいか方法は分からなかったが、なんとかして父が農業に専念できるようにしたいと思うのだった。

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NHK『ひよっこ』第3回

峰田和伸だけが気になって、もう一日がんばろうという気になった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』の第3回めの放送を見ましたよ。

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第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』

谷田部みね子(有村架純)のおじ・小祝宗男(峰田和伸)が遊びに来た。
彼は次男だったので、離れた村に養子に出された。妻(山崎静代)は気性が荒く、宗男は息抜きに来たのだ。

子供の頃の宗男はおとなしい子で、いつも兄の実(沢村一樹)の後ろに隠れているような引っ込み思案な子供だった。しかし、戦争に行って彼は人が変わった。底抜けに明るく快活になり、風変わりな服装をし、冗談ばかり言うようになった。背中には戦争で負傷した大きな火傷の痕があり、よほど酷い目に遭ったのだと思われた。
みね子の家族は宗男のひょうきんな性格を慕っており、彼が来るだけで家中が明るくなった。ただし、実の父である茂(古谷一行)だけは、宗男の落ち着きのない様子を苦々しく思っていた。

みね子は、東京に出稼ぎに行っている父や、これから東京に就職する幼馴染のことを思うと東京を好きになれなかった。自分の大切な人たちが全て東京に取られているように思うからだ。
そんな彼女に対して、宗男は考えを改めるよう助言した。彼らはイヤイヤ東京に行っているわけではないし、家族のために出稼ぎに行っているのである。むしろ感謝して、笑顔で送り出すべきだと話すのだった。

そして、父・実が帰郷する日になった。
母・美代子(木村佳乃)は夫の帰宅が楽しみでならない。普段からメイクしない彼女が薄化粧した朝だった。お気に入りの一張羅のブラウスを着て、ウキウキと家事をしていた。

東京で帰路につこうとした実は、赤坂の路地裏で一軒の洋食屋を見つけた。仕込み準備をする料理人たち((佐々木蔵之介ほか)の威勢のいい声が聞こえてくる。サンプルケースには、実が見たこともないような美味しそうな料理が陳列されている。汽車の時間が迫っていたが、実は興味を惹かれてしばし佇んでいた。

すると、ちょうど開店の時刻となり、女主人(宮本信子)が看板の掛けかえのために表に出てきた。
彼女は実を店の中へ誘った。実はつられて入店するのだった。

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NHK『ひよっこ』第2回

明日の朝は二度寝の誘惑に勝てそうにない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』

谷田部みね子(有村架純)は高校3年生である。そろそろ卒業後の進路を決める時期である。

みね子は家に留まり、家業の畑仕事を手伝うことを決めていた。生まれ育った村や家族のことが大好きなので離れたくないのだ。

ひとつ気がかりなのは、父・実(沢村一樹)が東京に出稼ぎに行って、1年の大半を留守にしていることだ。自分が農作業を手伝うより、父が農業をやる方がいいに決まっている。みね子は中学を卒業する時に、集団就職で東京に行くべきだと考えたこともある。そうすれば家計の足しになるし、父も家に留まることができる。
そのことを父に相談すると、彼は高校進学を強く勧めた。それで進学して現在に至るのだが、みね子は今でも小さな後悔をしていた。

それでもやはり、みね子は地元を愛している。自分が東京に住んだり、そこで働いたりする様子を想像することができない。今の境遇が一番良かったと考えている。

幼馴染でリンゴ農家の三男坊である角谷三男(泉澤祐希)は、卒業後に東京日本橋の米屋で働くことが決まっていた。農家の三男なので、高校卒業後は家に居場所がないのである。

みね子の親友である助川時子(佐久間由衣)も東京のトランジスタラジオ工場に就職が決まった。村でも評判の美人である彼女は、女優になる夢を抱いている。そのことを吹聴したり話し合ったりしているわけではないが、周囲の者は暗黙のうちに理解している。東京の工場への就職は、女優への足がかりだとみなしているふしがあり、時子は就職についてこれといった感慨はなさそうであった。

みね子はますます東京が嫌いになっていた。父を出稼ぎで取られ、来春には幼なじみたちも東京へ行ってしまう。どうして皆が故郷の茨城で暮らすことができないのだろうかと思うのだった。

そんな矢先、東京の建築現場で崩落事故が起きたというニュースが飛び込んできた。テレビの報道によれば、出稼ぎの建設作業員5名が死亡したという。
みね子と母・美代子(木村佳乃)は、父・実の安否が心配になった。
ふたりは郵便局で電話を借り、やっとのことで実と連絡がついた。彼の無事を確認し、安堵するのだった。

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NHK『ひよっこ』第1回

本作の時代設定は1964年だそうだけれど、『あまちゃん』ヒストリーを見返して、夏ばっぱ(宮本信子)が橋幸夫に花束を渡した頃の話で、春子(有村架純)が生まれるのはその2年後なんだなと確認した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ひよっこ』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『お父ちゃんが帰ってくる!』

1964年(昭和39年)夏。
秋に開催されるオリンピックに向けて、東京は好景気に湧いていた。高速道路や地下鉄、新幹線が整備され、街にも多くの建物が建設されていた。地方から東京へ移住する人も増加し、東京は世界で初めて1千万の人口を有する都市となった。

そんな情勢の中、茨城県北部の奥茨城村の農家の長女として、谷田部みね子(有村架純)は暮らしていた。
高校3年生の彼女は、毎日1時間以上かけ、自転車(20分)、徒歩(5分)、バス(40分)の道のりで通学している。
それでも、朝早くから祖父・茂(古谷一行)の農作業の手伝い、母・美代子(木村佳乃)と共に朝食の支度、妹・ちよ子(宮原和)や弟・進(高橋來)の世話などを厭うこと無く行っている。学校から帰ってきても、家の手伝いを欠かさない。

みね子の父・実(沢村一樹)は東京の建築現場へ出稼ぎに行っている。ゆえに、一家の長女としてみね子は家の手伝いを率先して行わなければならないのだ。
そのような境遇にあっても、みね子は屈託のない明るい少女だった。秋の稲刈りの時期に父が帰ってくることを楽しみにしていた。

父は東京からの土産として運動靴を買ってくるのが恒例だった。みね子が通学に使っている靴も、父が以前に買ってきてくれたものだ。そろそろくたびれてきたが、みね子はそれを大事に履き続けた。

ある日、弟・進が裸足でちよ子に背負われ、こっそり帰ってきたことに気付いた。みね子が問いただしてみると、靴箱から取り出すときに過って靴を破損してしまったのだという。父の土産を壊してしまったことを家族に言い出せないのだ。

みね子は母に内緒で靴を修理してやった。しかし、ドジなみね子は修理に失敗し、もっとひどい状況にしてしまった。
母・美代子は子どもたちがこっそり靴の修理をしていることに気付いていたが、何も言わずに微笑ましく見守るのだった。

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嘘なんてひとつもないの

2017年3月7日から28日まで、BSプレミアムで『嘘なんてひとつもないの』(全4回)というドラマが放送されていた。
点けっぱなしのテレビから流れてきて、はじめは何の気なしに眺めていたのだけれど、シュールな展開と役者さんたちの巧みな演技に引き込まれて、熱中して見てしまった。

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主人公(須賀健太)は何年間も自室に閉じこもっている青年。
高校時代に親友に裏切られ、親友が犯した痴漢行為の濡れ衣を着せられてしまう。そのせいで人間不信に陥り、部屋から一歩も出ることができなくなってしまった。

そんな彼でも、旅客機のパイロットになりたいという夢を持っていた。自室に立派なフライトシミュレーターを設置し、独学トレーニングだけは欠かさなかった。
けれども、部屋から出ることができないので、操縦士養成学校に通うことはおろか、入学試験すら受けに行くことができない。夢は捨てずにいるものの、対人恐怖が全ての足かせとなっていた。
家族は母ひとり子ひとりであり、母(戸田菜穂)も彼に対して腫れ物に触るように接するばかりで、活路が見いだせないでいた。

ある日、主人公はネット上で自分と同姓同名(ヤマザキマコト)の女性のブログを発見する。彼女(石井杏奈)は職場で酷い目に遭わされて、主人公と同じように引きこもりになってしまったという。

主人公は、自分は正規のパイロットだと嘘をつき、テキストメッセージで彼女へ社会復帰のアドバイスを送る。内容は、いずれも自分がやるべきだと思っていても、自分ではどうしてもできずにいる事柄だった。彼女は受け取った内容を一つずつ実行し、成功報告を返してきた。
その行動に勇気づけられると共に嫉妬に駆られた主人公は、自分も同じことに挑戦していった。

少しずつ自室外へ行動範囲を広げていくことができた矢先、彼女から会ってお礼がしたいという提案があった。対人恐怖症である上にパイロットを詐称したことが露見することは避けたい。しかし、彼女の熱意と彼女へのかすかな恋心に後押しされる形で会ってみることにした。

しかし、全ては壮大な罠の一環であり、主人公は窮地に立たされる。
主人公はどうやって危機を脱し、本当の自分を取り戻していくのか。

というお話。

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人から騙されて対人恐怖症になった主人公が、傷口に塩を塗られるように、さらなる虚偽に嵌められ、ますます苦しめられる様子が痛々しい。
その痛ましい姿を好演する須賀健太がすごくいいし、彼を苦しめる女を演じる石井杏奈の裏表のある悪魔的演技もすごくいい。どちらも見ていてゾクゾクする。

そして、何より僕がこのドラマを気に入った理由は、どうしても他人事だとは思えないプロットのあったところ。
これ以上記事を長くしたくないし、一部ではとても有名な話だと言われているし、当ブログをつぶさに探せば情報が出てきたり出てこなかったりするので、割愛します。
わかるやつだけわかればいい。

なお、最終回は4月3日(月)23時45分からBSプレミアムで再放送です。

追伸:
今日はあの日だそうです。よ~知らんけど。

NHK『べっぴんさん』第2回

10年近く朝ドラを見ていると、「大阪制作朝ドラ(下半期)によく出てくる俳優」というのがわかるようになってきた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週『想いをこめた特別な品』

坂東一家の暮らす邸宅は、最近建築されたものである。坂東五十八(生瀬勝久)は大勢の客を招いて、完成披露パーティーを開催した。

パーティーには貴族院議員の田中五郎(堀内正美)や五十八の会社の取締役である野上正蔵(名倉潤)などの名士も招待されていた。田中と野上はそれぞれ息子の田中紀夫(玉山詩)と野上潔(大八木凱斗)を伴っていた。

すみれ(渡邉このみ)と姉・ゆり(内田彩花)が招待客の前で挨拶をすることとなった。
上品で外交的なゆりは卒のない挨拶を行った。一方、内向的なすみれはモジモジとして声を出すことすらできなかった。そんな彼女に代わって、姉のゆりがすみれの紹介をしてやった。

姉・ゆりは取締役・野上の息子である潔に好意を抱いていた。彼にいいところを見せようと、潔と議員・田中の息子・紀夫の前でピアノの演奏を披露した。ゆりの腕前は確かで、大人の客たちも耳を傾けるほどだった。
しかし、演奏を終えたゆりが振り返ると、そこに残っていたのは紀夫だけで、肝心な潔の姿はなかった。

その頃、すみれは別室で刺繍の練習をしていた。入院している母・はな(菅野美穂)のためにユリとスミレの刺繍を持っていったのだが、誰にも分かってもらえなかったことが悔しかったのだ。暇さえあれば、刺繍の練習に熱中していた。
そこへ、潔がやって来た。潔は一目見るなり、モチーフがユリとスミレであることを見抜いた。すみれは、自分の技術が向上したのだと思って嬉しくなった。

ある日、町の靴職人・麻田(市村正親)が家へやって来た。来年、女学校へ入学する姉・ゆりが靴を新調するためである。
その場ですみれは、靴は針と糸で革を縫い合わせて作られていると知った。刺繍の参考になると考えたすみれは、その夜、父・五十八の革靴を自室に持ち込み、ハサミで分解して構造を調べた。元に戻せなくなってしまったが、翌朝にはこっそりと元あった場所に戻しておいた。

靴を分解するだけでは飽き足らず、すみれは靴職人の麻田に話を聞きたいと思った。そのことを女中頭・喜代(宮田圭子)に相談したが、喜代には反対された。近頃、神戸の町中には人さらいが頻発していると新聞で報じられており、すみれが出かけるには危険だからだ。

そんな矢先、バラバラになった靴が執事の井口(曾我廼家文童)によって見つけられた。その靴は舶来物の高級な靴で、五十八のお気に入りのものなのだという。本人に知られる前に、麻田に依頼して修理してもらうことになった。

その時、偶然にも野上潔がお使いで家に来ていた。潔は町に帰るついでに、麻田へ靴を届けることを買って出た。
すみれは、靴職人・麻田を訪問するため、こっそりと潔の後を付けていった。すみれに気づいた潔は、夕飯までに帰ることを条件に連れて行ってやることにした。

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NHK『べっぴんさん』第1回

半年のご無沙汰で、いきなりこんなこと言うのもなんですけど、今回の朝ドラには義務感以外にほとんど関心のない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『べっぴんさん』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『想いをこめた特別な品』

昭和9年(1934年)、坂東すみれ(渡邉このみ)は神戸の高台に建つ豪邸で豊かな暮らしをしていた。

父・坂東五十八(生瀬勝久)は、大阪で衣料品を取り扱う会社・坂東営業部を経営していた。はじめは外国から輸入した布生地を取り扱う問屋業だったが、東京に工場を構え、洋服など自社製品を流通させることで事業を拡大。今では衣料品だけではなく、香水やカミソリなどの高級な衣料雑貨を手広く扱うことで業績は右肩上がりだった。
五十八は、自社ブランドを特別な品「べっぴん(別品)」として自信を持っていた。

母・はな(菅野美穂)は病気のため、長期入院していた。五十八が起業したころ、はなが会社を手伝っていた。彼女の内助の功は、会社の中でも広く知られていた。

すみれには、年の近い姉・ゆり(内田彩花)がいた。ゆりは快活で外交的な少女だった。

一方、すみれは思ったことをはっきりと口に出せないタイプだった。
父・五十八がイギリスから取り寄せた高級な生地を神戸の一流仕立て屋に持ち込んで、娘たちにおそろいの洋服を作ってやった。姉・ゆりは着用した姿を満面の笑みで父に披露したが、すみれはモジモジしてばかりだった。五十八は、すみれが洋服を気に入らなかったものと誤解して機嫌を悪くした。実際のすみれは、襟にあしらわれた刺繍をたいそう気に入っていたのだが、それをきちんと伝えることができなかったのだ。

人との社交性に難のあるすみれだったが、芯が強く、一度熱中したものはとことんまで突き詰める性格だった。
ある夜には、分厚い子供向け文学集を読み始めたら止まらなくなり、夜を徹してまるまる読んでしまうほどだった。もっとも、そのせいで翌朝はひどく寝坊してしまった。

すみれの宝物は、母がつくってくれた四つ葉のクローバーの刺繍だった。
母が元気だった頃、家族でピクニックに出かけた。そこですみれは、四つ葉のクローバーを見つけた。その時、母・はながクローバの4つの葉にはそれぞれ「勇気、愛情、信頼、希望」という意味があり、その4つが全て揃うと幸せになれるのだと教えてくれた。そして、クローバーをかたどった刺繍を作ってくれたのだ。
それ以来、母の言葉と共に、すみれはいつもクローバーの刺繍を持ち歩いていた。

一家は、病院の母を見舞うことにした。
姉・ゆりは家の庭に咲いていた花を摘んで持参した。ゆりの少女らしい振る舞いに一同は感心した。

一方のすみれは、母の刺繍道具を借りて、夜遅くまでかかって刺繍に取り組んだ。しかし、生まれて初めて見よう見まねで作業したため、そのできはひどかった。白い糸と紫の糸で何かが縫い付けてあったが、何をモチーフにしたものか判然としなかった。
父・五十八はそれを見て、悪意は無かったものの、吹き出してけなしてしまった。悲しくなったすみれは、一度手渡した刺繍を奪い取って病室を飛び出してしまった。

みんなには何を縫ったのか分からなかったが、母・はなだけはそれが「スミレとユリ」をかたどったものだと分かっていた。そう言って、五十八をたしなめた。

その夜、すみれは泣くほどの悔しさと悲しさで眠れなかった。
しかし、そこで諦めてしまうほど心の弱い少女でもなかった。夜中に起き出し、もっと上手くなれるようにと刺繍の練習を始めるのだった。

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