NHK『わろてんか』第13回

昨日は、あるにゃんの健康診断&予防接種の手伝いに行ってきた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第13回めの放送を見ましたよ。

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第3週『一生笑わしたる』

てん(葵わかな)と籐吉(松坂桃李)は、神社で偶然再開した。8年前、初めて自分の芸に笑ってくれた客の証として、藤吉がてんに渡した根付が手がかりとなって互いを認めた。
藤吉は、たいそう美人に成長したてんに見とれた。昔と変わらない笑顔も素敵だと褒めた。

てんは嬉しくもあり、恥ずかしくもあった。
一方で、藤吉の手紙に大阪の寄席のトリを務めるほど出世したと書かれていたの訪ねて行ったことを話した。しかし、どこの寄席に聞いても見つからなかったことを尋ねた。
それはホラだったのだが、藤吉はさらに嘘を重ねてごまかした。占いで大阪の寄席は方角が悪いと言われたので出演を取りやめたと取り繕った。そして、今は京都・新京極の寄席に出ているという。

てんを探しに来た風太(濱田岳)が割り込んできた。藤吉への敵意をむき出しにし、抱えるようにして急いでてんを連れ戻した。
その時、てんは根付を落としたことに気づかなかった。当吉がそれを拾い上げた。

帰宅後、てんはぼんやりしてばかりいた。藤吉との再会が嬉しくて仕方がないのだ。

一方で、父・儀兵衛(遠藤憲一)はなんとしても てんに婿をとって家を継がせようと躍起になっていた。
伊能栞(高橋一生)との結婚は破談になったが、彼の投資を受けて藤岡屋はドイツの医薬品の専門店として再出発をした。儀兵衛自身の年齢のこともあり、早く代替わりをしたいのだ。その上、そうすることがてんにとって一番の幸せだと信じて疑わなかった。

儀兵衛は、婿に求める条件を緩和することにした。5つも6つも見合い写真をかき集め、てんに選ぶよう命じた。
なかなか決められないてんは、妹・りん(堀田真由)と女中・トキ(徳永えり)にそそのかされて、易者に選んでもらうことにした。

その頃、藤吉もてんのことばかり考え、ぼんやりしていた。
彼に心を寄せる娘義太夫・リリコ(広瀬アリス)は腹を立てた。リリコは易者を金で買収した上で、藤吉にはその易者に占ってもらうよう勧めた。

藤吉のことを占った易者(海原かなた)は、リリコに言われた通り、藤吉が再会した女は大凶の相を持つと告げた。ふたりでいると次々に災難が起き、命に関わると言うのだ。
藤吉は、てんのことを忘れようとしかけた。

その時、仕切りで区切られた隣の易者(海原はるか)へ、女の3人連れのやって来る声が聞こえた。当吉がそっと覗くと、そこには てん がいた。

てん たちは、見合い写真を並べて、一番良い相手を見つけてもらおうとした。しかし、易者はどの写真もふさわしくないと告げた。
易者は、てんには他に好きな人がいるはずだと看破した。今想っている、その相手こそ運命の人だと指摘した。

一緒に聞いていた りん とトキは大騒ぎした。手紙をくれる旅芸人こそ運命の相手なのだと囃し立てた。
隣で聞いていた藤吉は、そこで初めて てんが自分に寄せる気持ちを知った。

帰り道、一人でいた てん のことをリリコが呼び止めた。
リリコは、藤吉が手紙に嘘ばかり書いていたことをバラした。その上、さらに嘘を重ねた。手紙を書いていた8年の間に、藤吉は芸人になることを諦め、大阪に帰ったのだという。ある日、大阪でリリコと再開した際、「運命の人だ」と言ってリリコにまとわりつくようになったなどと話すのだった。

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NHK『わろてんか』第12回

週刊朝日の『NHK朝ドラ「わろてんか」好発進 でも大阪では総ツッコミで…』という記事には、ヒロインが京都出身とされたことに批判が巻き起こっていると書かれているのだが、モデルとなった吉本せいの経歴をwikipediaで調べてみると兵庫県明石市の生まれだと書いてあり、結局大阪じゃねぇじゃんと突っ込まざるを得なかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第12回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

喘息発作から肺炎を患った兄・新一(千葉雄大)が亡くなった。
跡取りの唯一の男子を失ったのだが、藤岡家は間もなく明るさを取り戻した。家族の笑顔こそが新一の生前の願いであり、笑うことが何よりの供養になるからだ。笑いつつ、一家は店の再建を誓い合うのだった。

近頃、籐吉(松坂桃李)からの手紙が届かない。
それでも、てん(葵わかな)は平気だった。新一の死を境に、長女の自分が家を継いでいくことに決めたからだ。心の迷いを振り切るためにも、手紙の来ないことが好都合なのだ。

藤岡屋の経営が大きく傾いたことで、てんと伊能栞(高橋一生)の結婚も破談になった。
それでも、てんは栞を婿にとって一緒に家を継ぐのが一番良い方法だと考えていた。諦めきれない てんは独断で栞に手紙を書いた。しかし、返事は一向に来なかった。

てんが気を揉んでいたある日、前触れ無く栞が訪ねてきた。
てんの父・儀兵衛(遠藤憲一)を交えて、栞は訪問の理由を述べはじめた。

てんからの手紙には、新一の遺稿論文が同封されていたという。
新一の論文では、これからの時代は海外からの医薬品の輸入に頼るのではなく、日本で独自に新薬開発をすべきだと主張されていた。実際、近頃、ドイツに渡航した日本人が画期的な新薬の開発に成功したというニュースもあった。日本人が新薬開発に取り組むのもあながち夢ではないという点に栞も同意するという。

そこで、栞は藤岡屋の新薬開発に投資するという。本来なら伊能製薬が自前で行いたいのだが、自社は古くからの取引相手とのしがらみがあって思うようにならない。だから、藤岡屋に任せたいというのだ。
それは、新薬開発の点でも、藤岡屋の経営立て直しの点でも亡き新一の願いに合致する。藤岡家の一同は泣いて喜んだ。

ただし、栞はてんとの結婚だけはきっぱりと断った。
藤岡屋への投資はあくまでビジネスであり、自身の結婚とは別だというのだ。加えて、栞は西洋風の自由恋愛に憧れているという。誰かに決められたり、打算に基づく結婚をするつもりはないという。
てんとも知り合ったばかりであり、人となりがよくわからない。将来、互いに惹かれ合うことがあれば結婚することにやぶさかではないが、今はまだ段階ではないと言い切った。

隣室で盗み聞きしていた祖母・ハツ(竹下景子)が飛び込んできた。ハツは、栞の男前ぶりを心の底から気に入っていた。
てんが気に入らなければ、妹のりん(堀田真由)もいると勧めた。もし、りんもお眼鏡にかなわないならば、ハツ自身も候補に入れてほしいいう。未亡人だが独身なので、資格はあるというのだ。

ハツの剣幕に、栞は大笑いした。それまで終始硬い表情だった栞が初めて見せた笑顔だった。

てんは、帰っていく栞を追いかけた。直接お礼を言いたいというのが口実だった。

栞は、てんとふたりきりになったことで本音を話しはじめた。
みなの前では冷淡な口ぶりだったが、実は栞もてんに興味を持っているという。新一の論文を見つけて送ってきた機転に感心させられた。その上、添えられた手紙には家族を大切にするという思いが詰まっていた。
てんのような妻を娶れば、自分も幸せな家庭を築けるかもしれないと言うのだ。

しかし、栞の見立てによれば、今のてんには他に思いを寄せる男性がいるように思えると言う。
そこまで話して栞は去っていった。

家への帰り道、町では恒例のくすり祭りの準備が始まっていた。
その様子を眺めつつ、てんは藤吉と出会った時のことを思い出していた。

ぼんやり歩いていると、誰かとぶつかった。
その相手こそ藤吉その人だった。

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NHK『わろてんか』第11回

ヤバい、しんどい、体調悪い当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第11回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

藤岡家では、てん(葵わかな)と伊能栞(高橋一生)の結納の準備が大急ぎで進められていた。

しかし、栞の父・伊能(南条好輝)から、結納を延期するよう通知された。
藤岡家の薬品倉庫が焼け、店が存亡の危機にあることが知られてしまったのだ。経済的援助を目的に結婚を進めるわけにはいかないというのだ。儀兵衛(遠藤憲一)は抗弁することができなかった。

医者によれば、喘息の発作から肺炎を起こした新一(千葉雄大)は長くてあと1ヶ月程度の命だと宣告された。
家の中は火が消えたように沈み込んだ。

病床にてんを呼んだ新一は、てんに笑い続けるよう頼んだ。
新一によれば、笑いは人間だけの特権だという。人間は金や地位、名誉を競い、ひどい場合には戦争で殺し合う生き物である。そしてまた、人生は思い通りにならず、辛いことばかりである。そういった苦しみから開放されるために笑いがあるのだと話した。だから、辛いときこそ、みんなで笑えと命じた。
てんは満面の笑顔で、そうすることを約束した。

儀兵衛の姿が見えなくなった。
しかも、姿を消す直前には、自分のせいで店を潰してしまったと言い、使用人全員に暇を出したという。

みなで探すと、儀兵衛は蔵にいた。
天井から縄を吊るし、その前おいた踏み台に乗っていた。

首吊りを阻止しようと、みなは儀兵衛にすがりついた。
口々に、儀兵衛はギョロ目の仏頂面ですぐに怒るが、それでもかけがえのない家長であると訴え、思いとどまらせようとした。

やっとのことで床に引きずり下ろされた儀兵衛は、大声で叫んだ。
儀兵衛は、延期になった結納の品々を蔵の中に片付けようとしていたのだという。品物を縄に結びつけ、蔵の2階に持ち上げようとしていたところだったのだという。儀兵衛の言うとおり、縄は滑車に通されていた。

人騒がせな事件に、一同は大笑いした。
みなが笑う姿を見た儀兵衛は、笑いは人を幸せにする薬だとしみじみつぶやいた。仏頂面の儀兵衛も、この時ばかりは泣きながら笑った。
そんな儀兵衛の様子は、ますますみなを沸かせた。

新一は、病床でひとりその声を聞いていた。

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NHK『わろてんか』第10回

小西真奈美さんがいつの間にかシンガーソングライターとしての活動を始めているということを知って驚いた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第10回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

憧れの芸人・籐吉(松坂桃李)に会うため一人で大阪に向かったてん(葵わかな)は、ゴロツキ連中に乱暴をされた。

てんの後を追って大阪に向かった手代・風太(濱田岳)が彼女を見つけた時、騒ぎは収まっていた。
偶然通りがかった、てんの婚約者・伊能栞(高橋一生)があっという間に数人の男たちを叩きのめしたのだ。

てんは見合い写真で栞のことをよく知っていた。しかし、栞の方は てんのことを知らないでいた。
栞は薬品の貿易会社を率いており仕事が忙しい。文化芸術や大衆芸能にも興味があり、将来はそれを事業にすべく、趣味と実益を兼ねて取り組んでいるという。
そのため、自分の結婚には全く関心がない。てんの見合い写真は確かに送られてきていたが、書類の山に埋もれたままだった。てんと出会って初めてその写真を見た。

てんは大阪に来た経緯を話した。将来の夫である栞の前で、うっかりと藤吉に会って親の決めた結婚に応じる心の整理をしに来たと説明してしまった。
自分との結婚は本意ではなく、しかも別の男に会いに来たと聞かされたが、栞は意に介さず大笑いした。
そこで話は打ち切りになり、その晩は栞が手配してくれた宿に泊まり、翌朝一番の汽車で風太と共に帰宅した。

藤吉と栞の両方に会ったことのある風太は、藤吉よりも栞のほうがよほど良い人物であると評した。
てんも、藤吉はおとぎ話の登場人物のようだと言い、自分はもうおとぎ話に憧れる年でもないなどと、当吉を忘れようとする発言をした。

家では父・儀兵衛(遠藤憲一)が待ち構えていた。妹・りん(堀田真由)や女中・トキ(徳永えり)から事情を聞き、藤吉からの手紙のこともすっかりバレていた。
手紙はてんの目の前で火にくべられ、てん自身はお仕置きとして蔵に閉じ込められた。

兄・新一(千葉雄大)が独断で てんを蔵から出してくれた。彼が父に掛け合って、てんを許してくれるよう頼んでくれるという。
新一は、てんのことを糸口に、家業の状況について父に訴えた。儀兵衛は神戸港に借りていた薬品倉庫が全焼し、店が危機に陥っていることを誰にも話していなかった。新一は独自にそのことを知ったのだ。跡取りの自分に正直に打ち明けてくれなかったのが不満だという。まるで自分に期待を寄せていないように思われる。
さらには、儀兵衛が金策や店の存続のために てんを政略結婚させようとするのも納得いかないと訴えた。儀兵衛はカッとなって新一に平手打ちをするだけで口では整然と反論することはできなかった。

その時、藤岡屋の取引先の主人がこぞって押しかけてきた。
藤岡屋の倉庫の火災が噂となって広まってしまっているのだ。藤岡屋は輸入薬品に大きな投資をしていたことに加え、倉庫管理会社は夜逃げをして補償が受けられない、保険金もおりるあてが無いなど、藤岡屋にとって不利な話ばかりなのだ。債権者たちは、手形が不渡りになる前に金を回収しようとしているのだ。

商売人たちからの信用を失った儀兵衛は、遠くに住む親戚を回って金策をするしかない。しかし、儀兵衛なしでは押しかける債権者の対応ができない。
そこで留守番をかって出たのが新一だった。跡取りとして債権者への対応を立派に務めると豪語した。他の方法はないので、儀兵衛もその策を取ることに決めた。

実際、新一は見事に務めを果たした。しかし、元々体の弱かった新一である。3日目の晩に激しい喘息の発作を起こしれ倒れてしまった。連絡を受けた儀兵衛もすぐに帰ってきた。
医者によれば、肺炎を起こしており、難しい容態だという。ドイツでは特効薬が開発されたというが、それはまだ日本に入ってきていない。静養すること以外手はないというのだ。

日本に薬のないことは、誰よりも儀兵衛が一番よく知っていた。だからこそ、儀兵衛は店の命運をかけて、ドイツからの薬品輸入の道筋をつけようとしていたのだ。
儀兵衛は新一のことを高く評価していた。家に尽くすために無理をして勉学に励んでいる。実際に新一には見どころがあり、儀兵衛本人よりも世の動向をよく理解しており、将来への見通しも優れている。そして何よりも、新一が薬品流通に取り組んでいるのは、自分と同じように苦しんでいる人を助けたいという一心なのだ。

儀兵衛は、なんとかして彼の夢を叶えさせてやりたいと思っているのだ。

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NHK『わろてんか』第9回

7:15の『花子とアン』の再放送で黒木華さんを見て機嫌のいい当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第9回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

神戸港の大火災で、藤岡屋の薬品倉庫が全焼した。ドイツから輸入した薬品が全て焼けてしまった。事業転換の矢先の災難で、藤岡屋の経営が急落した。
儀兵衛(遠藤憲一)は金策に走るが、担保も将来性もない状態では応じてくれる者もいない。
こうなっては、伊能製薬との提携を一挙に進めるしかない。

儀兵衛は、てん(葵わかな)と伊能栞(高橋一生)との縁談を早急にまとめることにした。結婚はまだ先にするとしても、両家の結納だけは済ませてしまうことに決めた。次の大安の日に結納をすることにし、家族に準備をすすめることを命じた。家族は誰も反論することができなかった。

肝心のてんは気持ちの整理ができないでいた。
伊能栞は家柄もよく頭脳明晰であることに加え、男前である。非の打ち所のない結婚相手である。しかし、どういうわけか、結婚のことを考えても笑えないのだ。自分でもどうしてそのような気持ちなのかわからないでいた。
けれども、父の命令に逆らうことはできない。

てんは、一度、北村籐吉(松坂桃李)を訪ねてみることにした。彼の手紙にはいつも笑わせてもらっているからだ。
最近来た手紙には、彼が大阪・法善寺の寄席でトリに抜擢されるほどの大出世をしたと記されていた。てんは単身で法善寺へ向かうことにした。

京都以外を知らないてんは、手代・風太(濱田岳)に法善寺への道順を聞いた。使いで各地に出かけることの多い風太は、大阪の地理にも詳しかった。風太から教えてもらったとおり、てんは出かけていった。

その直後、風太はてんの行動を怪しんだ。しかも、法善寺の付近はガラの悪い地域である。世間知らずの てん がひとりで出かけることは適切ではない。
風太は仕事を放り出して、慌てて後を追った。

法善寺に到着した てんは、京都とは違う活気に溢れた大阪の町が物珍しかった。見るもの全てが新鮮だった。

そうして、藤吉の手紙にあった寄席・南北亭にたどり着いた。ところが、そこに藤吉は出演していなかった。客引きに尋ねても、当吉の名を知らないという。
付近には複数の寄席が建っている。てんは全ての寄席に問い合わせたが、藤吉の名を知る者はひとりもいなかった。

途方にくれた てんは、往来で座り込んでしまった。
そこへ、4-5人の男たちが声をかけてきた。自分たちは藤吉のことを知っていると述べ、てんを人影のない路地裏へ連れ込んだ。
男たちは てんに乱暴をはじめた。

少し前から彼らの様子を観察している者がいた。
その男が飛び込んできて、あっという間に狼藉者たちを叩きのめし、追い払ってしまった。

てんはその男に見覚えがあった。
自分の婚約者の伊能栞だったのだ。

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NHK『わろてんか』第8回

昨日はアウトドアビンゴ(まとめ)などという遊びをしていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第8回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

父・儀兵衛(遠藤憲一)は、大阪の大手製薬会社・伊能製薬との提携を企図している。そのため、てん(葵わかな)と伊能家の次男・栞(高橋一生)との縁談をまとめてきた。

栞は東京帝国大学を卒業後、現在は系列の貿易会社を任されているという。家柄が良く、頭も良いばかりでなく、見合い写真の姿も男前だった。家の女たちは羨ましがった。
しかし、肝心のてんには実感がわかず、どこか他人事のように思えた。

手代の風太は幼い頃から藤岡屋に奉公し、使用人でありながら、てんの幼馴染として共に育った。ケンカも多かったが、互いが良き理解者だった。
旅芸人・北村籐吉(松坂桃李)から届く手紙を仕分けし、秘密裏にてんへ渡しているのも風太である。

風太は、縁談に差し障るので、籐吉のことは忘れてしまえと諭した。そもそも自分が籐吉からの手紙を仲介していたことも誤りであったと反省し、今後は渡さずに処分すると話した。これまで届いた手紙は、風太が燃やすと言いだした。
籐吉からの手紙はてんの宝物である。辛いことがある度に読み、笑うことで救われた。たとえ別の男と結婚することになっても、この手紙だけは捨てられない。

てんと風太の間で手紙の束の奪い合いになり、揉み合ううちに手紙が破れてしまった。決まりの悪くなった風太は立ち去るしかなかった。
てんは泣きながら、台紙に破れた手紙を貼り付けて修繕した。手紙のことを知っている妹・りん(堀田真由)と女中・トキ(徳永えり)はてんの味方だった。その後、3人そろって風太のことを完全に無視した。

ある朝、登校するてんは兄・新一(千葉雄大)とふたりきりで歩いた。
新一が言うには、てんは父の決めた結婚には従わず、好きなように生きれば良いと助言した。一家の跡取りである新一には、伊能製薬と手を組まずとも難局を乗り切る計画があるのだという。だから、てんが政略結婚をする必要はないというのだ。

加えて、新一は風太のことにも触れた。風太が籐吉からの手紙を仲介していることに、新一はとっくに気付いていたという。とはいえ、父・儀兵衛にだけはバレなかったことは大いに評価するし、なによりも、彼が一人で危険を犯していた事は並大抵の苦労ではなかっただろうと評した。
てんは感じ入るところがあった。

その夕方。風太は池にかかった、人気のない橋でいじけていた。
そこへてんが姿を現した。風太は幼いときから、叱られる度にここへ来て泣いていた。てんはそのことをよく知っていたのだ。

てんは、持参した饅頭をふたつにわり、風太に分け与えた。
風太は、小さなときから、泣く度に てんから饅頭をもらっていたことを思い出した。悔しいが、涙がこぼれた。
嬉しく思いつつも、てんの前では強がって、憎まれ口を叩くのが風太の性分である。本当は自分の方が3歳も年上なのに、てんが自分のことを弟扱いするのが昔から気に入らないと悪態をついた。

そんな風太を てんは暖かく見守った。
籐吉の手紙と同じように、風太も自分にとって大切な宝物だと話して聞かせるのだった。

そんな頃、神戸港で大火災が発生した。
そこには藤岡屋の薬品庫が建っており、それが全焼したという。

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NHK『わろてんか』第7回

昨日の発表会の『M』(プリンセス プリンセス)はボロボロすぎて、とてもじゃないけれど記録映像を公開することのできない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第7回めの放送を見ましたよ。

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第2週『父の笑い』

1910年(明治43年)夏。
てん(葵わかな)は女学校に通っていた。商家の娘ならば、そろそろ嫁に行ってもおかしくない年頃だし、そのための躾も十分にできていた。

年に一度か二度ではあるが、旅芸人・北村籐吉(松坂桃李)から途切れること無く手紙が届く。幼女(新井美羽)の頃に会ったきり、8年間一度も会ったことはないが、てんは籐吉への気持ちが募るばかりだった。

手紙が届くたびに嬉しそうにしているてんの姿を見て、妹・りん(堀田真由)や女中・トキ(徳永えり)は、てんが恋をしているとからかった。これまで恋という感情を抱いたことのなかったてんは、慌てて否定する一方で、彼女らの言うことも的を射ていると感じるところがあった。
藤岡家の丁稚として てんと一緒に育った風太(濱田岳)は手代にまで出世していた。家に届く手紙を整理しているのは彼である。他の家族には知られないよう配慮してくれている。風太は奉公人として、雇い主の娘である てんのために身を粉にしているのだ。しかし、うさんくさい旅芸人から手紙が届くことを面白くは思っていなかった。

籐吉からの手紙を女学校で読んでいたところ、校長(林英世に見つかってしまった。旅芸人などという下賤な者から手紙を受け取るなど、はしたないことであり女学生にあるまじき行為である。母・しず(鈴木保奈美)が学校に呼び出され、激しく叱責された。
しずは、父・儀兵衛(遠藤憲一)には黙っておくことを約束してくれた。その代わり、籐吉のことは金輪際忘れてしまうよう命じた。商家の娘は、いずれかの商家へ嫁ぐのが運命である。旅芸人とは結ばれないのはもちろん、悪評が立っても困るのである。

そのころ、父・儀兵衛は大阪の先進的な薬品会社の社長・伊能(南条好輝)を訪ねていた。京都でも、西洋式の薬品を扱う問屋が台頭してきた。このままでは藤岡屋の商売が脅かされる。そこで、伊能製薬と手を結んで対抗したいと言うのだ。
伊能にとっても、京都の老舗薬問屋と提携することは願ったり叶ったりだった。ただし、そのためには家同士の確固とした結びつきが必要であると言う。

儀兵衛が大騒ぎしながら帰宅した。
伊能の息子(高橋一生)と てんとの縁談をまとめてきたのだ。

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NHK『わろてんか』第6回

発表会の出番は15時過ぎなのに、すでにステージ衣装(しけたんにそそのかされて買った)に着替えるほど気合の入っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第6回めの放送を見ましたよ。

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第1週『わろたらアカン』

くすり祭りでの笑い見世は、実は北村籐吉(松坂桃李)にとって初舞台だった。籐吉はガチガチに緊張しており、そのせいで出番を間違えた。
前の出し物のオチ直前に飛び出してしまい、場はめちゃくちゃに白けた。藤吉には罵声が浴びせかけられた。

それを見ていた てん(新井美羽)は楽屋に飛び込んだ。籐吉は、みなから離れ、ひとりで泣きべそをかいていた。

てんに気付いた籐吉は、こっそりと涙を拭き、ホラを吹いた。ちょうど出番が終わったところで、客は大笑いしていた。てんにも見せてやりたかったと話した。
しかし、てんは客席から一部始終を見ていたのだ。それを指摘されると、当吉は再び半べそをかいた。てんに帰ってくれと言うのが精一杯だった。

てんはかける言葉が見つからなかった。しかし、当吉と初めて会った日のことを思い出した。自分が差し出したチョコレートを当吉は大喜びで食べていた。てんは大急ぎで家に戻り、チョコレートを携えて籐吉のところへ戻った。

チョコレートを食べると、やっと籐吉に笑顔が戻った。そして、今日が初舞台だったのに失敗したこと、自称『日本一の芸人』というのは将来の姿を話しただけで、嘘をついたわけではないなどと話した。

てんは、以前の藤吉からの質問「笑いの色は何色か?」に対して「茶色」と答えた。それは正解だった。
てんは自分だけの手柄にするではなく、家族のみんな相談し、最終的に兄・新一(千葉雄大)が考えてくれたと正直に話した。

当吉は、てんの家族が円満なことを羨ましがった。籐吉の育った家は、笑顔がひとつもない冷え切った家だったという。そんな経緯もあり、当吉は芸人になったのだという。笑いは心を暖かくする。ひとりが笑えば、それが広がり、みんなが幸せになる。日本中を明るく暖かくするのが自分の目標だと話した。

真剣な話をしているのに、籐吉の口の周りにはチョコレートがベッタリとついていた。それはまるで泥棒ヒゲのようだった。てんは大笑いした。
てんが笑う姿を見て、藤吉は てん こそが自分の客の第一号だと認定した。ずっと笑っていて欲しいと頼んだ(「ずっと わろてんか」)。
旅芸人である藤吉は、今日を最後に京都での仕事を終え、次の土地へ移る。日本中の旅先の様子を手紙で送ると約束した。また、チョコレートへの例として鳥の根付(鈴付き)をてんに渡した。

約束通り、藤吉は先々からまめに手紙を送ってくれた。単なる近況報告だけではなく、土地土地にちなんだ小咄なども書いてくれる。それが面白くて、いつも笑いながら読んだ。
それは何年も続き、てん(葵わかな)は笑顔の眩しい年頃の娘となった。

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NHK『わろてんか』第5回

今日は黒木華さんと仲良しの友だちになる夢を見てゴキゲンなので、わりと寛大にまとめ記事に取り組めそうな予感のする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第5回めの放送を見ましたよ。

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第1週『わろたらアカン』

家の酒を誰かが盗み飲みしているという事件が起きた。
てん(新井美羽)が隠れて見張ったところ、下戸のはずの父・儀兵衛(遠藤憲一)が犯人だった。

しかし、てんはそのことを誰にも告げることができなかった。自分に責任があると思ったからだ。父はドイツの薬品会社との取引を開拓するためドイツ人担当者(ケビン・キャニング)を家に招いて接待したのだが、そのパーティをてんがめちゃめちゃにし、取引もご破算になった。それを苦にして父が変わってしまったと思ったのだ。

てんは、独断でそのドイツ人へ謝罪に出向いた。彼に日本語は通じないが、てんは日本語でまくし立て、土下座して謝った。

結局、埒はあかず、てんは落ち込んで帰宅した。そして、父に打ち明けた。自分のせいで儀兵衛が変わってしまい、酒を飲み始めてしまったこと。その原因がパーティを台無しにした自分にあること。てんは泣きながら父に謝った。

てんの行為に感じ入った儀兵衛は、台所に飛んで行くと、家中の酒を全て流して捨ててしまった。てんのおかげで、自分の憑き物が取れたと皆の前で宣言した。
そして、てんへ課していた笑い禁止令を解除した。一同は大笑いした。藤岡家が久しぶりに明るい雰囲気に包まれた。

くすり祭りの最終日。家族と使用人全員でお参りに行った。
お参り後、てんはみなと離れ、笑い見世を見物に行った。

そこでは、歌舞伎の有名な一場面を面白おかしく演じるというものが披露されていた。芸人たちの滑稽な姿に、てんも他の客も大いに笑っていた。

しかし、その盛り上がりを台無しにする事件が起きた。
次の場面に登場するはずの芸人が、誤って先に出てきてしまったのだ。せっかくの場面が台無しになり、客からは罵詈雑言が飛んだ。
出番を間違えた芸人は、猪の扮装をして飛び出してきたものだから、あまりに無様であった。

その芸人の顔をよく見ると、いつか出会った自称日本一の芸人・北村籐吉(松坂桃李)だった。

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NHK『わろてんか』第4回

酒を飲みながらぼーっと見る分には面白いのかもしれないな、とちらりと考えた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『わろてんか』の第4回めの放送を見ましたよ。

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第1週『わろたらアカン』

祭りから帰ってきた てん(新井美羽)は、日本一の芸人だと名乗る男・北村籐吉(松坂桃李)に出会ったことを母・しず(鈴木保奈美)や祖母・ハツ(竹下景子)に興奮しながら話した。一方、てんと同行していた丁稚・風太(濱田岳)は、藤吉はうさん臭い男で泥棒まがいだと断じた。
てんが特に印象に残っていたことは、藤吉から「笑いの色は何色か?」と聞かれたことだった。
てんには答えがわからなかったし、母のめでたい「赤」や兄・新一(千葉雄大)の「茶」(ちゃらける、ちゃかす、おちゃめ、など「茶」のつく言葉が多い)などの案も違うような気がするのだった。

藤岡家の台所では、誰かが酒を盗み飲みしているという騒ぎが起きていた。客用の高価な酒の瓶から、毎晩少しずつ酒が減っているのだ。
藤岡家の者は、家長・儀兵衛(遠藤憲一)をはじめ誰も飲酒はしない。
真っ先に疑われたのは、盗み食いの常習犯の丁稚・風太であった。しかし彼は、まんじゅうの盗み食いは認めたが、酒にはいっさい手を付けていないという。
祭りのどさくさに紛れて、泥棒が盗んでいるという案も出た。しかし、金目のものには手を付けず、酒を少しだけ飲んで逃げるというのも不可解である。
祖母のハツは、この家には昔から化け猫が取り憑いていると言い出した。その化け猫の仕業だろうというのだ。

風太は、自分の濡れ衣を晴らすためには、化け猫退治に取り組むことにした。てんを誘って、夜中の台所に潜んだ。

そこでてんが見たものは、茶碗に酒を注いで飲んでいる父・儀兵衛の姿だった。

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