知り合いからのメールで「・・・当方が、○○しましたよ」をパクられた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第113回めの放送を見ましたよ。
怪我をして村井家に転がり込んだ深沢(村上弘明)は事情を話し出した。大手出版社と『ゼタ』との合併が破談になったのだという。合併後も深沢に編集長を任されるはずだったが、無名漫画家の掲載を一方的に拒否されてしまった。大手が欲しかったのは、『ゼタ』でも深沢でもなく、茂(向井理)ら一部の人気作家だったのである。無名作家発掘をライフワークと考える深沢は、それを不服としたのだ。
大きな予算を獲得し、大事業を行うチャンスだったのに、深沢がそれを台無しにした。これまで彼に付き添ってきた秘書の加納郁子(桜田聖子)もついに愛想を尽かして退職してしまった。
ビジネスチャンスを失い、同時に公私共に支えてもらった郁子をも失ったことで、深沢は自暴自棄になってしまった。酒場で漫画のことを愚弄する客に出会い、彼らとケンカになった。そこで怪我をして村井家にたどり着いたのだ。
深沢は後悔していた。志を共有して会社を起ち上げた郁子であったが、ふたりの意思は離れ始めていた。それに気づきつつも深沢は対策を講じなかった。最終的に、自分の志と郁子を天秤にかけ、前者を選んでしまったのだ。郁子を失うことの重大さに気が回っていなかった。
布美枝(松下奈緒)は、郁子も全く同じジレンマに悩まされていたのだと解釈した。そして、彼女も深沢と同じように、大切な人よりも、自分の志を選んだのだろうと想像した。自分には真似のできないことであるが、そういう人物が世にいることは理解できるし、彼らはその点に関して考え方が完全に合致していたのだと解釈した。
姉の総括を聞いて、いずみ(朝倉えりか)も自分の進むべき道を考え直した。
自分には、郁子のように東京で職業人としてキャリアを積むことはできそうにない。そしてまた、布美枝のように専業主婦として家族のために自分を犠牲にすることもできそうにない。一方で、心を寄せる倉田(窪田正孝)には、初志貫徹して、立派な漫画家になって欲しい。
いずみが下した結論は、自分が実家に帰ることだった。そこで自分を見つめ直し、自分の将来を打開しようというのだ。父(大杉漣)の勧める見合い話も、頭ごなしに拒否するのではなく、一度会ってみるなど冷静に判断する必要もあるだろうと考えるのだった。
8月下旬、いずみが実家に帰る日となった。茂やアシスタントたちが見送る中、倉田だけが姿を見せない。
いよいよ布美枝が運転する車(彼女は免許を取得した)で出発しようとしていたところ、倉田が息を切らしながら駆け込んできた。いずみと約束していた「金で買えないけれど、素敵なもの」の準備に手間取っていたのだ。
彼は、画用紙に水彩絵の具でいずみの肖像画を描いた。優しい笑顔のいずみが描かれていた。それは、いずみにはいつまでも笑顔でいて欲しいという倉田の願いと激励が込められていた。倉田との別れに一度は涙を流すいずみであったが、本物の笑顔を倉田への置き土産として帰っていった。
その日、年明けから『ゲゲゲの鬼太郎』がテレビ放送されることが決まった。