NHK『ゲゲゲの女房』第137回

 南明奈のことを「胸が小さい」の代名詞としている(参考)当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第136回めの放送を見ましたよ。

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「妖怪はどこへ消えた?」

 河合はるこ(南明奈)が村井家を訪ねてきた。彼女は少女漫画家を目指して状況したが失敗し、田舎に帰っていった過去がある(第89回参照)。その後、教員になるべく何年も努力を続け、やっと春から本採用の小学校教師になれたという。
 漫画の道は挫折したが、本質的な部分で教師も漫画家も変わるところがないとはるこは考えている。漫画を描くか、授業をするかの違いはあるが、世の中の面白いことを表現し伝えることに違いはないのだという。そのはるこの表情は、活き活きとしていた。
 また、今の自分があるのは茂(向井理)のおかげだという。挫けそうになるたびに、茂の「漫画家魂」という言葉を思い出して自分を励ました。真剣に漫画に打ち込んだ姿勢は、将来何かの形で実を結ぶ、それが言葉の意味だ。

 順風満帆に見えるはるこの教員生活だが、心を痛めている問題もあるという。子供同士での揉め事が起きて、胃潰瘍になる者まで出てしまった。子供たちをのびのびさせるにはどうすればいいか悩んでいる。
 そこで、子供たちに楽しい話をしてやって欲しいと茂に頼み込んだ。教室に閉じ込めて点取り競争させるのではなく、山や川で好きなように遊ばせたい。そこに茂にも来てもらって、河童や妖怪など、怖いけれど面白い話を聞かせてやりたいというのだ。
 そのアイディアに賛成はするものの、茂は自分が出ていって話をすることにはあまり乗り気になれなかった。

 帰り際、はるこは布美枝(松下奈緒)にだけこっそり打ち明けた。茂には妖怪の話だけではなく、「漫画家魂」の話もしてやって欲しい。自分はその言葉に何度も勇気づけられた。子供たちもそうなるに違いないと考えているのだ。

 はるこが帰った後、布美枝は茂が子供たちに話をすることを勧める。茂は、今時の子供は河童などの話に興味はないだろうと、はじめから諦めている。開発が進んで環境が変わってしまったせいで、雰囲気のある川も存在していない。子供たちにピンとくるはずがないというのだ。

 布美枝は、環境が変わってしまっても河童いる。川の底でじっと呼んでくれるのを待っている。茂が出かけていって呼びかけるべきではないかとほのめかす。
 さらに、河童の住みにくい世の中は、人間にとっても住みにくい世の中ではないかと茂に問いかける。その言葉は、奇しくも、学校生活に馴染めない喜子(荒井萌)が茂へ間接的に悩みを打ち明けた時と同じものだった。

 そこで茂は悟った。自分自身が「漫画家魂」をなくしていた。売れるかどうかの点取り競争にはまり込んでしまって、漫画を描く楽しさや、眼に見えない妖怪たちの存在を見失っていた。
 河童や妖怪はもちろんだが、子供たちの住みにくい世の中は良くない。それを再認識した茂は、はるこの教え子たちに話をしてやることに決めた。

 そして、茂が子供たちに会いにいく日。
 その日は、喜子の修学旅行の出発日でもあった。クラス内で孤立してしまっている喜子はなかなか寝床から出ようとせず、できることならこのまま家にいたいと思っている。起こしに来た布美枝の背後から、茂が騒いでいる声が聞こえてくる。いつもは寝坊の茂が、朝早くから起きていることが喜子には不思議だった。布美枝は、茂も張り切って頑張っているのだから、喜子も頑張れと発破をかけて送り出した。
 茂は、子供たちと川遊びをしながら河童の話をした。最初は半信半疑だった子供たちもだんだんと興が乗ってきて、自分が聞いた妖怪の話を披露し始める。彼らと触れ合うことで、茂はますます元気を取り戻してきた。

 その時、茂は藪の向こうにただならぬ雰囲気を感じた。その方向に行ってみると、川に妖怪「あずきあらい」を見つけた。
 泊まる予定を急遽キャンセルし、茂は家に帰って来るなり、時分が見たものを楽しそうに布美枝に報告するのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第136回

 明日はゲゲゲ仕事をしてから(本来の)仕事に行くか、(本来の)仕事に行ってからゲゲゲ仕事をするか迷っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第136回めの放送を見ましたよ。

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「妖怪はどこへ消えた?」

 直接話したわけでもないのに、茂の両親(風間杜夫、竹下景子)は茂(向井理)の不調に気づいた。ふたりは別々に、布美枝(松下奈緒)に対してアドバイスをした。
 義母の絹代は、気を抜くと人はダメになるという。忙しい時こそ人は張り合いを感じて生き生きとするが、仕事がなくなると一気に萎んで危険な状態になる。だから、茂には栄養のあるものをどんどん食べさせて元気づけるのが良いと言う。
 一方、義父の修平は真逆の助言をする。茂が売れっ子になったことこそ異常なことであり、今は休息が必要な時だと言う。茂はそもそも絵を描くことが好きな人間だから、のんびりやれば良いのだ、と。
 どちらの意見が正しいのか判断のつかない布美枝であったが、両親が各々の方法で気遣ってくれるのがとても嬉しかった。

 喜子(荒井萌)は中学校でますます孤立していた。修学旅行のしおりの表紙を作る係になり、古都・京都にちなんだ妖怪を多数配置したイラストを描いたところ、同級生たちにひどく馬鹿にされた。さらには、感性がズレている、一緒に修学旅行に行きたくないなどと陰口を言われているのを聞いてしまい、深く傷ついた。

 神社の境内で落ち込んでいた喜子は、偶然に茂と出くわした。父の前では明るく振舞おうとし、妖怪の話をするよう茂にせがんだ。茂は文明化された世の中をさし、日没後も電灯で明るいせいで妖怪たちは登場のタイミングが分からなくなっているのだ、妖怪の住みにくい世の中になったと言った。
 それを引き取った喜子は、妖怪の住みにくい世の中は、人間にとっても住みにくい世の中なのだろうとつぶやいた。茂は娘の異変に気づいたが、それ以上は何も言わず、優しく静かに語らいを続けるのだった。

 ふたりが家に帰ると、戌井(梶原善)が茂を待っていた。戌井は、再度漫画文庫の出版をする計画があり、茂に協力を求めに来たのだ。
 戌井の妻(馬渕英俚可)は苦しい経営状況の中、経費を削減し、漫画文庫出版の費用を捻出した。彼女は、元気のなかった戌井に予算表を叩きつけ、夫を激しく鼓舞したのだ。そしてついに、戌井もその気になった。
 貸本漫画時代の茂の漫画を復刻させる計画であるという。戌井によれば、当時の茂の漫画は熱いのだという。力強い画、面白いストーリー、眼に見えないものを見せる表現力、どれをとっても一流のできだという。それを現代に蘇らせたいのだ。

 しかし、茂はあまり乗り気ではなかった。出版するのは戌井の勝手だが、「水木しげる」の名では本は売れずに失敗すると言うのだ。最近の自分は、漫画の注文が皆無になるほど人気が凋落していると自嘲した。

 その点は戌井も気になっており、最近の茂の漫画は物足りないとハッキリ告げた。
 しかし、茂の将来は明るいと信じていると付け足した。茂は売れない時代にも努力して力作を描き続けた。そしてついに大成功を掴んだ。茂の漫画は本物であり、不死身である。いつか再び突破口が開けると、本心から励ますのだった。

 その言葉に茂は活力を取り戻した。まずは、自分の古い漫画を読み返し、自分が見失ったものを見つけようとし始めるのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第135回

 出張先で80-90年代アイドルの話で1時間以上も盛り上がってしまった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第135回めの放送を見ましたよ。

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「妖怪はどこへ消えた?」

 一切仕事がなくなったのと歩調を合わせるように、茂(向井理)はかつてないほどの大きな鬱状態に陥った。
 大事にしていた民芸品をガラクタだと言って見放してしまったり、この先収入が一切なくなるかもしれないと弱音を吐いたりしている。ついには、妖怪など本当は存在していないとまで言い出す始末だった。

 茂は時代が変わったと思っている。子供たちはロボットに夢中で、大人たちは金儲けにしか興味がない。鬼太郎のような妖怪物は受けないと思い込んでいる。一方、茂の貧乏時代の自伝漫画の注文は来ている。豊かになった現代、貧しかった日本を懐かしむ機運が高まっているようだ。しかし、その仕事にも茂は乗り気になれない。

 ここまで落ち込んだ茂を見るのは、布美枝(松下奈緒)も初めてのことだった。娘たちも動揺しはじめている。特に喜子(荒井萌)は、茂から妖怪はいないとハッキリ聞かされ、ショックを受けた。

 茂はこれまで何度も窮地を脱してきた。布美枝はそれを信じて見守ることしかできなかった。

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