NHK『カーネーション』第43回

「果報は寝て待て」という言葉の好きな当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第43回目の放送を見ましたよ。

* * *

第8週「果報者」

善作(小林薫)は「小原呉服店」の看板を下ろし、糸子(尾野真千子)とハル(正司照枝)以外の家族を連れて家を出た。

善作は、地元の名士の紹介で、隣町の質屋の店主に収まった。そこは家付きの店なので家族を引き連れて移ったという。善作は自分が糸子の将来の邪魔をしていることを理解していた。また、糸子の稼ぎで食わせてもらうばかりの状態も辛く思っていた。そこで、一念発起して自分の人生を立て直そうとしているのだ。

糸子にとっては寝耳に水だった。家族がバラバラになってしまうことが悲しくて仕方なかった。自分が洋裁をやりたいと言い出したことがこの様な事態を招いたのだと、激しく後悔した。
夜遅くに、母(麻生祐未)が様子を見に来てくれた。母の顔を見るや、安堵と悲しみで感情が爆発した。母の胸でいつまでも泣き続けるのだった。そんな糸子を、母は優しく慰めてくれた。家族は誰も糸子のことを恨んでいない、糸子は自分のできることを精一杯頑張れと言って励ましてくれた。

それから2ヶ月ほど経った、昭和9年(1934年)4月。善作の置き土産である「小原洋裁店」の看板を店頭に掲げた。いよいよ糸子は自分の店を始めた。近所の人々が集まって祝福してくれたのはもちろん、家族も全員やって来て一緒に喜んでくれた。
糸子は満面の笑顔で新しい人生をスタートさせた。

しかし、商売は必ずしも順風満帆ではなかった。以前からの知り合いを中心にポツポツと客は来てくれたが、少しも繁盛しているわけではなかった。

そんなある日、神戸のおじ(田中隆三)が訪ねてきた。家で茶を出そうとするが、おじはそれを断って、糸子を近所の喫茶店に連れて行った。すると、そこには川本(駿河太郎)がいた。川本は開店祝いだと言って、カーネーションの大きな花束を贈ってくれた。

開店を祝ってくれたことはとても嬉しかった。しかし、神戸のおじと川本という奇妙な取り合わせに、糸子は緊張するのだった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第42回

北大で日本人間行動進化学会第4回大会が開催されており、昨夜はたくさんの知り合いのセンセー方が札幌での飲食を楽しんだようで羨ましいなぁ、今日と明日の発表も面白そうだしいいなぁ、僕も行くことにすれば良かったなぁ、と今になってに残念がっている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第42回目の放送を見ましたよ。

* * *

第7週「移りゆく日々」

昭和9年(1934年)、2月。
年内で末松商会を辞め、洋裁屋として独立するつもりだった糸子(尾野真千子)だが、それは叶わなかった。相変わらず、末松商会で働いていた。客がひっきりなしに訪れ、昼食すらゆっくり摂れない毎日だった。

ある日、仕事を終えて家に帰ってくると、店の戸がしっかりと閉められ、家はひっそりしていた。何よりも驚いたことは、小原呉服店の看板が降ろされていたことだった。

その前日、善作(小林薫)はある決意をしていた。

相変わらず呉服店の仕事はさっぱりで、もっぱら謡教室などの副業ばかりをやっていた。しかし、謡教室の方も弟子がどんどん減っていき、今では1人だけになってしまった。弟子の方も本当は辞めたかったのだが、自分が最後の1人かと思うと言い出しにくかったのだ。
ついに善作は教室を閉じることにした。弟子に将来のことを聞かれても、新しいことをするつもりはないと力なく答えるだけだった。

その夜、善作は吉田屋に商店街の旦那連中を集めて宴を催した。
若女将の奈津(栗山千明)は、珍しいことなのでそっと座敷の中を覗いていた。善作はいつになく真剣な表情で、これまで22年間呉服屋をやってきた礼と、これからのことで頼みがあると話し始めた。話の核心に迫った時、奈津は客の見送りに呼ばれた。急いで戻ってきたが、すでに善作の挨拶は終わっており、座敷の中は無礼講になっていた。結局、善作の決意が何なのか分からないままだった。

翌朝、またしても酔いつぶれた善作は、居間に転がったまま寝坊した。娘たちが出かけていく物音を聞きながら、物憂げに目を覚ました。娘らが全員家を出ると、ハル(正司照枝)は何かを言いかけながら善作を起こした。
ハルの小言を黙らせると、一人で外に出ていき、店の張り紙を全部剥がし、看板も降ろしてしまった。善作の決定に抗えないハルはもう何も言わなかった。千代(麻生祐未)は涙を浮かべながらじっと見つめるだけだった。

そして、その夕に糸子が帰ってきた。看板が降ろされ驚いていると、祖母のハルを残して家族全員がいなくなっていることにも気づいた。
ハルによれば、これからはふたりだけの生活が始まるのだという。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第41回

「心の旅」、「なごり雪」、「木綿のハンカチーフ」は”汽車と別れプレイリスト”に登録され、脳内iPodで何度も繰り返し再生されている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第41回目の放送を見ましたよ。

* * *

第7週「移りゆく日々」

糸子(尾野真千子)の働きにより末松商店は大繁盛した。さらに、洋服のデザインの説明用に即興で絵を描いたところ、それがまた評判を呼んだ。生地の裁断サービスだけではなく、デザイン画も描いてもらえるということで、入店を断るほどまで客が殺到した。

店は確かに繁盛したが、糸子は商売人としての勉強は何も進んでいないことを自覚した。毎日、裁断と絵を描くばかりで、それは以前から身に付けていた技術に他ならないからだ。自分は以前と同じ事をしているだけなのに、店は繁盛する。その理由はなんなのか、糸子なりに考えた。

その結果、自分が変わったのではなく、周囲の状況が変わったのだと気づいた。岸和田にも洋装が浸透し始めているのだ。今こそ独立の絶好の機会だと思った。父に何と言われようが、これ以上商売について学ぶ必要はない。時代の波に乗ることこそが重要だと決意した。

今日はクリスマスだ。仕事帰りにクリスマス・ケーキを買って帰った。善作(小林薫)はまだ帰宅していなかったが、家族たちはケーキに喜び、大はしゃぎした。
そこへ、いつものように善作が酔っ払って帰ってきた。家族は少し緊張した。

糸子は前置きもなく、末松商店を年内で辞め、年明けからは家で洋裁店を始めると宣言した。それは、善作に有無を言わせないという態度を隠さない言い方だった。自分は2軒の店を繁盛させた、給料もほぼ全て家に入れた、家族に扇風機やクリスマスケーキを買ってくる甲斐性もある。
今では、善作に代わって自分が一家の大黒柱だ。善作に口出しされる筋合いはないと啖呵を切った。

その主張に、当然ながら善作は激怒した。糸子を張り倒し、家族が楽しみにしていたケーキをひっくり返し、家を出ていってしまった。

残された家族は全員泣き出した。楽しかったはずのクリスマスケーキが台無しになったことと、糸子の境遇が不憫なことに涙が止まらなかった。家族はみんな糸子の味方だった。泣きながらも糸子の働きに感謝し、善作に翻弄されていることを慰めるのだった。

しかし、糸子の気持ちはとうてい収まらなかった。これ以上善作と顔を合わせたくないと言い、夜遅いにも関わらず、糸子は神戸の祖父母宅(宝田明、十朱幸代)に向かった。

しかし、糸子の予想に反し、祖父母宅にも自分の居場所はなかった。あんなに温かいと思っていた神戸の家が、今ではすっかり変わってしまっていた。東京の大学に進学したイトコの勇(渡辺大知)は、すっかり東京弁を話すようになっており、距離を感じた。おじ(田中隆三)夫婦も洗練された洋装をし、優雅かつ堂々とした立ち居振る舞いで、糸子はどこか近寄り難さを感じた。
糸子の最大の庇護者であった祖父母は第一線から退き、奥の部屋でひっそりと暮らしていた。以前なら糸子に会っただけで大はしゃぎしたものだが、今は特に感情の動きもなく、ぼんやりしていた。代替わりをして、すっかり覇気がなくなってしまっていた。

店に何も言っていないので仕事のことが心配だと言って、糸子は一晩過ごしただけで岸和田に帰ることにした。
しかし、糸子にとって本当の心配事は店のことではなかった。今まで自分を守ってくれた人も場所もすでになくなっていることに気づいたのだ。これからは自分が祖父母を守る立場になるのだ、いつまでも彼らに甘えてはいられないと自覚したのだった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第40回

オープニング・テロップに大山役として春やすこの名があったのだが、どこに出てきたのかわからなかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第40回目の放送を見ましたよ。

* * *

第7週「移りゆく日々」

ロイヤル紳士服店の先輩職人だった川本(駿河太郎)が家に訪ねてきて、糸子(尾野真千子)の帰りを待っていた。特に用事は無いが、糸子の顔を見に来たのだという。
母・千代(麻生祐未)や、幼なじみで喫茶店のボーイの平吉(久野雅弘)は糸子の恋人だと思い込んで興奮するが、そんなつもりのない糸子は冷静に否定する。そもそも糸子には、川本が訪ねてきた理由にまったく心当たりがなかった。川本は糸子の顔を見ることが目的だと何度も繰り返したが、糸子はそこでほのめかされている理由に全く気づかないのだった。
川本はロイヤル紳士服店に新しい洋裁師が入ったこと、女性用洋服の受注も相変わらずであることなどを話した。しかし、新しい洋裁師は糸子ほどの腕前は無いだろうというのだ。客の喜び方が、糸子の場合と違うのだと話してくれた。
そのような話をして、川本は再訪を約束して帰っていった。糸子にはもちろん、川本がまた来る理由が分からなかった。

糸子は、昼は生地の売り子、夜は自宅でセーラー服の縫い子として懸命に働いた。その頑張りの甲斐もあり、10月の給料はずいぶん良かった。しかし、連日の深夜までの仕事のせいで疲れきっていた。朝食の時も、仕事の休憩時間も、少しでも時間があれば居眠りばかりするようになった。
それでも、ここが正念場だと自分に言い聞かせ、弱音を吐かずに仕事を頑張った。

この前、洋裁を始めたいと相談に来た客・長谷(中村美律子)が、完成したワンピースを来て店にやって来た。本人によく似合う、素敵な洋服ができたと大喜びしていた。
それに気を良くして、近所のおばさんを2人ばかり連れて来てくれた。糸子は以前と同じように、本人に似合う生地選びと裁断を行い、あとは縫うばかりのところまで整えて布地を売った。

店主の末松(板尾創路)は、糸子の手腕に舌を巻きながらも、商売はそうそううまくいくものではないと小言を言うのだった。ところが、そんな末松を遮ったのは、店の奥で縫い子をしているおばさんたちだった。
彼女らは、糸子のやり口を見ていて、自分たちにも生地選びと裁断をやって欲しいと次々に頼むのだった。それからというもの、糸子の休憩時間は全て彼女らに捧げられることになった。縫い子らもきちんと代金を支払うので、末松は何も口を挟まなかった。

糸子が毎日寝不足で苦労しているのを知っている縫い子らは、糸子のノルマを全員で手伝ってくれるようになった。おかげで糸子はゆっくりと体を休めることができるようになると同時に、売り子の仕事に集中して頑張れるようになった。
それからは、歯車が噛み合ったように、物事がうまく進んだ。

最初に生地選びを手伝ってやった客が、さらに噂を広げて客を連れてくるようになった。縫い子のおばさんたちも同様だった。芋づる式に客が増え、あっという間に店は繁盛するようになった。裁断待ちに1時間もかかるほどの賑わいとなった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第39回

これまで「飯は食えれば十分。食器はなんだっていい」と思っていたのだが、最近自分で作った料理をtwitterにアップするようになってから、毎日同じ皿だというのも芸がないよなとか(1日目2日目3日目)、オシャレな皿に盛りつけたらもっと美味しく食べられるんじゃないだろうかなどと考えるようになった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第39回目の放送を見ましたよ。

* * *

第7週「移りゆく日々」

奈津(栗山千明)は丸髷に結ってもらった。それは自分の少女時代との決別だった(既婚女性は丸髷にする習慣がある)。

仕事帰りの糸子(尾野真千子)は、髪結いの息子・勘助(尾上寛之)と道で出くわした。夕食はカレーライスだと聞いて、糸子は勘助の家について行った。すると、ちょうど奈津が髪を結い終わって帰るところだった。奈津は、自分は結婚するのだから、これからは子供時代のように馴れ馴れしくするなと言って、つかつかと帰って行った。
糸子らは髪結いの玉枝(濱田マリ)から、奈津が陰で苦しんでいることを聞いた。糸子は彼女のことを思うと複雑な心境になった。

ロイヤル紳士服店を辞めた糸子は、あらたに末松商店で働き始めた。ここは元は布地を売る店だったが、セーラー服の取り扱いも始め、店で縫製して売っている。洋裁の腕を買われた糸子は、店の奥で縫製を任されることになった。店にはおばさんばかり4-5人の縫い子がいた。仕事をしながらお菓子を食べたり、みんなで歌ったりと、楽しい職場だった。明るく、新入りにも優しい職場は初めてだったので、糸子は心底良い所だと思った。

しかし、糸子は洋裁の技術を磨きに来たのではないことをすぐに思い出した。善作(小林薫)から、もう1軒店を繁盛させることが洋裁店を開く条件だと言われていたのだ。
そこで糸子は、店主の末松(板尾創路)に売り子をさせて欲しいと願い出た。セーラー服縫製のノルマは家に持ち帰って夜に行い、昼間は店頭に立つことを提案した。そういうことなら店に損害は無いし、末松も店番をしなくて済むようになるというので認めてくれた。

しかし、糸子のがんばりにも関わらず、さっぱり店は繁盛しなかった。糸子は客に高い布を勧めたり、予備の生地を買わせようとするが、その言いなりになる客は皆無だった。家に仕事を持って帰ると、初めのうちは面白がって手伝ってくれた家族たちも、次第に飽きてきてほとんど手伝ってくれなくなった。末松からは少しも繁盛する素振りが見えないなどと、面と向かって皮肉を言われる。
糸子は商売の厳しさを知り、同時に仕事がつまらなく思うようになってきた。

ある日、一人の客(中村美律子)がやって来た。彼女は初めて洋服を縫うつもりなのだが、どうしていいかわからないと糸子に相談した。末松や他の客がいないのをいいことに、糸子は通常の接客以上に彼女に親身にした。客に似合う生地選びを根気よく行い、客の体に合わせて生地の裁断まで手伝ってやった。商売っ気を度外視し、あとは客が縫うだけの所まで整えてやった。
その布地を受け取ると、客は大満足で帰っていった。糸子もとても嬉しく思った。

一方、家での糸子は、呑んだくれてばかりの善作に腹が立つばかりだった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第38回

ドラマ『坂の上の雲』の記者会見で高橋英樹が「3年がかりの大作なので途中で予算が切れ、最後はナレーションだけで済ますのではないかと心配した」などと言っているのを聞いて(ここに出ている会見の発言だが、件の発言はカットされているようだ)、話が完結する前に打ち切りになり最終回は文字説明ばっかりだった漫画界の迷作『日露戦争物語』(江川達也)を思い出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第38回目の放送を見ましたよ。

* * *

第7週「移りゆく日々」

糸子(尾野真千子)のイブニングドレスはダンスホールの踊り子たちの間で大評判となり、ロイヤル紳士服店は大繁盛だった。2ヶ月先まで埋まっていた注文も、やっと折り返し地点まで来た。すると今度は、最初の頃にドレスを作った客が普段使いのワンピースも欲しいと言ってくるほどだった。婦人服をバカにしている店主(団時朗)であるが、金儲けのクチになるのでたいそう機嫌が良かった。

踊り子のサエ(黒谷友香)と糸子はすっかり打ち解けていた。最近のサエはロイヤル紳士服店には顔を出さず、糸子が居る時を狙って家に遊びに来るようになった。サエはロイヤル店主の意地汚い性格を知っており、彼と顔を合わせたくないのだ。彼に金が流れるのも気に入らない。
家にはミシンもあるし、糸子の評判は高まっていることを理由に、サエは糸子に独立することを勧めた。糸子もその気になり始めた。

早速、糸子は善作(小林薫)に店を辞めて独立したいと相談した。
ところが、酒を飲んですでに酔っ払っている善作はめちゃくちゃなことを言い出した。まず、糸子が「小原洋裁店」と言ったのが気に入らなかった。ここは呉服店だと言ってへそを曲げた。
次に、ロイヤル紳士服店に修行に出た糸子が身に付けたのは職人の腕前だけであり、そもそもの目的である商売人としての腕は挙げていないと難癖を付け始めた。イブニングドレスで繁盛したことは認めるが、それだけで商売人として成功しているとは言えない。

そこで善作は、もう1軒別の店を繁盛させることができたら独立させてやってもいいと、酔いに任せて適当な約束をした。
糸子は腹を立てたが、それに従うほかなかった。ロイヤルの店主に、ドレスを全て仕上げたら店を辞めることを申し出た。金のなる木を失うわけにはいかない店主は、困った顔を見せたり、怒ったりして引きとめようとするが、当然糸子の意思は固かった。父との約束のことを打ち明けると、店主は呆れてしまいそれ以上何も言えなくなった。

その頃、奈津(栗山千明)が玉枝(濱田マリ)の店に髪を結いにきた。翌日が入籍だという。ただし、父(鍋島浩)の喪中で式は挙げられない。父が買ってくれた高価な花嫁衣裳なのに、父が自分で無駄にしてしまったなどと、奈津は皮肉な冗談を言っていた。

ところが次第に顔を曇らせ、玉枝に打ち明け話を始めた。自分は小さい頃からずっと、玉枝の息子である泰蔵(須賀貴匡)のことが好きだったのだと。自分のことなど知られていないと思っていたのに、名前を知ってくれていて嬉しかったなどと話した。そのあたりまで話すと、しくしくと泣き出すのだった。
玉枝は人払いをし、奈津の気が済むまで店で泣かせてやるのだった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第37回

今朝の『額縁をくぐって物語の中へ』はゴヤの「着衣のマハ」&「裸のマハ」であって、2枚を並べるととてもエロチックであり、服を着ている方はばっちりメイクなのに、裸の方は化粧が取れて髪も乱れているという説明にますますエロさを感じた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第37回目の放送を見ましたよ。

* * *

第7週「移りゆく日々」

昭和8年 (1933年)、奈津(栗山千明)の父(鍋島浩)が死んだ。

糸子(尾野真千子)は葬式に行く気になれなかった。奈津は小さい時から糸子に敵愾心を持っており、糸子にだけは絶対に弱みを見せようとしない。父を失くして大変な時に、糸子に会うと神経が参ってしまうのではないかと心配なのだ。
しかし、幼なじみの父の葬式に参列しないわけにもいかず、渋々と出かけていった。ところが、そこで見た奈津はいつも以上に気丈に振舞っており、糸子を目の前にしても少しも動じるところがなかった。

一方、糸子の仕事は大忙しだった。
サエ(黒谷友香)のイブニングドレスが評判を呼び、他の踊り子たちがロイヤル紳士服店に殺到した。店主(団時朗)はホクホクしながらも、糸子に無理難題を押し付けた。1着を3日で仕上げろというのだ。背広を最高級の製品だと考え、ドレスは女子供向けの低級品だと思っている店主は、ドレス作りに手を抜いても構わないから、とにかく早く仕上げろというのだ。店の職人たちも同様で、ミシンは背広づくりに優先され、糸子はミシンも使うことができなかった。

糸子は立腹した。
しかし、踊り子たちが1日でも早くドレスで踊りたいという気持ちもわかり、素早く仕上げることを重要視した。そこで、客の体に布を当て、直接裁断するという工夫を始めた。型紙を作る工程が省ける分、早く作成できるのだ。その工夫が成功し、客も店主も満足した。

店でミシンが使えないので、糸子は自宅のミシンでドレスを縫っていた。
ある日、芸妓の駒子(宮嶋麻衣)が訪ねてきた。2ヶ月先まで仕事の詰まっている糸子は彼女の依頼を一時的に断らざるを得なかった。残念がる駒子であったが、ふたりは久しぶりに女同士で楽しくおしゃべりをすることができた。

仕事で奈津の料亭にも出入りする駒子は、彼女の家の様子を教えてくれた。
先代女将である奈津の母(梅田千絵)は意気消沈し、ほとんど仕事もできない状態になってしまっている。その分を取り戻すかのように、若女将の奈津が気丈に働いているという。以前と同様に元気であるし、ツンツンとして口やかましいという。奈津の結婚に関して、式は無期延期のままだが、婿の入籍だけは済ませたのだという。一刻も早く、店に男手が欲しかったのではないかと思われた。

今年もだんじりの時期になった。
奈津のことが気がかりな糸子は、大好きなだんじりもどこか上の空だった。奈津が強がっていることが手に取るように想像できたのだ。こういう時は素直に泣くのが一番なのにと心配になってきた。どんな事でもいいから、自分が奈津に刺激を与えて、彼女の感情を爆発させてやる必要があるのではないかとまで思うのだった。

そんな中、だんじりの喧騒の中で泰蔵(須賀貴匡)と八重子(田丸麻紀)の息子が迷子になってしまった。
それを偶然見つけたのは、得意先回りに行く途中の奈津だった。どこの子かはわからなかったが、川辺に近づこうとしていたのを危ない所で呼び止めたのだ。すると、子供を探していた泰蔵がすぐにやって来た。

彼は奈津の初恋の人である。けれども、泰蔵は奈津のことを知らないので、いつも一方的に眺めるだけだった。今でも彼を見ると気が動転してしまう。
ところが今日は、泰蔵が奈津の父のことで励ましてくれた。奈津は自分のことが泰蔵に覚えられていると知ると嬉しかったが、ますます正気を失った。舞い上がってしまい、お使いのことを忘れ、今来た道を引き返してしまうのだった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第36回

今朝はオープニング・テロップを見ながら「???」となった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第36回目の放送を見ましたよ。

* * *

第6週「乙女の真心」

サエ(黒谷友香)と喧嘩別れしたことで、糸子(尾野真千子)は店主(団時朗)に激しく叱責された。他の職人たちが帰った後も、長く怒鳴られていた。

やっと解放され、店から出ると同僚の川本(駿河太郎)が待ってくれていた。糸子が泣きながら出てくると思い、慰めてやろうと思っていたのだ。
しかし、意外にケロッとした様子で川本はあてがはずれた。それでも、川本はかき氷を食べに誘った。

かき氷をペロリと平らげ、この暑いなか休むことなく怒鳴り続けた店長の方が大変だったに違いないなどと、糸子は少しも悪びれる様子がなかった。けれども、洋服づくりに没頭すると儲けを度外視してしまう悪い癖があるのだと川本に打ち明けた。父(小林薫)にも叱られた過ちを繰り返したことを反省するのだった。
そこまで話して一人で満足してしまうと、糸子は後ろを振り返ることもなくさっさと家へ帰ってしまった。川本はもう少し糸子と一緒に居たかったのだが、それを口に出すことはできなかった。

翌日は激しい雷雨になった。
そんな悪天候にもかかわらず、サエが再びロイヤル紳士服店にやって来た。

サエは糸子に正直な胸の内を語りだした。
自分は客のことを単なる金づるだと思い、彼らを適当にあしらうように踊りの相手をしているのは真実だ。岸和田の客には、どうせ踊りの良し悪しなどもわかるはずがない。
しかし、一人だけサエの踊りを褒めてくれた客がいた。その人は、彼の仕事の世界で成功している立派な人物である。道を極めた人に認められたことはとても嬉しかった。サエには踊りの才能があると認め、修行を積めばもっと上手になると言ってくれた。けれども、自分は精進することもなく、相変わらずその場しのぎの仕事しかしなかった。そのうち、その客にも指名されなくなってしまった。

その客というのが、サエにイブニングドレスのことを話した客であり、サエがドレスを見せたい相手だった。衣装をいくら着飾ったところで、中身が変わるわけではないことはわかっているが、どうしても着たいのだと、サエは本心を語った。

糸子はその話に感じ入るものがあった。糸子は洋裁講師・根岸(財前直見)の教えを常に忘れていない。人は着るものによって中身が変わると信じている。
糸子はサエのドレス作りを再び請け負うことに決めた。そして、自分が全身全霊をかけて一流のドレスを作ると約束した。サエに対しては、その一流のドレスに吊り合うだけの踊り子になるよう精進しろと、傲慢ながらもサエを勇気づけるに十分なエールを贈るのだった。

それからふたりは二人三脚でドレス作りにとりかかった。生地選びや試着、仮縫いなどを何度も繰り返した。糸子は少しも妥協を許さなかった。サエも嫌な顔ひとつせず付き合った。納期が遅れることも気にしなかった。ふたりは目標に向かって最大限の努力をした。

そしてついに、満足の行くイブニングドレスが完成した。
その日の夜、早速サエが着用するというので、糸子はダンスホールの見学に行った。そこでは、サエは男性客に取り囲まれ、ひっきりなしに指名を受けていた。ホールの真ん中で踊る姿も華やかで、堂々として見えた。糸子もそれを見て満足だった。

しばらくすると、上等な身なりをした男がホールに現れた。彼が入ってくると、店内は時が止まったかのように静まり返った。サエを取り囲む人垣が自然に崩れ、その男は一直線にサエへ向かって歩いた。サエは何も言わず、優雅に彼の誘いを受けた。
意中の客と踊るサエは、さっきまでの様子に輪をかけて美しかった。ホールにはふたりの他には誰もいないかのように見えた。

ただし、その客というのは歌舞伎役者の春太郎(小泉孝太郎)だった。糸子がこの世でもっとも嫌いな男の一人だった。彼のニヤケ顔を見ていると胸がムカムカしてくるのだった。

ちょうどその頃、奈津(栗山千明)の父親(鍋島浩)がこの世を去った。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第35回

NHK『額縁をくぐって物語の中へ』を見ていて、江戸時代の絵師・歌川国芳の作品に「其のまま地口 猫飼好五十三疋」という猫のとんち絵で東海道五十三次を描いたものがあることを知り(Wikipediaで調べる)、また東海道を走りたくなった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第35回目の放送を見ましたよ。

* * *

第6週「乙女の真心」

踊り子・サエ(黒谷友香)のイブニングドレスを受注した糸子(尾野真千子)であったが、どうも気が進まなかった。サエの傲慢な態度が気に入らないのだ。
同僚の川本(駿河太郎)は、そんな糸子を励ましてくれた。立派なイブニングドレスを仕立てればダンスホールで評判になり、多くの踊り子が糸子の元へ殺到するに違いないと言うのだ。それを聞いて糸子はその気になり、迷いも吹っ切れた。

ロイヤル紳士服店での仕事を早めに終えると、自宅でイブニングドレス作りに没頭した。神戸の祖母(十朱幸代)から借りてきたドレスを勝手に分解して研究した。徹夜して、その日のうちに安い布を使用した試作品を完成させた。

そのまま眠り込んだ糸子が再び目を覚ますと、母・千代(麻生祐未)が勝手にドレスを着て踊っていた。若い頃、何度もイブニングドレスを着て舞踏会に行ったことがあるのだという。意外なところに参考人がいることに糸子は驚いた。
千代によれば、糸子の試作品は踊りやすさが全く考慮されていないという。ダンスのポーズを取ると布が引き連れて違和感があるという。そのため、ドレスと踊り手の見た目も悪くなってしまうと指摘した。

しかし、どこか間の抜けている千代は、ドレスを仕立てる時の具体的な手順はすっかり忘れてしまっていた。糸子の詳しい質問には一切答えられなかった。そこで糸子は、神戸の祖母に電話で話を聞いてみた。祖母によれば、仮縫いと試着を繰り返し、本人の体型にぴったり合うまで何度も修正を加えるのだと教えてくれた。
サエの人となりを好きになれない糸子は、彼女に何度も会う羽目になるのが気に入らなかったが、教えてもらったとおりにすることにした。

ロイヤル紳士服店で試作品を試着したサエは大喜びした。もう何も作りなおす必要はないから、これをそのまま引き渡せと騒ぎ出した。
しかし糸子は、これはあくまで見本であり、粗末な生地で作ってあるので売るわけにはいかないと断った。自分は客に最高のものを着せるという矜持がある、だからこんなものを着せるわけにはいかないのだ。

糸子とサエは激しい口論になった。
糸子は、洋裁とダンスという専門分野の違いはあるが、その道の玄人として最高のものを客に提供したいという気持ちがわかるはずだと主張した。ところがサエは、自分はそんなに立派なものではないと反論した。自分の仕事は、男に合わせて適当に踊るだけであり、専門性も矜持も持ち合わせていないと言い切った。

糸子はそのように下品な女のドレスを作るつもりはないと啖呵を切り、部屋を出ていってしまった。
残されたサエはじっと考えこんでしまった。

* * *

続きを読む

NHK『カーネーション』第34回

昨夜、数カ月ぶりにジョギングをしたら、今朝は全身筋肉痛に襲われて難儀している当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第34回目の放送を見ましたよ。

* * *

第6週「乙女の真心」

今年の夏は暑くなった。
ロイヤル紳士服店では、雑用のほとんどが糸子(尾野真千子)に押し付けられていた。糸子が炎天下で一人で作業している間、店主(団時朗)と他の従業員たちは屋内でティータイムを満喫していた。

店主の自慢話に、従業員たちはお世辞を言って彼のご機嫌をとっていた。店主によれば、自分はいつまでも岸和田の田舎者を相手に商売するつもりはない。近い将来、心斎橋や東京に進出するつもりだと大きな事を言っていた。

そんな話をしている矢先、ダンスホールの踊り子・サエ(黒谷友香)がロイヤル紳士服店に現れた。店のことは糸子から聞いた、自分のためにイブニングドレスを仕立てて欲しいと言うのだった。
すぐに糸子が店内に呼ばれた。店主は、糸子が心斎橋百貨店の制服を作ったことを紹介し、婦人服に詳しい糸子なら完璧な仕事をこなすだろうと推薦した。この時、糸子はイブニングドレスが何なのか知らなかったが、洋服に詳しい店主なら助言してくれるだろうと思い、控えめながら仕事を引き受けることにした。

早速サエの採寸が始まった。ふたりっきりになった糸子は、勘助(尾上寛之)のことをおずおずと尋ねた。しかし、サエは騒動を起こした勘助などにはこれっぽっちも会う価値がないと面白くなさそうに答えた。とりあえず勘助が更生したことに安心し、糸子はそれ以上何も言わなかった。後に勘助の母(濱田マリ)に聞いてみたところ、その話に嘘はなかった。

現在、サエら岸和田の踊り子は和服にエプロンという出で立ちでダンスをしている。サエは、自分の上客にその姿をバカにされたという。東京などのダンスホールでは女性はイブニングドレスを着ているが、岸和田の踊り子は田舎くさいと笑われたのだという。勝気なサエは、その客を見返したいというのだ。前金として、10円もの大金を躊躇なく置いて帰っていった。あとで知ったことだが、一流の踊り子ともなると、月に軽く300円は稼ぐのだという。

店主は金払いのいいサエにほくほくした。
サエがいなくなったので、糸子は店主にイブニングドレスがどういったものなのか詳しく聞こうとした。しかし、店主も自分は紳士服専門だからと言って、何も知らないことを白状した。これは糸子の仕事だといって、全ての責任を押し付けた。多額の前金を手にしたことで、店主は今さら仕事を断るつもりもなかった。

困った糸子は、ファッションに詳しい八重子(田丸麻紀)にダンスホールの新聞記事を見せてもらったり、舶来物をたくさん持っている神戸の祖母(十朱幸代)にイブニングドレスを見せてもらったりした。それでおよその感じを把握できた。

一方で糸子は、人は老いてゆくという自然の摂理を生まれて初めて意識しはじめた。
勘助の母が奈津(栗山千明)から聞いたという話では、彼女の父は倒れて寝込んだままだという。奈津は母(梅田千絵)と助けあってなんとか料亭を切り盛りしているが、結婚式は延期になったままだという。
神戸の祖母も体調を崩して寝ていた。本人らは風邪をこじらせただけだと軽く言っているが、明らかに様子がおかしかった。あまり喋ろうとしないし、大好きなカステラにもほとんど手を付けられずに残してしまっていた。

自分の父・善作(小林薫)も最近はまったく覇気がない。酒ばかり飲んでは、酔いつぶれて布団に入らずに朝まで寝ていたりする。糸子を怒鳴る声にもめっきり元気がなくなった。糸子は、善作のことを少し見くびるようになった。
けれども、彼の気持ちがわからないでもない糸子だった。歳をとり、店も潰れる瀬戸際にある。目をかけていた長女・糸子が、自分の期待を裏切って商売人として使いものにならない。酒に溺れるのも当然かも知れないと思うのだった。

* * *

続きを読む