NHK『純と愛』第3回

オバQ的なものといえば、『のび太の人類補完計画』第8話のラストにクソ笑った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『純と愛』の第3回めの放送を見ましたよ。

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第1週「まほうのくに」

純(夏菜)はビジネスホテルのベッドで目を覚ました。オオサキプラザホテルの採用面接で失敗したことにショックを受け、リクルートスーツのまま倒れるように眠りこけていた。
採用ならば今日までに電話がかかってくることになっている。しかし、一向に電話は鳴らず、望みが薄いことに落ち込んでいる。
客室の窓を開けると、大阪城の淀んだ堀が目の前に見えた。宮古島の青い海を思い出し、ホームシックにかかるのだった。

携帯電話が鳴った。
喜び勇んで出てみたが、それは実家の母(森下愛子)からだった。面接の首尾を聞かれ、純は強がりを言い、成功したと答えた。しかし、失敗したことはすぐに母に見抜かれた。電話口で父(武田鉄矢)は宮古島に帰ってきても一切面倒は見ないと喚いている。純も、絶対に父の世話になどならないと喧嘩腰で答えるのだった。

他にすることもない純は、有り金を全てつぎ込んでオオサキプラザホテルに宿泊してみることにした。就職活動の記念という意味合いもあったが、失礼な面接官に対する八つ当たりの意味の方が強かった。
ドアボーイの接客態度や客室設備、サービスの終了時刻、ホテル内の案内掲示など、少しの間に多くのアラが見つかった。純の理想とするホテルとは程遠く、いらだちはますます高まった。

そうやってホテルの中をうろついていると、客室フロアで怪しい男(風間俊介)に出くわした。昨日、純につきまとった不気味な男である。
男は、このホテルに滞在していれば純に再会できると思い、そうしていたという。恐ろしくなった純は一目散に逃げ出すが、男は執拗に追いかけてきた。

やっとのことで男をまいた純。ほっと一息つくと、階段を登るのに難儀している老婆(川本美由紀)に気がついた。声をかけてみると、結婚式場に行きたいのだが迷ってしまったのだという。純は足の悪いという彼女を背中に負い、式場まで親切に案内してやった。

やっとのことで結婚式場に到着すると、どこからともなく例の怪しい男が表れた。
男は乱暴に老婆の腕を掴むと、財布を返せと凄むのだった。
その老婆はスリ師だったのだ。正体がばれるや否や、信じられないスピードで走って逃げた。リュックに財布のないことを確認した純は、慌てて追いかけたが中々追いつかない。しまいには、純は登り階段で躓いて転げ落ちてしまった。
逃げきれると安心した老スリ師は、そこで純の財布の中身を確認した。金のほとんど入っていないことを知ると、バカにしたように財布を投げて返し、そのまま姿をくらました。

純は腹立たしさと悔しさと悲しさでいっぱいだった。
内定通知はまだ来ない。せっかく親切にしたのに騙されて財布をスられた。挙句に、転んで足を捻挫した。

例の怪しい男が、捻挫の手当をしてくれた。意気消沈し、足まで挫いてしまったので彼から逃げることもできず、されるがままにしていた。
ふと、この怪しい男に、優しかった亡き祖父(平良進)の姿が重なった。どうしてそう思ったのか、純にもわからなかった。

純は、彼がスリを見抜いた理由を尋ねてみた。
男は困ったような表情をし、言いにくそうにしていた。純が待っていると、彼はポツリポツリと話し始めた。

彼には人の本性が見えるのだという。見ただけで、その人が隠している裏の顔までが見えるのだという。
先の老スリ師は、純に背負われた途端、目が釣り上がり、下品な顔で舌なめずりしたのだという。それでスリ師の本性を見抜いたのだという。さらに、彼女が若い頃にひどい目に遭ってきたという過去までわかってしまったという。

純には、彼の言っていることがにわかには信じがたかった。

もっと詳しく話を聞こうとした矢先、オオサキプラザホテルの人事部から電話がかかってきた。純の採用が決まった。

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NHK『純と愛』第2回

昨日のまとめ記事で「宝塚のオバQ」と言った際、頭に浮かんでいたのは『機動戦士のんちゃん』(YouTubeで見る)に出てくるQちゃんのことであって、藤子不二雄のオリジナルではなかったことに思い至った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『純と愛』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週「まほうのくに」

純(夏菜)は大阪のオオサキプラザホテルの前にいた。これまでの就職活動はことごとく失敗し、もうこのホテル以外に望みはなかった。今日の最終面接にかける気合は十分であった。

面接会場であるオオサキプラザホテルに入ろうとした時、人ごみの中をよそ見しながら歩いてくる男(風間俊介)とぶつかり、純は転んでしまった。
男は純の顔をじっと見た。勝気な純は睨み返してたしなめるが、男は目をそらそうとはしなかった。
「初めてだったから、つい・・・」
などと不可解なことを言うばかりであった。
やっと男は去って行ったが、少し離れた所に立ち止まり、再び純のことを凝視した。薄気味悪くなった純は足早に離れてホテルへ向かった。

最終面接は、志望者5人の集団面接だった。面接官はホテルの重役らしい5人であった。
それまで順調に面接は進んでいたが、純の前の志望者(黒木華)が話している時に、いきなり面接官・米田(矢島健一)の携帯電話がけたたましく鳴った。さらに別の面接官・露木(や乃えいじ)が遠慮のない大きなくしゃみをした。そのせいで彼女は動揺してしまい、言いたいことがほとんど言えずに終わってしまった。純は彼女のことを少々気の毒に思ったが、この場では情けをかけるわけにはいかなかった。

続いて、純の番である。
志望動機を聞かれるや否や、単刀直入に
「社長になりたいから」
と高らかに言い放った。その一言に場が凍りついた。

しかし、そんな純に興味を持った者が一人だけいた。
その男(舘ひろし)は面接官の後ろに控えて座っていた。彼は社長になってどうするつもりかと尋ねた。
純の答えは「魔法の国」を作りたいというものだった。宿泊客が笑顔になって帰るホテルを作りたいというのだ。そのための秘訣は、経営者の愛が溢れていることであり、自分がそうしたいというのだ。

純は自分の祖父(平良進)が作ったホテルのことを話した。元々は自動車整備工場を経営していたのだが、祖母が不治の病にかかった時にホテルを作った。それまでは仕事が忙しくてろくに旅行に連れ出すこともできなかった反省から、そこにいるだけで世界中を旅している気分になれるようなホテルを作りたかったのだという。
そこには、祖父の祖母に対する愛が溢れていたのだという。それが純の理想なのだ。

その時、再び米田の携帯電話が鳴った。遠慮することなくメールを読んではニヤニヤしている。露木も二度目の大くしゃみをした。まったく悪びれるところがなかった。
純は腸が煮えくり返った。しかし、他に就職できるあてがないので我慢しようとした。

しかし、できなかった。
携帯電話やくしゃみのことを純は激しい口調で避難した。そのせいでペースを乱された別の志望者のことを弁護した。司会役の面接官・中津(志賀廣太郎)にやんわりとたしなめられるが、純の勢いは止まらなかった。
中津が「時間がないので穏便に」と言ったその一言でますます激昂した。

志望者側は、この短い時間に自分の一生をかけている。その瞬間を良い物にしたいと願っている。それを台無しにしたのは、面接官側であると食ってかかった。
そもそも、ホテルの理念は短い滞在期間で客を満足させるというものだ。相手との短い時間の交流を大事にしないことは、ホテルで働く者として失格である。重役がこのような体たらくでは、このホテルは遅かれ早かれ潰れてしまう。
そう啖呵を切った。

面接は終わった。もうオオサキプラザホテルへの就職は叶いそうにない。

広場で落ち込んでいると、面接前にぶつかった男がまだそこにいた。そして、じっと純のことを見つめている。気味悪く思った純は慌てて立ち去るが、男はずっと追いかけてきた。慣れないヒールで転んだ拍子に男に追いつかれてしまった。

男は、純の顔をまじまじと見つめ、
「どうしてももう一度確かめたくて。でも、それがなんなのか、説明してもわかってもらえないと思う。」
などと、意味不明なことを言うばかりであった。

純の怒りは頂点に達した。
失礼な面接官に対する怒り、面接で自重することのできなかった自分自身への怒り。そこへ、この不気味な男への怒りが加わった。
今にも暴れだしそうだと言って、男に警告した。しかし、彼はなかなか立ち去ろうとしない。

焦れた純は自ら立ち去った。
純の背中に対して、男は
「あなたはそのままでいてください。ずっと、そのままでいてください。お願いします」
などと、ますます意味不明なことを言うのであった。

純は混乱した。

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NHK『純と愛』第1回

彼女に恨みは全くないのだけれど「げっそり痩せたオバケのQ太郎が宝塚歌劇の男役として登場したような感じだ」などといきなりdisってしまう当方が、NHK朝の連続テレビ小説『純と愛』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週「まほうのくに」

那覇に住む大学3年生の狩野純(夏菜)は、久しぶりに実家のある宮古島(Google mapsで場所を確認)に帰ってきた。
就職活動シーズンが始まる前に、純は自分の進路についてある決意をしていた。彼女は、自分の実家のホテルを継ごうと思っているのだ。

実家のホテル・サザンアイランドは、母方の祖父・真栄田弘治(平良進)が開いたホテルだ。10年前、大阪で仕事を失った父・善行(武田鉄矢)は逃げるように宮古島にやって来て、母・晴海(森下愛子)の実家に一家で世話になることになったのだ。
当時幼かった純(安養寺可蓮)は、初めてホテルを見た時のことをよく覚えている。まるで「魔法の国」だと思ったのだ。一歩建物に入ると、全てのものが輝いて見えた。どんなにふさぎ込んでやって来た宿泊客であっても、祖父のもてなしを受け、帰る頃には満面の笑みになっていた。それがまるで魔法のようで、純は大いなる憧れを抱いていたのだ。
ロビーの中央には昔ながらのジュークボックスがあり、それがひときわ光り輝いていた。

しかし、祖父が亡くなった後、父が跡を継ぐやホテルはすっかり様変わりしてしまった。
建物の中は薄暗く、辛気臭い。宿泊客はどこか憮然とした表情で帰って行く。それを送り出す父もまったくやる気がない。
その現状を知っている純であったが、目のあたりにすると、ますますやり切れない思いになった。憧れの「魔法の国」はもう存在していなかった。ジュークボックスはもう壊れて動かない。

純は祖父の言葉を思い出していた。
「人の運命なんて最初から決まっていない。人生の一つ一つの選択が運命になる。」
その言葉を胸に秘め、純は父に直談判するのだった。

純はホテルを継ぎたいと申し出た。「ホテル・サザンアイランド再生計画」という手書きのノートを携え、自分なりの経営方針を披露した。しかし、父・善行はノートを数ページめくっただけで、それを放り投げてしまった。
そもそも純と折り合いの悪い善行は、ホテルの経営がうまくいかないのは自分のせいではないと責任転嫁した。地元の連中が観光客へのもてなし方やインフラの整備を進めないのが原因であって、自分はそのわりを食っているだけだと言い訳した。今のやり方を変えるつもりは全くない様子だった。その上、ホテルは長男の正(速水もこみち)に継がせるつもりであり、純がその下で指示に従うなら雇ってやってもいいと居丈高に言った。

父と純のやり取りを、他の家族は聞こえないふりをするばかりだった。跡取りとして指名された兄・正は、積極的な意思は見せなかったが、他にすることもないので受け入れるという風だった。大学を2浪中の弟・剛(渡部秀)は自分の飯を食うのに熱心で、やり取りを全く聞いていなかった。
母は心配して成り行きを見守っていたが、表立って純を援助する立場にはなかった。

ついに純は喧嘩腰になった。
祖父の遺したホテルがダメになるのを見ていられない、やる気のない善行が全てをダメにしているのだとはっきりと言ってしまった。
その言葉に善行は激昂した。二度と家の敷居を跨ぐなと言い捨て、純を追い出してしまった。
失望した純は父に見切りをつけた。
「うちよりデカいホテルの社長になってやる」
と啖呵を切り、家を出ていった。

外まで追いかけてきた母・晴海(森下愛子)であったが、純を引き止めることはしなかった。そのかわり、自分の気持ちを代弁してくれたと感謝した。晴海も祖父の作り上げた「魔法の国」が消滅したことを苦々しく思っていたのだ。
母が同じ気持ちでいることがわかって安心したものの、純は悔しくてならなかった。半べそをかきながら、一度も振り返ることなく家を去った。そして、二度と宮古島には帰ってこないことを決意した。

そして半年が経った。
本格的に就職活動が始まり、純は大阪にいた。オオサキプラザホテルという大阪でも一二を争う大きなホテルの就職面接を受けに来たのだ。

会場に入ろうとした時、人ごみの中でよそ見をしながら歩いている男(風間俊介)とぶつかって、純は転んでしまった。

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NHK朝ドラ関連ネタ3つ

【『おひさま』10月より再放送開始】
2012年10月のBSプレミアム番組表(PDF)を見たところ、『おひさま』の再放送が始まるようです。
現在(2012年4月-9月)は『ゲゲゲの女房』が再放送されている7:15-7:30の枠です。

しかも驚くべきことに、『おひさま』は7:15に加えて、19:00からも放送されるという。なんと1日2回。
名作と呼ばれる『ゲゲゲの女房』ですら1日1回だけだったのに、2回もやるとは。

2012年10月BSプレミアム番組表の一部

ていうか、『おひさま』は(以下自粛)。

なお、昨日、『おひさま』の舞台である長野県安曇野市までドライブしてきた当方ですが、その時は再放送のことを知りませんでした。


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映画『愛の新世界』を見た

鈴木砂羽のデビュー作にして、彼女のヘアヌードを見ることができると聞いていきり立った当方が、映画『愛の新世界』のDVDを見ましたよ。

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小劇団の看板女優である佐久間レイコ(鈴木砂羽)は、生活費と劇団活動費用の捻出のため、渋谷のSMクラブで女王様として働いている。
レイコは女王様としての自分に誇りを持っており、奴隷の調教に妥協はない。奴隷たちもレイコに従順に従っている。

レイコは女優業と女王業を表裏一体であると考えている。金にならない劇団のために女王様の仕事は続けなければならないし、自分が女王になりきって奴隷を調教することは芝居の上達に貢献するとも考えている。
そして何よりも、レイコは女にしかできないこの仕事を心の底から楽しんでいた。

鈴木砂羽が演じる女王様レイ

レイコのSMクラブがある雑居ビルには、デートクラブの事務所があった。いつしかレイコは、仕事の行き帰りによく顔を合わせるホテトル嬢アユミ(片岡礼子)と仲良くなった。
アユミは、いつしか玉の輿に乗ることを目的に、医学部を目指す三浪の男(松永博史)や司法試験を目指す文学部の男(武田真治)に貢いでいる。そのための金を自分の体を売って稼いでいるのだ。

片岡礼子が演じるホテトル嬢アユミ

アユミにも悲壮感はなかった。レイコと意気投合し、今の生活を楽しむのだった。

レイコとアユミは昼はそれぞれ別だった。しかし、夜になれば渋谷で仕事をし、明け方頃からふたりで連れ立って遊びまわった。
ふたりは明け方の海を見たがった。そこで開放的な気分を味わいたがった。

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映画『はさみ』

池脇千鶴が美容専門学校の講師を演じるのだが、あまりに童顔なため、生徒役の女優以上に生徒に見えてしまうという問題作『はさみ』を見た。

美容専門学校講師・永井久沙江(池脇千鶴)

池脇千鶴演じる講師は、生徒に対して美容技術を教えるのみではなく、生徒の人格形成や生活指導にも力を入れるべきであるという持論を持っている。しかし、その思いとは裏腹に、問題を抱えた生徒たちが表れ、彼らとの人間的交流を深めるというお話。
派手なところはほとんどなく、しみじみとした味わいのある物語。

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映画『サルベージ・マイス』をついに見ることができた

去年、空前の谷村美月マイブームが巻き起こった。彼女のブサカワ具合は当方のストライクゾーンど真ん中だ。谷村美月のことをブサカワというと、大量のオッサンから異論が寄せられるが、気にしない。

谷村美月マイブームの頃、彼女主演の『サルベージ・マイス』という映画あることを知った。当ブログでも「。俺の谷村美月マイブームが終結する前にちゃんと神奈川でも公開してくれ。」などと書いたのだが、結局当方の地元の映画館では公開されなかった。悲しい。

しかし、僕は『サルベージ・マイス』のことを忘れたわけではなかった。DVDをレンタルして見たのである。

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映画『ショーシャンクの空に』を見た

2011年11月4日(金)放送のラジオ『上柳昌彦ごごばん!』の中で、山瀬まみが好きな映画の一つとして『ショーシャンクの空に』(1994)を挙げていた。当方の愛する山瀬まみが好きだと言っている映画なのだから、当然当方も見ておかなければならない。放送から随分時間が経ってしまったが、今夜やっと見ることができた。
そして、この映画はとても良い作品だった。こんなに良い作品をお気に入りとしている山瀬まみに惚れ直した。

映画の主人公は有能な銀行員だった男だ。しかし妻が不倫をしており、さらに悪いことには、妻とその間男が情事の最中に何者かによって射殺された。主人公の男が容疑者として逮捕された。無罪を主張するが認められず、彼は終身刑を受けてショーシャンク刑務所に服役することとなった。
主人公は刑務所の中の不条理に戸惑う。他の囚人たちからの嫌がらせだけではなく、看守たちも腐敗しきっていた。所長ぐるみで理不尽な暴力や収賄が横行していたのだ。良識があり有能な銀行家であった主人公は彼らとは距離をおきたがった。

しかし、終身刑という長い年月の孤独に耐えられようはずもなかった。
いつしか主人公には気のおけない仲間ができた。そればかりか、看守たちの無償の税理士として働くことで一目置かれるようになった。ついには、類まれな経理能力を活かして、所長の裏金作りの片棒を担ぐまでになった。

その一方、親しかった囚人との不慮の別れが彼を追い詰める結果となった。

・・・と、そんなお話。
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映画『ティファニーで朝食を』を見た。

アメリカに向かう飛行機のビデオ・オン・デマンドで見た。ネコとオードリー・ヘップバーンとミスター・ユニオシ(ミッキー・ルーニー)が最強に可愛い映画だった。いいフライトだった。

特にネコ。茶トラのかわいいネコ。カワイイくせに演技派のネコ。映画を見ながらニヤニヤが止まらない。そして、ネコとの別れの雨のシーンは泣けてくる。
ネコ好きは見逃してはならない名作。
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映画『真幸くあらば』を観た

尾野真千子の全裸オナニーシーンがあると聞いていきり立った当方が、映画『真幸くあらば』のDVDを見ましたよ。

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南木野淳(久保田将至)は遊ぶ金欲しさに空き巣に入った。留守だと思った家には住人の若い男がいた。顔を見られて焦った南木野は、台所にあった包丁でとっさに男を刺し殺してしまった。殺された男は家に情婦を連れ込んでいた。南木野は彼女を絞殺した。

南木野はすぐに捕まり、一審で死刑判決がくだされた。担当弁護士(佐野史郎)はすぐに控訴の準備に取りかかった。彼は死刑制度に反対しており、その是非を問いたいという思惑もあった。
南木野の死刑判決に反対する運動は、すぐに拡大したわけではなかった。けれども、敬虔なキリスト者であった川原薫(尾野真千子)がボランティアとして支援活動に参加してくれた。彼女は、南木野に面会して気軽な話し相手になることや、差し入れなどを進んで行った。

しかし、ほどなくして南木野は、誰にも相談することなく一人で控訴を取り下げてしまった。これにより南木野の死刑が確定した。
南木野は自分の罪を潔く認め、深く反省し、死をもってしか償うことができないと考えたのだ。
さらに南木野は、殺人よりも重い罪を犯したと思い込んでいた。彼は被害者女性を絞殺した後、彼女の下着姿に欲情した。殺人現場で彼女の死体に寄り添いながらマスターベーションをしたのだった。そのことを深く反省し、重く思い悩んでいた。しかし、そのことは誰にも打ち明けることができず、胸にしまったまま死んでしまうことを望んでいた。

他者との関係をことごとく拒絶する南木野であったが、薫だけは諦めることなく南木野の支援を続けた。ついに薫は、南木野と養子縁組することで関係を強固なものにした。薫の夫が半年間のロンドン出張となり薫も同行するよう誘われたのだが、薫は日本に残ることを選んだほどだった。

ある日面会に表れた薫は、南木野に聖書を読んで勉強するよう薦めた。薫が愛用している聖書を差し入れするとともに、南木野が読むべき箇所を指定した。差し入れを受け取り、独房に戻った南木野がその箇所を開くと、薫からの秘密の通信文が書かれていた。こうすることで検閲を免れたのだ。

そこには、薫が南木野を支援する本当の理由が書いてあった。
南木野が殺した男は、薫の婚約者だったのだ。ゆえに、薫は南木野が憎かった。南木野が裁かれる一部始終をそばで見届けたいと思ったのだ。
一方で、婚約者が殺された時、彼は別の女と一緒にいた。事件によって薫の婚約者の不実が暴かれたのだ。このことについて、薫は南木野に感謝したく思っていた。
婚約者の死と裏切りによりショックを受けた薫は、特に愛してもいない男と結婚した。不満もないが喜びもない夫婦生活の中で、薫は南木野に複雑な感情を抱き始めていたのだ。

ふたりは面会室の仕切りを越えることができない

南木野は、秘密の通信文が書かれた聖書をすぐに薫に返した。ただし、面会でさり気なく聖書の特定の箇所に言及した。そこには南木野からのメッセージが書かれていた。
南木野は、女性の死体でマスターベーションしたことを告白した。自分は童貞で女を知らないことも告げた。さらに、いつしか薫のことを女性として愛してしまったことを正直に伝えた。
どうあっても薫の肌に触れられないことを落胆し、死刑を受け入れてしまったことを激しく後悔していた。

それを受け取った薫は、ますます南木野に惹かれた。同じ方法でふたりは密通を続けた。
南木野は絵が達者であることを知っている薫は、自分の下着写真を聖書に埋め込んで送った。南木野は薫の裸体を想像画を送った。薫はそのイラストに満足した。

ついにふたりの肉欲は限界に達した。しかし、絶対にふたりが交わることはできない。
そこで、次の満月の夜に互いのことを思って自慰をすることを約束した。
実行した夜、ふたりは生涯でもっとも満ち足りた時間を経験した。

ほどなくして南木野の死刑が執行された。
踏切で電車の通過を待っていた薫は、向こうに見えた南木野の姿を追った。

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