#まつしけ 1周年

むかしむかし、あるところにアラフォー独身の男女がいました。

一緒に住んでいたわけではないけれど。
むかしといっても1年前のことだけれど。
過去形で書かれているけれど、ふたりともまだ生きているし、あいかわらずアラフォー独身のままだけれど。

独身であるということと人間であるということを除けば、およそ共通点を見つけ出すことの難しいふたりである。
思わず、「声が違う、年が違う、夢が違う、ほくろが違う、癖が違う、汗が違う、愛が違う、利き腕違う」などと、『イミテーション・ゴールド』(阿木燿子・作詞、山口百恵・歌)を口ずさんでしまうほどである。いや、年と利き腕は一緒だけれど。ごめんね。
一方は気がふれてるんじゃないかって思うほど山瀬まみのことが好きだし、他方は頭がいかれてるんじゃないかってくらい天知茂のことが好きらしいし(参考情報サイト: トラウマの天知茂; 彼女が更新しているわけではないので、あしからず)。
まったく共通点が見出だせない

そんなふたりが1年前、なんかの流れで映画の話になった。
もちろん、共通点がほとんどないふたりなので好きな映画のジャンルがぜんぜん違う、これまでに見てきた映画も全く違う。

そんなふたりが、相手が普段見ないような映画を無理やり見せるという不毛な嫌がらせをtwitter上でのしりとりという形式で1年続けてきた記録が以下である。
ふたりの戦いはまだまだ続く。

#なお、こうして振り返ると僕にとっては『陸軍中野学校』がベストでした。次点は『たそがれ清兵衛』

『まれ』まとめ記事断念

中川翔子を見るたびに、厚着の街の良い山のコンビニで働いていた なかぱみゅちゃん を思い出して胸がキューっとする当方が、今朝はおもいっきり寝坊しました。
それでちょっとまとめ記事のやる気が削がれました。

今、録画を見たのですが、一度下がったテンションはもう戻っては来ませんでした。
そんなわけで、三日坊主で『まれ』のまとめ記事は断念です。

どうぞご了承ください。

なお、今日の概要は

  • ヒロインの父・徹(大泉洋)が心を入れ替え、桶作元治(田中泯)の塩田でまじめに働き始めた。ただし、仕事がきつくて愚痴だらけ。
  • 母・藍子(常盤貴子)は、桶作文(田中裕子)にこれからも家に置いてもらうように頼むが、文は冷たく突き放す。でも、これはきっと、なし崩し的にいつくと予想される。
  • 希(土屋太鳳)は早く能登に馴染もうと努力する。夏祭りの子供相撲の練習に参加して地元の友達と仲良くしようとしたり、方言の単語帳を作って積極的に方言を喋ったり。
  • 希は自分が転入することになる小学校を見に行った。夏休みで無人のはずなのに、圭太(山崎祐馬)がいた。彼は涙ぐんでおり、希の姿を見つけるやいなや走り去った。誰もまだ知らないことだが、圭太は彼の父(板尾創路)の仕事の都合で転校しなくてはならない。
  • 元治は寡黙で真面目に塩田で働いている。徹が失敗しても声を荒らげることもなく、物静かな人格者。しかし、地元の夏祭りに関しては人が変わる。準備期間中は毎晩地元の男衆を家に集め、酒を飲みながら騒ぐ。今年は若い衆がいなくて山車の引き手のめどが立たないという話を聞かされると、元治は激昂する。電話で息子に電話をかけ、会社の若い衆を引き連れて里帰りしろと無理な命令をしたりする。津村家は元治の豹変ぶりに驚く。

といったところでしょうか。

次は、今年秋から放送予定の朝ドラ『あさが来た』(主演波留)で会いましょう。

ご清聴ありがとうございました。

NHK『まれ』第3回

田中裕子を見るたびに、サントリーオールドの名CMを思い出して胸キュンする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『まれ』の第3回めの放送を見ましたよ。


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第1週『魔女姫バースデーケーキ』

桶作元治(田中泯)の伝統的塩田に対し、徹(大泉洋)は機械化と富裕層向けのブランド化を提案した。しかし、そのアイディアはみんなの反感を買った。
桶作文(田中裕子)はすぐに家を出て行くように告げ、藍子(常盤貴子)がせめて新しい家が見つかるまで置いてくれるよう頼むものの、否定的だった。なんとか数日の延長は認められたが、あまり猶予はなかった。

希(松本来夢)も、見果てぬ夢ばかり追いかける父・徹に愛想を尽かした。父に対して嫌いだと言い放ち、彼のことを無視するようになった。

一方で希は、自分たち家族が村で受け入れられるように自分なりに努力をするのだった。
元々、酢の物は嫌いだったにもかかわらず、文が作った朝食の酢の物を大好物のふりをして食べ、とても美味しいと愛想よく話すのだった。

また、元治の塩田での仕事を率先して手伝った。
その最中、元治は話のついでで希の名前の意味や彼女の将来の夢について尋ねた。

希は自分の名前には、父の意向で「大きな夢をつかむ」という意味が込められていることを説明した。その一方で、父の軽薄な生き方を見ていると地道にコツコツと生きることが重要だと思うようになったのだと付け加えた。

希はケーキ職人になりたいという夢を抱いていたこともあった。
そのきっかけとなったのは、自身の5才の誕生日のことだった。実は希と徹のふたりは同じ誕生日(8月10日)であった。当時、珍しく一山当てた徹は羽振りがよく、希と徹の誕生日を祝うために大きなバースデーケーキを買ってきた。

ケーキの上には、徹がおもちゃ屋で見つけたという、人形も乗せられていた。魔女なのかお姫様なのか判別のしにくい奇妙な人形であったが、希はそれをとても気に入った。「魔女姫」と名づけて、それ以来肌身離さず持っている。

その日食べたケーキはとても美味しく、家族に笑い声が絶えることもなかった。幼い希にとって、ケーキは家族の幸せの象徴となった。それから、事あるごとに希は自分でケーキを作るようになり、家族もそれを歓迎した。
そのような経緯から、希は将来ケーキ職人になりたいと思うようになったのだ。

しかし、徹の成功も一時的なもので、それ以後は坂道を転げるように失敗ばかりだった。ついには、全財産を株ですってしまい、夜逃げ同然で東京から能登にやって来て今日に至るのである。
その過程で、希は徹のような夢見がちな人生は送るべきではなく、地道にコツコツと働くことが何よりも重要だと信じるようになった。ケーキ職人になるという自身の夢も追いやることにしたのだ。

元治は何も答えなかったが、希に同情した。
家に帰って、文にもうしばらく津村一家を家に置いてやるよう話した。しかし、一家をよく思わない文は何も答えなかった。

希に嫌われたことが堪えた徹は、珍しく反省をしていた。
家族を集め、みなの前で頭を深く下げて謝った。

しかし、徹の反省点はどこか的外れだった。
彼の謝罪は、相場の読みを誤った点(結果に対する謝罪)に集中しており、そもそもの投機的な考え方(動機に対する謝罪)を改めるようなものではなかった。そのことが希をますます不機嫌にさせた。

希は自分の望みを語った。
徹には普通の父親のように、家族のために地道に働いてほしいと述べた。金持ちにならなくてもよく、たとえ小さな幸せであっても、家族がいつも笑っていられるようにして欲しいと告げた。

やっと自身の誤りに気づいた徹は、よりいっそう深く頭を下げると共に、自分のことを嫌いにならないでくれと滑稽なほど懇願した。
そのおかしな姿に家族は笑った。そして希の溜飲も下がった。

希は父をもう一度信じることにした。やっと自分たちはまっとうな家族になれるかもしれないと思えた。そして、またケーキを作って家族で食べる日が来るかもしれないと思うことができた。
希に小さな希望が芽生えた。

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NHK『まれ』第2回

母・藍子役の常盤貴子は、20年位前に紅茶のCMで見たのが最初だったと思うけれど、山瀬まみファンを引退しようかと思うくらい可愛かったのを今でも覚えていて、それ以来好きな女優さんなわけで、そんなわけだけれどあえてドラマ『悪魔のKISS』については深く語るまいと思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『まれ』の第2回めの放送を見ましたよ。

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第1週『魔女姫バースデーケーキ』

東京から夜逃げし、石川県能登の外浦村にやって来た津村一家。
住む家が見つからないため、元民宿の桶作家に厄介になることになった。

現在の桶作家は、伝統的な塩田を営む。
海から海水を汲んで、砂の上に撒き、天日で乾かす。それを砂ごと集めて、再度海水と共に釜で煮詰めて製塩する。完成までの1週間、全てを手作業で行う。
そうして作った塩は、まろやかでたいそう美味しかった。

地味にコツコツと働くことが何より重要だと考えている希(松本来夢)は、その仕事をとても尊いものだと思うのだった。

一家がやって来たということは村中の噂になっており、翌朝には地元の子どもたちが希を誘いに来た。夏祭りで子ども相撲が開催され、その練習をするというのだ。雰囲気に圧倒され、希は断る間もなく練習に参加することとなった。
地元の子どもたちは、東京育ちの希を物珍しさと共に羨望の眼差しを向けた。しかし、希は地味な性格であり、地元の子どもたちが抱く東京のイメージとは異なっており、彼らをガッカリさせてしまうのだった。

桶作文(田中裕子)は部屋を貸すのは2-3日だけだと告げ、津村一家に心を開こうとしない。母・藍子(常盤貴子)は気さくに名前で呼ぶよう提案するのだが、文は常に「お客さん」と呼びかけるのだった。

文の冷遇に加え、津村一家には宿代等の現金もあまり残されていなかった。そのため、藍子は手頃な住宅を探すために村を見て回ることにした。
その途中、藍子は蔵本はる(鈴木砂羽)に呼び止められた。彼女は美容院を経営しており、そこは親しい村人たちのたまり場となっていた。そして、村人たちの間では、津村一家は心中のために縁もゆかりもない能登にやって来たのだという噂になっていた。
藍子は明るく否定し、村人たちと打ち解けることができた。さらには、村人たちから地元の野菜や海産物の差し入れを大量に手に入れることができた。

全てが差し入れが民宿の軒先に集められた。山と積まれた食料品に希は驚くと共に、地域の人柄の良さに感激するのだった。

父・徹(大泉洋)も村で仕事を見つけようと模索していた。そこで目をつけたのが元治(田中泯)の塩田だった。

ここの塩田は江戸時代から続くもので、歴史と伝統がある。一方で、全てを人手で行っているために、生産性が低く収益も上がらない。
そこで徹は、機械化を進めて効率を上げるとともに、富裕層向けにブランド化して高値で売り込むことを計画した。それによって収入を何倍にもしようというのだ。

徹はさっそく元治に提案するが、彼はまったく興味を示さないどころか、徹を煙たがるようになった。そんなことは意に介さない徹は、しつこく食い下がった。
その様子を見ていた文が怒りを露わにし、明日には家を出て行くように告げるのだった。

一連のやり取りを傍で見ていた希は悲しさと怒りでいっぱいになった。
地道にコツコツと働く人を尊重せず、楽をして儲けようという徹の態度が許せなかった。
泣きながら、父のことなど嫌いだと言うのだった。

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NHK『まれ』第1回

ヒロインの土屋太鳳に関しては、『花子とアン』で初めて認知し、当時は完全にスルーしていたわけだが、新しい朝ドラの番宣を見たら彼女の可愛らしさにグッと来てしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『まれ』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1週『魔女姫バースデーケーキ』

1983年8月10日、東京に暮らす貧乏な夫婦、津村徹(大泉洋)と藍子(常盤貴子)の間に長女が生まれた。
徹は、娘に「希(まれ)」と命名した。人生には夢が必要であり、めったに手に入らない大きな夢を望み手に入れることができるようにと願って名づけた。

1994年(松本来夢)、希は10歳になった。
父の願いに反して、希はいたく堅実な性格の少女となっていた。まじめに地道にコツコツと働く事こそ一番で、将来は公務員になりたいと希望していた。
そうなってしまったのは、父・徹があてにならない夢ばかり追いかけ、まっとうに働かないために家族を不幸にしてしまっているからである。

その夏、徹は事業に失敗して自己破産した。東京で暮らしていけなくなった一家は、夜逃げ同然で石川県の外浦村(注: 架空の村)に引っ越してきた。

途中、村の近くで一家の乗っていたバスが故障してしまった。次のバスが車で30分以上待たないとならないとのことで、彼らは大きな荷物を持ちながらも、歩いて行くことにした。
往来のない道であったが、1台の軽トラックが通りがかった。それには老婆・桶作文(田中裕子)が一人で乗っていた。すかさず助けを求め、同乗させてくれるよう頼んだ。

しかし、文の乗るトラックはオンボロで、すぐにエンストしてしまう。希はトラックを押すことを買ってでた。弟・一徹(木村聖哉)も含め、一家4人で押すと、なんとかエンジンは再始動した。停車すると再びエンストすることが予想されたので、希はトラックに乗ることを諦め、そのままトラックを見送った。
希は自分のことよりも、人を助けることを優先する性癖の持ち主なのだ。一家は、大きな荷物を抱えて、再び道を歩き出した。

やっとのことで村役場に到着したが、そこでもトラブルが発生した。
民家の離れに間借りして暮らす約束をしていたが、急遽その家が借りれなくなった。家主の息子は大阪に暮らしているのだが、昨日になって結婚が決まった。里帰りして一緒に暮らすかもしれないとのことで、家主が家を貸さないと言い出したというのだ。

徹らは村役場の職員・紺谷(板尾創路)に何とかしろと詰め寄るが、逆に冷たくあしらわれる。津村家は夜逃げ同然でやって来たことは知られており、よほどの訳ありか、前科者としか思えない。そのような胡散臭い家族に家を貸すものはこの村にはいないというのが言い分だった。

しばらく押し問答が続くところへ、先ほどトラックのエンストを助けた文が現れた。役場に居合わせた角慎一郎(ガッツ石松)によれば、今は営業していないが、文の家では過去に民宿を経営していたという。そのため、一家が寝泊まりするだけのスペースはあるという。
面倒に巻き込まれたくない文は断ろうとするが、すかさず希がすがりついて頼み込んだ。2-3日だけで、きちんと宿代を支払うという約束で、文はしぶしぶ部屋を貸すことに同意した。

荷物を運び入れ、一段落すると希は近所を散歩してみることにした。
ちょうど文が車で出かけるところだったので、仕事を手伝おうと追いかけた。

その先では、1人の老人・桶作元治(田中泯)が桶で海水を汲み、砂場にまき散らしていた。文の説明によれば、それは塩田だという。
希は、塩作りは地味ではあるが、まっとうな人間の仕事だと思って感激するのだった。

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NHK『さよなら私』第1回

本日、永作博美さんの44回めの誕生日であることを全身全霊をかけてお祝い申し上げる当方が、NHKドラマ10『さよなら私』の第1回めの放送を見ましたよ。

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第1回「彼だけはやめて」

41歳の星野友美(永作博美)は幸せな毎日をすごす主婦である。
都市計画に関わるエリートで優しくてハンサムな夫・洋介(藤木直人)、および天真爛漫な5歳の息子・健人(高橋來)と3人で穏やかに暮らしている。

息子の出産以来、夫とセックスレスであることが唯一の欠陥ではあったが、それすらも些細な事だと思えるほどであった。

息子・健人を寝かしつけるのも友美の役目であった。息子は友美の髪を掴んだまま寝入ってしまう癖があった。息子を起こさないよう、そっと彼の手を解いて髪を抜く一瞬に友美は幸せを噛みしめるのだった。

ある日、同窓会が開かれることとなり、友美は出席することとした。
友美が通っていたのは女子校であったが、特に仲の良い親友がいた。彼女に久し振りに会うのが楽しみで仕方なかった。

彼女の名は早川薫(石田ゆり子)という。
友美と薫は、性格も育った環境も正反対だった。大人しくて優等生タイプの友美に対して、薫は快活で気っ風のよい性格だった。友美が大学卒業後早くに結婚して家庭に入ったのとは逆に、薫は映画プロデューサーとして第一線で働いている。多数の男性部下たちに向かって、歯に衣着せぬ物言いでバリバリと仕事をしている。自由奔放に生き、今でも独身である。

友美が薫に会うのは久しぶりのことであった。子持ちの主婦とキャリアウーマンでは生活習慣が異なり、なかなか会う機会が設けられないからだ。しばらくぶりの再会で、話に花が咲いた。

ところが、ふと薫が気になることを言った。友美は、息子が自分の髪を掴んだまま眠ることを誰にも言ったことはなかった。なぜかそれを薫が知っていたのである。
友美が問い詰めると、薫は以前に友美から聞いたと言い張るのみだった。

ふたりの仲が険悪になりかけると、もう一人の友人・三浦春子(佐藤仁美)が場を和ませた。昔から、ふたりが言い争いそうになると春子が緩衝材になるのが常だった。少女時代から全く変わらない友人関係を懐かしく思い、その場は収まった。

しかし、帰宅後もう一度思い返してみると、やはり友美には納得がいかなかった。息子が友美の髪を握りながら寝るという事実は、自分を除けば夫・洋介しか知らないはずである。夫がどこかで薫に話したのではないかと疑い始めた。

ある夕、洋介から友美へメールが届き、帰りが遅くなるという。疑いを抱いた友美は、薫のマンションの前で張り込みをした。
自分の思い過ごしであることを祈る友美であったが、そこへ洋介が実際に現れた。そして、薫のマンションへと入っていくのだった。友美は激しいショックを受けた。

ある日、友美は薫を神社の境内へ呼び出した。
そこは参道に長い石段のある神社で、人気が少ない。少女時代によくふたりで秘密の話をした場所である。

友美は、遠回しかつ辛辣に話を切り出した。
友美から見れば、薫は自分に嫉妬しているように思えるのだという。幸せな結婚と出産を経て女性の幸せを謳歌している自分に対して、薫は劣等感を感じているのだろうと指摘した。だから、友美の夫を奪うことで復讐しているのだろうと言うのだ。

薫はもちろん、一方的に言われるがままにするような性格ではない。
友美の人を見下したような態度が昔から気に入らないと反撃した。そして、友美から洋介を奪うために交際しているのではなく、一人の男として愛していると述べた。ましてや、友美の夫だと知ったのは付き合い始めた後であると述べた。
それに加えて、はじめにアプローチしてきたのは洋介の方からだったという。自分から洋介のことを好きになるなどということは、友美の後塵を拝することを意味するので、知っていれば関係は持つつもりはなかったと付け加えた。

さらにダメ押しで、薫は友美たちがセックスレスであることを嘲笑した。自分と洋介はいつも楽しくセックスしていると言って嗤うのだった。

ついに友美は逆上し、薫に掴みかかった。もみ合ううちに、ふたりは石段から転げ落ちた。

しばらく気を失い、目を覚ました時にふたりの心は入れ替わっていた。友美の精神が薫の体に収まり、逆もまた同じだった。

しばし呆然とするふたりであったが、ひとまず、それぞれの体で相手の生活を継続させることとした。つまり、薫の体を持った友美が一人暮らしをはじめ、友美の体を持った薫が夫と息子の家へ帰るのである。

友美(本物)は、薫と会う前に知人宅へ息子を預けていた。友美(入れ替わり)が息子を迎えに行く様子を、友美(体は薫)は物陰から観察していた。
友美(心は薫)がぎこちないながらも息子を迎え入れると、何も気づかない息子は普段通りに接していた。その姿を見ながら、友美(姿は薫)は息子の名を呼びながら崩れ落ちるのだった。

友美(心は薫)が帰宅すると、夫の洋介はまだ帰っていなかった。ばかりか、帰りが遅くなるとメールが届いた。薫(姿は友美)は洋介と逢引する約束だったことを思い出したが、今の姿ではどうすることもできなかった。
息子・健人を寝かしつけると、何も知らない健人はいつものように母の髪を掴んで眠りにつくのだった。
薫(姿は友美)は、複雑な思いに涙を浮かべた。

その頃、友美(姿は薫)は、薫の家で一人塞ぎこんでいた。
そこへ、洋介が訪ねてきた。躊躇する友美(姿は薫)であったが、洋介がなかなか帰ろうとしないので、仕方なくドアを開けた。玄関に入るやいなや、洋介は情熱的に薫(心は友美)を抱きすくめ、熱烈なキスをした。
抗う友美(姿は薫)であったが、洋介の勢いは止まらなかった。服に手をかけられ、拒絶したい心と受け入れたい心とが葛藤した。
そして、ついに体を許すのだった。

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NHK『マッサン』第6回

今は「まつ(木公)」だの、「きこう(木公)」だの、「あるむ(alm)」だの、「あるもあ(almore)」だの、「市長(もしくは艦長)」だの、「朝ドラ評論家」だの、あだ名の一定しない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』の第6回めの放送を見ましたよ。

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第1週『鬼の目にも涙』

政春(玉山鉄二)が酒蔵で父・政志(前田吟)と語り合っていた時、エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)は早苗(泉ピン子)とふたりきりになっていた。

早苗は、自分がどれだけ政春を愛しているかを感情に訴えて語った。26年前の雪の日に腹を痛めて産んだこと、小学2年の政春が屋根から滑り落ちて鼻に大怪我を負った時には心配で一晩中眠れなかったことなどを聞き、エリーは早苗の深い愛情を知った。
加えて早苗は、周囲から祝福されない結婚は幸せになれる可能性がないと指摘した。しかも、エリーがどれだけ上辺を取り繕っても、性根は外国人である。生粋の日本人にはなれない。今の政春とエリーは舞い上がって幸せの絶頂だが、数年後にはひどく後悔するだろうと予言した。政春の苦労する姿は見たくないと言うのだ。

早苗の政春を思う気持ちを聞くにつけ、エリーは自分の母・ローズマリー(インゲ・ムラタ)との関係を思った。エリーも母から結婚を猛反対された。埒の明かなくなったエリーは夜中に家を抜け出すこととし、母に別れの挨拶を出来なかったし、母からの祝福の言葉ももらっていない。
唯一、家を出る前に、母の寝室の前で別れを告げた。自分は駆け落ちするが、どんなに離れていても親子であることには変わりがないと扉に向かって話した。

エリーがどれだけ自分の母のことを思っているかを考えれば、早苗の政春を思う気持ちが痛いほどよくわかった。自分が原因で政春と早苗の関係を壊すことはどうしても避けなければならないと思い至った。それで、エリーは政春に別れも告げず、亀山家を去った。

政春が父との語らいを終え、母屋に戻ってくると、エリーの姿がどこにも見えない。早苗の空々しい態度を見て、彼女がエリーを追い出したのだといっぺんに悟った。政春は家を飛び出してエリーを追った。

エリーを乗せたバスはすでに出発してしまっていた。政春がバスのりばに到着した時には、バスは彼方に小さく見えるだけだった。それでも諦めず、政春は走ってバスを追った。人だけが通れる近道を使って、なんとかバスに追いついた。

バスの前に飛び出して止めると、政春は英語で『蛍の光』を歌い始めた。
それはふたりの思い出の歌だった。スコットランドでエリーが駆け落ちを決めた夜、彼女は政春の下宿へ向かった。窓の下から『蛍の光』を歌い、エリーは政春を呼び出した。そして「私を日本に連れて行って」と懇願した時の思い出なのだ。
日本語の『蛍の光』は別れの歌となっているが、原曲は親しい人との再会を祝う歌なのである。この場で『蛍の光』を歌う政春の気持ちがエリーには伝わった。

政春は、エリーはエリーのままで良いと言った。無理をして日本人らしく振る舞う必要は無いと言うのだ。そして、エリーのいない人生は考えられない、だからそばに居てくれと懇願した。

ふたりは人目も憚らず抱き合い、互いの愛を再確認した。

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NHK『マッサン』第5回

大学生から大学院生の頃のあだ名は「まつ」もしくは「まっつ」だった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』の第5回めの放送を見ましたよ。

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第1週『鬼の目にも涙』

親戚たちが集まった法事で、エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)はみなに受け入れられた。しかし、早苗(泉ピン子)だけは苦々しく思っていた。

翌日、早苗は政春(玉山鉄二)とエリーを自室に呼び出した。そして、エリーは政春の嫁として相応しくないと再び言うのだった。亀山家の跡継ぎの嫁は、作法と品格を備えた日本人でなければならないと言うのだ。たとえば、エリーは政春の名を呼び捨てにしている。外国ではそれが常識であっても、日本の嫁がすることではないとあげつらった。

それでも折れない政春を見て、早苗は最大の妥協案を提案した。それは、政春は別途日本人の正妻を迎えて、エリーを妾にするというものだった。

政春は激怒した。勘当を覚悟で家を出ることにした。すぐに大阪へ出て、世話になっている酒造会社に行くことを決めた。
エリーは、政春が家族との縁が切れることに反対した。政春が実家の家族をどれだけ愛しているかをよく知っていたのだ。政春にとって大切な人を失うことはよくないことだと助言した。しかし、怒り心頭の政春は聞く耳を持たなかった。

ただし、政春にも一つだけ心残りがあった。それは父・政志(前田吟)である。
帰国してから一度だけ父とふたりきりで話す機会があり、エリーとの結婚とウィスキー造りのことを話した。しかし、父はそれらに対して何も言ってくれなかった。きっぱりと否定されたわけではなく、黙認されたと解釈はできたが、政春にはどうもスッキリしないのだ。

父・政志は、法事が終わるや、すぐに酒蔵で一人黙々と仕事をしていた。政春は、そこへウィスキーを携えて話に行った。政志は生まれて初めて飲むウィスキーに眉を潜めた。焦げ臭く感じ、美味さがさっぱりわからなかったのである。
それでも、政春がそれに情熱を傾けていることは理解していた。エリーへの愛情も理解していた。不器用な政志は、政春が喜ぶような言い方でそれを表現することができなかった。

一応の承認を得た政春は立ち去ろうとした。政志はその背中に声をかけ、相撲を取ろうと言った。政春はそれに応じた。
政春が小さな頃からよくふたりで相撲を取っていたが、政春は一度も勝ったことがなかった。それは今日も同じだった。政春は父に投げ飛ばされてばかりである。それでも、政春は何度も父に挑みかかった。そうするうちに、ふたりの力が拮抗した。

組み合いながら、父は政春に語りかけた。
自分が尻拭いをするから、政春はやりたいことに挑戦しろというのだ。日本で初めてウィスキーを作るという夢を実現することを応援した。ただし、泣き言を言うくらいなら全てを諦めろと突き放した。

その言葉に、政春は発奮した。美味いウィスキーを作って父に飲ませると約束し、その言葉とともに初めて政志を投げ飛ばした。
政志は自分が相撲で負けたことをとても喜んだ。

エリーは一人で箸の練習をしていた。法事で煮豆を摘むことに失敗し恥をかいたからだ。日本人として認められるためには、箸が使えなくてはならないと考えたのだ。
そこへ早苗がやって来た。早苗は、エリーに手本を見せてくれた。いつもと違う柔和な態度だった。

しかし、早苗の態度と発言内容は全く別だった。
早苗は、深々と頭を下げ、これまでエリーが聞いたことのない丁寧な口調で「あの子の将来を考えるなら、国へ帰ってください」と言うのだった。

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NHK『マッサン』第4回

高校生の頃のあだ名は「山瀬くん」、「ジョン」、および「まつさん」だった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』の第4回めの放送を見ましたよ。

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第1週『鬼の目にも涙』

政春(玉山鉄二)の祖父の17回忌法要が催された。政春は親戚一同、および長老役である和尚(神山繁)に取り入って、なし崩し的にエリー(シャーロット・ケイト・フォックス)との結婚を認めてもらおうと画策していた。みんなを味方につければ、結婚に猛反対している早苗(泉ピン子)も折れざるを得ないと目論んだのである。

政春はエリーに日本風の嫁の立ち居振る舞いや法事の作法を教えこんだ。しかし、しょせんはにわか仕立てであり、すぐに馬脚を現してしまった。長時間の正座で足がしびれてしまい、焼香のために立ち上がった際に和尚にもたれかかって倒れてしまった。

後の宴会で、政春と共に改めて挨拶をした。三指を付いた礼を行い、率先して和尚に酌をすることで、うまくやり通せたかと思えた。しかし、和尚は箸で煮豆を摘むことを命じた。挑戦するエリーであったが成功させることはできなかった。それを見た和尚は化けの皮が剥がれたと言って、日本人の嫁になることは無理だと断じた。
集まった親戚たちもエリーに対して冷たい視線を送った。

その時、幼い姉弟が会場で暴れ周り、すみれ(早見あかり)にぶつかった。その拍子に、すみれは運んできた徳利を床に落として割ってしまった。責任を感じた姉(眞鍋歩珠)が破片を片付けようとして、手を傷つけてしまった。弟(宮崎航平)はその場を逃げ出した。

エリーは誰よりも先に駆け寄って姉の切り口を手当してやった。それから弟を呼びつけ、姉とすみれに謝るよう諭した。
和尚は、そんなエリーの機転にいたく感心した。そして、日本の作法や服装などの「形」にこだわるのではなく、エリー自身が持っている内面や「心」を大切にするよう助言した。和尚の表情から、彼がエリーを認めたことは明らかだった。集まった親戚たちもその意見に同意しそうになった。

すかさず、早苗は大声を上げた。誰がなんと言おうと、自分は結婚を認めないと言うのだ。伝統ある亀山家の嫁が外国人に勤まるわけがないと吐き捨てた。エリーに出て行けと怒鳴りつけるのだった。

政春とエリーは宴会場を去った。

エリーはスコットランドでも同じようなつらい思いをしたことを思い出した。
政春がエリーとの結婚を申し込んだ時、母・ローズマリー(インゲ・ムラタ)やおじのデイビッド(マイケル・ビアード)に「日本人は出て行け」と罵られたことがあるのだ。

悲しくなったエリーは、スコットランド民謡 “Auld Lang Syne” を歌った。
すると、それを聞きつけたさっきの姉弟が駆けつけてきた。彼らはその歌を「蛍の光」として知っていたのだ。実は、「蛍の光」の原曲はスコットランド民謡だったのである。エリーはその歌を英語や日本語で歌った。それで子どもたちとすっかり打ち解けた。

彼らの大きな歌声は宴会場まで届いた。集まった人たちは、エリーの歌声に感心した。
しかし、早苗はたいそう面白くなかった。

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NHK『マッサン』第3回

中学生の時のあだ名は再び「まっちゃん」に戻った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『マッサン』の第3回めの放送を見ましたよ。

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第1週『鬼の目にも涙』

家族の夕食の時間となった。しかし、エリー(シャーロット・ケイト・フォックス)の食事だけが準備されていなかった。母・早苗(泉ピン子)は、エリーは家族ではないのだから女中と一緒に後で食べろというのだ。
政春(玉山鉄二)は怒り、自分も食事を摂らずに席を立った。

エリーは、故郷スコットランドで自分の母・ローズマリー(インゲ・ムラタ)に結婚を反対されたことを思い出した。エリーが日本へ行くと、外国人だということで差別やいじめを受けると言うのだ。文化や習慣が異なり、エリーがどんなに努力したところで日本人にはなれないと諭されたのだ。

しかし、そんなことで挫けるエリーではなかった。たとえ国籍が違っても、人と人は分かり合えると信じていた。愛する政春を助けるため、何としてでも彼の妻として認めてもらうよう頑張った。誰よりも早く店の前の掃き掃除を行ったり、たわしで鍋の焦げを擦るなど、人一倍努力した。

組合の視察旅行へ行っていた政春の父・政志(前田吟)が帰宅した。彼はほとんど日本酒造りにしか興味がなく、エリーに会っても特に何も言わなかった。早苗から相談を受けても適当に聞き流し、日本酒用の米を作っている田んぼに出かけてしまった。

政春は幼い頃から、日本酒造りに生活の全てを注ぎ込む父の背中を見て育った。灘や伏見に負けない酒を作ろうと、地元の人々と協力して工夫に工夫を重ねていた。その姿に憧れ、政春も何か新しいことに挑戦したいと思うようになったのだ。その結果、政春は日本で始めてのウィスキー造りを自分の目標と定めることになったのである。

政春の祖父の法事の日を迎えた。
今日は親戚一同が集まる。母・早苗にエリーのことを認めさせるため、周囲の人々を自分の味方に付けるというのが政春の目論見である。特に、和尚は長老と目されており、早苗も彼には頭が上がらない。和尚を真っ先に取り込むことがキモだと政春は考えていた。

エリーは和服に着替え、政春から日本風の作法の手ほどきを受けた。それはどれも難しいものばかりであったが、愛する政春と一緒に頑張ることはエリーにとって幸せなことであった。

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