NHK『ゲゲゲの女房』第69回

 7月から出演する新キャストの中で知っているのは風間トオルだけであり、一時期はモデル出身俳優として阿部寛と並び称されるほどの活躍だったのに、最近はドラマ『深夜食堂』でカリスマAV男優・エレクト大木なんつー役(僕は未見だが)をやっていると聞いてなんとなく不憫に思っていたりしていたのだけれど、朝ドラに出れて良かったね、がんばってねと密かにエールを送ったりして、ついでに、『深夜食堂』でエレクト大木の母親役がこみち書房のおばあちゃんを演じている佐々木すみ江だということも知って少々驚いている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第69回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 茂(向井理)と戌井(梶原善)の起死回生となるはずだった『悪魔くん』は大失敗だった。5冊の予定が3冊で打ち切りになり、完成したばかりの2冊目の原稿料も一部しかもらうことができなかった。残念がる茂だが、力なく笑いながら承諾するしかなかった。せっかく考えた長編用の構想も、急遽短くして話に収集をつけなくてはならない。

 危機的な状況にも関わらず、戌井が帰るやいなや、すぐさまプラモデル作りに没頭してしまう茂。逃避したくなる気持ちが分からないでもない布美枝(松下奈緒)は、茂の作業を手伝ってやることにした。そうしているうちに布美枝もプラモデルの面白さがわかってきて、時間を忘れるほど熱中してしまうのだった。

 作業をしながら、茂は戦艦模型を好きになった理由を話してくれた。幼い時、故郷の境港に多数の軍艦がやって来たことがあった。一人の海軍下士官(五十嵐大輔)と知り合いになり、乗船見学させてもらったり、ついには養子に乞われるほどの仲となった。少し前に軍記物漫画を描いていた時、当時の軍艦の資料を見て、懐かしくなったのだという。
 そしてまた、貧乏でくよくよしていると貧乏神につけ込まれる。だから、楽しいことをして朗らかな気持ちでいることが大切なのだと説くのだった。

 昭和38年11月、衛星中継の実験放送でケネディ暗殺の映像が日本にも伝えられた。
 茂は『悪魔くん』の最終話を描いていた。布美枝は手伝いをしながら原稿を読み、世直しのために戦っている悪魔くんが志半ばで死んでしまうのはあまりにかわいそうだと感想を述べる。茂は、暗殺されたケネディ大統領になぞらえているのだと説明した後に、物語のラストで悪魔くんが将来復活することをほのめかし、期待のもてるラストにしてあるのだと教えてくれた。いつか蘇るという望みがあることに、自分たちの生活を重ねたのか、布美枝は希望を取り戻すのだった。

 化粧クリームのセールスレディをしている靖代(東てる美)が、あちこちから子供用の古着をもらってきてくれた。一緒に彼女が持ってきた噂話によると、貸本反対運動が激化しているという。先日、中心人物の大竹(中嶋ひろ子)がこみち書房で邪険に扱われたことを根に持っているらしい。

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NHK『ゲゲゲの女房』第68回

 針金だけでザクの模型を作ったり、プラモデルの部品枠(ランナー)を組み合わせて人間大のガンダムを作ったりしているガンダムアート製作秘録に感銘を受けた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第68回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 布美枝(松下奈緒)は、茂(向井理)が戦艦プラモデルに熱中していることをこみち書房の人たちに打ち明けた。呆れる面々の中で、美智子(松坂慶子)の夫・政志(光石研)だけは茂の気持ちがわかるという。危機的状況になったとき、何かに熱中して逃避したくなることはよくある、生きるか死ぬかの戦地でもそういう男をたくさん見てきた、と。うそぶきながらも、藍子の様子を見ると、亡くした子供のことを思い出すのか、悲しげに自室へ引っ込むのだった。

 反貸本団体の大竹(中嶋ひろ子)が店先に現れた。自分の息子が『悪魔くん』を借りてきたことを見つけ、子供に低俗な漫画を貸しつけるとは無責任であると怒鳴り込んできたのだ。これまでの抗議活動はおとなしく聞いていた美智子ですら、ついに爆発し、両者の緊張は極限に達した。

 その時、奥から藍子の泣き声が聞こえてきた。目を離した隙に土間へ落下してしまったのだ。大竹の抗議による騒ぎには知らんぷりしていた政志であったが、藍子の緊急事態にはすぐさま駆けつけた。自分の子どもがちょうど藍子くらいの時に出征し、それが今生の別れとなった経験があるので、赤ん坊に対しては複雑な思いを持っているのだ。藍子を最優先する政志は、相変わらず店先で騒ぎ続ける大竹を一喝して追い返してしまった。

 いくつか事件はあったが、話を聞いてもらったことで布美枝は胸のつかえが取れた。意気揚々と帰宅すると、茂の兄(大倉孝二)が来ていた。彼の会社が倒産し、生活に困っているという相談だった。布美枝の反対を押し切って、茂は金を渡してしまった。『悪魔くん』が順調だと信じている茂は、すぐに埋め合わせができると考えているのだ。

 数日後、出版社の戌井(梶原善)が落ち込んだ表情で村井家を訪ねてきた。5冊出版予定だった『悪魔くん』を3冊で打ち切りにして欲しいと言う。1作目が売れ行き不振で、6割近くが返品される見込みとなった。この調子で本を出し続けると、赤字が膨らみ会社も倒産するおそれがあるのだ。

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THIS IS SHIT: wmv版

 当方のビデオクリップ THIS IS SHIT が3月13日に公開され、ちょうど3ヶ月が経ちました。
 この間の再生回数が208回という、空前の微少ヒットに苦笑いしか出てこない当方です。

 しかし、同じ日に公開された「ミキケルジャクソン」という なんちゃってゼロ・グラヴィティよりも再生回数が多いことで、かろうじて自尊心は保たれています。

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奈良交通のICカード読み取り機に突起がついた

奈良交通のバスの前側降車口のICカード読み取り機

「ピタっと触れるだけでご乗車できる、便利でお得なICカード CI-CA

といえば、奈良近辺に住んでいる人ならおなじみのフレーズ。この付近の乗合バスを運行している奈良交通が発行しているプリペイド式/定期型 ICカード CI-CA(シーカ) のキャッチコピーである。バスに乗ってるとよくアナウンスが放送される。

 なお、奈良交通では同社発行の CI-CA の他に、PiTaPaICOCAも利用することができる。各ICカードが利用できるが、CI-CA は日中の特定の時間に使用すると割引額が大きいなどのメリットがあるそうです。僕はPiTapist (ピタピスト。ピタパ利用者の意。今、勝手に作った造語)なのでよー知りませんが。

 先週の土曜日、久しぶりに奈良交通のバスに乗ったら、降車口のIC読み取り部にシリコン樹脂で作られた突起物が貼りつけられていた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第67回

 「マシンは僕だ、僕がマシンだ。男の命を燃やすんだ。」などとマシン・ハヤブサの歌(唄: 水木一郎)を口ずさみつつ、小惑星探査機・はやぶさのニュースを見ていた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第67回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 『悪魔くん』の1巻が出版され、茂(向井理)は2巻を執筆中である。しかし、生活は相変わらず苦しいままであり、布美枝(松下奈緒)は魚屋や八百屋からもらってきた半端もので家計をやりくりしている。ボヤく布美枝には耳も貸さず、茂は次々に新しい戦艦プラモデルを買ってきては作成に没頭している。旧日本海軍の連合艦隊の全船舶を揃えるまで作り続けるつもりになっている。

 はるこ(南明奈)が浦木(杉浦太陽)を調布の喫茶店に呼び出した。浦木は自分に気があるのではないかと早とちりするのだが、はるこは以前に撮影した写真を欲しがったのみだった。逆境にも負けない茂にあやかるために、一緒に写っている写真をお守りにしたいというのだ。茂の話ばかり聞かされるので不満な浦木。他の写真を茂に渡す気はなかったのだが、はるこに笑顔で頼まれ、浦木は渋々ながら届けに行くことにした。

 茂が留守にしていたこともあり、布美枝は浦木にプラモデル道楽のことを相談する。浦木によれば、茂は幼い頃から一銭の得にもならないようなものを収集する癖があったという。
 そんな話をしていると、また新しいプラモデルを持った茂が帰って来た。浦木は布美枝の味方をして、茂の無駄遣いをはっきりと注意してくれた。しかし、そもそもが金に意地汚い浦木の言う事なので、茂は真剣に聞こうとはしないのだった。また、自信作の『悪魔くん』がうまく行きかけていることも、茂の気を大きくしていたのだ。

 しかし、浦木は『悪魔くん』のような暗く、そして、貧乏の怨念が詰まったような漫画が大きく売れるはずもないと指摘する。今はテレビアニメの時代であり、茂は時代遅れだと評するのだった。侮辱されて頭に来た茂は、浦木を家から叩き出してしまった。布美枝は一応の礼儀として浦木を見送った。その後、仕事場を覗いてみると、茂は早速プラモデルに没頭していた。その姿を見て不安を募らせるのであった。

 布美枝がこみち書房に顔を出すと、『悪魔くん』を読んだ太一(鈴木裕樹)が傑作だと褒めてくれた。しかし、布美枝はどこか元気のない表情をしていて、美智子(松坂慶子)らを心配させるのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第66回

 昨日、出版社の社長役で出てきたのは住田隆であり、以前に女医役で出てきたのがふせえりであり、時間差でビシバシステムが揃ったことに軽い感動を覚えた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第66回めの放送を見ましたよ。

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「貧乏神をやっつけろ」

 大蔵省の男(片桐仁)が土地を取り上げると通知してきた来た翌日。別の役人(石黒久也)が来て、帳簿の間違いであったと謝罪した。

 安心し拍子抜けするふたりであったが、布美枝(松下奈緒)は世の中の不公平さに納得がいかなくなった。茂(向井理)に向かって、貧乏神をやっつけるような力作を描いてくれと訴えるのであった。いつになく強弁な態度に、茂はたじろぎながらも、その気になってくるのだった。

 茂は、超人的頭脳を持った少年が悪魔を呼び出して世直しをするという新作『悪魔くん』の構想を練り上げた。アイディアを見せられた戌井(梶原善)はそれをひどく気に入った。長編作として5冊出版しようと息巻いている。あまりに冒険的な計画に怖気付く茂であったが、戌井の勢いは止まらなかった。

 それからおよそ2ヶ月。ついに『悪魔くん』の初回原稿が完成した。原稿を見た戌井は、落ち着きをなくして大興奮する。彼は『悪魔くん』を傑作中の傑作だと評価し、大ヒット間違いないと考えている。しかし、茂自身はあまり喜ぶことができないでいた。本人でも良い作品ができたと思っているが、必ずしも作品の質だけで売れるかどうかが決まるわけではないと、これまでの経験で痛いほど知っていたからだ。

 それでも無事に原稿料を手に入れて、茂は帰路につくのだった。
 途中で模型屋のショーウィンドウに目が留まった。魅力的な戦艦プラモデルが売られていて、我慢できなくなった茂は貰ったばかりの原稿料でそれを買ってしまった。布美枝は後先のことを考えずに無駄遣いしてしまった茂に呆れ果ててしまうのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第65回

 昨日、戌井の妻役で出演していた馬渕英俚可がホリプロスカウトキャラバンのグランプリ受賞者(1992年)だと知って、そーか、そーか、山瀬まみ(1985年グランプリ)の直系の後輩になるのだなと目を細め、どーりで彼女の事を気に入ったわけだと合点の行った当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第65回めの放送を見ましたよ。

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「貧乏神をやっつけろ」

 茂(向井理)の原稿納品3日前、もっとも金の無い時期である。
 電気代の集金人(剣持直明)がやって来た。集金人自身も上司から目を付けられていて、村井家の滞納金を回収しないことには自分がクビになるかもしれないという。布美枝(松下奈緒)は家中の金を掻き集めるが、とうてい足りなかった。そのため、電気が止められてしまった。

 締め切り直前にも関わらず、茂はロウソクの灯りで仕事をしなくてはならなくなった。どうして自分たちだけこんなに貧乏なのかと辛くなる一方で、電気がないと星空がきれいに見えるなどと呑気なことを言い合うふたりだった。

 原稿をとある出版社に持ち込んだ。原稿料の相場は3万円なのに、そこの社長(住田隆)は3,500円しか渡してくれなかった。この出版社の台所事情も火の車なのだ。あまりの少なさに激しく抗議する茂であったが、文句があるなら仕事がなかった事にしてもいいと強気に出られると、どうしようもなくて受け入れてしまった。
 ここでも、茂には貧乏神(片桐仁)が自分を見てニヤリとするのが見えた。

 溜まっていた電気代の支払いをすると、原稿料はほとんど残らなかった。藍子が夏風邪を引いたようだが、病院代も無いのでしばらく家で様子を見ることにせざるを得ない。

 その時、誰かが訪ねてきた。茂が扉を開けると、全身黒尽くめで、大蔵省の役人を名乗る男(片桐仁)が立っていた。茂の家の敷地の半分は大蔵省が所有する土地であることが判明したという。占有している土地を買い取るか、さもなければ立ち退く必要があると申し渡すのであった。
 用件だけを伝えて帰っていく男に対して、茂は金がないからどうしようもない、勝手にするがいいと捨て台詞を吐くのだった。布美枝に対しても、世の中は貧乏人からばかり金を取る、理不尽なことだとわめき散らすのだった。

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Michael Jackson Lifetime Collection: 遺品展@東京タワー

告知ポスター 東京タワーのすぐ隣に出かける用事があった。そして、全くの偶然にも、東京タワーで Michael Jackson the Official Lifetime Collection (マイケル・ジャクソン公式遺品展)が開催されていた。

 当方は Michael Jackson の大ファンだ。ただし、ちょっと屈折している。
 彼を揶揄する替え歌を作ったり中学生の時に使っていたペンケースがマイケル・ジャクソン(?)だったり、ついにはマイケルになりきってみたり
 こんな当方なのだから、この遺品展を見逃せるだろうか。いや見逃せない。(反語)
 開催期間も7月4日までなので、このチャンスを逃すと後が無い。

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東京タワーでメダリオン

 東京タワーのすぐ隣に出かける用事があった。せっかくなので東京タワーの展望台に登り、毎度おなじみ茶平工業の記念メダルを購入することにした。

 東京タワーの展望台は2段階になっていて、大展望台(150m)と特別展望台(250m)がある。大展望台のチケットは820円、特別展望台は600円だった。両方セットは1,420円である。セット割引などのサービスはなかった。
 そして、チケットブースのおねぇさんによれば、特別展望台は25分待ちとの事。平日の16時半だというのに。

 僕は、東京タワーのメダルがどこで売られているのか事前に調査してこなかった。
 きっと展望台で売られているのだろうが、それが大展望台なのか、特別展望台なのか不明だ。確実に手にいれるためには両方調べる必要があった。しかし、特別展望台の待ち時間(25分)と両方への入場料金(1,420円)は僕にとって少しも魅力的ではなかった。
 だから、大展望台だけを視察に行くことにした(840円; 待ち時間なし)。それでメダルをgetできないのであれば、僕は運が悪いということだ。その時は潔くメダリオン道から引退する覚悟であった。どうしてそこまで気合を入れるのかはわからなかったが。

 ドキドキしながら直通エレベーターに乗ること1分ほどだろうか。大展望台についた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第64回

 ちょうど1年前の今日、「日経平均が4万円を超えたら結婚する」と宣言したのに、その時よりも平均株価が下がり(2009年6月10日終値9,991円、2010年6月9日終値9,439円)、婚期が遠のいたことにショックを受けている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第64回めの放送を見ましたよ。

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「貧乏神をやっつけろ」

 藍子が生まれて半年、梅雨の時期となった。村井家の生活は少しも改善していない。

 茂(向井理)は戌井(梶原善)の出版社へ原稿を届けに来た。本を出すたびに赤字で経営の難しくなった戌井は、水道橋の事務所を引き払い、国分寺の自宅で仕事をしていた。その家も借家であり、戌井家の生活も苦しい。戌井の妻(馬渕英俚可)は、そのことで終始イライラしている。

 茂は原稿料を半分しか受け取れなかった。ところが、それを責めるどころか、無給で北西出版の顧問を努めると申し出た。茂と戌井は貸本漫画に対する熱意を共有しているし、戌井家の窮乏を救いたいと思うからだ。新人作家の発掘など、出版社の今後について夜まで話しあった。

 茂が帰ろうとすると、雨が降っていた。自転車で来ていた茂は、びしょ濡れになるのを覚悟で走りだそうとした。戌井の妻は傘を貸そうとするのだが、返しに来るのが面倒だと笑い飛ばして、茂は去っていった。茂は片腕なので、傘を差しながら自転車を運転することができない。戌井の妻は、うっかりとそのことを失念していたのだ。自分の失礼な申し出に嫌な顔をしなかった茂。そんな人柄に感化され、戌井の妻も出版社を盛り立てていく気になった。

 茂は明け方まで家に返ってこなかった。布美枝(松下奈緒)が心配して事情を尋ねると、近道のために通った多磨霊園の中で道に迷ったという。いつも通っている道のはずなのに、走っても走っても出口が見つからなかったという。放心したまま、原稿料を布美枝に差し出した。茂本人も夢うつつで自覚がないのだが、戌井から受け取ったはずの札束は、数枚の小銭に成り果てていた。
 霊園で出口が見つからないという話が、まるで自分たちの貧乏暮らしのようで、胸が苦しくなる布美枝だった。

 布美枝が商店街に来てみると、子どもたちは「鉄腕アトム」の歌を楽しそうに歌っている。その年の1月からテレビアニメが始まって、子どもたちに大人気なのだ。
 こみち書房に顔を出すと、市民団体が詰めかけていた。貸本漫画は暴力や迷信、エログロといった不健全な内容であり、子どもたちに悪影響を及ぼすというのだ。また、消毒もせずに人から人に渡るので不衛生であると難癖もつけられた。彼らは、子供に本を貸し出すなという要望書を美智子(松坂慶子)に突きつけて帰っていった。

 こういった圧力を初めて目にした布美枝は強いショックを受けた。しかし、今回が初めてではなく、美智子は慣れたものだった。貸本は今後も存続するだろうと、消極的ではあるが楽観視していた。
 けれども実際には、週刊漫画雑誌やテレビアニメが人気を集めており、貸本は時代から取り残されて行く一方であった。

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