NHK『ゲゲゲの女房』第77回

 カラオケでは必ずチェッカーズの「NANA」を歌うけれど、矢沢あいの「NANA」は読んだことのない当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第77回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 布美枝の父(大杉漣)は、いずみ(朝倉えりか)の上京も、貴司(星野源)が婿養子に行くことも、一切許す気がない。イライラとして妻(古手川祐子)に当り散らすほどだった。

 夜、貴司が店にひとりでいるところへ、布美枝(松下奈緒)が話をしに来た。布美枝は、父が激怒する理由は中途半端にしか話していないからだ、腹を割って話をする必要があるとアドバイスをする。しかし、貴司は、一家が苦労して続けてきた酒屋なので、自分の一存で放り出すことはできないという。
 それに対して布美枝は、他の家族には黙っているような、もっともひどい苦労話を打ち明ける。そんな生活であっても、漫画を描く事が大好きな茂(向井理)と一緒にいることが幸せなのだと付け足す。人は、自分にとって一番大切なことを諦めてはいけないと言い聞かせた。
 その話に何か思うところのあった貴司であったが、口では家を放り出すわけにはいかないと強がりを言うのであった。

 翌日、布美枝は茂の実家へ出かけた。大喜びする両親は、近所の人々も招いて藍子をお披露目する宴会を開いた。その宴会の給仕は全て布美枝一人に任されてしまった。
 茂は自分の暮らしぶりを故郷には秘密にしている。近所の人々は、茂は大成功していて、次々に舞い込む仕事のせいで帰省できないのだと、勝手に噂話を始める。問いかけられて、布美枝は曖昧に返事をするのが精一杯だった。

 客が帰った後、茂の母(竹下景子)は茂らの本当の暮らし向きを訪ねる。明確な返事を避けた布美枝であったが、母な全て見通していたのだ。その理由は、村井家の男たちは父(風間杜夫)をはじめ、全員金に締りが無いからだという。それを支えるために、布美枝がしっかりしなければならないと発破をかけられるのだった。

 その夜、布美枝は境港に一泊した。
 その頃、店で仕事をする貴司の所へ、思いつめた表情で恋人の満智子(長澤奈央)がやって来た。

 翌日、布美枝が実家に帰宅した。家の様子がおかしい。ついに父と貴司の間で何かが起きたらしい。

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NHK『ゲゲゲの女房』第76回

 10日以上続いた水便がやっと収まって、ほっとした当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第76回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 調布の村井家に、はるこ(南明奈)がパチンコ景品の缶詰を差し入れに来た。布美枝(松下奈緒)が帰省したと聞き、荒れるに任せた家の状態を見て、勝手に家事を始めてしまう。茂(向井理)は遠慮するが、仕事がはかどるので、つい任せてしまった。しばらくすると浦木(杉浦太陽)が様子を見に現れた。案の定、はるこが茂と親密になりそうなのを見つけ、立ち去るように説得する。その騒ぎに立腹した茂は、ふたり揃って追い出すのであった。

 安来の喫茶店では、布美枝が弟・貴司(星野源)からじっくりと話を聞いていた。恋人・満智子(長澤奈央)の家は裁縫機器の販売代理店を営んでいる。彼女は一人娘でもあり、婿養子をとって店を続けなければならない。貴司の父(大杉漣)は、すっかり自分に見合いをさせて、家業の酒屋を継がせる気になっている。彼女と父との間で板挟みになってしまっているのだった。

 ふたりが家に帰ると、父が妹・いずみ(朝倉えりか)を怒鳴りつけていた。彼女が内緒で東京の会社に就職活動をしていたことがバレてしまったのだ。父は、いずみを地元の小学校の先生にさせるつもりなのだ。自分の人生を親に決められることに反発するいずみ。
 立場上、貴司は仕方無しにいずみのことをたしなめる。彼が味方をしてくれなかったことでますます激昂したいずみは、みんなの前で貴司の秘密をばらしてしまった。家族の中にいくつものしこりが残った。

 夜、布美枝はいずみと向き合った。布美枝から見ると、彼女の東京への憧れは一時の気の迷いのようにも見える。東京の暮らしは必ずしも良いことばかりではないし、地元・安来の方がよっぽど良い所だと話す。それは理解するものの、いずみは若いうちに一度は東京を見てみたいのだ。そして何よりも、親に勝手に人生を決められることへの不満で渦巻いているのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第75回

 「今日はマクラが思いつかないので、勘弁してくれ」と冒頭に謝罪する当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第75回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 布美枝(松下奈緒)が実家に帰って来た。布美枝の初めての里帰りを喜ぶ面々だが、それ以上に藍子のかわいらしさに大賑わいとなった。
 幼い頃に一番仲が良く、現在は農家へ嫁いだ姉のユキエ(星野真里)も顔を出してくれた。なかなか里帰りしないので汽車賃にも困る生活なのかと心配していたが、元気そうな顔を見て安心したと、気遣ってくれた。

 おばの輝子(有森也実)は、布美枝の弟・貴司(星野源)の見合い話を進めようとしている。父(大杉漣)もとても乗り気である。酒屋をもう1店舗つくり、貴司に所帯を持たせた上で全てを任せようと計画しているのだ。

 周囲で勝手に話が進んでいく中、貴司は何か思うところがありそうだったが、雰囲気に飲まれ、モジモジとして言い出せないでいた。母(古手川祐子)は貴司の様子がおかしいことに気づき、父をそれとなくたしなめるのだが、彼は聞く耳を持たなかった。
 夜、布美枝が部屋で藍子を寝かしつけていると、貴司と妹・いずみ(朝倉えりか)の低い声が聞こえてきた。布美枝にはっきりと聞こえたわけではなかったが、どうやら貴司には恋人がおり、店を継ぐことも完全には同意しているわけではないようだった。

 ある日、布美枝は幼馴染の親友・チヨ子(平岩紙)と喫茶店で会っていた。布美枝は、チヨ子が東京に訪ねてきたとき、家に招待せずに追い帰してしまった非礼を詫びた。貧しい生活を見せたくなかったのだと、本音を告げた。それを聞いたチヨ子はかえって安心したという。家に招かれないのは、夫が気難し家であるせいだと解釈していたのだ。夫の機嫌を伺いながら苦労することに比べれば、金の苦労の方がよほどマシだろうと、チヨ子は明るく言うのだった。

 しばらくすると、その喫茶店に貴司が入ってきた。彼は布美枝の存在に気づかないようだ。貴司は恋人・満智子(長澤奈央)に、勝手に縁談を進められていて困っていると打ち明けたようだ。しかし、それを体の良い別れ話だと思った満智子は泣きながら店を飛び出して行った。
 貴司は、そこで初めて布美枝に一部始終を見られてしまったことに気づいた。

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NHK『ゲゲゲの女房』第74回

 目覚ましをセットし忘れて、危うく寝坊しそうになった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第74回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 こみち書房に顔を出した布美枝(松下奈緒)は、そこで一心不乱に漫画を読む富田(うじきつよし)に出くわした。茂(向井理)に20万円の手形を振り出したが不渡りになった過去があるので、布美枝の顔を見て逃げ出そうとする。しかし、なんとかなだめて家まで連れてきた。

 出版社を倒産させた富田であったが、本への未練が断ちがたく、現在は製本会社の工員として働いているという。身なりもみすぼらしかったが、なんとか金を集めて、8,500円ばかりを茂に返した。受け取るべき金額としては少なすぎたが、茂も布美枝も過去のことは水に流す気になった。

 そこへ、浦木(杉浦太陽)がひょっこりと顔を出した。過去に浦木が怪しげなビジネスを富田に入れ知恵したことで、彼の会社の資金繰りが悪化したという過去がある。一瞬、浦木に対して激昂する富田であったが、自分が欲に目がくらんだことを思い出し、反省するのだった。漫画が大好きで貸本出版社を始めたはずなのに、いつの間にか漫画を金儲けの道具にしか見ることができなくなっていた。それが失敗の元だったと悟り、現在は心を入れ替えているという。
 茂は富田の新たな門出を応援する一方、貸本業界からまた一人消えたことを悲しく思うのだった。

 深沢(村上弘明)が復帰したと聞いて、浦木は自分が心を寄せるはるこ(南明奈)のことを思い出した。彼女は、漫画家になるために深沢を頼って状況した。しかし、すぐに深沢が倒れたことで路頭に迷ったという経緯がある。深沢の良いニュースを伝えたら、はるこは自分への好意を増すに違いないと都合よく考えた。
 それと同時に、布美枝の帰省中にはるこが茂の所へ近寄らないように、何か策を打つべきだと思い至るのだった。

 そして、布美枝が故郷へ向けて出発する日になった。家のことが心配で茂にあれこれと申し付けながら、布美枝は慌ただしく家を出るのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第73回

 先週 NHKのあさイチ向井理がゲスト出演した時、水木プロダクションにしばらく通って習ったという彼のペンさばきがなかなか見事で、つい見とれてしまった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第73回めの放送を見ましたよ。

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「初めての里帰り」

 孫の姿を見せに来いと、茂の実家から矢次はやに催促のハガキが来る。しかし、汽車賃が工面できず帰省は叶わない。金が無いことを隠しておきたいので、返事も適当にはぐらかし続けてきたが、いよいよ口実のネタも尽きてきた。茂(向井理)はめんどくさがって仕事部屋に逃げ込んでしまい、文面を任された布美枝(松下奈緒)は頭を抱えるのであった。

 ある日、茂の兄(大倉孝二)が、大慌てで家に飛び込んできた。業を似やした茂の両親が藍子に会うために上京することを決め、電話で通知してきたのだ。母(竹下景子)は激昂しやすい性格で、茂ら兄弟は苦手に思っている。(茂が結婚を決めた理由の一部は、結婚してしまえばそのことについて文句を言われなくてすむという魂胆もあった)。その上、芝居好きの父(風間杜夫)に良いチケットを用意してやったり、帰りの汽車賃を持たせてやったりと、出費がかさむことも心配である。彼らの上京を阻止するためには、布美枝と藍子だけでも境港に送り込むということで話がまとまった。金がなかろうが、原因は藍子にあるのだからお前達でなんとかしろと強弁して、兄は逃げ帰ってしまった。

 旅費はもちろん、藍子用のよそ行き衣類を準備する金すらなく、完全に途方にくれる布美枝。

 数日後、深沢(村上弘明)が家にやって来た。『河童の三平』の原稿を預かったまま結核に倒れ、原稿もろとも彼の会社が潰れてしまった以来の再会だった。快復した彼は、本格的に仕事に復帰するという。新たに嵐星社という出版社を起ち上げ、美人秘書の加納(桜田聖子)も同伴していた。療養所にいる時から少しずつ仕事を再開しており、「忍術秘帖」という月刊貸本漫画をすでに発刊している。茂にも忍法漫画を月刊連載で描いてくれと依頼するのだった。

 さらに、そろそろ貸本漫画には見切りをつけて、これからは漫画雑誌へシフトしていくという計画を披露した。既存の漫画雑誌が子供向けであるのに対抗し、貸本漫画の読者層に相当する、大人向けの漫画雑誌をつくるという。創刊は秋を目指すが、茂を雑誌のメインに据えたいという。茂も喜んで手伝うことを承諾した。

 また、深沢はうやむなになったままだった『河童の三平』の原稿料も支払ってくれた。
 現金が手に入ったことで、布美枝は里帰りできることになった。ただし、茂は仕事が立て込んでいるので留守番することになった。茂の実家へは少し顔出しするだけでいいので、布美枝の実家でゆっくりして来るがいいと優しくってくれるのだった。

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アサガオ・サバイバル

6月19日のアサガオ

5月29日の様子 庭のアサガオの周辺がかなり賑やかになってきた。5月29日の時点で7株だったアサガオは元気に成長している。いずれも本葉を10-20枚ほど付けている。しかし、支柱も立てたが、上に伸びていく様子はなく、横に膨らむばかりだ。思わず、「白木みのる型アサガオ」というフレーズが浮かんでは、消えた。
 5月末の写真(右)と見比べて、ニンマリしているところである。

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シングル、ダブル、サブル

 中島らもが大阪で見た変なおじさん/おばさんを面白おかしく紹介するという話の中で、トリプルの事を「サブル」と表記する店があったと証言している。

 僕は異なる2冊の書籍でその話を読んだ。しかし、話の細部が微妙に異なっていることに気づいた。そのことを指摘して、鬼の首を取ったように自慢しようというわけではないが、一応記録として残しておく。

「シロウトおそるべし」(中島らも『西方冗土』収録)

コピーではないが、東大阪の方に有名な「イカ焼き」屋さんがあった。老人夫婦でやっているのだが、このイカ焼きは普通の大きさのものと、二倍の大きさのと三倍のとがある。ここのメニューには、
「シングル百八十円、ダブル三百円、サブル四百五十円」
 と書いてある。おそらく「トリプル」という言葉を知らずに憶測で「サブル」というのを考えたに違いない。この「サブル」はなかなか人気のある実力者だったが、ネーミングも力になっていたにちがいない。

「らもとさだおの『まずいもの大好き』」(東海林さだお『なんたって「ショージ君」』収録)

らも ようするにゲソを鉄板で焼いて、その上に小麦粉と卵を溶いたものをジャーッとかけて焼きあげるんですけど、天王寺に昔おじいさんがやってる店がありましてね、イカ焼きの大きさによって値段が違うんです。それでね、壁に、「イカ焼きシングル百二十円」「ダブル四百八十円」。その次がすごいんですけど「サブル五百四十円」。
さだお 理論的にいえば、三だからサブル。
らも おっちゃん何も知らんから、勝手につけたんですよ。
さだお そうすると、サブルの次はヨブル。
らも 誰か注意したれよと思うんですけどね。

 両者を比較すると、地域の違い(東大阪と天王寺)、経営者の違い(老人夫婦とおじいさん)、価格の違いなどが挙げられる。
 価格をより詳しく検討しよう。前者ではそれぞれ 180円、300円、450円であり、価格比は 1:1.67:2.5 である。わりとリーズナブルだ。しかし、後者は 120円、480円、540円となっており、比が 1:4:4.5 である。なんと、ダブルになると価格が一挙に4倍にもなるのだ。これはにわかには信じがたい。そのくせ、ダブルとサブルの価格には12%の違いしかない(前者では 50%の差がある)。

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NHK『ゲゲゲの女房』第72回

 明日(20日)午後5時よりNHK総合で、布美枝の少女時代から結婚までの総集編が放送されることを知り、一応押さえておいた方がいいよと宣伝するた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第72回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 布美枝(松下奈緒)が風邪で寝込んだ。茂(向井理)は仕事をそっちのけで世話を焼く。現金が払底してしまったため、鼻紙すら買えない。描き損じの漫画原稿をしごいて鼻をかむありさまだった。ろくな食料もない中、先日はるこ(南明奈)が持ってきてくれた みかんの缶詰を開けて、それだけで夕食を済ませる。

 みかんを食べながら、漫画をやめると言い出す茂。40歳を過ぎても芽が出ないのだから将来はない、映画の看板描きに転職するとボヤいた。茂の弱音を聞くのは初めてのことで、布美枝はショックを受けた。何か声をかけるべきなのだろうが、布美枝は言葉を発することができなかった。

 居間で寝ていた布美枝は、夜中に仕事部屋から聞こえてくる物音で目を覚ました。茂がまたしてもプラモデルを作っていたのだ。体調が少し良くなった布美枝は、茂の作業を手伝った。

 ふたりはプラモデル作りに没頭した。布美枝は、模型作りの楽しみもわかってきたが、茂と一緒に作業するのが何より楽しいのだと話す。結婚前の茂には腕が1本しかなかったが今は合わせて3本もある。自分は何があっても茂についていくつもりだ。だから、これからも漫画を続けて欲しいと訴えた。それを聞いて、茂も元気を取り戻すのだった。

 翌日、戌井(梶原善)が原稿料を届けに来てくれた。戌井も相変わらず苦しく、全額というわけではなかった。しかし、茂も布美枝も急場を凌ぐには十分であると笑顔で受け取る。ふたりの明るさに戌井も元気づけられて、意気揚々と帰っていくのだった。

 数日後、いよいよ年の暮れを迎え、布美枝は家中の掃除に余念がない。
 そんな中、呑気な茂は大海原に白波が立つ絵を描いていた。その上に戦艦のプラモデルを据え置くと、波を切って進む艦隊のジオラマになるのだ。忙しいのにと文句を言っていた布美枝であるが、ちゃぶ台の上に展開する勇壮な情景に見とれ、愉快な気分になってきた。

 さらに、藍子が本人初となる二足直立歩行に成功した。歓喜する茂と布美枝。一家は、貧しさに負けることのない、明るさと前向きさとを完全に取り戻したのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第71回

 前日の猫画像に引き続き、「図書館の画像ください」(ハムスター速報)を見て現実逃避し、神々しく幻想的な書棚の画像の数々に清澄な心持ちになった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第71回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 茂(向井理)と戌井(梶原善)は連れ立って、只野(片桐仁)を訪ねた。浦木(杉浦太陽)によれば儲かっているということだったが、只野の住まいは今にも壊れそうなボロ屋で、部屋の中も陰気で埃だらけだった。只野の風貌も怪しく汚らしく、貧乏神に取り憑かれていた。彼は一つの原稿を異なる業界新聞に掲載させることで効率良く儲けることができると主張しているが、傍目にはまったく儲かっているように見えない。また、只野は新聞漫画は単なるオマケに過ぎないと卑下している。茂らの理想とはほど遠い姿に、仕事の話を進めることなく帰るのだった。

 他人には頼れないとわかったふたりは、自分たちで状況を打開することにした。中味は茂のタッチそのものなのだが、読者が手に取りやすいように、表紙だけは見栄えの良い美男美女を配した本を作ることにした。
 茂は新たな原稿に取り掛かった。時代漫画と銘打って、表紙用に映画スターのような人物の絵を描いた。それは布美枝(松下奈緒)も惚れ惚れとするような素敵な絵柄だった。しかし、本篇はいつもの通り怪奇漫画であった。

 未払いのままだった『悪魔くん』の原稿料を受け取るために、布美枝は戌井の家へお使いへ行った。あいにく戌井は留守で、待つ間に戌井の妻(馬渕英俚可)と貧乏暮らしについて愚痴を言いあった。しかし、ふたりとも、漫画に全てを注ぎ込む夫のことを諦めると同時に、心の底から応援しているという共通点があった。貧困を嘆きながらも、笑顔の絶えないふたりだった。
 しかし、結局、戌井は帰宅せず、その日も金を受け取ることができなかった。いよいよ村井家の金が尽きた。

 家に帰り着くやいなや、布美枝は倒れ込んでしまった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第70回

 どうしようもない状況に陥り、「猫ですらこんな状況でもリラックスしているというのにおまいらときたら……」(ハムスター速報)を見て現実逃避し、その中にあったモノレール型猫で激しく笑うことができ、その結果朗らかな気持ちになった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第70回めの放送を見ましたよ。

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「連合艦隊再建」

 茂(向井理)は『悪魔くん』最終話の原稿を戌井(梶原善)に届けた。しかし、有り金全てを印刷屋に支払ってしまっていたため、原稿料を受け取ることができなかった。

 帰り道、八百屋で真っ黒に変色したバナナを見つけた。見た目が悪いことを理由に八百屋を言いくるめて、100円に負けさせて1束買った。茂は戦争中に南方の現地民から珍しい果物をもらって食べていた。だから、色は悪くても熟しきったバナナが美味しいことを八百屋よりもよく知っていたのである。初めは顔をしかめる布美枝(松下奈緒)であったが、思い切って食べてみて、そのおいしさに顔をほころばせるのだった。

 はるこ(南明奈)と浦木(杉浦太陽)が、大量の缶詰を持ってやって来た。はるこは、浦木との打ち合わせ前に、暇つぶしに入ったパチンコ屋で100円で大勝したという。パチンコ屋に住み込みしている都合上、景品を持ち帰るのもバツが悪いというのだ。
 一方ではるこは、漫画の持ち込みが失敗続きで、少し落ち込んでいた。藍子の姿を見て元気を貰いに来たと話している。

 藍子のオムツを取り替えるため、布美枝とはるこは2階へ上がる。布美枝は、家の前で撮影した写真をはるこが持っているのに気づいた。それを慌てて隠すはるこの様子を見て、布美枝はなんだか胸騒ぎがするのであった。

 一方、居間に残った浦木は、茂に今後の仕事口を紹介する。只野マコトという漫画家は、業界新聞(製鉄新聞、炭鉱新聞などの専門誌)の仕事で羽振りがいいという。一度原稿を書けば、同じものが各紙に転載されるため効率良く稼げるという。浦木は只野の住所の書付を押し付けるが、茂は乗り気にはなれなかった。

 藍子がちゃぶ台に手をかけて、つかまり立ちをしていた。自分の足で立てるようにいろいろ試しているのだと言う布美枝の言葉に、茂は自分の境遇を重ねた。自分もいろいろ試してみようと思うようになった。

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