NHK『ゲゲゲの女房』第63回

 当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第63回めの放送を見ましたよ。

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「貧乏神をやっつけろ」

 茂(向井理)の戦艦模型は、片手だけで作ったとは思えないほど精密だった。茂はもっと見せようとするのだが、急に締め切りの事を思い出して仕事に戻ってしまう。マンガ修行と称して、はるこ(南明奈)が無給でのアシスタントと申し出た。なんとか彼女をデートに誘おうとする浦木(杉浦太陽)は、あまりのしつこさに家からたたき出されてしまった。

 2月も半ばになった。 茂は、戌井(梶原善)の出版社へ原稿を届けに行く。彼の所から出すのはこれで3作目になる。そろそろ原稿料の値上げを交渉しようと思っていた。
 しかし、戌井の出版社の雲行きは怪しくなっていた。出した本が返品されて戻ってきており、茂の作品に対する苦情のハガキも届いていた。
 その上、少ないパイを取り合って、他の出版社との関係も悪化している。取次に圧力をかけて、戌井の会社の本を扱わないよう指示しているところもあるという。戌井は資金繰りのために、自分で描いた漫画を他社に持ち込んで原稿料を貰っていたのだが、ついに掲載を全て拒否されるようになったという。ふたりは、貸本業界が不景気だからこそ助け合う必要があると残念がる一方で、どこも経営が苦しく必死であることに理解も示すのだった。

 結局、茂は原稿料の値上げを言い出すことはできなかった。受け取った原稿料1万円は、そっくりそのまま自宅ローンの支払にあてた。しかし、すでに20万円の負債があるため焼け石に水である。不動産屋の主人(田中要次)は強硬手段に出ることをちらつかせ、脅しをかけてくるほどだった。

 戌井の出版社の状況、不動産屋とのやりとりなどを聞いた布美枝(松下奈緒)は、隠していた出産祝い金を差し出した。藍子の初節句の雛人形を買うようにと、布美枝の実家から送られて来ていたのだ。ひな祭りは来年以降もチャンスがあるが、ローンは今すぐ解決しなければならないと言って、不動産屋への負債にあててしまった。

 精一杯のひな祭り気分を出そうと、布美枝は紙を折って内裏様とお雛様の人形を作った。買い物の時に、ひなあられを一袋だけ買って帰ってきた。
 家に入ると、茂は上機嫌で布美枝を待っていた。豪華な7段のひな壇を絵に描き、襖に貼っていたのだ。一番上には、布美枝の折った人形が貼り付けられていた。絵に描いた料理や酒を前に、ふたりで飲み食いした芝居をしながら楽しむのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第62回

 DOHC(Dokusho One Hundred Club:年間百冊読書する会)を毎月楽しみにしているのだが、今月号はまだ発行されていないので残念に思っている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第62回めの放送を見ましたよ。

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「貧乏神をやっつけろ」

 藍子が生まれてから3週間が経った。
 姉・暁子(飯沼千恵子)はぎっくり腰になってしまい、家事や育児を手伝うことができなくなった。布美枝(松下奈緒)は育児書と産科医の指導の下、全てを自分ひとりで行わなくてはならなくなった。アメリカ式に則って、母乳ではなくミルクを与え、時間もきっちり厳守する。独立心を育むために、少しぐらいぐずっても放置したりしている。

 そのあまりに杓子定規な子育てに、茂(向井理)をはじめ、商店街のいつもの面々(松坂慶子、ほか)は呆れるのだった。むしろ彼らは、自然に任せた無理の無い子育てが良いと信じている。そうやって藍子に向かう人々の姿を見て、布美枝も少しずつ態度を軟化させていく。

 ある日、どこからか写真機を借り受けた浦木(杉浦太陽)が家にやって来た。家族の写真を実家に送って、喜ばせてやろうと親切心を装う浦木。しかし彼は、今日はるこ(南明奈)が村井家に来ることを知っていたのだ。彼女の写真を撮ることこそが本当の目的だった。しかし、藍子と一緒に写真に収まりたいと主張するはるこを前に、彼の目論見は水泡に帰すのだった。

 浦木は自分がプロデュースした書籍を茂に差し出した。1冊は子どもの名づけ法の本だった。すでに娘の名前は決まっており、タイミングの悪さにケチを付ける茂。しかし、その本ははるこがカットを描いた本だという。
 もう1冊は、戦艦の図録であった。収録されている図解は酷いものだった。茂は浦木がいつものように安い所へ発注して上前を跳ねたのだろうと問いただす。どうやら図星のようであったが、はるこの前で良い所を見せたいと思っている浦木は慌てる。

 茂は、戦艦図解の杜撰さをなじりつつ、仕事部屋の奥から戦艦模型を持ってきて見せた。茂の作った模型は、誰が見ても驚くほど精巧なものだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第61回

 せめて今週だけでも、チンタラ走っている車に対して舌打ちするのではなく、「彼/彼女は、安全運転を心がける優良ドライバーだ」と思って尊敬するよう心がけることにした当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第61回めの放送を見ましたよ。

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「貧乏神をやっつけろ」

 年の暮れ、12月30日。
 布美枝(松下奈緒)が退院し、娘と一緒に帰宅した。
 茂(向井理)は朝から落ち着かなかった。赤ん坊が風邪をひかないようにと、いつもは節約している灯油をふんだんに使って家を温めていた。仕事も手につかず、家の隅々を点検したり、自分の漫画の中から目玉おやじが出てくるシーンを読み返したりもしていたのだ。

 茂は、娘に藍子と命名した。筆書きしたが、紙に大きな余白が残って締まらない。茂はそこに目玉おやじのイラストを描き加えた。布美枝の姉・暁子(飯沼千恵子)や茂の兄夫婦(大倉孝二愛華みれ)は奇妙な絵に呆れる、しかし、布美枝だけは茂の意図がわかった。目玉おやじは全力で鬼太郎を守る父親である。茂の決意が見て取れたのだ。

 年が明け、昭和38年1月3日。
 漫画家仲間の戌井(梶原善)がやって来て、貸本出版社(北西社; 苗字の「戌」の方角から)を起ち上げたと報告した。貸本文化を守るために立ち上がったのだ。ただし、会社が軌道に乗るまでは漫画家も続け、原稿は他社から出版してもらうという。他社からの原稿料で、最低限の生活費だけは確保しようというのだ。
 ところが、自分の出版社から出す原稿が無い。そこで、茂にホラー物の短編を寄稿するよう願い出た。もちろん茂は友人の頼みを喜んで引き受けるのだった。

 そんな話をしていると、布美枝の姉・暁子が年始の挨拶と家事の手伝いに来てくれた。しかし、家から運んできたおせち料理を降ろした瞬間、ぎっくり腰になってしまった。

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天王寺動物園でメダリオン

 およそ30年ぶりに天王寺動物園(大阪市)へ行ってきた。

 当方は、母親の分娩の都合で、大阪府高槻市で生まれた。その後、父親の仕事の都合で北海道へ転居するまで、その地で暮らした。小学校2年生が終わるまで、高槻にいた。
 小さい頃、何度か天王寺動物園へ行ったという、おぼろげな記憶がある。4-5歳の頃のことだろうから、よく憶えていないのだ。覚えていることは、動物園の出口が金属製の回転ドアになっていることだけだ。金属に挟まれて痛い思いをするのではないかとビビって、出るに出られなかったことだけはよく思い出せる。

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NHK『ゲゲゲの女房』第60回

 最近、当シリーズ記事を書くのに時間がかかるようになってきており、今日こそは20分以内に書きあげるぞ、と決意した当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第60回めの放送を見ましたよ。

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「こんにちは赤ちゃん」

 定期検診で布美枝(松下奈緒)は軽い妊娠中毒症だと診断された。食事の良くないことが原因のようだ。入院するよう勧められるが、金の心配からそれを断る。

 家にいると、商店街のいつもの人々が家を訪問してくれた。様子を見に来てくれたセールスレディの靖代(東てる美)がみんなに声をかけてくれたのだ。美智子(松坂慶子)は、塩分控え目でも美味しい料理を持ってきてくれた。その他、みんなは家からこども用品のお古や、安産のお守りなども持ってきてくれた。
 人々の温かい人情に触れて涙ぐみつつも、応援を受けて明るさと勇気を取り戻す布美枝であった。

 しばらくして、クリスマス・イブの日。布美枝は定期検診で病院へ向かった。徹夜で仕事をしていた茂も、ふと気が向いて一緒についてきてくれた。
 妊婦に囲まれて居心地の悪い思いをしている茂の所へ、検診を終えた布美枝が深刻な顔をしてやって来た。予定日は年明けだったはずなのに、今夜にも生まれるかもしれないという。そのまま入院することとなった。
 布美枝は仕事のことを心配し、茂に家へ帰るよう言うのだが、居ても立ってもいられない茂は入院道具を揃えると病院に詰めた。

 その日の夜、無事に女の子が生まれた。

「ごくろうさん、お母ちゃん」
「だんだん、お父ちゃん」

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まつとし聞かば 今帰り来む: 猫が帰ってくるおまじない

 本日放送のNHK朝の連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』で、中納言行平(在原行平)の和歌が登場した。

立ち別れ 因幡の山の峰に生うる まつとし聞かば 今帰り来む

 その歌のことを向井理演じる水木しげるが、迷い猫が返ってくるように願うおまじないであると言うシーンがあった(参考: 当方のまとめ記事)。

 今朝の放送を見た時、内田百閒の『ノラや』という本の中で読んだことがあるような気がした。その時は出勤前で余裕が無かったのだが、時間ができたので調べてみた。わかったことを以下に記す。

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NHK『ゲゲゲの女房』第59回

 今日の朝ごはんは、アピタ精華台店の「肉のげんさん」(三元フード株式会社)で買ったビーフコロッケ(5コ入り150円)であり、「チョーうまい、冷えてもうまい、よそでコロッケもう買うまい」と朝からラップ風につぶやいている・・・などと、3日前と同じことを書くことで読む人をデジャブに誘い込むため、本当にコロッケを食べた当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第59回めの放送を見ましたよ。

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「こんにちは赤ちゃん」

 倒産した富田書房に債権者が集まり、資産整理の話し合いが行われた。茂(向井理)は、人々を嘲笑うかのように眺めている貧乏神(片桐仁)の姿を見つけた。貧乏神は、集まった人々を一通り見回した後、茂に目をつけてニヤリと笑うのだった。

 村井家では、米と味噌がいよいよ底を付きそうである。金が無いので、日々やってくる集金人の影にも怯える日々だ。ハコベなど、道端の雑草を集めては食料にしているありさまである。
 茂は自分の力で何とかしようとし、他の出版社から仕事をもらい猛烈に働くが、原稿料は安くなる一方で、ますます生活は苦しくなっていく。

 ついに布美枝(松下奈緒)は、嫁入り直前に母(古手川祐子)から贈られた着物を質入するよう差し出した。この着物は、母が布美枝の結婚生活の幸せを願い、リウマチに痛む体で夜なべして縫ったものである(第17回参照。そんな事情は知らないものの、ただならぬ雰囲気を感じ、考えなおすよう勧める茂である。しかし布美枝は、自分は身重だからしばらく着ることはできない、茂は質草を一つも流したことが無い、将来きっと取り戻してくれると信じている、一時的に預かってもらうだけであり心配ない、と言い張るのだった。

 そう言われて、茂も着物を質入することを決めた。品をあらためていると、和歌をしたためた髪が挟んであった。

立ち別れ 因幡の山の峰に生うる まつとし聞かば 今帰り来む

 茂によれば、それは迷い猫が帰ってくるという俗信だが、布美枝はいろいろな物が早く戻ってくるおまじないだと思い込んでいたのだ。布美枝の勘違いに笑い出すふたり。雰囲気が一挙に明るくなった。
 しかし茂は、布美枝からの信頼に応えるため、必ず取り戻すと、その和歌に思いを込めて決意するのだった。

 布美枝の手元には、祖母(野際陽子)の形見の簪だけが残った(第8回参照)。それは、彼女の女系親族に代々伝わる、縁結びのお守りである。自分の赤ん坊の性別はまだわからないが、女の子が生まれたら引き継がなければならないと思い、手放すわけにはいかないのだった。

 村井家に、税務署の職員(水橋研二山本浩司)が調査のためにやって来た。申告所得額があまりに少ないため、申告漏れ、もしくは帳簿外の収入があるのではないかと目をつけられたのだ。初めは、自分達の貧乏な暮らしを自嘲しヘラヘラと笑っていた茂であるが、職員らの高飛車で頭ごなしの態度に腹を立た。ついに質屋の引換証の束を投げつけ、自分の貧乏暮らしを証明し、職員を追い返すのだった。

 騒動が収まり、やっと落ち着いた時、茂と布美枝は家の中のただならぬ雰囲気に気づいた。貧乏神が取り憑いて、ニヤニヤと笑っているのだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第58回

 京都府城陽市が「自分おこし」という事業を始めたらしい。街おこしの根本となるべき、住民を盛りあげようという企画らしい。書道家の俵越山という人が中心で行っているらしいが、テレビニュースで見ていて、どこかで見たことのある人だなぁと思ったら、タレントの越前屋俵太だと紹介された。懐かしさと驚きでいっぱいになった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第58回めの放送を見ましたよ。

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「こんにちは赤ちゃん」

 夏。『河童の三平』は富田書房から3巻まで刊行された。約束手形で受け取っていた1巻めの原稿料10万円は、無事に現金化することができた。
 しかし、富田(うじきつよし)は2巻と3巻の原稿料の支払いを待って欲しいと言い出した。茂(向井理)が問い詰めても、ハッキリとした理由は言おうとしない。それでも、富田に義理のある茂は言いなりになってしまった。残りの原稿料20万円は、全て11月に支払われる約束手形として受け取った。茂自身も、家のローンの支払いを待ってもらっている状況であり、不動産屋に頼み込んで、約束手形を預けることで支払いの代わりにしてもらった。

 11月になった。布美枝(松下奈緒)と赤ん坊は順調だった。金がないのは相変わらずであるが、幸せそうな布美枝。茂のセーターの毛糸をほどいて、赤ちゃんの衣類を編んでいる。

 はるこ(南明奈)が今後の作家生活の相談のために訪ねてきたのだが、茂は留守だった。不景気な貸本業界にあって、少女漫画だけは堅調であり、はるこの本は次々に出版されている。しかし、はるこは、どれも同じような少女漫画を描くことに疑問も感じており、茂のような独創的な作品を作りたいと希望を持っている。布美枝は、独創的すぎると自分の家のように貧乏暮らしをすることになると、軽口で答えるのだった。
 村井家を辞したはるこは、近所の喫茶店へ向かった。そこで浦木(杉浦太陽)と落ち合い、彼から小説の挿絵の仕事を紹介してもらった。浦木は、はるこへの下心があって仕事を紹介している。しかし、はるこはそんなことには全く気付かず、茂の幼い頃の話を聞きたいとせがむのであった。浦木は少々面白くなかった。

 茂は家の支払いのことで不動産屋の主人(田中要次)に呼び出された。預けていた手形が不渡りになったのだ。滞納していた月賦20万円を今すぐ現金で払うか、さもなければ家の立ち退きを迫られてしまった。茂はその場をとりなし、富田書房へ事情を調べに行くのだった。

 富田を殴りつけてやるつもりで事務所に到着すると、すでに他の債権者が押し寄せて暴力沙汰になっていた。それを見て茂は、つい富田をかばってしまう。ふたりっきりになって事情を聞くが、富田は泣いて謝るばかりで、どうしようもない。会社は倒産した。当然、不渡手形をどうすることもできないし、原稿料が受け取れないことも確定した。

 家の立ち退きまで迫っているのに、布美枝はまだ何も事情を知らないのであった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第57回

 「ゲゲゲの女房」とかけまして、「感動のあまり、言葉を失ってしまった目玉おやじ」と解きます。その心は? と柄にもなく謎かけをしてしまった当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第57回めの放送を見ましたよ。

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「こんにちは赤ちゃん」

 布美枝(松下奈緒)が自分の暮らしに不満を持っていると見てとった姉の暁子(飯沼千恵子)は、茂(向井理)の言いなりで黙っているのも良くない、たまには家出をして懲らしめるのも手である、と入れ知恵した。
 布美枝は、しばらく家へは帰らないと電報を打った。緊急事態なので、茂は電話を借りてかけてくるのではないかと待っている布美枝。しかし、一向に連絡はない。逆に不安になってくる布美枝であった。

 その時、姉の家の呼び鈴が鳴った。手が離せない暁子に代わって出てみると、茂がきまり悪そうに立っていた。小言を言おうとする義姉から逃げるように、布美枝を強引に連れて帰ろうとする。まさか直接迎えに来るとは思っていなかった布美枝は、黙ってそれに従った。

 帰り道、布美枝は自分の強い意志をはっきりと茂に伝える。ただでさえ苦しいのに、子どもまで生まれたらもっと大変になることはわかっている。しかし、せっかく授かった赤ん坊なので大事にしたい、絶対産むのである、と。

 茂は、急に話をはぐらかすように、映画を見て帰ろうと言い出す。驚く布美枝であったが、茂は照れているのだ。ふたりだけで出かけられるのも今のうちだと言い、間接的に出産を歓迎するのだった。そして茂は、やっと自分の正直な心境を話し始める。妊娠を告げられたとき、あまりに急なことでびっくりしてしまったのだと打ち明ける。貧乏が心配の種であることは間違いないが、持ち前の楽観主義で、きっとなんとかなるだろうと言うのだった。

 帰り道、ふたりで映画を見た。ロマンチックな映画を見たかった布美枝を無視して、戦争映画に決める茂。見る前はつまらなさそうにする布美枝であるが、ふたりのデート(デート?デートなのか!?)というシチュエーションが楽しく、茂以上に映画を楽しむのであった。
 夜は赤飯を炊いた。節約のため、もち米ではなく、うるち米で炊いた赤飯であった。それでも、ふたりは幸せな気分になるのだった。

 ふたりの実家にも妊娠の報告をした。茂の母(竹下景子)は手伝いに行くと大騒ぎするが、姑がいてはかえって気詰まりだと夫(風間杜夫)にたしなめられる。そこで、事細かに妊婦の心得を記した長い手紙を書き始めるのだった。布美枝の母(古手川祐子)からは岩田帯(安産祈願の腹帯)が贈られた。添えられていた手紙は、でしゃばりすぎず、優しく布美枝と赤ん坊を気遣うものだった。

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NHK『ゲゲゲの女房』第56回

 今日の朝ごはんは、アピタ精華台店の「肉のげんさん」(三元フード株式会社)で買ったビーフコロッケ(5コ入り150円)であり、「チョーうまい、冷えてもうまい、よそでコロッケもう買うまい」と朝からラップ風につぶやいている当方が、NHK連続テレビ小説『ゲゲゲの女房』の第56回めの放送を見ましたよ。

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「こんにちは赤ちゃん」

 中森(中村靖日)が、1年半暮らした下宿を引き払って出て行った。

 布美枝(松下奈緒)は金のことが相変わらず心配で、いまだに茂(向井理)へ妊娠のことを報告できないでいる。

 商店街に出かけてみると、化粧クリームのセールスレディ経由で、布美枝の妊娠が知れ渡っていた。街の人々はとても喜んでくれた。
 しかし、美智子(松坂慶子)だけは、布美枝の様子がおかしいことに気づいた。全てを打ち明ける布美枝に対して、親身に話を聞いてくれた。そして、茂は何も知らないから子どもに対して冷たい態度をとるのだ、本来心が大きい人だから妊娠を知れば喜ぶだろう、一人で抱え込まないで二人で相談することが先決だ、などとアドバイスをして励ますのだった。

 布美枝が家にたどり着くと、東京赤羽に住む姉・暁子(飯沼千恵子)からハガキが来ていた。息子が剣道大会で優勝したお祝いをするので家に遊びに来いという招待状だった。茂も招待されているので一緒に行こうと誘うが、茂は行きたがらない。しかし、布美枝がいつになく深刻な顔をしているのに気づき、ただならぬ雰囲気を察するのだった。姉に報告したいことがあるので、茂にも一緒に来て欲しいと言うのだ。

 布美枝はついに妊娠を打ち明けた。
 それを聞いた茂は、放心し、困った顔でため息をついた。子育ては大変なことだと言うだけで、少しも喜ぶ素振りを見せなかった。
 その夜、茂は徹夜で仕事を続け、以後、夫婦の会話は一つもなかった。

 翌日、布美枝は一人で姉のところへ出かけ、向こうに泊まってくることになった。出掛けに仕事部屋の外から声をかけるが、茂は気のない返事を返すだけだった。

 姉の家では、夫婦仲はもちろん、親子の仲も良かった。その楽しそうで裕福な家庭を見ていると、自分の家がどんなに寂しい環境なのだろうかと悲しくなる布美枝であった。

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