NHK『カーネーション』第129回

週刊アスキー2011年12月20日号の大槻ケンヂみうらじゅんの対談の中で(これに先立つふたりの対談はwebで読める。大笑い必至)、仕事場にやって来た編集者の前で原稿を書くことを「実演!」などと表していたのだが、それと同じように、泊まりがけでやってきた静岡県の宿が相部屋なので、本まとめ記事(のメモを取る様子)も同宿の人の前で実演せざるを得なかった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第129回目の放送を見ましたよ。

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第23週「まどわせないで」

東京で直子(川崎亜沙美)のファッションショーが行われる。糸子(夏木マリ)は身の回りの世話係と称して里香(小島藤子)を連れていくことにした。
里香は優子(新山千春)の次女だが、東京での生活に嫌気がして、数日前から糸子のところに転がりこできたのだ。里香は、どさくさに紛れて優子のところへ送り返されるのではないかと警戒した。しかし、糸子はそんなことはしないという。その代わり、夜ふかしばかりして、日中はダラダラしている里香に腹を立て、ごはん分くらいは働けと言うのだった。

しぶしぶながら、里香は東京について来た。直子の華やかなファッションショーの舞台裏に案内してもらっても、ふてくされて隅の方に佇んでいるだけだった。けれども、いざファッションショーが始まると、仏頂面ではあったが、興味を示してモニタ画面を見つめた。

直子のファッションショーは大成功だった。直子だけではなく、多くの売れっ子デザイナーが群雄割拠する時代となった。デザイナーズ・ブランドの洋服がブームとなり、若者たちの間で大人気だ。糸子は、日本中の人々がお洒落を楽しめる時代になったことを感慨深く思う。

しかし、これだけ自由におしゃれができる時代なのに、里香はどういうわけか毎日ジャージ姿だ。直子のファッションショーに顔を出すにあたっても、普段着のジャージでやってきた。糸子には里香の気持ちがわからなかった。
一方、直子はそんな里香を見て愉快になった。自分が初めて東京に出てきた時に学校の制服ばかり着ていてバカにされていたことを引き合いに出しつつ、ジャージを着続けるつもりなら意地を通せと応援するのだった。

糸子と里香は、東京に3日間滞在した。糸子は里香を優子に引き合わせない代わりに、里香を毎日あちこち連れ出した。夜ふかしできないほど観光したおかげで、里香の生活リズムは昼型に戻った。岸和田に帰ると、ピタリと夜ふかしをやめてしまった。

最近、オハラ洋装店では洋服だけではなく、和服の勉強会を開いたりもしている。
その勉強会へ、生地問屋の跡取り息子の河瀬譲(川岡大次郎)が顔を出した。彼の一家と糸子には長い付き合いがある。戦争中、金糸入り布地の使用が禁じられた。金糸入り生地を大量に抱えて困っていた河瀬の曽祖父を助けたのが糸子だった(第52回)。その時の縁が今でも続いているのだ。
河瀬譲は、友人で京都の呉服屋の若旦那・吉岡(茂山逸平)を連れてきた。しかし、糸子にはどっちも頼りないドラ息子に見え、できえれば付き合いたくないと思うのだった。挨拶もほどほどに相手にしなかった。

後日、吉岡が一人でオハラ洋装店にやって来た。初対面で冷たくされたのにも関わらずやって来る度胸と懲りない態度を面白がり、糸子は少しだけ話を聞くことにした。吉岡は糸子に反物を見せた。白地に白糸で刺繍された生地は美しく、糸子は一目で気に入ってしまった。
その様子を見るやいなや、吉岡は床に土下座を始めた。間違えて100反も仕入れてしまったので、助けて欲しいというのだ。戦時中に金糸入り生地100反を引き受けた時のことを思い出し、糸子は呆れてしまった。

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NHK『カーネーション』第128回

今夜は泊まりがけの出張で某オジサンと相部屋であり、明日のまとめ記事はどうしようかなぁと思いつつ、おずおずと事情を説明したらその人から「あ、ボクも毎日見てるよ。明日の朝は一緒に見よう!」と言われてしまい、すっかり朝のまとめ仕事の段取りがついて安心した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第128回目の放送を見ましたよ。

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第23週「まどわせないで」

1985年(昭和60年)10月。
糸子(夏木マリ)は72歳になっていた。オハラ洋装店や住居は改装されてすっかり現代風になったが、今でも岸和田の商店街に住んで商売をしている。
糸子は歳をとり、親しい人々のほとんどに先立たれた。彼らが死んだからといって、落ち込んだり、付き合い方が変わるのは避けたいと常々思っている。家の片隅に友人たちの写真を飾り、彼らが生きていた時と同じように語りかける。たとえ返事がなくても、それが糸子の日課だ。

糸子や店が年月を重ねたのと同じように、オハラ洋装店にやってくる客も老人ばかりになった。彼女らは年に1-2度しか服を作らないが、だからこそ1回あたりを豊かで気持ちのいい時間にしたいと願っている。気心の知れた従業員をふたり(竹内都子小笹将継)だけ雇って、ゆったりと商売をしている。

店がのんびりしているからといって、糸子の生活がスローになったかというとそうではない。むしろ、店以外のことで忙殺されていた。それぞれ独立した娘たちが、いまだにあれやこれやと糸子を頼ってくるのだ。頻繁に電話がかかってきて、糸子はその対応に忙しい。

ロンドンに渡った聡子(安田美沙子)は10年前に現地で自分のブランドを興した。それが成功し、今でもロンドンで暮らしている。糸子は聡子から電話がかかってくるたびに肝を冷やすが、なにぶん遠くに住んでいるので手も足も出ない。だからかえってあきらめも付く。

直子(川崎亜沙美)は7年前にパリコレで成功を収め、今や世界中を飛び回る売れっ子デザイナーになっている。けれども、細々とした事務作業を自分で片付けることができず、いまでも糸子を頼ってくる。電話がかかってくるたびに、糸子は呆れつつも面倒を見てやる。

一番頻繁に電話をかけてくるのは優子(新山千春)だ。
彼女のブランド「ユウコオハラ」は、全国に30店舗を展開するほどの一流ブランドになった。社長兼デザイナーの優子はとにかく忙しい毎日だ。ビジネス上の付き合いのパーティーにもたくさん呼ばれるのだが、その全てに出席することはできない。そこで、糸子に代理を頼むことがしばしばだ。

さらに、優子は次女・里香(小島藤子)のことに頭を悩ませている。
15歳になった里香は、夜な夜な家を抜けだしては悪い友だちと付き合っているようだ。苦労して入学させたミッションスクールにもほとんど通わなくなってしまった。
もっと悪いことに、里香は東京の家を出て、ぷいと岸和田に来てしまった。2日前から糸子の家に寝泊まりしている。里香にきちんと教育を受けさせたいと思っている優子は、説得して東京に送り返すよう糸子に頼んだ。しかし、糸子は賑やかになっただの、子供は歩いて話ができれば上出来だなどといって、のん気に構えている。

優子は、里香が夜遊びしないように気をつけてくれというが、夜はぐっすり眠っている糸子には注意のしようがなかった。実際、昨日の夜も里香は派手な格好で夜遊びし、明け方に帰宅したのだが糸子は何も気づいていなかった。
ただし、糸子も里香の姿を見てまともでないことは理解していなかった。けれども、岸和田の空気やだんじりに触れれば、自然と更生すると気長に考えていた。

糸子は、昔とはすっかり様変わりしてしまった商店街を歩いた。昔はあんなに元気に走りまわった道なのに、今はゆっくりとしか歩けない。
それでも、だんじりの速さだけは今も昔も変わらない。そのことが嬉しくもあり、切なくもあった。

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NHK『カーネーション』第127回

週明け5日(月)は本まとめ記事の更新が遅れる予定だが、その理由は当方が早朝から移動するためであり、ヒロインが尾野真千子から夏木マリに交代することへのボイコットではないことを先に明言しておく当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第127回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

1973年(昭和48年)9月14日。だんじり祭の日。
だんじり祭りがテレビで取り上げられたことで、全国からの観光客が殺到した。岸和田は未だかつてない混雑と賑わいになった。その熱気に取り込まれ、小原家も朝から大忙しだった。次々と新旧の親しい人々が訪れ、日の高いうちから宴会が始まった。
客への対応に大忙しの糸子(尾野真千子)であったが、少しも苦にならないどころか、人が集まることをとても喜び、楽しんだ。往来に面した2階の窓から、いつもと同じようにだんじりが行くのを見物し、大きな声援を送った。

ところが、ふと気づくと千代(麻生祐未)の姿が消えていた。近頃、特に痴呆のひどくなった千代のことが心配になり、糸子らは慌てて近所を探しまわった。程なく、松田(六角精児)が見つけて無事に連れ帰ってきた。
千代は、善作(小林薫)の姿が見えないと言って探しに行ったのだという。家に大勢の客が来ているのに、善作がいないと困ると言うのだ。千代は善作が死んだことすらわからなくなっていたのだ。糸子は怒鳴りながら善作が死んだことを思い出させようとするが、松田によればそれは逆効果だという。善作は近所に挨拶に行っただけだからすぐに帰ってくるなどと話を合わせた。やっと落ち着いた千代は、おとなしく家に戻った。

日が沈み、糸子は北村(ほっしゃん。)とふたり、2階で酒を飲んだ。
その場で、糸子は東京行きを断った。
北村は、糸子が周防(綾野剛)の住む長崎に行くつもりなのではないかと疑ったが、糸子はそれをきっぱり否定した。

糸子は、自分の生きる場所は岸和田のこの家だと考えていた。極楽も地獄も、全て往来に面したこの窓から見てきた。自分の宝物は全てこの家にあるのだという。
北村は食ってかかった。自分達は随分と歳をとった。これから先は、多くのものを失っていく。親しい人々も次々に死んでいく。岸和田に留まることは、そういった喪失感を一人で耐えていくことにほかならない。それがどんなに辛いことかを話し、なんとか糸子を説得しようと試みた。
しかし、糸子の考えは変わらなかった。むしろ、弱気な北村のことを笑い飛ばすのだった。

糸子には、北村の言う喪失感を理解することができなかった。人が死んだからといって、自分は何も失わないし、変わらない。この地で自分の宝物を抱えて生きていくつもりだと言い切った。

1階に降りると、溢れんばかりの人々が集まって宴会の真っ最中だった。誰もが笑顔で楽しそうだった。
静かに座っていた千代は、人垣の向こうにやっと善作を見つけた。善作は賑やかな人の輪から一歩引いて、静かに盃を傾けていた。くいっと酒を煽ると、ニヤリと笑った。
千代が慌てて横に座ると、善作は空になった盃を差し出した。千代は徳利を持つ手の形を作り、何も持たないまま酒を注いだ。善作は美味そうにその酒を飲んだ。千代は善作の飲みっぷりを嬉しそうに眺めた。

夜がふけ、客も引き上げた後、糸子は善作に買ってもらったミシンを愛おしく撫でた。そして、2階の窓から静かになった夜の街をいつまでも眺め続けた。

1985年(昭和60年)10月。
優子の次女・里香(小島藤子)が朝帰りした。里香はまっすぐに祖母の部屋に入ると、声をかけて起こした。
72歳になり、歳をとったとはいえ、糸子(夏木マリ)はまだまだ元気だった。ぱっと目を覚ますと、自分でさっさと布団をあげてしまった

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NHK『カーネーション』第126回

昨日は、少なくとも山瀬まみよりは胸が大きいと見積もられている女性と一緒に静岡でエビをたっぷりご馳走になり、二次会ではビールやラムを飲んでぐでぐでになったわけだが、いくら飲み過ぎと寝不足でしんどくても「カーネーション見にゃならんから起きろ」という声と共に朝の始まる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第126回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

1973年(昭和48年)3月。
聡子(安田美沙子)は、家族や近所の親しい人々に見送られてロンドンへ旅立って行った。

糸子(尾野真千子)は空港まで聡子を見送った帰りに、心斎橋の優子(新山千春)を訪ねた。優子は、聡子が姉たちよりも先に海外へ飛び出して行ったことをしきりに感心していた。

糸子は、優子の東京行きや離婚することについて穏やかに訪ねた。優子は静かにそれらを肯定した。糸子は、そんな大事な事を北村から聞かされるまで親に黙っていたこと注意した。心配を掛けたくなかったという優子に対して、子の心配することが親の仕事だと言って再び注意した。

優子は、糸子も一緒に東京へ行くよう誘った。東京は経済や文化の中心であり、アパレル業界で成功しようと思ったら東京に拠点を置く必要があるというのが優子の考えだ。優子は自分の店の本店を東京に構え、全国に支店を展開する計画だという。5年以内に50店舗を作り、売上を30倍にしてみせるという。

熱心に語る優子であったが、糸子には少しも面白いと思えるところがなかった。東京行きが気に入らないのではなく、自分が本当にやりたい事が何なのかを見失いかけていたのだ。岸和田で仕事を続けることと、東京に進出することのうち、どちらがより面白いのか全く判断できなくなっていた。

その夜、八重子(田丸麻紀)が訪ねてきて、珍しく糸子と酒を飲んだ。八重子は自分の美容院を閉じることを決めたという。近頃では立ち仕事が辛くなってきたし、子供にも心配されているという。これまで働き詰めの生活だったので、「働かない」という新しい生活を始めるのにも労力が必要だと思われる。それだけの力が残っているうちに店をやめるというのが八重子の決断だった。

一方で、八重子は糸子のことを応援した。今や、オハラ洋装店は岸和田一の名店なのだから、長く店を続けて欲しいというのだ。
糸子は、北村(ほっしゃん。)や優子に東京行きを誘われていることを話した。店をたたむとなると、昌子(玄覺悠子)らの仕事もなくなってしまう。それを気兼ねする心境もあった。
台所で聞き耳を立てていた昌子は、自分達のことは気にする必要はないと言って糸子を後押しした。悪い話ではないし、糸子の自由にするのが何よりだというのが昌子の正直な気持ちだった。

糸子は自分の迷える胸のうちを話だした。
糸子はアパレル業界が戦争ゲームのようになっているのが気に入らないのだ。戦争と同じように周りは敵ばかりで、敵に負けないように頭がのぼせておかしな事を信じたりやったりする。最新モードを追いかけるばかりで、去年の流行服が今年は誰からも顧みられなくなる。そういったことは、糸子には少しも面白い思えないというのだ。

糸子は、自分に洋裁を教えてくれた根岸(財前直見)の言葉(第23回)を引用した。
「本当に良い服は、人に品格と誇りを与えてくれる。人は品格と誇りを持って、初めて希望が持てる。」
ところが、自分はその言葉を忘れかけていた。流行の服は一時的に希望を与えてくれるかもしれないが、すぐに別の服がその希望を奪い去ってしまう。そんなイタチごっこのようなことに自分も加担してきたと反省するのだった。

糸子の弱音を聞いて、珍しく八重子が怒り出した。彼女は何も言わずに突然立ち上がると、あっけにとられる糸子らを無視し、ぷいっと大股で家に帰ってしまった。

10分後、八重子が小走りで戻ってきた。そして、風呂敷包みを糸子に差し出した。
中には、安岡美容室の新装開店の際に糸子が作った制服(第86回)が入っていた。それと一緒に、玉枝(濱田マリ)や奈津(栗山千明)と一緒に撮った写真も収められていた。

安岡美容室の改装直前、安岡一家はどん底の状態だった。けれども、糸子が作ってくれた制服のおかげで八重子らは希望と誇りを取り戻した。黄ばんだ制服を指し、それのおかげで生きてくることができたと言って八重子は涙を流した。

糸子は昔の自分にひっぱたかれたような衝撃を受けた。

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NHK『カーネーション』第125回

今日は逆旧ドリカム状態(現代風に、もしくは厚木に住む者として言うならば逆いきものがかり状態の方がしっくりくる)でデート(デート?デートなのか!?)をする予定であり、自分はなんと果報者なのだろうかと思えば、「尾野真千子、高橋一生と同棲…2年前から交際」(サンスポ)という記事を読んだところで少しも堪えることはない、ていうか、山瀬まみだって中上雅巳と3年近く同棲をしていた(しかも、全く報道されなかった)のだから今さら何が起きても驚かない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第125回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

大晦日に、聡子(安田美沙子)が家族の前でロンドンへ行くことを宣言した。糸子(尾野真千子)はすぐにそれを許可した。優子(新山千春)と直子(川崎亜沙美)に責め立てられ、小さく縮こまっている聡子のことがかわいそうで仕方がなかったのだ。
思ってもいないのに、つい勢いでロンドン行きを許可してしまったというのが本音だった。

年が明けて、1973年(昭和48年)1月。
糸子はすぐに昌子(玄覺悠子)と松田(六角精児)に報告した。年末までは聡子に店を譲ることで話がまとまっていたのに、急に反故になってしまったことにふたりは驚いた。
聡子までいなくなったらオハラ洋装店の跡取りが完全になくなる。店をどうするつもりかと聞かれ、糸子は自分が最後まで店を続けると話した。そして、自分の手で店をたたむ覚悟であることを告げた。
みんなの前では強がっている糸子だったが、自分の店が一代限りでなくなってしまうことは心苦しかった。

繊維商業組合の三浦組合長(近藤正臣)にも事の次第を報告に向かった。新年の挨拶もそこそこに、跡取りが無くなったことを話そうとするのだが、三浦は気もそぞろでまともに聞いてくれない。

なんと、つい数分前まで、事務所に周防(綾野剛)がいたのだという。周防は岸和田を去る挨拶に来ていたのだという。子供は全員独立し、妻にも先立たれた。一人ぼっちになった周防は、生まれ故郷の長崎に帰りたくなったのだという。長崎の田舎に一軒家を買い、畑をやりながらゆっくりと暮らすつもりなのだという。
その話を聞いているうちに、糸子は泣き出してしまった。周防の心境を思いやると悲しくて仕方がなかった。家族と離れ、歳をとってから見ず知らずの人間関係の中で、新しい生活を一人で組み立てることの寂しさを思うといたたまれない気持ちになったのだ。三浦は、人のいい周防のことだからきっとうまくやれる、むしろ近所のおばさんたちがおせっかいを焼きに来るだろうと軽口を言うのだが、糸子はさめざめと泣き続けるのだった。

北村(ほっしゃん。)は聡子に会って、彼女のロンドン行きについて詳しく話を聞いた。何かと頼りない聡子が一人で異国に行って暮らしていけるのだろうかと心配でならないのだ。けれども、聡子は全てを楽観的に捉えていた。あてはないけれどロンドンに行き、まずは語学学校に通いながら仕事を見つけるのだという。犬がどこでも暮らしていけるのと同じように、自分も大丈夫だなどと子供じみたことまで言い出す始末だった。北村はもうそれ以上何も言えなくなってしまった。

北村は話題を変えて、糸子の好きな花を聡子に尋ねた。

早速、赤いカーネーションをたくさん持って、北村は糸子に会いに来た。家族が寝静まった後、北村と糸子はゆっくりと静かに酒を飲み交わした。北村の様子がいつもと違うことに気づいた糸子は、話をするよう促した。

北村は優子の話を始めた。
優子の心斎橋出店については北村が融資した。融資の際、北村は冗談半分で、優子が成功したら独占契約を結びたいと言っていた。実際に優子の店は太繁盛し、その時の約束を優子が履行したのだ。北村と優子は東京に進出することを決めたという。

娘のことながら、その話は糸子には初耳だった。暮れに優子が帰省した時も何も言っていなかった。
優子が東京に行くと知って、糸子は優子の家族の事が心配になった。優子の夫(内田滋)は大阪で働いているはずだし、どうするのかと思った。そういえば、暮れに夫が顔を出さなかったことも思い出した。
北村によれば、優子の夫婦仲は冷え切っているという。優子本人は、離婚したがっているという。

そこまで話を聞いて、糸子は北村が花を持って話に来た訳を理解した。優子と北村が不倫をしており、その報告と謝罪に来たのだろうと思った。ふたりは大阪から逃げるように東京へ行きたがっているのだ。

もちろん、それは糸子の早合点だ。
北村は冷静に不倫を否定した。むしろ、小さな頃から知っている優子と男女関係になるなど考えられないと怒った。言われてみれば確かにその通りで、糸子も自分の勘違いがおかしくて吹き出してしまった。

北村は居住まいをただした。そして、自分と一緒に東京へ行くことを提案した。それは、北村なりの求婚の一環だった。けれども、勘の悪い糸子は、何をしに行くのか、旅行か?などと的はずれな反応しか示さなかった。

はっきりと本心を伝えられない北村は、東京の新会社の副社長になって欲しいとしか言えなかった。糸子は渋った。どうしても一緒に上京したい北村は、即座に社長就任でも良いという条件を出した。
糸子は完全に仕事の話だと思い込んでいる。北村の申し出に感謝しつつも、考える時間が欲しいと答えるのだった。

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NHK『スタジオパークからこんにちは』 ゲスト尾野真千子

NHK『カーネーション』第124回

関東地方は未明から降雪に見舞われ、車の運転は危険だし、バスを利用して交通混雑に加担する必要もあるまいという判断、さらに、出社しなければできない作業もない(雪を見越して昨日のうちに片付けた)ので会社を休ませてもらうことにしたわけであり、本日13:05からのNHK『スタジオパークからこんにちは』のゲストが尾野真千子であることは単なる偶然であり、それを見るために休むのではないと言い訳する当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第124回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

余命半年と宣告された玉枝(濱田マリ)であったが、結局それから1年8ヶ月も生き長らえた。その間、玉枝は死ぬことが怖くないと言い続けた。早くに亡くした夫や、戦争で亡くした二人の息子(須賀貴匡尾上寛之)があの世で待っていてくれると思えば、何も恐れることはないというのだ。自分の死を自然に受け入れることができて、むしろ入院前よりも元気になったほどだった。同じように夫(小林薫)を亡くしている千代(麻生祐未)は、玉枝に強く同意した。

対して糸子(尾野真千子)は、彼女らの言っていることの真意が理解できなかった。けれども、老婆たちが達者なことは嬉しくて、頼もしいことだった。
しかし、1972年(昭和47年)9月のある朝、ついに玉枝はこの世を去った。八重子(田丸麻紀)は、介護から解放された安堵と、実の親以上に付き合いの長かった玉枝の死去に放心状態になってしまった。駆けつけた糸子は、八重子をねぎらうように何も言わずに肩を抱いた。

その年の冬頃には、聡子(安田美沙子)は周りからも認められるほどの実力者になっていた。糸子の下で働くのと並行して、優子(新山千春)や直子(川崎亜沙美)の店へも頻繁に手伝いに行っていた。今でも主な仕事は姉の店の売れ残りを岸和田で売るというものだったが、多くの経験を積むことでデザインや経営のノウハウも蓄積していた。

聡子本人は相変わらずのん気な態度で仕事をしていたが、昌子(玄覺悠子)や松田(六角精児)によれば、周囲の適切な手助けさえあれば、もう店を任せても安心だという。その意見を受け入れ、いよいよ糸子も聡子に店を譲ることを決めた。

年の瀬になり、糸子は聡子に代替わりのことを切り出した。大仰に言い過ぎると失敗すると考えた糸子は、ふたりでクリスマスケーキを食べている時に、何でもない風にさり気なく話し始めた。すると、聡子はケーキに夢中なままで生返事しかしない。不安になった糸子は、もう一度はっきりと聡子に意思の確認をした。それでもやはり暖簾に腕押しであった。けれども、それはいつもの聡子の態度であり、役割さえ与えてやれば立派に全うするのが聡子の性分なので、あまり気にしないことにした。
聡子が代替わりを承諾したものと見なし、年明けから聡子を店主とすることで準備を進めていった。

大晦日に優子と直子が帰省した。糸子は家族が全員揃ったところで、改めて聡子へ店を譲ることを発表した。上の姉たちはその考えに大賛成だった。しかし、聡子は紅白歌合戦に熱中していて、話に加わろうとしなかった。

そして突然、聡子は素っ頓狂なことを言い出した。ロンドンに行くつもりだというのだ。身寄りのない土地で、誰に頼ることもなく、一から自分の好きなことをやりたいという。それには家族一同驚いた。

いつも反対のことばかり言う優子と直子も珍しく意見が一致した。英語もできない聡子がロンドンで生活できるはずがない、ただでさえ頼りない聡子が異国で一人で暮らしていけるわけがないなどと猛反対した。姉たちの売れ残りを売るのが不満なら、それはもうやらせない。岸和田で自分の好きなようにデザインした服を売ればよいと言いくるめようとした。

しかし、聡子の決意は固かった。
厳しい表情で成り行きを見守っていた糸子は、一言恫喝して優子と直子を黙らせた。そして、聡子のロンドン行きを認めた。厳しい表情を崩すことなく、好きにすればいいと聡子に告げるのだった。

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NHK『カーネーション』第123回

現在ドラマの中では1970年なので、ついに山瀬まみ(1969年生)のいる時代が描かれ始めたのだなと感慨深く思っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第123回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

葬式帰りで酔っ払った北村(ほっしゃん。)が誰かの死を伝えに来た。しかし、糸子(尾野真千子)がいくら聞いても誰が死んだのかは話さずに帰ってしまった。

おそらく泉州繊維商業組合の関係者の誰かだろうと思った糸子は、組合長の三浦(近藤正臣)に聞いてみた。三浦によれば、死んだのは周防(綾野剛)の妻だという。三浦は、北村が自分で糸子に伝えたいと言っていたので任せたという。まさか北村がきちんと報告していなかったとは想像していなかったが、三浦は北村の糸子に対する恋心を思えばその行為にも合点が行った。

糸子自身は、北村の秘めた思いよりも、周防のことで頭がいっぱいになった。
周防との出会いと別れからすでに20年近い年月が経っていた。糸子が周防に月賦で売った店(第97回)の支払いは2年前に完済しており、それからは直接的にも間接的にも関係はなくなっていた。周防自身や彼の家族がどうしているか、糸子には何もわからなくなっていた。
その夜、糸子は眠れなくなった。目をつぶれば瞼には周防の姿ばかりが映った。思い返せば、周防と一緒に過ごした時間よりも、彼のことを思い出す日々の方がずっと長くなってしまっていたのだ。

オハラ洋装店では、聡子(安田美沙子)が若い女性客らと良好な関係を築いていた。購入を迷っている客も、聡子がうまく勧めると納得し、喜んで買っていった。

糸子は、再び自分の引退の時期について考え始めた。
しかし、昌子(玄覺悠子)や松田(六角精児)は、今の聡子に店を譲ることには反対だった。彼女はまだまだ経営者の器ではないどころか、半人前もいいところだというのだ。松田の見立てでは、一番商売が上手いのは優子(新山千春)だという。彼女の手腕は糸子をも凌ぐという。彼女に大きく水を開けられて糸子と直子(川崎亜沙美)が位置し、そのふたりよりもさらにずっと経営者として劣るのが聡子だという。糸子は頭を抱えた。

糸子と昌子は、聡子に婿を取ろうと意気投合した。事務や経理に明るい(そして男前な)夫を取り、店を任せようと考えた。考えてみれば、聡子は男友達が多く、いろんな青年を家に連れてくる。彼らの中から選べば良いかもしれない。
しかし、よくよく考えなおせば、聡子の友達には碌なのがおらず、店を任せられそうにない。あほの聡子の周りはあほばかりだといって、その計画も棚上げになった。糸子が引退できるのはまだまだ先になりそうだった。

八重子(田丸麻紀)が深刻な様子で訪ねてきた。玉枝(濱田マリ)の体調がすぐれないので病院で検査したところ、余命が半年ほどだと宣告されたという。そのまま入院することになったという。

その話を聞いてから、糸子は2日に1度の割で玉枝を見舞った。
いつも家の夕食のおかずを重箱に詰めて持参し、つとめて明るい話ばかりをした。玉枝も糸子の見舞いをたいそう喜んだ。ふたりはいつでも穏やかで幸せな時間を共有した。

ところがある日、糸子が病室に入ると玉枝は体を起こそうともせず、厳しい表情で天井を睨んでいた。玉枝は待合室のテレビで戦争の事実を伝える番組を見たのだという。そこでは、日本軍が戦地で行った悪行について取り上げられていた。
これまで玉枝は、戦地へ行った息子・勘助(尾上寛之)の気がふれてしまったのは、彼が戦地でひどい目に合わされたせいだと信じていた。ところが、テレビを見てそれは反対だと知ったのだ。勘助ら日本軍の方こそが加害者だったのだ。

玉枝は自分の信念が誤りであったこと、他人に対して優しかった勘助が戦地でどんなことをしたのか、その結果どんな苦しみを受けたのかと思うと悲しくてならなかった。それは糸子も同じだった。ぐっとこらえる玉枝の前で、糸子は嗚咽を漏らした。
玉枝は糸子の頭を優しくいつまでも撫で続けた。

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NHK『カーネーション』第122回

クランクアップセレモニー」におけるコメントを見るかぎり、夏木マリばかりがそれらしいことを言っていて、尾野真千子がこのドラマのヒロインだとは信じられなくなってしまう当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第122回目の放送を見ましたよ。

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第22週「悔いなき青春」

1970年(昭和45年)4月。
31歳になった直子(川崎亜沙美)は、5歳年下の大輔(森下竣平)と結婚した。今や日本を代表するデザイナーの1人で、「サイケの女王」の異名を持つ直子の結婚はマスコミでも大きく取り上げられた。直子が2年前に開いた原宿のブティックに糸子(尾野真千子)ら家族や親しい人々を集めて、派手なパーティーが催された。ただし、斎藤(郭智博)だけは仕事のため来ることができなかった。

パーティーの翌日、新聞を見ると斎藤が日本人として初めてパリコレに参加したことが記事なっていた。直子はファッションの世界で斎藤に先をこされたのが悔しかった。しかも、それが自分の結婚パーティーの翌日に報道されていることに腹を立てた。そして、その悔しさをバネにしてますます仕事に打ち込むのだった。

直子の店は話題性と評判に恵まれ、客で連日賑わった。人気歌手のジョニー(浅利陽介)や売り出し中の女優・白川ナナコ(村上東奈)といった有名人も出入りしていた。
ところが、糸子が帳簿を調べたところ、表面上は人気店であったが、経営は軌道に乗っているとは言いがたかった。仕入れたものの、気に入らなくて全く使わなかった生地などの無駄が大量にあったのだ。糸子は、直子のデザイナーとしての腕前は大いに認めたが、経営者としては呆れ返ってしまった。本人に行っても無駄なことを知っている糸子は、夫の大輔に直子と店のことを託して岸和田に帰った。

オハラ洋装店には月末ごとに優子(新山千春)や直子から小包が届く。心斎橋や原宿の店で売れ残った品物を岸和田で売るためである。オートクチュール(オーダーメイド)店である優子からは余った生地が送られてくる。それはそのまま店の在庫となる。

一方、プレタポルテ(高級既製服)店である直子から送られてくるのは、売れ残りの服である。それはそのままオハラ洋装店の店頭で売られる。売るためには価格を決めなければならないが、それは糸子が一手に引き受けた。直子からは定価が知らされているのだが、糸子はそれを無視して半値以下で売る。岸和田では直子の作る奇抜な服を求める客は少なく、たたき売りでもしない限り買ってもらえないという考えだ。

ところが、糸子の予想に反して、若い女性客に直子の服は人気だった。そしてまた、聡子(安田美沙子)はそうした客に売るのが上手かった。聡子は糸子が決めた価格より高い値段でそれらの服を売った。
糸子は聡子の手腕に感心し、同時に、客の求めるものがわかっていない自分を情けなく思った。そして、商売はいつまで経っても難しいものだと思い知らされるのだった。

ある夜、居間でくつろいでいると誰かが勝手口を叩く音が聞こえた。糸子が様子を見に行くと、落ち込んだ様子で北村(ほっしゃん。)が立っていた。いつものように千代(麻生祐未)が家にあがっていくように誘っても、北村は頑なに拒否した。
そして、「死んだ」とだけ一言告げて、トボトボと帰って行ってしまった。誰が死んだのか聞いても、北村は答えなかった。

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映画『バグダッド・カフェ』

山瀬まみがラジオ番組(ニッポン放送『ごごばん!』2011年11月4日放送分)で生涯で2番目に好きな映画として『バグダッド・カフェ』を挙げていた。好きな人が好きだといっている映画なので見てみた次第。

きっといい映画なんだろうなと、は思う。でも、僕にはちょっと退屈だった。
ただし、山瀬まみがこの映画の「世界観と映像」がお気に入りだと言っていた訳はわかったように思う。確かに、独特の世界観と映像には引き込まれる。

そして、主題歌であり、劇中で何度も流れる “Calling you” (Jevetta Steele)もいい曲ですね。
この映画の主題歌だとは知らなかったけれど、曲自体は昔から知っていた。George Micheal のカバー版を持ってる(”Five Live”に収録されている)。