NHK『ブギウギ』最終回(第126回)

今シーズンの根性試しがついに成就する当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の最終回(第125回め)の放送を見ましたよ。

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最終週(第26週)『世紀のうた 心のうた』

鈴子(趣里)のお別れコンサートの開催が決まった。それが楽しみな鈴子は終始機嫌がよかった。
家の者たちも鈴子のステージを最後に見れると思うと楽しみでならなかった。また、世間の人々はこれが最後になるが、家族ならば家で鈴子の歌が聞けると思って楽観的に考えていた。

そんな中、愛子(このか)だけはもう二度と鈴子の歌を聞けないと予感していた。理由はないが、鈴子は二度と鼻歌すら歌わないだろうというのだ。
ただし、愛子はそれで構わないという。鈴子が歌いたくないなら、それでいいと言うのだった。
鈴子は愛子の予言を否定も肯定もしなかった。しかし、自分の好きなようにしていいと言ってくれた愛子のことがとても愛らしく思った。自分と亡き夫・愛助(水上恒司)の娘である愛子は、とても良い子に育ったと感激するのだった。

そして、お別れコンサートの当日を迎えた。
そこには鈴子に縁のある人々が大勢駆けつけた。梅丸少女歌劇団時代の大阪の仲間はもちろん、村山興業の関係者や新橋のパンパンたちもやってきた。

幕が上がると、歌う前に鈴子は口頭で挨拶を述べた。
大勢の人が集まったことに感謝し、本当なら一人一人全員に声をかけてまわりたい程である。世話になった人も来てくれて、その人々がいなければ今の自分はなかったと振り返った。話しているうちに鈴子の目には涙がたまり、胸もいっぱいになって言葉に詰まった。
そんな鈴子に、満席の客たちは口々に応援の声を投げかけた。その声を聞いて、鈴子は言葉を取り戻した。みんなが自分を応援してくれるのと同じように、自分もみんなのことを応援していると述べた。そして、愛してると付け加えた。

それを合図に、羽鳥(草彅剛)が優しくピアノを鳴らした。コンサートの最初の曲は、ピアノ伴奏だけのゆったりとしたテンポの『東京ブギウギ』だった。初披露のアレンジであったが、朗々と伸びやかに歌い上げる鈴子の歌声に観客たちは聴き惚れた。

曲の途中から、フルバンドが演奏を始めた。前半とは打って変わって、アップテンポで明るく華やかな『東京ブギウギ』となった。客たちは一斉に総立ちとなり、体をゆすぶった。
会場の端で見ていた茨田りつ子(菊地凛子)だけは座ったままだったが、鈴子の姿を見ながら涙をこぼした。

こうして、鈴子は羽鳥の作ってくれた全ての歌を心に刻みつけるように歌いきり、コンサートは終了した。

歌手を引退した鈴子は、自宅で家の者たちと一緒にゆったりと朝食を摂っていた。
マネージャー・タケシ(三浦獠太)はご飯のおかわりを晶子(木野花)に要求した。すると大野は、自分でやれと言って応じなかった。

それを見ていた鈴子は、自分のことは自分でやるべきだと話した。ただし、自分でやれないことはやってもらう。そして、自分でやれることは人のためにやってあげる。それが大事だと話した。
人として生まれてきたら、全ての人に義理がある。その義理を果たすのが人情である。まさにこの世は義理と人情だと語った。

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ギター10年やりました

ちょうど10年前、うまくいかないこととか、面白くないこととかが身辺にたくさんあって。もういろいろ嫌になって、自棄っぱちになって。
現実逃避待ったなしで。

当時たぶん偶然このツイートを見たんだと思う。

Rocksmithってなんじゃらほい?と調べて、本物のエレキギターをPCやPlayStation(当時は3が最新型だった)に繋いで演奏できるものだと判明した。
ギターはほとんどやったことはなかったけれど、中高生の頃から憧れはあった。真っ当な中高生ならアルバイトでお金を貯めてギターを買うところだろうけれど、ものぐさな中高生だった僕にそんな根性はなかった。だからギターとはそれまで縁がなかった。

大人になっても根性はなかったけれど、自由になるお小遣いはじゅうぶんにあった。RockSmithのソフトとエレキギターのセットが2万円くらいで売られていた。プレステは持ってた。現実逃避にちょうどいいし、飽きて捨てても惜しくない値段だったので通販で注文した。
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NHK『ブギウギ』第125回

ちゃんと確認してないけど、今日のオープニングはロングバージョン(通常月曜日に使用されるもの。関連スタッフのテロップが多いから)だったように思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第125回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第26週)『世紀のうた 心のうた』

羽鳥(草彅剛)は作曲の仕事に身が入らなかった。頻繁に手が止まり、ため息が出るのだった。
見かねた妻・麻里(市川実和子)は、意地を張らずに鈴子(趣里)に会うべきだと助言した。これまで鈴子にたくさん楽しませてもらったのだから、そのお礼はきちんと伝えなければならないというのだ。

一方の鈴子も、引退を打ち明けてから羽鳥に避けられ続け、そのまま大々的に引退会見まで行ったことを気に病んでいた。
茨田りつ子(菊地凛子)に仲介してくれるよう頼んだが、彼女はきっぱりと断った。双方ともいい大人なのだから、自分たちで解決すべきだというのだ。特に、引退会見で述べた羽鳥への感謝の言葉は、あらためて本人に直接伝えなければならないと助言した。

ある日、鈴子はいよいよ決心して、羽鳥の家を訪ねることにした。
ところが、自宅の玄関を出ると、そこに羽鳥本人が立っていた。鈴子が訪問する前に、彼が鈴子を訪ねてきたのだ。
ふたりは鈴子の自宅で、おずおずと話し始めた。

羽鳥は自分の気持ちを正直に打ち明けた。羽鳥は、鈴子がいなくなることが怖かったという。
最近、羽鳥は鈴子の新曲を作っていなかった。他の仕事はしているはずなのに、鈴子の曲がないだけで世間からはスランプだと言われてしまった。もしこのまま鈴子が女優になって大活躍したら、自分は鈴子に捨てられた惨めな作曲家ということになってしまう。さらに、今や世間は、ブギといえば福来スズ子だと思っている。自分からブギが奪われてしまったような気持ちになって、鈴子に嫉妬し始めていた。

しかし実際には、鈴子が歌ってくれなければブギがここまで流行することはなかっただろうとも述べた。鈴子のおかげで自分の大好きなブギが世間に受け入れられ、そのことが羽鳥には嬉しかった。羽鳥善一という作曲家を作ったのは、福来スズ子である。自分は鈴子に深く感謝すると述べた。

鈴子は、歌手生命が危機に陥ったとき、何度も羽鳥に救われてきたと話し感謝した。
自分はこれまで羽鳥の歌しか歌ってこなかった。自分をいちばん輝かせてくれるのは羽鳥だと思っていたからだ。さらに言えば、羽鳥が人形使いで、自分は操り人形だと思っていた。羽鳥にとって歌手は歌の一部であり、自分はその立場に誇りを持っていた。いつまでも羽鳥にとっての最高の人形でいたかったのだが、それがもう難しくなったという。

客に歌を披露する前に、羽鳥にとっての最高の歌手でいたいと思っていた。しかし、すでに羽鳥に釣り合うだけの歌手でなくなってしまった。会見では語らなかったが、その羽鳥への思いこそが引退の最大の理由だという。
羽鳥のおかげで福来スズ子という歌手が完成した。羽鳥のおかげで楽しい歌手人生を送ることができたと涙ながらに感謝を述べた。

羽鳥は、最後にもう一度だけ一緒に遊びたいと話した。ふたりで一緒にもう一度観客の前で歌を披露して、これまでの感謝を述べるべきだという。引退会見だけでは足りないというのだ。
鈴子はそれをすぐに承諾した。

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NHK『ブギウギ』第124回

完走までいよいよあと3日となった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第124回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第26週)『世紀のうた 心のうた』

羽鳥(草彅剛)不在のまま、鈴子(趣里)の引退記者会見が始まった。引退を切り出してから鈴子と羽鳥の関係は気まずくなり、日程はおろか記者会見を行うことも連絡していなかったからだ。

記者会見の冒頭、鈴子は引退の理由を説明した。
歳をとり、体や心が思い通りにならなくなってきた。そのため、今までのようなパフォーマンスを披露することも難しくなった。客に喜んでもらったり、自分自身で満足することも困難となる。自分を自分で汚すことなく、いちばん輝いていた姿をそのまま残したい。だから、今日をもって引退するのだと説明した。

その後、質疑応答が行われた。
一般の記者たちからは穏当な質問が投げかけられ、鈴子は年末の男女歌合戦の舞台の感想、今後は女優として活動することなどを答えた。

記者たちの中には、鮫島(みのすけ)の姿もあった。彼は、これまで何度も鈴子のことを悪様に書き立てた張本人である。最近、鈴子の全盛期は終わったと雑誌に書いたのも彼である。

鮫島は、若手歌手・水城アユミ(吉柳咲良)が台頭してきて勝ち目がないと思ったのではないかと意地悪な質問をした。
それでも鈴子は落ち着き払って回答した。アユミの実力を認め、近い将来には大物になると予言した。そうなれば、福来スズ子のことなどすぐに忘れられるだろうと話した。そうなることは悔しいが、仕方のないことであると話した。鮫島は、鈴子は負けを認めたと呟きながらメモをとった。

さらに鮫島は、羽鳥の意向を質問した。最近の羽鳥はヒット曲に恵まれていない。鈴子がいなくなればますますヒット曲の生まれる可能性が減じるため、彼が簡単に鈴子を手放すとは思えないと主張した。
鈴子は、羽鳥は元来素晴らしい曲を作る人なので、そのような心配はないと回答した。そして、羽鳥のおかげで今の自分があると述べ、彼への感謝を強調した。

さらに鮫島は、歌手に未練はないのかと尋ねた。
鈴子は、自分は未練がましい女だと述べた。だから、後悔する日が来るかもしれないと冗談混じりに回答した。
そのジョークに会場は笑いに包まれた。いつしか鮫島の表情も柔らかくなっていた。

鮫島は、最後に1曲歌を聴きたいとせがんだ。
しかし、鈴子はきっぱりと断った。一度歌い出すと1曲では止まらないというのだ。
その冗談に、会場はさらに大きな笑いが起こった。
それを合図に会見は終わった。鮫島も笑顔で鈴子に拍手を送った。

帰宅した鈴子は、家族たちに慰労会を開いてもらった。その場には、娘・愛子(このか)のほか、マネージャーのタケシ、家事手伝い・大野(木野花)、庭師・小田島親子(水澤紳吾井上一輝)がいた。

鈴子は、まさか自分が歌手を辞める日が来るとは思っていなかったと話した。そして、歌をやめる大事な日に一緒にいる面々がまったく予想外で驚いたと述べた。
ただし、それは残念な結果ではない。むしろ、この面々と一緒にいれることが幸せだと心から思っていると話した。自分にとってみんなは「家族」である。たとえ血の繋がりがなくても「家族」であることに変わりはないと述べた。自分と出会ってくれたことが嬉しいと感謝を述べた。

後日、鈴子の引退記者会見の模様が雑誌に掲載された。
鮫島の記事は、鈴子へ好意的なものだった。そして、随所には鈴子から羽鳥への感謝の言葉が強調されて掲載されていた。
羽鳥は未だに鈴子と連絡を絶っていた。その代わり、雑誌の記事を穏やかに読んでいた。

鈴子は水城アユミとも面会した。
アユミは引退を取り下げてほしいと懇願した。自分は未熟であり、鈴子の歌う姿を見て勉強したいことがまだたくさんあるというのだ。
もちろん鈴子は引退をとりやめない。むしろ、引退の理由の一部にはアユミも関係していると話した。自分の出番の直前にアユミのステージを見て、たくさんのエネルギーをもらえた。そのおかげで、自分も最後のステージで最高の力を発揮できた。しかし、今後も毎回自分の出番の前にアユミにエネルギーをもらうわけにもいかない。だから、アユミを見てきっぱりと歌手をやめることを決めたのだと話した。

鈴子は、アユミにバトンを渡したと言って激励した。アユミもそれに応え、必ず鈴子のような歌手になると決意を述べた。

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NHK『ブギウギ』第123回

雨続きでいやーな感じの当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第123回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第26週)『世紀のうた 心のうた』

鈴子(趣里)は歌手を引退することを決めた。真っ先に羽鳥(草彅剛)に打ち明けたが、彼は承服しなかった。鈴子が歌手を辞めたら絶縁すると述べ、彼にしては珍しく怒りを露わにした。
マネージャー・タケシ(三浦獠太)も同様に猛反対し、激しく取り乱した。

鈴子は、茨田りつ子(菊地凛子)にも打ち明けた。いつものように皮肉混じりに冷たく突き放されるものと思っていたが、りつ子は予想外にも寂しそうな表情を浮かべ、残念だと答えた。
りつ子は鈴子のことを同志だと思っていたという。歌手としても女としても、厳しい時代と共に生きてきた仲だと認識している。だから、鈴子の決断を尊重するのだという。ただし、自分はこれからも1日でも長く歌い続けると宣言した。鈴子は、りつ子に受け入れてもらえて嬉しいのと同時に、歌に全てを捧げるりつ子のことを改めて立派だと思った。
りつ子は、羽鳥が怒った気持ちも理解できると話した。羽鳥は本当に歌を愛しており、彼にとって歌手は歌の一部である。鈴子の引退によって、自分の歌が失われてしまうような気持ちになるのだと話した。
それでも鈴子の決意は変わらなかった。

鈴子が帰宅すると、マネージャー・タケシが待っていた。
彼は、鈴子の引退に反対して取り乱したことを謝った。本来、彼は歌には全く興味がなかったという。しかし、いつの頃からか、無意識に鈴子の歌を口づさむようになっていたという。歌っていると不思議と元気が出てきたという。これまでの人生でどんな仕事も長続きしなかった自分であったが、鈴子の歌で大いに励まされた。だから、もっと鈴子の歌を聞いて励まされたかったというのが本音だと述べた。
鈴子の歌に励まされたのは自分だけではなく、日本中に大勢いる。だから彼らに今まで歌を聞いてくれたお礼を述べると共に、引退の意思をきちんと伝えるべきである。そこで、引退記者会見をすることを提案した。
鈴子は、頼りなかったタケシがいつの間にか道理をわきまえた立派な人間になっていることを嬉しく思った。記者会見の提案を受け入れた。

数日後、羽鳥の長男・カツオ(竹下健人)が留学先から一時帰国した。鈴子は、羽鳥の妻・麻里(市川実和子)から食事会に招かれた。
しかし、羽鳥本人は留守にしていた。鈴子が来訪すると聞くと、羽鳥は急に用事を作って出かけてしまったのだという。引退を聞いて取り乱してしまったことで鈴子に会いにくかったらしい。

麻里は、羽鳥は鈴子に捨てられると思い込んで辛いのだろうと話した。鈴子がいなくなったら、自分の歌を作れなくなると恐れているのかもしれないという。本人たちは気づいていないが、羽鳥と鈴子には他の誰も入ることのできない二人だけの世界がある。それは、妻の麻里ですら嫉妬するほどであるという。ただし、嫉妬はするものの、麻里が鈴子のことを大好きであることには変わりがないと話した。歌手・福来スズ子としても、人間・花田鈴子としても大好きであり、最高の友達であると思っていると話した。
ふたりは友情を確かめ合うように抱き合った。

その頃、鈴子を招いた食事会から逃げ出した羽鳥は、りつ子に会っていた。
羽鳥は、鈴子に絶縁すると脅したことについて後悔していた。しかし、鈴子に引退してほしくないという気持ちは変わらない。りつ子から思い直すように説得してほしいと頼んだ。
しかし、りつ子はきっぱりと断った。
ふたりは特別な関係を築いて、羽鳥は鈴子の曲を作っていた時が一番楽しそうに見える。自分にもいくつもの名曲を書いてくれたが、ふたりの特別な関係には敵わなかった。それへの仕返しとして、ふたりが苦しめばいいのだと述べた。冗談なのか本気なのかはわからなかった。

そして鈴子の引退記者会見の日を迎えた。
控え室の鈴子は落ち着いており、顔には微笑みがあった。

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NHK『ブギウギ』第122回

ちょうど10年前の今日、約2万円でエレキギター本体と練習用ソフトRockSmith2014を注文した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第122回めの放送を見ましたよ。

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最終週(第26週)『世紀のうた 心のうた』

鈴子(趣里)は年末の特別番組『オールスター男女歌合戦』で立派にトリを務めあげ、観客や視聴者を魅了した。落ち目だと言われていた評判を払拭し、まだまだトップスターであると人々に意識づけた。
本番が終わるや否やアユミ(吉柳咲良)が楽屋に挨拶に来た。鈴子のステージを見て、自分はまだまだ実力不足だと思い知らされたと話した。鈴子の持ち歌『ラッパと娘』を歌うなど、自分には実力が伴っていなかったと謝罪した。改めて鈴子を目標に、自分の持ち歌で観客を魅了する歌手になると決意を述べた。
新聞や雑誌でも鈴子のステージの様子が好意的に取り上げられた。「完全復活」と大きな見出しが踊った。

しかし、鈴子は本番直後から気が抜けたようになってしまった。家族から話しかけられても上の空であった。
翌日も、昼間からベッドに横たわり放心状態だった。ぼんやりとこれまでの自分の人生を振り返るばかりだった。

なんとか体を起こした鈴子は、羽鳥(草彅剛)の家を訪問した。妻・麻里(市川実和子)は鈴子の大活躍をベタ褒めした。羽鳥もにこやかにその様子を眺めていた。

けれども鈴子はいつになく元気がなかった。
そして、歌手を引退するつもりだと打ち明けた。
年末の歌合戦で燃え尽きてしまったのが大きな理由だと説明した。あの日は、先に歌ったアユミを見たことで大きなエネルギーをもらった。そのおかげであれだけのステージを披露することができた。しかし、今後はもうあのように歌える気がしないというのだ。
今までも疲れ切って放心状態になることはあったが、頭の中では常に将来の歌のプランが次々に思いついた。しかし、今回はもう十分にやり切ったという思いしか浮かんでこないと話した。

羽鳥は静かに話し始めた。
年末の歌番組の直前には、鈴子は世間から落ち目だと言われており、鈴子自身もどこか元気がなかった。確かにアユミのステージも素晴らしく、そこからエネルギーを得たという話も理解できる。世間から彼女をライバルと仕立て上げられた鈴子は、何か決意を持って歌合戦に出場するのだろうと思っていた。
けれども、まさか引退を考えているとは思わなかったと述べた。

そこを境に、羽鳥は口調が険しくなった。
羽鳥は鈴子を引退させるつもりはないと言い切った。羽鳥は、鈴子のために書いてきた曲は鈴子が歌ってこそ完成すると考えている。鈴子が引退するということは、それらの歌を全て葬り去ることになる。そんなことは絶対に許さないというのだ。喜劇舞台や映画出演など、一時的に異なる仕事をするのは構わないが、歌手を辞めてこれまでの歌を葬り去ることは絶対に許さないと語気を強めた。
鈴子が本当に歌手を辞めたら絶縁すると言い捨てて、羽鳥は席を立った。

帰宅した鈴子は、家族を集めて歌手引退を切り出した。実際にオファーもいくつかあるので、これからは女優をしていくつもりだと話した。
マネージャー・タケシ(三浦獠太)は猛反発した。彼も鈴子が歌手を辞めることに我慢がならなかった。就任以来頼りないマネージャーではあったが、鈴子のステージを一番そばで見聞きしてきた彼は誰よりも歌手としての鈴子のファンなのだ。怒ったタケシは席を立って行ってしまった。

愛子(このか)は、歌手が嫌になってしまったなら辞めてもいいと話した。ただし、鈴子の歌が聞けなくなってしまうのは寂しいとも述べた。
鈴子は何も言わず愛子を抱きしめた。戸惑った愛子が話しかけても鈴子は何も言わずに、よりきつく愛子を抱きしめた。

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NHK『ブギウギ』第121回

昨夜、『ブギウギ〜時を越える服部良一メロディー〜スペシャルコンサート』(NHK+のリンク)を見ていたら、オープニングで水城アユミ役の吉柳咲良が『ハッピー☆ブギ』を上手に歌いこなしていて聴き入ってしまったのだけれど、気になってプロフィールを調べたらホリプロのミュージカル『ピーターパン』の主演を務めていたそうだし、なるほどなと納得した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第121回めの放送を見ましたよ。

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第25週『ズキズキするわ』

1956年(昭和31年)の大晦日。いよいよ『第7回オールスター男女歌合戦』の公開生放送の日を迎えた。
直前に、またしても鈴子(趣里)と水城アユミ(吉柳咲良)の対決を煽る雑誌記事が出た。記事はアユミに肩入れしたものだった。
しかし、鈴子はもう何も心配することもなかった。純粋に歌いたい気分でいっぱいだった。意気揚々と楽しそうに収録会場へ向かった。

本番前、鈴子の楽屋にアユミが父・股野(森永悠希)とともに挨拶に訪れた。『ラッパと娘』を歌うことを許可してくれた鈴子に礼が言いたいと言うのだ。マネージャー・タケシ(三浦獠太)は喧嘩腰で彼らを迎えた。
しかし、鈴子は終始笑顔だった。アユミが自分の持ち歌をどのように歌うのか楽しみで仕方ないと激励した。

本番と生放送が始まった。
総勢30名もの流行歌手が次々と歌を披露する一大イベントである。

鈴子は舞台袖から全ての歌手の歌を聞いていた。そしていよいよアユミの出番となった。
アユミは新人とは思えぬ堂々とした歌と踊りで観客を魅了した。鈴子もその姿に見惚れ、彼女に合わせて静かに口ずさんだ。割れ知らず、少し涙も出てきた。

涙で濡れた化粧を直すために楽屋に戻ると、茨田りつ子(菊地凛子)が待っていた。本番前で緊張しているだろう鈴子のことをからかい半分、応援半分で待っていたのだ。
鈴子は今見てきたアユミのステージを興奮しながら話した。彼女は歌が上手いだけではなく、客の心を掴むカリスマ性も持っているとベタ褒めした。
そして、素早く化粧を直すと、鈴子は再び会場へ向かった。アユミに感化され、もう今すぐにでも歌いたくて爆発しそうな気分だった。

大トリの鈴子がステージに招き入れられた。
歌う前に鈴子は挨拶をした。登場した歌手はみんな素晴らしかったと褒めた。その上で、アユミは自分の若い頃にそっくりだと言って客を笑わせた。鈴子がそれほど美人ではないということは世間の一致した評価であり、鈴子なりのジョークであった。
そうやって客を笑わせると、鈴子は急に表情が引き締まった。自分もまだまだ負けてはいられないと言って『ヘイヘイブギー』を歌い始めた。

アユミの歌で観客は大いに盛り上がったが、鈴子のステージではそれ以上だった。テレビで中継を見ていた羽鳥(草彅剛)もそう感じていた。
舞台袖で見ていたアユミも見惚れて動けなくなった。曲の途中で出演者全員がステージに登場する演出になっていたが、アユミは一歩も動けなくなってしまった。りつ子に促されて、やっと歩くことができた。

こうして、鈴子はまだまだ大スターであることを多くの人々に再認識させる結果となった。

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NHK『ブギウギ』第120回

本日3月21日は、1986年に我が最愛の山瀬まみが『メロンのためいき』で歌手デビューした記念日であり、心からの喜びを申し上げる当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第120回めの放送を見ましたよ。

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第25週『ズキズキするわ』

ある晩、愛子(このか)が翌日の学校に行きたくないと言い出した。足の速い転校生と競争することになり、負けるのがいやだからだ。

鈴子(趣里)は、負けるのがいやだという愛子に共感してみせ、学校を休んで勝負から逃げてもよいと話した。ただし、逃げたことは一生忘れられず心に付きまとうだろうと述べた。負けるのが嫌で逃げるくらいなら、負けて悔しい思いをした方がよいというのが鈴子の意見だった。
鈴子は、自分も年末にすごい歌手と一緒に歌う仕事があると話した。初めは自分が負けてしまうのではないかと恐れていた。しかし、今はその人と歌ってみたいとワクワクしているという。確かに怖い面もあるが、それ以上に楽しみなのだと話した。
鈴子は、愛子が逃げようが立ち向かおうがどちらでもよいと思っていると述べ、決断を本人に任せるとした。

翌朝、愛子は登校するかどうか決めかねていた。
その結論を見届ける前に、鈴子は羽鳥(草彅剛)の家へ出かけた。水城アユミ(吉柳咲良)に『ラッパと娘』を歌わせてやりたいと話すためだ。

鈴子は羽鳥に向かって、自分が卑怯者だったことを詫びた。近頃の自分は体力が衰え、仕事も減ってきている。アユミと自分を比べられ、惨めな思いをするのが怖かった。だからアユミに自分の歌を歌わせたくないと思いながらも、自分が許可しなかったと思われたくないので、羽鳥が許さなかったという体裁にしようとした。
しかし、今はむしろアユミと同じ舞台で歌うことが楽しみになってきたと話した。久しぶりに自分の『ラッパと娘』のレコードを聞き直したら、最高の歌だとワクワクした。すると不思議なことに、アユミがどのように歌うのかと興味が湧いてきた。しかも同じ舞台で聴けると思うとズキズキワクワクしてきた。だからアユミに『ラッパと娘』を歌わせてやりたいと話した。
鈴子本人は『ヘイヘイブギー』を歌うつもりだという。これは娘・愛子への思いが込められた歌である。ちょうど今、愛子も自分と同じようにライバルとの勝負で悩んでいる。そんな彼女のために歌いたいというのだ。

じっと話を聞いていた羽鳥は、鈴子に賛成した。鈴子の昂る感情が伝染し、羽鳥もふたりの対決が楽しみでワクワクしてきた。

鈴子はその足でテレビ局に向かい、アユミに自分の歌を歌わせることを許可した。
プロデューサー・代々木(遠山俊也)やディレクター・沼袋(中村倫也)は大きな話題になると大喜びした。

夜になって鈴子が家に帰ると、愛子が泣いていた。転校生との競争に負け、恥ずかしい思いをしたし、悔しくてたまらないと訴えた。
鈴子は、自分も勝負に負けたら恥ずかしくてたまらないだろうと話して聞かせた。しかし、悔しさを正直に言えるのが愛子らしいところだと褒めた。悔しさをバネにさらに立ち向かってもいいし、なんなら逃げてしまってもいい。人生はたいへんな道のりなのだと話した。

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NHK『ブギウギ』第119回

今日は天輝レオの公演を見に行くし、思いっきり桜パラソルを振ってこようと思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第119回めの放送を見ましたよ。

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第25週『ズキズキするわ』

鈴子(趣里)は、若手歌手・水城アユミ(吉柳咲良)から、年末の特別番組で共演する際に鈴子の大ヒット曲『ラッパと娘』を歌わせてほしいと直談判された。鈴子は戸惑い、作曲者の羽鳥(草彅剛)に確認すると回答して返事を保留した。

羽鳥に相談すると言ったものの、鈴子はなかなかそれを実行する気になれなかった。しかし、アユミとの面会が隠し撮りされ、ふたりが『ラッパと娘』を巡って対立していると煽る雑誌記事が発表された。このままでは羽鳥にも迷惑をかけてしまうと思った鈴子は、重い腰を上げて羽鳥の家を訪問した。

その日、羽鳥はいつになく機嫌が悪かった。
羽鳥によれば、同曲は自分と鈴子の歌であり、鈴子が歌ってこそ完成する歌だという。それは鈴子もわかっているはずなのに、軽々しく扱われているようで気に入らないと言うのだ。
さらに、羽鳥はアユミの実力を認めるような発言をした。アユミが『ラッパと娘』をどのように歌うかはわからないが、鈴子以上に歌いこなしたとするなら、鈴子は表舞台から葬られてしまうと脅した。
鈴子は、羽鳥の言うことをおとなしく聞き、そのきつい言葉に意気消沈して帰って行った。

鈴子が辞したのち、妻・麻里(市川実和子)は今日の羽鳥は様子がおかしかったと嗜めた。鈴子に対して今までにないほど意地悪な物言いだったと指摘した。対する羽鳥は、様子がおかしかったのは鈴子の方だったと反論した。
それでも麻里は鈴子を擁護した。鈴子は雑誌に落ち目だと書かれて、ただでさえ落ち込んでいる。そんな時に有望な新人が出てきたらますます自信をなくすのも当たり前である。鈴子の記事では、羽鳥も同様に落ち目だと引き合いに出されていた。麻里は、羽鳥自身もその記事で取り乱しているのだと指摘し、苛立って様子がおかしいのは羽鳥の方だと述べた。

落ち込んだ鈴子が帰宅すると、まもなく愛子(このか)も学校から帰ってきた。ところが、愛子も元気をなくしていた。
一緒に登下校している一(井上一輝)によれば、学校に転校生が来たという。その子は足が速いと噂になっている。愛子はかけっこで誰にも負けたことはなかったのだが、その子には負けるかもしれないと思って落ち込んでしまったのだと言う。次の体育の授業で競争することが決まり、不安がっているというのだ。

鈴子は、負けてもいいし、一生懸命やることが大事なのだと話した。しかし、愛子は負けたくないし、一生懸命にやったならその分さらに勝たなければならないと答えた。
鈴子はそれ以上何も言わなかったが、愛子の気持ちもわかった。確かに、自信のあることで負けてしまうのは恥ずかしいことだと思うのだ。まさに、自分がアユミに対して抱いている感情だった。

アユミとの問題に結論を出せなくなった鈴子は、藁にもすがる思いで茨田りつ子(菊地凛子)に相談した。

りつ子は羽鳥以上に辛辣だった。りつ子は、鈴子の心を全て見透かしたようにズケズケと喋り出した。
りつ子によれば、鈴子は羽鳥に甘えているだけだという。鈴子はアユミと同じステージで比べられるのを恐れている。向こうは人気高騰中の若手歌手で、鈴子は声も体力も衰え始めている。だから、本心ではアユミに『ラッパと娘』を歌わせたくない。しかし、自分で断るのも面子が立たない。そこで、羽鳥を口実に、彼が断ってくれることを期待したのだ。羽鳥もそんな鈴子の卑怯なやり口を見抜いて怒ったのだろうと指摘した。

さらにりつ子は、歌手ならば自分の弱さを認め、それを取り込んで歌に昇華させるものだと話した。それに加えて、以前の鈴子ならアユミのような実力者と一緒に歌うことを楽しんだはずであると指摘した。歌手はワクワクする気持ちがなくなったら終わりである。鈴子が楽しめなくなったというなら、所詮はその程度の歌手だったわけだから、仕事を辞めてしまえと煽った。

おとなしく聞いていた鈴子だが、少しずつ表情に笑みが浮かんできた。りつ子の物言いに全く遠慮はなかったが、それがむしろ鈴子には快感だった。やっと鈴子はワクワクした気持ちになってきた。そして、アユミの歌を聴きたいという気分にまでなった。鈴子はりつ子を残して、足取り軽く帰って行った。
りつ子は鈴子の豹変ぶりに呆れた。

鈴子は帰宅する前に稽古場に寄った。そこでアユミのレコードを聞いてみようと探したが見つからなかった。
しかたなく、鈴子は自分の『ラッパと娘』をかけた。聞いていると、これまでに自分が歌ってきたステージや共演した演奏者の様子がありありと浮かんできた。
そして、アユミならばこの歌をどのように歌うのか聞きたいと思った。

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NHK『ブギウギ』第118回

水城アユミ役の吉柳咲良は第41回ホリプロスカウトキャラバンのグランプリということで、我が最愛の山瀬まみの後輩にあたるので応援していこうと思った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『ブギウギ』の第118回めの放送を見ましたよ。

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第25週『ズキズキするわ』

最近の鈴子(趣里)は、なにかと若手有望歌手・水城アユミ(吉柳咲良)と比較される。年末の大型番組『オールスター男女歌合戦』でも鈴子とアユミの新旧対決が目玉として企画されていた。
鈴子のマネージャー・タケシ(三浦獠太)は何かとアユミを敵視していた。

実はアユミは、鈴子が大阪時代に世話になった大和礼子(蒼井優)と股野義夫(森永悠希)の娘だとわかった。礼子は早くに亡くなったが、股野が立派に育て上げ、今は彼がアユミのマネージャーも務めている。テレビ局のロビーで約18年ぶりに再会した鈴子と股野は、時間を作ってゆっくり話をする約束をした。
股野との面会の調整はマネージャー・タケシに任された。しかし、アユミを敵視するタケシは、股野からの連絡を勝手に断り、鈴子には一切知らせなかった。

ある日、1年前に愛子の誘拐未遂事件を引き起こした小田島(水澤紳吾)とその息子・一(井上一輝)が訪ねてきた。事件を起こした張本人がやってきたことで鈴子は警戒したが、愛子にとって一は最初にできた友達である手前、無下にはできなかった。家に招き入れて、小田島の身の上話を聞いた。
小田島は執行猶予で釈放されたのち、富山のある家の専属庭師として働き始めた。しかし、その家が北海道に引っ越すこととなった。一緒に北海道に移住することも検討したが、息子・一が東京に戻ることを願ったという。それで、その家での仕事を辞め、東京に戻ってきたという。自分は庭仕事以外にできることはないが、なんとしても仕事を見つけて東京で安定した暮らしをすると抱負を述べた。

それを聞いた鈴子は、自分の家で雇うことに決めた。一がそばにいることで愛子が喜ぶからだ。それに加え、亡き母・ツヤ(水川あさみ)が常々「義理と人情」と言っていたためである。今がまさに人情を破棄する場面だと思ったのだ。

こうして小田島が働き出したが、マネージャー・タケシは面白くなかった。彼は身代金の受け渡し役として、小田島と揉みあった。今でも小田島のことを恨み、信用していないのだ。
イライラしたタケシは、鈴子は人に甘いところがあり、周りから舐められるのだと悪態をついた。その勢いで、アユミの父・股野から頻繁に連絡のあることもつい漏らしてしまった。鈴子は股野にまでつけ込まれているというのだ。
股野から連絡のあったことは鈴子にとって初耳だった。鈴子はタケシをしかり、すぐに股野に会いに行った。

喫茶店で、鈴子は股野とふたりきりで会った。どちらも配偶者を早くに亡くしながらも娘を育てているという共通点があった。それですっかり打ち解けた。ただし、股野の娘・アユミは亡き母・礼子に憧れて歌手になったのに、鈴子の娘・愛子は歌に全く興味がなく、かけっこばかりしているという相違点もあった。

そしてついに、股野は本題を切り出した。実はアユミをそばに呼んでいて、彼女も喫茶店に入ってきた。
彼らは年末のオールスター男女歌合戦で、アユミが『ラッパと娘』を歌うことを許可してほしいというのだ。アユミが本気で歌手を目指すきっかけとなったのは、鈴子がその歌を歌う姿を見た時だという。その様子に心を奪われ、自分もこんなふうになりたいと思ったのだ。年末特別番組という大舞台で、どうしても思い入れのある歌を歌いたいと切に訴えた。
鈴子は返答に困った。とりあえず、作曲者の羽鳥(草彅剛)に相談してみると言って、その場は解散になった。

それから数日経ったが、鈴子は羽鳥に相談することもなく、頭を抱えていた。
そこへ、タケシがゴシップ雑誌の最新号を持って現れた。喫茶店で面会する鈴子とアユミの姿が隠し撮りされており、アユミが『ラッパと娘』を歌いたがっているということまで書かれていた。その記事は、いつもの記者・鮫島(みのすけ)の手によるものだが、あからさまにふたりの対立を面白おかしく掻き立てるものだった。

タケシは憤慨し、アユミには絶対に『ラッパと娘』を歌わせないと息巻いた。

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