「細雪」谷崎潤一郎

文庫版の上中下巻を合わせて 900ページ強の長編小説。
谷崎潤一郎といえばエロ・マゾ・フェチ(特に足)である意味有名だし、本作の主題は大阪・神戸の上流階級の美人四姉妹とのことなので、以前からドキドキするやら、ヨダレが出るやら、鼻の下が伸びるやらで、ものすごく気になっていた作品。
しかし、その分量の多さに尻込みしていたのである。

先日、とあるキャンペーンで amazon ギフト券 1,000円分を入手し、使い道を思案していたところ、ふと思い出してポチッとクリック x3 で上中下巻セットで購入。
手元に揃えてしまえば、いくら分厚くても、イヤイヤながらでも読むだろうと思って。ほとんど労なく手に入れたギフト券なので、まぁ読まずにほったらかしてもあんまり惜しくないだろうと思って。
#あと、文庫版の表紙がきれいなのもポイント。

続きを読む

鴨志田穣の2冊: 「日本はじっこ自滅旅」「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」

自分でもまったく行動が短絡的だとは思うのだが、鴨志田穣氏の訃報を知り、即座に彼の著書を買ってみた。
Amazon で2冊注文してゲット。
ちょっと名古屋まで行く用事があったので、両方携えて電車の中で読んでたら、ものすごくちょうどよく読了。
どれくらいちょうどよいかというと、帰りのバスで、当方の降りるバス停の1つ前で読み終わるくらいのちょうどよさ。

読んだのは「日本はじっこ自滅旅」と「酔いがさめたら、うちに帰ろう。」の2冊。

続きを読む

SAYURI

けいはんなプラザ(精華町)で、”SAYURI”(原題 “Memories Of Geisha”)を見てきました。

身も蓋もない感想を述べれば、
ロリコン親父が、自分の欲望を満たすまでの葛藤を、運命に翻弄される女性の視点から描いた豪華絢爛絵巻
ということか。;-p

いや、でも面白かったよ。
華やかに着飾った芸者さんの姿は、純粋に目の保養になったし。
ちょっと怪しげな日本文化の表現も、微笑ましく思えるし。
SOTECのCM以来ご無沙汰な舞の海の動いている姿も見れるし。

続きを読む

機動戦士ZガンダムIII -星の鼓動は愛-

ZガンダムIII -星の鼓動は愛-ZガンダムIII公開初日(3月4日)の21:10上映開始の回で見てきました。
ZガンダムIIを見に行った時は祝日で、しかも”木曜はメンズデー”ってことで料金も安いのにも関わらず、劇場はガラガラで「おいおい、Zガンダムの映画プロジェクトは失敗だったんじゃねーの?」と、当方は制作には一切かかわりのない一観客に過ぎない立場でひどく心配したものですが、今回は夜の回だというのに満員でした。
まぁ、アレです、お客さんの90%くらいはオタクっぽい20代後半以上の人々でした。中には妙齢の女性2人組などというお客さんもいましたが。

なお、「DVDを持って劇場へ行こう!」という割引サービスをやってるそうです。大人200円引きだそうです。
僕はレイトショーだったので対象外でしたが。

全国の劇場窓口で『恋人たち』DVDパッケージを提示すると下記の割引料金で『星の鼓動は愛』がご覧いただけます。
なお、このサービスは第1部『星を継ぐ者』のDVDパッケージでもOKです。

http://www.z-gundam.net/news/index.html


以下、ネタバレ。

続きを読む

博士の愛した数式 / 小川洋子

博士が100にんいるむらという電子絵本があるそうで。

100にんのはくしがうまれたら、8人がかいしゃにととめて
11人がこうむいんです。
(中略)
かいしゃいんもだいたいだいじょうぶ。
ふつうのひとにもどれたしあわせなひとたちです。

うーむ、自分を幸せと慰めておこう。

同童話によると、100人中16人が無職で、それ以外に8人が行方不明か死亡だそうです。
うーん、切ない。

続きを読む

板谷バカ三代 / ゲッツ板谷 (でも,記事の前半は中島らもの「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」の話)

昨夜,ベッドにもぐって中島らもの「僕に踏まれた町と僕が踏まれた町」をツラツラと読んだ.
読んでいるうちに適当に眠くなったらそのまま寝ようと思って.

中島らもの本を読むのは初めてだったけれど,すごく面白くて止まらなくなった
そして,結局最後まで読んだ.
しかし,これが失敗.
中島らも本人があとがきに書いているように

通読していただくとわかるが,十代前半の明るさに比べると,後半はひたすらに暗い.

のである.

すごく後味が悪くて,読み終わったあと2時間くらい,色々と暗いことをグルグルと考えてしまって眠れなくなってしまった.

板谷バカ三代一日中なんとなく胸が悪かったので,口直しが必要だと思った.
そこで,思いっきりバカな本を読もうと思って,俺的「バカ笑い No.1 書物」であるところの「板谷バカ三代」を本屋で買ってきた.
本屋で買った足で Junk Cafe に出かけて行き,大好きなクラム・デルレイ(ボンゴレソースのスパゲティ)と食後のコーヒーを飲みながら読んでみた.

もちろん,先々週から店に入った店員さん(♀)を横目で観察することも忘れない.
このおねーさん,ずいぶんと仕事が板についてきた.
僕にコーヒーを出すときに「ミルクはいりませんよね?」と僕の趣味を覚え始めてくれたようだし,帰りのレジでも「いつもありがとうございます」と言ってくれたり.
本日70点!

それはさておき,「板谷バカ三代」だ.
著者のゲッツ板谷は,西原理恵子とは学生時代からの付き合いのあるフリーライター.そんなわけで,彼の本には西原理恵子のイラストがたくさん入ってたりする.
そんなわけで,一瞬「ゲッツ板谷って,要するに西原理恵子のコバンザメライターか?」なんて思ってしまうわけである.僕がこんなこというのはおこがましいけれど,文章もあんまりウマくないっぽいし.
そう思ってしまうわけではあるが,元暴走族でデブで喧嘩っ早い彼はネタの宝庫.ネタだけでずいぶん笑わせてもらえる.

でもって,この「板谷バカ三代」は,彼の最高峰.
自分の家族をネタにしたもので,実の祖母,父,弟のバカさ加減を切り売りしているわけであり,ずいぶんと「まじかいや!?捏造とちゃうの?」と思ったりもするわけだが,たとえフィクションだったとしても笑いが止まらないからOK!

いつもは Junk Cafe で「俺って,風貌は怪しいけれど,実は小難しい本読んでるのよ」という雰囲気をかもし出すために,難しい顔をしながら岩波新書とか学会論文誌(和文)とか,英語の論文のコピーとかをこれ見よがしに見せびらかしているわけであるが,今日ばかりは文庫カバーもついていない「「板谷バカ三代」をケタケタと声を出しながら一人で笑いながら読んでしまった.

そんなこんなで,今日は幸せな笑いに包まれつつ寝れそうな感じです.
とにかく,何も考えずに笑いたいときは,この本を.

続きを読む

蝶々の纏足 / 山田詠美

蝶々の纏足・風葬の教室先日,某女性と食事に出かけちゃったり.
ランバ・ラルのひげのダンディさナナイ・ミゲルのアダルトかつ嫉妬深いアンビバレントな心情など,ひとしきりガンダムの話をしてしまった.
「いかん,いかん.こんなの大人の男女が地鶏の香草焼きとか食いながらする話じゃねーよな」と思った.
で,ガンダムから離れて,多少は高尚な話をしようと思い「好きな本を教えてください.あなたのお気に入りの本,僕も読んでみたいので」とちょっと話題をシフトさせてみたり.

その返事が,山田詠美の「蝶々の纏足」でした.

翌日,早速「蝶々の纏足・風葬の教室」を仕入れ,先ほど読破.
小一時間ほどで読めちゃう短編だった(文庫には,3編収録されていたけれど,「蝶々の纏足」しか読んでない).

主人公の女の子は高校生.
主人公は,幼馴染の「生まれ付きの美人で,人の気を引く演技を完璧に身に着けた,ちょっと大人びた女の子」の庇護のもとに育ってきたという感じ.その幼馴染の存在が,主人公にとっての纏足.
その幼馴染への反発なのか,主人公のそもそもの気質なのかは,僕には判断が付かなかったが,主人公は幼馴染の女の子よりも「一歩先に大人になりたい」と思うようになる.
主人公は,酒もタバコも男も覚えちゃうんだけれど,それは思春期特有の興味本位(e.g. 秋元康作詞「セーラー服を脱がさないで」)によるものではなく,主人公自身がそれらのもたらす快楽をきちんと理解したうえで手を出すって筋になっています.

三十路のオッサンである僕がこの本を読んで思ったことは,以下の通り.
社会通念的には,この主人公のような女の子って「世の中にはほとんど存在していない」ことになってるだろうなぁと思う.
しかし,僕の経験的には,それほど少なくない頻度で,この手の女の子って昔からいたと思うなぁ.
山田詠美が女性から共感を受ける理由ってのは,「私はこう思ってるんだけれど,社会通念上言ってはいけないことを代弁してくれた」ってとこにあるんだなぁと思った次第.

あと,笑っちゃったのが,途中でチョイ役で出てくる
「山崎さんって,つき合っている人,いるの?」
の男の子.
いやー,同じ男として,君の気持ちはわかるよ.ちょっと風変わりで,斜に構えた感じで,最近妙に色っぽくなってきた女の子だったら,「簡単にヤラせてくれるかも」って思って,つい声をかけたくなっちゃうよね.^^;
でも,きっと,その目論見って,相手に筒抜けよ.箸にも棒にもからずに,「ハイ,それまでよ」ですよ(実際,お話の中でもそうだったし).

「そういうヤツいたよなぁ」と,妙に懐かしくなって,笑ってしまった.
いや,そういう男の子がいたってことじゃなくて,主人公のように「簡単にヤラせてくれるかも」って思われて,難儀していた知り合いの女の子がいたなぁと思い出したわけで.

続きを読む

SWING GIRLS

当方,音楽系映画が大好き.
ミュージカル映画じゃなくて,「音楽がバンバン出てくる映画」です.
しかも,ちょっぴりB級っぽいやつ.
今年イチオシのスクール・オブ・ロックとか,数年前に封切られたコヨーテ・アグリーとか.

そんなわけで,ちょっぴり注目していたSWING GIRLSを見ちゃいました.

まわりのお客さん(中高生とか親子連れが多かったなぁ)は「すげぇ面白い!」と大興奮だった様子ですが,僕は期待が大きかっただけに,見た後はちょっとがっかり.
なんつーか,その,思ったより演奏シーンがすくなかったっつーのが残念なポイント.あと,コントシーンがベタすぎて,ちょっと興ざめっつーか.
ただ,僕的に「イノシシに追いかけられるシーン」はめちゃめちゃツボにはまったけれど.

それでも,Jazzの超有名曲がバンバン出てくるので,楽しい映画ではありました.
Jazz に造詣が深い人は楽しめないと思うけれど,”In the mode” とか”A列車で行こう”とかをなんとなく(タイトルだけでも)知っている人は,フンフン♪と楽しめると思いますです,ハイ.

もひとつおまけに,来年のNHKの朝の連ドラのヒロインに選ばれた本仮屋ユイカが出てるので,連ドラの予習にもよいかと.
で,僕の記憶が確かなら,本仮屋ユイカって,「あっぱれさんま大先生」に出てたよね?

つーか,少女漫画には「メガネをかけている可愛くない女の子の素顔はめちゃめちゃ可愛い」という暗黙のルールがありますが,それあ実写映画で使われるとは思っていなかった.
本仮屋ユイカの演じる「関口」という女の子は,メガネをかけていて暗くて,普段はぱっとしないんだけれど,1シーンだけメガネがはずれすシーンがあった.その時の素顔がすげー可愛い.僕も心の中で「おぉぉ!」と思ったけれど,隣に座っていた女の子も「かわいいー!」と叫んでいた.
ありゃ,びっくりでしたね.
このシーンだけでも,見る価値あるかも.

優しくって少し ばか / 原田宗典

優しくって少しばか“札幌のママ”の言いつけを守って,原田宗典の本を読んだよ!
優しくって少し ばか」という短編集を買ってきて,表題の作品を読んだよ!
さすが”ママ”だね,すげぇ面白かったよ!

ストーリーは,平日の午前11時に始まる.
かすかに揺れるセミダブルのベッドの上に,ちょっぴり上気して,汗ばんだ若い男と女.

続きを読む