「ついノリで・・・」と誰に向けるでもなく言い訳している当方が、NHK『本日は大安なり』の第2回「疑惑の花嫁」を見ましたよ。
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NHK『カーネーション』第87回
今夜19時より日テレ系列で放送の『火曜サプライズ』では、鈴木砂羽が渋谷の隠れ家的グルメを巡るらしいよとお知らせする当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第87回目の放送を見ましたよ。
1948年(昭和23年)になった。糸子(尾野真千子)は35歳になった。
戦争が終わってからというもの、祝い事と不幸がめまぐるしくやって来た。
末の妹・光子(杉岡詩織)は1年前に、神戸のイトコ・勇(渡辺大知)は一月前に結婚した。空襲で焼けてしまった神戸の祖父宅は立派な家が再建された。一方で、糸子をかわいがってくれていた祖父・清三郎(宝田明)は前の冬に亡くなっていた。
糸子は、最近特に月日の流れを速く感じ、感慨にふけるのだった。けれども、ぼんやりしている暇は少しもなかった。店は空前の大繁盛で、ミシンや縫い子を増やして休みなく働いているにもかかわらず、注文待ちが少しも減らないのだ。それでも、敗戦から立ち上がり、女性たちがお洒落を楽しめるようになっていることは、糸子の喜びでもあった。
その上、娘たちのおてんばぶりにも苦労させられた。
午前中こそ、彼女らは幼稚園や小学校に行くので静かなものだが、昼過ぎに家に帰って来ると、もう手がつけられない。長女・優子(野田琴乃)と次女・直子(二宮星)は四六時中取っ組み合いの喧嘩ばかりしている。それを仲裁するのは糸子の役目だが、小学生で力もついて来たふたりを止めるのは一苦労だ。それに比べれば、幼稚園児の聡子(杉本湖凛)はおとなしいものだが、上のふたりは聡子の面倒を見ないので、結局糸子が仕事を中断して相手をしなくてはならない。
そんなある日、泉州繊維商業組合の組合長・三浦(近藤正臣)が糸子に会いたがっているという報せを受けた。
一度だけ会合に顔を出したことと、臨時職人として周防(綾野剛)を紹介してもらったこと以外は、この2年間に一度も連絡を取っていなかったので糸子は気まずい思いをした。今さら合わせる顔がないと躊躇する糸子であったが、店の経理担当で業界に顔の効く松田(六角精児)の強い勧めで渋々会いに行くことにした。
呼び出された料理店の座敷には、北村(ほっしゃん。)も同席していた。
三浦は糸子が疎遠になった理由を訪ねた。糸子を責めるではなく、ソリの合わない人間がいるのではないかと優しく訊いてくれた。三浦は、糸子が北村に強引に酒を勧められて酔い潰されてしまったことを知っているのだ。糸子はそれを否定した。商売敵がいるから遠慮しているのでもないと説明した。
糸子は、自分の周防に対する気持ちがバレていないことに安心した。そして、素知らぬ振りをして通した。
すると三浦は過去の詮索を打ち切り、本題に入った。
同席している北村のために手を貸して欲しいというのだ。
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NHK『カーネーション』第86回
今週の『カシャッと一句!フォト575』に篠原ともえが出演していることを嬉しく思う当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第86回目の放送を見ましたよ。
1946年(昭和21年)。
大繁盛というわけではないが、安岡髪結い店のパーマは好評だった。玉枝(濱田マリ)はあいかわらず二階の寝室に引き篭もったままだったが、八重子(田丸麻紀)はそんな悩みを表に出すこともなく、客(山本真由美)との関係も良好だった。
突然、黒い和服を来た奈津(栗山千明)が安岡家に訪ねてきた。泰蔵(須賀貴匡)と勘助(尾上寛之)のために線香をあげたいというのだ。八重子が玉枝を呼びに行っている間ひとりになった奈津は、初恋相手である泰蔵の遺影をじっと見つめて涙ぐんだ。
八重子は無駄だと思いつつも、玉枝に奈津の来訪を告げた。すると意外なことに、玉枝は奈津に会うという。驚きながらも、八重子が手を貸して階段を降ろした。
しかし、いざ奈津と玉枝が対面しても、ふたりはぎくしゃくしていて、ほとんど何もしゃべらなかった。傍らの八重子も居心地が悪かった。
すると突然、玉枝が店のことについて話し始めた。引き篭ってばかりで誰とも口を聞かず、八重子が勝手にパーマ機を購入したことにすら腹を立てていた玉枝である。そんな玉枝が仕事の話をし始めたことは、八重子にとっても寝耳に水だった。
玉枝は、「安岡髪結い店」という店名は古臭く、店構えも野暮ったいと言うのだ。もっとハイカラな店にして、店名も今風にしたいと奈津に相談した。奈津がふと思い付きで「安岡美容室」という店名を提案したところ、玉枝は気に入った。洒落た制服を糸子(尾野真千子)に作ってもらって、店を華やかにしようと言い出した。
事前に何の相談もなく、口を挟む余地のない八重子だったが、悪い気はしなかった。
さらに玉枝は、奈津に美容室を手伝って欲しいと言い出した。
突然のことに驚き、躊躇する奈津だった。自分には多額の借金がある上、夜の女に身をやつしてしまった。今さら、カタギの仕事などできないと言いかけた。
みなまで言う前に、玉枝が自分の手で奈津の口を塞いだ。
玉枝は、今日を限りに自分の辛い過去を忘れ、新しい未来に向けて進みだすつもりだ。奈津もそれに従えというのだった。奈津はそれを受け入れた。
奈津は毎月コツコツと借金を返すことにした。話を聞いただけで、糸子はすぐにその保証人となった。
店の経理を見ている昌子(玄覺悠子)と松田(六角精児)は、八重子のパーマ機代金の立替分も残っているのに、さらに借金の保証人になったことを嘆いた。けれども糸子は聞く耳を持たず、仕事で稼げばいいと言って逃げるのだった。
直後に、奈津がオハラ洋装店を訪問した。
しばし見つめ合った後、先に口を開いたのは糸子だった。糸子は奈津を座らせもせず、後ろを向くように指示した。すると、手探りで奈津の体の採寸をした。そして、一切口を聞かず、その場で奈津の洋服を縫い始めた。奈津も何が起きたのかわからず、その場に立ち尽くすだけだった。
最後に糸子は、これで貸し借りなしだと告げた。
自分の結婚式の時、花嫁衣裳の無い糸子のために、奈津が白無垢を貸してくれた。その時に礼を言い忘れたのがこれまでずっと気にかかっていたのだ。今さら、改めて礼を言うわけにも行かない。糸子は無償で洋服を作ってやる代わりに、花嫁衣裳の件を帳消しにしろと言うのだ。だから、奈津にも礼を言わせなかった。
以後、奈津は明るく甲斐甲斐しく働いた。
安岡美容室の新しい看板が完成し、糸子の作った白い制服も完成した。
安岡一家の再出発を祝し、店の前で記念撮影をした。その時、遠慮する糸子を強引に真ん中に立たせて撮影した。糸子の両隣には奈津と玉枝が立ち、満面の笑顔で糸子と腕を組んだ。
それはとても良い1枚で、糸子のお気に入りの写真となった。
だんじり祭りの時期になった。
なんと、今年から女の子でもだんじりを曳くことが許されるようになった。
はっぴ姿の直子(二宮星)が出かけていくのを見送りながら、糸子は新しい時代の幕開けを感じた。
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明日いきいきジョシゴト (東海テレビ 火曜日21:54)
当方の大好きな山瀬まみがナレーションを行う番組、『明日いきいきジョシゴト』が2012年1月10日より始まったらしい。東海テレビで毎週火曜日の21:54より放送。
女性のライフスタイルを紹介する番組のようだ。
東海地方のみの放送らしく、当方の地域では見れないのが残念。
そして、番組ホームページのちょっと残念な感じも味わい深い。
東海地方にお住まいの方、見る機会があったら山瀬のナレーションの良し悪し、番組の感想などを教えて下さい。
NHK『カーネーション』第85回
今週の放送は、勝の浮気への赦しがあり、水玉ワンピースの大ヒットがあり、静子のヒロイン以上にきれいな花嫁姿があり、厳しくも優しかったハルの死去があり、周防との出会いと心の交流があり、奈津がパンパンになっていて、さらには絶交状態の玉枝に会いに行くとか、「盛り沢山すぎだろ!」と叫ばずにおれない当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第85回目の放送を見ましたよ。
パンパンになった奈津(栗山千明)のことを相談するため、糸子(尾野真千子)は玉枝(濱田マリ)に会いに来た。糸子は、奈津が玉枝にだけは心を開くことを知っていた。玉枝とは何年も絶交状態である上、玉枝は息子を戦争で失って心神喪失状態である。まともでないことはわかっていたが、他に奈津を救う方法はないのだ。
玉枝は寝床でまんじりともせず、天井を睨みつけるだけだった。糸子が部屋に入ってくると、目玉だけをギョロリと動かした。糸子の来訪を咎めるでも歓迎するでもなかった。
それでも、玉枝は善作(小林薫)の死去を口にして気遣ってくれた。糸子は、勝(駿河太郎)やハル(正司照枝)も死んだことを報告した。玉枝は、体を動かさず、一筋の涙を流した。
糸子は奈津のことを報告した。そして、深く頭を下げ、泣きながら彼女を救って欲しいと頼み込んだ。
しかし、玉枝はそれを断った。奈津の借金と夜逃げ、そして娼婦になったことは気の毒に思いつつも、玉枝自身もボロボロの状態だった。自分のことすらどうすることもできないのに、人を助けることなどできるはずがないと言うのだ。辛くなった玉枝はさらに涙を流した。
そして、糸子の願いを断り、追い返すのだった。
糸子は諦めて帰るしかなかった。奈津のことが心配だったが、どうすることもできず数日が過ぎた。
ある日、八重子(田丸麻紀)から電話があった。聞けば、玉枝が奈津に会いに行くと言い出したという。すぐに糸子も合流し、孫の太郎(倉本発)に背負わせて奈津の住む掘っ立て小屋へ向かった。小屋には玉枝だけが入ることにした。糸子と太郎は少し離れたところから様子を伺った。
奈津は玉枝の姿を見るやいなや、玉枝を小突いた。杖を使っても立っているのがやっとの玉枝は大きくふらついた。飛び出して助けに行こうとする太郎であったが、糸子が力いっぱいそれを遮った。ここは玉枝に全て任せるべきだと思ったのだ。
最初は気を悪くした奈津であったが、すぐに玉枝を家の中に入れた。
奈津の家の中にはほとんど何もなかった。奈津の母(梅田千絵)もすでに死んでしまったという。仏壇を買うこともできず、小さな台の上に骨壷をむき出しのまま置いて線香があるのみだった。
玉枝は泰蔵(須賀貴匡)と勘助(尾上寛之)を戦争で亡くしたことを奈津に知らせた。それまで強気でいた奈津であったが、いっぺんに感情を爆発させ、耳を塞いで泣き崩れてしまった。
玉枝は奈津の辛さがよくわかった。それ以上は何も話さず、奈津の気が済むまで寄り添い、優しく撫でてやるのだった。
しばらくして、玉枝と奈津が小屋から出てきた。疲弊した玉枝は、すぐさま太郎の背に乗せられて帰って行った。
糸子と奈津はしばし見つめ合った。しかし、互いに何も言わず、糸子もそのまま去って行くのだった。
そして、店での紳士服づくりが終わり、周防(綾野剛)も約束通り店を去ることになった。周防は期待通りの仕事をしてくれたし、最終日には珍しいゼリー菓子を振舞ってくれるなど、最後まで人がよく爽やかな様子だった。店の女たちは周防との別れを惜しんだ。
表に出て周防が去るのを最後まで見送ったのは糸子だった。
糸子は周防の助けを心の底から感謝した。単に職人として紳士服づくりを助けてもらっただけではなく、精神的な部分でも助けてもらったということをほのめかした。
それを聞いた周防は、どこか安心した表情を浮かべた。というのも、周防は糸子に嫌われたものと思っていたのだ。最初の頃はおしゃべりに付き合ってくれたのに、最後の方はあまり口をきいてくれなくなったことを周防は気にしていた。
糸子は周防の懸念を無言の微笑みで否定した。
糸子は黙っていたが、周防に話しかけるのをやめた明確な理由があったのだ。
糸子は周防のことを好きになりかけていることを自覚していた。これ以上話していたら、その気持に歯止めが効かなくなる。それを避けたのだ。
糸子は、もう二度と周防に会わないことを願いつつ、彼を見送った。
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NHK『カーネーション』第84回
ドラマの中で街中の女性が水玉のワンピースを着ているシーンを見て「そんなバカな。人とカブるのを恥ずかしく思うはずだろ?」と思ったのだけれど、現代でもiPhoneやらPriusやらLOUIS VITTONやらをみんなが持っているという事実を思い出し、「あ、ありうるわ」と考えなおした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第84回目の放送を見ましたよ。
色男で、さわやかな周防(綾野剛)は店の女たちから好意的に受け入れられていた。一方の周防も店で居心地よく、のびのびと仕事をしていた。糸子(尾野真千子)との関係も良かった。糸子が近所のおっちゃんらと道で楽しげに話すのを、周防は二階の窓から愉快そうに眺めた。
ところが、その糸子に、木岡(上杉祥三)と木之元(甲本雅裕)が信じがたい噂をもたらした。闇市で奈津(栗山千明)がパンパンになっているのを見たというのだ。糸子はその話を否定しつつも、あながち嘘とも思えなかった。仕事をしながらも奈津のことが頭から離れなくなった。
そんな折、周防が背広に使うボタンを買いたいと言い出した。糸子は、周防の案内と奈津の真相を確かめることを兼ねて、一緒に闇市へ向かった。
周防が品定めをしている間、糸子はパンパンらの様子を伺った。すると、パンパンに近づく怪しい男(櫻木誠)がいるのに気づいた。客というよりは、パンパンの元締めのように思われた。しかも、奈津が惚れそうなタイプの色男だった。気になる糸子はその男の後を追った。
男は町外れの掘っ立て小屋の中に入っていった。外から様子を伺うと、中から若い女がその男を罵る声が聞こえてきた。どうやら彼らの関係がうまくいっていないことが知れたし、何よりもその声が奈津のもののように思えた。
糸子はしばらくそこで様子をみることにした。すると、周防が自分を追ってついて来ていることに気づいた。何をしているのか周防に理由を聞かれた糸子だが、ためらうばかりで何も話すことはできなかった。それでも、自分の頭に血がのぼっていること、暴力を振るいそうになったら止めて欲しいことだけを伝えた。
すると、掘っ立て小屋の中から本当に奈津が出てきた。派手なパンパンの姿をしていた。
それを見つけた途端、糸子は奈津に張り手をした。さらに奈津を押し倒し、馬乗りになって怒鳴りまくった。そこでやっと周防が止めに入った。
突然糸子が現れたことに驚く奈津であったが、気を取り直すと「関係ない」の一点張りになり、ハンドバッグで糸子を殴り、二度と来るなと捨て台詞を吐いて走り去ってしまった。
その夜、糸子はショックのあまり寝付くことができなかった。
翌朝、周防が出勤してくると、糸子はいの一番に前日のことを謝った。しかし、周防は軽く微笑むだけで何も言わずに作業場のある二階へ行ってしまった。
その日は、大親友のサエ(黒谷友香)が水玉のワンピースを来て遊びに来た。とてもよく似合っており、街を歩いていたら映画女優と間違えられたと言って上機嫌だった。そこへ、手洗いに行くために周防が姿を現した。周防に初めて会うサエは、彼の色男ぶりにのぼせ上がってしまった。
しかし、糸子は一日中不機嫌で、サエの相手すらまともにしようとはしなかった。
夕方、糸子は周防の帰った二階の作業部屋へ入った。
そこで、周防が自分の服を褒めてくれたことを思い出した。終戦後、服作りを通して人々の傷ついた心を癒すことが自分の夢だった。水玉のワンピースを来た女性たちはみな、希望と自信を取り戻し、未来への希望を取り戻すことができた。それはとても良いことであった。
しかし、糸子は考えなおした。
服で救うことができる人々は、そもそもそれほど深い痛手を負っていない人々のみだ。真のどん底に突き落とされた人を救うことは、服では力不足だ。そういった人々を救うことができるのは、自分の手以外にはありえない。
勝のミシンに座り、力をくださいと願い、自分は頑張ると決意を表明した。
糸子は安岡家を訪ねた。
八重子(田丸麻紀)に声をかけ、部屋に引きこもったまま家族にすら会おうとしないでいる玉枝(濱田マリ)に会いたいと願いでた。糸子の表情は厳しかった。
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NHK『カーネーション』第83回
周防役で登場し糸子を背負った綾野剛は、ドラマ『Mother』で尾野真千子の恋人役だったと知って驚くのと同時に、そのドラマで娘役の芦田愛菜を遺棄した直後、尾野真千子がぶっきらぼうにホテル行きを指示するシーンがエロかったなぁ(参考映像; 綾野剛らは8:15あたりから登場、尾野真千子のセリフは9:45ころ)と思い出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第83回目の放送を見ましたよ。
糸子(尾野真千子)の店に、背広を作りたいという男性客(門田裕)がやって来た。いくつか店をまわったが、どこも閉店したままだったという。糸子の店だけは開いていたので相談に来たのだ。しかし、紳士服職人だった夫の勝(駿河太郎)がいなくなった現在、引き受けることは難しかった。
横で話を聞いていた松田(六角精児)は泉州繊維商業組合に問い合わせることを提案した。客の言う通りほとんどの店が閉店状態のため、職人たちは働き口がない。そういった職人を組合が斡旋してくれるのではないかと言うのだ。
客には夕方までに職人を手配することを約束し、糸子はすぐに組合へ向かった。
組合事務所に行くと、組合長の三浦(近藤正臣)が対応してくれた。先日の宴会で男たちに酔いつぶされたことを心配してくれたが、糸子は自分が女だからといって特別扱いされることが気に入らなかった。すぐに、女だからといって手加減はして欲しくないと抗弁した。その言葉に、三浦は気を悪くするどころか、糸子について感心するのだった。
肝心の職人斡旋について、三浦は周防(綾野剛)を推薦してくれた。三浦によれば、彼は腕が良いだけではなく、人間的にも優れているという。働き口が無いので今は組合の仕事をさせているが、それにはもったいない人物だというのだ。
しかし、糸子は困った。先日、酔いつぶれたときに家まで背負って送ってくれたのが周防だったのだ。自分の失態を知られている相手と一緒に働くのは気が進まないどころか、恥ずかしくて顔も合わせられないと思っていたのだ。
だからといって、それを言って断るわけにもいかず、周防がオハラ洋裁店で働くことが決まった。
早速、糸子は周防を店に連れて帰った。
一緒に歩くのすら恥ずかしい糸子であったが、周防はのん気な態度だった。先を急ぐ糸子とは対照的に、商店街を歩きながらもキョロキョロと物珍しそうに周りを見回すのだった。一度、糸子を送りに来て知っている道のはずなのに、何が彼の興味を惹くのは、糸子には不思議だった。
いざ糸子の店の前についても、ショーウィンドウを長らく眺めて、なかなか店の中に入って来なかった。
やっと店に入ると、糸子は周防を2階の部屋へ案内した。そこには、勝が使っていたミシンや裁縫道具が全てそのまま残っているのだ。
家に上がるとき、糸子は周防の靴を見た。それは、洗練されていて上等なショートブーツだった。今まで糸子が見たことのないような飴色の美しい革が使われていた。
一方の周防が道具を前にして最初に聞いたことは、ショーウィンドウの水玉のワンピースについてだった。糸子が作ったものだと知ると、軽くニヤついて、それ以上は口を開かなかった。
それでいながら、仕事は真面目だった。例の客の背広を熱心に作り始めた。
翌日、出勤した周防は、またしてもショーウィンドウの前で足を止めた。
糸子も、周防のブーツをうっとりと眺めるのだった。
休憩時間には、二階で一人で仕事をする周防のために、糸子がお茶を運んだ。その時に、ふたりで少々話をした。
周防の靴は長崎で購入した舶来物であり、日本では珍しい革を使っているという。彼にとっての唯一の財産なのだという。長崎に原爆が落とされた時、家財一式失ってしまったが、あの靴だけは妻が持って逃げてくれたのだという。だから大事に履いているのだと話してくれた。
しかし、長崎の言葉に不慣れな糸子は、周防の話がいまいち理解できなかった。けれども、周防はそれで気を悪くする男ではなかった。彼は酒の席には必ず三味線を携えて行くという。音楽ならば言葉が通じなくても楽しめるからだという。糸子は、先日の宴会でも周防が三味線を上手に弾いていたことを思い出した。
周防によれば、服にも音楽と同じ効果があるという。言葉を使わなくても、いろいろなことが伝わるのだという。そして前日、周防が糸子の店に来る道中、道を歩く女性たちに目が釘付けになったと話し始めた。
戦争が終わってまだ1年。周防自身は悲しいのと悔しいのとで胸がいっぱいである。仕事もないその日暮らしで、不安でいっぱいであった。そんな自分とは対照的に、綺麗な水玉のワンピースを着て歩いている女性たちをたくさん見た。かっこいい服だと思ったし、颯爽と歩く姿がきれいだと思ったのだ。
それ以上は喋らなかった周防だが、糸子には彼が勇気づけられた様子がよくわかった。そして、周防が自分の仕事を評価し褒めてくれていることがわかって嬉しかった。
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NHK『カーネーション』第82回
子供の頃、『パパはニュースキャスター』(田村正和主演)を見ていて、自分にも娘が生まれたら「愛(めぐみ)」という名前をつけようと思ったことのある当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第82回目の放送を見ましたよ。
1946年(昭和21年)7月。
静子(柳生みゆ)の結婚の後、三女・清子(坂口あずさ)の縁談もトントンと決まった。
水玉ワンピースは飛ぶように売れ、糸子(尾野真千子)は朝から晩まで休むまもなくそればかり縫っていた。嫁に行ったふたりの妹が抜けたことも、店の忙しさに拍車をかけた。
そこで、新たに経理専門の人を雇うことにした。女ばかりの店なので、当然、女を雇うつもりでいた。しかし、店にやって来たのは、メガネをかけた小太りの男だった。
その男の名は、松田恵(六角精児)という。その名前から、いつも女に間違われるのだという。経歴を聞くと、心斎橋の大きな洋服店で、経理や社長秘書などとして務めていたという。男であることは予定外だったが、仕事の上では申し分のない人物なので、店で働いてもらうことになった。
松田は社長秘書の経験から、有益な人脈を持っているという。早速、泉州繊維商業組合の存在を教えてくれた。これは、泉州地方(岸和田などを含む、大阪南部)の繊維関係の商売人の組合だという。糸子はすぐに組合に連絡をとって、挨拶に行くことにした。
組合事務所を訪ねてみると、ちょうど月例会の日だった。まっすぐに料理屋に行くよう指示された。
料理屋の座敷に着くと、糸子は襖を少し開けて中を覗いてみた。おっさんばかりの組合だろうと予想はしていたものの、想像以上にむさくるしく、下品で、飲んで騒いでばかりいる連中だった。しかし、そこで帰るわけにも行かず、こっそりと場に紛れた。
すると、すぐに組合長の三浦(近藤正臣)が見つけて、みんなに紹介してくれた。三浦の紹介によれば、岸和田で洋裁店を開く「女傑」ということだった。糸子はそれに悪い気はしなかった。
続いて三浦は、糸子に組合員たちを次々に紹介していった。糸子が気になったのは、たまたま隣に座っていた周防(綾野剛)という青年だった。周防は長崎から出てきた職人だが、今は三浦のカバン持ちのような仕事をしているという。
紹介が終わると、周防は黙りこんで動かなくなった。糸子は彼に話しかけてみた。
しかし、周防の言葉は糸子にはなかなか聞き取れなかった。彼はきつい長崎弁を使うので、それを初めて聞く糸子には理解が難しかったのだ。時間をかけて話を聞いて、糸子は以下のことを知った。
周防は長崎で職人をやっていたが、原爆で焼かれてしまったので、親戚を頼って家族で岸和田に来た。不幸中の幸いで、妻子を含め全員原爆の被害はなかったという。周防も初めの頃は大阪弁を聞き取れずに苦労した思い出がある。
そういった話をするうちに、ふたりはすっかりと打ち解けた。
そこへ、北村(ほっしゃん。)という男が絡んできた。彼の仕事はよくわからないが、みんなが言うには「ヤリ手」なのだという。
北村は、女が来ると聞いて楽しみにしていたのに、糸子は美人ではないなどといきなり失礼なことを言い出した。そして、一升瓶を差し出して、糸子に酒を勧めた。
糸子はこれまで一度も酒を飲んだことがなかった。しかし、北村に挑発されたことに腹を立て、岸和田で有名な酒豪だなどと見栄を張ってしまった。北村からはおちょこではなく、より大きな湯のみになみなみと酒を注がれてしまった。後に引けなくなった糸子は、思い切ってその酒を一気飲みした。
初めて飲んだ酒はうまかった。そして、自分も酒が飲めるということを知って嬉しくなった。自ら北村に湯のみを差し出し、おかわりを要求した。いい気になってどんどん酒を飲んだ。
しかし、酒を飲み過ぎると酔っ払ってしまうということも、糸子は初めて知った。ついには、座敷で酔いつぶれてしまった。
次に気づくと、夜道を父(小林薫)に背負われて、眠りながら家に向かっている錯覚を覚えた。自分が33歳の大人だと理解する一方、それこそが幻覚で、自分は子供のままなのではないかという不思議だけれど心地よい気分になった。
翌朝、目を覚ますと自宅の店の中だった。昌子(玄覺悠子)や千代(麻生祐未)に起こされるが、ひどい二日酔いだった。
糸子の頭痛に構いもせず、昌子はガミガミと小言を言った。33歳にもなって、よその男に背負われて帰ってくるとは情けないというのだ。知らない男に頭を下げた自分たちの恥ずかしい気持ちを想像しろといって怒るのだった。
千代に聞いてみても、誰が糸子を送ってきたのか判然としなかった。ただし、千代が言うには、何を言っているかわからない言葉を使う人だったという。
それを聞いて、糸子は周防に思い至った。その瞬間、カッと恥ずかしくなった。もう二度と彼の顔は見れないし、できることなら一生会わずに済ませたいと思うのだった。
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NHK『カーネーション』第81回
公式サイトの人物相関図(第15週から第17週)の「松田恵(六角精児)」の説明文に中村春太郎(小泉孝太郎)のことが書かれているのを見つけ、思わず小躍りした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第81回目の放送を見ましたよ。
1946年(昭和21年)3月。糸子(尾野真千子)は33歳になっていた。
長らく休刊していた婦人ファッション雑誌が復刊した。アメリカの最先端のファッションが大きく取り上げられていた。かつての敵国だったアメリカが、今では人々の憧れの的になっているのだ。
闇市でもアメリカからの輸入品は大人気だった。
糸子は闇市で素敵な生地を見つけた。青地に大きな白水玉のプリントされた布地だった。糸子は早速それを買い求め、新規入荷分を全て買い取る約束を取り付けた。
糸子は親友のサエ(黒谷友香)を呼び出して、その生地を見せた。二人はその生地に新しい時代の到来を実感し、興奮した。このような大胆な模様の洋服を着て街を歩いたら、きっと自分が生まれ変わったような気分になるだろうと、嬉しそうに話し合った。
糸子は、その生地を使った記念すべき1着目はサエのために誂えてやりたいと思った。戦争で傷ついたサエの心が、洋服1着で晴れるのなら、そんなに嬉しいことはないと思うのだ。
はたして、思った通りの斬新で素敵なワンピースが完成した。
完成したワンピースを見た静子(柳生みゆ)は、思いつめた表情で糸子に相談を持ちかけた。完成したワンピースを1日だけ着させて欲しいというのだ。
30歳になる静子には、出征した恋人がいた。彼が生きて帰ってきたら結婚する約束をしていたのだという。その恋人が、今日、岸和田に帰ってくるという連絡が入ったのだ。静子はきれいに着飾って恋人を迎えたいと打ち明けたのだった。
静子に恋人がいたなどということは、糸子にとって寝耳に水だった。静子が黙っていた理由は、糸子が勝(駿河太郎)と死別したことに遠慮してのことだという。
糸子は自分のことなど何も気にしなかった。むしろ、妹の慶事を喜んだ。すぐにワンピースを貸してやることを決めた。急いで寸法を直したため必ずしも静子の体に合っていたわけではないが、それを来た静子はこれまでで一番きれいに見えた。
静子の恋人(濱口秀二)は、まっすぐに小原家にやってきた。道で待っていた静子は、彼の姿を見るや、胸に飛び込んだ。ふたりは、家族や近所の人が見ているのも気にせず、道の真中でひしと抱き合った。
人目もはばからず抱き合うふたりは、男女関係における新しい時代を感じさせるものであった。
その後、糸子の作る水玉のワンピースは大人気となった。客は殺到するものの、生地の入荷が遅れた。そのため、客は3週間ほど待たねばならなかった。それでも、ワンピースは飛ぶように売れた。
それから2ヶ月ほど経った5月。静子が結婚することになった。
静子は、糸子の結婚式で糸子が家に忘れて行ったために着れなかった、あの花嫁衣裳を着た。
家族全員に見送られて家を出るのだが、体を悪くしたハル(正司照枝)だけは寝床から出ることができなかった。静子は、ハルの枕元でこれまで育ててもらった礼を述べた。ハルは寝ながらも、静子のことを口も達者に祝福した。
表に出た静子は、自分の生まれ育った家を振り返った。いつまでも悲しそうな表情で、立ち去りがたかった。糸子に助けられて、ハルが二階の寝室から顔を出した。その様子を見ると、静子はますます去ることができなくなった。
糸子は、自分の結婚式で大遅刻したことを引き合いに出し、花婿を待たせない様に早く行けと急かした。その時のハルの怒りようはなかったと言うのだ。その冗談に一同は湧いた。それをきっかけに静子も満面の笑顔を浮かべ、式場へ向かった。
ひと月後の6月11日、ハルは息を引き取った。
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