すぐ泣くフェルゼン

池田理代子『ベルサイユのばら』を通読した。今回が2回めで、実に四半世紀ぶりだろうか。高校生の時に、当時お付き合いしていた女の子が友達から借りてきたという同書を又借りして読んだ時以来だと思う。

その際、彼女から伝えられた感想は「フェルゼンって男のくせにすぐ泣くよね。私は”すぐ泣くフェルゼン”って呼ぶことにした」というものだった。事前にそんな話を聞かされていたものだから、僕も読みながらフェルゼンにばかり目が向いた覚えがある。
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立ってるワニ

当方の大好きな漫画、サライネス『誰も寝てはならぬ』の3巻(2005)p.61に以下のような記述がある。

立っている偽物のワニ(『誰も寝てはならぬ』3巻)

ハルキという登場人物が、ワニのマークで有名な LACOSTE の偽物の服を持っていたという話である。
なお、右のコマは「交尾しているワニ」というネタである。

本当にそんなもんあるのかよ?と思っていたのだが、本当にあった。
しかも、別の漫画に。

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峰なゆか『アラサーちゃん』

週刊SPA!峰なゆかの『アラサーちゃん』という4コマ漫画が連載されている。30歳女子のアラサーちゃんが、男と女の微妙な駆け引きを行うというもの。男にモテるために様々な努力をしたり、理不尽で幼稚な男の言い分に合わせてみたり、つい我慢の限界に達して本音を叫んでみたりといった漫画。
ライバルのゆるふわちゃん(男好きのするかわいこちゃん)と張りあってみたり、元彼氏のオラオラ君と腐れ縁が続いていたり、本命の文系くんが振り向いてくれなくてヤキモキしたりもする。

雑誌で読んで気に入ったので、単行本を買ってしまった。おもろかった。

『アラサーちゃん』というはてなダイアリーがあり、そこで多くの漫画が読める。それを試し読みして、気に入った人は買うが良い。なお、単行本に収録されている漫画の半分近くは先のはてなダイアリーに掲載されているものの、ネットで見ることのできるものはラフスケッチ版。単行本では同じ話がキレイに描き直されています。

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NHK『カーネーション』第110回

マンガに出てくる料理を全力で再現するブログ『マンガ食堂』が書籍化(amazon)されたと知り、「どーせ、ブログでタダで見れる内容を単にまとめて転載しただけでしょ」と冷たく突き放そうと思ったのだが、目次を見たら半分以上が新作書きおろしであり、「こりゃ買うしかない!『夜行』四百円の駅弁、チョー食いてぇ」と色めき立った当方が、NHK朝の連続テレビ小説『カーネーション』の第110回目の放送を見ましたよ。

* * *

第20週「あなたを守りたい」

1954年(昭和34年)。
優子(新山千春)は仕事で大失敗をした。妊婦(榎園実穂)に無理な試着をさせたために、客が店で倒れてしまったのだ。幸い、優しい客だったのでそれ以上の揉め事にはならなかったが、優子はひどく落ち込んだ。
周囲に慰められ、やっと優子は平常心を取り戻しかけた。

その事件の当日、直子(川崎亜沙美)から電話があった。若手デザイナーの登竜門である装麗賞を直子が史上最年少で受賞したという連絡だった。直子からの電話だけではその重大さはわからなかったが、優子の説明によれば、それはこれ以上ないほどの名誉であり、直子の将来は約束されたも同然であるとのことだ。

実は、優子も東京で勉強しながら装麗賞を目指していた。けれども、優子には叶わなかったのだ。それからというもの、優子はふさぎ込みがちになった。

6月になり、直子の快挙はあちこちで報道されるようになった。糸子(尾野真千子)のところにも新聞記者の取材があったり、直子の洋服について店への問い合わせも多くなった。小原一家の周囲はにわかに騒がしくなった。

周りが賑やかになればなるほど、優子は沈み込んでいった。けれどもまだ、みんなの前では普通にしているよう努力した。
ある日、店に電話があった。優子が出ると相手は直子だった。受賞以来、ふたりが話をするのはこれが最初だった。優子は直子のことを明るく祝福した。将来は約束されたも同然だから、デザイナーとして東京で華々しく活躍するよう言った。自分は地味ながら岸和田の店を守っていくから、故郷のことは気にするなと告げるのだった。

その卑屈な態度に直子は腹を立てた。けれども、優子に対しては何も言わなかった。電話が糸子に代わると、腹立たしさを糸子にぶつけた。電話では明るく振舞っていた優子だが、毎日泣いてばかりいることは想像がつくのだという。優子を甘えさせず、活を入れてくれとだけ言うと、他の用事は何も言わずに直子は電話を切った。

糸子も直子の意見と同じだった。変に慰めたり、直子のことを持ちだしたりするのではなく、優子に対しては普通に接しようとした。
その矢先、北村(ほっしゃん。)が上機嫌で店にやってきた。直子を祝福する花束を持参し、店に飾るよう優子に手渡した。そして、直子に負けないように頑張れと優子に声をかけた。その一言で、これまで抑えていた優子の感情が爆発した。持っていた花束を北村に投げつけ、店を飛び出してしまった。

糸子は北村を喫茶店に連れて行った。
北村は心ない言葉を言ってしまったことを反省していた。しかし、もちろん糸子はそれを咎めることをしなかった。むしろ、周囲が気を使うのではなく、優子が自分自身で乗り越えるのを待つしかない、気を使うのはやめようと話すのだった。

一方、北村は訪問の本当の理由を切り出した。
前年、糸子がデザインして大失敗した既製服がついに全て売れたという報せを持ってきたのだ。糸子の取り分を全て現金で持ってきた。時代遅れの洋服が急に全て売れたという話を糸子は理解しがたかった。不安に思うものの、北村の上機嫌に押されてしまい、それ以上は詳しい話を聞くことができなかった。

北村の前で感情を爆発させてから、優子は完全に不抜けてしまった。落ち込んでいるのを隠そうともせず、接客すらまともにできなくなってしまった。
先の妊婦の母(川上律美)が店にやってきた。事件のことは全く気にしていないどころか、優子の作った洋服が良かったので自分も仕立てたいと言って訪ねてきてくれたのだ。しかし、優子はぼんやりとしているばかりで、先日の謝罪や再訪の礼を言うことはもちろん、注文を聞くことすらできなかった。

見かねた糸子は優子を裏に呼んで説教をした。そして、もう店に立たなくてよいと告げてしまった。

ふてくされた優子は、居間に顔を出した。すると、松田(六角精児)が一人でテレビを見ていた。歌舞伎役者・中村冬蔵(小泉孝太郎)の大ファンである松田は、冬蔵がテレビやラジオに出る時は糸子に特別に許可をもらって、いつもこうして見ているのだ。
優子は、生前の善作(小林薫)と一緒によく歌舞伎を見に行っていたので、冬蔵(当時、春太郎)のことを知っていた。松田とふたりでテレビを見て大騒ぎをした。

それを聞きつけて糸子がやって来た。そして優子を怒鳴りつけた。店に出るなとは言ったが、仕事をサボれと言ったわけではないからだ。
優子はつい口答えをしてしまった。自分は仕事のできる人間ではないのだから、テレビを見る以外に能がないなどと卑屈な返事をした。
糸子は頭に来て、優子の頬を張った。恩師の原口(塚本晋也)が才能を見ぬいて東京に呼んでくれたこと、優子の初仕事である妊婦の洋服を見てその母親が訪ねてきてくれたことなど、どうして自分の能力に自信を持つことができないのかと言って叱った。
それでも優子は聞く耳を持たなかった。取っ組み合いの喧嘩になった。

周囲に止められて、一応騒ぎは収まったが、店の中は暗い雰囲気が漂っていた。

そんな夕方、店に刑事がやって来た。
一昨日、北村を詐欺の疑いで逮捕したという。その件に関して、糸子から話を聞きたいというのだった。

* * *

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会田薫『梅鴬撩乱―長州幕末狂騒曲―』 タイトルと作者が判明

昨年の7月、以下のような問いかけを発した。

「タイトルも作者もわからない漫画」

以下の情報だけで、それがなんという漫画なのかわかる人はいるだろうか?

(1) 時代劇漫画(幕末物である可能性が高い)
(2) 作者は女性である
(3) 最近(少なくとも 2010年)、この作家初となる単行本が出た
(4) この作品は1巻で完結ではないらしい
(5) 講談社か集英社(もしくは小学館かも)あたりの大手からの出版らしい

その答えがわかった。

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マイケルも寝てはならぬ

死亡する2日前に行われた、マイケル・ジャクソンのリハーサル映像がある(2009年)。
しばらく目立った活動もしていなかったので、もうエンターティナーとしては終了してるんだろうなと思っていたのだが、なかなかの良さそうな感じではないか。
今さらながら、彼の死をとても悔やみ始めた僕がいる。

ところで、その映像の中の振り付けにデジャブ感があった。

Michael Jackson Rehearsal: They Don't Care About Us

ここでリハーサルされているのは “They Don’t Care About Us” という曲(アルバム「ヒストリー」に収録; “History” と “His Story” の掛詞らしいよ)で、プロモーションビデオが作成されたことはないし、少なくとも僕はコンサートで演奏されている姿も見たことがない。
だから、初見のはずなのだが。

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『阿房列車 1号』 一條裕子(漫画)、内田百閒(原作)

2年位前にIKKIで雑誌連載が始まり、当方は一度もそのマンガを読んだことがなかったのだけれど、
「単行本が出たら、即買いの予定。」
宣言するほど楽しみにしていた、一條裕子画の『阿房列車』の単行本がやっと発売になったので、買った。

内田百閒の名作鉄道エッセイ『阿房列車』を、完全漫画化という感じ。
原作を読んだときに感じた百閒のすっとぼけた感じが、そのまま表現されているように感じた。

原作は文字ばっかりでなんとなく敬遠していた人も、漫画版はさらりと読めるので一度チャレンジしてみても損はないと思う(文庫の原作よりも値段は高いけど)。
収録作は3作。

「特別阿房列車」
“なんにも用事がないけれど、汽車に乗って大阪へ行って来ようと思う。”で有名な第一弾。
出発前のグダグダ話(行きは一等で帰りは三等とか、借金の話とか)が笑えるアレ。

「区間阿房列車」
汽車が遅れたせいで乗り換え列車がすんでのところで出発してしまうやつ。
“向こうが悪いのだから、迎合するわけには行き兼ねる” とヘソを曲げて走ろうとはせず、結局、雨の中ホームのベンチで2時間過ごすやつ。

「鹿児島阿房列車」
百閒が初めて関門トンネルをくぐるヤツ。
途中、生まれ故郷の岡山を通過するヤツ。偏屈だから里帰りしようとしないのだけれど、風景が変わっていることは寂しく思うというアレ。
#この話、一條裕子の情緒的な描き方がうまい。

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『機動戦士ガンダム The Origin 17: ララァ編・前』 安彦良和

安彦良和のコミック版ガンダム “The Origin” の17巻を買ってきた。
安彦良和といえば、初代ガンダムのキャラクター・デザインをした人だから、安心して見ていられる絵柄。このシリーズは、アニメ版のストーリーに忠実(アニメと同じ構図がたくさんある)でありながら、ファンをうならせる新解釈やサイド・ストーリーがあって見所満載。

17巻は、ホワイトベースがジャブローを発進して宇宙に上がったところから。シャアのザンジバルとドレンのキャメル艦隊の挟み撃ちにあうところ。つまりは、映画三作目「めぐりあい宇宙」と同じところからスタート。
途中、ザンジバルとの交戦(ビグロやザクレロの登場、ホワイトベースとザンジバルのすれ違い砲撃)はばっさりカットされているけれど。
そして本巻は、サイド6を出発してコンスコン艦隊を撃破するとこで終わり。
#あのデブで有名なベルガミノと、その浮きドックが出てこないのもちと残念。

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『孤独のグルメ』 久住昌之・谷口ジロー

ひとりで飯を食う男の孤高のダンディズム。
最初はウケ狙い漫画かと思って読み始めたけれど、深いテーマを持ってる。
密かに売れてる理由もよく分かる。

主人公の井之頭五郎は個人で輸入雑貨の貿易商を営んでいる。
ただし、店舗は構えていない。

結婚同様 店なんかヘタにもつと
守るものが増えそうで人生が重たくなる
男は基本的に体ひとつでいたい

『孤独のグルメ』p.17

その言葉どおり、中年に差し掛かっている彼は独身。
絵柄を見る限り、割とハンサムだし、身なりも良いし、言動も紳士的。
留学生のバイトを理不尽なまでに怒鳴り散らす店主に対して、堪忍袋の緒を引きちぎる正義感も持ってる。

そんな主人公が、大都会をさまよい歩き、グルメ本には絶対のならないような大衆食堂に立ち寄る。
そして、孤独に飯を食う。

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