NHK『あまちゃん』第84回

昨日の夕食はアバズレの食いもんだった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第84回めの放送を見ましたよ。


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第14週「おら、大女優の付き人になる」

アメ横女学園の40人、GMTの6人を対象とした人気投票イベント「国民投票」が行われることとなった。上位20位の者をレギュラーとし、30位以内に入れば年越しライブへ出演できる、40位以内の者は補欠メンバーとし、41位以下の者は解雇するのだという。荒巻(古田新太)によれば、国政選挙での政権交代と同じように、投票結果で大きな変化があるかもしれないという。また、日の当たらない場所で努力しているメンバーへチャンスを与えたいという意図もあるのだという。

しかし、GMTのメンバーたちはそのルールに愕然とした。彼女らは劇場地下のレッスンルームで稽古をしているばかりで、人前に出たことがない。初めから名前が知られておらず、自分たちをアピールしようにもステージに上る機会もない。票を獲得できる見込みがほとんど無いのだ。落ち込むメンバーに対して、水口(松田龍平)は辛辣だった。人気の無い者を早々に解雇し、アイドルを諦めさせ、違う進路を示すことも事務所の優しさなのだという。そうなりたくなかったら、自分たちで生き残る方法を考えろという。

その夜、寮でアキ(能年玲奈)と同室の仙台出身・小野寺薫子(優希美青)が泣きだした。自分は歌もダンスも苦手であり、誇れるものがない。国民投票が不安でならないというのだ。父は自分の芸能界入りに反対だったが、母(石田ひかり)が全面的に応援し、大きく期待を寄せてくれているという。そんな両親が先ごろ離婚し、母は薫子を頼って上京してくるという。こんな上京でGMTをクビになったら、母にどんな顔をされるかわからないと怯えるのだった。アキは、そんな薫子を親身に慰めた。

GMTのメンバー6人は、それぞれが出身地の衣装を身につけて路上ライブを行うことになった。アキが海女の格好をし、徳島・宮下アユミ(山下リオ)が阿波踊り、沖縄・喜屋武エレン(蔵下穂波)はエイサーの民族衣装、仙台・小野寺薫子は牛たんにちなんで牛の着ぐるみを身につけた。その4人については水口も納得した。しかし、これといった衣装の見つからない埼玉・入間しおり(松岡茉優)が地元名物のネギをイメージして緑色をあしらっただけの衣装や、佐賀といえば「がばいばあちゃん」だと言って老婆の扮装をする遠藤真奈(大野いと)はみんなから非難された。

衣装ももちろんだが、路上ライブで披露する曲目の選定も重要だった。しかし、なかなか結論が出なかった。喜屋武は沖縄を代表するアーティストBEGINを主張したが、他のメンバーは受け入れない。アメ横女学園の「暦の上ではディセンバー」や、アキの主張する「潮騒のメモリー」なども候補に上がったが、いずれも決め手にかけていた。

みんな真剣で、必死に議論を続けた。自分たちの運命がかかっているのだから当然だ。そんな緊迫した雰囲気の中、アキはどこか懐かしいものを感じた。お座敷列車イベントや海女カフェの計画を練っていた時のことを思い出したからだ。その時のことを思い出すほど、そばにユイ(橋本愛)のいないことが悲しく思われるのだった。

その頃、学校を辞めてしまったユイは、春子(小泉今日子)の計らいでスナック梨明日で働いていた。何も知らずに店へやってきたヒロシ(小池徹平)は驚いたが、ユイが自分は18歳だから自分のことは自分で決めると言うと、それ以上何も癒えなかった。

ある夕、アキが劇場を出ようとすると、荒巻に声をかけられた。春子と荒巻が顔見知りだと知ったアキは、荒巻に自分が春子の娘だと話した。すると、荒巻は激しく動揺するのだった。

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NHK『あまちゃん』第83回

中崎タツヤの漫画『じみへん』に交通事故に遭った男が来世でサケに生まれ変わる幻想を見る話があり、サケとなった彼は命がけで川を遡上し明日はいよいよメスと繁殖行動ができるというその夜に夢精してしまい、メスとつがいになれなかったところで意識を取り戻し、「生まれ変わってもサケはいやだな」とつぶやいて死んでいくというものがあるのだが、下のポスターを見た瞬間にその話を思い出した当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第83回めの放送を見ましたよ。


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第14週「おら、大女優の付き人になる」

春子(小泉今日子)は、店で化粧品を万引きしようとしているユイ(橋本愛)を見つけた。それを制止し、春子はユイを喫茶リアスに連れ込んで説教した。

ユイは自分の事は放っておいて欲しいと抵抗した。誰にも迷惑をかけていないし、自分を地元アイドルに仕立てあげて大騒ぎしたのも大人たちが勝手にしたことで自分には関係ないと言うのだ。

春子は、ユイの母・よしえ(八木亜希子)が蒸発したせいで上京できなくなったと言うなら筋違いだと叱った。今のユイは、学校にも行っていないし、父・功(平泉成)の看病も一切していない。家にも帰らず一日中ブラブラしている。地元で有意義なことを何もしていないのだから、東京に行ったと同じなのだ。

春子はユイが自分に似ていると言う。春子(有村架純)は夏(宮本信子)に反対されてもアイドルを目指して上京した。親が障害になろうとも、夢の実現のためには自分で道を切り開くしか無いのだ。

それでもユイは無気力だった。ユイが言うには、もうアイドルを目指すには手遅れだという。今のユイは18歳であり、下積み期間を考えれば、20歳までにデビューできる見込みもない。それに、すでに夢から覚めたのだという。自分とは違うキャラを作って、男に媚びるなどダサいというのだ。アキもそのひとりだと断じた。

その言葉を聞いて、春子はアキに電話をすると言い出した。ユイがアキのことをバカにしていると報告するというのだ。すると、ユイは電話を奪ってやめさせた。強がって見せたのはユイの本心ではなかったのだ。それが親友のアキに伝わるのだけは避けたかった。

その瞬間こそユイの更生の絶好の機会だった。春子は「18の小娘がかっこつけてんじゃねーよ」と厳しく一言だけ投げかけ、店を出た。そこでは、ユイのことを心配した町の男たちが様子を伺っていた。彼らにユイを優しく慰めるよう指示した。男たちは泣いているユイを前にどうしていいかわからず右往左往するばかりだったが、ユイを気遣う様子だけは伝わった。春子の厳しさと、男たちの不器用な優しさの緩急によって、ユイは立ち直り始めた。
後日、髪の脱色やヤンキー・ファッションはそのままだが、柔和な笑顔を取り戻したユイが喫茶リアスに遊びに来た。

その頃、GMTの寮では水口(松田龍平)から驚くべき企画が発表された。荒巻(古田新太)の発案で、アメ横女学園とGMTのメンバー総勢46人を対象に「国民投票」と呼ばれる人気投票を年末に行うことになったという。当然、アキもその対象に含まれ、突然のことに驚くのだった。

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NHK『あまちゃん』第82回

来週の放送で石田ひかり(本ドラマのチーフ・プロデューサーの訓覇圭の妻だったりする)が登場するという情報をゲットした当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第82回めの放送を見ましたよ。

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第14週「おら、大女優の付き人になる」

母・よしえ(八木亜希子)が蒸発し1ヶ月、ユイ(橋本愛)はグレてしまった。高校を辞め、家にも帰らなくなった。改造車を乗り回し、チンピラ風の男(山田健太)と同棲しているという噂になった。ネット上には荒れたユイの写真が流出したりした。

アキ(能年玲奈)は鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の付き人となった。ドラマ『静御前』の撮影に立ち会い、鈴鹿ひろ美の見事な演技力と存在感に圧倒された。しかし、いったんカメラの前を離れると鈴鹿ひろ美はどこにでもいるような庶民的なオバサンになり、そのギャップにも驚かされた。鈴鹿ひろ美は外面はいいが、アキとふたりきりになるとスタッフや共演者の陰口を叩いたり、金に細かく、服装は地味で、同じ話を何度も繰り返すのだった。21時以降は一切ものを食べないと決めており、その時間を過ぎると急に機嫌が悪くなり、攻撃的になる。

鈴鹿ひろ美の付き人をやりつつ、アキはGMTの活動も行なっていた。毎日19時からは劇場のレッスンルームでダンスの稽古を行う。その日、稽古中のメンバーに鈴鹿ひろ美から鮨の差し入れがあった。無頼鮨で働き始めた種市(福士蒼汰)が出前すると共に、鈴鹿ひろ美が店で待っているというメッセージを伝えた。アキはすぐに無頼鮨へ向かった。

鈴鹿ひろ美は、自分のことをどう思うかアキから率直な意見が聞きたいという。それでアキは、遠慮なく思っていることを答えた。アキの意見は、鈴鹿ひろ美の芝居は最高だという。だから、人としての面白みや趣味などはなくてよく、芝居だけをやっていれば良いと話した。鈴鹿ひろ美は、芝居以外に能が無いと言われたことで機嫌を悪くした。突然ひとりで帰ると言い出した。

去り際、アキはどうして自分に優しくしてくれるのか訪ねた。鈴鹿ひろ美は「自分に似ているからだ」とだけ答えて帰っていった。

その後、アキと種市はビルの屋上でふたりだけで話をした。暦の上では11月になり、もうすぐ正月だ。アキは東京に来たばかりだから、正月も帰郷はしないという。一方の種市は、家族に会ったり、ユイの様子を伺うためにも北三陸市に帰る予定だという。

種市もユイが荒れているという噂を聞きつけ、彼女のことをひどく心配しているのだ。アキに対しても、北三陸市に一度帰って、ユイを励ましてやるべきだと提案した。しかし、アキはユイに会うつもりは一切ないという。ユイの心情を考えれば、今の姿を自分には見せたくないはずだからだ。親友の間柄にも緊張感は必要であり、ユイは常に自分の先を行っている存在でなければならない。だから、今のユイには会わないし、彼女がグレてしまったという噂も聞かなかったことにするという。

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NHK『あまちゃん』第81回

昨夜、牛乳(というかカルアミルク)をがぶ飲みしたせいか、お腹がゴロゴロしている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第81回めの放送を見ましたよ。

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第14週「おら、大女優の付き人になる」

功(平泉成)が順調に回復し、ユイ(橋本愛)の上京も目前となった。

そんな矢先、ユイの母・よしえ(八木亜希子)が失踪した。1週間待っても帰らず、ヒロシ(小池徹平)は警察に捜索願を提出した。お嬢様育ちだったよしえは、功の介護に疲弊し、何もかもが嫌になったのだと想像された。

よしえがいなくなったことで、ユイの上京は再び延期された。ユイは部屋に閉じこもり、荒れてしまった。事情を知ったアキ(能年玲奈)から気遣う電話がかかってきてもユイは電話に出ない。それどころか、ケータイを投げつけ、アキとの連絡を一切絶ってしまった。

同じ頃、アキは社長の荒巻(古田新太)に呼ばれた。アメ横女学園のトップ・有馬めぐ(足立梨花)が交通事故に巻き込まれたという。幸い軽いむち打ち症で済んだものの、怪我よりも大きな問題が発生したという。彼女は、男性俳優の運転する自動車の助手席に乗っていて事故に遭った。恋愛禁止のアメ横メンバーにとっては重大なスキャンダルである。相手の俳優の事務所は、事故の30分後に有馬めぐが同乗していたことを認めるFAXをマスコミに流した。ふたりの交際は週刊誌にも書かれることになり、劇場にも取材陣が殺到するだろうというのだ。

有馬めぐの代役担当のアキにとっては、千載一遇のチャンスだった。彼女のことを心配する素振りを見せながらも、顔には思わず笑みが浮かんだ。ところがそこへ、有馬めぐ本人が現れた。怪我は軽いし、男性俳優との関係においてもやましいところがないと言い切り、自分がステージに立つ決意であった。それを聞いて、荒巻も有馬めぐの出演を認めた。こうなることは全て荒巻の読み通りだった。新人を代役に割り当てることで、有馬めぐの奮起を期待し、その通りになったのだ。こうしてアキが表舞台に出る機会は立ち消えとなった。

その代わり、アキは鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の付き人に任命されることになった。水口(松田龍平)に連れられて無頼鮨へ行くと、鈴鹿は主演ドラマ『静御前』のスタッフたちと食事をしていた。鈴鹿はすでにアキが付き人になることを了承していた。しかし、アキはまだ決めかねていた。ユイとの約束でアイドルを目指しているはずなのに、付き人になることは遠回りなのではないかと思うからだ。しかも、ユイの上京が延びたことや、有馬めぐの代役がすんでのところで立ち消えになったことなどで虫の居所が悪かった。それで即断しかねたのだ。

しかし、鈴鹿はアキの態度にはお構いなしだった。しかも、鈴鹿はユイが上京できなくなったという事情まで全て知っていた。アキが訝しむと、種市(福士蒼汰)から話を聞いたのだという。なんと、仕事を辞めて故郷に帰るはずだった種市が無頼鮨で働いていた。

アキは種市にも腹を立てた。ユイが大変な状況にあると知っているなら、なおさら北三陸市に帰ってやるべきだと食って掛かった。しかし、種市は、自分には自分の考えがあると言って聞かなかった。それがどんな考えなのか、彼からの説明はなかった。大将・梅頭(ピエール瀧)がこっそり教えてくれたことによれば、アキが種市のことをプライドばかり高くて器の小さな男だとなじったことが効いたのだという。ふたりが店で口論した数日後、突然種市が訪ねて来て、店で働くことになったという。アキの説教が種市を変えたのだという。

その夜、アキは寮でGMTメンバーや水口と相談した。有馬めぐは、過去にも元カレとのプリクラ写真が流出し、半年間休業していたことがあるという。その時のつらい思いが反動となり、今や絶対に仕事に穴を開けないのだという。このまま有馬めぐの代役担当をしていても表舞台に出られる可能性はほとんどない。むしろ、鈴鹿ひろ美の付き人をしていたほうがチャンスが広がるかもしれないという結論になった。それで、付き人になることを承諾した。

それから1か月後。すっかりやさぐれたユイが、チンピラ風の男(山田健太)と一緒に北三陸駅に現れた。

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NHK『あまちゃん』第80回

隣家へ引越しの挨拶に行ったところ乳児のいる若夫婦が住んでいたのだが、その奥さんが中学生に見えるほどの激烈ベビーフェイスだったせいで、思わず変な気を起こしそうになってしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第80回めの放送を見ましたよ。

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第14週「おら、大女優の付き人になる」

アキ(能年玲奈)が種市(福士蒼汰)が劇場そばの無頼鮨で食事をしていると、社長の荒巻(古田新太)と鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)が連れ立ってやって来た。ふたりがただならぬ関係であると聞いていたことや、事務所では恋愛禁止のため種市と一緒にいるところを見られてはまずいため、アキはとっさに隠れた。

ふたりは付き人のことについて話をしていた。プライバシーを大切にしたいと考える鈴鹿は、先日運転手をクビにしたという。自分の行き先や自宅に、他人が常に付いて来ることに我慢がならないのだという。専属運転手までクビにするという鈴鹿の潔癖症に荒巻は呆れた。そして、以前に荒巻も鈴鹿のマネージャーをしていて、1年間でクビにされたことを引き合いに出し笑うのだった。

荒巻は、鈴鹿に新しい付き人を薦めた。岩手から来た面白い子がいて、鈴鹿のデビュー曲「潮騒のメモリー」を歌っているので調度良いと言うのだ。それはまさにアキのことであった。鈴鹿は、同じ店で一度アキに会っているし、アキも「潮騒のメモリー」のことを鈴鹿に話した。しかし、鈴鹿はそのことがうろ覚えであった。そこまで話すと荒巻は仕事があると言って先に帰り、まもなく鈴鹿も帰っていった。

ふたりが帰り、やっとアキは緊張がとけた。同じく話を盗み聞いていた種市も、芸能界の厳しさを垣間見た思いがした。

話題はユイ(橋本愛)のことに戻った。彼女の上京を信じて疑わないアキに対して、種市はユイはすでに上京を諦めているのではないかと話すのだった。これまで順風満帆で挫折したこともなくプライドの高いユイなので、今の状況に耐えられないはずだと言うのだ。北三陸市で地方アイドルとして活躍するのが良いだろうと意見を述べた。

それを聞いたアキは激昂した。ユイを侮辱したことはもちろんだが、種市の何事にも対する後ろ向きな態度に腹がたったのだ。以前の種市は何事にも熱く、真っ直ぐであった。田舎にいれば田舎の悪口を言い、東京では東京の悪口を言うような人間を嫌っていたはずだ。しかし、今や種市は正反対になったと詰った。東京の悪口を言い、仕事を辞めて故郷に帰るという種市に激しく失望したのだ。自分の初恋の相手の器の小ささを知り、怒りと悲しみが渾然一体となった。

アキの大声は、店の大将・梅頭(ピエール瀧)からもたしなめられるほどだった。それを潮にふたりは帰ることにした。種市が支払いをしようとすると、梅頭はすでに鈴鹿ひろ美から代金をもらっているという。アキは、鈴鹿がアキの存在に気づいていたのだと知った。

その頃、ユイの父・功(平泉成)は順調に回復していた。家族が付きっきりでリハビリの介助をすることで、通常よりも早いペースで回復している。もうすぐ退院もできそうだという。

しかし、功の回復とは反比例するかのように、ユイの母・よしえ(八木亜希子)は憔悴していった。功が倒れてから1ヶ月半、ずっと緊張していたのだが、退院が近づくに連れて気が緩んできた。それまでの反動で疲れが一気に出てきたのだ。

よしえはひとりで病院から家に帰ろうとしたが、どうにも家へまっすぐと足が向かなかった。喫茶リアスに立ち寄り、春子(小泉今日子)とふたりきりで話をした。春子もよしえの疲労を感じ取った。無理をせずに、街の人々に助けを求めることをアドバイスした。どうせみんな暇でおせっかいなのだから、良くしてくれるはずだという。しかも、春子や駅長・大吉(杉本哲太)、観光協会長・菅原(吹越満)はいずれも高校教師時代の功の教え子であり、協力を惜しまないと言って励ました。

功の退院の目処が立ったことで、ユイも上京の準備を再開した。そして、ユイはアキにメールを送った。その文面はこれまでのように空虚なものではなく、心のこもったものだった。アキの頑張りに自分も励まされた、必ず上京するというアキとの約束をもうすぐ果たせそうだなどと、前向きな言葉が綴られていた。それを見て、アキも喜んだ。

ある晩、アキは無頼鮨の裏口に佇んでいた。ごみの処分に出てきた大将・梅頭は、アキの思惑を理解した。アキは鈴鹿に礼を言いたいのだ。ちょうど鈴鹿が店に来ていたので、アキを店内に入れてやった。

アキは鈴鹿に2度も会計をもってもらったことの礼を言った。そして、改めて自己紹介をした。鈴鹿は上機嫌で話を聞いた。

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NHK『あまちゃん』第79回

本ドラマの先週(第13週)のサブタイトルは「おら、奈落に落ちる」だったわけだが、それをもじって「おれ、奈良に落ち着く」(本当は奈良のすぐそばの京都府だけど)とひとりごちている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第79回めの放送を見ましたよ。

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第14週「おら、大女優の付き人になる」

アキ(能年玲奈)は憧れの鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)と会うことができて有頂天になった。しかし、水口(松田龍平)によれば、そのことはあまり口外しない方がいいという。なぜなら、社長の荒巻(古田新太)と鈴鹿ひろ美は過去に何事かあったらしいからだという。

アキはユイ(橋本愛)に電話をかけるが、いつも留守電に繋がってしまう。それでも、電話をかけるたびにメールで返事だけは返してくれた。

ところが、ヒロシ(小池徹平)と電話で話したところ、ユイは学校に行っていないという。父・功(平泉成)の看病で学校を長期で休んだせいで、なんとなく登校しにくくなったのだという。この間、第2回ミス北鉄コンテストでユイが再度グランプリに選ばれた。しかし、ユイは授賞式も欠席したという。なまじ有名人になり、上京するはずができなくなってしまい、ユイは表舞台に出たくないと思っているのだ。以前は街でファンに声をかけられれば愛想よく応じていたのだが、今では無視したり怯えて逃げまわったりするようになってしまった。

そんなユイの姿を見て、駅長・大吉(杉本哲太)や副駅長・吉田(荒川良々)は、ユイの元気が出るように何かをしてやろうと考え始めた。しかし、春子(小泉今日子)はそんなふたりを叱った。こういう時は、介入しないでそっとしておくのが一番なのだ。

ヒロシから話を聞いて、アキはユイのことが心配になり始めた。話を聞いてもらうために、上野で屋台を開いている安部(片桐はいり)を訪ねた。するとそこへ、安部のまめぶ汁の常連客となった種市(福士蒼汰)も現れた。アキと種市は、劇場近くの無頼鮨へ場所を移してゆっくりと話をすることにした。

アキは、ユイからもらったメールを種市に見せた。ヒロシの話だとユイはふさぎ込んでいるとのことだが、アキに送られてきたメールの文面は元気なので矛盾しているというのだ。そのメールを見た種市は、すぐに不審な点を見つけた。短い文面の中に4回も「(私は)大丈夫」と書いてあるのだ。尋常な精神状態で書いたものではないというのが種市の見立てだった。種市もユイのことを心配し始めるのだった。

アキは、ユイのことがつくづく素晴らしいと思った。そこにユイがいなくても、みんながユイのことを気にかけるからだ。彼女と遠距離恋愛中の種市は当然としても、事務所でもみんながユイに期待を寄せている。ユイこそスターの素質を持ち、表舞台に立つべき人間だと思うのだった。

種市は、自分が仕事を辞めたことを告白した。ユイのことも気になるし、来週にでも田舎に帰り、新しい仕事を始めるつもりだという。種市は羽田空港の滑走路拡張工事の潜水夫として建設会社に就職した。しかし、その会社は東京スカイツリーの工事も請け負っており、種市は配置転換でスカイツリーの現場に回されたという。潜水の仕事ができなくなっただけではなく、強度の高所恐怖症である種市は仕事のやる気をすっかり失ってしまった。それで会社を辞めたのだという。

アキは内心で種市に失望した。何事にも熱くて真っ直ぐだった種市はもういないと思うのだった。

その時、無頼鮨へ荒巻と鈴鹿ひろ美がふたり揃って入ってきた。ふたりがただならぬ仲だと水口から釘を差されていたアキは、思わずこそこそと隠れるのだった。

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NHK『あまちゃん』第78回

本日からアメ横女学園の「暦の上ではディセンバー」の配信が始まり(レコチョクほか)、早速購入したが2回ほど聞いて再生を止め、もっぱら「潮騒のメモリー」の替え歌「シロコロのメモリー」(歌詞文末)を自作して歌っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第78回めの放送を見ましたよ。



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第13週「おら、奈落に落ちる」

ユイ(橋本愛)が2週間ぶりにスナック梨明日に姿を現した。町の大人たちはユイを歓迎し声をかけるが、ユイはむっつりとして急に店を飛び出してしまった。

春子(小泉今日子)だけはユイの気持ちを察し、大人たちを叱りつけた。上京が取り止めになって傷ついているところに、大人たちが腫れ物に触れるような接し方をすればますます傷つくというのだった。不自然に歓迎したり、上京したアキ(能年玲奈)のこと、ミス北鉄のことなどをまくし立てたせいでユイは傷ついたのだと諭した。春子にはユイの気持ちがよく分かるのだった。

GMTメンバーの遠藤真奈(大野いと)は、初日こそ衣装替えで大失敗をしたが、それ以外は立派に代役を務め、3日間の公演を終えた。GMTメンバーと水口(松田龍平)は、劇場近くの無頼鮨で打ち上げを行った。

真奈は初日に失敗した時は、アイドルを辞めて田舎に帰ろうと考えたという。しかし、アキの励ましがあって思いとどまることができたと感謝した。その言葉から宴が始まり、メンバーたちは開放的な気分になって大騒ぎを始めた。座敷で踊り始めたり、大声でおしゃべりしたりと、他の客に迷惑をかけるほどだった。店主・梅頭(ピエール瀧)は無口な男だったが、GMTらのマナーの悪さに眉をひそめた。

宴会の幹事はアキだったが、自分で寿司屋に来るのは初めてだった。夏(宮本信子)に電話で相談したところ、おまかせでもひとりあたり2000円くらいあれば足りるとの事だったが、実際に並べられた鮨を見ると、到底その金額では収まりそうになく、内心ヒヤヒヤし始めた。水口の様子を横目で伺ったが、彼も金は持っていないようだった。水口は鮨に一切手を付けず、焼酎のふりをしながら水ばかり飲んでいた。いざとなったら逃げる気であることが手に取るようにわかったのだ。

メンバーは自分の好きなタレントについて語り合った。好きな女優を聞かれ、アキは迷うことなく鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)の名を即答した。芸能界では鈴鹿ひろ美の評判はあまりよくないという。他のメンバーは彼女の悪口を言い立てるのだった。

その時、隣の座敷の女性客が会計を済ませ、店を出た。しかも、大将・梅頭や店員(日向丈)によれば、アキたちの分までその客が支払ってくれたという。アキはその客の顔を一瞥しただけで、鈴鹿ひろ美本人だと気付いた。みんなは急いで店を出て彼女を追いかけた。

鈴鹿ひろ美は、自分もGMTらと同じくらいの年頃から芸能活動をやってきたし、みんなの話を漏れ聞いて気分が良くなったのだという。それで支払いをさせてもらったと、爽やかに答えた。GMTのメンバーは、うっかりと鈴鹿の悪口を言ってしまったことを深く謝罪した。それを受け入れ、鈴鹿はタクシーに乗り込んだ。

アキはタクシーの鈴鹿を捕まえ、握手を求めた。自分が鈴鹿の大ファンであることをもう一度話し、鈴鹿に憧れて上京したと自己紹介した。「潮騒のメモリー」がとても好きだということも説明した。それを聞いた鈴鹿は、いつかアキと一緒に芝居をしようと約束し去っていった。

アキは鈴鹿ひろ美にますます惚れ込むのだった。

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NHK『あまちゃん』第77回

ヒゲを剃ってから行くべきかどうか激しく迷っている当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第77回めの放送を見ましたよ。

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第13週「おら、奈落に落ちる」

アキ(能年玲奈)は上野で安部(片桐はいり)と再会した。

安部は栃木県宇都宮市のデパートで、北三陸市の紹介とまめぶを販売する店をやっていたが、それは失敗に終わったという。それでも故郷に帰るわけにもいかず、安いトラックを手に入れて立ち食いそばの屋台を開いたのだ。客の注文はそばとうどんばかりだが、まめぶもメニューに載せ、口頭で地道に宣伝しているのだという。ごくわずかだが、まめぶを求める常連客もできたという。

アキは久しぶりに安部のまめぶを食べた。特に美味しいものではないが、安部の作るまめぶ汁はアキの大好物だ。上京して2週間だが北三陸市を懐かしく思い、安部との再会も大いに喜び、心が晴れ晴れとした。

ところが、アキが寮に帰ると、正宗(尾美としのり)が待ち構えていた。正宗はアキの芸能活動に猛反対し、説教を始めた。

しかし、正宗との話し合いの途中で、GMT47に大ニュースが飛び込んできた。アメ横女学園のメンバー・成田りな(水瀬いのり)が体調不良で休演することになったので、その代役として遠藤真奈(大野いと)がステージに立つこととなった。当の真奈は緊張のあまり胃が痛くなってしまったが、GMTのメンバーが出演するのは初めてのことで、みんなは大いに盛り上がった。そのどさくさで、正宗のことは無視されてしまった。

いよいよ真奈の代役本番となった。ところが、真奈は衣装替えの段取りを間違えてしまい、アーミールックに着替えるべきところをパンダの衣装を着てしまった。再び着替える時間は残されておらず、仕方なくパンダの姿のままステージに出た。この失敗により、真奈はもちろんGMTのメンバー全員が、アメ女の正式メンバーたちから白い目で見られる事となった。

それ以外はうまくこなした真奈であったが、衣装替えの失敗が後を引き、終演後にひどく落ち込んでしまった。その日は、珍しく社長の荒巻(古田新太)も劇場に来ており、彼に失態を見られてしまった形になるからだ。

彼女に引きこまれ、他のGMTメンバーたちも沈み込んだ。そんな中、アキだけはマイペースだった。ステージ下のレッスンルームで陽の目を見ないよりも、いくら失敗したとしてもステージの上で客の目に触れる方が良いに決まっていると話した。自分たちはステージ下の「奈落」から真奈のことを応援しているから、翌日からの代役も精一杯頑張れと応援した。その言葉に、真奈をはじめメンバー全員の士気が上がった。

その頃、水口(松田龍平)は荒巻とGMT47の事について話し合っていた。荒巻は、自分の経験に照らして、アイドルユニットの成功はそれほど簡単なことではないと話した。アメ横女学園でさえ、人気が出るまで4年間の下積みがあった。水口がGMT47プロジェクトを性急に進めていることについて、もっと慎重に事を運ぶように注意を促した。また、アキについては、訛りのある独特のキャラクター以外には特に見るべき点がないと言うのだった。アメ女のトップメンバー・有馬めぐ(足立梨花)の代役に抜擢したことについても、近頃増長している有馬めぐを反省させるための当て馬であることを認めた。

水口は黙って荒巻の話を聞いていたが、彼には野心があった。GMT47をアメ女の単なる2軍で終わらせるつもりはないのだ。上野の東京EDOシアターを飛び出し、武道館をファイナルとする全国ツアーもできるアイドルユニットにしたいと考えていた。必ず47都道府県の全てからアイドルを集めることを決意している。仮にメンバー招集に失敗し、今のメンバーも辞めたとしても、最後の1人になるまで見捨てるつもりはない。GMT47は水口が初めてひとりで任されたプロジェクトであり、彼も熱意を持って取り組んでいるのだ。

水口は、自分の野心をGMTのメンバーに聞かせた。メンバーたちはそれを聞いて、ますます意気が揚がるのだった。

北三陸市では、第2回ミス北鉄コンテストが開かれようとしていた。しかし、初代チャンピオンのユイ(橋本愛)に比べて、地元にはこれといった候補者もおらず、どうも盛り上がりに欠けるのだった。

そんな中、喫茶リアスにヒロシ(小池徹平)とユイが現れた。

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中ぱみゅちゃんのこと

「中ぱみゅちゃん」とは、僕が毎朝立ち寄るコンビニの店員さんのことだ。

お人形さんのように白い肌で明るい茶色のロングヘア、少々ポップな化粧を施し、いい意味でエキセントリックな色合いのパンツとスニーカーをいつも履いている。その雰囲気がタレントの中川翔子に似ていたので、僕は心の中で彼女のことを「中川翔子ちゃん」と呼んでいた。
ある時、彼女は髪を切った。前髪をまっすぐに切りそろえたセミロングのボブカットだ。その姿は、もはや中川翔子というよりもきゃりーぱみゅぱみゅであった。
そういう経緯で、中川翔子ときゃりーぱみゅぱみゅを混ぜて、「中川ぱみゅぱみゅ」だとか「中ぱみゅちゃん」だとか呼ぶこととした。

僕が彼女を初めて見たのは、もう2年くらい前のことだと思う。
僕は、人の見た目や職業、出身や学歴、性別、その他などで偏見を持たない人間でありたいと常々思っている。そう心がけているつもりだ。

けれども、彼女を一目見た時、
「うわ、ヤンキーあがりのくだらない女に違いない。こんな子にレジ打ちされるなんて、今日はツイてない」
などと思ってしまった。情けないことに。

ところが、僕の愚かな先入観は瞬く間に覆った。
彼女は僕の目をしっかりと柔和に見据えて、ハキハキと丁寧に挨拶をした。テキパキと商品のバーコードを読み取り、慎重かつ手早く袋詰めしてくれた。ポイントカードの有無の尋ね方や電子マネー読み取り機への誘導も気持ちのよい口調だった。接客マニュアルからそのまま飛び出してきたかと思うほどの適切さであった。お腹の低い位置で両手を合わせ、腰から折り曲げて会釈をする姿には気品が感じられた。接客の間中、常に口角を上げて上品な笑顔をたたえていた。

月に何度かしか立ち寄らないコンビニであったが、気持よく買い物ができたので、それからは週に何度か行くようになった。無論、頻度は増加する一方だった。今ではほぼ毎日立ち寄る。「ほぼ毎日」であって、必ず毎日ではない。なぜなら、今や中ぱみゅちゃんの週4日の出勤シフトを把握したので、彼女がいない日には行かないからだ。

彼女の出勤日には、駐輪場にかわいいスクーターが停まっている。松田優作がドラマ『探偵物語』で乗ってたやつみたいな小洒落たスクーターだ。それがない日はお休みだ。僕はコンビニを素通りする。彼女の休暇予定日でも駐輪場だけは必ず確認する。そこにスクーターが停まっていれば、彼女の臨時出勤かもしれないからだ。
ていうか、あのスクーターかわいい。彼女によく似合っている。2-3回、彼女がそれに乗っている姿を見たこともある。少女向けファッション雑誌のお手本のようだった。

ほぼ毎日顔を会わせているおかげで僕達が親しくなったかというと、残念ながらそのようなことはない。
ふたりの関係で変わったことといえば、彼女が僕の顔と電子マネー利用者であるということを覚えてくれた程度だ。僕が何も言わなくても、率先して電子マネーでの支払いモードに切り替えてくれる。よく言えば「あうんの呼吸」ができ上がったのだ。しかし、そのせいで彼女の僕に対する口数は減ったことになる。親切丁寧で耳障りの良い彼女の声があまり聞けなくなったことは残念だ。

それでも、毎朝の通勤が楽しくて仕方がない。つまらないことがあって会社に行きたくないなぁと思う日でも、その途中に中ぱみゅちゃんがいると思えば会社に行く意欲が湧いてくるし、彼女に接客してもらえば「今日はいい日だ」と前向きな気分にもなれる。ありがたいことだ。
特に親しくなったり、私的な会話を交わすことがなくても、それで良かったのだ。

そんな僕と中ぱみゅちゃんとの関係は、明日の朝を限りに大きく変化することだろう。何がどう変わるかについては、いずれ知れることと思う。

NHK『あまちゃん』第76回

NHKの公式サイトでアメ横女学園の特集ページができつつあることを知り、その気合に頭がクラクラするけれど、顔はニヤニヤしてしまった当方が、NHK朝の連続テレビ小説『あまちゃん』の第76回めの放送を見ましたよ。

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第13週「おら、奈落に落ちる」

アキ(能年玲奈)は春子(小泉今日子)が自分の半生を綴った手紙を読んでいた。

春子(有村架純)は1984年夏に上京しオーディション番組でチャンピオンになったものの、その番組が急遽打ち切りとなり、歌手デビューへの道が絶たれてしまった。故郷に帰るわけにもいかず、原宿・竹下通りの近くにある純喫茶アイドルでアルバイトをしながらアイドルデビューを目指すことになった。喫茶店主・甲斐(松尾スズキ)がかわいがってくれたこともあり、春子は前向きに努力していた。

しかし、オーディションでの春子は落選続きであった。春子はボイストレーニングやダンスレッスンに力を入れ、プロ意識を持って応募していた。しかし、時代が変わり、おニャン子クラブのような素人っぽさを全面に押し出すアイドルがもてはやされるようになっていたのだ。春子のような玄人的な女の子は審査員の受けが悪かったのだ。

春子が上京して1年ほど経った頃、荒巻(古田新太)が純喫茶アイドルに現れた。オーディション番組の専属ダンサーをやっていた荒巻だが、彼も番組の打ち切りで仕事を失ってしまった。それを機にダンサーを辞め、今はタレントのスカウトをしていた。街で声をかけた少女(神定まお)を説得するために喫茶店に来たのだ。しかし、スカウトとしてはまだ半人前の荒巻は、少女に逃げられてしまった。

春子は素知らぬふりをして彼らの話を聞いていた。そして、荒巻が目を離した隙に、テーブルの上に放置されていた彼の名刺を盗んだ。

春子の手紙はそこで終わっていた。アキは春子と荒巻が知り合いらしいことに驚くとともに、いい所で手紙が終わっていることにがっかりした。そして、娘を気遣う母親らしい言葉がほとんど書かれていないことにもがっかりした。

寮の居間で熱中して手紙を読んでいたアキは、そこに水口(松田龍平)がいたことに気づかなかった。水口は北三陸市へ行って、ユイ(橋本愛)の様子を探ってきたという。結局ユイには会えなかったが、母・よしえ(八木亜希子)から詳しい話を聞けたという。脳の疾患で倒れた功(平泉成)の手術は成功し意識は戻ったものの、重度の後遺症があり家族総出での介護が必要だという。ユイがつきっきりで看病しており、功の回復の目処が立たないうちは上京することもできないのだという。

ユイの状況を説明した上で、水口はアキの意思を再確認した。元々、上京することはユイの意向であり、アキはその付添いのような形だ。ユイが来れなくなってしまった以上、アキが帰郷したいと言うならそれを認めるというのだ。

しかし、アキは東京に残ることを強く主張した。今朝、荒巻から有馬めぐ(足立梨花)の代役に抜擢されたことを報告し、それをチャンスとして頑張ることを宣言した。そして、ユイとの約束を果たすために、彼女の上京を待ち続けるというのだ。

水口によれば、荒巻の決定は単なる気まぐれかもしれないという。実力の劣る新人を代役にすることで、正式メンバーの危機感を煽り、彼女らを奮起させることがよくあるのだという。特に、近頃の有馬めぐは天狗になっていたので、反省を促したというのが水口の見立てだった。有馬めぐが本気を出せば、体調管理を徹底させ、休演することはないだろうという。そうなるとアキの出番は一切ないのだ。それでもアキは諦めずに頑張ることを誓った。

翌日、ユイからアキへメールが届いた。その文面は明るく前向きなもので、アキは改めて勇気づけられた。

一方で、アキの毎日はとてもハードなものだった。ひたすらダンスの稽古をすると共に、アメ横女学園の公演が始まると裏方としてメンバーの着替えや力仕事をやらされた。就寝前には寮でGMT47のメンバーと危機感を持ったミーティングが行われた。特に、自分たちがいつまでも縁の下の力持ちばかりで日の目を見ないままではいけないと意識合わせが行われた。

上京して1週間が経ち、2学期が始まった。アキは新たに朝日奈学園芸能コースに通うこととなった。芸能活動で売れている生徒は学校に来ることができず、クラスの半分近くが欠席していた。このクラスでは、遅刻や欠席がステータスなのであった。

アキは忙しい毎日に慣れ始めてきたが、荒巻とは一度会ったきりだ。有馬めぐの代役として具体的な指示は全くない。水口の言うとおり、自分の大抜擢は単なる気まぐれだったのではないかと心配になり始めた。

そんな時、アキは街で「まめぶ」という声を聞いた。その声が聞こえた立ち食いそばのトラック屋台を覗いてみると、そこにいたのは懐かしい安部(片桐はいり)だった。

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