『おと・な・り』(監督・熊澤尚人/主演・岡田准一/助演・麻生久美子)

『おと・な・り』タイトル

ある男性カメラマン(岡田准一)と女性花屋店員(麻生久美子)は古いアパートの隣人。このアパートの壁は驚くべきほど薄く、隣室のちょっとした物音は全て筒抜けだ。
都会に暮らすふたりは、互いに相手の顔も素性も知らない。隣から聞こえてくる雑音に、時には腹を立てつつも、自分の生活の一部として心地良くも感じている。

それぞれがそれぞれに、自分の将来を大きく左右する重大な局面を迎えている。もちろん、相手がそうだとは知らないし、相手に伝えようとも思わない。薄い壁1枚で隔てられているのみだが、ふたりの人生は決して交わることはない。

・・・そんなお話。

ネタバレしない程度に作品紹介をしようと思うと、どうしても地味な内容になってしまう。
けれども、これは僕の大好きな映画ベスト5にランクイン。ぜひオススメしたい。

単に麻生久美子が見たくてレンタルした映画だが、麻生久美子が出演していなかったとしても、この脚本と演出は気に入ったことだろうと思う。

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NHK『おひさま』第23回

「せっかくの連休だというのに、どこにも出かける予定のない当方」と、ちょうど1年前にも書いていた当方が、NHK朝の連続テレビ小説『おひさま』の第23回目の放送を見ましたよ。

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第4週「母の秘密」

茂樹(永山絢斗)が海軍飛行隊を志望していることを打ち明けた翌日、父・良一(寺脇康文)は何も告げずに早朝に家を出た。

茂樹は翌年1月の試験にむけて、春樹(田中圭)に勉強を見てもらっていた。そんな二人の兄を見ていて、陽子(井上真央)は頼もしく思った。茂樹が合格して家を出ていくことを心から望む一方で、この幸福な時間が永遠に続けば良いとも思うのだった。

茂樹は、急に春樹へ深い感謝の意を述べたが、春樹には何のことだかわからなかった。茂樹は、自分が祖母(渡辺美佐子)の所へ養子に出されそうになった時に春樹が身を挺して反対してくれたことを思い出していたのだ。
茂樹が何も言わなくても、祖母から同じ話を聞いていた陽子には彼の気持ちがわかった。突如、陽子も茂樹とともに感謝するのだった。

そこへ、父が帰ってきた。諏訪神社まで出かけて、茂樹のために学業成就と安全祈願のお守りを授かってきたという。本来なら母親の役目だが、母を亡くした茂樹のために、自分が行ってきたのだという。
父の深い愛情に触れて、茂樹は涙を流す。
そして、家族そろっての団欒で、みんなは心の底から笑った。とても楽しい時間だった。
しかし、後に陽子が思い出すところでは、家族揃っての幸福な時間はそれが最後だった。

翌日、春樹が松本へ戻った。陽子には、真知子(マイコ)によろしく伝えて欲しいと述べた。その素っ気ない態度を見て、陽子はきっと兄も初恋なのだろうと気づくのだった。

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